JP2000051086A - 保温機能付きコンロ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガス等の燃焼加熱手段に加えて保温加熱手段
を具備した保温機能付きコンロを提供する。 【構成】 環状の燃焼部により囲繞された内部空間に配
置されると共に少なくとも表面に触媒を設けた多数の通
孔を上下貫通状に形成した加熱体と、出発物質から気化
すると共に分解し前記触媒により空気中の酸素と結合す
ることにより酸化熱を生じる化学成分を含む反応剤と、
該反応剤を保持する容器と、前記容器を加熱体の通孔に
連通せしめる連通路とにより保温加熱手段を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、保温機能付きコン
ロに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えば、旅館等の宴会場におい
て、子鍋料理等の便宜のため、携帯又は運搬を可能にし
た小型コンロが使用されている。このような小型コンロ
は、通常、固形燃料の燃焼による加熱手段を備えてい
る。

【０００３】ところが、固形燃料の燃焼により得られる
熱量は、比較的小さいため、鍋等の調理器が小型のもの
に限られてしまう。また、調理完了までに長時間を要
し、直ぐに料理を食することができない不便がある。

【０００４】このため、本発明者らは、交換式の小型ガ
スボンベから供給される燃焼ガスをガスバーナーにより
燃焼せしめるガス燃焼加熱手段を設けたコンロが有利で
あることを知見した。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ガス燃焼加熱手段を設
けた構成によれば、小型コンロでありながら、料理を加
熱調理するに際して必要な熱量が大きく、有利である。
然しながら、本発明者らが知見したところによると、次
のような問題を提起する。

【０００６】携帯又は運搬を便利にするためにガスボン
ベを相当に小型化すると、短時間のうちに燃料ガスを消
費し、その後、料理を保温することができない。長時間
の宴会等において、加熱調理後の料理が冷めてしまう
と、折角の料理を無駄にしてしまう。

【０００７】この点の問題は、ガスボンベの容量を増大
することにより解決できるが、加熱調理が完了した後に
顧客が保温状態に維持することを望むとき、火力を調節
しなければならず、操作が煩雑である。しかも、ガス燃
焼の場合、とろ火の状態でも相当の火力を有するから、
子鍋等の小型調理器を必要以上に加熱して焦がす虞れが
ある。更に、とろ火の状態のガスバーナーは、微風によ
り容易に火炎が消えてしまうから、不燃焼ガスを放出す
る危険がある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決した保温機能付きコンロを提供するものであり、その
手段として構成したところは、ほぼ環状の燃焼部を有す
る燃焼加熱手段を設けたコンロにおいて、前記燃焼加熱
手段に加えて保温加熱手段を設けて成り、前記保温加熱
手段は、前記環状の燃焼部により囲繞された内部空間に
配置されると共に少なくとも表面に触媒を設けた多数の
通孔を上下貫通状に形成した加熱体と、出発物質から気
化すると共に分解し前記加熱体に設けた触媒により空気
中の酸素と結合することにより酸化熱を生じる化学成分
を含む反応剤と、該反応剤を保持する容器と、前記容器
を加熱体の通孔に連通せしめる連通路とから構成されて
成る点にある。

【０００９】本発明の好ましい実施形態において、前記
反応剤は、アルコール系の固形剤をフィルムにより包装
したパッケージを構成し、前記加熱体は、少なくとも通
孔の表面に白金から選ばれた触媒を設けている。そし
て、容器に保持されたパッケージ中の固形剤が気化する
ことによりフィルムを膨張せしめたとき、該フィルムに
刺突してフィルムを開口せしめる破断手段が設けられて
いる。反応剤が固形の出発物質から気化するに際し、室
温よりも高い温度で気化が促進される場合は、前記連通
路を熱伝導手段により形成し、該熱伝導手段を介して加
熱燃焼手段の熱を容器に伝導せしめることが好ましい。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下図面に基づいて本発明の好ま
しい実施形態を詳述する。

【００１１】コンロ本体１は、筒状のケーシング２の上
部に筒状のフレーム３を連設している。フレーム３は、
上向きに広がるテーパ状に形成され、頂部に五徳５を着
脱自在に載設する。

【００１２】図３に示すように、コンロ本体１の中心部
に管部材６が配置され、ケーシング２とフレーム３の連
設部から内向きに延びる連結部７に、管部材６の外向き
フランジ８をビス９等により固着している。尚、管部材
６は、外向きフランジ８から上方に延びる上管部６ａ
と、外向きフランジ８から下方に延びる下管部６ｂとを
構成する。

【００１３】管部材６は、内向きフランジ１０を介して
内管１１を同心状に設けており、該内管１１の上部に載
置した加熱体１２と、管部材６の上管部６ａとの間に環
状のガス流路１３を形成し、上管部６ａに被冠した環状
のキャップ１４によりガス流路１３の上部を被うと共
に、該キャップ１４の周方向に間隔をあけて設けた多数
のガス噴出口１５によりガスバーナー１６から成る燃焼
部を構成する。尚、キャップ１４はビス１７等により上
管部６ａに着脱自在に取付けられ、加熱体１２を位置決
め状態に保持する。

【００１４】上管部６ａ及びフレーム３を貫通してガス
供給管１８が延び、該ガス供給管１８を介して給送され
る燃焼ガスを前記ガス流路１３に供給する。

【００１５】図１及び図２に示すように、ケーシング２
の外側には、前記ガス供給管１８に燃焼ガスを供給する
ためのガス供給手段１９が設けられている。図例の場
合、ケーシング２に固設された装填枠２０にガスボンベ
２１を装填すると共に、操作アーム２２を回動すること
により押上板２３を介してガスボンベ２１をセットする
と、該ガスボンベ２１のノズル２１ａからバルブ装置２
４の内部に燃焼ガスが圧送される。バルブ装置２４に
は、ダイヤル式の操作手段２５が付設されており、該操
作手段２５を回動するとバルブが開放され、燃焼ガスを
ガス供給路１８からガス流路１３に向けて給送すると共
に、ガスバーナー１６のガス噴出口１５から噴出せしめ
る。この際、ガスバーナー１６に臨んで設けられた点火
装置２６が前記操作手段２５と連動して作動され、ガス
噴出口１５から噴出するガスを着火する。尚、燃焼ガス
の供給量は操作手段２５により調整自在であり、ガスバ
ーナー１６の火力を調節できる。

【００１６】このように、コンロには、ガス流路１３及
びガス噴出口１５を含むガスバーナー１６と、ガスボン
ベ２１から操作手段２５を介してガス供給管１８に燃焼
ガスを給送するバルブ手段２４を含むガス供給手段１９
とから構成されたガス燃焼加熱手段が設けられている。

【００１７】図３に示すように、下管部６ｂの下端部に
は、トレー式の容器２７が着脱自在に装着される。例え
ば、下管部６ｂの径方向に突出せしめた一対のピン２８
に対して、容器２７の周壁に一対のＬ形の切欠部２９を
設けておけば、ピン２８を切欠部２９に導入した後、容
器２７を回動せしめることにより、該容器２７を下管部
６ｂに吊下状に装着することができる。

【００１８】容器２７には、固形の反応剤３０をフィル
ム３１により包装したパッケージ３２が保持されてい
る。これに対して、下管部６ｂから延びる先端尖鋭な針
を備えた破断手段３３がパッケージ３２のフィルム３１
に近接状態に臨ましめられている。好ましくは、破断手
段３３は、コイルスプリング等の弾発手段３４を備えて
おり、フィルム３１に向けて弾発せしめられている。従
って、図３に鎖線で示すように、反応剤３０が気化して
フィルム３１を膨張せしめると、破断手段３３がフィル
ム３１に刺突して該フィルムを開口せしめ、反応剤３０
の気化成分を下管部６ｂの内部に放出する。

【００１９】前記反応剤３０は、出発物質から気化する
と共に分解し、前記加熱体１２に設けた触媒により、空
気中の酸素と反応し、そこで酸化熱を生じる化学成分を
含んでいる。例えば、反応剤３０は、メチル又はエチル
等のアルコール系成分を固形剤により固化せしめたもの
を用いることができ、この場合、触媒は、白金を用いる
ことができる。そこで、気化したアルコールは、水素と
炭素に分解された後、触媒に接触することにより、空気
中の酸素と反応結合し、水と二酸化炭素を生成し、この
とき発生する酸化熱により、加熱体１２を昇温せしめ加
熱する保温加熱手段を構成する。

【００２０】このような保温加熱手段を可能にするた
め、前記下管部６ｂ及び内管１１により、容器２７にお
ける反応剤３０の気化成分を加熱体１２に導くための連
通路３５を形成しており、加熱体１２は、少なくとも表
面に触媒を設けた多数の通孔３６を上下貫通状に設けて
いる。例えば、図例のように、加熱体１２を真鍮その他
の金属によりハニカム構造に形成しており、触媒として
白金を用いる場合、通孔３６の内面に白金膜を設けてい
る。尚、加熱体１２それ自体は金属又は磁器その他、昇
温可能であり且つ或る程度の蓄熱機能を有するものであ
れば良い。

【００２１】アルコール系成分を固形剤により固化せし
めた反応剤３０は、理論的には室温でも気化するが、室
温よりも高温で好適に気化する。そこで、気化を促進せ
しめるため、前記ガスバーナー１６を構成するキャップ
１４、前記連通路３５を構成する管部材６、容器２７の
それぞれが熱伝導可能な金属により形成され、ガス燃焼
加熱手段により加熱されたガスバーナー１６の熱を反応
剤３０に導く熱伝導手段を構成することが好ましい。

【００２２】これにより、コンロには、前記反応剤３０
と、該反応剤を保持する容器２７と、該容器２７を加熱
体１２の触媒付き通孔３６に連通せしめる連通路３５と
から構成された保温加熱手段が具備されている。

【００２３】上記構成によれば、五徳５に子鍋等の調理
器を設置して調理を行うに際し、初期段階においては、
ガス燃焼加熱手段を作動せしめ、ガスバーナー１６によ
る強い火力で調理を行うことができる。

【００２４】加熱調理が完了して料理を食するできる状
態になると、操作手段２５によりガス供給手段１９によ
る燃焼ガスの供給を停止させ、ガスバーナー１６の火炎
を消せば良い。或いは、ガスボンベ２１が小容量の場合
は、燃焼ガスを消費した後、自然にガスバーナー１６の
火炎が消える。

【００２５】ガス燃焼加熱手段による燃焼加熱中、昇温
されたキャップ１４の熱は、熱伝導手段を構成する管部
材６から容器２７に伝導され、容器２７の内部雰囲気を
昇温せしめるので、パッケージ３２内の反応剤３０が気
化を促進され、フィルム３１を膨張せしめる。そこで、
破断手段３３がフィルム３１に刺突し、該フィルムを開
口せしめると、反応剤３０の気化成分は、連通路３５を
介して加熱体１２に案内され、通孔３６を経て外部に放
出される。前述のように、反応剤３０がアルコール系成
分を含む実施形態の場合、気化したアルコールは、水素
と炭素に分解されるが、通孔３６を通過する際、該通孔
の表面に設けられた白金に接触し、該白金を触媒とし
て、空気中の酸素と反応結合し、そこで酸化熱を生じ、
加熱体１２を昇温し加熱せしめる。

【００２６】ガス燃焼加熱手段が作動し続けるガスバー
ナー１６の燃焼中は、加熱体１２の通孔３６を通過する
際に触媒上で反応しきれず未反応のまま通孔３６を通過
する水素ガスが同時に燃焼されるが、ガスバーナー１６
の火を消した後は、反応剤３０から継続して気化される
水素ガス及び炭素の化学成分と加熱体１２の触媒に基づ
いて発生する酸化熱による保温加熱手段だけが作動し、
五徳５上の調理器を適温に加熱し、反応剤３０が消費し
終わるまでの長時間、加熱調理済の料理を保温し続け
る。尚、本発明者らが実施した実験によれば、反応剤３
０をアルコールの固形剤により構成し、加熱体１２の触
媒を白金により構成した場合、ガス燃焼加熱手段を作動
させないで保温加熱手段だけを作動せしめたときの加熱
体１２の表面温度は、約２００度Ｃないし３００度Ｃで
ある。また、管部材６及び容器２７をアルミ合金により
形成した場合、保温加熱手段の作動中の容器２７の表面
温度は、約７０度Ｃである。

【００２７】本発明が上記実施形態に限定されないこと
は勿論であり、特許請求の範囲に基づいて種々の設計変
更が可能である。例えば、図示実施形態においては、燃
焼加熱手段の燃焼部をガスバーナー１６により構成した
が、ガス燃焼手段に代えて固形燃料の燃焼方式を採用し
ても良く、その場合、ドーナツ形状の固形燃料を筒状フ
レーム３に装填することにより環状の燃焼部を構成し、
該燃焼部により囲繞された内部空間に保温加熱手段の触
媒付き加熱体１２を配置する構成にすれば、本発明の所
期目的を達することができる。

【００２８】

【発明の効果】本発明によれば、燃焼加熱手段に加えて
保温加熱手段を具備せしめているので、煮炊等の加熱調
理を完了した後の料理を適温に保温し続けることがで
き、宴会場等において実用的価値の高い調理用コンロを
提供することができる。

【００２９】そして、保温加熱手段は、環状の燃焼部１
６により囲繞された内部空間に配置されると共に少なく
とも表面に触媒を設けた多数の通孔を３６上下貫通状に
形成した加熱体１２と、出発物質から気化すると共に分
解し前記加熱体に設けた触媒により空気中の酸素と結合
することにより酸化熱を生じる化学成分を含む反応剤３
０と、該反応剤を保持する容器２７と、前記容器を加熱
体の通孔に連通せしめる連通路３５から成る構成とされ
ているので、火災等の危険がなく極めて安全であると共
に、外気を汚損しないクリーンな保温加熱が可能である
という効果がある。

【００３０】更に、本発明によれば、反応剤３０がフィ
ルム３１により包装されたパッケージ３２を構成するの
で、該パッケージ３２の長期保存を可能にする一方、し
かも、使用時には、連通路３５により構成された熱伝導
手段により容器２７を昇温せしめて反応剤３０の気化を
促進させ、フィルム３１を膨張させながら破断手段３３
により開口せしめる構成であるから、パッケージ３２を
そのまま容器２７に装填できる便利がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の１実施形態に係るコンロの分解状態を
示す斜視図である。

【図２】本発明の１実施形態に係るコンロの使用状態を
示す斜視図である。

【図３】本発明の１実施形態に係るコンロの要部を示す
断面図である。

【符号の説明】

１ コンロ本体 ５ 五徳 ６ 管部材 １１ 内管 １２ 加熱体 １３ ガス流路 １５ ガス噴出口 １６ ガスバーナー（燃焼部） １９ ガス供給手段 ２１ ガスボンベ ２７ 容器 ３０ 反応剤 ３１ フィルム ３２ パッケージ ３３ 破断手段 ３４ 弾発手段 ３５ 連通路 ３６ 通孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中西 五男 大阪市淀川区新高１−８−10 Ｆターム(参考） 4B055 AA16 AA48 BA22 BA39 CA71 CB02 CC46 CC55 DA02 DA09 DB08 DB19 DB21 FA16

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ほぼ環状の燃焼部を有する燃焼加熱手段
   を設けたコンロにおいて、 前記燃焼加熱手段に加えて保温加熱手段を設けて成り、 前記保温加熱手段は、前記環状の燃焼部により囲繞され
   た内部空間に配置されると共に少なくとも表面に触媒を
   設けた多数の通孔を上下貫通状に形成した加熱体と、出
   発物質から気化すると共に分解し前記加熱体に設けた触
   媒により空気中の酸素と結合することにより酸化熱を生
   じる化学成分を含む反応剤と、該反応剤を保持する容器
   と、前記容器を加熱体の通孔に連通せしめる連通路とか
   ら構成されて成ることを特徴とする保温機能付きコン
   ロ。
2. 【請求項２】 前記反応剤がアルコール系の固形剤をフ
   ィルムにより包装したパッケージを構成すると共に、前
   記加熱体が少なくとも通孔の表面に白金から選ばれた触
   媒を設けて成り、 容器に保持されたパッケージ中の固形剤が気化すること
   によりフィルムを膨張せしめたとき、該フィルムに刺突
   してフィルムを開口せしめる破断手段を設けて成ること
   を特徴とする請求項１に記載の保温機能付きコンロ。
3. 【請求項３】 前記連通路が燃焼加熱手段の熱を容器に
   伝導する熱伝導手段により形成されて成ることを特徴と
   する請求項１又は２に記載の保温機能付きコンロ。