JP2000053796A - 熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体 - Google Patents

熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体

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JP2000053796A
JP2000053796A JP10226817A JP22681798A JP2000053796A JP 2000053796 A JP2000053796 A JP 2000053796A JP 10226817 A JP10226817 A JP 10226817A JP 22681798 A JP22681798 A JP 22681798A JP 2000053796 A JP2000053796 A JP 2000053796A
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foam
thermoplastic polyester
polyester resin
resin foam
density
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English (en)
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Koichi Tamura
浩一 田村
Satoyuki Kotani
智行 小谷
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量かつ耐熱性、高温安定性、断熱性及び力
学強度が良好であり、特に200℃を超える温度に対し
ても変形を起こさない熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体
を提供する。 【解決手段】 密度が0.01〜0.6g/cm3 であ
る熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体において、該発泡体
自体の熱可塑性ポリエステル樹脂の密度が1.39g/
cm3 以上であることを特徴とする熱可塑性ポリエステ
ル樹脂発泡体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性および断熱
性を有する熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体に関し、特
に、建築分野、自動車や鉄道車両分野、家庭電化製品や
電気電子機器分野等における内装材、断熱材等に好適に
用いられる熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリエチレンテレフタレート
系樹脂に代表される熱可塑性ポリエステル樹脂は、優れ
た機械的性質及び化学的特性の面から繊維やフィルム分
野に、また優れた透明性、気体遮断性、安全衛生性等の
面から飲料用ボトルや食品用容器等として、各種分野で
広く使用されていた。近年、C−PETと呼ばれる耐熱
性包装容器も開発され、さらには断熱性を付与する目的
で熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体も使用されるように
なってきた。
【0003】一方、従来より建築材料や自動車、車輛、
航空機等の内装には種々の樹脂発泡体が多用されてお
り、これらには耐熱性および断熱性が要求物性とされる
場合も多い。近年、環境問題およびリサイクル性の問題
から熱硬化性の樹脂発泡体の使用が避けられる傾向にあ
るが、熱可塑性樹脂の発泡体では充分な断熱性および耐
熱性が得られていなかったのが現状である。
【0004】熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体は、発泡
体の結晶化度を高めることによって耐熱性が良好となる
ことが知られている。しかしながら、どのような状態の
場合に耐熱性が付与されるかは、これまで十分に明らか
ではなかった。熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体の耐熱
性を判断する手法としては、これまでに、発泡体を加熱
して昇温過程での熱的収支を測定し、融解熱量および冷
結晶化熱量から計算する手法(特開平2−265725
号公報、特開平9−156005号公報参照。)が開示
されている。しかしながら、例えば示差走査熱量計等を
用いてこの手法を実施した場合、1)冷結晶化に基づく
発熱ピークが緩やかな場合にはその熱量の計算が困難で
あり、結晶化度に誤差を生じてしまうこと、2)高発泡
のサンプルでは熱量測定の正確さに乏しいこと、3)球
晶に基づく結晶と延伸に基づく結晶では融解挙動が異な
ること、などの問題があった。更に熱的収支による測定
では、熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体が耐熱性を発現
する臨界値が不明確であることからも、正確に熱可塑性
ポリエステル樹脂発泡体の耐熱性を知る手法として適用
できるものではなかった。従って、これまで熱可塑性ポ
リエステル樹脂発泡体の耐熱性を判断する正確かつ簡便
な手法が見出されず、製品の耐熱性を判断する上でも充
分とは言えないのが現状であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述の現状
に鑑みてなされたもので、軽量かつ耐熱性、高温安定
性、断熱性、力学強度等の良好な熱可塑性ポリエステル
樹脂発泡体を得ることを目的とし、特に200℃を超え
る温度に対しても変形を起こさない熱可塑性ポリエステ
ル樹脂発泡体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成すべくなされたものであって、即ち、本発明は、密度
が0.01〜0.6g/cm3 である熱可塑性ポリエス
テル樹脂発泡体において、該発泡体自体の熱可塑性ポリ
エステル樹脂の密度が1.39g/cm3 以上であるこ
とを特徴とする熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体に関す
る。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の熱可塑性ポリエステル樹
脂発泡体の原料に用いられる熱可塑性ポリエステル樹脂
としては、代表的には、ポリエチレンテレフタレート系
樹脂が挙げられる。ここで、ポリエチレンテレフタレー
ト系樹脂は、テレフタル酸又はそのアルキル(炭素数1
〜4程度)エステルを主成分とするジカルボン酸単位と
エチレングリコールを主成分とするジオール単位との重
縮合体からなるポリエチレンテレフタレートホモポリマ
ー、又はポリエチレンテレフタレートコポリマーであっ
て、そのエチレンテレフタレート単位が全構成繰り返し
単位の好ましくは50モル%以上、更に好ましくは70
モル%以上、特に好ましくは80モル%以上を占めるも
のである。エチレンテレフタレート単位が50モル%未
満では、熱可塑性ポリエステル樹脂として重合性が劣る
傾向となり、更には、得られる熱可塑性ポリエステル樹
脂発泡体の力学強度も劣る傾向となる。
【0008】尚、テレフタル酸及びそのアルキルエステ
ル以外のジカルボン酸単位としては、例えば、フタル
酸、イソフタル酸、4,4′−ジフェニルジカルボン
酸、4,4′−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,
4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ジ
フェニルスルホンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジ
カルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香
族ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジ
カルボン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸が、又、エ
チレングリコール以外のグリコール単位としては、例え
ば、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、
テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコー
ル、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール等
の脂肪族グリコール、1,1−シクロヘキサンジメタノ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式
グリコール、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、2,
2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,
2−ビス(4′−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プ
ロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビ
ス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸
等の芳香族グリコールが挙げられ、更に、例えば、p−
ヒドロキシ安息香酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息
香酸等のヒドロキシカルボン酸やアルコキシカルボン
酸、並びに、数平均分子量100〜10000であるポ
リアルキレングリコールなどが共重合されていてもよ
い。中でも、ジカルボン酸単位としては、イソフタル
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸が、又、グリコール単位として
は、ジエチレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好適であ
る。
【0009】本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体
に用いられる原料の熱可塑性ポリエステル樹脂は、分子
中に3個以上のエステル形成性の官能基を有する化合物
で改質されていることが好ましい。改質するために使用
される、分子中に3個以上のエステル形成性の官能基を
有する化合物は特に限定されないが、例えばカルボキシ
ル基やヒドロキシ基等の官能基を3個以上有するもので
あり、具体的には、トリメリト酸、ピロメリト酸、ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸、ナフタレンテトラカルボ
ン酸、エチレングリコール−ビストリメリテート、グリ
セロール−トリストリメリテート、シクロペンタンテト
ラカルボン酸、シクロヘキサンヘキサカルボン酸、ヘキ
サントリカルボン酸等の多官能カルボン酸化合物及びそ
れらの無水物、トリメチロールエタン、トリメチロール
プロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリ
セリン、ポリグリセリンなどの多官能ヒドロキシ化合物
などが挙げられる。これらの中で、トリメリト酸、ピロ
メリト酸、及びそれらの無水物、ペンタエリスリトー
ル、ポリグリセリンが好適であり、特にピロメリト酸及
びその無水物が好適である。尚、これら化合物は、2種
以上を組み合わせて用いてもよい。
【0010】前記の分子内に3個以上のエステル形成性
の官能基を有する化合物による改質量は、前記熱可塑性
ポリエステル樹脂を構成する単位(エステル結合で区切
られた単位)を基準として、0.01〜3モル%とし、
0.05〜2モル%とするのが好ましく、0.1〜1.
5モル%とするのが更に好ましい。これら分子内に3個
以上のエステル形成性の官能基を有する化合物の使用量
が0.01モル%未満では、発泡成型時の溶融張力が低
いため良好な発泡体を得られない傾向があり、他方、3
モル%を超えると、得られる樹脂発泡体にゲルが生じ、
発泡が不均一になる傾向がある。
【0011】尚、本発明において、前記の分子中に3個
以上のエステル形成性の官能基を有する化合物に加え
て、1官能や2官能以上のエポキシ化合物、イソシアネ
ート化合物、オキサゾリン化合物等の反応促進剤1種又
は2種以上で改質されていてもよい。熱可塑性ポリエス
テル樹脂を、分子中に3個以上のエステル形成性の官能
基を有する化合物で改質する方法としては、分子中に3
個以上のエステル形成性の官能基を有する化合物を熱可
塑性ポリエステル樹脂を重合する際の原料モノマーの一
部として使用して改質する方法や、発泡成形機に熱可塑
性ポリエステル樹脂を投入する際に、分子中に3個以上
のエステル形成性の官能基を有する化合物を同時に投入
し、発泡成形機中での溶融混練によって改質する方法、
発泡成形機の代わりに押出機等を使用して、改質した溶
融混練物をペレット形状等で回収しておき、これを発泡
成形の原料とする方法、また、前記と同様に押出機で溶
融混練したペレット等を固体状態で加熱処理して改質
し、これを発泡成形の原料とする方法などが挙げられ
る。
【0012】本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体
の原料に用いられる熱可塑性ポリエステル樹脂は、結晶
化を促進するための結晶化促進剤が添加されていてもよ
い。結晶化促進剤は特に限定されないが、低密度ポリエ
チレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポ
リオレフィン類、無水マレイン酸変性ポリオレフィン、
アイオノマーなどの変性ポリオレフィン類、安息香酸ナ
トリウム、ステアリン酸ナトリウム、モンタン酸ナトリ
ウムなどの有機低分子塩類、タルクなどの無機核剤など
が挙げられる。また、三酸化アンチモンなど重合触媒の
選択によって熱可塑性ポリエステル樹脂の結晶化温度を
制御することも出来る。これらの結晶化促進剤は1種を
用いても複数種を併用してもよい。
【0013】前記熱可塑性ポリエステル樹脂に結晶化促
進剤を添加する場合は、熱可塑性ポリエステル樹脂10
0重量部に対して、結晶化促進剤を0.01〜15重量
部、好ましくは0.1〜10重量部、更に好ましくは
0.2〜5重量部含有する。0.01重量部未満では発
泡体の物理的強度が低い傾向があり、他方、15重量部
を超えると断熱性等の発泡体としての性質が不充分にな
る傾向がある。
【0014】本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体
の原料に用いられる熱可塑性ポリエステル樹脂は、示差
走査熱量計にて測定した昇温時の結晶化温度のピーク値
が、好ましくは165℃以下、特に好ましくは155℃
以下、更に好ましくは145℃以下である。165℃を
超える原料を使用した場合は、熱可塑性ポリエステル樹
脂発泡体の耐熱性が不充分となる傾向がある。ここで昇
温時の結晶化温度とは、熱可塑性ポリエステル樹脂を溶
融した後にこれを液体窒素中に投入して非晶サンプルを
作成し、これを昇温した際の結晶化温度を意味する。
【0015】本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体
を製造するには、熱可塑性ポリエステル樹脂の他に本発
明の効果を損なわない範囲で、ヒンダードフェノール
系、亜燐酸エステル系、チオエーテル系等の酸化防止
剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾ
エート系、ヒンダードアミン系、シアノアクリレート系
等の光安定剤、分子量調整剤、難燃剤、可塑剤、耐加水
分解剤、帯電防止剤、潤滑剤、離型剤、着色剤、分散助
剤等の添加剤、及び、ガラス繊維、マイカ、カーボンフ
ァイバー、チタン酸カリファイバー等の強化材、シリ
カ、クレー、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等の充填
材等を熱可塑性ポリエステル樹脂に対して0.001〜
10重量%の範囲で含有することができる。
【0016】又、本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂発
泡体の原料としては、熱可塑性ポリエステル樹脂の他
に、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリアミド系樹
脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の
他の熱可塑性樹脂、及び熱可塑性エラストマー等を添加
することができる。本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂
発泡体を製造する際に使用する発泡剤としては、既に知
られている各種の発泡剤を用いることが出来る。例え
ば、窒素、炭酸ガス、ヘリウム等の不活性ガス、プロパ
ン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の飽和炭化水素、テ
トラフロロエタン、フレオン(商品名)等のハロゲン化
炭化水素などの物理発泡剤、炭酸ナトリウム、重炭酸ナ
トリウム等の無機塩、クエン酸ナトリウムなどの有機
塩、アゾジカルボンアミド、ヒドラゾンカルボンアミド
等のアゾ化合物およびその塩、5−フェニルテトラゾー
ル等のテトラゾール化合物およびその塩などの化学発泡
剤が挙げられる。更に、これらの発泡剤を併用すること
もできる。
【0017】本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体
の製造には、熱可塑性樹脂を発泡成形するための一般的
な成型方法、すなわち押出成形や射出成形、プレス成
形、注入成形等の種々の熱成形方法を使用することがで
きる。本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体の密度
は、0.01〜0.6g/cm3 であることが必要であ
り、好ましくは0.03〜0.5g/cm3 、更に好ま
しくは0.05〜0.4g/cm3 である。0.01g
/cm3 未満では発泡体の物理的強度が低いため好まし
くなく、他方、0.6g/cm3 を超える場合は断熱性
等の発泡体としての性質が不充分なため好ましくない。
【0018】本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体
は、該発泡体自体を構成する熱可塑性ポリエステル樹脂
の密度が1.39g/cm3 以上であることが必要であ
り、好ましくは1.41g/cm3 以上、更に好ましく
は1.43g/cm3 以上である。1.39g/cm3
未満では、発泡体の耐熱性、高温安定性が低いため好ま
しくない。
【0019】ここで該発泡体自体を構成する熱可塑性ポ
リエステル樹脂の密度は、発泡体を粉砕した後に、粉砕
物の密度を測定することによって行われる。粉砕する方
法としては、発泡体を液体窒素やドライアイス等で凍結
冷却し、これをフリーザミルにて粉砕する方法などが挙
げられる。粉砕物の密度は、差圧式の密度測定装置を使
用する方法や、液体中への浸漬/沈降による方法などに
よって測定することができる。このような手法を用いる
ことにより、発泡体の状態を維持しつつ、また発泡体に
含有する気泡の影響を受けずに、発泡体を構成する熱可
塑性ポリエステル樹脂の密度を測定することができる。
【0020】また、本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂
発泡体は、発泡倍率が、7倍以上であることが好まし
く、更に好ましくは9倍以上、特に好ましくは11倍以
上である。7倍未満では発泡体の耐熱性、高温安定性が
不充分な傾向にある。発泡倍率の測定は、発泡体の体積
を、該発泡体自体を構成する樹脂の体積で除した値とし
て算出できる。発泡体の体積は、差圧式の密度測定装置
を使用する方法や、液体中への浸漬/沈降による方法な
どによって測定することができる。該発泡体自体を構成
する樹脂の体積は、発泡体を溶融した後、減圧脱泡(泡
を抜く操作)した後に急速冷却固化させたサンプルを用
いて同様に測定することができる。
【0021】発泡体自体を構成する熱可塑性ポリエステ
ル樹脂の密度を1.39g/cm3以上にする方法とし
ては、例えば、押出成形の場合は押出された発泡体を徐
々に冷却する方法などが、射出成形やプレス成形では金
型温度を高温にする方法などが取られる。また厚い発泡
体や大型の発泡体の場合は、発泡体自体の断熱性を利用
して、発泡成形時に自己結晶化させることも出来る。
【0022】更に一度、熱可塑性ポリエステル樹脂発泡
体を構成する熱可塑性ポリエステル樹脂の密度が1.3
9g/cm3 未満の発泡体を得た後、これを加熱して
1.39g/cm3 以上の密度とすることも出来る。こ
の場合は、加熱の時点で内部ガスの膨張による体積変化
が生じる場合があるので、プレスやフォーミングダイ、
サイジングプレート等によって外部からの応力が加わる
環境で加熱することが好ましい。
【0023】発泡体自体を構成する熱可塑性ポリエステ
ル樹脂の極限粘度は、フェノール/1,1,2,2−テ
トラクロロエタン(重量比=1/1)の混合溶媒中、3
0℃で測定した場合に、0.6dl/g以上が好まし
く、さらに好ましくは0.8dl/g以上、特に好まし
くは1.0dl/g以上である。極限粘度が0.6dl
/g未満の場合には、得られる熱可塑性ポリエステル樹
脂発泡体の力学強度が低くなる傾向がある。この際の極
限粘度とは、熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体を前記溶
媒に溶解した後、不溶分を濾過した濾液を用いて測定し
た値を意味する。
【0024】本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体
は、ASTM D2856に準拠して測定した独立気泡
率が、80%以上であることが好ましく、更に好ましく
は85%以上、特に好ましくは90%以上である。80
%未満の場合は断熱性が不充分な傾向がある。本発明の
熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体は、発泡セルの平均径
が、0.5mm以下であることが好ましく、更に好まし
くは0.2mm以下、特に好ましくは0.1mm以下で
ある。0.5mmを超える場合は発泡体の断熱性が不充
分な傾向がある。ここで、発泡セルの平均径は、発泡体
を液体窒素で凍結して破断した断面を光学顕微鏡または
走査型電子顕微鏡で観察するなどの手法が用いられる。
セルの断面は、曲線を接合した多角形様の形状を示す場
合が多いが、この様な場合は対角線の平均値として判断
することができる。
【0025】本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体
は、70℃、72時間保持後の体積変化率が、6%以下
であることが好ましく、更に好ましくは4%以下、特に
好ましくは2%以下である。6%を超える場合は、より
高温での変形が顕著に起こる傾向がある。尚、体積変化
率は、寸法を実測する方法の他、差圧式の体積測定装置
等を使用することができる。
【0026】本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体
は、その形状を限定されるものではないが、例えば、シ
ート状、板状、筒状等の形状に成形して使用される。押
出成形やプレス成形等で平板状に製造する場合、発泡体
の厚みが、好ましくは10mm以上、更に好ましくは2
0mm以上であると、力学強度、耐熱性、断熱性等の観
点からバランスのとれた発泡体となる。
【0027】本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体
は、軽量かつ耐熱性、高温安定性、力学強度等が良好で
あるため、特に、建築分野、自動車や鉄道車両分野、家
庭電化製品や電気電子機器分野等における内装材、断熱
材等に好適に用いることができる。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例
に限定されるものではない。 (1)原料ポリエステル P−1:ジカルボン酸単位がテレフタル酸99.7モル
%、ピロメリト酸0.3モル%、ジオール単位がエチレ
ングリコール98モル%、ジエチレングリコール2モル
%からなり、エチレンテレフタレート単位が全構成繰り
返し単位の98モル%を占める熱可塑性ポリエステル樹
脂。極限粘度1.2、昇温時の結晶化温度156℃。
【0029】P−2:ジカルボン酸単位がテレフタル酸
99.7モル%、トリメリト酸0.3モル%、ジオール
単位がエチレングリコール93モル%、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール5モル%、ジエチレングリコール
2モル%からなり、エチレンテレフタレート単位が全構
成繰り返し単位の92モル%を占める熱可塑性ポリエス
テル樹脂。極限粘度1.3、昇温時の結晶化温度160
℃。
【0030】P−3:ジカルボン酸単位がテレフタル酸
99.9モル%、ピロメリト酸0.1モル%、ジオール
単位がエチレングリコール97モル%、ジエチレングリ
コール3モル%からなり、エチレンテレフタレート単位
が全構成繰り返し単位の97モル%を占める熱可塑性ポ
リエステル樹脂。極限粘度1.5、昇温時の結晶化温度
143℃。
【0031】P−4:押出機を用い、P−3のレジン9
8重量部に低密度ポリエチレン(MFR=2)2重量部
を混練した組成物。極限粘度1.5、昇温時の結晶化温
度128℃。 P−5:ジカルボン酸単位がテレフタル酸70.0モル
%、イソフタル酸29.8モル%、ピロメリット酸0.
2モル%、ジオール単位がエチレングリコール98モル
%、ジエチレングリコール2モル%からなり、エチレン
テレフタレート単位が全構成繰り返し単位の69モル%
を占める熱可塑性ポリエステル樹脂。極限粘度1.5、
昇温時の結晶化温度は無し。
【0032】(2)評価方法 <極限粘度>フェノール/1,1,2,2−テトラクロ
ロエタン(重量比=1/1)の混合溶媒に原料レジンま
たは発泡体を1%溶解し、30℃で測定。P−4の原料
レジン及び実施例6の発泡体は溶液を濾過して測定し
た。 <発泡倍率>発泡体の体積を、該発泡体自体を構成する
樹脂の体積で除した値として算出した。該発泡体自体を
構成する樹脂の体積は、発泡体を溶融した後、減圧脱泡
した後に急速冷却固化させたサンプルを用いて測定し
た。
【0033】<独立気泡率>ASTM D2856に準
拠して測定した。 <平均径>発泡体を液体窒素で凍結して破断した断面を
走査型電子顕微鏡で観察し、セルを構成する多角形状断
面の対角線の平均値として算出した。 <耐熱性>発泡体を60℃〜250℃の種々の温度(1
0℃刻み)に設定したエアオーブン中に10分間設置し
た後に取り出し、目視で変形を観察した。試験は各温度
で個別に行い、実質的に変形の見られなかった上限温度
を耐熱温度とした。
【0034】<体積変化率>10cm×10cm(厚み
はそのまま)の発泡体を70℃のエアオーブン中に72
時間保持した後に、取り出して直ちに寸法を測定し、試
験前の体積との比を算出した。 <熱伝導率>JIS A1412に準拠して測定した。
【0035】実施例1 押出機バレルの中間部分にガス導入口を設けた35mm
φの2軸押出機(L/D=45)にP−1を投入し、2
80℃、60rpmにて溶融混練し、押出機の中間部分
からペンタンを投入した。押出機に接続したTダイ(リ
ップ幅20cm)から押出された発泡体は、20℃の冷
風により表面を冷却し、タッチロール(表面温度30
℃)を介して、所定の厚さに設定したフォーミングダイ
(約50℃)を通過させることにより固化して得た。得
られた発泡体は、厚さ21mm、密度0.13g/cm
3 、発泡倍率10.3倍、極限粘度1.01dl/g、
独立気泡率93%、発泡セル径0.3mm、耐熱温度2
30℃、体積変化率1.6%、熱伝導率0.0027k
cal/m・h・℃であった。この発泡体を液体窒素で
凍結した後にフリーザミルで粉砕し、粉砕物をアキュピ
ック社製乾式密度計1330型にて測定した結果、密度
は1.43g/cm3 であった。
【0036】実施例2〜7、比較例1〜4 原料熱可塑性ポリエステル樹脂の種類、発泡体の厚さ、
発泡体の密度を表−1に示す通りに変更した以外は実施
例1と同様に実施した。但し、比較例3、4は押出温度
を230℃とした。実施例7は、比較例1で作成した発
泡体を加熱プレス機にて150℃、5分間保持(厚みを
保つ以外は応力を負荷せず)して作成した。得られた発
泡体の密度、粉砕した樹脂の密度、発泡倍率、極限粘
度、独立気泡率、発泡セル径、耐熱温度、体積変化率及
び熱伝導率の結果を表−1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂発泡
体は、軽量かつ耐熱性、高温安定性、断熱性及び力学強
度のすべてにおいて良好な発泡体であり、特に200℃
を超える温度に対しても変形を起こさないので、高い耐
熱性を要求される用途に好適に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F074 AA65 BA39 CA22 DA02 DA03 DA08 DA12 DA23 DA32 DA35 4J002 CF061 FD010 FD040 FD070 FD326

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密度が0.01〜0.6g/cm3 であ
    る熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体において、該発泡体
    自体の熱可塑性ポリエステル樹脂の密度が1.39g/
    cm3 以上であることを特徴とする熱可塑性ポリエステ
    ル樹脂発泡体。
  2. 【請求項2】 独立気泡率が80%以上である請求項1
    に記載の熱可塑性ポリエステル樹脂発泡体。
  3. 【請求項3】 発泡セルの平均径が0.5mm以下であ
    る請求項1又は2に記載の熱可塑性ポリエステル樹脂発
    泡体。
  4. 【請求項4】 70℃、72時間保持後の体積変化率が
    6%以下である請求項1乃至3のいずれかに記載の熱可
    塑性ポリエステル樹脂発泡体。
  5. 【請求項5】 発泡倍率が7倍以上である請求項1乃至
    4のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステル樹脂発泡
    体。
  6. 【請求項6】 厚みが10mm以上の板状である請求項
    1乃至5のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステル樹脂
    発泡体。
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