JP2000050538A - 回転電機の固定子支持構造および固定子組立て方法 - Google Patents

回転電機の固定子支持構造および固定子組立て方法

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JP2000050538A
JP2000050538A JP10210037A JP21003798A JP2000050538A JP 2000050538 A JP2000050538 A JP 2000050538A JP 10210037 A JP10210037 A JP 10210037A JP 21003798 A JP21003798 A JP 21003798A JP 2000050538 A JP2000050538 A JP 2000050538A
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stator
elastic support
stator core
electric machine
rotating electric
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JP10210037A
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Masayuki Ichimonji
正幸 一文字
Yukihiko Kazao
幸彦 風尾
Kozo Kimura
浩三 木村
Takeshi Osawa
武志 大澤
Takeaki Shimanuki
健明 島貫
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】固定子鉄心の支持構成の簡易化、支持位置調整
の容易化、据付作業性の向上、高信頼性等を達成する。 【解決手段】ステータフレーム13に取付けた複数の弾
性支持部材24で固定子鉄心16の外周部を支持するこ
とにより、固定子鉄心16の円環振動を吸収する固定子
支持構造において、各弾性支持部材24は少なくとも固
定子鉄心16の径方向に沿う変位吸収が可能な板状また
は棒状のものとし、各弾性支持部材24によって固定子
鉄心16を吊下支持する構造とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転界磁型回転電
機の固定子に生じる電磁振動の吸収技術に係り、特に固
定子を支持する弾性支持部材の荷重低減によりその薄肉
化を図り、それに基づいて高振動吸収特性を維持しつつ
構成の簡易化、調整の容易化、据付作業性の向上等を達
成できる回転電機の固定子支持構造および固定子組立て
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】タービン発電機に代表される回転界磁型
回転電機は一般に、固定子鉄心に巻線を施し全体として
円筒状に構成される固定子を、その内部に同心的に挿入
される回転子とともに据付基礎上に軸心を水平にして配
置し、その固定子鉄心を、据付基礎上に設置したステー
タフレームで囲む構成となっている。なお、ステータフ
レームには、一体円筒型のものと、上下分割型のものと
がある。
【0003】このような回転電機においては、運転時に
固定子鉄心が回転子磁極の磁気吸引力によってその軸直
角断面内において円環振動を励起される。この磁気吸引
力はギャップ磁束密度の二乗に比例するものであるか
ら、一般に回転電機の出力とともに磁気吸引力は増大す
る。したがって、固定子鉄心の円環振動の振幅も回転電
機の出力にともなって増加する傾向がある。この電磁振
動が固定子鉄心から回転電機のステータフレーム等の外
部構造物に伝播されると、回転電機の周囲に大きな騒音
を発生させたり、ステータフレームなどの構造部材に疲
労による損傷を引き起こしたり、あるいは回転電機の据
付基礎に亀裂を起こさせるおそれがある。
【0004】そこで従来では、固定子鉄心の軸心と同一
平面上に位置する両側外周部を、ステータフレームに取
付けた振動吸収用の弾性支持部材で据付基礎上に浮上状
態で支持することにより、固定子鉄心の軸直角断面内に
励起される円環振動を吸収し、その振動が固定子鉄心か
ら外部構造物に伝達されるのを防止するようにしている
(例えば特開平5−168179号公報等)。
【0005】図17および図18は、このような固定子
支持構造をもつ回転電機の構成を例示したものである。
この回転電機1においては、回転子2および固定子鉄心
3が据付基礎4上に軸心を水平にして配置され、一体円
筒型のステータフレーム5で固定子鉄心3の外周側を囲
んだ構成となっている。そして、固定子鉄心3の軸心と
同一平面上に位置する両側外周部の複数箇所が、ステー
タフレーム5内の下部から立ち上がる縦長板状の弾性支
持部材、例えば1枚の薄い長方形のバネ板6でそれぞれ
支持されている。すなわち、バネ板6の厚さ方向一側面
が固定子鉄心3の外周面に対向する配置とされており、
このバネ板6の下端側が、ステータフレーム5内に固定
した台座7にボルト8aによって固定してある。また、
バネ板6の上端側が、固定子鉄心3をその外周側で一体
的に固定保持する円筒環状の押え板9に、横長な剛性連
結板10を介してボルト8bによって連結してある。
【0006】このように、従来の固定子支持構造では、
起立状態のバネ板6の上端部で固定子鉄心3の外周面部
を支持する構成となっており、バネ板6の上端側が固定
子鉄心3の径方向変位に対して弾性的に変形すること
で、固定子鉄心3の振動を吸収するようになっている。
つまり、固定子鉄心3に対するバネ板6の支持点がその
固定子鉄心3の軸心を通る水平面上に配置されており、
バネ板6の剛性は長辺方向および短辺方向に大きく、板
厚方向には比較的低い値を有していることから、固定子
鉄心3はバネ板6によって垂直方向および軸方向につい
て剛に支持される一方、水平方向については低く調整さ
れたバネ板6の曲げ剛性によって弾性的に支持されるの
で、円環振動によって生じる固定子鉄心3の支持点にお
ける円周方向(固定子鉄心3の支持点においては水平方
向)の振動を吸収することができるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した従
来の固定子支持構造には、下記のように種々の問題点が
存在する。
【0008】(1)固定子鉄心に発生する電磁振動を吸
収するためには、固定子鉄心とこれを支持する弾性支持
部材とによって形成される力学系の固有振動数を、電磁
振動の振動数(回転電機の電源周波数に一致する)から
十分に低い値に設定する必要がある。この固有振動数
は、弾性支持部材の弾性変形方向の寸法、すなわちバネ
板の場合には板厚によって決定されることから、バネ板
の板厚は固定子鉄心の重量を支持するのに必要な強度の
範囲で極小値を取るものとすることが望ましい。
【0009】しかし、図17および図18に例示した従
来技術においては、起立状態のバネ板6の上端側で固定
子鉄心3を支持しているので、バネ板6には固定子鉄心
3の自重が圧縮加重として作用するので、上記の条件に
加えて圧縮荷重に対する制約条件が加わってくる。さら
にこの場合、圧縮強度よりも座屈荷重の方が制限が厳し
いことから、バネ板6の板厚は座屈荷重によって決定さ
れることになり、板厚を薄くすると座屈荷重が減少する
ので、板厚を厚く取らざるを得ない結果となる。
【0010】したがって、従来の固定子支持構造では、
バネ板等の弾性支持部材について、固有振動数の面から
最も望ましい板厚の極小値を適用することが固定子鉄心
の荷重形態から必ずしも実現できず、強度設計が極めて
困難となる課題がある。回転電機が大容量になると、固
定子鉄心も重量化するので、弾性支持部材の数量を増大
して対応する必要があり、さらに設計上の困難性が増
す。
【0011】(2)また、上述した従来の固定子支持構
造では、弾性支持部材が固定子鉄心の重量を圧縮方向荷
重として支持しながら、可能な限り低く調節された曲げ
剛性で固定子鉄心の円環振動を吸収する設計が行われ、
複数の弾性支持部材の分担荷重が均等となる構造として
いることから、各弾性支持部材の設定をそれぞれ厳密に
管理しなけばならない。このため、固定子の組立て時に
おいては、複数の弾性支持部材に作用する圧縮荷重をそ
れぞれ測定し、各弾性支持部材による固定子鉄心の支持
高さを微細に調節する必要があり、これにより固定子鉄
心の組立てには多大の労力と時間を要している。特に、
図17および図18に例示した構成では、バネ板6に作
用する荷重を調節するのに応力の測定などが必要な上
に、荷重を均等に分担させるのに個々のバネ板6の高さ
位置を微妙に調整するため、非常に多くの労力と調整時
間を要する。そして、このような調整作業が不十分であ
ると、バネ板6間における荷重分担に偏りが生じて、一
部のバネ板6に設計限界値以上の荷重が作用するおそれ
がある。
【0012】(3)上述したように、従来では弾性支持
部材について荷重分担と弾性支持の両立をめざしている
が、これらの両特性は相反する性質のものであり、振動
吸収能を高めた機能性重視の設計のもとでは、弾性支持
による板厚の制限から弾性支持部材の設計強度が限界に
近い状態にならざるを得ない。この結果、振動吸収能を
高めた設計においては、わずかな荷重の増加でも組立て
後の輸送時や運転時におけるトルクの作用などにより、
一部の弾性支持部材に過大な荷重が作用して、最悪の場
合には座屈による損傷を起こす可能性がある。
【0013】(4)さらに、短絡時や地震時には固定子
鉄心に過大な振動等の変位が発生する場合があるが、上
述したように弾性支持部材の曲げ剛性は低く設定される
ため、固定子鉄心を起立状態の弾性支持部材の上端部で
支持する従来の構成では、固定子鉄心の振動吸収方向、
つまり固定子鉄心の軸心と直交する方向に弾性支持部材
が大きく変位し、その弾性支持部材に過大な変形を与え
るおそれがある。そこで、これまでは、このような固定
子鉄心の過大な変位を防止するために、トルクロッドと
呼ばれる振れ止め機構を別に設ける場合が多い。この振
れ止め機構は、図示しないが例えば固定子鉄心の下側外
周面に、その固定子鉄心と軸心が直交する状態で接する
水平な円柱(ロッド)を、ステータフレームに固定設置
し、このロッドの抵抗によって固定子鉄心の過大な変位
を防止するものである。しかし、このようなトルクロッ
ドによる振れ止め機構を設ける場合には、その抵抗力を
確保するために、ステータフレームの強度をトルクロッ
ド取付け部分で補強する必要があり、それだけ構成が大
形、複雑化する。
【0014】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、その目的は、固定子鉄心の重量に起因して
弾性支持部材に作用する荷重を従来構造に比して大幅に
低減させ、それにより弾性支持部材の十分な薄肉化を可
能とし、固有振動数の低減により電磁振動に対する高振
動吸収機能が発揮できるようにすると同時に強度上の信
頼性を確保できるようにし、ひいては支持構成の簡易
化、支持位置調整の容易化、据付作業性の向上、高信頼
性等を達成できる回転電機の固定子支持構造を提供する
ことにある。
【0015】また、本発明の他の目的は、地震時あるい
は急激な熱変形等のように、円環振動以外の固定子に発
生する大きな径方向変位、または軸方向変位等に対して
も十分な強度あるいは対応性を有し、ステータフレーム
に余分な補強を施す必要もなく、回転電機全体としての
構成簡素化等も図れる回転電機の固定子支持構造を提供
することにある。
【0016】さらに、本発明の他の目的は、ステータフ
レームが一体型または分割型のいずれの場合において
も、固定子組立て作業が容易かつ円滑に、しかも各弾性
支持部材による荷重分担等の調節等も高精度で行える回
転電機の固定子組立て方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】発明者においては、前記
の目的を達成するために、弾性支持部材に固定子鉄心の
重量による張力のみを作用させ、これにより弾性支持部
材に求められる制約条件を引張強のみとし、圧縮荷重お
よび座屈荷重を発生させない構造とすれば、従来構造に
比してバネ板等の板厚をより小さく取ることができるこ
とに着眼した。
【0018】この着眼に基づき、請求項1の発明では、
固定子鉄心に巻線を施し全体として円筒状に構成される
固定子を、その内部に同心的に挿入される回転子ととも
に据付基礎上に軸心を水平にして配置し、前記据付基礎
上に設置したステータフレームによって前記固定子鉄心
を囲む構成とした回転電機にあって、前記ステータフレ
ームに取付けた複数の弾性支持部材で前記固定子鉄心の
外周部を支持することにより、前記固定子鉄心の円環振
動を吸収する固定子支持構造において、前記各弾性支持
部材は少なくとも前記固定子鉄心の径方向に沿う変位吸
収が可能な板状または棒状のものとし、この各弾性支持
部材によって前記固定子鉄心を吊下支持する構造とした
ことを特徴とする回転電機の固定子支持構造を提供す
る。
【0019】このような本発明の固定子支持構造によれ
ば、弾性支持部材に求められる制約条件は引張り荷重の
みとなり、圧縮荷重および座屈荷重を考慮する必要がな
い。バネ板等の弾性支持部材の引張強度は、圧縮強度お
よび座屈強度に比して大きいので、本発明の構造では従
来構造のよりも弾性支持部材の板厚を小さく設定するこ
とができる。また、板厚を小さくすることにより、弾性
支持部材の固有振動数を低減することができるので、従
来と同一の固有振動数を有する弾性支持部材を適用する
場合には、固定子鉄心の支持に必要な弾性支持部材の本
数を少なくすることができる。したがって、本発明によ
れば、固定子鉄心の電磁振動に対する高振動吸収機能が
発揮できると同時に、強度上の信頼性を確保できるよう
になる。また、圧縮荷重や座屈荷重等を考慮する必要が
ないことから、弾性支持部材に作用する荷重要素が減少
するので、複数箇所で支持する場合の各支持点における
荷重調整も容易となり、これにより支持構成の簡易化、
支持位置調整の容易化、据付作業性の向上等が図れる。
【0020】請求項2の発明では、固定子鉄心に巻線を
施し全体として円筒状に構成される固定子を、その内部
に同心的に挿入される回転子とともに据付基礎上に軸心
を水平にして配置し、前記据付基礎上に設置したステー
タフレームによって前記固定子鉄心を囲む構成とした回
転電機にあって、前記ステータフレームに取付けた複数
の弾性支持部材で前記固定子鉄心の外周部を支持するこ
とにより、前記固定子鉄心の円環振動を吸収する固定子
支持構造において、前記各弾性支持部材は少なくとも前
記固定子鉄心の径方向に沿う変位吸収が可能な板状また
は棒状のものとし、この各弾性支持部材の前記ステータ
フレームに対する取付け位置を前記固定子鉄心の重心よ
りも高い位置に設定する一方、この各弾性支持部材の前
記固定子鉄心に対する連結位置を前記固定子鉄心の重心
を含む水平面上の外周位置に設定することにより、前記
各弾性支持部材によって前記固定子鉄心を吊下支持する
構造としたことを特徴とする回転電機の固定子支持構造
を提供する。
【0021】本発明によれば、固定子鉄心を重心よりも
高い位置から弾性支持部材によって直接的に吊下支持す
る構造であるため、特に余分な連結部材を必要とするこ
となく、最も簡易な構成で前記の効果が得られる。
【0022】なお、弾性支持部材のステータフレームに
対する望ましい取付け高さ位置については、固定子鉄心
やステータフレームの構成あるいは据付条件等によって
異なる場合がある。
【0023】そこで、請求項3の発明では、固定子鉄心
に巻線を施し全体として円筒状に構成される固定子を、
その内部に同心的に挿入される回転子とともに据付基礎
上に軸心を水平にして配置し、前記据付基礎上に設置し
たステータフレームによって前記固定子鉄心を囲む構成
とした回転電機にあって、前記ステータフレームに取付
けた複数の弾性支持部材で前記固定子鉄心の外周部を支
持することにより、前記固定子鉄心の円環振動を吸収す
る固定子支持構造において、前記各弾性支持部材は少な
くとも前記固定子鉄心の径方向に沿う変位吸収が可能な
板状または棒状のものとし、この各弾性支持部材を前記
ステータフレームに垂下状態で取付ける一方、この各弾
性支持部材に対向させて前記固定子鉄心の重心を含む水
平面上の外周位置から高剛性の連結部材を垂下し、これ
ら弾性支持部材と連結部材とを互いに下端部同士で連結
することにより、前記各弾性支持部材によって前記固定
子鉄心を吊下支持する構造としたことを特徴とする回転
電機の固定子支持構造を提供する。
【0024】このような本発明の構造によれば、固定子
鉄心を吊下げる際に、連結部材を固定子鉄心の重心から
低い位置に一旦下げた位置に連結し、その位置から弾性
支持部材を立上げてステータフレーム側に接続するの
で、これら弾性支持部材および連結部材の長さ調節等に
よって、弾性支持部材のステータフレームに対する取付
け高さ位置を種々変更することができる。したがって、
固定子鉄心やステータフレームの構成あるいは据付条件
等に応じて最適な高さ位置を設定して吊下支持が行え
る。
【0025】ところで、固定子鉄心の重心高さと、弾性
支持部材のステータフレーム側への支持高さとが異なる
場合について詳細に観察すると、弾性支持部材に荷重作
用点と支持点との間の距離に基づいて曲げモーメントが
発生する。この曲げモーメントは、弾性支持部材のステ
ータフレームに対する支持部分の荷重設計に影響を及ぼ
し、それだけ構成、設計を複雑化する要素となり得る。
【0026】そこで、請求項4の発明では、請求項3記
載の回転電機の固定子支持構造において、弾性支持部材
のステータフレームに対する取付け位置を、固定子鉄心
の重心と同一高さ位置に設定したことを特徴とする回転
電機の固定子支持構造を提供する。
【0027】本発明によれば、固定子鉄心の重心高さと
弾性支持部材のステータフレーム側への取付け高さとが
同一高さとなる結果、その取付け位置への曲げモーメン
トの発生が消去できる。したがって、弾性支持部材を取
付け支持する部位の構造を簡素化することができる。ま
た、このような構造とすることにより、弾性支持部材の
取付け高さ位置が低下できる結果、取付け支持用の構造
物の高さを短縮して支持構造が小型化でき、構成および
設計の容易化も図れる。
【0028】一方、短絡時や地震時には、固定子鉄心に
電磁振動に比べて過大な振動荷重が作用する可能性があ
る。この場合、前述したように弾性支持部材の曲げ剛性
は低く設定されることから、固定子鉄心が水平方向に大
きく変形するおそれがある。従来技術では、トルクロッ
ドと呼ばれる振れ止め機構を別に設けていたが、発明者
の検討によれば、この振れ止め機構は弾性支持部材のス
テータフレームへの取付け部の構成で兼用することが可
能であるとの知見を得た。
【0029】この知見に基づき、請求項5の発明では、
請求項1から4までのいずれかに記載の回転電機の固定
子支持構造において、弾性支持部材はステータフレーム
に対して高剛性の支持基体を介して取付けられており、
この支持基体を荷重受け部として、固定子鉄心から前記
弾性支持部材側に向かう一定以上の径方向変位荷重を前
記固定子鉄心から直接に、または前記弾性支持部材を介
して受け止めてその変位を制止する振れ止め機構が構成
されていることを特徴とする回転電機の固定子支持構造
を提供する。
【0030】本発明によれば、弾性支持部材のステータ
フレームへの取付け部である高剛性の支持基体で振れ止
め部を用いて、短絡時や地震時の固定子鉄心の過大な振
動を防止することができる。したがって、従来構造にお
けるトルクロッドを使用した場合のようなステータフレ
ームへの余分な補強等を必要することがなく、構成の複
雑化、大型化等を防止することができる。
【0031】そして、この構成は特に請求項4の発明に
おける、弾性支持部材のステータフレームに対する取付
け位置を固定子鉄心の重心と同一高さ位置に設定する構
成において効果的なものとすることができる。
【0032】すなわち、請求項6の発明では、請求項4
記載の回転電機の固定子支持構造において、請求項5記
載の振れ止め機構は、弾性支持部材と連結部材との対向
面のうち少なくともいずれか一方の面で、かつ固定子鉄
心の重心と前記弾性支持部材のステータフレームに対す
る取付け部とを結ぶ線上で対向する部位に、その対向面
間に一定の間隔をあけた状態で設けられた荷重伝達用の
当接部を有することを特徴とする回転電機の固定子支持
構造を提供する。
【0033】このような本発明においては、固定子鉄心
の過大振動が、その固定子鉄心の重心と同一高さ位置に
ある当接部を介して高剛性の支持基体に直線的に伝達さ
れ、そこでの荷重受け作用によって振動抑止されるの
で、短絡時や地震時の固定子鉄心の過大な振動が、重心
高さ位置においてより効果的に防止される。
【0034】なお、以上の各発明において、弾性支持部
材や高剛性の連結部材の配置については、固定子鉄心の
径方向に順次に配置することが一般的と見られるが、こ
のような直列的な配置では全体として、固定子鉄心の径
方向に沿う長さが大きくなる可能性がある。
【0035】そこで、請求項7の発明では、請求項1か
ら6までのいずれかに記載の回転電機の固定子支持構造
において、固定子鉄心の少なくともいずれかの支持位置
に設けられる弾性支持部材または高剛性の連結部材は、
固定子鉄心の中心から略同一半径位置に並列に配置され
た1または2以上の弾性支持部材要素または連結部材要
素によって構成されていることを特徴とする回転電機の
固定子支持構造を提供する。
【0036】また、請求項8の発明では、請求項7記載
の回転電機の回転電機の固定子支持構造において、弾性
支持部材と連結部材とは相互に隣接する配置とされてい
ることを特徴とする回転電機の固定子支持構造を提供す
る。
【0037】このような構成にすれば、弾性支持部材や
高剛性の支持部材が固定子鉄心の周囲に沿って密に配置
されることになり、固定子鉄心の径方向に沿う長さを短
縮し、全体的な構成のコンパクト化が図れる。
【0038】次に、固定子鉄心は運転時に通電よって温
度が上昇するので、温度変化によっては軸方向に大きな
熱変形が発生する。このため、固定子鉄心を支持する弾
性支持部材についても固定子鉄心の軸方向に沿って大き
な荷重を受けることになる。発明者においては、弾性支
持部材がこの方向の荷重に対しても十分対応できれば、
構成的にさらに好ましいものとなるとの着想を得た。
【0039】この着想に基づき、請求項9の発明では、
請求項1から8までのいずれかに記載の回転電機の固定
子支持構造において、弾性支持部材のステータフレーム
への取付け部および固定子鉄心への連結部を、それぞれ
前記固定子鉄心の径方向に沿う軸を介して回動可能と
し、これにより前記弾性支持部材がリンク要素となるリ
ンク機構を構成して、前記弾性支持部材を前記固定子鉄
心の軸方向変位を許容し得るものとしたことを特徴とす
る回転電機の固定子支持構造を提供する。
【0040】本発明によれば、リンク機構によって軸方
向の変形を吸収することができるので、固定子鉄心の軸
方向の熱変形によって生じる弾性支持部材への荷重負担
を緩和することができる。
【0041】以上の請求項1から9までの発明におい
て、弾性支持部材の望ましい構成は、固定子鉄心の径方
向の変位方向の吸収特性の良好なものである。
【0042】そこで、請求項10の発明では、請求項1
から9までのいずれかに記載の回転電機の固定子支持構
造において、弾性支持部材は単一のバネ板によって、ま
たは積層された複数枚のバネ板によって構成されている
ことを特徴とする回転電機の固定子支持構造を提供す
る。
【0043】本発明において、弾性支持部材を単一のバ
ネ板によって構成する場合には、構成要素が少なく、部
品数の少ない簡便な構成のもとで、固定子鉄心の電磁振
動を効果的に吸収することができる。
【0044】一方、弾性支持部材を、積層された複数枚
のバネ板によって構成する場合には、下記の効果が奏さ
れる。
【0045】すなわち、板の曲げ剛性は断面2次モーメ
ントに比例するから、板厚の3乗に比例する。このた
め、同一の板厚でも複数の薄板に分割したものを積層構
造とすることで、曲げ剛性を大幅に低減することができ
る。分割したバネ板の板厚をt、幅をb、バネ板の長さ
をLとすると、例えば4枚のバネ板を合成した曲げ剛性
の値は4αE(bt3 /12)/L3 となる。ここにα
は境界条件によって決定される定数であり、Eはヤング
係数である。
【0046】また、これに対して同一の寸法の一枚のバ
ネ板(例えば厚さ4t、幅b、長さL)の曲げ剛性の値
はαE(b(4t)3 /12)/L3 =64αE(bt
3 /12)/L3 と4枚の場合の16倍の値になる。引
張り強度は断面積の合計に比例するから、両者は同一の
引張り強度を有することになる。
【0047】このように、弾性支持部材を複数枚の積層
されたバネ板で構成すれば、同一寸法、同一強度で非常
に低いバネ定数を有する支持構造を実現できる。そし
て、バネ定数を低く設定すれば固有振動数も低くできる
ので、電磁振動の振動数から大きく離調され、電磁振動
を一層低く抑制することができる。
【0048】請求項11の発明では、請求項10記載の
回転電機の固定子支持構造において、複数枚のバネ板の
間に、剪断変形可能な振動減衰材が圧入されていること
を特徴とする回転電機の固定子支持構造を提供する。
【0049】本発明によれば、積層された各バネ板に、
固定子鉄心側から伝達された振動によって横振動が発生
する場合、振動減衰材に剪断変形が生じて減衰効果をバ
ネ板に与えるので、振幅を低減することができる。な
お、振動減衰材としては、例えば防振ゴム等が適用でき
る。
【0050】さらに、本発明においては、弾性支持部材
自身によって固定子鉄心の径方向変位および軸方向変位
の両方向の変位を吸収し得る構成とすることが可能であ
る。すなわち、請求項12の発明では、請求項1から9
までのいずれかに記載の回転電機の固定子支持構造にお
いて、弾性支持部材は、横断面が円形または多角形状の
1または2以上の柱状部材によって構成されていること
を特徴とする回転電機の固定子支持構造を提供する。
【0051】このような本発明によれば、弾性支持部材
の横断面が各方向で均等またはそれに近い径を有するの
で、固定子鉄心の径方向および軸方向のいずれの電磁振
動にも追随して弾性変形することができ、これにより各
方向の振動吸収が弾性支持部材自体によって行える。2
以上の柱状部材を用いる場合、これらを固定子鉄心の軸
方向に沿って並列配置すれば、固定子鉄心の軸方向変位
に対しては剛性を維持する構成とすることができる。
【0052】以上の本発明の構成においては、固定子鉄
心を弾性支持部材によって吊下支持することに基づき、
クレーン等の吊り具によって弾性支持部材を吊下げた状
態として、下方に移動させながら位置調整を行うことが
可能であり、位置決め後に弾性支持部材のステータフレ
ーム側への取付けを行うことで、固定子鉄心の組立てを
容易に行うことができるが、発明者においては、さらに
好ましい構成および組立て方法に想到した。
【0053】すなわち、請求項13の発明では、請求項
1から12までのいずれかに記載の回転電機の固定子支
持構造において、各弾性支持部材のステータフレーム側
への取付け位置は、固定子鉄心の重心に対して等距離に
設定されていることを特徴とする回転電機の固定子支持
構造を提供する。
【0054】このような構成によれば、各弾性支持部材
を吊り具で吊り下げた状態において、各弾性支持部材に
作用する張力は均一となる。したがって、取付け位置ま
で下降した後に停止して、例えば弾性支持部材をボルト
等によって取付け部に締結すれば、吊り下げ開放後の状
態においても各弾性支持部材に発生する固定子鉄心の重
量による張力が均一な状態が保たれる。このため、弾性
支持部材に対する荷重を均等に分担させるのに個々の弾
性支持部材の高さ位置を微妙に調整する等の従来の多大
な労力や調整時間が不要となり、取付け作業を容易かつ
迅速に、しかも高調整精度の状態で行える。
【0055】請求項14の発明では、請求項13記載の
回転電機の固定子支持構造において、各弾性支持部材に
は、ステータフレーム側への取付け位置またはそれより
も高い位置に、吊り具による吊下げ可能な掛止部が設け
られていることを特徴とする回転電機の固定子支持構造
を提供する。
【0056】これにより、クレーン等の吊り具のワイヤ
等で、容易かつ確実に弾性支持部材を吊下げることがで
きる。すなわち、運搬が容易になるとともに、吊り具の
調節により固定子鉄心の高さ位置の設置も容易となり、
組立作業がより確実に行えるものとなる。
【0057】請求項15の発明では、請求項1から14
までのいずれかに記載の回転電機の固定子支持構造にお
いて、ステータフレームは、据付基礎上に設置されてそ
の上方に固定子鉄心を配置できる上面が開口した下部フ
レームと、この下部フレーム上に搭載されて前記固定子
鉄心を被覆できる上部フレームとを有する分割型とされ
ており、前記下部フレームに、弾性支持部材を上方から
の移動により着脱可能に取付けることができる高剛性の
支持基体その他の弾性支持部材取付け体が設けられてい
ることを特徴とする回転電機の固定子支持構造を提供す
る。
【0058】本発明によれば、分割型ステータフレーム
を有する回転電機について、上述した固定子鉄心の吊下
げおよびその後のボルト締結等による組立て作業が、弾
性支持部材取付け体を介して容易かつ確実に行えるもの
となる。
【0059】一方、回転電機では円筒型ステータフレー
ムのように固定子鉄心の上部が一体のフレームによって
覆われた構造を有するものがある。このような構造では
単に上方からの吊下げ作用では固定子鉄心の組立てを実
施することは困難である。
【0060】そこで、請求項16の発明では、請求項1
から14までのいずれかに記載の回転電機の固定子支持
構造において、ステータフレームは、据付基礎上に設置
されて内部に固定子鉄心を収容できる軸心が水平な筒状
の一体型とされており、このステータフレーム内に、弾
性支持部材を上方からの移動により着脱可能に取付ける
ことができる高剛性の支持基体その他の弾性支持部材取
付け体が設けられるとともに、前記ステータフレーム
に、前記弾性支持部材取付け体の上方をフレーム外側空
間に開放できる開口が形成されていることを特徴とする
回転電機の固定子支持構造を提供する。
【0061】本発明によれば、一体型のステータフレー
ムを有する回転電機について、そのステータフレームの
上方部分に形成した開口を介して、クレーン等のワイヤ
をフレーム内に導入することで、予めフレーム内に収納
しておいた固定子鉄心を、固定前の段階で一旦、開口を
介して導入したワイヤで吊り上げおよび吊り下げ等の作
用を行って取付け位置の調節等を行えるようにし、その
後ボルト締結等による組立て作業が容易かつ確実に行え
るようにしたものである。
【0062】以上の各構成のもとで、本発明ではそれぞ
れ分割型または一体型のステータフレームを有する回転
電機についての固定子組立てを、下記の方法で円滑に行
うことができる。
【0063】請求項17の発明では、請求項15記載の
回転電機の固定子支持構造を使用して、固定子を分割型
のステータフレームに組立てる方法において、前記ステ
ータフレームの上部フレームを非搭載状態とする一方、
前記固定子鉄心に各弾性支持部材を連結しておき、この
各弾性支持部材を吊り具のワイヤで吊下げた状態で前記
固定子鉄心を前記ステータフレームの下部フレーム上に
導入し、前記固定子鉄心の軸心を水平に調節するととも
に、前記各弾性支持部材を上方からの移動により各弾性
支持部材取付け体への取付け位置で停止させ、この状態
で前記各弾性支持部材の前記各弾性支持部材取付け体へ
の取付けを行った後、前記弾性支持部材から吊り具のワ
イヤを外して吊下げを解除することを特徴とする回転電
機の固定子組立て方法を提供する。
【0064】請求項18の発明では、請求項16記載の
回転電機の固定子支持構造を使用して、固定子を一体型
のステータフレームに組立てる方法において、予め前記
固定子鉄心を前記ステータフレーム内に収容するととも
に、その固定子鉄心に各弾性支持部材を連結しておき、
この状態で前記ステータフレーム内にその開口を介して
上方から吊り具のワイヤを導入して前記各弾性支持部材
を一旦吊上げ、その後吊下げを行って前記固定子鉄心の
軸心を水平に調節するとともに、前記各弾性支持部材を
各弾性支持部材取付け体への取付け位置で停止させ、こ
の状態で前記各弾性支持部材の前記各弾性支持部材取付
け体への取付けを行った後、前記弾性支持部材から吊り
具のワイヤを外して吊下げを解除し、前記ワイヤ等を前
記開口を介して外部に導出することを特徴とする回転電
機の固定子組立て方法を提供する。
【0065】このような請求項17および18の発明に
より、ステータフレームが一体型または分割型のいずれ
の場合においても、固定子組立て作業が容易かつ円滑
に、しかも各弾性支持部材による荷重分担等の調節等も
高精度で行える。
【0066】さらに、請求項19の発明では、請求項1
3記載の回転電機の固定子支持構造を使用して、請求項
17または18記載の固定子組立て方法を実施する場合
において、固定子鉄心の軸心の対象位置に配置される1
対の弾性支持部材を吊下げるための吊り具として、案内
輪により長さ方向に移動自在に支持された1本のワイヤ
を有するものを適用し、前記1対の弾性支持部材を前記
1本のワイヤの両端部によって吊下げることを特徴とす
る回転電機の固定子組立て方法を提供する。
【0067】本発明によれば、固定子鉄心の両側で同一
ワイヤの各端を使用して吊り下げるので、ワイヤが案内
輪によって誘導されて両単側の弾性支持部材に作用する
荷重が自動的に同一に設定される。したがって、各弾性
支持部材張力は均一に保たれるので、組み立て時の調整
がより簡単化される。
【0068】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る回転電機の固
定子支持構造および固定子組立て方法の実施形態につい
て、図面を参照して説明する。
【0069】第1実施形態(図1〜図5) 図1は本発明の第1実施形態による固定子支持構造を適
用した回転電機の全体構成を示す正面図であり、図2は
図1の側面図である。図3は固定子支持構造部分を拡大
して示す要部正面図であり、図4は同じく要部斜視図で
ある。図5は固定子鉄心の取付け方法を説明するための
図である。
【0070】これらの図に示すように、本実施形態の回
転電機11では据付基礎12上にステータフレーム13
が設置してあり、このステータフレーム13内に回転子
14および固定子15が軸心を水平にして同心的に配置
されている。本実施形態では、ステータフレーム13が
上下分割型のもので、据付基礎12上に固定される下部
フレーム13aと、この下部フレーム13a上に搭載さ
れる図示しない上部フレームとからなっている。
【0071】固定子15は多数の薄い鋼板を積層し、全
体として円筒状に構成した固定子鉄心16に巻線を施し
たもので、この固定子鉄心16の円筒の外周面側に軸方
向に沿って取付けた複数のリブ17によって各鋼板が軸
方向に圧接固定されている。各リブ17のさらに外周側
には、軸方向に間隔的に複数のリング状の押え板が溶接
されている。これにより、固定子鉄心16の外周部にリ
ブ17および押え板18が一体的に固着され、固定子全
体が円筒形状に保持されている。そして、固定子鉄心1
6の重心を含む水平面上の外周位置、すなわち押え板1
8の外周部の上下方向中間位置に、それぞれ固定子鉄心
16の軸心と平行な1対の高剛性の連結部材19が水平
に固着してある(以下、この連結部材を横方向連結部材
19という)。この横方向連結部材19は、例えば縦断
面が長方形状のもので、略横半分が押え板18に食い込
んだ状態で固定され、他の横半分が外部に表出してお
り、その表出した縦外面が略垂直となっている。
【0072】一方、ステータフレーム13の下部フレー
ム13aには、水平な台座20をそれぞれ介して、後述
する弾性支持部材を取付けるための弾性支持部材取付け
体、すなわち複数(例えば4個)の高剛性の支持基体2
1が立設してある。これらの支持基体21は、固定子鉄
心16の軸心を挟む両外側位置に、それぞれ固定子鉄心
16の軸方向に間隔をあけて1対ずつ配置されている。
各支持基体21は、固定子鉄心16の外周面に一側面を
向けた状態でそれぞれ台座20上から垂直に立上がる長
方形状の支持縦板22と、この各支持縦板22の他側面
に交差状態で溶接された補強板23とからなっており、
各支持縦板22の上端部が補強板23よりも高く突出し
ている。さらに、これらの支持縦板22の上端部は固定
子鉄心16の重心Gよりも高い位置に配置され、かつ下
端部は固定子鉄心16の重心Gよりも低い位置に配置さ
れている。そして、固定子鉄心16に対向する支持縦板
22の一側面が鉛直面としてあり、下記の弾性支持部材
を上方からの移動により着脱可能に取付けることができ
るようになっている。また、支持基体21には、固定子
鉄心16から例えば地震等の振動によって水平方向荷重
を受けた場合に、その荷重を受けて固定子鉄心16を制
止し得る強度が設定してある。
【0073】これら各支持基体21の支持縦板22に、
固定子鉄心16の電磁振動(円環振動)を吸収するため
の弾性支持部材として、固定子鉄心16を吊下状態で支
持する単一のバネ板24がそれぞれ取付けられている。
このバネ板24は、例えば低炭素鋼等の弾性材によって
構成された縦長な長方形板状のものであり、上下の端部
側が厚肉で中間部分が薄肉に形成され、板厚方向に沿う
一側面が固定子鉄心16の径方向に向けられ、固定子鉄
心16の径方向に沿って弾性変形が可能となっている。
【0074】このバネ板24の肉厚の大きい上端側部分
の他側面が、支持縦板22の上端の一側面に剛性板から
なるスペーサ25を介して接合され、複数のボルト26
によって締結固定してある。このボルト26による支持
縦板22への取付け部、つまりステータフレーム13側
への取付け部が、固定子鉄心16の重心Gよりも高い位
置に設定してある。なお、スペーサ25は各種板厚のも
のの中から選定され、バネ板24を垂直配置するために
最適な厚さのものが使用される。さらに、各バネ板24
のステータフレーム13側への取付け位置は、固定子鉄
心16の重心Gに対してそれぞれ等距離に設定されてい
る。これにより、下記の吊下状態において固定子鉄心1
6の荷重が、各バネ板24にそれぞれ均等な引張り荷重
として作用するようにしてある。
【0075】各バネ板24の肉厚の大きい下端部の一側
面は、固定子鉄心16の外周部に配置された横方向連結
部材19の垂直な外面に接合され、複数のボルト27で
締結してある。これにより、バネ板24の横方向連結部
材19への締結部、つまり固定子鉄心16側への連結部
が、固定子鉄心16の重心Gと同一高さに設定してあ
る。そして、各バネ板24によって固定子鉄心16がそ
の重心Gよりも高い位置からその重心高さ位置を吊り下
げられた支持状態となり、運転時に回転子磁極の磁気吸
引力によって固定子鉄心16に生じる電磁振動、すなわ
ち円環振動が吸収できるようになっている。この場合、
各バネ板24の下端部の他側面側のボルト27頭部と、
支持縦板22の一側面との間には、一定の隙間が設定さ
れており、その隙間分に相当する固定子鉄心16の振動
振幅の範囲で振動吸収が可能である。この隙間寸法を超
えた固定子鉄心16の径方向の振動等による変位が発生
した場合には、その変位荷重が支持縦板22によって受
け止められる。つまり、支持縦板22を含む支持基体2
1が荷重受け部となり、固定子鉄心16からバネ板24
側に向かう一定以上の径方向変位荷重が、固定子鉄心1
6からバネ板24を介して受け止められてその変位を制
止する振れ止め機構29が構成されている。なお、この
当接部位に荷重受け用の板材等を設けた構成とすれば、
振れ止め機構29の構造強度が増す(後述する図7参
照)。
【0076】なお、図3および図4に示すように、バネ
板24の上端部の他側面には、ステータフレーム13側
への取付け部よりも高い位置に、クレーン等の吊り具に
よる吊り下げが可能な掛止部、例えばワイヤ掛止用の横
長円柱上の吊り耳28が突設してある。
【0077】次に、作用を説明する。
【0078】上述した本実施形態の支持構造によると、
バネ板24のステータフレーム13取付け部である上端
側が、固定子鉄心16の重心の高さよりも高い位置に設
定されているので、バネ板24には固定子鉄心16の重
量によって張力が作用する。したがって、バネ板24に
求められる制約条件は引張り荷重のみとなり、従来構造
と異なり圧縮荷重および座屈荷重を考慮する必要がな
い。このバネ板24の引張強度は、圧縮強度および座屈
強度に比して大きいので、本実施形態の構造では従来構
造に比してバネ板24の板厚を小さく設定することがで
きる。また、圧縮荷重や座屈荷重等を考慮する必要がな
いことから、バネ板24に作用する荷重要素が減少する
ので、複数箇所で支持する場合の各支持点における荷重
調整も容易となり、これにより支持構成の簡易化、支持
位置調整の容易化、据付作業性の向上等が図れる。
【0079】また、固定子鉄心16に発生する電磁振動
(円環振動)を有効に吸収させるためには、固定子鉄心
16とバネ板24とによって形成される力学系の固有振
動数を、電磁振動の振動数(回転電機11の電源周波数
に一致する)から十分に低い値に設定する必要がある。
この固有振動数はバネ板24の板厚によって決定される
ので、バネ板24の板厚は固定子鉄心16の重量を支持
するのに必要な強度の範囲で、極小値を取るものに設定
することが望ましい。そのとき、従来技術ではバネ板に
固定子鉄心の自重が圧縮加重として作用するので、圧縮
荷重に対する制約条件が加わる。そして、圧縮強度より
も座屈荷重の方が制限が厳しく、バネ板の板厚は座屈荷
重によって決定されるが、板厚を小さくすると座屈荷重
が減少するので、従来技術の場合には板厚を厚く取らざ
るを得ない。また、容量が拡大すると固定子鉄心も重量
化するので、バネ板の数量を拡大して対応する必要があ
る。
【0080】これに対して、本実施形態による制約条件
は引張強さであり、引張強度の範囲で板厚の最小化を図
ることになるが、座屈荷重に比べて引張強さは大きいの
で、上述したように、バネ板24の板厚をより小さく設
定することができる。そして、板厚を小さくすることに
より、バネ板24の固有振動数を低減することができる
ので、従来と同一の固有振動数を有するバネ板24を適
用する場合には、固定子鉄心16の支持に必要なバネ板
24の数を少なくすることができる。すなわち、本実施
形態によれば、固定子鉄心16の電磁振動に対する高振
動吸収機能が発揮できると同時に、強度上の信頼性を確
保できるようになる。
【0081】また、本実施形態によれば、固定子鉄心1
6を重心Gよりも高い位置からバネ板24によって重心
高さ位置を直接的に吊下支持する構造であるため、支持
高さ調整用等の余分な連結部材を必要とすることなく、
部品数の少ない簡易な構成のもとで固定子鉄心16の電
磁振動を効果的に吸収することができる。特に、弾性支
持部材を単一のバネ板24によって構成した本実施形態
では、弾性支持部材自体の構成要素も少ないものとな
る。
【0082】一方、短絡時や地震時には、固定子鉄心1
6に電磁振動に比べて過大な振動荷重が発生する可能性
がある。この場合、バネ板24の曲げ剛性は低く設定さ
れることから、固定子鉄心16が水平方向に大きく変形
するおそれがある。従来技術では、トルクロッドと呼ば
れる振れ止め機構を別に設けてステータフレームへの余
分な補強等を必要としたが、発実施形態では振れ止め機
構29が、高剛性の支持基体21を荷重受け部として、
固定子鉄心16から板バネの下端部側に向かう一定以上
の径方向変位荷重をバネ板24を介して受け止める構
成、つまりバネ板24の支持基体21への取付け部で兼
用した構成となっている。したがって、短絡時や地震時
に固定子鉄心16に生じる過大な振動に対しても、ステ
ータフレーム13に特別の補強等を必要することもな
く、構成の簡素化、小型化等が図れるようになる。
【0083】次に、図5を参照して、固定子鉄心16の
取付け方法について説明する。なお、本実施形態では前
述したように、上下分割型のステータフレーム13を使
用しており、固定子鉄心16の取付け作用は、上側フレ
ームを取り外した状態で行う。
【0084】図5に示すように、本実施形態では固定子
鉄心16を吊るための吊り具として、例えばクレーン5
1を使用する。このクレーン51は、主ワイヤ52の下
端に固定子鉄心16の外径よりも長い水平な吊りアーム
53を連結したもので、その吊りアーム53の両端のフ
ック54に長さの等しい子ワイヤ55をそれぞれ吊り下
げであり、これらの子ワイヤ55の下端に、バネ板24
の上端に設けた吊り耳28を着脱可能に掛止することが
できる。
【0085】そして、固定子鉄心16取付けの際には、
予め固定子鉄心16に横方向連結部材19を介して各バ
ネ板24を連結した状態としておき、この固定子鉄心1
6を図示しない所定の待機位置に配置する一方、ステー
タフレーム13には、下部フレーム13aの台座20上
に支持基体21である支持縦板22を補強板23ととも
に取付けておく。
【0086】この状態において、待機位置で各バネ板2
4の吊り耳28にクレーン51の子ワイヤ55をそれぞ
れ掛け、バネ板24を介して固定子鉄心16を吊上げ、
クレーン移動により固定子鉄心16をステータフレーム
13の下部フレーム13a上に搬送して降下させる。こ
の場合、固定子鉄心16の軸心を水平に調節し、各バネ
板24を上方からの移動により各支持縦板22への取付
け位置に位置決めして停止させる。この状態で、スペー
サ25を介して各バネ板24を各支持縦板22にボルト
締結して固定する。これにより、固定子鉄心16が支持
基体21に各バネ板24によって吊下状態で支持され
る。そして、ボルト締結終了後は、各バネ板24の吊り
耳28から子ワイヤ55を外し、クレーン51による吊
下げを解除する。
【0087】このような組立て方法によれば、吊り耳2
8に子ワイヤを掛止してバネ板24ごと固定子鉄心16
をクレーン51で吊り下げることができるので、運搬と
ともにクレーン51の調節により固定子鉄心16の取付
け高さが設定でき、組立作業が容易に行える。
【0088】そしてこの場合、本実施形態においては前
述したように、各バネ板24のステータフレーム13側
への取付け位置が固定子鉄心16の重心Gに対してそれ
ぞれ等距離に設定されていることにより、吊下状態にお
いて固定子鉄心16の荷重が各バネ板24にそれぞれ均
一な引張り荷重として作用する設定にしてある。したが
って、固定子鉄心16を取付け位置まで下降した後に停
止し、バネ板24をボルト26によって取付け部に締結
すれば、吊り下げ開放後の状態においても各弾性支持部
材に発生する固定子鉄心16の重量による張力が均一な
状態が保たれる。このため、弾性支持部材に対する荷重
を均等に分担させるのに個々の弾性支持部材の高さ位置
を微妙に調整する等の従来の多大な労力や調整時間が不
要となり、取付け作業を容易かつ迅速に、しかも高調整
精度のもとで行える。よって、本実施形態の組立て方法
によれば、クレーンによる水平位置の調節だけで、バネ
板24の荷重分担を均等に配分でき、極めて容易に固定
子の組立てが完了できる。
【0089】第2実施形態(図6〜図9) 図6は本発明の第2実施形態による固定子支持構造を示
す要部拡大図であり、図7,図8および図9は、図6に
示した構造の応用例を示す図である。
【0090】本実施形態の固定子支持構造は、バネ板2
4による固定子鉄心16の吊下高さおよび形態を前記第
1実施形態の構造から変更したものである。他の構成に
ついては、第1位実施形態と略同様である。
【0091】すなわち、本実施形態では図6に示すよう
に基本的に、バネ板24の上端側を支持縦板22に垂下
状態で取付ける一方、このバネ板24に対向させて固定
子鉄心16の重心Gを含む水平面A上の外周位置から縦
長な高剛性の連結部材30(以下、縦方向連結部材30
という)を垂下し、これらバネ板24と縦方向連結部材
30とを互いに下端部同士で連結することにより、各バ
ネ板24によって固定子鉄心16を吊下支持する構造と
したものである。
【0092】具体的には、固定子鉄心16の重心Gを含
む水平面A上の外周位置、すなわち押え板18の外周部
の上下方向中間位置に設けた横方向連結部材19の縦外
面に、縦方向連結部材30の上端部の一側面を固定して
垂直に立ち下げてある。一方、バネ板24の上端側の他
側面をスペーサ25を介して支持縦板22の一側面に接
合してボルト26により締結して取付け、この取付け位
置を固定子鉄心16の重心Gと同一高さ位置に設定して
ある。そして、これらバネ板24の下端部の一側面と縦
方向連結部材30の他側面の下端部とをスペーサ31を
介して接合し、これらをボルト32で連結することによ
り、各バネ板24によって固定子鉄心16を吊下支持す
る構造としてある。なお、図示を省略しているが、バネ
板24の上端部は第1実施形態と同様に上方に突出し、
その部位に吊り耳が設けられる(下記の各実施形態の場
合も同様である)。
【0093】このような構成の本実施形態によれば、上
述した第1実施形態の作用に加えて、下記の効果が奏さ
れる。
【0094】すなわち、上述した第1実施形態の場合に
は、固定子鉄心16の重心高さとバネ板24のステータ
フレーム13側への支持高さとが異なる結果、バネ板2
4に荷重作用点と支持点との間の距離に基づいて曲げモ
ーメントが発生する。この曲げモーメントは、バネ板2
4のステータフレーム13に対する支持部分の荷重設計
に影響を及ぼし、それだけ構成、設計を複雑化する要素
となり得る。
【0095】これに対し、本実施形態によれば、固定子
鉄心16の重心高さとバネ板24のステータフレーム1
3側への取付け高さとが同一高さとなる結果、その取付
け位置への曲げモーメントの発生が消去できる。したが
って、バネ板24を取付け支持する部位の構造を簡素化
することができる。また、このような構造とすることに
より、バネ板24の取付け高さ位置が低下できる結果、
取付け支持用の構造物の高さを短縮して支持構造が小型
化でき、構成および設計の容易化も図れる。
【0096】なお、本実施形態の構造によれば、固定子
鉄心16を吊下げる際に、縦方向連結部材30を固定子
鉄心16の重心Gから低い位置に一旦下げた位置で連結
し、その位置からバネ板24を立上げてステータフレー
ム13側に接続するので、これらバネ板24および縦方
向連結部材30の長さ調節等によって、バネ板24のス
テータフレーム13に対する取付け高さ位置を種々変更
することもできる。したがって、固定子鉄心16やステ
ータフレーム13の構成あるいは据付条件等に応じて最
適な高さ位置を設定して吊下支持が行える等の利点も得
られる。
【0097】次に図7、図8、図9の応用例について説
明する。
【0098】図7に示した第1の応用例は、図6の構成
に振れ止め機構29を加えたものである。
【0099】すなわち本例では、バネ板24と縦方向連
結部材30との対向面のうち、少なくともいずれか一方
の面で、かつ固定子鉄心16の重心Gとバネ板24のス
テータフレーム13に対する取付け部とを結ぶ線上で対
向する部位に、その対向面間に一定の間隔をあけた状態
で設けられた荷重伝達用の当接部を有する構成とし、こ
れにより振れ止め機構29を形成している。具体的に
は、図7に示すように、バネ板24の上端部の一側面側
と、縦方向連結部材30の上端部の他側面との対向面部
に一定の隙間が設定されており、その隙間部位におい
て、バネ板24に縦方向連結部材30との当接部となる
振れ止め板33が取付けてある。同様に、バネ板24の
下端部の他側面側と、支持縦板22の一側面との間にも
振れ止め板33が取付けてある。
【0100】このような構成によれば、前記の隙間寸法
を超えた固定子鉄心16の径方向の振動等による変位が
発生した場合、縦方向連結部材30が振れ止め板33に
当接し、固定子鉄心16の変位荷重がバネ板24を介し
て支持縦板22によって受け止められる。同様に、バネ
板24の下端部の振れ止め板33が支持縦板22に当接
することによっても、振れ止めが行われる。つまり、支
持縦板22を含む支持基体21が荷重受け部となり、固
定子鉄心16からバネ板24側に向かう一定以上の径方
向変位荷重が、固定子鉄心16の重心Gとバネ板24の
取付け高さとを結ぶ水平面A上およびその下方で受け止
められ、その変位が制止される。
【0101】したがって、本例によれば、固定子鉄心1
6の過大振動が、その固定子鉄心16の重心Gと同一高
さ位置およびその下方にある振れ止め板を介して高剛性
の支持基体21に直線的に伝達され、そこでの荷重受け
作用によって振動抑止されるので、短絡時や地震時の固
定子鉄心16の過大な振動が、重心高さ位置およびその
下方において、より効果的に防止される。すなわち、従
来構造におけるトルクロッドを使用した場合のようなス
テータフレーム13への余分な補強等を必要することが
なく、構成の複雑化、大型化等を防止することができる
ことは第1実施形態と同様であるが、本例では、バネ板
24のステータフレーム13に対する取付け位置を固定
子鉄心16の重心Gと同一高さ位置に設定した小型な構
成のもとで、過大振動等を防止できるという効果が得ら
れる。
【0102】図8に示した第2の応用例は、バネ板24
および縦方向連結部材30の配置構成についてのコンパ
クト化を図ったものである。
【0103】すなわち、図6および図7に示した構成で
は、バネ板24や縦方向連結部材30が固定子鉄心16
の径方向に順次に配置されており、このような直列的な
配置では全体として、固定子鉄心16の径方向に沿う長
さが大きくなる可能性がある。
【0104】そこで本例では、バネ板24または縦方向
連結部材30を、固定子鉄心16の中心から略同一半径
位置に並列に配置された1または2以上のバネ板要素ま
たは連結部材要素によって構成したものである。具体的
には図8に示すように、1つのバネ板24を挟む配置で
1対の縦方向連結持部材30a,30bを配置し、これ
らバネ板24および両縦方向連結持部材30a,30b
の下端部同士を、固定子鉄心16に連結した横方向連結
部材19とは異なる第2の横方向連結部材34によって
連結してある。なお、固定子鉄心16に連結した横方向
連結部材19には、両縦方向連結持部材30a,30b
の上端部が連結してある。
【0105】このような構成によると、バネ板24と縦
方向連結部材30とを並べた状態で配置できるので、図
6および図7の構成と比較して水平方向の寸法を節約す
ることができ、それにより構造の小型化が図れる。換言
すると、バネ板24および縦方向連結部材30の少なく
ともいずれかを複数とする構成において、固定子鉄心1
6の周囲に沿って密に配置でき、固定子鉄心16の径方
向に沿う長さを短縮し、全体的な構成のコンパクト化が
図れる。
【0106】図9に示した第3の応用例も、バネ板24
および縦方向連結部材30の配置構成についてのコンパ
クト化を図ったものであるが、本例では、支持基体21
とともにバネ板24が複数(1対)並列的に配置され、
これらのバネ板24の間に1つの縦方向連結部材30が
配置されている。そして、これらの両バネ板24および
1つの縦方向連結持部材30の下端部同士を、固定子鉄
心16に連結した横方向連結部材19とは異なる第2の
横方向連結部材34によって連結してある。なお、両バ
ネ板24と第2の横方向連結部材34との連結部間に
は、振動吸収用隙間を確保するためにスペーサ35を介
在してある。そして、縦方向連結持部材30の上端部
が、固定子鉄心16に連結した横方向連結部材19に対
して連結してある。
【0107】このような構成によっても、図8の例と同
様の効果が奏されるが、本例では複数のバネ板24を同
一支持位置に配置する場合に、構成のコンパクト化を図
るうえで好適なものとなる。
【0108】第3実施形態(図10〜図12) 本実施形態は、弾性支持部材の変形例についてのもので
ある。図10、図11および図12はそれぞれ異なる構
成を示している。
【0109】図10の例では、弾性支持部材が、積層さ
れた複数枚、例えば4枚のバネ板24aによって構成さ
れている。各バネ板24aは、前記第1、第2実施形態
で示したバネ板24を薄形とした構成のもので、それぞ
れ上下端部が厚肉状とされ、中間部が薄肉状とされてい
る。各バネ板24aの中間部の間には隙間36が形成さ
れている。なお、各バネ板24aの上下端部の両側面に
はそれぞれ段部37が形成され、これらの段部37を介
して位置ずれなく整合状態で積層できるようにしてあ
る。そして、積層状態において、各バネ板24aの上下
端部がそれぞれスペーサ25を介して支持縦板22およ
び横方向連結部材19に接合され、ボルト26によって
連結してある。なお、図示の板バネ24aは、第1実施
形態と同様に、支持縦板22に対する取付け位置が固定
子鉄心16の重心Gよりも高い配置としてあるが、第2
実施形態のように、固定子鉄心16の重心Gと支持縦板
22に対する取付け位置とが同一高さに配置される構成
としてもよい。また、図示しないが、吊り耳を設ける構
成としてもよいことは勿論である。
【0110】本実施形態によれば、下記の効果が奏され
る。
【0111】すなわち、板の曲げ剛性は断面2次モーメ
ントに比例するから、板厚の3乗に比例する。このた
め、同一の板厚でも複数の薄板に分割したものを積層構
造とすることで、曲げ剛性を大幅に低減することができ
る。分割したバネ板24aの板厚をt、幅をb、バネ板
の長さをLとすると、本実施形態のように4枚のバネ板
24aを合成した曲げ剛性の値は4αE(bt3 /1
2)/L3 となる。ここにαは境界条件によって決定さ
れる定数であり、Eはヤング係数である。
【0112】また、これに対して同一の寸法の一枚のバ
ネ板(例えば厚さ4t、幅b、長さL)の曲げ剛性の値
はαE(b(4t)3 /12)/L3 =64αE(bt
3 /12)/L3 と4枚の場合の16倍の値になる。引
張り強度は断面積の合計に比例するから、両者は同一の
引張り強度を有することになる。
【0113】このように、弾性支持部材を複数枚の積層
されたバネ板24aで構成すれば、同一寸法、同一強度
で非常に低いバネ定数を有する支持構造を実現できる。
そして、バネ定数を低く設定すれば固有振動数も低くで
きるので、電磁振動の振動数から大きく離調され、電磁
振動を一層低く抑制することができる。
【0114】図11の例は、バネ板24aの弾性をさら
に低く設定して、電磁振動を一層低減するものである。
すなわち、本例では、積層されるバネ板24aをさらに
薄い多数枚(n枚)のものとしてある。図示の例では、
各バネ板24aを上下端に亘って同一厚さとし、押さえ
板38によって上下端を支持縦板22および横方向連結
部材19に保持し、その状態でボルト26による締結を
行ってある。
【0115】このような構成によると、バネ板をn枚に
分割することにより、これらの総合厚さが同一となる単
一のバネ板の場合に比較して、曲げ剛性が1/n2 に低
減できるので、バネ板を積層構造として枚数を増やすこ
とにより、曲げ剛性を一層小さくすることができる。
【0116】図12の例は、複数枚のバネ板26aの間
に、剪断変形可能な振動減衰材39をそれぞれ圧入した
ものである。本例では、図10に示した構成をベースと
しており、各バネ板24aの中間部分の隙間36にそれ
ぞれ振動減衰材39が挿入してある。なお、振動減衰材
39としては、例えば防振ゴム等が適用される。その他
の構成は、図10に示したものと略同様である。
【0117】このような構成によると、積層された各バ
ネ板24aに、固定子鉄心16側から伝達された振動に
よって横振動が発生する場合、振動減衰材39に剪断変
形が生じて減衰効果をバネ板24aに与えるので、振幅
を低減することができる。
【0118】第4実施形態(図13) 本実施形態は、固定子鉄心の軸方向に沿う熱変形によっ
て生じる弾性支持部材の荷重を緩和するために、弾性支
持部材を、固定子鉄心の軸方向に沿う変形荷重に対して
対応できる支持構成としたものである。図13はこの構
成例を示す斜視図である。
【0119】図13に示すように、本実施形態では弾性
支持部材を第1実施形態と同様に、1枚のバネ板24に
よって構成し、このバネ板24を固定子鉄心の軸方向a
に沿って2体、互いに並列的に配置してある。これらの
各バネ板24の厚肉状の上下端部に、固定子鉄心の径方
向に沿う水平な軸受孔40を形成し、その各軸受孔40
にそれぞれ支軸41を挿通してある。一方、支持基体2
1の支持縦板22は第1実施形態の場合と異なり、水平
面で90°回転させた角度、つまり各側面を固定子鉄心
の軸方向aと平行な配置として1対、間隔的に配置して
ある(図13では一方のみ示してある)。そして、各支
持縦板22の上端部間に軸受フレーム42を架設し、こ
の軸受けフレーム42によって、各バネ板24の上端部
に挿通した支軸41を回転自在に支持している。各バネ
板24の下端部の支軸41は、それぞれスペーサ35を
介して横方向連結部材34に回転自在に支持してある。
【0120】これにより、本実施形態では、各バネ板2
4がステータフレームへの取付け部である支持縦板22
と、固定子鉄心16への連結部である横方向連結部材3
4に、それぞれ固定子鉄心16の径方向に沿う支軸41
を介して回動可能に支持され、これにより各バネ板24
がリンク要素となるリンク機構を構成し、各リンク要素
の回動によってバネ板24が固定子鉄心16の軸方向変
位を許容できるようになっている。
【0121】本実施形態の作用を説明すると、下記の通
りである。すなわち、固定子鉄心16は運転時の通電よ
って温度上昇するので、温度変化によっては軸方向に大
きな熱変形が発生する。このため、固定子鉄心16を支
持する各バネ板24についても固定子鉄心の軸方向に沿
って大きな荷重を受けることになる。
【0122】これに対し、本実施形態の構成によれば、
リンク機構による支軸41まわりの回転で変形を吸収す
ることができるので、固定子鉄心16の軸方向aの熱変
形によって生じる弾各バネ板24への荷重負担を緩和す
ることができる。なお、固定子鉄心16の径方向に沿う
水平振動に対しては、各バネ板24が同方向に対して剛
構造となっているので、その振動は中間の薄肉状部分の
弾性変形によって吸収することができる。
【0123】第5実施形態(図14) 本実施形態は、弾性支持部材自身によって固定子鉄心の
径方向変位および軸方向変位の両方向の変位を吸収し得
る構成としたものである。図14は本実施形態による弾
性支持部材の構成を示す斜視図である。
【0124】図14に示すように、本実施形態では、第
1実施形態と略同様の回転電機の固定子支持構造におい
て、弾性支持部材が横断面円形の垂直な複数(4本)の
柱状部材43によって構成されている。すなわち、各柱
状部材43は固定子鉄心16の軸方向aに沿って並列に
配置され、その各柱状部材43の上端が1つの水平な上
部取付板44に固定され、この上部支持板44がスペー
サ25を介して支持縦板22に固定されている。また、
各柱状部材43の下端部は、1つの水平な下部取付板4
5の上面側に形成した上端開口の円形穴46に緩い状態
で挿入され、その各円形穴46の底部でねじ込み等によ
って連結してある。そして下部取付板45が横方向連結
板部材34に連結され、これにより、前記各実施形態と
同様の吊下状態で固定子鉄心16が支持されている。
【0125】このような本実施形態の構成によると、柱
状部材43は横断面の各方向に弾性変形が可能であるこ
とから、固定子鉄心16の径方向変位および軸方向変位
の両方向の変位を吸収することが可能である。したがっ
て、各柱状部材43の曲げ剛性を小さく設定し、これら
を集合させることにより、固定子鉄心16の電磁振動お
よび各方向に沿う変位吸収用として効果的に適用するこ
とができる。なお、柱状部材43の断面は円形に限ら
ず、多角形とすることも可能である。
【0126】第6実施形態(図15) 本実施形態は、第1実施形態で説明した固定子組立て方
法の応用例についてのものであり、図15は本実施形態
による方法を説明するための図である。
【0127】本実施形態では、固定子鉄心16の軸心の
対象位置に配置される1対のバネ板24を吊下げるため
の吊り具として、案内輪47により長さ方向に移動自在
に支持された1本のワイヤ48を子ワイヤとして適用
し、1対のバネ板24を1本のワイヤ48の両端部によ
って吊下げるようにしている。その他については、図5
の説明と同様である。
【0128】本実施形態によれば、固定子鉄心16の両
側で同一ワイヤ48の各端を使用して吊り下げるので、
ワイヤ48が案内輪47によって誘導されて両単側のバ
ネ板24に作用する荷重が自動的に同一に設定される。
したがって、各バネ板24の張力は均一に保たれるの
で、吊り耳28が固定子鉄心16の重心Gから等距離に
設定されていれば、固定子鉄心16の軸心を自動的に水
平に設定することが可能となる。そこで、この状態で位
置合わせを行って支持縦板22にスペーサ25を介して
ボルト26でバネ板24を固定する。ボルト26の締結
後、ワイヤ48を吊り耳28から取外して固定子鉄心1
6の組み立てを完了する。
【0129】本実施形態によれば、一本のワイヤ48で
吊り下げることから、バネ板24の張力が均一に保たれ
るので、組み立て時の調整がより簡単化できる。
【0130】第7実施形態(図16) 本実施形態は、第1実施形態で説明した固定子組立て方
法を一体型のステータフレームを有する回転電機に適用
する場合についてのものであり、図16は本実施形態に
よる方法を説明するための図である。
【0131】予め円筒状に構成される一体型のステータ
フレーム49の場合、固定子鉄心16を外部上方からフ
レーム49内に吊り下ろすことはできない。そこで、本
実施形態では、ステータフレーム49の構成および固定
子取付方法を工夫している。
【0132】すなわち、本実施形態では図16に示すよ
うに、ステータフレーム49が、据付基礎12上に設置
されて内部に固定子鉄心16を収容できる軸心が水平な
筒状の一体型とされており、このステータフレーム49
内に、バネ板24を上方からの移動により着脱可能に取
付けることができる高剛性の支持基体21が設けられて
いる。ここで、本実施形態では、バネ板24を支持する
支持基体21は、ステータフレーム49の両側内部に沿
って固定された上下に長い補強板23を有する構成とし
ている。さらに、ステータフレーム49には、バネ板2
4の取付け部となる位置の上方をフレーム外側空間に開
放できる開口50を形成してある。
【0133】固定子組立てに際しては、予め固定子鉄心
16をステータフレーム49内に収容するとともに、そ
の固定子鉄心16に各バネ板24を連結しておく。この
状態でステータフレーム49内に開口50を介して上方
から吊り具の子ワイヤ48を導入し、この子ワイヤ48
によって各バネ板24を一旦吊上げる。そして、固定子
鉄心16の軸心を水平に調節するとともに、各バネ板2
4を各支持縦板22への取付け位置まで吊下げて停止さ
せ、この状態で各バネ板24の各支持縦板22への取付
けを行う。この後、各バネ板24から吊り具の子ワイヤ
48を外して吊下げを解除し、ワイヤを開口を介して外
部に導出する。
【0134】このような本実施形態によれば、一体型の
ステータフレーム49を有する回転電機11について、
そのステータフレーム49の上方部分に形成した開口5
0を介して、吊り具の子ワイヤ48をフレーム49内に
導入することで、予めフレーム49内に収納しておいた
固定子鉄心16を、固定前の段階で一旦、開口50を介
して導入した子ワイヤ48で吊り上げおよび吊り下げ等
の作用を行って、取付け位置の調節等を行えるので、そ
の後ボルト締結等による組立て作業が容易かつ確実に行
え、しかも各バネ板24による荷重分担等の調節等も高
精度で行える。
【0135】他の実施形態 なお、本発明は、図示により説明した以上の各実施形態
に限らず、種々の応用または変形が可能である。例え
ば、弾性支持部材であるバネ板24の構成や数量、バネ
板24に対するワイヤ等の掛止部の形状等については、
適用する回転電機の構成あるいは使用する吊り具等の関
係に対応して種々変更することが可能である。また、前
記各実施形態の構成および方法を、適宜組合せる応用等
も可能である。
【0136】
【発明の効果】以上で詳述したように、本発明によれ
ば、固定子鉄心の重量に起因して弾性支持部材に作用す
る荷重を従来構造に比して大幅に低減させ、それにより
弾性支持部材の十分な薄肉化を可能とし、固有振動数の
低減により電磁振動に対する高振動吸収機能が発揮でき
るようにすると同時に強度上の信頼性を確保できるよう
にし、ひいては支持構成の簡易化、支持位置調整の容易
化、据付作業性の向上、高信頼性等を達成できる回転電
機の固定子支持構造を提供することができる。
【0137】また、地震時あるいは急激な熱変形等のよ
うに、円環振動以外の固定子に発生する大きな径方向変
位、または軸方向変位等に対しても十分な強度あるいは
対応性を有し、ステータフレームに余分な補強を施す必
要もなく、回転電機全体としての構成簡素化等も図れる
回転電機の固定子支持構造を提供することができる。
【0138】さらに、ステータフレームが一体型または
分割型のいずれの場合においても、固定子組立て作業が
容易かつ円滑に、しかも各弾性支持部材による荷重分担
等の調節等も高精度で行える回転電機の固定子組立て方
法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を説明するためのもの
で、回転電機全体の構成を示す正面図。
【図2】図1の側面図。
【図3】図1に示した固定子支持構造部分を示す拡大正
面図。
【図4】図1に示した固定子支持構造部分を示す拡大斜
視図。
【図5】本発明の第1実施形態を説明するためのもの
で、固定子取付け方法を説明するための作用説明図。
【図6】本発明の第2実施形態を説明するためのもの
で、固定子支持構造部分を示す拡大正面図。
【図7】本発明の第2実施形態の第1応用例を説明する
ためのもので、固定子支持構造部分を示す拡大正面図。
【図8】本発明の第2実施形態の第2応用例を説明する
ためのもので、固定子支持構造部分を示す拡大正面図。
【図9】本発明の第2実施形態の第3応用例を説明する
ためのもので、固定子支持構造部分を示す拡大正面図。
【図10】本発明の第3実施形態を説明するためのもの
で、固定子支持構造部分を示す拡大正面図。
【図11】本発明の第3実施形態の変形例を説明するた
めのもので、固定子支持構造部分を示す拡大正面図。
【図12】本発明の第3実施形態の他の変形例を説明す
るためのもので、固定子支持構造部分を示す拡大正面
図。
【図13】本発明の第4実施形態を説明するためのもの
で、固定子支持構造部分を示す拡大斜視図。
【図14】本発明の第5実施形態を説明するためのもの
で、固定子支持構造部分を示す拡大斜視図。
【図15】本発明の第6実施形態を説明するためのもの
で、固定子組立て方法およびそのための構成を示す説明
図。
【図16】本発明の第7実施形態を説明するためのもの
で、固定子組立て方法およびそのための構成を示す説明
図。
【図17】従来例を説明するための回転電機の全体構成
図。
【図18】図17の平面図。
【符号の説明】
11 回転電機 12 据付基礎 13 ステータフレーム 13a 下部フレーム 14 回転子 15 固定子 16 固定子鉄心 17 リブ 18 押え板 19 連結部材 20 台座 21 支持基体 22 支持縦板 23 補強板 24,24a バネ板(弾性支持部材) 25 スペーサ 26,27 ボルト 28 吊り耳 29 振れ止め機構 30 連結部材(縦方向連結部材) 30a,30b 縦方向連結持部材 31 スペーサ 32 ボルト 33 振れ止め板 34 第2の横方向連結部材 35 スペーサ 36 隙間 37 段部 38 押さえ板 39 振動減衰材 40 軸受孔 41 支軸 42 軸受けフレーム 43 柱状部材(弾性支持部材) 44 上部取付板 45 下部取付板 46 円形穴 47 案内輪 48 ワイヤ 49 ステータフレーム 50 開口 51 クレーン 52 主ワイヤ 53 吊りアーム 54 フック 55 子ワイヤ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 浩三 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 大澤 武志 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 島貫 健明 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 Fターム(参考) 5H002 AA04 AB01 AC00 5H605 AA04 CC01 CC03 DD39 EA09 EA11 EA19 5H615 AA01 BB14 PP01 PP28 SS59

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定子鉄心に巻線を施し全体として円筒
    状に構成される固定子を、その内部に同心的に挿入され
    る回転子とともに据付基礎上に軸心を水平にして配置
    し、前記据付基礎上に設置したステータフレームによっ
    て前記固定子鉄心を囲む構成とした回転電機にあって、
    前記ステータフレームに取付けた複数の弾性支持部材で
    前記固定子鉄心の外周部を支持することにより、前記固
    定子鉄心の円環振動を吸収する固定子支持構造におい
    て、前記各弾性支持部材は少なくとも前記固定子鉄心の
    径方向に沿う変位吸収が可能な板状または棒状のものと
    し、この各弾性支持部材によって前記固定子鉄心を吊下
    支持する構造としたことを特徴とする回転電機の固定子
    支持構造。
  2. 【請求項2】 固定子鉄心に巻線を施し全体として円筒
    状に構成される固定子を、その内部に同心的に挿入され
    る回転子とともに据付基礎上に軸心を水平にして配置
    し、前記据付基礎上に設置したステータフレームによっ
    て前記固定子鉄心を囲む構成とした回転電機にあって、
    前記ステータフレームに取付けた複数の弾性支持部材で
    前記固定子鉄心の外周部を支持することにより、前記固
    定子鉄心の円環振動を吸収する固定子支持構造におい
    て、前記各弾性支持部材は少なくとも前記固定子鉄心の
    径方向に沿う変位吸収が可能な板状または棒状のものと
    し、この各弾性支持部材の前記ステータフレームに対す
    る取付け位置を前記固定子鉄心の重心よりも高い位置に
    設定する一方、この各弾性支持部材の前記固定子鉄心に
    対する連結位置を前記固定子鉄心の重心を含む水平面上
    の外周位置に設定することにより、前記各弾性支持部材
    によって前記固定子鉄心を吊下支持する構造としたこと
    を特徴とする回転電機の固定子支持構造。
  3. 【請求項3】 固定子鉄心に巻線を施し全体として円筒
    状に構成される固定子を、その内部に同心的に挿入され
    る回転子とともに据付基礎上に軸心を水平にして配置
    し、前記据付基礎上に設置したステータフレームによっ
    て前記固定子鉄心を囲む構成とした回転電機にあって、
    前記ステータフレームに取付けた複数の弾性支持部材で
    前記固定子鉄心の外周部を支持することにより、前記固
    定子鉄心の円環振動を吸収する固定子支持構造におい
    て、前記各弾性支持部材は少なくとも前記固定子鉄心の
    径方向に沿う変位吸収が可能な板状または棒状のものと
    し、この各弾性支持部材を前記ステータフレームに垂下
    状態で取付ける一方、この各弾性支持部材に対向させて
    前記固定子鉄心の重心を含む水平面上の外周位置から高
    剛性の連結部材を垂下し、これら弾性支持部材と連結部
    材とを互いに下端部同士で連結することにより、前記各
    弾性支持部材によって前記固定子鉄心を吊下支持する構
    造としたことを特徴とする回転電機の固定子支持構造。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の回転電機の固定子支持構
    造において、弾性支持部材のステータフレームに対する
    取付け位置を、固定子鉄心の重心と同一高さ位置に設定
    したことを特徴とする回転電機の固定子支持構造。
  5. 【請求項5】 請求項1から4までのいずれかに記載の
    回転電機の固定子支持構造において、弾性支持部材はス
    テータフレームに対して高剛性の支持基体を介して取付
    けられており、この支持基体を荷重受け部として、固定
    子鉄心から前記弾性支持部材側に向かう一定以上の径方
    向変位荷重を前記固定子鉄心から直接に、または前記弾
    性支持部材を介して受け止めてその変位を制止する振れ
    止め機構が構成されていることを特徴とする回転電機の
    固定子支持構造。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の回転電機の固定子支持構
    造において、請求項5記載の振れ止め機構は、弾性支持
    部材と連結部材との対向面のうち少なくともいずれか一
    方の面で、かつ固定子鉄心の重心と前記弾性支持部材の
    ステータフレームに対する取付け部とを結ぶ線上で対向
    する部位に、その対向面間に一定の間隔をあけた状態で
    設けられた荷重伝達用の当接部を有することを特徴とす
    る回転電機の固定子支持構造。
  7. 【請求項7】 請求項1から6までのいずれかに記載の
    回転電機の固定子支持構造において、固定子鉄心の少な
    くともいずれかの支持位置に設けられる弾性支持部材ま
    たは高剛性の連結部材は、固定子鉄心の中心から略同一
    半径位置に並列に配置された1または2以上の弾性支持
    部材要素または連結部材要素によって構成されているこ
    とを特徴とする回転電機の固定子支持構造。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の回転電機の回転電機の固
    定子支持構造において、弾性支持部材と連結部材とは相
    互に隣接する配置とされていることを特徴とする回転電
    機の固定子支持構造。
  9. 【請求項9】 請求項1から8までのいずれかに記載の
    回転電機の固定子支持構造において、弾性支持部材のス
    テータフレームへの取付け部および固定子鉄心への連結
    部を、それぞれ前記固定子鉄心の径方向に沿う軸を介し
    て回動可能とし、これにより前記弾性支持部材がリンク
    要素となるリンク機構を構成して、前記弾性支持部材を
    前記固定子鉄心の軸方向変位を許容し得るものとしたこ
    とを特徴とする回転電機の固定子支持構造。
  10. 【請求項10】 請求項1から9までのいずれかに記載
    の回転電機の固定子支持構造において、弾性支持部材は
    単一のバネ板によって、または積層された複数枚のバネ
    板によって構成されていることを特徴とする回転電機の
    固定子支持構造。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の回転電機の固定子支
    持構造において、複数枚のバネ板の間に、剪断変形可能
    な振動減衰材が圧入されていることを特徴とする回転電
    機の固定子支持構造。
  12. 【請求項12】 請求項1から9までのいずれかに記載
    の回転電機の固定子支持構造において、弾性支持部材
    は、横断面が円形または多角形状の1または2以上の柱
    状部材によって構成されていることを特徴とする回転電
    機の固定子支持構造。
  13. 【請求項13】 請求項1から12までのいずれかに記
    載の回転電機の固定子支持構造において、各弾性支持部
    材のステータフレーム側への取付け位置は、固定子鉄心
    の重心に対して等距離に設定されていることを特徴とす
    る回転電機の固定子支持構造。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の回転電機の固定子支
    持構造において、各弾性支持部材には、ステータフレー
    ム側への取付け位置またはそれよりも高い位置に、吊り
    具による吊下げ可能な掛止部が設けられていることを特
    徴とする回転電機の固定子支持構造。
  15. 【請求項15】 請求項1から14までのいずれかに記
    載の回転電機の固定子支持構造において、ステータフレ
    ームは、据付基礎上に設置されてその上方に固定子鉄心
    を配置できる上面が開口した下部フレームと、この下部
    フレーム上に搭載されて前記固定子鉄心を被覆できる上
    部フレームとを有する分割型とされており、前記下部フ
    レームに、弾性支持部材を上方からの移動により着脱可
    能に取付けることができる高剛性の支持基体その他の弾
    性支持部材取付け体が設けられていることを特徴とする
    回転電機の固定子支持構造。
  16. 【請求項16】 請求項1から14までのいずれかに記
    載の回転電機の固定子支持構造において、ステータフレ
    ームは、据付基礎上に設置されて内部に固定子鉄心を収
    容できる軸心が水平な筒状の一体型とされており、この
    ステータフレーム内に、弾性支持部材を上方からの移動
    により着脱可能に取付けることができる高剛性の支持基
    体その他の弾性支持部材取付け体が設けられるととも
    に、前記ステータフレームに、前記弾性支持部材取付け
    体の上方をフレーム外側空間に開放できる開口が形成さ
    れていることを特徴とする回転電機の固定子支持構造。
  17. 【請求項17】 請求項15記載の回転電機の固定子支
    持構造を使用して、固定子を分割型のステータフレーム
    に組立てる方法において、前記ステータフレームの上部
    フレームを非搭載状態とする一方、前記固定子鉄心に各
    弾性支持部材を連結しておき、この各弾性支持部材を吊
    り具のワイヤで吊下げた状態で前記固定子鉄心を前記ス
    テータフレームの下部フレーム上に導入し、前記固定子
    鉄心の軸心を水平に調節するとともに、前記各弾性支持
    部材を上方からの移動により各弾性支持部材取付け体へ
    の取付け位置で停止させ、この状態で前記各弾性支持部
    材の前記各弾性支持部材取付け体への取付けを行った
    後、前記弾性支持部材から吊り具のワイヤを外して吊下
    げを解除することを特徴とする回転電機の固定子組立て
    方法。
  18. 【請求項18】 請求項16記載の回転電機の固定子支
    持構造を使用して、固定子を一体型のステータフレーム
    に組立てる方法において、予め前記固定子鉄心を前記ス
    テータフレーム内に収容するとともに、その固定子鉄心
    に各弾性支持部材を連結しておき、この状態で前記ステ
    ータフレーム内にその開口を介して上方から吊り具のワ
    イヤを導入して前記各弾性支持部材を一旦吊上げ、その
    後吊下げを行って前記固定子鉄心の軸心を水平に調節す
    るとともに、前記各弾性支持部材を各弾性支持部材取付
    け体への取付け位置で停止させ、この状態で前記各弾性
    支持部材の前記各弾性支持部材取付け体への取付けを行
    った後、前記弾性支持部材から吊り具のワイヤを外して
    吊下げを解除し、前記ワイヤ等を前記開口を介して外部
    に導出することを特徴とする回転電機の固定子組立て方
    法。
  19. 【請求項19】 請求項13記載の回転電機の固定子支
    持構造を使用して、請求項17または18記載の固定子
    組立て方法を実施する場合において、固定子鉄心の軸心
    の対象位置に配置される1対の弾性支持部材を吊下げる
    ための吊り具として、案内輪により長さ方向に移動自在
    に支持された1本のワイヤを有するものを適用し、前記
    1対の弾性支持部材を前記1本のワイヤの両端部によっ
    て吊下げることを特徴とする回転電機の固定子組立て方
    法。
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