JP2000055337A - 廃油燃焼装置及び廃油燃焼式ボイラー装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 発火温度の高い廃油も大気を汚染することな
く焼却処分することができる。また、廃油を燃料として
安価に蒸気を生成できるので、暖房装置、融雪装置、発
電装置の熱源供給手段としても使用できる。 【解決手段】 下部側側面に排気筒８を接続した排気口
７を有する有蓋の燃焼筒２が基台１に立設してある。燃
焼筒２内の下部側には中央に油吐出口１１を設け、周囲
に多数の空気噴出孔を設けた構成のバーナー９が配置し
てあり、燃料供給装置から廃油燃料が、空気供給装置か
ら燃焼空気が夫々供給される。バーナー９内の下側には
燃焼灰掻均し装置２２の掻均し羽２８が回転可能に設け
てある。燃焼筒２内には耐熱性の外側水管３１と内側水
管３２が螺旋状に設置してある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えばエンジンオ
イル等の潤滑油、油槽内の廃油、天ぷら油などの種々の
廃油をほぼ完全に燃焼することができる廃油燃焼装置、
及び廃油の燃焼により蒸気を発生して給湯、暖房、発電
等に利用することができる廃油燃焼式ボイラー装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】各種の廃油、灯油等の液体燃料を燃焼す
る従来のボイラー或はストーブは、燃焼室内の片側に配
設した燃料吐出孔から燃焼室に燃料を供給し、燃焼空気
は環状内向きに配設した空気噴出孔から噴出し、燃焼ガ
スは燃焼筒の上部側に設けてある排気筒から外部に排出
する構成になっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
技術のボイラーやストーブの構成では、燃料が燃焼室の
片側位置から供給され、そこで燃焼されるために燃焼室
内での熱バランスが崩れて不完全燃焼を招くという欠点
があるし、燃焼空気は単に環状内向きに噴出されている
だけであるために燃料の気化ガスと十分に混合されず、
このために一部が未燃焼ガスの状態で排出されるという
欠点がある。また、燃焼筒内を上昇した燃焼ガスは上部
側に設けてある排気筒からストレートに外部に排出して
いるために熱損失が大きいし、有害物質を含む未燃焼ガ
スもそのまま排出するために環境を汚染するという重大
な問題点がある。

【０００４】本発明は上述した従来技術の諸欠点および
問題点に鑑みなされたもので、バーナー内で燃料の気化
ガスと燃焼空気を均等に混合して燃焼し、燃焼ガスは燃
焼筒内で上昇及び下降させることにより発火温度の高い
廃油燃料でも完全に燃焼することができる廃油燃焼装
置、及び廃油燃焼装置により蒸気を発生することができ
る廃油燃焼式ボイラー装置を提供することを目的とす
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために構成された請求項１に係る本発明の手段は、下部
側側面に排気口を有し、基台に立設された有蓋の燃焼筒
と、該燃焼筒内下部側に設けられ、中央に油吐出口を有
し、該油吐出口の外側に燃焼空気を旋回方向に噴出する
多数の燃焼空気噴出孔を環状に配列したバーナーと、該
バーナーに廃油燃料を供給する燃料供給装置と、前記バ
ーナーに燃焼空気を供給する空気供給装置と、前記バー
ナー内下側に配設した掻均し羽を回転駆動する燃焼灰掻
均し装置とからなる。

【０００６】そして、前記バーナーは中央に油吐出口を
有する底板と、該底板の外周を囲繞した状態で設けら
れ、周方向に離間して多数の空気噴出孔が傾斜させて形
成された円筒状ノズル板と、該円筒状ノズル板の外周に
設けた空気供給ダクトとから構成するとよい。

【０００７】また、請求項１記載の廃油燃焼装置を構成
する前記燃焼筒内に、螺旋状に巻回した水管を該燃焼筒
の内周面から離間させた状態で立設することにより廃油
燃焼式ボイラー装置に構成することができる。

【０００８】そして、前記燃焼筒の天板上部には前記水
管に連通した蒸気缶を設置するとよい。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態として
廃油燃焼式ボイラー装置を例に挙げて図面に基づき詳述
する。図において、１は鋼板等からなる耐熱性の基台を
示し、該基台１の内側は収容部１Ａになっている。２は
前記基台１上に立設された鋼板からなる燃焼筒で、該燃
焼筒２は円形胴部３Ａの上端に天板３Ｂを有する筒本体
３と、底部４Ａの外周縁に該円形胴部３Ａの下側に嵌合
するように立設した円環部４Ｂからなる底側筒体４とか
ら構成してある。そして、前記天板３Ｂには一対の管導
出穴５、６が、円環部４Ｂには排気口７が夫々形成して
あり、該排気口７に接続して燃焼筒２の外側に排気筒８
が立設してある。

【００１０】９は燃焼筒２内の下部側に設けたバーナー
を示す。該バーナー９は前記底側筒体４より小径に設定
した厚さ３ｍｍの鋼板製円板からなり、中心に油吐出口
１１が穿設してある底板１０と、該底板１０の外周を囲
繞するように立設された厚さ３ｍｍの鋼板製円筒状ノズ
ル板１２と、該円筒状ノズル板１２に周方向に所定の間
隔で、かつ上下方向に４列に穿設した複数の空気噴出孔
１３、１３、・・・と、該各空気噴出孔１３に連通して
円筒状ノズル板１２の外周に設けられた空気供給ダクト
１４と、油吐出口１１の側方に位置して底板１０に形成
した開口に設けた電気ヒータからなる点火装置１５とか
ら構成してある。ここで、各空気噴出孔１３は孔径ｔ₁
を２ｍｍに設定し、２ｍｍの間隔でかつ平面において右
回り、即ち時計回り方向に傾斜させてあり（図４参
照）、噴出された燃焼空気が旋回するようにしてある。
また、バーナー９は底板１０の上面１０Ａから円筒状ノ
ズル板１２の上端までの高さｔ₂ は１００ｍｍに、下側
列の空気噴出孔１３までの高さｔ₃ は５０ｍｍに設定し
てある。なお、図３および図４に示す各空気噴出孔１３
の間隔は作図上の都合により正確には表現していない。

【００１１】１６は前記バーナー９に燃料としての廃油
を供給する燃料供給装置を示し、該燃料供給装置１６は
基台１に設置され、フロート式制御弁１７Ａによって一
定の貯油量を蓄える貯油タンク１７と、該貯油タンク１
７に基端側１８Ａが接続され、先端側１８Ｂがバーナー
９の下方に伸長し、先端にノズル管部１８Ｃが接続され
た給油管１８とから構成してあり、該ノズル管部１８Ｃ
の先端は底板１０の油吐出口１１に接続している。

【００１２】１９はバーナー９に燃焼空気を供給する空
気供給装置で、該空気供給装置１９は基台１に搭載さ
れ、開閉可能な蓋体２０Ａによって吸気量が可変の送風
機２０と、該送風機２０に接続され、先端側が前記空気
供給ダクト１４に接続された送風ダクト２１とから構成
してある。そして、送風ダクト２１を空気供給ダクト１
４に接線方向に接続することにより、空気供給ダクト１
４内で空気は平面において右回り、即ち時計回り方向の
旋回流となって流動し、かつ各空気噴出孔１３は右回り
方向に傾斜させてあるから、燃焼空気は各空気噴出孔１
３から均等に、かつ旋回流として噴出することができ
る。

【００１３】更に、２２はバーナー９内に滞留する燃焼
灰を掻均すための燃焼灰掻均し装置を示す。該燃焼灰掻
均し装置２２は基台１に搭載した駆動モータ２３と、収
容部１Ａ内に位置して該駆動モータ２３の出力軸２３Ａ
に挿着された駆動プーリ２４と、収容部１Ａに内設した
スラスト軸受２５に下端が支持され、軸方向中間が基台
１と燃焼筒２の底板４Ａに設けたラジアル軸受２６に支
持されて前記ノズル管部１８Ｃに回転可能に挿通され、
先端側がバーナー９内に突出した回転軸２７と、該回転
軸２７の先端に水平方向に突設された掻均し羽２８と、
該掻均し羽２８を回転すべく回転軸２７に挿嵌され、駆
動プーリ２４との間に駆動ベルト２９が巻装された従動
プーリ３０とから構成してあり、掻均し羽２８は毎分１
回転の速度で回転するようにしてある。

【００１４】かくして、本発明による廃油燃焼装置は基
台１、燃焼筒２、バーナー９、燃料供給装置１６、空気
供給装置１９および燃焼灰掻均し装置２２から構成され
るが、本実施の形態の廃油燃焼式ボイラー装置は該廃油
燃焼装置を主たる構成要部として構成されるものであ
る。図において、３１は燃焼筒２の内周面２Ａとの間に
幅３０ｍｍ以上の中空円柱状空間ｓが形成されるように
燃焼筒２の内径ｄ₁ より外径ｄ₂ を小径の螺旋状に巻回
して形成したセラミックス被覆管からなる外側水管を示
し、３２は該外側水管３１より外径ｄ₃ を小径の螺旋状
に巻回して形成したセラミックス被覆管からなる内側水
管を示す。該各水管３１、３２の基端側３１Ａ、３２Ａ
は図示しない給水装置に接続され、各水管３１、３２の
先端側３１Ｂ、３２Ｂは管導出穴５、６に夫々挿通され
て燃焼筒２の外側に突出し、燃焼筒２の天板３Ｂ上に載
置した鋼板製の蒸気缶３３に接続している。蒸気缶３３
は各水管３１、３２から流入する蒸気の圧力変動を一定
にするためのものであり、蒸気取出し管３４と安全弁３
５が設けてある。また、３６は前記蒸気缶３４と共に燃
焼筒２の外側を覆ったステンレススチール製の保護カバ
ーである。

【００１５】本実施の形態は上述の構成からなるが、次
にその作動について説明する。燃料供給装置１６からバ
ーナー９に供給した燃料に点火装置１５により点火し、
空気供給装置１９によりバーナー９内に燃焼空気を供給
する。各空気噴出孔１３から時計回り方向に斜めに噴出
されて渦巻き状に流動する燃焼空気と燃料の気化ガスが
混合して燃焼する。燃焼ガスは渦巻き状に燃焼筒２内の
中央を上昇し天板３Ｂに当たると燃焼筒２の内周面２Ａ
に沿って矢示イ方向に下降し、排気口７から排気筒８へ
と排出される。この燃焼過程において、燃焼ガスを上方
から排出していた従来技術と異なり、上面が天板３Ｂに
よって閉塞した燃焼筒２は上部側が燃焼ガスにより約
１，０００℃にまで加熱されることから、この高温の燃
焼筒２内周面２Ａに沿って下降する燃焼ガスはより完全
に燃焼される。このように、廃油からなる燃料はダイオ
キシンの発生を防止できる燃焼温度以上の高温で燃焼す
るから、排気ガスが大気を汚染することがない。

【００１６】そして、廃油中に混入している種々の可燃
性物が燃焼されることにより次第に燃焼灰が生成される
が、この燃焼灰がバーナー９の底板１０上に凹凸状の不
揃な状態で滞留すると点火装置１５の作動不良を招いた
り、燃料が均等に燃焼しない恐れもあることから、燃焼
灰掻均し装置２２によって燃焼灰を常時薄く掻均すので
ある。そして、燃焼灰がある程度滞留したら除去処理を
行う。

【００１７】また、外側水管３１及び内側水管３２は燃
焼筒２内の内側を上昇し、中空円柱状空間ｓを下降する
燃焼ガスによって加熱されることにより、給水装置から
該各水管３１、３２に供給される水は沸騰して蒸気が生
成される。生成された蒸気は一旦蒸気缶３４に貯留され
た後、蒸気取出し管３４を介して外部の暖房装置、融雪
装置、発電装置等の各種装置に供給することができる。

【００１８】

【発明の効果】本発明は以上詳述した如く構成したから
下記の諸効果を奏する。 （１）燃焼部であるバーナーは中心に油吐出口を有し、
外側に空気噴出孔を配置した構成からなり、燃料の気化
ガスと燃焼空気が均等に混合して燃焼する結果、燃焼筒
は熱バランスが均等に保持されて歪が生じないので耐久
性が向上する。 （２）燃焼ガスは燃焼筒の上部から排出しないで、燃焼
筒内を上昇した後更に下降させることにより、加熱され
た状態にある燃焼筒に接触した燃焼ガスはさらに燃焼さ
れる結果、窒素酸化物、ダイオキシン等の有害物質を殆
ど含まない完全に燃焼した状態で排出することができ
る。 （３）燃焼筒内は約１，０００℃にまで加熱されるから
発火温度の高い種々の廃油も焼却することができる。こ
のため、従来産業廃棄物として処理していた廃油を環境
を汚染することなく処分できるし、廃油を燃料として蒸
気を生成することができるから極めて経済的に熱源を得
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態に係る廃油燃焼式ボイラー
装置を図２中Ｉ−Ｉ矢示方向の位置で切断して示す平面
図である。

【図２】図１中のＩＩ−ＩＩ矢示方向断面図である。

【図３】図２中の部分拡大図である。

【図４】バーナーを構成する円筒状ノズル板の部分拡大
断面図である。

【符号の説明】

１ 基台 ２ 燃焼筒 ２Ａ 内周面 ３Ｂ 天板 ７ 排気口 ９ バーナー １０ 底板 １１ 油吐出口 １２ 円筒状ノズル板 １３ 燃焼空気噴出孔 １４ 空気供給ダクト １６ 燃料供給装置 １９ 空気供給装置 ２２ 燃焼灰掻均し装置 ２８ 掻均し羽 ３１、３２ 水管 ３３ 蒸気缶

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 下部側側面に排気口を有し、基台に立設
   された有蓋の燃焼筒と、該燃焼筒内下部側に設けられ、
   中央に油吐出口を有し、該油吐出口の外側に燃焼空気を
   旋回方向に噴出する多数の燃焼空気噴出孔を環状に配列
   したバーナーと、該バーナーに廃油燃料を供給する燃料
   供給装置と、前記バーナーに燃焼空気を供給する空気供
   給装置と、前記バーナー内下側に配設した掻均し羽を回
   転駆動する燃焼灰掻均し装置とから構成してなる廃油燃
   焼装置。
2. 【請求項２】 前記バーナーは中央に油吐出口を有する
   底板と、該底板の外周を囲繞した状態で設けられ、周方
   向に離間して多数の空気噴出孔が傾斜させて形成された
   円筒状ノズル板と、該円筒状ノズル板の外周に設けた空
   気供給ダクトとから構成してある請求項１記載の廃油燃
   焼装置。
3. 【請求項３】 請求項１記載の廃油燃焼装置を構成する
   前記燃焼筒内に、螺旋状に巻回した水管を該燃焼筒の内
   周面から離間させた状態で立設してなる廃油燃焼式ボイ
   ラー装置。
4. 【請求項４】 前記燃焼筒の天板上部には前記水管に連
   通した蒸気缶が設置してあることを特徴とする請求項３
   記載の廃油燃焼式ボイラー装置。