JP2000055226A - 流体噴射弁 - Google Patents

流体噴射弁

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JP2000055226A
JP2000055226A JP10229947A JP22994798A JP2000055226A JP 2000055226 A JP2000055226 A JP 2000055226A JP 10229947 A JP10229947 A JP 10229947A JP 22994798 A JP22994798 A JP 22994798A JP 2000055226 A JP2000055226 A JP 2000055226A
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fluid
needle
hole
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nozzle
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Berberich Oliver
ベルベリッヒ オリバー
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクチュエータを用いることなく、噴射オリ
フィスの大きさを連続的に可変できるようにする。 【解決手段】 薄膜状のメンブレンプレート5の一方の
面には、ニードル16が突設され、他方の面側には、圧
縮性流体21が封入された流体封入室20が形成されて
おり、その圧力Pcavは、図示されないピストンのTDC位
置におけるシリンダー圧Pcylより十分高く設定されて
おり、燃料圧Pfuelが低圧状態にある場合には、メンブ
レンプレート5は、下方向へ押しつけられ、噴射オリフ
ィス7は、ニードル16により閉じられた状態となる。
一方、燃料圧Pfuelが所定以上となると、メンブレンプ
レート5が流体封入室20側へ撓み始め、ニードル16
がリフトし始めて、噴射オリフィス7からの噴射が開始
されるようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば車両の燃料
等の流体を噴射する噴射弁に係り、特に、構成の簡素化
を図ると共に、性能向上を図った可変オリフィスを有し
てなる流体噴射弁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のものとしては、例えば、
特開平8−144896号公報に示されたようなものが
公知・周知となっている。すなわち、かかる公報には、
孔径の異なる2つの噴孔を設け、アクチュエータにより
スプールバルブの位置を制御することで、2つの噴孔の
何れかから、噴射がなされるように構成されたいわゆる
可変オリフィスを有してなる噴射弁が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の噴射弁にあっては、アクチュエータが必要であるた
め、噴射弁全体の構造が複雑になるという問題がある。
また、孔径の異なる噴孔に対するスプールバルブの位置
を制御する構成であるため、連続的な調整が可能な可変
オリフィスが提供されるものではなく、あくまでも段階
的なものであるため、噴射量調整の自由度が十分なもの
とは言い難いものである。本発明は、上記実状に鑑みて
なされたもので、アクチュエータを用いることなく、噴
射オリフィスの大きさを連続的に可変できる流体噴射弁
を提供するものである。本発明の他の目的は、簡易な構
成で、噴射オリフィスの大きさを連続的に可変でき、小
型化可能な流体噴射弁を提供することにある。本発明の
他の目的は、流体のエネルギーの損失が小さく、高い噴
射速度と良好な霧化が実現できる流体噴射弁を提供する
ことにある。本発明の他の目的は、噴射の状態に関わら
す基本的な噴霧形状を維持することのできる流体噴射弁
を提供することにある。本発明の他の目的は、いわゆる
デットボリュームを無くすことのできる流体噴射弁を提
供することにある。本発明の他の目的は、低コストでの
大量生産が可能な流体噴射弁を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明に係
る流体噴射弁は、ノズル部と、前記ノズル部に接合され
て前記ノズル部の動きを規制するノズルボディ部とを具
備してなる流体噴射弁であって、前記ノズル部は、噴射
オリフィスを有し平板状に形成されてなる第1の基板
と、平板状に形成されてなり、前記第1の基板と接合さ
れ、前記噴射オリフィスに対向する位置にニードルが貫
通するニードル貫通孔が穿設され、前記第1の基板との
接合面と反対側の面側において前記ニードル貫通孔の周
辺には、前記ニードル貫通孔に連通する複数の溝が凹設
される一方、前記第1の基板との接合面側には、流体を
前記噴射オリフィスへ導く流体供給路が形成され、この
流体供給路に連通する第1の流体通孔が穿設されてなる
第2の基板と、薄膜平板状に形成されてなり、前記第2
の基板に接合され、前記ニードル貫通孔に対向する部位
にはニードルが突設される一方、前記第1の流体通孔と
対向する部位には、第2の流体通孔が穿設されてなる第
3の基板とを具備してなる一方、前記ノズルボディ部
は、前記第3の基板の前記第2の流体通孔に対向する位
置に流体が流入される流体供給孔が穿設される一方、前
記第3の基板との接合面側には、前記ニードルに対向す
る部位にニードルストッパが突設されると共に、当該ニ
ードルストッパの周囲は凹設されて、前記第3の基板と
の間に流体封入室が形成されて圧縮性流体が封入されて
なるものである。
【0005】かかる構成においては、ノズル部を構成す
る第1乃至第3の基板は、いわゆるシリコンウェハを用
いて形成することが可能であり、その場合には、いわゆ
るマイクロマシング製造技術を用いて大量に生産するこ
とが可能となる。特に、第1乃至第3の基板をシリコン
により形成する場合には、ニードルの周囲の面には、窒
化膜を、第2の基板に形成された複数の溝を覆う範囲に
形成してなる窒化膜形成部を設けるようにすると好適で
ある。かかる構成においては、流体供給路内の圧力が低
く、流体封入室内の圧力が大で、窒化膜形成部が第2の
基板側に押しつけられる状態にあっては、ニードルによ
り噴射オリフィスが塞がれいわゆる閉弁状態とされる。
一方、例えば、燃料噴射装置による燃料の圧送が開始さ
れることで流体供給路内の圧力が上昇し、所定の圧力を
越えると、窒化膜形成部は、第2の基板と離間可能とな
っているため、第3の基板側へ撓み始め、ニードルがリ
フトし、噴射オリフィスからの噴射がなされるようにな
っているものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図1乃至図10を参照しつつ説明する。なお、以下
に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではな
く、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができる
ものである。最初に、本発明の実施の形態における流体
噴射弁の構造について図1乃至図5を参照しつつ説明す
る。この流体噴射弁は、三層構造を有してなる(詳細は
後述)ノズル部1と、このノズル部1のニードル16の
動きを規制するノズルボディ部2とに大別されてなるも
のである(図1参照)。なお、説明の便宜上、図1に示
されたように、この流体噴射弁の厚み方向(積層方向)
をZ軸と、この流体噴射弁の長手軸方向であってZ軸に
直交する方向をX軸と、この流体噴射弁の短手軸方向で
あって、X,Z軸に直交する方向をY軸と、それぞれ定
義し、他の図においてもこれに準ずるものとする。ノズ
ル部1は、第1の基板としてのオリフィスプレート3
と、第2の基板としてのサポートプレート4と、第3の
基板としてのメンブレンプレート5とを具備し、これら
が順に積層状に接合されてなるものである。これらオリ
フィスプレート3、サポートプレート4及びメンブレン
プレート5は、例えば、単結晶シリコンを用いて形成し
たものが好適である。この場合、いわゆる半導体製造技
術の応用であるマイクロマシニング製造技術により製造
することが可能となる。なお、これらオリフィスプレー
ト3、サポートプレート4及びメンブレンプレート5
は、必ずしも上述のようにシリコン部材を用いて形成さ
れなければならないものではなく、勿論金属部材を用い
てもよいものである。
【0007】オリフィスプレート3は、流体噴射出口側
に位置するもので、この発明の実施の形態においては、
全体が平板状に形成されたものとなっており、その長手
軸方向において、中央から一方の端部側へ寄った部位
(図1の例においては中央より右側寄りの部位)におい
て、サポートプレート4側の面に円形状のニードル当接
段部6が極浅く凹設されており、その底部にXY平面形
状が正方形状の噴射オリフィス7が穿設されている(図
1及び図4参照)。この噴射オリフィス7は、後述する
ニードル16の先端部がニードル当接段部6に当接した
際に、その先端部により完全に覆われる大きさとなって
いる。また、ニードル当接段部6の直径は、後述するニ
ードル16のそれに比してやや大となっている。また、
この噴射オリフィス7の反サポートプレート4側の面
は、拡管状に形成されたものとなっている(図1及び図
3参照)。
【0008】サポートプレート4は、上述したオリフィ
スプレート3と後述するメンブレンプレート5との間に
設けられ、これらと接合されるもので、オリフィスプレ
ート3と同様に、XY平面における外形形状が矩形状
で、全体として平板状に形成されてなるものである(図
1参照)。このサポートプレート4には、オリフィスプ
レート3の噴射オリフィス7に対向する位置にニードル
貫通孔8が穿設されており、XY平面に現れるその開口
形状は正方形に形成されたものとなっている(図1及び
図3参照)。また、このニードル貫通孔8のオリフィス
プレート3側は、拡管状に形成されたものとなっている
(図3参照)。
【0009】さらに、このサポートプレート4の長手軸
方向において、このニードル貫通孔8が形成された部位
と反対側(図1においては左側)の部位には、XY平面
状の開口形状が正方形状の第1の流体通孔9が穿設され
ている(図1及び図2参照)。この第1の流体通孔9の
オリフィスプレート3側は、拡管状に形成されたものと
なっている(図3参照)。そして、オリフィスプレート
3側のサポートプレート4の面には、ニードル貫通孔8
と第1の流体通孔9を連通するように2つの流体供給路
10a,10bが短手軸方向で適宜な間隔を隔てて設け
られている(図1及び図3参照)。一方、後述するメン
ブレンプレート5側に位置するサポートプレート4の面
において、先のニードル貫通孔8の周囲には、ニードル
貫通孔8に連通する端部を有してなる圧力分散兼ドレイ
ン溝11〜14が凹設されている(図1及び図2参
照)。すなわち、この発明の実施の形態においては、ニ
ードル貫通孔8の四辺の位置に対応して圧力分散兼ドレ
イン溝11〜14がそれぞれ形成されており、それぞれ
の圧力分散兼ドレイン溝11〜14の一端部が、ニード
ル貫通孔8の開口部分に臨むようになっている(図1及
び図2参照)。この圧力分散兼ドレイン溝11〜14
は、何れも同一の形状を有してなるもので、一つの圧力
分散兼ドレイン溝11を例に採りその構成を説明すれ
ば、圧力分散兼ドレイン溝11は、ニードル貫通孔8の
開口部分に対して直交するように設けられた主溝11a
と、この主溝11aに対して長さの異なる2つの分岐溝
11b,11cが直交するように形成されてなるもの
で、その溝の深さは比較的浅いものとなっている(図2
及び図5参照)。
【0010】メンブレンプレート5は、上述したサポー
トプレート4と、後述するノズルボディ部2との間に設
けられ、これらと接合されるもので、サポートプレート
4と同様に、XY平面における外形形状が矩形状で、全
体として平板状に形成されてなるものであるが、その板
厚(Z軸方向の厚み)は、先のオリフィスプレート3及
びサポートプレート4に比して小さく、薄膜状に形成さ
れたものとなっている。例えば、オリフィスプレート3
及びサポートプレート4の板厚が400μm程度に設定
されるのに対して、メンブレンプレート5のそれは、2
0μm程度である。このメンブレンプレート5には、サ
ポートプレート4の第1の流体通孔9に対向する位置
に、XY平面における寸法形状が第1の流体通孔9と同
一に形成された第2の流体通孔15が穿設されている
(図1及び図2参照)。
【0011】また、このメンブレンプレート5のサポー
トプレート4側に位置する面においては、先の噴射オリ
フィス7及びニードル貫通孔8に対向する部位に、円筒
状に形成されてなるニードル16が突設されている(図
1及び図3参照)。このニードル16は、その中心軸
が、噴射オリフィス7及びニードル貫通孔8の中心に位
置するように設けられている。そして、噴射オリフィス
7側の端面の面積は、当然ながら噴射オリフィス7より
も大となっており、ニードル当接段部6にニードル16
の先端部が当接した状態では、その先端部の端面により
噴射オリフィス7が完全に覆われるようになっている
(図4参照)。このニードル16のZ軸方向の長さは、
後述するような閉弁状態(図4参照)において、ニード
ル16の先端面がニードル当接段部6に当接して、噴射
オリフィス7を覆うことができるような長さに設定され
ている。さらに、このメンブレンプレート5のニードル
16が設けられた面においては、ニードル16を中心と
して、シリコン薄膜の表面に円形状の窒化膜が形成され
て窒化膜形成部17が設けられている(図1及び図3参
照)。したがって、サポートプレート4とメンブレンプ
レート5とが後述するように例えば陽極接合法により接
合されても、この窒化膜形成部17は、サポートプレー
ト4の面と接合されず、後述するようにサポートプレー
ト4から離間することができるようになっている。この
円形状の窒化膜形成部17の直径は、窒化膜形成部17
の下面側に先の圧力分散兼ドレイン溝11〜14が位置
するような大きさに設定されている。なお、窒化膜形成
部17における窒化膜の膜厚は極めて薄いため、図4及
び図5においては図示を省略してある。
【0012】ノズルボディ部2は、上述した構成を有し
てなるノズル部1と、メンブレンプレート5側で接合さ
れるものである。図1に示された例においては、ノズル
部1のメンブレンプレート5と同様、XY平面形状は矩
形状に形成され、全体としては平板状をなすものであ
る。このノズルボディ部2には、メンブレンプレート5
の第2の流体通孔15に対向する位置に円筒状の流体供
給孔18が穿設されている(図1参照)。また、メンブ
レンプレート5側の面において、メンブレンプレート5
の窒化膜形成部17の位置に対向する部位は、有底円筒
状に凹設されて流体封入凹部19となっており、メンブ
レンプレート5が接合された状態において流体封入室2
0が形成され、圧縮性流体21が封入されるようになっ
ている(図3及び図4参照)。この流体封入室20に封
入される圧縮性流体は、例えばシリコンオイルのような
ものが好適である。なお、流体封入凹部19の直径は、
円形状の窒化膜形成部17の直径と略同一に設定されて
いる。
【0013】また、この流体封入凹部19の底部には、
円柱状に形成されてなるニードルストッパ22が、その
中心軸が先のニードル16と同一位置となるように突設
されている(図1、図3及び図4参照)。このニードル
ストッパ22のZ軸方向の長さは、所望するニードル1
6の最大リフト量に応じて設定されるものとなってい
る。すなわち、後述するように、ニードル16の変位
(リフト)は、このニードルストッパ22に当接するこ
とで規制され、ニードル16がニードルストッパ22に
当接した際に、最大のリフト量となるものである。
【0014】そして、流体封入室20には、発熱体23
及び温度センサ24が配されている(図4参照)。発熱
体23は、外部に設けられる通電回路26により通電さ
れて発熱し、圧縮性流体21の加熱するためのもので、
ニッケル等のいわゆる電熱線等が好適である。温度セン
サ24は、圧縮性流体21の温度を検出するためのもの
で、基本的には公知・周知のものでよいが、流体中での
使用に耐え得るものであることが必要である。
【0015】この流体噴射弁の外部においては、温度制
御手段を構成する制御部25と通電回路26が設けられ
る。すなわち、制御部25は、上述の温度センサ24の
検出信号を基に、通電回路26を介して発熱体23の通
電量を制御し、圧縮性流体21の温度が所定の温度にな
るように制御するものである。このような制御部25
は、いわゆるCPUとソフトウェアとにより簡易に実現
され得るものである。
【0016】次に、かかる構成における動作について図
4及び図5を参照しつつ説明する。まず、前提として、
この流体噴射弁がガソリンエンジン等の内燃機関の燃料
噴射装置に用いられるものとし、ノズルボディ部2の流
体供給孔18は、図示されない燃料噴射装置本体からの
配管が接続され、燃料が供給されるようになっているも
のとする。かかる前提の下、燃料の圧縮・供給が始まる
前にあって、流体供給路10a,10b内の圧力Pfuel
は、低圧状態Pfuel(LOW)にある。一方、流体封入室2
0内の圧力Pcavは、圧縮性流体21が制御部25によ
る発熱体23の通電制御により所定の温度に保持される
ことで、図示されないピストンのTDC(Top DeadCente
r)位置におけるシリンダ圧Pcylよりも十分高くなるよ
うに予め設定されているため、メンブレンプレート5の
円形状の窒化膜形成部17は、サポートプレート側に押
しつけられた状態となる(図4参照)。したがって、ニ
ードル16の先端部は、二ードル当接段部6に当接し、
噴射オリフィス7が閉鎖された状態、すなわち閉弁状態
となる(図4参照)。
【0017】次に、燃料の圧送が開始されると、流体供
給路10a,10b内の圧力も上昇し始めることとな
る。この流体供給路10a,10b内の圧力上昇は、圧
力分散兼ドレイン溝11〜14により窒化膜形成部17
の部分に迅速に、しかも平均化されて伝えられることと
なる。そして、流体供給路10a,10b内の圧力が所
定の圧力Pfuel(OPEN)を越えると、メンブレンプレート
5の円形状の窒化膜形成部17は、ノズルボディ部2側
へ撓み始め、ニードル16のリフトが始まることとな
る。その結果、ニードル16先端の周縁部分とニードル
当接段部6との間に間隙が生じ、その間隙を介して流体
供給路10a,10bの燃料が噴射オリフィス7へ流入
して、噴射が始まることとなる(図5参照)。流体供給
路10a,10b内の圧力がさらに上昇するに伴い、メ
ンブレンプレート5の円形状の窒化膜形成部17は、よ
りノズルボディ部2へ撓み、ニードル16のリフト量が
増大して、ニードル16の周縁部とニードル当接段部6
との間の間隙がより大となって、噴射オリフィス7の有
効噴霧断面積は増大する。そして、ニードル16がニー
ドルストッパ22に当接したところで、最大リフト量と
なり、噴射オリフィス7からの噴射が最大の状態とな
る。この発明の実施の形態におけるニードル16は、噴
射オリフィス7から見て、常に、噴射オリフィス7の中
心に位置するため、基本的な噴霧形状は変化することが
なく、如何なる燃料圧においても良好な噴射性能に保持
されることとなる。
【0018】ニードル16のリフトをニードルストッパ
22により規制することで、メンブレンプレート5の円
形状の窒化膜形成部17が、予想外の大きな圧力が加わ
ることで破壊されるようなことが防止されるようになっ
ている。このニードルストッパ22へのニードル16の
当接による最大リフト量を如何なる程度に設定するか
は、メンブレンプレート5の厚み、流体供給路10a,
10b内の最大圧力、流体封入室20内の圧力を考慮し
て定められるものである。
【0019】次に、上記構成の流体噴射弁の製造プロセ
ス、特に、ノズル部1のオリフィスプレート3、サポー
トプレート4及びメンブレンプレート5を形成する部材
としてシリコンを用いる場合の製造プロセスについて図
6乃至図9を参照しつつ概括的に説明する。最初に、メ
ンブレンプレート5の製造について図6を参照しつつ概
括的に説明すれば、メンブレンプレート5は、比較的薄
膜の例えば(100)面を有してなるシリコンウェハ
(例えば膜厚が20μm程度)30を用いるのが好適で
ある(図6参照)。そして、ニードル16を形成するに
は、まず、シリコンウェハ30の一方の面に、レジスト
膜31を例えば390μm程度の膜厚に形成する(図6
参照)。次いで、ニードル16が設けられる部位に位置
するレジスト膜31を除去し、そのレジスト膜31が除
去された部位に、所定の金属材料、例えばニッケル(Ni)
を堆積させ、その後、レジスト膜31を全て除去するよ
うにすればよい(図6参照)。
【0020】次に、サポートプレート4の製造について
図7を参照しつつ概括的に説明する。まず、サポートプ
レート4を形成する部材としてのシリコンウェハ32
は、400μm程度の膜厚のもので、(100)面を有
してなるものを用いるのが好適である(図7参照)。こ
のシリコンウェハ32の一方の面側において、異方性エ
ッチングにより、第1の流体通孔9の拡管状の部位イ及
びニードル貫通孔8の拡管状の部位ロの一部を凹設する
(図7(A)参照)。次いで、貫通エッチングを施すこ
とで、第1の流体通孔9及びニードル貫通孔8を完成さ
せると共に、流体供給路10a,10b及び圧力分散兼
ドレイン溝11〜14を得る(図7(B)参照)。
【0021】次に、オリフィスプレート3の製造につい
て図8を参照しつつ概括的に説明する。まず、オリフィ
スプレート3を形成する部材としてのシリコンウェハ3
3は、400μm程度の膜厚のもので、(100)面を
有してなるものを用いるのが好適である(図8参照)。
シリコンウェハ33の一方の面において、異方性エッチ
ングによりニードル当接段部6を形成する(図8(A)
参照)。次いで、シリコンウェハ33の他方の面側で、
異方性エッチングにより、先のニードル当接段部6に対
応する部位に噴射オリフィス7を形成すると共に、噴射
オリフィス7に続く拡管状の部位を形成する(図8
(B)参照)。最後に、オリフィスプレート3、サポー
トプレート4及びメンブレンプレート5を相互に、例え
ば陽極接合法を用いて接合することでノズル部1が完成
される(図9参照)。なお、図9において、実線矢印に
符号Aを付して表された領域は、窒化膜形成部17の領
域を示すものである。
【0022】次に、上記構成のノズル部1をディーゼル
エンジンの燃料噴射装置における噴射ノズルに用いた場
合の構成例について図10を参照しつつ説明する。図1
0には、ノズルボディの先端部が一部断面図で示されて
いる。ノズルボディ41の先端部41aは、その長手軸
方向(図10において紙面上下方向)と直交する断面形
状が例えば四角形状に、しかも先端に近づくにしたがっ
ていわゆる先細状態、すなわちテーパ状となるように形
成されてなるものである。ノズルボディ41内部の中央
には、中央燃料通路42が形成されており、先端部41
aの適宜な位置まで延設されている。
【0023】そして、この先端部41aの4つの外周平
面にそれぞれノズル部40A〜40Dが接合された構成
となっている(図10においてノズル部 は図示せ
ず)。すなわち、ノズルボディ41の先端部41aの4
つの外周平面部分が先に図1乃至図5で説明したノズル
ボディ部2に対応するものとなっている。具体的には、
ノズル部40A〜40Dがノズルボディ41の先端部4
1aの4つの外周平面部分に接合された状態において、
メンブレンプレート5の第2の流体通孔15に対向する
位置に、それぞれ流体供給孔18が先の中央燃料通路4
2に連通するように設けられている(図10においては
ノズル部40Aの流体供給孔18のみを図示)。また、
ノズルボディ41の先端部41aには、4つの外周平面
部分に、それぞれ流体封入凹部19が凹設されており、
メンブレンプレート5との間で流体封入室20が形成さ
れており、圧縮性流体21が封入されている。そして、
流体封入凹部19には、ニードルストッパ22が突設さ
れている。
【0024】かかる構成において、噴射の際の動作は、
先に図1乃至図5に示された構成における動作説明で述
べたと基本的に同様であるので、概括的に説明すれば、
まず、燃料は、中央燃料通路42を介して各々のノズル
部40A〜40Dへ供給されることとなる。中央燃料通
路42から供給される燃料圧が低く、流体封入室20の
圧力Pcavが流体供給路10a,10b内の圧力Pfuel
よりも大きい状態においては、ニードル16は、ニード
ル当接段部6側へ押しつけられて、いわゆる閉弁状態と
なっている(図10参照)。燃料噴射装置(図示せず)
による燃料の圧送が開始され、流体供給路10a,10
b内の圧力が所定の圧力Pfuel(OPEN)を越えると、メン
ブレンプレート5の円形状の窒化膜形成部17は、ノズ
ルボディ部2側へ撓み始め、ニードル16のリフトが始
まり、噴射が開始されることとなる。そして、圧力P
fuelの上昇に伴いニードル16のリフト量も増え、ニー
ドル16がニードルストッパ22に当接したところで、
最大リフト量、換言すれば最大噴射の状態となる。
【0025】
【発明の効果】以上、述べたように、本発明によれば、
薄膜状の部材の一方の面側に圧縮性流体が封入される流
体封入室を、他方の面側に噴射の対象となる流体のため
の流体供給路を設け、流体封入室の圧力と流体供給路の
圧力の大小に応じて、薄膜状の部材に撓みを生じさせ、
それによりニードルのリフトを得られるような構成とす
ることにより、従来と異なり、ニードルを変位させるた
めのいわゆるアクチューエタが不要となり、しかも、ニ
ードルを一方方向へ押圧するための従来構成におけるス
プリング等が不要となるので、噴射オリフィスを連続的
に可変することができ、しかも簡易な構成で従来に比し
てより小型化を図ることができるという効果を奏する。
また、従来のようなニードルを押圧するためのスプリン
グ等が不要となる構成であるため、燃料噴射ノズルに用
いる場合には、燃料噴射装置から供給される油圧エネル
ギーの損失が従来に比して少なくなり、そのエネルギー
の殆どが噴射オリフィスからの噴射の期間に消費される
ため、高い噴射速度が得られると共に、良好な霧化が実
現されるという効果を奏する。さらに、ニードルは、噴
射オリフィスに対して常にその中心方向に位置するた
め、噴射オリフィスの有効噴霧断面積の変化に関わら
ず、基本的な噴霧形状が維持され、良好な噴霧特性を得
ることができるという効果を奏する。またさらに、従来
のノズルと異なりノズルを押圧するスプリング等の部品
が不要であるため、燃料噴射ノズルに用いる場合には、
ノズル先端部分での従来のようないわゆるデットボリュ
ームと称されるノズル本来の機能から見て無駄なスペー
スを無くすことができると共に、そのようなデットボリ
ュームを無くすことで、燃料プロセスにおけるハイドロ
カーボンの排出を低減することができるという効果を奏
する。また、ノズル部を、特にシリコン部材を用いて形
成する場合には、いわゆるマイクロマシニング製造技術
を適用することができるので、従来と異なり、低コスト
での大量生産が可能となるという効果を奏するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における流体噴射弁の構成
例を分解状態で、特に、下面側の部分をも表した分解斜
視図である。
【図2】本発明の実施の形態における流体噴射弁の構成
例を分解状態で示した分解斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態における流体噴射弁の構成
例を分解状態で下面側から見た状態での分解斜視図であ
る。
【図4】本発明の実施の形態における流体噴射弁が閉弁
状態にある場合、流体噴射弁を図2のA−A線断面で切
断した際の縦断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における流体噴射弁が閉弁
状態にある場合、流体噴射弁を図2のA−A線断面で切
断した際の縦断面図である。
【図6】メンブレンプレートの製造プロセスを説明する
ための模式図である。
【図7】サポートプレートの製造プロセスを説明するた
めの模式図であって、図7(A)は、第1の製造段階
を、図7(B)は、第2の製造段階を、それぞれ示す模
式図である。
【図8】オリフィスプレートの製造プロセスを説明する
ための模式図であって、図8(A)は、第1の製造段階
を、図8(B)は、第2の製造段階を、それぞれ示す模
式図である。
【図9】ノズル部の完成状態を示す模式図である。
【図10】本発明の実施の形態における流体噴射弁をデ
ィーゼルエンジンの燃料噴射装置における噴射ノズルに
用いた場合における部分縦断面図である。
【符号の説明】
1…ノズル部 2…ノズルボディ部 3…オリフィスプレート 4…サポートプレート 5…メンブレンプレート 6…ニードル当接段部 7…噴射オリフィス 8…ニードル貫通孔 10a,10b…流体供給路 11〜14…圧力分散兼ドレイン溝 16…ニードル 20…流体封入室 22…ニードルストッパ 23…発熱体 24…温度センサ 25…制御部 26…通電回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3G066 AA01 AA07 AB02 AD12 BA03 BA61 BA67 CC06T CC14 CC24 CC30 CC56 CC61 CC66 CC67 CD04 CD14 CD15 CD18 CD21 CD22 CD25 CD26 CD30 CE13 DC15

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズル部と、前記ノズル部に接合されて
    前記ノズル部の動きを規制するノズルボディ部とを具備
    してなる流体噴射弁であって、 前記ノズル部は、 噴射オリフィスを有し平板状に形成されてなる第1の基
    板と、 平板状に形成されてなり、前記第1の基板と接合され、
    前記噴射オリフィスに対向する位置にニードルが貫通す
    るニードル貫通孔が穿設され、前記第1の基板との接合
    面と反対側の面側において前記ニードル貫通孔の周辺に
    は、前記ニードル貫通孔に連通する複数の溝が凹設され
    る一方、前記第1の基板との接合面側には、流体を前記
    噴射オリフィスへ導く流体供給路が形成され、この流体
    供給路に連通する第1の流体通孔が穿設されてなる第2
    の基板と、 薄膜平板状に形成されてなり、前記第2の基板に接合さ
    れ、前記ニードル貫通孔に対向する部位にはニードルが
    突設される一方、前記第1の流体通孔と対向する部位に
    は、第2の流体通孔が穿設されてなる第3の基板とを具
    備してなる一方、 前記ノズルボディ部は、前記第3の基板の前記第2の流
    体通孔に対向する位置に流体が流入される流体供給孔が
    穿設される一方、前記第3の基板との接合面側には、前
    記ニードルに対向する部位にニードルストッパが突設さ
    れると共に、当該ニードルストッパの周囲は凹設され
    て、前記第3の基板との間に流体封入室が形成されて圧
    縮性流体が封入されてなることを特徴とする流体噴射
    弁。
  2. 【請求項2】 ニードルの周囲の面には、窒化膜を、第
    2の基板に形成された複数の溝を覆う範囲に形成してな
    る窒化膜形成部を設けたことを特徴とする請求項1記載
    の流体噴射弁。
  3. 【請求項3】 圧縮性流体中には、発熱体と、温度セン
    サとが設けられてなる一方、外部には温度制御手段が設
    けられ、 当該制御手段は、前記発熱体への通電を、前記温度セン
    サの出力信号に応じて制御するものであることを特徴と
    する請求項1または請求項2記載の流体噴射弁。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の流体噴射弁のノズルボデ
    ィ部を、燃料噴射ノズルのノズルボディの先端部とし、
    当該先端部に請求項1記載のノズル部を複数取り付けて
    なることを特徴とする燃料噴射弁。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002050427A1 (de) * 2000-12-19 2002-06-27 Robert Bosch Gmbh Brennstoffeinspritzventil
KR100754342B1 (ko) * 1999-10-18 2007-09-03 인터그레이티드 디자인즈 엘.피. 유체 분배 방법 및 장치

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