JP2000052484A - 接着複合体およびそれに用いる封止用樹脂組成物 - Google Patents

接着複合体およびそれに用いる封止用樹脂組成物

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JP2000052484A
JP2000052484A JP23354098A JP23354098A JP2000052484A JP 2000052484 A JP2000052484 A JP 2000052484A JP 23354098 A JP23354098 A JP 23354098A JP 23354098 A JP23354098 A JP 23354098A JP 2000052484 A JP2000052484 A JP 2000052484A
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JP23354098A
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Toshio Inoue
敏夫 井上
Hiroyoshi Yoneda
弘義 米田
Akio Hashimoto
晶夫 橋本
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Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 接着性に優れ高い信頼性を有する、金属とサ
ーモトロピック液晶樹脂との接着複合体、および封止用
樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 金属体2と、ポリアミド系樹脂およびサ
ーモトロピック液晶樹脂からなる樹脂組成物とを溶融接
着してなる接着複合体、および上記樹脂からなる封止用
樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属体とポリアミ
ド系樹脂を含むサーモトロピック液晶樹脂とからなる接
着複合体に関するものである。さらに詳しくは、金属
体、好ましくはトリアジンチオール類化合物により表面
処理した金属体に、金属表面または上記トリアジンチオ
ール類化合物との間で水素結合や化学結合等の相互作用
を生ずるポリアミド系樹脂を含有するサーモトロピック
液晶樹脂組成物を、溶融状態で接触させて両材料の接着
強さを高めた、封止性の高い接着複合体に関する。得ら
れた接着複合体は、電気部品、電子部品、光学部品を中
心に、各種工業部品を構成部材として使用される。例え
ば、金型内に被接着部材または被封止部材としての金属
体を置き、金型内へ、溶融状態のサーモトロピック液晶
樹脂を射出する方法を採用することができる。このよう
な電気電子部品の最も代表的な例としては、樹脂封止部
品(樹脂により封止された部品)、例えば、金属製のリ
ードフレームを被封止部材として用い、サーモトロピッ
ク液晶樹脂(以下、「LCP」または単に「液晶樹脂」
ということもある)を封止材として形成したリードフレ
ーム封止部品が挙げられる。
【0002】
【従来の技術】樹脂材料と金属体の複合体は、電気電子
産業を初めとする各種産業分野で使用される産業部材で
ある。このような複合体に対して近年高機能化および高
集約化の要求が高まるにつれ、樹脂材料として製品設計
の自由度に優れた熱可塑性樹脂を用いて、超音波融着、
誘電融着、インサート成形、アウトサート成形等の各種
の成形方法により、樹脂材料と金属体との複合体を製造
する方法が検討されている。従来、電気電子分野、特に
半導体装置で使用されるリードフレームの樹脂封止部品
においては、熱硬化性樹脂が主材料として使用されてき
た。しかし、工程の簡略化や材料のリサイクル化の要求
も加わり、熱硬化性樹脂の代わりに熱可塑性樹脂を材料
として用いインサート成形やアウトサート成形等により
封止を行った封止部品が、信頼性の高い複合体として強
く要望されている。その中でも、サーモトロピック液晶
樹脂を封止用樹脂材料として用いると、封止後のハンダ
処理等の各種加熱工程において安定な耐熱複合体が得ら
れるので、LCPと金属体との接着複合体に対する要求
は特に高い。また電気電子部品には、リード線などの導
線が接続されており、電気電子部品の樹脂封止に際して
はこれら導線部分についても封止が必要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来、金属材
料と液晶樹脂とは接着が困難であり、信頼性が高い接着
複合体は得られていない。例えば、樹脂材料と金属体と
の接着複合体に関する技術としては、トリアジンチオー
ル類化合物により表面処理した銅材料とポリエチレンと
の射出接着に関する技術が、特公平1−60051号公
報に提案されている。しかしながら、当該技術は接着相
手材としての金属が銅材料に限定されているのみなら
ず、改良したとされている接着性が必ずしも十分ではな
い。ゴムと金属との接着体を開示する特公昭60−41
084号公報やプラスチックと金属との複合体を開示す
る特公平8−856号公報に記載された方法も同様であ
る。すなわち、従来の発明は、高い信頼性のある金属/
サーモトロピック液晶樹脂の接着複合体への応用に関し
て不十分なものであった。そこで、本発明においては、
金属/サーモトロピック液晶樹脂の接着複合体への広範
な応用を可能にし、高い信頼性を有する接着複合体を提
供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、高い信
頼性を有する、金属/LCPの広範な接着複合体および
その製造技術を見出したことにある。すなわち、本発明
の第1は、金属体と、ポリアミド系樹脂およびLCPか
らなる樹脂組成物とを溶融接着してなる接着複合体に関
するものである。本発明の第2は、本発明の第1におい
て、金属体がトリアジンチオール類化合物により表面処
理されてなる接着複合体に関する。本発明の第3は、本
発明の第1において、ポリアミド系樹脂がポリアミド系
熱可塑性エラストマーである接着複合体に関する。本発
明の第4は、少なくとも一部が金属からなる被封止部材
を封止するための、ポリアミド系樹脂およびLCPから
なる封止用樹脂組成物に関するものである。本発明の第
5は、本発明の第4において、金属部分の表面の少なく
とも一部がトリアジンチオール類化合物により表面処理
された被封止部材の封止に使用する封止用樹脂組成物に
関する。本発明の第6は、本発明の第4において、ポリ
アミド系樹脂が、ポリアミド系熱可塑性エラストマーで
ある封止用樹脂組成物に関する。
【0005】本発明は、金属と樹脂との接着性(密着
性)を向上させるために、金属とポリアミド系樹脂を含
むLCP組成物との相互作用、またはトリアジンチオー
ル類化合物とこれらの樹脂との相互作用を利用するもの
である。以下、本発明をさらに説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】金属体の材料は特に限定されない
が、例えば銅および銅合金、鋼材、冷間圧延鋼板、鋳
鉄、ステンレス鋼、鉄−ニッケル系合金ならびにアルミ
ニウムやその合金などを例示することができる。金属体
の形態も板状、線状等の任意の形状のものを用いること
ができる。また、適宜にやすり仕上げや酸化皮膜形成処
理等の前処理を施した金属を用いることもできる。金属
製品のより具体的な形態としては、例えば半導体製造に
用いるリードフレーム等を挙げることができる。通常、
電気電子部品に接続される回路導体または電源導体とし
てのリード線もまた具体的な形態の例である。これらは
通常、電気電子部品を封止するに際して併せて封止を行
う必要がある。したがって、これら金属体の材料であ
る、銅、アルミニウム、金、銀、錫、ニッケルおよびこ
れらの金属を含む合金などもまた本発明の金属として例
示される。またその形状も線状のほか、開孔部を有する
平面など任意のものが用いられる。
【0007】金属体は、特に前処理等を行う必要はな
く、通常の溶剤洗浄を適宜に行うのみで接着操作に供す
ることができる。しかしながら、トリアジンチオール類
化合物によりあらかじめ金属体表面に前処理を施すこと
により、LCPとの接着性(密着性)をさらに向上させ
ることが可能である。ここで、トリアジンチオール類化
合物は、トリアジン基本骨格が1個から3個のチオール
基またはその誘導基で置換されたトリアジン類化合物で
あり、通常は水溶性である。より具体的には、下記式
〔I〕に示す構造式で表される。
【0008】
【化1】
【0009】式〔I〕において、置換基Rは−OR'、−
SR'、−NHR'および−N(R')2である。また、Rの
置換基R'は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、
フェニル基、アルキルフェニル基、またはシクロアルキ
ル基などである。Rにおける炭素原子数の合計は好まし
くは36以下である。36を超える炭素数を有するもの
は水に不溶性となり好ましくない。Mは、H、Na、L
i、K、Rb、Cs、1/2 Ba、1/2Ca、または脂肪
族の第一級、第二級もしくは第三級アミン類、または第
四級アンモニウム塩などである。2個のMは同一でも異
なってよい。Rを具体的に示すと、−SH、−NHC6
5、−NHC817、−NHC1225、−NHC
1835、−NHC1837、−N(C49)2、−N(C8
17)2、−N(C1225)2などが挙げられる。
【0010】トリアジンチオール類化合物による金属体
の表面処理は、金属体をトリアジンチオール類化合物の
溶液または分散液に接触させることにより行うことがで
きる。これらの処理は、例えば特公平1−60051号
公報や特公平8−856号公報記載された方法に準じて
行うことができる。具体的なトリアジンチオール類化合
物の溶液または分散液は、水;トリエチレングリコール
などの水溶性溶媒;メチルアルコール、イソプロピルア
ルコール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケト
ン、テトラヒドロフランなどのケトン、ベンゼン、トル
エン、キシレンなどの低級芳香族炭化水素、エチルセロ
ソルブ、ジメチルホルムアルデヒド、酢酸エチルなどの
エステル、ジメチルエーテルなどのエーテル等の有機溶
媒;デカリン、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル等の
水に不溶または難溶性の非水性溶媒;これらの適宜の割
合による混合溶媒等に、トリアジンチオール類化合物を
溶解または分散させることにより得られる。溶液の調製
時には溶媒を適宜に加温し、0.0001〜30重量%
のトリアジンチオール類化合物を溶解または分散させ
る。
【0011】表面処理は、金属体を上記溶液または分散
液に、例えば浸漬することにより行うことができる。そ
の他塗布などを行うこともできる。表面処理の時間は
0.1秒以上であればよい。すなわち、適宜に脱脂、酸
洗浄、アルカリ洗浄および水洗浄を行った後、乾燥した
金属体を、所定の時間、上記溶液もしくは分散液に浸漬
し、または金属体に上記溶液もしくは分散液を塗布し、
その後アルコールやアセトン等の有機溶剤で洗浄し、適
宜に水洗して乾燥する。処理時には溶媒の沸点範囲内に
おいて適宜に加温することができる。具体的には常温か
ら300℃の温度範囲で行う。
【0012】また、表面処理は電気化学的に行うことも
できる。例えば特公平5−51671号公報に記載され
た方法に準じて行うことができる。具体的には、トリア
ジンチオールの水溶液または有機溶媒溶液を電着液とし
て用い、金属体の金属を陽極とし、陰極には適宜の導
体、例えば白金板やチタン板を用いて、例えば20V以
下の電圧、0.1mA/dm2以上の電流密度で、0.1秒以上
直流電流を印加して行うことができる。
【0013】本発明において金属体に接着すべき樹脂は
LCPである。ここでいうLCPとは、溶融時に光学的
異方性を示し、かつ熱可塑性を有するポリマーである。
このように溶融時に光学的異方性を示すポリマーは、溶
融状態でポリマー分子鎖が規則的な平行配列をとる性質
を示す。光学的異方性の溶融相であることは、直交偏光
子を利用した通常の偏光検査法により確認することがで
きる。上記LCPとしては、例えば、液晶性ポリエステ
ル、液晶性ポリエステルイミド等、具体的には(全)芳
香族ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリエステル
カーボネート等が挙げられる。好ましくはサーモトロピ
ック液晶ポリエステル樹脂であって、分子内にエステル
結合を複数個含む限り、本発明のポリエステルの範疇に
含まれる。さらに好ましいポリエステルは、芳香族ポリ
エステルである。本発明において好ましく用いられるサ
ーモトロピック液晶ポリエステル樹脂には、一つの高分
子鎖の一部が異方性溶融相を形成するポリマーのセグメ
ントで構成され、残りの部分が異方性溶融相を形成しな
いポリマーのセグメントから構成されるポリマーも含ま
れる。また、複数のサーモトロピック液晶ポリエステル
樹脂を複合したものも含まれる。
【0014】サーモトロピック液晶ポリエステル樹脂を
構成するモノマーの代表例としては、(a)芳香族ジカ
ルボン酸の少なくとも1種、(b)芳香族ヒドロキシカ
ルボン酸系化合物の少なくとも1種、(c)芳香族ジオ
ール系化合物の少なくとも1種、(d)(d1)芳香族
ジチオール、(d2)芳香族チオフェノールおよび
(d3)芳香族チオールカルボン酸化合物の少なくとも
1種、(e)芳香族ヒドロキシルアミンおよび芳香族ジ
アミン系化合物の少なくとも1種、等の芳香族化合物が
挙げられる。これらは単独で用いられる場合もあるが、
多くは(a)および(c);(a)および(d);
(a)、(b)および(c);(a)、(b)および
(e);あるいは(a)、(b)、(c)および(e)
等のように組合せて構成される。
【0015】上記(a)芳香族ジカルボン酸系化合物と
しては、テレフタル酸、4,4'−ビフェニルジカルボン
酸、4,4'−テルフェニルジカルボン酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン
酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエー
テル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−
4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシブタン−4,4'−
ジカルボン酸、ジフェニルエタン−4,4'−ジカルボン
酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−3,3'−ジカ
ルボン酸、ジフェノキシエタン−3,3'−ジカルボン
酸、ジフェニルエタン−3,3'−ジカルボン酸、1,6
−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ま
たはクロロテレフタル酸、ジクロロテレフタル酸、ブロ
モテレフタル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテレフ
タル酸、エチルテレフタル酸、メトキシテレフタル酸、
エトキシテレフタル酸等で代表される上記芳香族ジカル
ボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が
挙げられる。
【0016】(b)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合
物としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ
安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒド
ロキシ−1−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン
酸、または3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,
5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメ
チル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒ
ドロキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキ
シ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフト
エ酸、6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ
酸、2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ
−4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジクロロ−4−ヒ
ドロキシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ
安息香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香
酸、3−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロ
キシ−5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−
7−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5,7
−ジクロロ−2−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカル
ボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が
挙げられる。
【0017】(c)芳香族ジオールとしては、4,4'−
ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジヒドロキシビフェ
ニル、4,4'−ジヒドロキシテルフェニル、ハイドロキ
ノン、レゾルシン、2,6−ナフタレンジオール、4,
4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒド
ロキシフェノキシ)エタン、3,3'−ジヒドロキシジフ
ェニルエーテル、1,6−ナフタレンジオール、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)メタン等の芳香族ジオール、または
クロロハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert−
ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メト
キシハイドロキノン、フェノキシハイドロキノン、4−
クロロレゾルシン、4−メチルレゾルシン等の芳香族ジ
オールのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が
挙げられる。
【0018】(d1)芳香族ジチオールとしては、ベン
ゼン−1,4−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオー
ル、2,6−ナフタレン−ジチオール、2,7−ナフタレ
ン−ジチオール等が挙げられる。 (d2)芳香族チオフェノールとしては、4−メルカプ
トフエノール、3−メルカプトフェノール、6−メルカ
プトフェノール等が挙げられる。 (d3)芳香族チオールカルボン酸としては、4−メル
カプト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、6−メルカ
プト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト−2−ナフトエ
酸等が挙げられる。
【0019】(e)芳香族ヒドロキシルアミンまたは芳
香族ジアミン系化合物としては、4−アミノフェノー
ル、N−メチル−4−アミノフェノール、1,4−フェ
ニレンジアミン、N−メチル−1,4−フェニレンジア
ミン、N,N'−ジメチル−1,4−フェニレンジアミ
ン、3−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフ
ェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−ア
ミノ−1−ナフトール、4−アミノ−4'−ヒドロキシ
ビフェニル、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニル
エーテル、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルメ
タン、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルスルフ
ィド、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド(チオジ
アニリン)、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、
2,5−ジアミノトルエン、4,4'−エチレンジアニリ
ン、4,4'−ジアミノジフェノキシエタン、4,4'−ジ
アミノジフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,
4'−ジアミノジフェニルエーテル(オキシジアニリ
ン)等が挙げられる。
【0020】本発明で用いるサーモトロピック液晶ポリ
エステル樹脂は、上記モノマーから溶融アシドリシス法
やスラリー重合法等の多様なエステル形成法等により製
造することができる。本発明に用いる好適なサーモトロ
ピック液晶樹脂の分子量は、約2,000〜200,00
0、好ましくは約4,000〜100,000である。上
記分子量の値は、例えば圧縮フィルムについて赤外分光
法により末端基を測定して求めることができる。また溶
液状態で行う一般的な測定法であるGPCを用いること
もできる。
【0021】これらのモノマーから得られるサーモトロ
ピック液晶ポリエステル樹脂のうち、p−ヒドロキシ安
息香酸から誘導される下記式〔II〕で表される繰返し単
位を必須成分として含む(共)重合体である芳香族ポリ
エステルが好ましい。上記モノマー単位を約30モル%
以上含むものが好ましい。より好ましくは、約50モル
%以上含むものである。
【0022】
【化2】
【0023】本発明に用いる上で特に好ましい芳香族ポ
リエステルは、p−ヒドロキシ安息香酸、フタル酸およ
びジヒドロキシビフェニルの3種の化合物からそれぞれ
誘導される構造の繰返し単位を有する下記式〔III〕で
表わされるポリエステルである。式〔III〕で表される
ポリエステルにおいて、ジヒドロキシビフェニルから誘
導される構造の繰返し単位は、その一部または全部をジ
ヒドロキシベンゼンから誘導される繰返し単位で置換す
ることもできる。また、好ましい芳香族ポリエステルと
して、p−ヒドロキシ安息香酸およびヒドロキシナフタ
レンカルボン酸の2種の化合物からそれぞれ誘導される
構造の繰返し単位を有する下記式〔IV〕で表されるポリ
エステルも挙げることができる。
【0024】
【化3】
【化4】
【0025】本発明におけるサーモトロピック液晶ポリ
エステル樹脂は、単独で用いてもよいが、それらの2種
以上を混合して使用してもよい。
【0026】本発明においては、上記サーモトロピック
液晶樹脂にポリアミド系樹脂を配合する。ポリアミド系
樹脂は、一般的にはジアミンとジカルボン酸との縮合反
応により製造されるものである。ジアミン系化合物が分
子鎖の末端部に配置されたときに生成するアミノ基[−
NH2]、またはこれらジアミン系化合物がジカルボン
酸との間で生成するアミド結合[−CONH−]によっ
て、金属表面、または、金属表面上のトリアジンチオー
ル類との間に強い相互作用を生じて、優れた接着複合体
を与えるものである。ポリアミド系樹脂の中でも、芳香
族ポリアミド、ポリアミド−46、ポリアミド−66、
ポリアミド−6等の非液晶性の高融点ポリアミド系樹脂
は、LCPの耐熱性を損なうことが少ない点で優れてい
る。
【0027】一方、低融点、または、低ガラス転移点を
有するポリアミド系エラストマーは広範な温度範囲にわ
たって分子運動が活発であり、しかもそのアミノ基、ア
ミド結合等の官能基と金属体との相互作用を期待するこ
とができるので、さらに接着特性が向上した接着複合体
を与えるため好ましい。上記ポリアミド系エラストマー
は、その構造上、2種に大別することができ、いずれも
好ましく用いることができる。その第1は、炭素数10
以上の脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジアミン、アミノ酸
あるいはラクタムのいずれかをモノマーとしたポリアミ
ド系樹脂であり、ポリアミド−610(ヘキサメチレン
ジアミンとセバシン酸)、ポリアミド−11(11−ア
ミノウンデカン酸)、ポリアミド−12(ω−ラウロラ
クタム、あるいは12−アミノウンデカン酸)等が例示
される。
【0028】ポリアミド系エラストマーの第2は、構造
上ハードセグメントとソフトセグメントを有するブロッ
ク共重合体型のものであって、ハードセグメントとして
ポリアミド構造を、ソフトセグメントとしてポリエーテ
ルまたはポリエーテルエステル構造を有するポリアミド
系ブロック共重合体である。ハードセグメントを構成す
るポリアミド構造としては、ポリアミド−6、ポリアミ
ド−66、ポリアミド−610、ポリアミド−612、
ポリアミド−11、ポリアミド−12、芳香族ポリアミ
ド等のポリアミド構造が例示される。ソフトセグメント
を構成するポリエーテルまたはポリエーテルエステル構
造としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエ
ーテルまたはポリエーテルエステル構造が例示される。
これらは、容易に市場から入手することができ、その
具体的な商品例は、「熱可塑性エラストマー」(1991-2-
15) 化学工業日報社 p. 210-235 に紹介されており、本
発明のポリアミド系エラストマーとして用いることがで
きる。具体的には、ハードセグメントとしてポリアミド
12の構造を有し、ソフトセグメントとしてポリエーテ
ルの構造を有するポリアミド系熱可塑性エラストマーで
ある「PAE 1210U」(商品名、宇部興産(株)
製)などを例示することができる。また、その構造は、
例えば、B. M. Walker, C. P. Rader編“Handbook of T
hermoplastic Elastomers (second edition)”(1988) V
an Nostrand Reinhold, New York、p. 258-282 (Chapte
r 8)、および N. R. Legge, G. Holden, H. E. Schroed
er編“Thermoplastic Elastomers”(1987) Hanser, New
York、p. 197- 214 (Chapter 9A), p. 215-230 (Chapt
er 9B) 等に記載されれいる。
【0029】ポリアミド系樹脂とサーモトロピック液晶
樹脂との組成物を得るには、公知の溶融混練方法を採用
することができる。すなわち、適宜の配合割合とした原
材料をあらかじめ混練機で溶融混練するか、または射出
成形機の溶融工程中で溶融混練すればよい。配合比は、
耐熱性、剛性、加工性のバランスを考慮して調整する。
通常の電気部材や光学部材の封止用の樹脂材料を得るた
めには、ポリアミド系熱可塑性エラストマー1〜30重
量部とサーモトロピック液晶樹脂99〜70重量部(両
成分の合計を100重量部とする)の割合で配合するこ
とが好ましい。
【0030】本発明においては、上記のように、金属表
面とLCP中のアミノ基、アミド結合等の官能基との相
互作用、または金属表面に存在するトリアジンチオール
類化合物と金属表面とLCP中のアミノ基、アミド結合
等の官能基との相互作用に起因する接着効果が得られ
る。したがって、これらの相互作用を十二分に発揮させ
るためには、溶融状態にあるLCPと、金属体、好まし
くはトリアジンチオール類化合物により処理した金属体
とを接触させることが必要である。また、分子運動を積
極的に行わせてポリアミド樹脂をLCP内部から表面に
移行させ、金属表面と接触させることによって、前記相
互作用をさらに増大させることができる。したがって、
本発明においてはポリアミド樹脂を含むLCPを溶融状
態において金属体と接触させ接着することがきわめて重
要である。
【0031】本発明のポリアミド系樹脂を含むLCP組
成物には、目的に応じて種々の添加物を配合することが
できる。例えば、無機または有機充填剤(ガラス繊維、
炭素繊維、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、クレー、
硫酸カルシウム、水酸化マグネシウム、シリカ、アルミ
ナ、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、黒鉛、木
粉、各種ウィスカー、金属粉、金属繊維等)、各種安定
剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、金属不活性
化剤等)、顔料、染料、可塑剤、オイル、滑剤、造核
剤、帯電防止剤、難燃剤等が挙げられる。充填剤の配合
量は、一般に上記各種の添加物を含む樹脂組成物の合計
重量に対して1〜90重量%、好ましくは5〜85重量
%の範囲である。
【0032】なお、熱可塑性樹脂、特に液晶樹脂のよう
な固化時の収縮の異方性が大きい熱可塑性樹脂において
は、収縮の異方性を緩和することも接着性(密着性)を
向上させる上で有効である。すなわち、熱可塑性樹脂の
収縮異方性は、等方性の収縮を示す金属体との相対的関
係において必然的に剥離力として作用するため、熱可塑
性樹脂の収縮異方性を抑制あるいは緩和すれば、接着性
(密着性)の向上が期待される。上記の収縮異方性を抑
制あるいは緩和するため、収縮異方性の小さい別の熱可
塑性樹脂をブレンドする手法、またはアスペクト比の小
さい充填剤を配合する方法が有効である。収縮異方性の
高い特徴を有するLPCを例にとれば、収縮異方性の小
さい別の熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリカーボネ
ート樹脂、ポリアリレート樹脂等が挙げられる。LCP
100重量部当たり、これら収縮異方性の小さい別の熱
可塑性樹脂を1〜30重量部配合することができる。
【0033】収縮異方性を抑制あるいは緩和する目的の
ために配合するアスペクト比の小さい充填剤としては、
具体的には、タルク、シリカ、炭酸カルシウム等の粒状
の充填剤が挙げられる。アスペクト比は、好ましくは1
0以下である。これらのアスペクト比の小さい充填剤の
配合量は、上記各種の添加物を含む樹脂組成物の合計重
量に対して1〜90重量%、好ましくは5〜85重量%
の範囲である。
【0034】前記のように、ポリアミド系エラストマー
を配合して見かけのガラス転移温度を低下させるほか、
実質的に活発な分子運動の期間(時間)を延長させるた
めには、金型冷却温度を通常設定する温度よりも高くす
る方法がある。具体的には、金型冷却温度を、「(LC
Pのガラス転移点−20℃)〜(LCPの融点+20
℃)」の範囲に設定することが好ましい。なお、このよ
うな温度範囲は、一般には通常設定される金型冷却温度
よりも高い温度である。
【0035】また、インサート成形等においてはインサ
ート部材を予備加熱することが多い。この予備加熱温度
を通常設定する温度よりも高くすることも、上記の目的
のために有効である。具体的には、上記と同様に、イン
サート部材の予備加熱温度を、「(LCPのガラス転移
点−20℃)〜(LCPの融点+20℃)」の範囲に設
定することが好ましい。なお、このような温度範囲は、
一般には通常設定される予備加熱温度よりも高い温度で
ある。
【0036】また、金属または金属表面に存在するトリ
アジンチオール類化合物と相互作用を呈する低分子化合
物を本発明の組成物に配合し、金属との接着性(密着
性)をさらに向上させることも可能である。このような
低分子化合物としては、例えば含酸素炭化水素樹脂が挙
げられる。含酸素炭化水素樹脂として、第一には、オレ
フィンをカルボン酸、フェノール、アルコール等の含酸
素化合物と共重合するか、またはオレフィンの重合によ
り得られる炭化水素樹脂をこれら含酸素化合物により変
性して得られる、酸素原子を含有する炭化水素樹脂が例
示される。酸素原子は1分子に平均0.1〜3個の割合
で含まれていることが好ましい。具体的には、α−ピネ
ン、β−ピネン、ジペンテン、d−リモネン、l−リモ
ネン等の不飽和のテルペン類単量体から誘導される含酸
素テルペン類炭化水素樹脂が例示される。好ましくは遊
離のカルボン酸または水酸基含有炭化水素樹脂である。
遊離のカルボン酸または水酸基は、炭化水素樹脂1分子
に、平均0.1〜3個の割合で含まれていることが好ま
しい。より具体的には、含酸素テルペン類炭化水素樹脂
として、テルペン単量体とフェノール、クレゾール、ハ
イドロキノン、ビスフェノールA等のフェノール類との
反応物またはその反応物の水素添加処理物が例示され
る。その他、含酸素テルペン類炭化水素樹脂は、テルペ
ン単量体とマレイン酸、フマル酸等のα,β−不飽和ジ
カルボン酸類との反応物またはその水素添加処理物であ
ってもよい。さらに、含酸素テルペン類炭化水素樹脂と
して、環状テルペン化合物1分子に、フェノール、クレ
ゾール、ハイドロキノン、ビスフェノールA等のフェノ
ール類を2分子以上の割合で付加して得られるテルぺン
骨格含有フェノール系多価化合物またはその水素添加処
理物を用いることもできる。
【0037】上記テルペン単量体とフェノール類との反
応物は、例えば、テルペン単量体類とフェノール類とを
用いてフリーデル−クラフツ反応を行うことにより、ま
た水素添加物は、この化合物を公知の方法で水素添加す
ることにより得られる。これらは、市場において、テル
ペンジフェノール、テルペンフェノール系樹脂、あるい
は、テルペン−フェノール共重合体樹脂等と呼ばれてお
り、例えば、市販品としては「YSポリスター」および
「マイティエース」(いずれも商品名、ヤスハラケミカ
ル(株)製)などがこれに相当する。
【0038】また、上記テルペン単量体とα,β−不飽
和ジカルボン酸類との反応物は、例えば、テルペン単量
体類とα,β−不飽和ジカルボン酸類をディールス−ア
ルダー(Diels-Alder)反応により反応させることによ
り、また水素添加物は、これらの化合物を公知の方法で
水素添加することにより得られる。これらは、市場にお
いて、酸変性テルペン系樹脂、あるいは、酸変性テルペ
ン共重合体樹脂と呼ばれており、例えば、市販品として
は「TM−60」(商品名、ヤスハラケミカル(株)製)
がこれに相当する。
【0039】さらに、上記環状テルペン化合物1分子に
フェノール類を2分子以上の割合で付加して得られるテ
ルぺン骨格含有フェノール系多価化合物は、例えば、テ
ルペン単量体類とフェノール類とを当量比1:2でフリ
ーデル−クラフツ反応を行うことにより、また水素添加
物は、これら化合物を公知の方法で水素添加することに
より得られる。例えば、市販品としては「YP−90」
(商品名、ヤスハラケミカル(株)製)がこれに相当す
る。
【0040】また、含酸素炭化水素樹脂として、第二に
は、含酸素炭化水素ワックス、例えば水酸基含有炭化水
素ワックスが挙げられる。このワックスは、ポリオレフ
ィン系炭化水素骨格を有し、その側鎖または末端に水酸
基を有する常温固体のものである。すなわち、主鎖の炭
素数が約100〜500のアルコールである。これらの
ワックスは、例えば、末端に水酸基を有するポリブタジ
エンを水素添加することにより製造することができる。
市販品としては、「ポリテールH」(商品名、三菱化学
(株)製)などがこれに相当する。その他、含酸素ワック
スは、炭化水素ワックスに過酸化物処理を行い酸素原子
を導入することによっても製造することができる。
【0041】含酸素炭化水素樹脂の配合量は、LCP1
00重量部に対して、0.1〜30重量部、好ましくは
0.5〜20重量部である。
【0042】LCPにポリアミド系樹脂を配合するに
は、公知の方法を採用することができる。例えば、適宜
の押出機を用いてLCPを押出すとき、同時にポリアミ
ド系樹脂を投入して配合することができる。そのほか、
公知の方法によりあらかじめLCPとポリアミド系樹脂
とを混合した後、ペレット化することにより配合するこ
ともできる。
【0043】得られたLCP組成物は、適宜の溶融成形
機、例えば射出成形機により溶融射出し、金属体、好ま
しくはトリアジンチオール類化合物により表面処理を施
した金属体と、樹脂の溶融下で接着させる。具体的な部
材としてリードフレームを例にとると、金属製リードフ
レームに、好ましくはあらかじめトリアジンチオール類
化合物により表面処理を施して、封止成形におけるイン
サート部材とする。これを常法により金型内にセットし
(はめ込み)、樹脂を溶融射出して成形することにより
封止成形を行い、封止部品としての接着複合体を得る。
また、金属体または表面処理を施した金属体をアウトサ
ート部材として、アウトサート成形により樹脂を溶融射
出して接着複合体を得ることもできる。その外、樹脂と
金属体、または表面処理を施した金属体とを接触させ、
樹脂を加熱溶融して熱プレス成形等を行うことにより接
着複合体を得ることもできる。
【0044】本発明の接着複合体は、一般工業部品、お
よび電気、電子、光学等の各種部品として用いられる。
これらの部品の代表的な形態としては、ランプソケッ
ト、ディストリビューターキャップ、イグニションコイ
ル、ヒューズケース、各種スイッチ、ブラケット、ボビ
ン、インテークテンペラチャーコントロールパネル、バ
イメタルバキュームスイッチングバルブ、ガソリンタン
ク等の自動車部品、樹脂被覆鋼板、樹脂被覆金属管、コ
ネクタ、ブロケット端子台座、コイルボビン、チューナ
部品リレー、ソケット、スイッチ、ミシンモーターケー
ス、中継端子取付けターミナル、ヒューズケース、コン
デンサーケース、CDプレーヤーシャーシ、HDDシャ
ーシ等の電気部品、ポンプケーシングやカメラ等の外装
部品等の一般工業部品、および電気、電子、光学の各分
野で使用されるリードフレーム封止部材等が挙げられ
る。
【0045】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。 <金属体の表面処理>所定の金属板(50mm×50mm×
0.5mm)を脱脂乾燥した後、必要に応じてトリアジン
チオール類化合物により表面処理を施し、乾燥して使用
した。使用したトリアジンチオール類化合物の種類およ
び表面処理の方法は以下の通りである。 (1)1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール
モノナトリウム塩(TTN) TTNの0.4%水溶液に所定の金属板を80〜90℃
で30秒間浸漬した後、40℃で乾燥した。 (2)1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール
トリエタノールアミン(TEA) TEAの1%水溶液を電解槽に入れて20℃に保ち、所
定の金属板を入れて一定電圧(0.6V以下)で2分間
印加することにより電気化学的処理を行った。
【0046】<目的とするLCP組成物の製造>サーモ
トロピック液晶樹脂、ポリアミド系樹脂および充填剤を
撹拌混合した後、二軸押出機で溶融して目的とするLC
P組成物を得た。ポリアミド系樹脂としては以下のもの
を用いた。 ・PA6:ポリアミド6 ・PA12:ポリアミド12 ・PAE 1210U(商品名):ハードセグメントと
してポリアミド12、ソフトセグメントとしてポリエー
テルを有するポリアミド系熱可塑性エラストマー、宇部
興産(株)製
【0047】<成形方法>図を参照して金属体と樹脂と
の接着方法を説明する。図1(a)は、成形に用いる金
型1の略示断面図であり、図1(b)は、金属体2の平
面図である。 (1)あらかじめ表面処理を施した金属体2(板状体、
50mm×50mm×0.5mm)の片面の一部に両面テープ
3を貼り、これを片開き射出成形用金型1のキャビティ
4(100mm×100mm×1mm)内の壁に貼り付ける。 (2)移動金型5を閉じ、所定の熱可塑性樹脂をゲート
(図示せず)からキャビティ4内へ射出し射出成形を行
う。 (3)移動金型5を開き、突出ピン6で成形品(接着複
合体)を突出して取り出す。
【0048】<接着性の評価方法>接着性は、下記に示
すAおよびBの比(A/B)により表す。すなわち、3
/5は、合計5回の成形実験のうち、3回において良好
な接着が得られたことを意味する。 A:成形品の取り出し操作において、金属体と樹脂との
一体化した複合体が金型から取り出された回数。接着不
良の場合は、金属が金型側に接着し、成形された樹脂板
のみが取り出されるので、一体化した複合体が取り出さ
れたことは、接着が十分であることを意味する。 B:合計の成形実験回数。
【0049】<実験例101〜139>表1から表7
に、樹脂組成および接着性の評価結果を示す。なお、液
晶樹脂は、フタル酸/イソフタル酸/p−ヒドロキシ安
息香酸/4,4'−ジヒドロキシビフェニルからそれぞれ
誘導される繰返し単位を有するサーモトロピツク液晶コ
ポリエステル樹脂であって、各モル比は、0.75/0.
25/3/1である。この樹脂は、ホットステージを装
着した偏光顕微鏡を用いて光学的異方性を観察したとこ
ろ、340℃以上の溶融状態において光学的異方性を示
した。
【0050】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0051】
【発明の効果】本発明に従い、ポリアミド系樹脂をサー
モトロピック液晶樹脂に配合することにより、液晶樹脂
の金属に対する接着性(密着性)が向上し、両者の間に
良好な接着が得られる。これは、好ましいポリアミド系
樹脂であるポリアミド系熱可塑性エラストマーが、金属
表面、または、その表面に存在するトリアジンチオール
類化合物に対して水素結合、化学結合等の化学作用を生
じるためと考えられる。また、ポリアミド系熱可塑性エ
ラストマーは、LCP組成物を射出成形する際に、LC
P分子が固化した後も混合物中で分子運動を行うことが
できるために、金属表面との結合作用がより大きくなり
特に好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は金型の略示断面図であり、図1
(b)は金属体の平面図である。
【符号の説明】
1 金型 2 金属体 3 両面テープ 4 キャビティ 5 移動金型 6 突出ピン
フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AB01A AH03A AH04A AK01B AK46B AK48 AK54 AL05B AL09B BA02 EC03 EJ61 EJ64A GB41 GB51 JA11B JB16B JJ10B JK06 4J002 CF161 CF181 CG041 CL012 CL032 CL062 CL072 CL081 CL082 CN061 FD010 GF00 GJ02 GN00 GQ00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属体と、ポリアミド系樹脂およびサー
    モトロピック液晶樹脂からなる樹脂組成物とを溶融接着
    してなる接着複合体。
  2. 【請求項2】 前記金属体がトリアジンチオール類化合
    物により表面処理されてなる請求項1に記載の接着複合
    体。
  3. 【請求項3】 前記ポリアミド系樹脂がポリアミド系熱
    可塑性エラストマーである請求項1に記載の接着複合
    体。
  4. 【請求項4】 少なくとも一部が金属からなる被封止部
    材を封止するための、ポリアミド系樹脂およびサーモト
    ロピック液晶樹脂からなる封止用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 金属部分の表面の少なくとも一部がトリ
    アジンチオール類化合物により表面処理された前記被封
    止部材の封止に使用する請求項4に記載の封止用樹脂組
    成物。
  6. 【請求項6】 前記ポリアミド系樹脂がポリアミド系熱
    可塑性エラストマーである請求項4に記載の封止用樹脂
    組成物。
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