JP2000046800A - 浸炭測定方法および浸炭測定装置 - Google Patents

浸炭測定方法および浸炭測定装置

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JP2000046800A
JP2000046800A JP10213257A JP21325798A JP2000046800A JP 2000046800 A JP2000046800 A JP 2000046800A JP 10213257 A JP10213257 A JP 10213257A JP 21325798 A JP21325798 A JP 21325798A JP 2000046800 A JP2000046800 A JP 2000046800A
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久和 森
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 輻射管の外表面に窒化層が形成されていて
も、輻射管の内表面に形成されている浸炭層の厚さを正
確に測定することを可能とする。 【解決手段】 ユーザは、浸炭測定プローブを輻射管に
設置し、窒化層検出用コイルのインピーダンスを測定し
て、輻射管の外表面における窒化層の有無を判定する
(S1〜S2)。そして、ユーザは、浸炭層検出用コイ
ルのインピーダンスを測定した後、窒化層の有無に従っ
て第1の関係あるいは第2の関係のいずれかを選択し、
選択した関係と浸炭層検出用コイルのインピーダンスと
から非浸炭層の厚さを求め、輻射管の本来の厚さから差
し引き、浸炭層の厚さを求める(S3〜S5)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭化水素等を加熱
する炉等に使用されている輻射管等の内面に生じた浸炭
部を検出し、その厚さを測定するための浸炭測定方法お
よびそれを用いた浸炭測定装置に関し、特に、輻射管の
外表面に強磁性体からなる層が形成された輻射管におけ
る浸炭部の厚さを測定するための浸炭測定方法およびそ
れを用いた浸炭測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭化水素等を加熱する炉等に使用されて
いる輻射管には、管内を移送されるガス中の炭素の吸着
および金属中への拡散により、浸炭と呼ばれる損傷が発
生する。浸炭された部分(浸炭層)は、浸炭されていな
い部分(健全層)に比して、機械的強度が著しく劣る部
分である。従って、輻射管における浸炭層の有無および
浸炭層の厚さを把握することは重要である。
【0003】そこで、従来より、浸炭層の厚さを測定す
る方法として、電磁誘導法と呼ばれる方法が知られてい
る。この方法は、健全層が非磁性体である一方、浸炭層
が磁性体であることを利用したものであり、輻射管の外
表面に設置したコイルに交流を流し、コイルのインピー
ダンスを測定する方法である。すなわち、強磁性体の浸
炭層と非磁性体の健全層とでは、比透磁率等の磁気的性
質が異なるため、コイルのインピーダンスは、コイルか
ら浸炭層までの距離に応じて変化する。従って、インピ
ーダンスを測定することによって、輻射管の外表面から
浸炭層までの距離が測定でき、この距離を輻射管の厚さ
から差し引くことで、浸炭層の厚さを求めることができ
るようになっている。
【0004】また、輻射管の外面側には、数100μm
程度までの厚さを有する、酸化層と呼ばれる強磁性層が
発生することが知られている。この酸化層とは、以下の
ようなものである。すなわち、輻射管の外面側が酸化さ
れてクロム酸化物が生成されると、輻射管中のクロムが
管の外表面に拡散されてしまい、管内にクロム量の少な
い領域が発生する。このクロム量の少ない領域が、酸化
層(脱クロム層)である。酸化層は強磁性体であるか
ら、電磁誘導法による浸炭層の検出・厚さ測定に大きな
影響を及ぼしてしまう。従って、従来の電磁誘導法によ
っては、酸化層が発生した輻射管に対しては、浸炭層の
厚さを測定することができなかった。
【0005】そこで、本願発明者は、この酸化層の影響
を排除し、輻射管における浸炭層の厚さを測定するため
の方法および装置を開発し、特許公報第2616105
号において開示している。この公報における方法では、
電磁誘導法によって浸炭層の厚さを計測するために、イ
ンピーダンス検出用のコイル内に配された永久磁石によ
って、上記した酸化層(上記公報では脱クロム層と表
記)を磁化するようになっている。これにより、酸化層
の比透磁率を、非磁性体の比透磁率に近づけることがで
きるので、この層の影響を回避することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、最近、
輻射管の外表面に、最大厚さ2mm程度の、強磁性体の
窒化層が発生していることが確認された。この窒化層
は、輻射管のクロムが燃焼ガス中の窒素と化合すること
により発生する。この窒化層は、上記した酸化層と同様
に、クロム量の少ない強磁性の領域である。このため、
酸化層と同様に、窒化層も電磁誘導法による浸炭層の厚
さ測定に大きな影響を及ぼしてしまう。
【0007】さらに、この窒化層の厚さは、上記した酸
化層の数10倍であるため、上記公報における方法によ
って窒化層の比透磁率を非磁性体と同様の値に近づける
だけでは、この窒化層の影響を排除することはできなか
った。従って、従来の方法では、窒化層が発生した輻射
管に対しては、浸炭層の厚さ測定を行うことはできなか
った。また、この窒化層自身も、浸炭層と同様に脆いた
め、この層が発生しているかどうかを検出することは、
輻射管の検査における重要な課題となっている。
【0008】本発明は、上記従来の問題点を解決するた
めになされたもので、その目的は、輻射管の外表面に、
窒化層のような強磁性層が形成されていても、浸炭層の
厚さを正確に求めることができる浸炭測定方法およびそ
れを用いた浸炭測定装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の請求項1に記載の浸炭測定方法は、電磁
誘導法により輻射管の内表面に形成された浸炭層の厚さ
を測定する浸炭測定方法において、輻射管の外表面にお
ける強磁性層の有無を検出する第1の工程と、輻射管の
表面に隣接させた検出コイルに交流を流し、この検出コ
イルのインピーダンスを測定する第2の工程と、上記第
1の工程における検出結果と上記第2の工程における測
定結果とに基づいて、上記浸炭層の厚さを測定する第3
の工程とを含むことを特徴としている。
【0010】上記の方法における輻射管とは、例えば、
炭化水素等を加熱する炉等に使用されている配管等であ
り、非磁性体を材料として形成されているものである。
そして、ある程度の長期間、このような輻射管を使用す
ると、その内表面には、機械的強度が弱い、強磁性体か
らなる浸炭層が形成されてしまう。そして、上記の方法
では、この浸炭層の有無の検出・厚さ測定を、電磁誘導
法によって行うようになっている。
【0011】すなわち、上記の方法では、輻射管の表面
に隣接させた検出コイルに交流電流を流し、コイルのイ
ンピーダンスを測定するようになっている。このインピ
ーダンスは、輻射管における外表面から浸炭層までの層
(非浸炭層)の厚さに応じて変化する。すなわち、非浸
炭層の厚さとインピーダンスとの間には、相関関係が存
在する。従って、電磁誘導法では、コイルのインピーダ
ンスを測定することで、非浸炭層の厚さを求めることが
できる。そして、非浸炭層の厚さを、輻射管本来の厚さ
から差し引くことで、浸炭層の厚さを求めることが可能
となる。
【0012】また、このような輻射管の外表面には、酸
化や窒化により、酸化層や窒化層といった強磁性層が形
成されることがある。そして、電磁誘導法によって非浸
炭層の厚さを求める際に、輻射管の外表面に強磁性層が
形成されていると、上記したインピーダンスと非浸炭層
の厚さとの相関関係が崩れてしまう。このため、測定さ
れたインピーダンスから、非浸炭層の厚さおよび浸炭層
の厚さを正確に求めることができなくなる。
【0013】そこで、上記の方法では、輻射管の外表面
に強磁性層が形成されている場合でも、非浸炭層および
浸炭層の厚さを正確に求めることが可能となるように、
上記した第1ないし第3の工程を含んでいることを特徴
としている。
【0014】すなわち、第1の工程では、輻射管の外表
面における強磁性層の有無を検出するようになってい
る。この検出は、例えば、交流を流したコイルのインピ
ーダンスを測定することによって行うことが好ましい。
そして、第2の工程では、輻射管に隣接させた検出コイ
ルに交流を流し、このコイルのインピーダンスを測定す
る。
【0015】そして、第3の工程では、第1の工程にお
ける検出結果と、第2の工程における測定結果とに基づ
いて、浸炭層の厚さを求めるようになっている。すなわ
ち、検出コイルにおけるインピーダンスと非浸炭層の厚
さとの関係には、外表面に強磁性層がある場合の第1の
関係と、強磁性層がない場合の第2の関係との2種類が
ある。
【0016】従って、第3の工程では、まず、第1の工
程における強磁性層の有無の検出結果より、上記第1お
よび第2の関係のいずれを用いるかを選択する。そし
て、選択された関係に基づいて、第2の工程において測
定されたインピーダンスから、非浸炭層の厚さを求め
る。そして、この非浸炭層の厚さを、輻射管の本来の厚
さから差し引くことで、浸炭層の厚さを求めるようにな
っている。
【0017】このように、上記の方法によれば、輻射管
の外表面に強磁性層が形成されていても、輻射管の内表
面に形成された浸炭層の厚さを、正確に測定することが
可能となる。従って、輻射管の損傷状況を正確に判断す
ることが可能となるので、輻射管を利用した装置・施設
の安全性を高めることが可能となる。
【0018】なお、インピーダンスと非浸炭層の厚さと
の相関関係を求めるときには、特に、インピーダンスの
位相角と非浸炭層の厚さとの相関関係を求めるようにす
ることが好ましい。インピーダンスの位相角とは、イン
ピーダンスにおける直流抵抗値の大きさとリアクタンス
の大きさとの比に応じたものであり、リアクタンスを直
流抵抗値で割って得た値が、正接(tangent)値となるよ
うな角度のことである。インピーダンスの位相角と非浸
炭層の厚さとには、非常に明確な相関関係があるので、
請求項1に記載の方法を実現することが容易となる。な
お、位相角は、例えば、ベクトル表示方式の探傷器によ
って測定することもできる。
【0019】また、本発明の請求項2に記載の浸炭測定
方法は、請求項1の方法に加えて、上記強磁性層の比透
磁率を、非磁性体の比透磁率に近づける第4の工程を含
むことを特徴としている。
【0020】通常、輻射管の外表面に形成される強磁性
層の比透磁率は、非磁性体の比透磁率、すなわち、1よ
りも大きい。従って、この強磁性層における比透磁率
は、上記第2の工程におけるインピーダンス測定に影響
を及ぼしてしまう。そこで、上記の方法では、第4の工
程において、強磁性層における比透磁率を、非磁性体の
値、すなわち、輻射管における健全層の値に近づけるよ
うになっている。これにより、上記第2の工程における
検出コイルからの磁界が、輻射管の内表面にまで確実に
到達するようになる。従って、上記の方法によれば、非
浸炭層および浸炭層の厚さを、より正確に求めることが
可能となる。
【0021】なお、この第4の工程は、強磁性層に対し
て、所定以上の強さの磁界を印加することによって行わ
れることが好ましい。強磁性層に、その磁気が飽和する
程度以上の磁界を印加すると、この強磁性層の比透磁率
は、非磁性体と同様、ほぼ1となる。このようにすれ
ば、請求項2に記載の方法を実現することが容易とな
る。
【0022】また、本発明の請求項3に記載の浸炭測定
装置は、電磁誘導法により輻射管の内表面に形成された
浸炭層の厚さを測定する浸炭測定装置において、輻射管
の外表面における強磁性層の有無を検出する強磁性層検
出部と、輻射管の外表面における強磁性層の有無と、輻
射管の外表面から浸炭層までの距離とに応じて、インピ
ーダンスが変化する検出コイルとを有することを特徴と
している。
【0023】上記の構成において、輻射管とは、例え
ば、炭化水素等を加熱する炉等に使用されている配管等
であり、非磁性体を材料として形成されているものであ
る。そして、ある程度の長期間、このような輻射管を使
用すると、その内表面には、機械的強度が弱い、強磁性
体からなる浸炭層が形成されてしまう。そして、上記の
構成では、この浸炭層の有無の検出・厚さ測定を、電磁
誘導法によって行うようになっている。
【0024】すなわち、上記の構成では、輻射管の表面
に隣接させた検出コイルに交流を流し、コイルのインピ
ーダンスを測定するようになっている。このインピーダ
ンスは、輻射管の外表面から浸炭層までの距離、すなわ
ち、非浸炭層の厚さに応じて変化する。すなわち、この
インピーダンスと非浸炭層の厚さとの間には、相関関係
が存在する。従って、電磁誘導法では、コイルのインピ
ーダンスを測定することで、非浸炭層の厚さを求めるこ
とができる。そして、非浸炭層の厚さを、輻射管本来の
厚さから差し引くことで、浸炭層の厚さを求めることが
可能となる。
【0025】また、このような輻射管の外表面には、酸
化や窒化により、酸化層や窒化層といった強磁性層が形
成されることがある。そして、電磁誘導法によって非浸
炭層の厚さを求める際に、輻射管の外表面に強磁性層が
形成されていると、上記した、インピーダンスと非浸炭
層の厚さとの相関関係が崩れてしまう。このため、測定
されたインピーダンスから、非浸炭層の厚さ、および浸
炭層の厚さを正確に求めることが困難になる。
【0026】そこで、上記の構成では、検出コイルにお
けるインピーダンスと非浸炭層の厚さとの間には相関関
係があること、および、この関係は、輻射管の外表面に
おける強磁性層の有無によって変化することを利用した
ものとなっている。すなわち、上記の構成では、輻射管
の外表面に強磁性層がある場合とない場合とにおける、
検出コイルのインピーダンスと非浸炭層の厚さとの関係
を、あらかじめ求めておく。すなわち、外表面に強磁性
層がある場合の第1の関係と、強磁性層がない場合の第
2の関係との2種類をそれぞれ求めておく。
【0027】そして、実際の浸炭層の厚さ測定では、検
出コイルのインピーダンスを測定するとともに、強磁性
層検出部によって、輻射管の外表面における強磁性層の
有無を検出するようになっている。そして、強磁性層検
出部による検出結果により、上記第1および第2の関係
のいずれを用いるかを選択し、選択したほうの関係に基
づいて、測定された検出コイルのインピーダンスから、
非浸炭層の厚さを求める。そして、この非浸炭層の厚さ
を、輻射管の本来の厚さから差し引くことで、浸炭層の
厚さを求めるようになっている。
【0028】このように、上記の構成によれば、輻射管
の外表面に強磁性層が形成されていても、輻射管の内表
面に形成された浸炭層の厚さを、正確に測定することが
可能となる。従って、輻射管の損傷状況を正確に判断す
ることが可能となるので、輻射管を利用した装置・施設
の安全性を高めることができる。なお、インピーダンス
と非浸炭層の厚さとの相関関係を求めるときには、特
に、インピーダンスの位相角と非浸炭層の厚さとの相関
関係を求めるようにすることが好ましい。
【0029】また、本発明の請求項4に記載の浸炭測定
装置は、請求項3に記載の構成において、上記強磁性層
検出部は、この検出コイルより外径が小さいコイルであ
ることを特徴としている。
【0030】上記の構成によれば、強磁性層検出部は、
上記した検出コイルより外径が小さいコイルからなるよ
うになっている。そして、このコイルに交流を流し、そ
のインピーダンスを測定することによって、輻射管の外
表面における強磁性層の有無を検出するようになってい
る。このようなコイルによって強磁性層検出部を構成す
ることで、請求項3に記載の浸炭測定装置を実現するこ
とが容易となる。
【0031】また、電磁誘導法に用いられるコイルの磁
界は、コイルの外径が大きいほど有効な到達距離が長く
なる。このため、上記検出コイルの外径は、輻射管の内
表面まで測定に有効な磁界を到達させるために、十分な
大きさであることが好ましい。また、強磁性層検出部と
なるコイルは、輻射管の外表面にある強磁性層の有無を
検出するものであるから、輻射管の内表面にある浸炭層
まで到達する磁界を発生させるような、大きい外径のも
のは好ましくない。従って、強磁性層検出部となるコイ
ルは、強磁性層を検出できる程度に、検出コイルより外
径が小さいものが好ましい。
【0032】また、本発明の請求項5に記載の浸炭測定
装置は、請求項3に記載の構成に加えて、上記強磁性層
の比透磁率を非磁性体の比透磁率に近づけるためのマグ
ネットを備えていることを特徴としている。通常、輻射
管の外表面に形成される強磁性層の比透磁率は、非磁性
体の比透磁率、すなわち、1よりも大きい。従って、こ
の強磁性層における比透磁率は、上記検出コイルにおけ
るインピーダンス測定に影響を及ぼしてしまう。
【0033】そこで、上記の構成では、マグネットによ
って、強磁性層に、その磁気が飽和する程度以上の磁界
を印加するようになっている。このマグネットとして
は、永久磁石を用いるようにしてもよいし、電磁石でも
よい。マグネットからこのような磁界を印加された強磁
性層は、比透磁率が、非磁性体の値、すなわち、輻射管
における健全層の値に近づくようになる。これにより、
上記検出コイルからの磁界が、輻射管の内表面にまで確
実に到達するようになる。従って、上記の構成によれ
ば、非浸炭層および浸炭層の厚さを、より正確に求める
ことが可能となる。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明の一実施の形態について以
下に説明する。本実施の形態にかかる浸炭測定装置(以
下、本浸炭測定装置とする)は、炭化水素等を加熱する
炉等に使用されている輻射管(以下、単に輻射管とす
る)における浸炭層の厚さを、正確に検出するためのも
のである。
【0035】本浸炭測定装置の構成を説明する前に、ま
ず、ある程度長期間に渡って使用された輻射管の状態を
説明する。図2は、このような輻射管における断面の一
部の例を示す説明図である。この図に示すように、ある
程度長期間に渡って使用された輻射管には、浸炭層,健
全層,窒化層および酸化層が形成されている。
【0036】健全層とは、輻射管の本来の材料からなる
層であり、非磁性の層である。この健全層の内表面に形
成される浸炭層は、輻射管内を移送されるガス中の炭素
の吸着および金属中への拡散により発生する層であり、
強磁性を有する層である。そして、この浸炭層は、健全
層に比して機械的な強度に劣った、輻射管の損傷部分で
ある。従って、浸炭層が厚くなりすぎた輻射管は、危険
であるため、取り替える必要がある。
【0037】また、健全層の外側に形成される酸化層
(脱クロム層)は、健全層中のクロムが酸化によって失
われることにより形成される層である。この酸化層は、
強磁性を有する層であり、数100μm程度までの厚さ
となる。
【0038】また、酸化層と同じく、健全層の外側に形
成される窒化層は、健全層のクロムが窒素と化合するこ
とにより発生する層であり、浸炭層と同様に、健全層に
比して機械的な強度が劣る部分である。また、この窒化
層は、強磁性を有する層であり、最大厚さは2mm程度
である。
【0039】次に、本浸炭測定装置における強磁性層の
検出方法である、電磁誘導法について説明する。図3
は、本浸炭測定装置における電磁誘導法を示す説明図で
ある。この図に示すように、この方法では、輻射管にほ
ぼ垂直に隣接させた検出コイルKに交流を流し、輻射管
に渦電流を発生させるようになっている。
【0040】交流が流された検出コイルKのインピーダ
ンスは、この検出コイルKから発生する磁力線Gが通過
する領域(十分強い渦電流が形成される領域)に存在す
る物質の、透磁率や導電率等の電気磁気特性に依存す
る。また、輻射管に形成されている強磁性層(浸炭層,
酸化層および窒化層等)は、健全層とは透磁率や導電率
等が大きく異なるものである。
【0041】このため、検出コイルKのインピーダンス
は、輻射管の外表面から強磁性層までの距離、すなわ
ち、非強磁性層の厚さに依存することになる。従って、
検出コイルKのインピーダンスと非強磁性層の厚さとの
相関関係をあらかじめ取得しておけば、検出コイルKの
インピーダンスを測定することによって、輻射管におけ
る非強磁性層の厚さを求めることができる。そして、非
強磁性層の厚さを輻射管の本来の厚さから差し引くこと
で、強磁性層の厚さを測定することが可能となる。
【0042】また、この電磁誘導法では、インピーダン
スの測定に有効な密度の磁力線(以下、有効磁力線とす
る)が到達する距離δは、検出コイルKの外径Dに比例
する。すなわち、δとDとは、下記の式(1)の関係と
なる。 δ=D/4 …(1) このように、距離δは、検出コイルKにおける外径Dに
比例するようになっている。
【0043】なお、検出コイルKが発生する有効磁力線
の到達距離に比べて強磁性層が十分薄い場合には、検出
コイルKのインピーダンスは、この強磁性層だけでな
く、この層の内側に形成されている他の強磁性層の厚さ
にも依存する。また、この式(1)に示したδは、輻射
管に強磁性層が形成されていない場合の式である。強磁
性層がδより遠い位置に形成されている場合、有効磁力
線は、この強磁性層まで到達することがある。
【0044】また、輻射管にほぼ垂直に隣接させた検出
コイルKに交流を流し、輻射管に渦電流を発生させる
際、標準浸透深さδ’(Standard Depth of Penetratio
n)は、コイルKに流される交流電流の周波数f(Hz),
輻射管における導電率σ(%|ACS)および比透磁率μr
により、以下の式(2)で表すこともできる。 δ’=50・(172.41/σμr f)1/2 …(2) なお、このδ’は、輻射管の表面に発生する渦電流の3
7%の強さの渦電流が発生する部分の、表面からの深さ
である。
【0045】次に、本浸炭測定装置の構成について説明
する。図4は、本浸炭測定装置の構成を示す説明図であ
る。この図に示すように、本浸炭測定装置は、浸炭測定
プローブ21,発振器22,増幅器23,移相器24,
90°固定移相器25,第1同期検波器26,第2同期
検波器27および表示装置28を備えている。
【0046】浸炭測定プローブ21は、輻射管における
非浸炭層(輻射管における外表面から浸炭層までの部
分)の厚さと窒化層の有無とに応じたインピーダンスを
有する浸炭層検出用コイルと、窒化層の有無に応じたイ
ンピーダンスを有する窒化層検出用コイルとを備えてい
るものである。そして、この浸炭測定プローブ21は、
浸炭層の厚さ測定の際には、輻射管に隣接して設置され
るものである。なお、浸炭測定プローブ21の詳細な構
成については後述する。
【0047】発振器22〜表示装置28は、上記各コイ
ルのインピーダンスを測定・表示するための、ベクトル
表示方式の探傷器を構成するものである。すなわち、発
振器22は、浸炭測定プローブ21に設けられたコイル
に、所定周波数の交流を流すためのものである。また、
増幅器23は、浸炭測定プローブ21から得られた、上
記各コイルのインピーダンスに応じた信号(インピーダ
ンス信号)を増幅するためのものである。
【0048】また、本浸炭測定装置では、π/2、すな
わち、90°の位相差をもつ2つの制御信号を用いて、
入力信号との同期検波を行い、検波出力を表示装置28
上のX軸とY軸とに加えるようになっている。図4に示
した移相器24および90°固定移相器25は、これら
90°の位相差をもつ2つの制御信号を、発振器22か
らの出力信号から生成するものである。上記した表示装
置28は、CRT(Cathode-Ray-Tube)や液晶表示装置
からなり、本浸炭測定装置における測定結果を表示する
ためのものである。
【0049】また、第1同期検波器26および第2同期
検波器27は、増幅器23から入力されたインピーダン
ス信号を、それぞれ,移相器24および90°固定移相
器25から入力された制御信号によって検波するもので
ある。そして、これら同期検波器26・27は、得られ
た検波出力を増幅し、フィルタ処理,リジェクション処
理等の必要な処理を施した後、出力信号Ex・Eyとし
て表示装置28上のX軸およびY軸に加える。
【0050】これにより、本浸炭測定装置では、浸炭測
定プローブ21における各コイルのインピーダンスを、
表示装置28上にベクトル波形として表示するようにな
っている。なお、表示装置28には、浸炭測定プローブ
21における各コイルのインピーダンスにおけるベクト
ル波形,X振幅値,Y振幅値および位相角が示されるよ
うになっている。
【0051】次に、本浸炭測定装置の特徴的な構成であ
る、複数の検出コイルを備えた浸炭測定プローブ21の
構成について説明する。図5は、浸炭測定プローブ21
の構成を示す説明図である。この図に示すように、浸炭
測定プローブ21は、浸炭層検出用バランスコイル1,
浸炭層検出用コイル2,マグネット3・3,窒化層検出
用バランスコイル4,窒化層検出用コイル5,強磁性体
からなる継磁鉄10、同じく強磁性体からなる磁気シー
ルド11および非磁性体からなるコイルケース12を備
えている。
【0052】また、図6は、浸炭測定プローブ21を、
図5に示した矢印Aの示す方向から示した説明図であ
る。図5および図6に示すように、浸炭測定プローブ2
1は略円柱形であり、上記した各部材1〜5・10〜1
2は、全て略円筒形状となっている。また、浸炭測定プ
ローブ21は、この矢印Aの方向から輻射管に隣接する
ように設置される。
【0053】浸炭測定プローブ21におけるマグネット
3・3は、輻射管における強磁性の酸化層および窒化層
の比透磁率を、非磁性体の比透磁率、すなわち、1に近
づけるためのものである。これらマグネット3・3は、
浸炭層検出用バランスコイル1および浸炭層検出用コイ
ル2の内側に、継磁鉄10を挟んで配されている。そし
て、各マグネット3は、リング状の永久磁石20が、複
数枚積層されて形成されている。なお、この永久磁石2
0の材料としては、例えば、希土類鉄磁石からなるNE
OMAX−32H(住友特殊金属(株)製)等を用いる
ことができる。
【0054】なお、本浸炭測定装置では、このマグネッ
ト3・3によって、浸炭層検出用コイル2および窒化層
検出用コイル5のインピーダンスに対する酸化層および
窒化層における透磁率の影響を完全に回避することが可
能となっている。さらに、酸化層は、上記したように窒
化層等に比して非常に薄いので、上記検出用コイル2・
5には、酸化層の導電率による影響は現れない。従っ
て、本浸炭測定装置では、マグネット3・3によって、
酸化層の影響を完全に回避することが可能となってい
る。
【0055】浸炭層検出用コイル(検出コイル)2は、
上記した電磁誘導法によって、輻射管における非浸炭層
の厚さを測定するための検出コイルである。そして、浸
炭層検出用コイル2の外径は、浸炭測定プローブ21が
輻射管に設置されたとき、浸炭層がない輻射管における
内表面まで有効磁力線が到達するように設定されてい
る。例えば、輻射管の厚さが7mmであれば、浸炭層検
出用コイル2の外径は約28mmに設定される。浸炭層
検出用コイル2の外径をこのように設定することによっ
て、浸炭層検出用コイル2のインピーダンスは、輻射管
における非浸炭層の厚さに依存するようになる。
【0056】また、浸炭層検出用コイル2のインピーダ
ンスは、輻射管の外表面に存在する、強磁性の窒化層の
有無にも依存する。すなわち、浸炭層検出用コイル2の
インピーダンスは、この窒化層の有無に応じて変化する
ようになっている。
【0057】また、浸炭層検出用バランスコイル1は、
浸炭層検出用コイル2と同一のサイズおよび形状を有す
るコイルである。これらコイル1・2は、それぞれマグ
ネット3・3の外側に配されており、例えば、ホルマリ
ン銅線をソレノイドコイル状に巻線することで形成され
る。
【0058】窒化層検出用コイル(強磁性層検出部)5
は、輻射管の外表面における窒化層の有無を検出するた
めの検出コイルである。また、窒化層検出用コイル5の
外径は、浸炭測定プローブ21が輻射管に設置されたと
き、輻射管の外表面から浸炭層検出用コイル2の不感帯
域を越えるまで有効磁力線が到達するように設定されて
いる。例えば、浸炭層検出用コイル2の不感帯域の厚さ
が2.5mmであれば、窒化層検出用コイル5の外径は
約10mmに設定される。窒化層検出用コイル5の外径
をこのように設定することによって、窒化層検出用コイ
ル5のインピーダンスは、輻射管の外表面における窒化
層の有無に依存するようになる。すなわち、窒化層検出
用コイル5のインピーダンスは、この窒化層の有無に応
じて変化するようになっている。
【0059】また、窒化層検出用バランスコイル4は、
窒化層検出用コイル5と同一のサイズおよび形状を有す
るコイルである。これらコイル4・5は、それぞれマグ
ネット3・3の内側に配されており、例えば、ホルマリ
ン銅線をソレノイドコイル状に巻線することで形成され
る。
【0060】また、浸炭層検出用バランスコイル1と浸
炭層検出用コイル2と、および、窒化層検出用バランス
コイル4と窒化層検出用コイル5とは、それぞれ独立し
た回路を形成している。図7は、これらの回路の等価回
路となるブリッジ回路の構成を示す説明図である。
【0061】この図に示すように、このブリッジ回路
は、可変抵抗R1・R2,コイルL1・L2,発振器E
および検出器Dを備えた、自己比較方式・自己誘導形コ
イルブリッジである。この回路における発振器Eは、本
浸炭測定装置における発振器22に相当する。また、同
じく検出器Dは、本浸炭測定装置における増幅器23〜
表示装置28までの構成に相当する。また、この回路に
おけるコイルL1は、本浸炭測定装置における浸炭層検
出用バランスコイル1あるいは窒化層検出用バランスコ
イル4に相当する。また、コイルL2は、浸炭層検出用
コイル2あるいは窒化層検出用コイル5に相当する。ま
た、可変抵抗R1・R2は、本浸炭測定装置における図
示しない可変抵抗に相当するものである。
【0062】このブリッジ回路では、コイルL1のイン
ピーダンスは、図示しない接地回路等により変化しない
ようになっている。一方、コイルL2のインピーダンス
は、コイルL2のおかれた環境によって変化する。そし
て、この回路では、コイルL2のインピーダンスを、検
出器Dによって測定するようになっている。従って、本
浸炭測定装置では、浸炭層検出用バランスコイル1およ
び窒化層検出用バランスコイル4のインピーダンスは変
化しないようになっている。一方、浸炭層検出用コイル
2および窒化層検出用コイル5のインピーダンスは、増
幅器23〜表示装置28によって測定・表示されるよう
になっている。
【0063】次に、本浸炭測定装置における浸炭層の厚
さ測定について説明する。図1は、本浸炭測定装置にお
ける浸炭層の厚さ測定を示すフローチャートである。こ
の図に示すように、本浸炭測定装置における浸炭層の厚
さ測定では、まず、ユーザが、浸炭測定プローブ21に
おける図5に矢印Aで示した方向に輻射管が隣接される
ように、浸炭測定プローブ21を輻射管に設置する(S
1)。
【0064】そして、浸炭測定プローブ21を設置した
後、ユーザは、増幅器23〜第2同期検波器27によっ
て窒化層検出用コイル5のインピーダンスを測定させ、
表示装置28に表示させる。そして、ユーザは、このイ
ンピーダンスを、あらかじめ求めておいた後述する2つ
の基準のインピーダンスと比較して、輻射管の外表面に
おける窒化層の有無を判定する(S2)。これら2つの
基準のインピーダンスとは、輻射管の外表面に窒化層が
ある場合における窒化層検出用コイル5のインピーダン
スと、輻射管の外表面に窒化層がない場合における窒化
層検出用コイル5のインピーダンスとのことである。
【0065】その後、ユーザは、同様に浸炭層検出用コ
イル2のインピーダンスを測定させる。そして、S2に
おいて輻射管に窒化層が形成されていると判断した場合
には、ユーザは、あらかじめ求めておいた後述する第1
の関係と、浸炭層検出用コイル2のインピーダンスとか
ら、非浸炭層の厚さを求める(S3)。また、S2にお
いて、輻射管に窒化層が形成されていないと判断した場
合には、ユーザは、あらかじめ求めておいた後述する第
2の関係と、浸炭層検出用コイル2のインピーダンスと
から、非浸炭層の厚さを求める(S4)。これら第1お
よび第2の関係とは、以下のようなものである。すなわ
ち、第1の関係とは、輻射管の外表面に窒化層がある場
合における浸炭層検出用コイル2のインピーダンスと非
浸炭層の厚さとの相関関係のことである。また、第2の
関係とは、輻射管の外表面に窒化層がない場合における
浸炭層検出用コイル2のインピーダンスと非浸炭層の厚
さとの相関関係のことである。
【0066】そして、ユーザは、S3あるいはS4で求
めた非浸炭層の厚さを、輻射管の本来の厚さから差し引
き、浸炭層の厚さを求める(S5)。
【0067】以上のように、本浸炭測定装置では、輻射
管の外表面に窒化層がある場合とない場合とにおける、
浸炭層検出用コイル2のインピーダンスと非浸炭層の厚
さとの関係、すなわち、上記した第1および第2の関係
を、あらかじめ求めておくようになっている。そして、
実際の浸炭層の厚さ測定では、浸炭層検出用コイル2の
インピーダンスを測定するとともに、窒化層検出用コイ
ル5のインピーダンスを測定し、このインピーダンスか
ら、輻射管の外表面における窒化層の有無を検出するよ
うになっている。
【0068】そして、ユーザは、窒化層の有無に応じ
て、上記第1および第2の関係のいずれを用いるかを選
択し、選択したほうの関係に基づいて、浸炭層検出用コ
イル2のインピーダンスから、非浸炭層の厚さを求める
ようになっている。そして、この非浸炭層の厚さを輻射
管の本来の厚さから差し引くことで、浸炭層の厚さを求
めるようになっている。
【0069】このように、本浸炭測定装置の構成によれ
ば、輻射管の外表面に窒化層が形成されていても、輻射
管の内表面に形成された浸炭層の厚さを、正確に測定す
ることが可能となる。従って、輻射管の損傷状況を正確
に判断することが可能となるので、輻射管を利用した装
置・施設の安全性を高めることができる。
【0070】また、窒化層は、浸炭層と同様に機械的強
度に劣る部分であるが、本浸炭測定装置を用いれば、窒
化層検出用コイル5によって確実に窒化層を検出するこ
とができる。従って、輻射管の損傷状況を、さらに正確
に判断することが可能となっている。
【0071】また、本浸炭測定装置では、マグネット3
・3によって、窒化層および酸化層の比透磁率を1に近
づけるようになっている。これにより、浸炭層検出用コ
イル2から発生する磁力線は、これら2層に遮られるこ
とがないので、浸炭層まで確実に到達することができる
ようになっている。なお、本浸炭測定装置では、このマ
グネット3・3によって、浸炭層検出用コイル2のイン
ピーダンスに対する酸化層の影響を完全に回避すること
が可能となっている。
【0072】なお、本実施の形態では、浸炭層検出用コ
イル2あるいは窒化層検出用コイル5のインピーダンス
から、非浸炭層の厚さあるいは窒化層の有無を判断する
ようにしているが、特に、上記コイル2・5におけるイ
ンピーダンスの位相角から、非浸炭層の厚さあるいは窒
化層の有無を判断することが好ましい。
【0073】図8(a)(b)は、浸炭層検出用コイル
2あるいは窒化層検出用コイル5のインピーダンスを示
す説明図である。図8(a)に示すように、コイルのイ
ンピーダンスは、コイルの巻線間の容量(キャパシタン
ス)を無視すると、インダクタンスL(誘導)と抵抗R
との直列接続によって等価的に表現することができる。
【0074】従って、コイルのインピーダンスZは、下
記の式(3)によって表され、図8(b)のようにベク
トル波形で示すことができる。また、このインピーダン
スZの絶対値zおよび位相角θは、下記の式(4)およ
び(5)によって表される。なお、ωは、コイルに流さ
れる交流の周波数をfとして、2πfなる角周波数であ
る。 Z=R+iωL …(3) z=(R2 +ω2 2 1/2 …(4) θ=tan-1(ωL/R) …(5) 式(5)および図8(b)に示すように、インピーダン
スZの位相角θとは、直流抵抗値Rの大きさとリアクタ
ンスωLの大きさとの比に応じたものである。具体的に
は、直流抵抗値RをリアクタンスωLで割って得た値
が、正接(tangent)値となるような角度のことである。
【0075】この位相角は、輻射管に強磁性層が存在す
る場合に、強磁性層の有無、あるいは、強磁性層までの
距離に応じて変化するようになっている。すなわち、コ
イルのインピーダンスにおける位相角と、輻射管の外表
面から強磁性層までの距離との間には、一定の相関関係
がある。従って、この相関関係をあらかじめ保持してお
けば、コイルの位相角を測定することにより、強磁性層
の有無、あるいは、外表面から強磁性層までの距離を求
めることができる。
【0076】また、非浸炭層の厚さあるいは窒化層の有
無の判断には、浸炭層検出用コイル2あるいは窒化層検
出用コイル5のインピーダンスにおけるリアクタンスの
大きさ、あるいは、直流抵抗値を用いるようにしてもよ
い。また、位相角,リアクタンスおよび直流抵抗値のい
ずれか2つあるいは3つを併用するようにしてもよい。
【0077】なお、本浸炭測定装置における表示装置2
8に表示されるX振幅値およびY振幅値は、インピーダ
ンスの直流抵抗値およびリアクタンスの大きさに応じた
ものである。
【0078】また、本実施の形態では、浸炭測定プロー
ブ21におけるマグネット3は、複数のリング状の永久
磁石20が積層されてなるとしているが、マグネット3
の構成はこれに限るものではない。例えば、マグネット
3として、ソレノイドコイルを用いるようにしてもよ
い。すなわち、ソレノイドコイルに、直流電流、あるい
は、十分に低い周波数の交流を流すことによって、酸化
層および窒化層の比透磁率を1に近づけるようにしても
よい。
【0079】また、本実施の形態では、浸炭測定プロー
ブ21におけるマグネット3・3によって、酸化層およ
び窒化層の比透磁率を1に近づけるとしているが、マグ
ネット3・3は必ずしも必要ない。すなわち、マグネッ
ト3・3がない場合でも、浸炭層検出用コイル2からの
有効磁力線が、酸化層および窒化層より内部に入る場合
には、酸化層および窒化層の比透磁率を1に近づける必
要はない。
【0080】また、本実施の形態では、窒化層検出用コ
イル5によって窒化層の有無を判断するようにしている
が、これに限らず、浸炭層検出用コイル2によって窒化
層の厚さを測定するようにしてもよい。この場合には、
窒化層の厚さ毎に、浸炭層検出用コイル2のインピーダ
ンスと非浸炭層の厚さとの関係を求めておくことが好ま
しい。このようにすれば、より正確に浸炭層の厚さ測定
を行うことが可能となる。
【0081】また、本実施の形態では、浸炭測定プロー
ブ21における窒化層検出用コイル5のインピーダンス
から、窒化層の有無を判断するようにしているが、本浸
炭測定装置の構成はこれに限らない。窒化層の有無の判
断は、人間が目視によって行ってもよいし、放射線や超
音波を用いて行うようにしてもよい。
【0082】また、本実施の形態では、ユーザが、発振
器22から表示装置28を制御して、浸炭層検出用コイ
ル2および窒化層検出用コイル5のインピーダンスを測
定し、窒化層の有無を判断して、第1および第2の関係
のいずれかを選択するようになっている。しかしなが
ら、本浸炭測定装置の構成はこれに限らない。すなわ
ち、本浸炭測定装置を、増幅器23〜表示装置28を制
御するための制御部と、第1および第2のインピーダン
スと第1および第2の関係とを記憶しておくための記憶
部とを有する構成とし、図1に示した各ステップを、制
御部の制御によって行うようにしてもよい。
【0083】また、本実施の形態では、増幅器23〜表
示装置28により、浸炭層検出用コイル2および窒化層
検出用コイル5のインピーダンスを測定するようにして
いるが、本発明の浸炭測定装置の構成はこれに限らな
い。本発明の浸炭測定装置は、浸炭測定プローブ21
に、従来のベクトル表示方式の探傷器を備えた構成であ
ってもよい。そして、この構成により、浸炭層検出用コ
イル2および窒化層検出用コイル5のインピーダンスに
おけるY振幅値,X振幅値および位相角を測定するよう
にしてもよい。
【0084】次に、本浸炭測定装置による浸炭層の検出
・厚さ測定を示す実施例を、実施例1および実施例2と
して以下に説明する。なお、これら実施例に示した各測
定を行うために、以下に示すようなサンプル♯1〜♯
6,サンプル♯11・♯12,サンプル♯21〜♯25
およびサンプル♯41〜♯50を作成した。
【0085】図9は、これらサンプル♯1〜♯6の構成
を示す説明図である。この図に示すように、サンプル♯
1〜♯6は、使用済の輻射管(KHR−35H;外径9
0mm,肉厚9.5mm)の一部(健全層および酸化
層)と、強磁性体の炭素鋼(炭素鋼層)とが、積層され
てなるサンプルである。すなわち、これらのサンプル
は、浸炭層,健全層および酸化層からなる輻射管に応じ
たサンプルである。この『KHR−35H』という輻射
管は、HP合金(25Cr−35Ni−1Mo)からな
る、耐熱遠心鋳造管((株)クボタ製)である。
【0086】なお、サンプル♯1〜♯6の厚さは全て
9.5mmである一方、炭素鋼層の厚さは互いに異なっ
ている。各サンプルの健全層および炭素鋼層の厚さを、
表1に示す。また、この表には、他のサンプルとの比較
のために、サンプルの厚さ(全厚)、および、これらの
サンプルにはない窒化層の厚さに関しても記載してい
る。また、サンプル♯1〜♯6における酸化層の厚さ
は、0.2mm〜0.3mmである。また、サンプル♯
1〜♯6における、図9に垂直な方向の長さは、70m
mである。
【0087】
【表1】
【0088】また、図10は、サンプル♯11・♯12
の構成を示す説明図である。この図に示すように、サン
プル♯11・♯12は、酸化層および窒化層が形成され
た、使用済みの輻射管(KHR−35H;外径90m
m,肉厚9.5mm)を材料としたサンプルである。な
お、サンプル♯11・♯12における、図10に垂直な
方向の長さは、70mmである。表2に、これらサンプ
ル♯11・♯12における窒化層および健全層の厚さを
示す。なお、サンプル♯11・♯12の材料となった輻
射管には、浸炭層は形成されていなかった。また、サン
プル♯11・♯12における酸化層の厚さは、0.2m
m〜0.3mmである。
【0089】
【表2】
【0090】なお、これらサンプル♯11・♯12にお
ける窒化層の厚さは、各サンプルの断面観察により、輻
射管の切断面における、エッチング後の変色部分(球状
の析出物組織が多く存在する部分)の厚さを測定するこ
とにより求められた。また、サンプル♯11・♯12に
対してEPMA(electro probe microanalysis )のラ
イン分析を行って、窒化層の厚さを測定した結果、断面
観察による測定結果と一致していることが確認された。
【0091】また、図11は、サンプル♯21・♯22
の構成を示す説明図である。また、図12は、サンプル
♯23〜♯25の構成を示す説明図である。これらの図
に示すように、サンプル♯21〜♯25は、外表面に酸
化層および窒化層が形成されている輻射管の内部を加工
し、内表面に炭素鋼層を形成したものである。また、サ
ンプル♯21・♯22を作成するために用いた輻射管
は、サンプル♯11・♯12の材料と同一のものであ
る。表3に、これらサンプル♯21〜♯25における各
層の厚さを示す。なお、サンプル♯21〜♯25におけ
る、図11あるいは図12に垂直な方向の長さは、70
mmである。また、サンプル♯21〜♯25における酸
化層の厚さは、0.2mm〜0.3mmである。
【0092】
【表3】
【0093】また、図13は、サンプル♯41〜♯50
の構成を示す説明図である。これらサンプル♯41〜♯
50は、外表面近傍まで浸炭が進展した輻射管を切断し
て得たものである。表4に、これらサンプル♯41〜♯
50における各層の厚さを示す。なお、サンプル♯41
〜♯50における酸化層の厚さは、0.2mm〜0.3
mmである。
【0094】
【表4】
【0095】また、実施例1および実施例2に示す測定
に用いた浸炭測定プローブ21では、浸炭層検出用バラ
ンスコイル1および浸炭層検出用コイル2の外径を28
mmとし、窒化層検出用バランスコイル4および窒化層
検出用コイル5の外径を10mmとした。従って、上記
(1)式より、有効磁力線が到達する距離は、浸炭層検
出用コイル2で約7mm、窒化層検出用コイル5で約
2.5mmとなる。また、マグネット3・3を構成する
永久磁石20としては、外径18mm,内径10mm,
厚さ1.8mmの、NEOMAX−32Hを用いた。
【0096】〔実施例1〕本実施例では、浸炭測定プロ
ーブ21における永久磁石20の適切な数量を求めるた
めの測定を行った結果を示す。図14は、浸炭測定プロ
ーブ21に何も接触させていない状態で、マグネット3
・3における永久磁石20の枚数を変化させながら、浸
炭層検出用コイル2のインピーダンスの大きさ(図8
(b)におけるZの大きさ)と位相角(図8(b)にお
けるθ)とを測定した結果を示すグラフである。なお、
この測定における永久磁石20の枚数とは、2つのマグ
ネット3・3を構成する永久磁石20の合計枚数であ
る。また、この測定において、発振器22が浸炭層検出
用コイル2に流した交流の試験周波数は、3kHzであ
った。
【0097】このグラフに示すように、永久磁石20の
枚数が増すにつれて、浸炭層検出用コイル2のインピー
ダンスが小さくなる一方、位相角は変化しない。従っ
て、永久磁石20の枚数が増えると、浸炭層検出用コイ
ル2の直流抵抗値が大きくなることがわかった。また、
永久磁石20の枚数を8枚以上とした場合には、インピ
ーダンスはほとんど変化しないことも確認された。
【0098】このように、永久磁石20の枚数を8枚と
すれば、輻射管に形成されている酸化層および窒化層を
磁気飽和させ、これらの比透磁率を、十分に1に近づけ
ることが可能であると考えられる。従って、浸炭測定プ
ローブ21における永久磁石20の数は、8枚以上であ
ることが好ましいといえる。また、製作コストを考慮す
れば、永久磁石20の数は、8枚であることがさらに好
ましいといえる。
【0099】上記の結果より、後述する実施例2では、
浸炭測定プローブ21における永久磁石20の数を8枚
として各測定を行っている。また、実施例2における各
測定では、浸炭測定プローブ21の感度の設定は、上記
したサンプル♯1を使用した。すなわち、サンプル♯1
を測定した際に得られるインピーダンスの位相角が90
度となり、そのベクトル電圧値が表示装置28によって
観察しやすい値となるように、増幅器23〜第2同期検
波器27(図4参照)の感度を設定した。
【0100】〔実施例2〕本実施例では、浸炭層検出用
コイル2のインピーダンスと非浸炭層の厚さとの関係、
および、窒化層検出用コイル5のインピーダンスと窒化
層の有無との関係について測定を行った結果を示す。
【0101】図15は、図9に示したサンプル♯1〜♯
5と、図10に示したサンプル♯11・♯12とに対し
て浸炭層の厚さ測定を行うことによって得られた、浸炭
層検出用コイル2と窒化層検出用コイル5とのインピー
ダンスに応じたベクトル波形(リサージュ波形)を示す
説明図である。この図に示すように、浸炭層検出用コイ
ル2および窒化層検出用コイル5の位相角は、窒化層の
厚さが異なるサンプル♯11・♯12に対する測定で
は、ほぼ同一となることがわかる。
【0102】また、この図に示すように、窒化層のある
サンプル♯11・12から得られた窒化層検出用コイル
5の位相角は、ともに95°であった。また、サンプル
♯21・♯22に対して、浸炭層の厚さ測定を行ったと
ころ、窒化層検出用コイル5の位相角は、それぞれ95
°,89°となった。このように、輻射管の外表面に窒
化層がある場合には、窒化層および浸炭層の厚さに依ら
ず、窒化層検出用コイル5の位相角は常に89°以上と
なることがわかる。
【0103】また、この図に示すように、窒化層検出用
コイル5の位相角は、サンプル♯1・♯2においても約
89°となっている。これらサンプル♯1およびサンプ
ル♯2に対する測定結果より、非浸炭層の厚さが2.4
mm以内であれば、窒化層の有無に依らず、窒化層検出
用コイル5の位相角は89°以上となることがわかる。
【0104】また、図16は、サンプル♯1〜♯5に対
する浸炭層の厚さ測定によって得られた、窒化層検出用
コイル5のY振幅値と非浸炭層の厚さとの関係を示すグ
ラフである。さらに、図17は、サンプル♯21〜25
およびサンプル♯31に対する浸炭層の厚さ測定によっ
て得られた、窒化層検出用コイル5のY振幅値と窒化層
の厚さおよび炭素鋼層の厚さとの関係を示すグラフであ
る。なお、サンプル♯31とは、サンプル♯22の構成
において、健全層の厚さを7.5mm、窒化層の厚さを
2.0mmとし、炭素鋼層をなくした構成のサンプルで
ある。このため、図17には、サンプル♯31の炭素鋼
層に応じたプロット点はない。
【0105】図16および図17に示すように、輻射管
の外表面に窒化層がある場合には、非浸炭層の厚さに依
らず、窒化層検出用コイル5のY振幅値は、サンプル♯
3から得られた値(約1V)程度となることがわかる。
【0106】また、図18は、管外表面に窒化層がな
く、管外表面近傍まで浸炭が進展しているサンプル♯4
1〜♯50に対する浸炭層の厚さ測定によって得られ
た、窒化層検出用コイル5のY振幅値と非浸炭層の厚さ
との関係を示すグラフである。このグラフに示すよう
に、非浸炭層の厚さが2.4mm以内であれば、窒化層
検出用コイル5のY振幅値は、サンプル♯1から得られ
る値より小さく、サンプル♯2から得られる値(約2.
4V)以上となることがわかる。
【0107】従って、窒化層検出用コイル5における位
相角が、89°以上であり、かつ、Y振幅値がサンプル
♯3から得られる値(約1V)程度であれば、輻射管に
は、窒化層があるということがわかる。一方、窒化層検
出用コイル5における位相角が89°未満であるか、あ
るいは、窒化層検出用コイル5における位相角が89°
以上であり、かつ、Y振幅値がサンプル♯1から得られ
る値より小さく、サンプル♯2から得られる値以上であ
れば、輻射管には、窒化層がないということがわかる。
【0108】また、図19は、サンプル♯2〜♯5、サ
ンプル♯22〜♯25、および、サンプル♯31に対し
て、本浸炭測定装置による浸炭層の厚さ測定によって得
られた浸炭層検出用コイル2の位相角と、これらのサン
プルの実際の非浸炭層(健全層,酸化層および窒化層の
積層)の厚さとの関係を示すグラフである。また、これ
らの測定では、発振器22が浸炭層検出用コイル2に流
した交流の試験周波数は、1.3kHzであった。すな
わち、この図における破線は、窒化層のないサンプル♯
2〜♯5と浸炭層検出用コイル2の位相角との関係を示
すグラフである一方、実線は、厚さ2mmの窒化層のあ
るサンプル♯22〜♯25およびサンプル♯31と浸炭
層検出用コイル2の位相角との関係を示すグラフであ
る。
【0109】この図に示すように、窒化層の有無によ
り、グラフの傾きが異なっていることがわかる。また、
非浸炭層の厚さが7mm以上となると位相角の変化がな
くなることが、サンプル♯31の測定によってわかる。
【0110】これらのグラフより求められた、浸炭層検
出用コイル2の位相角と非浸炭層の厚さとの関係を以下
に示す。すなわち、図19に破線で示したグラフより、
窒化層がない場合には、 非浸炭層の厚さ=−0.055024×θ+7.2864179 …(6) となる。また、実線で示したグラフより、窒化層がある
場合には、 非浸炭層の厚さ=−0.11265×θ+10.10516 …(7) となる。
【0111】また、図20は、サンプル♯2〜♯5に対
する測定によって得られた、浸炭層検出用コイル2のイ
ンピーダンスにおける位相角と、これらサンプルの実際
の非浸炭層(健全層)の厚さとの関係を示す説明図であ
る。さらに、図21は、サンプル♯2〜♯5に対する測
定によって得られた、窒化層検出用コイル5のインピー
ダンスにおける位相角と、これらサンプルの実際の非浸
炭層の厚さとの関係を示す説明図である。
【0112】なお、これらの測定では、発振器22が浸
炭層検出用コイル2に流した交流の試験周波数は、1.
3kHzであった。また、発振器22が窒化層検出用コ
イル5に流した交流の試験周波数は、5.0kHzであ
った。図20・図21に示すように、浸炭層検出用コイ
ル2および窒化層検出用コイル5の位相角は、窒化層の
ないサンプル♯2〜♯5に対する測定では、各サンプル
の非浸炭層の厚さが大きくなるにつれて小さくなってい
る。
【0113】以上の測定により得られた結論を、〜
として以下に示す。 窒化層検出用コイル5における位相角が89°以上
で、Y振幅値がサンプル♯3から得られた値(約1V)
程度である場合、輻射管の外表面には、窒化層があると
判断できる。そして、非浸炭層の厚さは、浸炭層検出用
コイル2の位相角と上記(7)式とを用いて求めること
ができる。
【0114】窒化層検出用コイル5における位相角が
89°以上で、Y振幅値がサンプル♯1から得られた値
より小さく、サンプル♯2から得られた値(約2.4
V)以上である場合、輻射管の外表面には窒化層がない
と判断できる。そして、浸炭層は、輻射管の外表面から
2.4mm以内に達していると判断できる。
【0115】窒化層検出用コイル5における位相角が
89°未満の場合、輻射管の外表面には窒化層はないと
判断できる。そして、非浸炭層の厚さは、浸炭層検出用
コイル2の位相角と上記(6)式とを用いて求めること
ができる。
【0116】このように、本浸炭測定装置によれば、輻
射管の外表面に窒化層が形成されている場合でも、非浸
炭層の厚さを測定することが可能である。従って、この
厚さを輻射管本来の厚さから差し引くことで、浸炭層の
厚さを求めることが可能となっている。
【0117】また、本浸炭測定装置によれば、輻射管の
表面近く(上記では外表面から2.4mm以内)まで浸
炭層が形成されていても、この浸炭層を検出することが
できる。すなわち、従来の浸炭測定装置では、輻射管の
浸炭が進み、非浸炭層の厚さが所定の厚さ以下となって
しまった輻射管に対しては、浸炭層と非浸炭層とを区別
して検知することができなかった。すなわち、従来の浸
炭測定装置では、検知できない非浸炭層の厚さの範囲
(不感帯域)が十分に小さくないので、まだ使用可能な
輻射管であっても、完全に浸炭してしまったものと区別
できないという問題があった。
【0118】しかしながら、本浸炭測定装置では、窒化
層検出用コイル5のインピーダンスを測定することで、
外表面近くまで浸炭層が形成されていても、非浸炭層の
厚さを測定することが可能となっている。従って、輻射
管の不感帯域を、非常に小さくすることが可能となって
いる。
【0119】なお、浸炭層の検出のためのコイル1・2
に流す交流の試験周波数は、1.3kHzであることが
好ましい。この試験周波数の交流を用いれば、窒化層が
ない輻射管に対して、非常に正確な測定を行うことがで
きる。また、窒化層の検出のためのコイル4・5に流す
交流の試験周波数は、5kHzとすることが好ましい。
この試験周波数の交流を用いれば、輻射管の外表面か
ら、2.5mm以内に達した浸炭層を検出することが可
能となる。
【0120】なお、コイル1・2および4・5が実施例
1・2に示したサイズの場合、窒化層検出用コイル5の
不感帯域は、0.8mm以下、浸炭層検出用コイル2の
不感帯域は2.5mm以下となる。すなわち、輻射管の
外表面から2.5mm以内に浸炭層が進展しても、浸炭
層検出用コイル2による計測値は、2.5mmとなる。
【0121】また、本浸炭測定装置による測定では、非
浸炭層の厚さが2.4mm以内であって、窒化層が形成
されている場合、窒化層検出用コイル5のY振幅値は、
サンプル♯2から得られた値(約2.4V)以上になる
と考えられる。
【0122】また、窒化層検出用コイル5の位相角が8
9°以上で、Y振幅値が1〜2.4Vの場合、輻射管
は、以下のあるいはに示した状態にあると考えられ
る。
【0123】非浸炭層の厚さが2.4mm〜4mm程
度であり、窒化層がない。 非浸炭層の厚さが(2.4+α1)mm〜(4+α
2)mm程度であり、窒化層がある。なお、これらα1
およびα2は、窒化層によるY振幅値への影響である。
【0124】また、窒化層検出用バランスコイル4およ
び窒化層検出用コイル5の外径は、輻射管の外表面から
窒化層の最大厚さと考えられる距離まで有効磁力線が到
達するように、設定されるようにしてもよい。例えば、
窒化層の最大厚さが2.5mmであれば、窒化層検出用
コイル5の外径は10mmに設定される。
【0125】また、実施例1では、浸炭測定プローブ2
1に備える永久磁石20の枚数を8枚であることが好ま
しいとしているが、浸炭測定プローブ21の構成はこれ
に限るものではない。すなわち、永久磁石20の枚数お
よび大きさは、輻射管に形成された酸化層および窒化層
の比透磁率が十分1に近づくように設定されることが好
ましい。また、この永久磁石20は、浸炭層検出用バラ
ンスコイル1と浸炭層検出用コイル2との直流抵抗値に
明確な差異が発生するとともに、浸炭層検出用コイル2
のインピーダンスが十分小さくなるように数および大き
さが設定されるようにしてもよい。
【0126】
【発明の効果】以上のように、本発明の請求項1に記載
の浸炭測定方法は、電磁誘導法により輻射管の内表面に
形成された浸炭層の厚さを測定する浸炭測定方法におい
て、輻射管の外表面における強磁性層の有無を検出する
第1の工程と、輻射管の表面に隣接させた検出コイルに
交流を流し、この検出コイルのインピーダンスを測定す
る第2の工程と、上記第1の工程における検出結果と上
記第2の工程における測定結果とに基づいて、上記浸炭
層の厚さを測定する第3の工程とを含む方法である。
【0127】上記の方法によれば、第1の工程におい
て、輻射管の外表面における強磁性層の有無を検出する
ようになっている。そして、第3の工程において、第1
の工程における強磁性層の有無の検出結果より、輻射管
の外表面に強磁性層がある場合の検出コイルのインピー
ダンスと非浸炭層の厚さとの第1の関係と、強磁性層が
ない場合の上記インピーダンスと非浸炭層の厚さとの第
2の関係とのいずれかを選択する。
【0128】そして、選択した関係に基づいて、第2の
工程において測定されたインピーダンスから、非浸炭層
の厚さを求め、この非浸炭層の厚さを、輻射管の本来の
厚さから差し引くことで、浸炭層の厚さを求めるように
なっている。
【0129】従って、上記の方法によれば、輻射管の外
表面に強磁性層が形成されていても、輻射管の内表面に
形成された浸炭層の厚さを、正確に測定することが可能
となる。これにより、輻射管の損傷状況を正確に判断す
ることが可能となるので、輻射管を利用した装置・施設
の安全性を高めることが可能となるという効果を奏す
る。
【0130】なお、インピーダンスと非浸炭層の厚さと
の相関関係を求めるときには、特に、インピーダンスの
位相角と非浸炭層の厚さとの相関関係を求めるようにす
ることが好ましい。このようにすれば、インピーダンス
の位相角と非浸炭層の厚さとには、非常に明確な相関関
係があるので、請求項1に記載の方法を実現することが
容易となる。
【0131】また、本発明の請求項2に記載の浸炭測定
方法は、請求項1の方法に加えて、上記強磁性層の比透
磁率を、非磁性体の比透磁率に近づける第4の工程を含
む方法である。
【0132】上記の方法によれば、第4の工程におい
て、強磁性層における比透磁率を、非磁性体の値、すな
わち、輻射管における健全層の値に近づけるようになっ
ている。これにより、上記第2の工程における検出コイ
ルからの磁界が、輻射管の内表面にまで確実に到達する
ようになる。従って、上記の方法によれば、請求項1の
効果に加えて、非浸炭層および浸炭層の厚さを、より正
確に求めることが可能となるという効果を奏する。
【0133】なお、この第4の工程は、強磁性層に対し
て、所定以上の強さの磁界を印加することによって行わ
れることが好ましい。強磁性層に、その磁気が飽和する
程度以上の磁界を印加すると、この強磁性層の比透磁率
は、非磁性体と同様、ほぼ1となる。従って、このよう
にすれば、請求項2に記載の方法を実現することが容易
となる。
【0134】また、本発明の請求項3に記載の浸炭測定
装置は、電磁誘導法により輻射管の内表面に形成された
浸炭層の厚さを測定する浸炭測定装置において、輻射管
の外表面における強磁性層の有無を検出する強磁性層検
出部と、輻射管の外表面における強磁性層の有無と、輻
射管の外表面から浸炭層までの距離とに応じて、インピ
ーダンスが変化する検出コイルとを有する構成である。
【0135】上記の構成によれば、検出コイルのインピ
ーダンスを測定するとともに、強磁性層検出部によっ
て、輻射管の外表面における強磁性層の有無を検出する
ようになっている。そして、強磁性層検出部による検出
結果により、輻射管の外表面に強磁性層がある場合の検
出コイルのインピーダンスと非浸炭層の厚さとの第1の
関係と、強磁性層がない場合の上記インピーダンスと非
浸炭層の厚さとの第2の関係とのいずれかを選択する。
そして、選択したほうの関係に基づいて、測定された検
出コイルのインピーダンスから、非浸炭層の厚さを求め
る。そして、この非浸炭層の厚さを、輻射管の本来の厚
さから差し引くことで、浸炭層の厚さを求めるようにな
っている。
【0136】このように、上記の構成によれば、輻射管
の外表面に強磁性層が形成されていても、輻射管の内表
面に形成された浸炭層の厚さを、正確に測定することが
可能となっている。従って、輻射管の損傷状況を正確に
判断することが可能となるので、輻射管を利用した装置
・施設の安全性を高めることができるという効果を奏す
る。なお、インピーダンスと非浸炭層の厚さとの相関関
係を求めるときには、特に、インピーダンスの位相角と
非浸炭層の厚さとの相関関係を求めるようにすることが
好ましい。
【0137】また、本発明の請求項4に記載の浸炭測定
装置は、請求項3に記載の構成において、上記強磁性層
検出部は、この検出コイルより外径が小さいコイルであ
る構成である。
【0138】上記の構成によれば、上記した検出コイル
より外径が小さいコイルに交流を流し、そのインピーダ
ンスを測定することによって、輻射管の外表面における
強磁性層の有無を検出するようになっている。これによ
り、上記の構成によれば、請求項3の効果に加えて、請
求項3に記載の浸炭測定装置を実現することが容易とな
るという効果を奏する。
【0139】また、本発明の請求項5に記載の浸炭測定
装置は、請求項3に記載の構成に加えて、上記強磁性層
の比透磁率を非磁性体の比透磁率に近づけるためのマグ
ネットを備えている構成である。
【0140】上記の構成では、マグネットによって、強
磁性層に、その磁気が飽和する程度以上の磁界を印加
し、強磁性層の比透磁率を、輻射管における健全層の比
透磁率に近づけるようになっている。これにより、上記
検出コイルからの磁界が、輻射管の内表面にまで確実に
到達するようになる。従って、上記の構成によれば、請
求項3の効果に加えて、非浸炭層および浸炭層の厚さ
を、より正確に求めることが可能となるという効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる浸炭測定装置によ
る、浸炭層の厚さ測定における動作の流れを示すフロー
チャートである。
【図2】上記浸炭測定装置によって測定可能な、輻射管
の例を示す説明図である。
【図3】上記浸炭測定装置における電磁誘導法を示す説
明図である。
【図4】上記浸炭測定装置の構成を示す説明図である。
【図5】図4に示した浸炭測定装置における浸炭測定プ
ローブの構成を示す説明図である。
【図6】図5に示した浸炭測定プローブを、図5におけ
る矢印Aの方向から示す説明図である。
【図7】図5に示した浸炭測定プローブにおける浸炭層
検出用バランスコイルおよび浸炭層検出用コイル、ある
いは、窒化層検出用バランスコイルおよび窒化層検出用
コイルが形成する回路の等価回路であるブリッジ回路の
構成を示す説明図である。
【図8】図5に示した浸炭測定プローブにおける浸炭層
検出用コイルあるいは窒化層検出用コイルのインピーダ
ンスを示す説明図であって、図8(a)は、コイルのイ
ンピーダンスをインダクタンスと抵抗との直列接続によ
って等価的に表現した回路を示す説明図であり、図8
(b)は、コイルのインピーダンスをベクトル波形で示
す説明図である。
【図9】窒化層のない輻射管におけるサンプルの構成を
示す説明図である。
【図10】窒化層のある輻射管におけるサンプルの構成
を示す説明図である。
【図11】窒化層のある輻射管におけるサンプルの、他
の構成を示す説明図である。
【図12】窒化層のある輻射管におけるサンプルの、さ
らに他の構成を示す説明図である。
【図13】外表面の近傍まで浸炭が進展した輻射管にお
けるサンプルの構成を示す説明図である。
【図14】図5に示した浸炭測定プローブに何も接触さ
せていない状態で、マグネットを構成する永久磁石の枚
数を変化させながら、浸炭層検出用コイルのインピーダ
ンスの大きさと位相角とを測定した結果を示すグラフで
ある。
【図15】図4に示した浸炭測定装置によって、図9お
よび図10に示したサンプルに対して、浸炭層の厚さ測
定を行うことによって得られた、浸炭層検出用コイルと
窒化層検出用コイルとのインピーダンスにおけるベクト
ル波形を示す説明図である。
【図16】図9に示したサンプルに対する浸炭層の厚さ
測定によって得られた、窒化層検出用コイルのY振幅値
と非浸炭層の厚さとの関係を示すグラフである。
【図17】図11および図12に示したサンプル等に対
する浸炭層の厚さ測定によって得られた、窒化層検出用
コイルのY振幅値と炭素鋼層および窒化層の厚さとの関
係を示すグラフである。
【図18】図13に示したサンプルに対する浸炭層の厚
さ測定によって得られた、窒化層検出用コイルのY振幅
値と非浸炭層の厚さとの関係を示すグラフである。
【図19】図9,図11および図12に示したサンプル
等に対する浸炭層の厚さ測定を行うことによって得られ
た、浸炭層検出用コイルの位相角と、これらのサンプル
の非浸炭層の厚さとの関係を示すグラフである。
【図20】図9に示したサンプルに対する浸炭層の厚さ
測定を行うことによって得られた、浸炭層検出用コイル
のインピーダンスにおける位相角と、これらサンプルの
非浸炭層の厚さとの関係を示す説明図である。
【図21】図9に示したサンプルに対する浸炭層の厚さ
測定を行うことによって得られた、窒化層検出用コイル
のインピーダンスにおける位相角と、これらサンプルの
非浸炭層の厚さとの関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 浸炭層検出用バランスコイル 2 浸炭層検出用コイル(検出コイル) 3 マグネット 4 窒化層検出用バランスコイル 5 窒化層検出用コイル(強磁性層検出部) 21 浸炭測定プローブ 22 発振器 23 増幅器 24 移相器 25 90°固定移相器 26 第1同期検波器 27 第2同期検波器 28 表示装置

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電磁誘導法により輻射管の内表面に形成さ
    れた浸炭層の厚さを測定する浸炭測定方法において、 輻射管の外表面における強磁性層の有無を検出する第1
    の工程と、 輻射管の表面に隣接させた検出コイルに交流を流し、こ
    の検出コイルのインピーダンスを測定する第2の工程
    と、 上記第1の工程における検出結果と上記第2の工程にお
    ける測定結果とに基づいて、上記浸炭層の厚さを測定す
    る第3の工程とを含むことを特徴とする浸炭測定方法。
  2. 【請求項2】上記強磁性層の比透磁率を、非磁性体の比
    透磁率に近づける第4の工程を含むことを特徴とする請
    求項1に記載の浸炭測定方法。
  3. 【請求項3】電磁誘導法により輻射管の内表面に形成さ
    れた浸炭層の厚さを測定する浸炭測定装置において、 輻射管の外表面における強磁性層の有無を検出する強磁
    性層検出部と、 輻射管の外表面における強磁性層の有無と、輻射管の外
    表面から浸炭層までの距離とに応じて、インピーダンス
    が変化する検出コイルとを有することを特徴とする浸炭
    測定装置。
  4. 【請求項4】上記強磁性層検出部は、この検出コイルよ
    り外径が小さいコイルであることを特徴とする請求項3
    に記載の浸炭測定装置。
  5. 【請求項5】上記強磁性層の比透磁率を、非磁性体の比
    透磁率に近づけるためのマグネットを備えていることを
    特徴とする請求項3に記載の浸炭測定装置。
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