JP2000054040A - ニッケル溶液の不純物除去方法 - Google Patents

ニッケル溶液の不純物除去方法

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Chu Kobayashi
宙 小林
Kazuyuki Takaishi
和幸 高石
Naoyuki Tsuchida
直行 土田
Masaki Imamura
正樹 今村
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ニッケル塩類やニッケルメタルを回収する高
純度のニッケル溶液を得るため、銅、鉄及びセレンを不
純物として含有するニッケル原料溶出液から、これら不
純物を簡単に効率よく除去する方法を提供する。 【解決手段】 銅、鉄及びセレンを含有する酸性のニッ
ケル原料溶出液に、酸化剤と中和剤を添加してpHを5
以上に上昇させ、鉄と銅及びセレンを中和沈澱させた
後、その中和澱物をpH4以上の酸性溶液で洗浄し、中
和澱物中のニッケルを再溶出する。得られた酸洗浄液
は、金属ニッケルを陽極とし且つ金属銅を陰極として電
解し、銅及びセレンを陰極に電着させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニッケル硫化物等
を酸で溶出した不純物を含むニッケル原料溶出液から不
純物を除去し、ニッケルメタル又はニッケル塩類を回収
するための高純度ニッケル溶液とする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ニッケルメタルは主に鋼等の
合金成分として使用され、ニッケル塩類はめっき原料、
アルミニウムの発色剤、触媒や電池材料等として使用さ
れている。このような用途に使用されるニッケルメタル
やニッケル塩類は純度の高いものほどよく、特に鉄、
銅、セレンなどが含まれていない高純度なものが望まれ
ている。
【0003】そのため、特にニッケル塩類の製造におい
ては、不純物を除去するための製造プロセスが必要とな
る。例えば、ニッケル塩類の1つである硫酸ニッケル
は、通常以下の方法で製造されている。まず、ニッケル
を含む硫化物やメタル屑などの原料を硫酸で溶出し、こ
のニッケル原料浸出液から不純物を除去した後、得られ
たニッケル溶液を加熱蒸発させることにより濃縮し、続
いて冷却させて硫酸ニッケルの結晶を晶出させる。
【0004】通常、原料となるニッケルの硫化物やメタ
ル屑等には、ニッケルの他に、鉄や銅等の不純物が含ま
れている。これら不純物は、原料を硫酸で溶出するとき
に、ニッケルと共に液中に浸出される。従って、高純度
な硫酸ニッケルを製造するためには、原料の溶解方法や
硫酸ニッケルを析出させる晶析工程の条件設定も重要で
あるが、晶析前のニッケル溶液中の不純物濃度を低下さ
せることが最も重要である。
【0005】これらの不純物のうち鉄は、溶液のpHを
上昇させることにより、水酸化物として除去できること
が知られている。従って、ニッケル原料溶出液から鉄を
除去することは比較的容易に達成でき、溶液のpHが充
分高ければ鉄のみならず、比較的加水分解されやすい銅
等のベースメタルも沈澱して溶液から除去される。
【0006】しかしながら、このような条件ではニッケ
ルも多量に沈澱し、ニッケル含有率の高い中和澱物が生
成する。この中和澱物を何ら処理せず、そのまま系外に
抜き出してしまうと、中和澱物に含まれているニッケル
は回収できないことになり、ニッケルのロスが極めて大
きくなる。
【0007】そこで通常は、得られた中和澱物を酸で洗
浄し、ニッケルを再溶出して回収することが行われてい
る。得られた酸洗浄液はニッケルを含むので、ニッケル
回収のために、前記した不純物の中和沈澱後のニッケル
溶液に混ぜて処理することが望ましい。
【0008】しかし、中和澱物からニッケルを充分浸出
させるためには洗浄液のpHを低下させる必要があり、
pHが低いほどニッケルだけでなく、銅などの不純物も
共に溶出されてしまう。従って、この銅等の不純物を含
む酸洗浄液をニッケル溶解液に混ぜて繰り返すと、不純
物を系内に濃縮することになるため、従来はこの酸洗浄
液を系内で繰り返し処理することができず、別の処理系
統に供給して処理していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】中和澱物を酸洗浄して
得られたニッケルの外に銅等の不純物を含む酸洗浄液を
別の処理系統での酸洗浄液の処理方法としては、例え
ば、酸洗浄液中の銅などの不純物は、ニッケルに比べ貴
な金属であることから、電解精製により陰極に析出させ
ることができる。また、亜鉛のようにニッケルに比べ卑
な金属は、燐酸系抽出剤を用いた溶媒抽出等で除去する
ことが可能である。しかし、別の処理系統に供するた
め、処理費用がかさむという問題があった。
【0010】また、酸洗浄液中の銅を硫化物として除去
する方法も考えられる。この場合には、銅のみならず亜
鉛も除去されるので好都合である。しかしながら、溶液
中の銅及び亜鉛を充分な濃度まで低下させるためには、
硫化水素ガス等の硫化剤を多量に加える必要があり、そ
の結果として多量のニッケルの共沈が避けられない。し
かも、硫化水素等の硫化剤は反応終了後も微量残留し、
後工程で徐々に硫化物沈澱が生成して反応槽等にスケー
リングしたり、あるいは硫化水素の臭気を除くための脱
気操作が必要であるなど、操作が煩雑である。
【0011】加えて最近では、ニッケル原料に含まれる
微量のセレンについても、その除去が求められるように
なった。ニッケル硫化物の浸出では、セレンは硫化物中
の硫黄と共に浸出残渣に濃縮するが、極く微量のセレン
は溶液中にニッケルと共に溶出する。このセレンを除去
する方法としては、活性炭吸着及びイオン交換樹脂法等
が提案されているが、効率の面から未だ工業化には至っ
ていない。そのため、ニッケル原料の選別調合により、
ニッケル溶液中のセレン濃度を管理する方法が取られて
いた。
【0012】本発明は、このような従来の事情に鑑み、
ニッケル塩類やニッケルメタルを回収する高純度のニッ
ケル溶液を得るため、銅、鉄及びセレンを不純物として
含有するニッケル原料溶出液から、これら不純物を簡単
に効率よく除去する方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明が提供するニッケル溶液からの不純物の除去
方法は、不純物として銅、鉄及びセレンを含有する酸性
のニッケル原料溶出液に、酸化剤と中和剤を添加してp
Hを5以上に上昇させることにより、鉄と共に銅及びセ
レンを中和沈澱させた後、生成した中和澱物をpH4以
上の酸性溶液で洗浄し、中和澱物中のニッケルを再溶出
して回収することを特徴とするものである。
【0014】また、本発明のニッケル溶液の不純物除去
方法では、更に、上記の方法で得られた酸洗浄液を、金
属ニッケルを陽極とし且つ金属銅を陰極とした電解槽に
給液し、電解して酸洗浄液中の銅及びセレンを陰極に電
着させることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明においては、中和沈澱の生
成時に、中和剤と同時に酸化剤を添加することによっ
て、不純物であるセレンと銅を鉄と共に効率よく沈澱さ
せることができる。また、中和澱物の酸洗浄液は電解処
理を系内に組み込むことにより、セレンと銅を陰極に効
率よく電析除去することができる。従って、上記中和沈
澱処理における濾液と、電解処理後の処理液は、共に高
純度のニッケル溶液となり、これらを併せて中和沈澱工
程に繰り返し、又は後続のニッケル回収工程に供給する
ことができる。
【0016】ニッケル原料溶出液中に存在する鉄イオン
は、中和剤と共に酸化剤を加えることによって、3価に
酸化され容易に水酸化物として沈澱する。その際、溶液
中の銅及びセレンも鉄と共に沈澱する。鉄イオンの酸化
には、過酸化水素、塩素、酸素、空気等の一般的な酸化
剤を用ることができる。しかし、セレンを効率よく鉄と
共沈させるためには、セレンは4価のイオンの状態が好
ましいため、セレンを6価まで酸化するような強力な酸
化剤は避けるべきである。この点から、酸化剤として
は、ニッケル原料溶出液に空気を吹き込むことが好まし
い。
【0017】この鉄の中和沈澱に当たっては、溶液のp
Hの上昇に従って溶液中の鉄濃度が低下し、一般的には
pH4以上で、0.001g/リットル以下の鉄濃度と
することができる。しかし、銅及びセレンの除去は、p
Hが高いほど効率的であることから、溶液のpHは5以
上とすることが好ましく、pH5.5以上が更に好まし
い。
【0018】しかしながら、pH5以上として鉄や銅及
びセレンを中和沈澱させると、ニッケルもpHの上昇に
伴って一部沈澱し、中和澱物に含有されることになる。
この中和沈澱物へのニッケルの移行率を低減させること
と、鉄と銅及びセレンの沈澱除去とを両立させること
は、中和時のpHをきめ細かく管理したとしても困難で
ある。
【0019】そこで、本発明においても、ニッケルを含
有した中和澱物を塩酸や硫酸によって低pHに調整した
酸性溶液で洗浄し、ニッケルを再度溶出させて回収す
る。酸性溶液のpHが低いほど、ニッケルを回収できる
ことは言うまでもないが、同時に鉄も再溶出し始める。
そのため、鉄イオンがpH4以上で効率的に水酸化物と
して沈澱することから、pH4以上の酸性溶液で洗浄す
ることにより、鉄の再溶出を抑制することができる。こ
のpH4以上での酸洗浄により、鉄の再溶出を抑えなが
ら、中和澱物中のニッケルの約90%以上を溶出するこ
とができる。
【0020】この酸洗浄の際、ニッケルと共に、中和澱
物中から銅とセレンも酸洗浄液に溶出してくる。本発明
では、この酸洗浄で得られた酸洗浄液から、電解採取法
により銅とセレンを陰極に電析させて除去する。電解に
際して、高純度の金属ニッケルを陽極とすることによ
り、陽極でのニッケル溶解が進行し、不純物の溶解は生
じない。更に、陽極から溶解したニッケルにより、Se
/Ni及びCu/Niの比も大きく低下させることがで
きる。
【0021】また、この電解処理においては、電流密度
を50〜300A/m2の範囲に管理することが望まし
い。電流密度が50A/m2未満では、セレンの電着速
度が遅く、また工業的にも大規模な設備が必要となるた
め好ましくない。また、電流密度が300A/m2を越
えると、水素の発生が多くなり、その除害及び防災面の
配慮が必要となるほか、電解中に常に大量の硫酸を添加
する必要が生じる。
【0022】この電解処理における電解液のpHは、1
〜2程度が好ましい。pHが低いとセレンの電析速度は
上昇するが、pHが1未満では陰極からの水素の発生が
増加し、またこの溶液を系内に繰り返す場合に大量の中
和剤が必要となり、不経済だからである。また、pHが
2を越えると、陰極へのニッケルの電着が増加し、ニッ
ケル精製の点からはニッケルのロスが増大するので好ま
しくない。
【0023】更に、この電解処理において、0.5g/
リットル以上の銅イオンが共存すると、セレンの電析速
度が大幅に改善されることが判明した。この理由につい
ては不明な点もあるが、陰極表面でのCu2Se等のセ
レン化物の生成が、見かけの電析速度を上昇させている
ものと考えられる。また、共存する銅イオンの濃度は高
いほど好ましいが、銅イオン濃度を上昇させるために大
量の硫酸銅を添加することは経済的でなく、通常は1〜
5g/リットル程度が好ましい。
【0024】本発明によれば、中和沈澱処理における濾
液として、及び電解処理後の処理液として、高純度のニ
ッケル溶液を得ることができる。この高純度のニッケル
溶液は、加熱蒸発などにより濃縮することによって、硫
酸ニッケル等の高純度のニッケル塩類を晶析させて回収
することができる。また、この高純度のニッケル溶液か
ら、電解採取法により高純度なニッケルメタルを製造す
ることができる。
【0025】
【実施例】実施例1 76g/リットルのニッケルを含有し、不純物として主
にFe、Cu、Se4+を含む硫酸ニッケル溶液に、酸化
剤として空気を吹き込みながら中和剤であるCa(OH)
2を添加し、各試料の溶液のpHを下記表1に示すよう
に上昇させ、それぞれ60℃で1時間反応させた後、溶
液を濾過して中和澱物を分離した。
【0026】この中和澱物を分離除去した各硫酸ニッケ
ル溶液(濾液)について、溶液中のNi、Fe、Cu、
及びSe4+の濃度を測定し、始液の各濃度と共に下記表
1に示した。表1から分かるように、上記中和操作によ
って、FeのみならずCuとSe4+も沈澱し、溶液のp
Hが高いほどこれらの不純物を効率的に沈澱させて除去
することができた。
【0027】
【表1】 溶液中 溶液中の不純物濃度 試料 液pH Ni(g/l) Fe(g/l) Cu(g/l) Se4+(mg/l) 始液 1.7 76 4.1 0.73 68 1 4.5 75.0 0.001 0.55 24 2 5.0 68.5 <0.001 0.076 0.67 3 5.5 68.8 <0.001 0.032 0.60 4 5.8 63.1 <0.001 0.010 0.32 5 6.0 59.4 <0.001 0.004 0.29
【0028】しかし、4価のセレン(Se4+)代わりに
6価のSe(Se6+)を0.73mg/リットル添加し
た場合には、上記と同様のpH5.8の反応でも、溶液
中に0.70mg/リットルのセレンが残留しているこ
とが確認された。従って、6価のSeが溶液中に存在す
る場合には、中和沈澱反応の前に、還元剤を用いてセレ
ンを4価まで還元処理することが望ましい。
【0029】続いて、上記の中和沈澱処理で生成した中
和澱物(Fe:15.0%、Ni:5.5%、Cu:2.
67%、Se:0.26%)200gを、硫酸でpHを
調整した1リットルの酸性溶液を用いて、50℃の条件
で1時間酸洗浄した。洗浄時のpHが低下するほどニッ
ケルの回収率は高かった。pH4.5の酸洗浄では、中
和澱物中のニッケルの78%、銅の60%、セレンの
5.7%が溶出したが、鉄の溶出は認められなかった。
【0030】実施例2 Ni:40g/リットル、Se:0.2mg/リットル
を含み、Cu濃度が下記表2に示すように異なる硫酸ニ
ッケル溶液を用いて、電解処理によるSeの電析試験を
行った。電解槽は容量2リットルで、アノードに金属ニ
ッケル、カソードに金属銅を用いて、5リットルの硫酸
ニッケル溶液を常時1リットル/分で循環させた。尚、
セレンの低濃度からの完全除去を考慮して、溶液中のS
e濃度が0.05mg/リットル以下になるまで電解を
行った。また、実験温度は41〜43℃として電流密度
及び溶液pHを表2のごとく変化させた。
【0031】この試験により、循環液のSe濃度は時間
と共に低下し、そのSe低下量からのSeの除去速度
(mg/h)を計算した。得られた結果を下記表2に併
せて示した。この結果から、Seの効率的な除去には、
低pH及び高銅濃度での電解が有効であることが分か
る。
【0032】
【表2】
【0033】また、電流密度に関しては、低い電流密度
が好ましく、330A/m2まで電流密度を上昇させた
試料12ではセレンの除去ができなかった。しかし、過
度の電流密度の低下は大規模な設備を必要とするため、
電流密度の範囲としては50〜300A/m2が最も好
ましい。
【0034】尚、溶液のpHの状晶に伴って金属銅陰極
へのニッケルの電着が増加し、pHが2を越えると電着
によるニッケルのロスが許容出来ない程度に増大した。
例えば、電流密度150A/m2(電流2.7A、10時
間)の場合のニッケルの電着量は、溶液のpHが1.0
では4.2gであったが、pH2.0では20.5gに増
加した。
【0035】実施例3 ニッケル:70g/リットル、Cu:0.73g/リッ
トル、Fe:4.1g/リットル、Se:10mg/リ
ットルを含むニッケル原料溶出液を作製し、このニッケ
ル原料溶出液10リットルに、空気を吹き込みながら炭
酸カルシウムを添加して、pH5.8で中和沈澱処理を
行った。中和澱物を濾過して得られた溶液は、ニッケル
68.6g/リットル、Cu:0.002g/リットル、
Fe:0.001g/リットル以下、Se:0.32mg
/リットルを含んでいた。
【0036】一方、中和澱物は、乾燥後重量で256g
が得られた。この中和澱物を、硫酸でpH4.8に調整
しながら、レパルプ洗浄による酸洗浄処理を行った。こ
の時のパルプ濃度は200g/リットルとした。固液分
離後に得られたレパルプ溶液は1.3リットルであり、
ニッケル:9.8g/リットル、Cu:0.55g/リッ
トル、Fe:0.001g/リットル以下、Se:21
mg/リットルを含有していた。
【0037】このレパルプ溶液に硫酸銅を添加して、銅
濃度を4.8g/リットルに調整した後、アノードに金
属ニッケル及びカソードに金属銅を用いて、銅とセレン
の電解除去を行った。電解条件は、電流密度55A/m
2、pH1.0とした。22時間の電解操作の結果、得ら
れた溶液はニッケル:14.0g/リットル、Cu:0.
001g/リットル以下、Se:0.05mg/リット
ル以下となった。これらの結果を下記表3にまとめた。
【0038】
【表3】処理工程 Ni実収率(%) Fe除去率(%) Cu除去率(%) Se除去率(%) 中和沈澱 −2.0 100 99.7 96.8 酸洗浄 +1.8 0 −8.8 −26.9 電解除去 +0.8 0 8.8 26.9 合 計 100.6 100 100 96.8
【0039】この結果から分かるように、中和沈澱操作
では、殆どの鉄及び銅と96.8%のセレンが中和澱物
として除去されたのに対して、ニッケルのロスは2%で
あった。また、レパルプ洗浄による酸洗浄操作では、中
和澱物から1.8%のニッケルを溶出させて回収でき、
その一方でセレンと銅の一部が溶出した。電解操作で
は、陰極ではニッケルの電着も認められたが、陽極から
のニッケルの溶出が上回り、0.8%のニッケル増加と
なった。また、銅については添加した硫酸銅が全て電着
したが、電解操作での除去率からは除いた。セレンは電
解操作で全て除去されたため、本発明による除去率は9
6.8%となった。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、不純物として鉄、銅、
セレンを含有するニッケル原料溶出液から、これらの不
純物を簡単な方法で効率よく除去することができる。従
って、本発明方法により得られる高純度ニッケル溶液
は、鉄及び銅のほか、最近特に濃度低減要求の高いセレ
ンが高率で除去されているので、後の晶析操作や電解操
作によって高純度のニッケル塩類又はニッケルメタルを
回収することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土田 直行 愛媛県新居浜市西原町3−5−3 住友金 属鉱山株式会社別子事業所内 (72)発明者 今村 正樹 愛媛県新居浜市磯浦町17−5 住友金属鉱 山株式会社新居浜研究所内 Fターム(参考) 4K001 AA09 AA10 AA19 AA22 BA19 DB03 DB21 DB23 JA01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不純物として銅、鉄及びセレンを含有す
    る酸性のニッケル原料溶出液に、酸化剤と中和剤を添加
    してpHを5以上に上昇させることにより、鉄と共に銅
    及びセレンを中和沈澱させた後、生成した中和澱物をp
    H4以上の酸性溶液で洗浄し、中和澱物中のニッケルを
    再溶出して回収することを特徴とするニッケル溶液の不
    純物除去方法。
  2. 【請求項2】 ニッケル原料溶出液に酸化剤として空気
    を吹き込むことを特徴とする、請求項1に記載のニッケ
    ル溶液の不純物除去方法。
  3. 【請求項3】 請求項1で得られた酸洗浄液を、金属ニ
    ッケルを陽極とし且つ金属銅を陰極とした電解槽に給液
    し、電解して酸洗浄液中の銅及びセレンを陰極に電着さ
    せることを特徴とするニッケル溶液の不純物除去方法。
  4. 【請求項4】 電解での電流密度を50〜300A/m
    2とし、電解槽に給液する酸洗浄液のpHを1〜2とす
    ることを特徴とする、請求項3に記載のニッケル溶液の
    不純物除去方法。
  5. 【請求項5】 電解槽に給液される酸洗浄液の銅濃度を
    0.5g/リットル以上とすることを特徴とする、請求
    項3又は4に記載のニッケル溶液の不純物除去方法。
  6. 【請求項6】 酸性のニッケル原料溶出液が硫酸ニッケ
    ル溶液であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれ
    かに記載のニッケル溶液の不純物除去方法。
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