JP2000054648A - 耐震補強構造 - Google Patents

耐震補強構造

Info

Publication number
JP2000054648A
JP2000054648A JP10222083A JP22208398A JP2000054648A JP 2000054648 A JP2000054648 A JP 2000054648A JP 10222083 A JP10222083 A JP 10222083A JP 22208398 A JP22208398 A JP 22208398A JP 2000054648 A JP2000054648 A JP 2000054648A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
building
reinforcing frame
earthquake
rigidity
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10222083A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3690468B2 (ja
Inventor
Takehito Tezuka
武仁 手塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
Original Assignee
Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimizu Construction Co Ltd, Shimizu Corp filed Critical Shimizu Construction Co Ltd
Priority to JP22208398A priority Critical patent/JP3690468B2/ja
Publication of JP2000054648A publication Critical patent/JP2000054648A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3690468B2 publication Critical patent/JP3690468B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)
  • Working Measures On Existing Buildindgs (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐力・剛性の弱い層へのエネルギー集中を緩
和し、効率の良い耐震性を得ることのできる耐震補強構
造を提供することを課題とする。 【解決手段】 建物1と略同等以上の剛性を有した補強
フレーム2を、建物1の外側面に沿ってその基部1aか
ら頂部1bにわたって設置し、その中間部を建物1の各
階に接合する構成とした。そして、補強フレーム2を、
建物1の基部1aと頂部1bにピン接合し、かつ建物1
の各階に接合される部分で、長孔9と接合ピン10を介
して接合することによって、補強フレーム2と建物1と
の間で水平方向に定められた相対変位を許容する構成と
した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばビルやマン
ション等の建物の耐震補強を図るために用いて好適な耐
震補強構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、既存建物の耐震性を向上させ
るため、柱や梁、壁、床等の部材を補強することによっ
て耐力を高める様々な構造や工法が開発・提供されてい
る。また、新築の建物においては、所要の耐震性が得ら
れるよう設計施工を施しているのは言うまでもない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来の技術には以下のような問題が存在する。
すなわち、既存の建物において部材を補強した場合にお
いても、また新築の建物においても、例えば鉄筋コンク
リート構造の場合には、使用する鉄筋の本数や径寸法が
途中階で変わるのが通常である。このような部分は、他
の層に比較すると剛性と耐力が弱い弱層となり、建物全
体としての耐力と剛性のアンバランスが生じてしまうの
は避けがたい。そのため、強大な地震が発生した場合に
は、弱層にエネルギーが集中し、被害が集中してしま
う。
【0004】また、建物の上層階は耐力に余裕があるの
が通常であり、その結果、下層階に比較して上層階の方
が、耐震性能的にも余裕があると言える。
【0005】さらに、近年では、各階の相対変位を利用
し、ダンパー等の各種制震デバイスで相対変位エネルギ
ーを吸収する制震構造が、地震応答を低減する有効な構
法として適用されるケースが増えているが、このような
場合においても、各階毎の剛性と耐力のアンバランスが
原因となり、制震デバイスの効き具合が各階で均等では
ない、という問題もある。
【0006】加えて、既存の建物の耐震性を向上させる
場合には、建物を使用したまま工事を行うことが可能と
なる技術が常に要求されている。
【0007】本発明は、以上のような点を考慮してなさ
れたもので、耐力・剛性の弱い層へのエネルギー集中を
緩和し、効率の良い耐震性を得ることのできる耐震補強
構造を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
補強フレームが構造物の外側面に沿ってその基部から頂
部にわたって設置され、該補強フレームは、前記構造物
と略同等以上の剛性を有し、かつその中間部が前記構造
物に定められた間隔ごとに接合されていることを特徴と
している。
【0009】地震等によって構造物に変形が生じたとき
には、構造物自体においては、耐力と剛性の弱い層で、
構造物の頂部と基部とを繋ぐ直線に対して大きくはずれ
る応答変形を受ける。このとき、補強フレームが構造物
の基部から頂部にわたって設置されているので、この補
強フレームによって、耐力と剛性の弱い層における変形
を抑制するとともに、変形の小さな他の層に変形を強制
する。
【0010】なお、補強フレームの剛性は構造物の剛性
のアンバランスの程度により決まるが、構造物の剛性の
1〜30倍とするのが好ましい。
【0011】請求項2に係る発明は、請求項1記載の耐
震補強構造であって、前記補強フレームが、前記構造物
に接合される部分で、前記補強フレームと前記構造物と
の間で水平方向に定められた相対変位を許容するよう接
合されていることを特徴としている。
【0012】これにより、補強フレームと構造物との間
の水平方向の相対変位が定められた変位以下であるとき
には構造物の変形が補強フレームに伝達されず、定めら
れた変位以上となったときに伝達される。
【0013】請求項3に係る発明は、請求項1または2
記載の耐震補強構造であって、前記補強フレームにダン
パーが組み込まれていることを特徴としている。
【0014】これにより、補強フレームに伝達された構
造物の変形のエネルギーが、ダンパーによって吸収され
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る耐震補強構造
の実施の形態について、図1ないし図9を参照して説明
する。
【0016】図1において、符号1は耐震補強を図るべ
き建物(構造物)、2は補強フレームである。この図に
示すように、補強フレーム2は、例えば4階建ての建物
1の側面に沿って設置されており、建物1の基部1aと
頂部1bとに、ピン3A,3Bを介してピン接合されて
いる。
【0017】この補強フレーム2は、一端がピン3A,
3Bに接合され、斜めに延在する二本一対の斜め材4a
と、上下の斜め材4a間で上下方向に延在する縦材4b
と、建物1の各階の床レベルにおいて左右の縦材4b,
4b間に架設された横材4cとが、略梯子状に組まれた
フレーム本体4を主体構成としている。そして、フレー
ム本体4には、ブレース材5が、中間階の各層に組み込
まれている。
【0018】さらに、フレーム本体4には、建物1の各
層に対応して、二本一対のブレース型ダンパー6が組み
込まれている。
【0019】このような構成の補強フレーム2は、その
剛性が、建物1自体の剛性に対し、例えば1〜30倍に
設定されている。
【0020】また、図2に示すように、フレーム本体4
は、その中間部が、建物1の各層の床やベランダの面内
剛性を利用して固定されたブラケット7に、以下のよう
にして接合されている。フレーム本体4の横材4cに
は、建物1側に延出するジョイントプレート8が設けら
れ、このジョイントプレート8には、複数の長孔9が形
成されている。各長孔9は、建物1の側面に沿った水平
方向を長径とした長孔で、この長孔9には、ブラケット
7に一体に取り付けられた接合ピン10が挿入されてい
る。この接合ピン10は、長孔9の長径方向の範囲内で
移動可能に係合している。
【0021】このような構成の補強フレーム2を備えた
建物1では、地震等によって建物1に変形が生じたとき
には、建物1自体においては、耐力と剛性の弱い層で、
基部1aと頂部1bとを繋ぐ直線に対して大きくはずれ
る応答変形を受ける。このとき、補強フレーム2が建物
1の基部1aから頂部1bにわたって設置されているの
で、この補強フレーム2の曲げ抵抗によって、耐力と剛
性の弱い層の変形を抑制するとともに、変形の小さな他
の層に変形を強制する。ところで、このような作用は、
補強フレーム2の剛性が低いと建物1に追従して変形し
て発揮されないため、補強フレーム2の剛性は、前述の
如く、建物1の剛性に対して1〜30倍に設定するのが
好ましい。
【0022】さらに、補強フレーム2は、建物1の各層
に、長孔9と接合ピン10とを介して接合されており、
これによって、建物1の各層における変形量が長孔9の
長径方向の範囲内であるときには、接合ピン10が長孔
9の端部に到達しないため、建物1の変形が補強フレー
ム2には伝達されず、建物1の変形量が長孔9の長径方
向の範囲以上となったときのみ、接合ピン10が長孔9
の端部に当接し、建物1の変形が補強フレーム2に伝達
されるようになっている。
【0023】そして、補強フレーム2に伝達された建物
1の変形エネルギーは、補強フレーム2に組み込まれた
ブレース型ダンパー6によって熱エネルギーに変換さ
れ、吸収される。
【0024】上述した耐震補強構造では、建物1と略同
等以上の剛性を有した補強フレーム2が、建物1の外側
面に沿ってその基部1aから頂部1bにわたって設置さ
れ、その中間部が建物1の各階に接合された構成となっ
ている。これにより、地震等によって建物1に変形が生
じたときには、補強フレーム2の曲げ抵抗によって、建
物1の基部1aと頂部1bとを繋ぐ直線に対して大きく
はずれる弱層の変形を抑制するとともに、変形の小さな
他の層に変形を強制することができる。したがって、地
震時における建物1の変形を各層で均一化することがで
き、その結果、建物1の各層で均等に地震エネルギーを
消費し、特定層へのエネルギー集中を防いで高い耐震性
能を発揮することができる。
【0025】しかも補強フレーム2の建物1への取付
は、外部だけの工事で済むために、建物1が既存のもの
である場合にも、建物1を使用しながら工事を行うこと
が可能となる。また、建物1の基礎部分については荷重
の増加等がほとんどないために、特に既存の建物1にお
いては有利である。さらに、補強フレーム2自体も簡単
な構造である。
【0026】このようにして、補強フレーム2で建物1
の耐震補強を図ることによって、トータルでの所要コス
トを大幅に低減することができる。
【0027】また、補強フレーム2は、建物1の基部1
aと頂部1bにピン接合され、かつ建物1の各階に接合
される部分では、長孔9と接合ピン10を介して接合さ
れることによって、補強フレーム2と建物1との間で水
平方向に定められた相対変位を許容する構成となってい
る。これにより、補強フレーム2と建物1との間の水平
方向の相対変位が定められた変位以上となったときの
み、建物1の変形が補強フレーム2に伝達され、他の層
に変形が強制されるようになっている。したがって、例
えば、従来の構造であっても建物1の弱層に被害が及ば
ないような程度の地震時には、補強フレーム2による変
形強制がなされず、弱層以外の層における変形が過度に
大きくならないようにすることができる。
【0028】さらに、補強フレーム2にはブレース型ダ
ンパー6が組み込まれた構成となっている。これによ
り、補強フレーム2に伝達された建物1の変形エネルギ
ーが吸収され、地震エネルギーを効率よく減衰すること
ができる。しかも、各層に設けたブレース型ダンパー6
は、補強フレーム2の作用によって、各階で均等に利く
ようにすることができる。
【0029】ここで、図3ないし図5に示すものは、上
記に説明したような構成を適用した建物モデルにおける
地震応答を検討したものである。以下の検討において、
地震波は、ElCentro1940NS(最大速度を
50kineに規準化)とする。また、建物は鉄筋コン
クリート構造の3階建てとし、桁行き方向に7m×5ス
パン、梁間方向に5.5m×3スパンとし、建物の地震
時全重量は1605(t)とする。そして、このような
建物で、耐震壁が少なく地震被害が発生しやすい桁行き
方向について、復元力特性をTri−Linear武田
モデルとして解析を行った。
【0030】図3は、建物1の第1層の剛性と耐力を意
図的に1/2に低減させて弱層とした場合の結果であ
る。図中「OriginalModel」と示したもの
が補強フレーム2が存在しない場合に相当し、第1層に
塑性履歴が集中して、第2〜第3層では降伏変形以下の
範囲の履歴を受けている。そして、図中、「剛棒体」と
示したものが、補強フレーム2を建物1の剛性の10倍
の剛性として取り付けた場合に相当し、長孔9と接合ピ
ン10を介したルーズな接合と、ダンパー型ブレース6
とを廃した場合(図中「ギャップなし」と表示)には、
弱層である第1層の変形が第3層の応答変位を著しく強
制する。しかし、長孔9と接合ピン10を介したルーズ
な接合(建物1の各層の降伏変位δyに相当するギャッ
プを与える)を採用してダンパー型ブレース6を廃した
場合(図中「ギャップδy」と表示)には、第3層に強
制された応答変位は低減し、建物1の基部1aと頂部1
bとを繋ぐ直線状の変形が得られる。以上より、長孔9
と接合ピン10を介した補強フレーム2と建物1とのル
ーズな接合の効果が確認できる。
【0031】図4、図5は、著しい弱層のない建物1
に、補強フレーム2(著しい弱層がないので建物剛性の
3倍の剛性とする)を取り付けた場合の応答変位および
応答塑性率である。図4および図5中、「剛棒体モデ
ル」と示したものは、補強フレーム2の長孔9と接合ピ
ン10を介したルーズな接合を採用し、かつダンパー型
ブレース6を廃した場合に相当する。この場合、耐震性
能的に遊んでいた第3層を含め、各階の応答塑性率が補
強フレーム2によって均等化されることが確認できる。
さらに、図4および図5中、「剛棒体ダンパーモデル」
と示したものは、補強フレーム2の長孔9と接合ピン1
0を介したルーズな接合を採用し、かつダンパー型ブレ
ース6を採用した場合に相当する。この場合、各階の応
答の均等化と低減が図られ、応答塑性率(階の降伏変位
に対する応答変位の倍率)がμ=0.83〜1.53と
著しく低減する。これは、建物1が既存不適格となって
いる鉄筋コンクリート造であっても、この程度の応答低
減が得られれば、耐震補強を施す必要がない応答であ
る。
【0032】図3ないし図5に示した解析条件では、補
強フレーム2が、建物1の剛性の3〜30倍程度の剛性
を有していれば十分であり、これには、例えばH−10
0×50×5×7の鋼材を用い、スパン7mのトラス構
造体を2構面設けて補強フレーム2を構成すれば前記所
要の剛性を確保することができ、補強フレーム2の応答
曲げ応力は短期許容応力度程度に収まる。
【0033】なお、上記第一の実施の形態において、補
強フレーム2に組み込むダンパーとしてブレース型ダン
パー6を採用したが、これ以外のダンパーでも何ら支障
はない。例えば、図6に示すように、補強フレーム2の
フレーム本体4の横材4cに組み込んだブラケット11
と、その上階の横材4cとの間に、例えば粘性型のダン
パー12を組み込むようにしても良いし、また、図7に
示すように、図6における粘性型のダンパー12に代え
て、せん断降伏型または曲げせん断降伏型のダンパー1
3を組み込むようにしても良い。この他にも、補強フレ
ーム2に組み込むダンパーの形式については何ら限定す
るものではなく、所要の機能を発揮することができるも
のであればいかなるダンパーを組み込んでも良い。もち
ろん、場合によってはダンパーを省略した構成とするこ
とも可能である。
【0034】また、図8に示すように、建物1が、例え
ば集合住宅等、桁行き面に補強フレームを取り付けるこ
とのできない場合には、補強フレーム22を、両妻面の
外階段面等、桁行き面に直交する側面1c,1dに設置
しても良い。ここでは、補強フレーム22が、建物1の
一方の側面1cに設置されたフレーム本体4と、他方の
側面1dに設置されたダンパーフレーム23とから構成
されている。このように分割設置されたフレーム本体4
は、建物1の側面1cの各階に設けられたブラケット7
に、前記第一の実施の形態で示した補強フレーム2(図
1参照)と同様に、長孔9と接合ピン10を介したルー
ズ接合されている。また、ダンパーフレーム23は、建
物1の他方の側面1dに固定されたフレーム本体24
に、各階における変形エネルギーを吸収するためのダン
パー25が組み込まれた構成となっている。
【0035】このような補強フレーム22によっても、
前記実施の形態で示した補強フレーム2と同様の機能を
発揮することが可能である。しかも、このように、補強
フレーム22を構成するフレーム本体4をダンパーフレ
ーム23とを分割設置することによって、建物1の使用
環境を損なうことなく、その耐震性能を高めることが可
能となる。
【0036】この他、図9に示すように、建物31の中
央部に上下方向に連続するエレベータシャフト32が設
置されている場合等には、補強フレーム2をエレベータ
シャフト32の側面に沿って設置することも可能であ
る。このようなエレベータシャフト32は筒状で建物3
1の他の部分に比較して高剛性を有しており、建物31
のコアを構成している。
【0037】なお、上記実施の形態において、補強フレ
ーム2を建物1,31の各階に接合する構成としたが、
例えば2階毎、3階毎等、他の間隔で接合することも可
能である。また、補強フレーム2を構成するフレーム本
体4については、その形式を何ら問うものではなく、平
面トラス状、立体トラス状等、所要の曲げ抵抗が得られ
る形式を適宜採用すればよい。もちろん、フレーム本体
4を構成する部材の材質についても何ら問うものではな
い。さらに、補強フレーム2を建物1,31に接合する
部分の構造、すなわち補強フレーム2の上下端部におけ
るピン3A,3Bを介したピン接合、中間部の各層にお
ける長孔9と接合ピン10を介したルーズ接合について
は、これ以外の接合構造としても良い。
【0038】加えて、上記のような耐震補強構造を適用
する建物は、新築、既存を問うものではない。また、補
強フレーム2を設置する場所や補強フレーム2の数につ
いても、所要の耐震補強効果が得られるよう適宜設定す
ればよいのであって、上記実施の形態に何ら限定される
ものではない。
【0039】これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない
範囲内であれば、いかなる構成を採用しても良く、また
上記したような構成を適宜選択的に組み合わせたものと
しても良いのは言うまでもない。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る耐
震補強構造によれば、構造物と略同等以上の剛性を有し
た補強フレームが、構造物の外側面に沿ってその基部か
ら頂部にわたって設置され、その中間部が、構造物に定
められた間隔ごとに接合された構成となっている。これ
により、地震等によって構造物に変形が生じたときに
は、補強フレームによって、耐力と剛性の弱い層におけ
る変形を抑制するとともに、変形の小さな他の層に変形
を強制することができる。したがって、地震時における
構造物の変形を各層で均一化して地震エネルギーを各層
で均等に消費することができ、特定層へのエネルギー集
中を防いで、高い耐震性能を発揮することができる。し
かも補強フレームの構造物への取付は、外部だけの工事
で済むために、構造物が既存のものである場合にも、構
造物を使用しながら工事を行うことが可能となる。ま
た、補強フレームは簡単な構造であるため、構造物の基
礎部分については荷重の増加等がほとんどないために、
特に既存の構造物の耐震改修においては有利である。さ
らに、補強フレーム自体も簡単な構造である。建物外部
の工事で対応できるために、耐震改修に要するトータル
でのコストを、通常の耐震補強構法の例えば半分程度
等、大幅に低減することができる。
【0041】請求項2に係る耐震補強構造によれば、補
強フレームは、構造物に接合される部分で、補強フレー
ムと構造物との間で水平方向に定められた相対変位を許
容する構成となっている。これにより、補強フレームと
構造物との間の水平方向の相対変位が定められた変位以
下であるときには構造物の変形が補強フレームに伝達さ
れず、定められた変位以上となったときに伝達される。
したがって、例えば、従来の構造においても構造物の弱
層に被害が及ばないような強度の地震時には、補強フレ
ームによる変形強制がなされないようにすることがで
き、弱層以外の層における変形が過度に大きくならない
ようにすることができる。
【0042】請求項3に係る耐震補強構造によれば、補
強フレームにダンパーが組み込まれた構成となってい
る。これにより、補強フレームに伝達された構造物の変
形のエネルギーが、ダンパーによって吸収され、地震エ
ネルギーを効率よく吸収することができる。しかも、ダ
ンパーを各層に設けた場合に、補強フレームの作用によ
って、各層のダンパーが均等に利くようにすることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る耐震補強構造の実施の形態の一
例を示す立面図である。
【図2】 (a)は、図1のイーイ矢視図、(b)は
(a)のローロ矢視図である。
【図3】 本発明に係る耐震補強構造を適用した建物モ
デルにおける地震応答解析結果を示す図である。
【図4】 同、他の地震応答解析結果を示す図である。
【図5】 同、さらに他の地震応答解析結果を示す図で
ある。
【図6】 本発明に係る耐震補強構造の実施の形態の他
の一例を示す立面図である。
【図7】 本発明に係る耐震補強構造の実施の形態のさ
らに他の一例を示す立面図である。
【図8】 本発明に係る耐震補強構造の実施の形態のさ
らに他の一例を示す立面図である。
【図9】 本発明に係る耐震補強構造の実施の形態のさ
らに他の一例を示す立面図である。
【符号の説明】
1,31 建物 2,22 補強フレーム 6 ブレース型ダンパー(ダンパー) 12,13,25 ダンパー

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 補強フレームが構造物の外側面に沿って
    その基部から頂部にわたって設置され、該補強フレーム
    は、前記構造物と略同等以上の剛性を有し、かつその中
    間部が前記構造物に定められた間隔ごとに接合されてい
    ることを特徴とする耐震補強構造。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の耐震補強構造であって、
    前記補強フレームが、前記構造物に接合される部分で、
    前記補強フレームと前記構造物との間で水平方向に定め
    られた相対変位を許容するよう接合されていることを特
    徴とする耐震補強構造。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の耐震補強構造で
    あって、前記補強フレームにダンパーが組み込まれてい
    ることを特徴とする耐震補強構造。
JP22208398A 1998-08-05 1998-08-05 耐震補強構造 Expired - Fee Related JP3690468B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22208398A JP3690468B2 (ja) 1998-08-05 1998-08-05 耐震補強構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22208398A JP3690468B2 (ja) 1998-08-05 1998-08-05 耐震補強構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000054648A true JP2000054648A (ja) 2000-02-22
JP3690468B2 JP3690468B2 (ja) 2005-08-31

Family

ID=16776869

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22208398A Expired - Fee Related JP3690468B2 (ja) 1998-08-05 1998-08-05 耐震補強構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3690468B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002121903A (ja) * 2000-10-12 2002-04-26 Kajima Corp 既存構造物の耐震補強構造
JP2013504700A (ja) * 2009-09-10 2013-02-07 バルドゥッチ,アレッサンドロ 建物用構造防護システム

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002121903A (ja) * 2000-10-12 2002-04-26 Kajima Corp 既存構造物の耐震補強構造
JP2013504700A (ja) * 2009-09-10 2013-02-07 バルドゥッチ,アレッサンドロ 建物用構造防護システム

Also Published As

Publication number Publication date
JP3690468B2 (ja) 2005-08-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5271197A (en) Earthquake resistant multi-story building
JPH09235890A (ja) 既存建築物の制震補強構造
JP3667123B2 (ja) 木造家屋の耐震補強構造
JP2001090376A (ja) 耐力壁
JP3690468B2 (ja) 耐震補強構造
JP3804904B2 (ja) 三階建て住宅における耐力壁のブレース構造
JP2001152695A (ja) 三階建て住宅
JP3412042B2 (ja) 免震壁構造
JP2000017849A (ja) 既存建築物の制震補強構造
JP4546620B2 (ja) Rc系構造物の自己免震構法及び自己免震構造
JP2000328810A (ja) 制振架構
JPH10280727A (ja) 複合型ダンパーによる制振架構及び制振方法
JP3677703B2 (ja) 制振建物
JPH10280725A (ja) 制振躯体構造
JP2001003597A (ja) 制振装置
JP3713655B2 (ja) 耐震補強構造
JP2001090378A (ja) 制震フレーム
JPH11350776A (ja) 制振建築物
JP3100130B2 (ja) 制震ブレース
JP2004052494A (ja) Rc系梁ダンパー
JP2001140497A (ja) 耐震住宅
KR102121797B1 (ko) 건축물의 내진 보강 구조
JP3706984B2 (ja) 既存建物の耐震補強方法および制震構造
JPH0745784B2 (ja) 耐震壁
JP4262400B2 (ja) 制振装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040722

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040817

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041005

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050111

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050228

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050524

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050607

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080624

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090624

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees