JP2000063680A - 熱可塑性樹脂組成物および成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物および成形体

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JP2000063680A JP10234037A JP23403798A JP2000063680A JP 2000063680 A JP2000063680 A JP 2000063680A JP 10234037 A JP10234037 A JP 10234037A JP 23403798 A JP23403798 A JP 23403798A JP 2000063680 A JP2000063680 A JP 2000063680A
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昌由 鈴田
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守 関口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂に代表
される熱可塑性樹脂を主成分とするプラスチック成形の
熱可塑性樹脂組成物であって、紫外線吸収効果を有しな
がら、ブランクとほぼ同等の透明性を有する樹脂組成
物、およびその樹脂組成物から成形される成形体を提供
することを課題とする。 【解決手段】熱可塑性樹脂中に紫外線吸収効果を有する
無機化合物および顔料分散剤を配合し、その無機化合物
の添加量が、熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.0
1〜3.00重量部であり、かつ顔料分散剤添加量と無
機化合物添加量の比(R=顔料分散剤添加量/無機化合
物添加量)が、0.1≦R≦5であり、その成形体は透
明性を有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン樹
脂、ポリエステル樹脂に代表される熱可塑性樹脂100
重量部に対し、紫外線吸収効果を有する無機化合物を
0.01〜5.00重量部を配合し、さらに顔料分散剤
を、顔料分散剤添加量と無機化合物添加量の比(R=顔
料分散剤添加量/無機化合物添加量)を0.1≦R≦5
にすることで、紫外線吸収効果を有しながら、紫外線吸
収効果を有する無機化合物および顔料分散剤を含まない
樹脂(以後、ブランクと呼ぶ)とほぼ同等の透明性を有
する樹脂組成物およびその樹脂組成物から成形されたボ
トル、プレートなどの成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、プラスチック成形品は、食品
・飲料・トイレタリー用品・化粧品などの容器に代表さ
れる包装材料を初めとして、機械材料、電気・電子材
料、光学材料、建装材料など、広い分野で使用されてい
る。これらプラスチック成形品は、使用目的に応じて機
能性を付与するために様々な添加物を加えられ、その一
例として紫外線吸収剤が挙げられる。
【0003】紫外線は波長100〜400nmの電磁波
のことを指し、この領域の光のエネルギーは、C,H,
Oの結合エネルギー(70〜110kcal/mol)
と同等のエネルギーを有する。そのため、主としてC,
H,Oの結合からなるプラスチック成形品は、紫外線が
照射するとその結合を崩壊し、樹脂の劣化、変色、機械
強度の低下を伴う恐れがある。一方、プラスチック成形
品だけでなく、包装材料に充填する内容物、特にトイレ
タリーや化粧品などは、紫外線を照射することにより内
容物の変色、変質、薬剤の分解を伴う恐れがある。
【0004】このような問題点を解決するため、プラス
チック成形品には上述した紫外線吸収剤を配合する。一
般に紫外線吸収材料としてよく使用されるのが有機系紫
外線吸収材料であり、その代表的なものとして、フェニ
ルサリチレート、2−ヒドロキシー4メトキシベンゾフ
ェノン、2(2’−ヒドロキシー5メチルフェニル)ベ
ンゾトリアゾールが挙げられる。有機系紫外線吸収材料
はプラスチック成形品に練り込むことで、透明かつ紫外
線吸収能を付与することが可能である。
【0005】しかしながら、有機系紫外線吸収材料は、
その紫外線吸収機構が原因で成形品を着色してしまうと
いう問題点がある。プラスチック成形品においては、こ
の着色の問題は外観不良を伴うもであり、できるだけ避
けたいところである。そこで、これらの有機紫外線吸収
材料に変わって無機系の紫外線吸収材料を使用するケー
スが増えてきた。これらの代表的なものとしては酸化亜
鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄などが挙げられ
る。
【0006】しかしながら、これらの無機化合物の表面
張力はプラスチックのものより小さく、本来は無機化合
物とプラスチックの相互作用は低いため、プラスチック
を可塑化・混練時に無機化合物微粒子を添加すると、以
下の問題が生じてくる。
【0007】一般に、超微粒子と呼ばれる無機化合物の
1次粒子の粒径は数nmオーダーであり、そのサイズは
可視光の波長以下である。この無機化合物を1次粒子の
状態でプラスチック中に分散させれば、そのプラスチッ
ク成形品の透明性を低下させる問題は生じない。しかし
ながら、このような無機化合物は、通常1次粒子が凝集
した2次粒子の状態でプラスチックに添加され、溶融混
練されている。また、プラスチックを可塑化・混練時に
無機化合物微粒子を添加すると、混練中に粒子間の相互
作用でプラスチック中での無機化合物粒子の分散性が低
下し、1次粒子もしくは2次粒子の凝集が起き、分散粒
子径が数μmから数十μmオーダーの2次粒子が生成す
る。プラスチック中に分散している無機化合物の粒径が
μmオーダーになると、可視光が無機化合物により散乱
し、その結果、プラスチック成形品の透明性を著しく低
下させる問題が生じる。また、2次凝集した粒子が分散
されていることは、無機化合物添加の効果が出る添加量
よりも多くの無機化合物を添加していることを意味し、
結果としてコストがかかってしまう。
【0008】無機系の紫外線吸収剤は、その優れた紫外
線吸収能力から、紫外線吸収剤として様々なプラスチッ
クに練り込まれているが、プラスチックと溶融混練を行
うことで2次凝集が起こり、その結果、プラスチック成
形品の透明性を低下させることから、できるだけ無機系
の紫外線吸収剤の分散状態が細かい状態で分散した、透
明性を有する熱可塑性樹脂組成物を得たいのが現状であ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は上記の
実状を考慮したものであり、ポリオレフィン樹脂、ポリ
エステル樹脂に代表される熱可塑性樹脂を主成分とする
プラスチック成形の熱可塑性樹脂組成物であって、紫外
線吸収効果を有しながら、ブランクとほぼ同等の透明性
を有する樹脂組成物、およびその樹脂組成物から成形さ
れる成形体を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題点を
解決するために考えられたものであり、請求項1記載の
発明は、熱可塑性樹脂中に紫外線吸収効果を有する無機
化合物および顔料分散剤を配合し、その無機化合物の添
加量が、熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.01〜
5.00重量部であり、かつ顔料分散剤添加量と無機化
合物添加量の比(R=顔料分散剤添加量/無機化合物添
加量)が、0.1≦R≦5であり、その成形体は透明性
を有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、とした
ものである。
【0011】請求項2記載の発明は、請求項1記載の熱
可塑性樹脂組成物において、紫外線吸収効果を有する無
機化合物として、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウ
ム、酸化鉄を少なくとも一種含んでいることを特徴とす
る熱可塑性樹脂組成物、としたものである。
【0012】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記
載の熱可塑性樹脂組成物において、熱可塑性樹脂がポリ
オレフィン樹脂、オレフィンービニル化合物共重合体、
ポリビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、
あるいはこれらの共重合物の単体、あるいはこれらの混
合物から選択されることを特徴とする熱可塑性樹脂組成
物、としたものである。
【0013】請求項4記載の発明は、請求項1、2又は
3記載の熱可塑性樹脂組成物において、顔料分散剤とし
て高級脂肪酸あるいはその金属塩、エステル、アミド、
または、低分子量のポリオレフィン系ワックスあるいは
その酸変成物、共重合物を少なくとも一種含んでいるこ
とを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、としたものであ
る。
【0014】請求項5記載の発明は、請求項1、2、3
又は4記載の熱可塑性樹脂組成物を、厚さ2mmのプレ
ートにした際に、波長700nmおける光線透過率が7
5〜100%、波長360nmにおける光線透過率が0
〜40%、波長300nm以下の光線透過率が0〜10
%、波長400〜700nmにおける光線透過率が50
〜100%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成
物、としたものである。
【0015】請求項6記載の発明は、請求項1〜5のい
づれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を、厚さ2mmのプ
レートに成形した際のヘーズ値が50%以下であること
を特徴とする熱可塑性樹脂組成物、としたものである。
【0016】請求項7記載の発明は、請求項1〜6のい
づれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形
体であって、該成形体がボトル、シート(フィルム)、
トレー、プレートのいづれかであることを特徴とする成
形体、としたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下で本発明を詳細に説明する。
本発明における熱可塑性樹脂は、低密度ポリエチレン樹
脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹
脂、直鎖線状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン
樹脂、エチレンープロピレン共重合体、エチレンーアク
リル酸共重合体やエチレンーメタクリル酸共重合体およ
びそのエステル化物、エチレンー酢酸ビニル共重合体、
エチレンビニルアルコール共重合体、ポリスチレン樹
脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹
脂、ポリアミド樹脂から選択することが可能であり、ま
た、これらのグラフト共重合物、ブロック共重合物、ラ
ンダム共重合体でも使用可能である。さらに、これらの
樹脂のブレンドでも構わない。
【0018】本発明の熱可塑性樹脂組成物における紫外
線吸収効果を有する無機化合物としては、酸化亜鉛、酸
化チタン、酸化セリウム、酸化鉄が挙げられる。しかし
ながら、酸化鉄は可視光領域の光を吸収するため僅かに
赤色に変化すること、また、酸化チタン、酸化セリウム
は酸化亜鉛よりも紫外線吸収効果に劣ることから、無機
系の紫外線吸収剤としては酸化亜鉛が好ましい。また、
この酸化亜鉛に代表される無機系の紫外線吸収材料の平
均粒子径は、熱可塑性樹脂へのブレンド、紫外線吸収効
果を考慮すると、10〜100nmの微粒子である方が
好ましい。また、無機化合物の表面は、光触媒活性の抑
制や、プラスチック中への分散性を向上させるなどの目
的で、必要に応じて、シリカなどの無機化合物や、ステ
アリン酸などの有機物などで表面処理をしても構わな
い。必要に応じて、これらの無機化合物は単体だけでな
く混合物でも構わない。
【0019】熱可塑性樹脂への、紫外線吸収効果を有す
る無機化合物の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に
対し0.01〜5.00重量部とする。0.01重量部
よりも少ないと、ブランクと比較した時の透明性は同等
程度であるが紫外線吸収効果に劣る。また、5.00重
量部より多いと、紫外線吸収効果には優れるが、ブラン
クと比較した時の透明性が著しく低下する。そのような
意味で、熱可塑性樹脂100重量部に対する無機化合物
の添加量は0.01〜5.00重量部とするが、添加量
については、光線透過率の評価として使用するプレート
の厚さに応じて添加量を調整しても構わない。
【0020】紫外線吸収効果を有する無機化合物のプラ
スチックへの分散性を向上させるために、顔料分散剤を
配合する。この顔料分散剤の種類としては、ステアリン
酸のような高級脂肪酸やその金属塩、エステル、アミド
などが挙げられる。また、このような分散剤だけでな
く、粘度法による分子量が500〜10000の低分子
量ポリオレフィン系ワックスあるいはその酸変性物、各
種モノマーとの共重合物などを使用してもよい。また、
比較的高分子量の高分子でも、樹脂と紫外線吸収剤とを
溶融状態で練り込む際に、分解し、その分解生成物が分
散剤としての効果を発現するような分散剤も使用が可能
である。また、ベースとなる熱可塑性樹脂の種類に応じ
て、上記記載の分散剤以外の顔料分散剤ももちろん使用
は可能である。これらの顔料分散剤は単体でも混合物で
も構わない。
【0021】顔料分散剤の添加量は、顔料分散剤添加量
と無機化合物の添加量比(R=顔料分散剤添加量/無機
化合物添加量)が0.1≦R≦5とする。5よりも大き
いと(顔料分散剤が多いと)、樹脂組成物自体の平均分
子量が低下し、機械的強度が低下したり、加工性が低下
する恐れがある。また、0.1よりも小さいと(顔料分
散剤が少ないと)、紫外線吸収効果を有する無機化合物
の分散状態が低下し、樹脂組成物の透明性を低下させる
恐れがある。
【0022】本熱可塑性樹脂組成物での無機系紫外線吸
収剤の分散状態は、μmオーダーで分散する無機化合物
の量が少なければ少ない方が好ましい。非常に高い透明
性を要求されるのであれば、最大粒径が400nm以下
である方が好ましい。しかしながら、無機化合物を添加
することによる透明性の低下は、無機化合物による光の
散乱が原因であるため、実際評価に用いるプレートの厚
さ、要求される光線透過度に応じて、紫外線吸収剤の添
加量を抑制し、透明性を向上させることが可能である。
しかしながら、そのような場合でも、樹脂組成物中に分
散する無機化合物の最大粒径が5μm以下、好ましくは
1μm以下、さらに好ましくは500nm以下が好まし
い。
【0023】本発明の熱可塑性樹脂組成物の紫外線吸収
効果は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を2mmのプレー
トにした際、波長700nmの光線透過率が75〜10
0%、波長360nmにおける光線透過度が0〜40
%、波長300nm以下の光線透過率が0〜10%、波
長400〜700nmにおける光線透過度が50〜10
0%である。波長700nmの光線透過率が75%以下
であると透明性におとる。また、波長360nmの光線
透過度が40%以上、特に波長300nm以下の光線透
過率が10%以上では紫外線吸収効果に劣る。また、波
長400〜700nmの光線透過度が50%以下である
と透明性の劣る。しかしながら、この厚さ2mmのプレ
ートを用いた時の評価方法は限られた方法でなく、厚さ
に依存なく紫外線吸収効果、透明性を維持していた方が
好ましい。
【0024】透明性の指標としては、ヘーズ測定も挙げ
られる。ただし、ヘーズ測定の場合は、ベースとなる樹
脂が結晶性か非晶性かによっても大きく変化するが、透
明性を要求されるのであれば、ヘーズ値は50%以下が
好ましい。ただし、ブランクと同等の透明性を有するの
であれば問題はない。この時の評価方法も、上述した厚
さ2mmのプレートを使用するが、この方法も限られた
方法でないので、厚さに依存なく紫外線吸収効果、透明
性を維持していた方が好ましい。
【0025】本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法と
しては、上記記載の熱可塑性樹脂と、所定量の無機系の
紫外線吸収材料と顔料分散剤とをドライブレンドにより
溶融混練することによって行われる。これらの組成物を
溶融混練行う際には、単軸押出機、2軸押出機、あるい
はブラベンダータイプの混練機など、様々な混練機を使
用することが可能である。この熱可塑性樹脂組成物から
なる成形体を作成する方法としては、これらの混練機を
用いて混練した溶融樹脂を、水冷あるいは空冷により冷
却しフィルムにすることも可能であり、またストランド
上に押出したサンプルをペレタイズした後に、射出成
形、真空圧縮成形等の成形法で評価用プレートを作成し
てもよい。また、あらかじめ高含有量の無機系紫外線吸
収剤を配合するマスターバッチを上記混練機を用いて作
成し、無機系紫外線吸収剤、顔料分散剤が、上述した範
囲の濃度になるようにドライブレンドしたものを、射出
成形等の成形法で評価プレートを作成しても良い。
【0026】本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形体の展
開としては、上述したプレート以外にもフィルム成形
体、シート成形体、ボトル成形体、トレー成形体など様
々な形態が可能である。フィルムであればインフレーシ
ョンや押出ラミネートなどの手法により、シートであれ
ば押出成形や押出ラミネートなどの手法により、ボトル
であれば射出成形、(延伸)ブロー成形、射出ブロー成
形などの成形法により、トレーではシート成形品を真空
圧縮成形などの手法により成形することが可能である。
これらの成形品以外にも、様々な成形体を得ることが可
能である。
【0027】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明の技
術的範囲はこれらの実施例に限られるものではない。な
お、以下の実施例、比較例において、無機化合物、顔料
分散剤の添加量は熱可塑性樹脂100重量部に対する重
量部である。
【0028】<実施例1>熱可塑性樹脂として低密度ポ
リエチレン樹脂、紫外線吸収効果を有する無機化合物と
して平均1次粒子径20nmの酸化亜鉛、顔料分散剤と
して低分子量ポリオレフィン系ワックスを使用した。こ
の時、酸化亜鉛の添加量は、低密度ポリエチレン樹脂1
00重量部に対し0.3重量部、顔料分散剤を0.3重
量部(R=顔料分散剤添加量/無機化合物添加量=1)
に設定した。この紫外線吸収剤と顔料分散剤の混合物
を、溶融状態の低密度ポリエチレン樹脂に添加した。こ
れらの混練には2軸押出機を利用した。2軸押出機によ
り押出された溶融樹脂は、水冷後ペレタイズし、射出成
形により、紫外線樹脂組成物の厚さ2mmで100mm
×100mmのプレート成形体を作成した。このプレー
トの光線透過率は分光光度計により、透明性はヘーズメ
ーターおよび目視によるブランクとの比較により評価し
た。これらの結果を表1に示す。
【0029】<実施例2>熱可塑性樹脂としてエチレン
ープロピレンランダム共重合体を、酸化亜鉛添加量を
0.1重量部、顔料分散剤を高級脂肪酸の金属塩にし、
その添加量を0.2重量部(R=2)にした以外は実施
例1と同じである。
【0030】<実施例3>熱可塑性樹脂としてエチレン
ープロピレンランダム共重合体にした以外は実施例1と
同じである。
【0031】<実施例4>熱可塑性樹脂としてポリエチ
レンテレフタレート樹脂を、酸化亜鉛添加量を0.2重
量部、顔料分散剤として、低分子量ポリオレフィン系ワ
ックスの共重合体を0.2重量部(R=1)にした以外
は実施例1と同じである。
【0032】<実施例5>出発物質としてエチレンーメ
タアクリル酸メチル共重合体を使用し、酸化亜鉛添加量
を1重量部、顔料分散剤として高級脂肪酸のエステルを
0.5重量部(R=0.5)にした以外は実施例1と同
じである。
【0033】<実施例6>無機系の紫外線吸収剤として
酸化セリウムを使用し、顔料分散剤として低分子量ポリ
オレフィン系ワックスにした以外は実施例2と同じであ
る。
【0034】<実施例7>無機系の紫外線吸収剤として
酸化鉄を用いた以外は実施例6と同じである。
【0035】<実施例8>無機系の紫外線吸収剤を酸化
チタンにした以外は実施例6と同じである。
【0036】<比較例1>顔料分散剤を添加しなかった
以外は実施例2と同じである。
【0037】<比較例2>酸化亜鉛添加量を10重量部
にし、顔料分散剤を低分子量ポリオレフィン系ワックス
にした以外は実施例2と同じである。
【0038】<比較例3>無機化合物の添加量を同じに
し、R比を20にした以外は実施例2と同じであるが、
溶融粘度が低くなりすぎて、加工することができなかっ
た。
【0039】
【表1】
【0040】これらの結果より以下のことが言える。熱
可塑性樹脂に無機系の紫外線吸収剤である酸化亜鉛、酸
化チタン、酸化セリウム、酸化鉄および、高級脂肪酸系
あるいは低分子量ポリオレフィン系ワックスを配合し、
熱可塑性樹脂100重量部に対し、無機系紫外線吸収剤
を0.01〜5重量部、顔料分散剤を顔料分散剤添加量
/無機化合物添加量比Rで0.1≦R≦5の範囲で設定
することで、紫外線吸収効果のあり、ブランクと同等の
透明性を有する熱可塑性樹脂組成物およびその成形体を
得ることが可能である。
【0041】無機系紫外線吸収剤の紫外線吸収効果は種
類によって異なり、酸化亜鉛を用いた方が、ブランクの
透明性を維持しながら、波長360nm付近の透過率も
10%以下にすることが可能である。また、比較例1か
ら顔料分散剤を添加しないと分散性が低下し、透明性が
低下することが分かる。比較例2から、酸化亜鉛添加量
が多すぎると、R比を0.1≦R≦5に設定しても透明
性が阻害されることが分かる。
【0042】比較例3から、顔料分散剤の添加量が多く
なると、系全体の分子量の低下、可塑剤効果の影響で、
加工性が著しく低下することが分かる。
【0043】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物およびその
成形体は、紫外線吸収効果の持続性、安全性、着色、低
耐熱性等の問題を持つ有機系紫外線吸収剤の代替とな
り、かつ樹脂本来の透明性を損なうこともない。また、
ベースとなる材料によっては、ボトル、フィルム積層体
への展開も可能であり、また、接着性を有する樹脂にも
展開が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 3:22 5:00) Fターム(参考) 3E033 AA01 AA10 BA13 BA14 BA17 BA19 BA21 BB04 BB05 FA02 FA03 GA02 GA03 4F071 AA14 AA18 AA18X AA20X AA33X AA46 AB18 AC09 AC10 AC12 AF30Y BA01 BB05 BB06 BC01 BC03 BC04 BC12 4J002 BB002 BB031 BB061 BB071 BB081 BB121 BB151 BB202 BB221 BC031 BN001 BP001 CF061 CL001 DE096 DE106 DE116 DE136 EF057 EG017 EH037 EP017 FD056 FD202 FD207 GG01 GG02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂中に紫外線吸収効果を有する
    無機化合物および顔料分散剤を配合し、その無機化合物
    の添加量が、熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.0
    1〜5.00重量部であり、かつ顔料分散剤添加量と無
    機化合物添加量の比(R=顔料分散剤添加量/無機化合
    物添加量)が、0.1≦R≦5であり、その成形体は透
    明性を有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物におい
    て、紫外線吸収効果を有する無機化合物として、酸化亜
    鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄を少なくとも一
    種含んでいることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】請求項1又は2記載の熱可塑性樹脂組成物
    において、熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂、オレフ
    ィンービニル化合物共重合体、ポリビニル樹脂、ポリエ
    ステル樹脂、ポリアミド樹脂、あるいはこれらの共重合
    物の単体、あるいはこれらの混合物から選択されること
    を特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】請求項1、2又は3記載の熱可塑性樹脂組
    成物において、顔料分散剤として高級脂肪酸あるいはそ
    の金属塩、エステル、アミド、または、低分子量のポリ
    オレフィン系ワックスあるいはその酸変成物、共重合物
    を少なくとも一種含んでいることを特徴とする熱可塑性
    樹脂組成物。
  5. 【請求項5】請求項1、2、3又は4記載の熱可塑性樹
    脂組成物を、厚さ2mmのプレートにした際に、波長7
    00nmおける光線透過率が75〜100%、波長36
    0nmにおける光線透過率が0〜40%、波長300n
    m以下の光線透過率が0〜10%、波長400〜700
    nmにおける光線透過率が50〜100%であることを
    特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいづれかに記載の熱可塑性
    樹脂組成物を、厚さ2mmのプレートに成形した際のヘ
    ーズ値が50%以下であることを特徴とする熱可塑性樹
    脂組成物。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいづれかに記載の熱可塑性
    樹脂組成物を成形してなる成形体であって、該成形体が
    ボトル、シート(フィルム)、トレー、プレートのいづ
    れかであることを特徴とする成形体。
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