JP2000045924A - 内燃機関用点火装置 - Google Patents

内燃機関用点火装置

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JP2000045924A
JP2000045924A JP10209669A JP20966998A JP2000045924A JP 2000045924 A JP2000045924 A JP 2000045924A JP 10209669 A JP10209669 A JP 10209669A JP 20966998 A JP20966998 A JP 20966998A JP 2000045924 A JP2000045924 A JP 2000045924A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イオン電流を確実かつ精度よく検出できる内
燃機関用点火装置を提供する。 【解決手段】 混合気の燃焼により発生するイオンによ
って流れるイオン電流を検出するイオン電流検出回路4
を備えた点火装置において、点火プラグ10の点火回路
2を、二次巻線L2に点火プラグ10が接続された点火
コイル12と、点火コイル12の一次巻線L1に直列接
続されたコンデンサ14と、バッテリBTの電圧を昇圧
してコンデンサ14を充電する昇圧回路15と、コンデ
ンサ14及び一次巻線L1が形成する閉ループを断続す
るサイリスタ16と、運転状態に応じて設定された点火
信号IGが規定する期間の間、サイリスタ16をターン
オンさせるトリガー信号TGを一定放電間隔で繰り返し
出力するタイマ回路18とにより、いわゆる容量放電
(CDI)方式で多重放電を行うように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、点火プラグの火花
放電後に流れるイオン電流を検出するイオン電流検出回
路を備えた内燃機関用点火装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、内燃機関の失火やノッキング
の他、内燃機関の各種運転状態(空燃比,空燃比のリー
ン限界,排気再循環量の限界等)を検出するために、内
燃機関の点火プラグの火花放電後に、点火プラグの電極
近傍に存在するイオンによって流れるイオン電流を利用
する技術が知られている。
【0003】即ち、内燃機関のシリンダ内では、点火プ
ラグによる火花放電後の燃焼(火炎伝播)時にイオンが
発生し、このイオンの発生量に応じて点火プラグの電極
間の抵抗値が変化する。そして、イオンの発生量は、内
燃機関の燃焼状態、ひいては内燃機関の運転状態に応じ
て様々に異なる。このため、点火プラグへの点火用高電
圧印加後(つまり点火プラグの火花放電後)に、点火プ
ラグに対して外部から電圧を印加し、それによって流れ
るイオン電流を検出することにより、点火プラグの電極
間の抵抗値の変化(つまり運転状態の変化)を検出する
ことができるのである。
【0004】このようなイオン電流検出回路は、例え
ば、特開平4−191465号公報等に開示されている
ように、点火コイルの一次巻線に流れる電流を、一次巻
線に直列接続されたパワートランジスタによりオン・オ
フ制御する、いわゆるフルトランジスタ型の点火回路に
適用されている。
【0005】そして、フルトランジスタ型の点火回路で
は、図8に示すように、点火タイミングtsの前の時点
tpでパワートランジスタをオン状態にして点火コイル
の一次巻線に電流を流し、その後、点火タイミングts
にて、パワートランジスタをターンオフし、このターン
オフ時に一次巻線の電流が遮断されることにより生じる
磁束の急激な変化によって、点火コイルの二次巻線に点
火用高電圧を誘起させ、この点火用高電圧を点火プラグ
に印加している。
【0006】この場合、点火プラグでの火花放電は、電
極間を絶縁破壊する容量放電に続いて、誘導放電(アー
ク放電ともいう)が発生し、この誘導放電を含む火花放
電の放電持続時間τは、シリンダ内での燃焼状態と、点
火コイルのインダクタンス分とにより決まる。
【0007】なお、エンジン始動時やアイドリング時な
どの低回転,軽負荷時での着火性を確保するには、放電
持続時間τを長く(2〜3ms程度)する必要があり、
この放電持続時間τが確保されるような大きさに点火コ
イルのインダクタンスは設定されている。
【0008】そして、イオン電流の検出は、運転状態か
ら想定される燃焼状態と、コイルのインダクタンス分の
大きさとに基づいて放電持続時間の推定値Taを算出
し、点火タイミングtsからこの推定値Taが経過した
時点tdにて行うのであるが、装置毎の燃焼状態(例え
ば点火タイミングから実際に着火するまでの時間)やイ
ンダクタンス分のばらつき等も考慮して、通常、算出値
に安全係数を乗じることにより、実際の放電持続時間τ
よりかなり長めに推定値Taが設定されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、火花放電後の
燃焼時に発生したイオンは、着火後わずかな時間の間し
か存在しないため、高回転,重負荷時など着火性が良く
なる条件にある場合には、点火タイミング後すぐに着火
するため、イオンの存在期間(図中B,C期間を参照)
と放電持続時間とが重なり合ってしまい、イオン電流を
検出できなかったり、検出できたとしても検出レベルが
極めて小さく検出精度が劣化してしまうという問題があ
った。
【0010】本発明は、上記問題点を解決するために、
イオン電流を確実かつ精度よく検出できる内燃機関用点
火装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
になされた請求項1記載の発明は、内燃機関の気筒に装
着された点火プラグに点火用高電圧を印加して、該点火
プラグに火花放電を起こさせる点火手段と、該点火手段
の動作を制御する点火制御手段と、該点火制御手段が前
記点火手段を動作させた後に、前記点火用高電圧とは逆
極性の検出用高電圧を前記点火プラグに印加して、前記
点火プラグの電極間を流れるイオン電流を検出するイオ
ン電流検出手段とを備えた内燃機関用点火装置におい
て、前記点火手段は、電源に接続され放電用のエネルギ
ーを蓄積するコンデンサと、一次巻線が前記コンデン
サ,二次巻線が前記点火プラグと共にそれぞれ閉ループ
を形成するよう接続された点火コイルと、前記コンデン
サと前記一次巻線とを接続する電流経路を、各着火タイ
ミングにおいて予め設定された放電間隔で予め設定され
た放電期間中繰り返し断続するスイッチング手段とを備
え、前記点火制御手段は、内燃機関の運転状態に応じて
放電期間を設定することを特徴とする。
【0012】このように構成された本発明の内燃機関用
点火装置においては、点火制御手段が運転状態に応じて
(例えば、着火性の悪い低回転,軽負荷であるほど長
く、逆に着火性の良い高回転,重負荷であるほど短くな
るように)放電期間を設定する。この放電期間の間、ス
イッチング手段は、コンデンサと一次巻線とを接続する
電流経路を、各着火タイミングにおいて予め設定された
放電間隔で予め設定された放電期間中繰り返し断続す
る。なお、スイッチング手段により電流経路が遮断状態
にある時には、電源によって充電されることにより、コ
ンデンサには放電用のエネルギーが蓄積され、一方、電
流経路が接続状態に切り替わると、コンデンサに蓄積さ
れたエネルギーが放電されることにより、一次巻線に瞬
間的に大電流が流れ、二次巻線に点火用高電圧が発生す
る。
【0013】つまり、点火制御手段が設定する放電期間
の間、点火プラグでは放電間隔毎に火花放電が繰り返さ
れ、いわゆる多重放電が行われることになる。そして、
この多重放電の終了後に、イオン電流検出回路が、点火
用高電圧とは逆極性の検出用高電圧を点火プラグに印加
して、この時、点火プラグの電極間を流れるイオン電流
を検出する。
【0014】このように本発明では、点火回路として、
点火コイルの一次巻線に接続されたコンデンサを充放電
することにより二次巻線に点火用高電圧を発生させる、
いわゆる容量放電(CDI)方式で多重放電を行うもの
用いており、しかも、その多重放電の放電期間を運転状
態に応じて制御するようにされている。
【0015】なお、コンデンサにエネルギーを一旦蓄積
してから放電することにより一瞬の間だけ電流を流すC
DI方式では、一次巻線に一定期間の間電流を流し続け
なけばならないフルトランジスタ方式と比較して、点火
コイルの一次巻線への印加電圧を高く設定(通常、数1
00V)することができ、その分、二次巻線の巻数を少
なくして、二次巻線のインダクタンス(ひいては点火コ
イルの出力インピーダンス)を小さくすることができ
る。
【0016】そして、二次巻線のインダクタンスが小さ
い場合、火花放電は、誘導放電に進むことなく容量放電
だけで終了するため、放電期間内に多重放電される各火
花放電の放電持続時間はいずれも短い。その結果、フル
トランジスタ型の点火回路を用いた場合のように誘導放
電の持続時間の間待機することなく、放電期間の終了直
後にイオン電流の検出を行うことができ、しかも、放電
期間は、運転状態に応じて必要最小限の長さに適宜設定
できるため、着火性のよい高回転,重負荷時でも、放電
期間がイオンの存在期間と重なり合ってしまうことがな
い。
【0017】従って、本発明の内燃機関用点火装置によ
れば、イオン電流を確実かつ感度よく検出することがで
き、ひいては検出したイオン電流に基づいて行う各種制
御を精度よく行わせることができる。また、本発明の内
燃機関用点火装置では、二次巻線のインダクタンスが小
さくいので、1回の火花放電における放電持続時間が短
いだけでなく、二次巻線に誘起される点火用高電圧の立
ち上がりも早く、従って、点火プラグの電極間への電圧
印加時間が短い。このため、点火プラグの絶縁体表面に
付着したカーボンが、電圧印加時に電極間に生じる電界
によって移動,整列して電極間の絶縁抵抗の低下を引き
起こすいわゆる汚損が発生しにくい。
【0018】しかも、点火プラグの絶縁抵抗に対して二
次巻線の出力インピーダンスを十分に小さくすることが
できるため、汚損等により点火プラグの電極間の絶縁抵
抗が多少低下したとしても、点火プラグへの印加電圧が
大きく低下してしまうことがなく、火花放電を確実に行
うことができ、汚損に強い点火装置を構成することがで
きる。
【0019】更に、本発明の内燃機関用点火装置によれ
ば、着火性のよい高回転、重負荷時には、放電期間を短
くして放電回数を減らすことができるため、点火プラグ
の電極が無駄に消耗されることを防止することができ
る。なお、請求項2記載のように、放電期間は、放電期
間は、着火が十分に生じる程度には長く、一方でイオン
電流の検出が可能となる程度に短く設定されている必要
があり、また、請求項3記載のように、イオン電流検出
手段は、点火制御手段にて設定される放電期間の終了後
にイオン電流を検出する必要がある。
【0020】但し、火花放電後に、火花放電しない程度
の電圧を点火プラグに印加した場合、図7に示すよう
に、火花放電が行われた直後からクランク上死点(TD
C)に達するまでの間に、プラグ周りの混合気の燃焼に
よるイオン乖離に基づく電流(第1のピーク)P1が検
出される他、その後、燃焼圧がピークとなるのとほぼ同
時期に、燃焼圧の増大やガス温の上昇に伴う生成物の熱
電離に基づく電流(第2のピーク)P2が検出され、し
かも、低回転,低負荷時には、第2のピークP2は現れ
ないか、又は非常に小さいことが知られている。
【0021】そこで、このようなイオン電流を検出可能
とするために、請求項4記載のように、イオン電流検出
手段は、ATDC(上死点後)180°に達するまでの
期間内に前記イオン電流を検出することが望ましく、更
には、請求項5記載のように、イオン電流検出手段は、
TDCに達するまでの期間内にイオン電流を検出するこ
とがより望ましい。
【0022】特に、TDCに達するまでの期間内にイオ
ン電流を検出するようにすれば、低回転,軽負荷時から
高回転,重負荷時まで、全運転域で確実にイオン電流を
検出することが可能となる。ところで、点火手段にて多
重放電を行うのは、CDI方式のように火花放電の放電
持続時間が短い場合、火花放電にて燃焼室内で形成され
る火炎核が小さく、火炎核が成長することができずに失
火となりやすいため、火花放電を繰り返して火炎核を多
数形成することにより、各火炎核の相互作用で周囲に奪
われる熱量を少なくし、火炎核が成長し易い条件を作り
出して、着火性を向上させているのである。
【0023】つまり、多重放電における火花放電の放電
間隔を変化させると、火炎核が相互作用する度合いも変
化して、着火性に影響を与えることが予想される。そこ
で、多重放電する際に、放電間隔を様々に設定して着火
性がどのように変化するのかを調べるために、運転限界
空燃比(A/Fu)を測定する試験を行ったところ、図
5,6に示すような結果が得られた。
【0024】ここで、運転限界空燃比(A/Fu)と
は、一定条件下で駆動しているエンジンの空燃比(A/
F)を除々に高く(即ち、リーン側に)してゆき、失火
によって生じる燃焼圧の変動率が10%を越える状態と
なったときの空燃比のことである。
【0025】また、試験には、自動車用の直列6気筒2
000ccエンジンを用い、第1の試験(図5参照)で
は、回転数2000rpm,吸気管内負圧−350mm
Hgの条件下で、多重放電の継続時間Tt(=Tm×
N)が2msとなるように火花放電の放電間隔Tm及び
放電回数Nを変化させ、また、第2の試験(図6参照)
では、回転数2000rpm,吸気管内負圧−100m
mHgの条件下で、多重放電の継続時間Ttが1msと
なるように火花放電の放電間隔Tm及び放電回数Nを変
化させた。
【0026】更に、評価の基準とするため、従来のフル
トランジスタ型の点火装置における運転限界空燃比(A
/Fu)も測定した。この場合、火花放電は1回のみで
あり、エンジンの運転条件を調整することにより、火花
放電の放電持続時間τが、第1の試験の基準ではτ=2
ms,第2の試験の基準ではτ=1msとなるように設
定した。
【0027】図5に示す第1の試験、即ち着火性が悪く
放電期間を長く(ここでは2ms)する必要がある低負
荷(吸気管内負圧−350mmHg)の場合も、また、
図6に示す第2の試験、即ち着火性が良く放電期間を短
く(ここでは1ms)できる高負荷(吸気管内負圧−1
00mmHg)の場合も、いずれの場合でも、放電間隔
Tmが100μs以下であれば、フルトランジスタ型の
点火回路を用いた従来装置と同程度の運転限界空燃比A
/Fuが得られ、放電間隔Tmが300μs以下であれ
ば、ほぼA/Fu≧20となり、実用上十分に使用し得
ることがわかった。
【0028】従って、請求項6記載のように、スイッチ
ング手段による放電間隔は、300μs以下に設定され
ていることが望ましい。更には、放電間隔は100μ以
下に設定されていることがより望ましく、この場合、従
来装置と比べて、運転限界空燃比(A/Fu),ひいて
は着火性を低下させることなく、上述のイオン電流を確
実かつ高感度にて検出できるという効果を得ることがで
きる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施例を図面と共
に説明する。図1は、本発明が適用された内燃機関用点
火装置の概略構成図である。図1に示すように、本実施
例の内燃機関用点火装置は、内燃機関の各気筒毎に設け
られた点火プラグ10を、点火信号IGに従って火花放
電させる点火回路2と、点火回路2に電源供給するバッ
テリBTと、混合気の燃焼により点火プラグ10の電極
近傍に発生するイオンによって流れるイオン電流を、検
出信号Sdに従って検出するイオン電流検出回路4と、
点火回路2に点火信号IGを出力すると共に、イオン電
流検出回路4に検出信号Sd及び後述する接地信号Sg
を出力する内燃機関制御用の電子制御装置(以下、EC
Uという)6と、イオン電流検出回路4の出力VioをA
D変換してECU6の入力に適した信号Dioとする検出
回路8とを備えている。
【0030】なお、ECU6以外の構成は、内燃機関の
各気筒毎に設けられるものであるが、図1では、図面を
見やすくするために1気筒分のみを表している。そし
て、点火回路2は、点火プラグ10に点火用高電圧を印
加する点火コイル12を備えており、この点火コイル1
2の一次巻線L1には、コンデンサ14が直列に接続さ
れている。また、この直列接続されたコンデンサ14及
び一次巻線L1には、バッテリBTの電圧を昇圧してコ
ンデンサ14の充電用電圧(本実施例では300〜40
0V程度)を生成する昇圧回路15と、アノードがコン
デンサ14側端に、カソードが一次巻線L1側端に接続
されたサイリスタ16とが接続されている。更に、サイ
リスタ16のゲートには、ECU6からの点火信号IG
に従って、サイリスタ16をターンオンさせるトリガー
信号TGを出力するタイマ回路18が接続されている。
【0031】なお、点火コイル12の二次巻線L2は、
一端が点火プラグ10の中心電極に接続され、他端がイ
オン電流検出回路4に接続されており、点火プラグ10
の外側電極は接地されている。また、二次巻線L2のイ
ンダクタンスをL[H]、二次巻線L2や配線の浮遊容
量,点火プラグ10の負荷容量等を含む二次側回路の実
効負荷容量をC[F]とした場合に、点火コイル12の
二次側回路は次の(1)式を満たすように設定されてい
る。
【0032】 L・C≦250×10-12[sec2] (1) このように構成された点火回路2では、サイリスタ16
がオフ状態にある時に、昇圧回路15が生成する充電電
圧によりコンデンサ14が充電される。このようにコン
デンサ14が充電された状態で、タイマ回路18からの
トリガー信号TGにより、サイリスタ16がターンオン
すると、コンデンサ14の充電電荷が放電され、コンデ
ンサ14,サイリスタ16,点火コイル12の一次巻線
L1が形成する閉ループに瞬時的に大電流が流れる。こ
れにより、点火コイル12の二次巻線L2に点火用高電
圧(本実施例では、30〜40kV)が発生し、この点
火用高電圧が点火プラグ10の中心電極に印加され、点
火プラグ10が火花放電することになる。
【0033】なお、火花放電時に点火プラグ10の中心
電極が負極性となるようにされており、従って、この火
花放電によって流れる火花放電電流Ispは、点火プラグ
10から二次巻線L2に向けて流れる。また、タイマ回
路18は、図2に示すように、点火信号IGがHighレベ
ルである期間Ttの間、トリガー信号TGを放電間隔T
m(本実施例では100μs)にて繰り返し出力するよ
うに構成されており、従って、この間、点火プラグ10
では放電間隔Tmにて繰り返し火花放電が行われ、いわ
ゆる多重放電が行われることになる。つまり、トリガー
信号TGは、多重放電を開始する点火タイミングts、
及び多重放電を継続させる時間(以下、多重放電継続時
間という)Ttを規定するものである。
【0034】次に、イオン電流検出回路4は、一端が接
地された抵抗20と、この抵抗20に並列接続されカソ
ードが接地されたダイオード22と、抵抗20及びダイ
オード22の接地側とは反対側に直列接続されたコンデ
ンサ24とを備えており、抵抗20の両端電圧Vioが検
出回路8に入力されるように接続されている。また、こ
れらコンデンサ24,抵抗20,ダイオード22が点火
コイル12の二次巻線L2及び点火プラグ10と共に形
成する閉ループにおいて、コンデンサ24と点火コイル
12の二次巻線L2との間には、火花放電電流Ispの流
れる方向を順方向とする充電用ダイオード28が直列接
続され、この充電用ダイオード28の両端を、ECU6
からの検出信号Sdに従って短絡する放電用スイッチ3
0が、充電用ダイオード28と並列に接続されている。
【0035】更に、イオン電流検出回路4には、これら
コンデンサ24,抵抗20,ダイオード22,充電用ダ
イオード28,放電用スイッチ30からなる回路と並列
に、カソードが点火コイル12の二次巻線L2との接続
端に接続され、アノードが接地されたツェナーダイオー
ド26と、二次巻線L2との接続端にコレクタが接続さ
れると共にエミッタが接地され、ECU6からベースに
入力される接地信号Sgに従って、二次巻線L2との接
続端を接地するトランジスタ32とが設けられている。
【0036】このように構成されたイオン電流検出回路
4では、放電用スイッチ30が開放されている時に、点
火コイル12の二次巻線L2との接続端から接地端に向
けてのみ電流を流すことが可能となる。つまり、点火プ
ラグ10の火花放電によって流れる火花放電電流Isp
は、充電用ダイオード28,コンデンサ24,ダイオー
ド22を通過する閉ループを流れ、同時にツェナーダイ
オード26にツェナー電圧Vzを発生させる方向に流れ
る。このため、コンデンサ24は、火花放電電流Ispに
よって、ツェナーダイオード26のツェナー電圧Vzか
ら充電用ダイオード28及びダイオード22の各順方向
電圧Vfだけ小さい電圧Vc(=Vz−2×Vf)で充
電されることになる。
【0037】一方、放電用スイッチ30が閉じられ、充
電用ダイオード28の両端が短絡された時には、抵抗2
0,コンデンサ24,放電用スイッチ30を通過する閉
ループを、接地端側から二次巻線L2との接続端側に向
けて電流を流すことが可能となり、抵抗20の両端電圧
Vdは、この閉ループを流れる検出電流Idの大きさに
応じたものとなる。
【0038】この時、点火プラグ10への印加電圧Vp
は、コンデンサ24の充電電圧Vcから抵抗20での電
圧降下分だけ差し引いたもの(Vp=Vc−Rd×I
d;但し、Rdは抵抗20の抵抗値)となる。なお、こ
の印加電圧Vpは、点火プラグ10が火花放電しない程
度(例えば約1kV)とする必要があり、即ち、ツェナ
ーダイオード26のツェナー電圧Vzは、この印加電圧
Vpに基づいて設定する必要がある。
【0039】また、接地信号Sgによってトランジスタ
32が導通し、二次巻線L2との接続端が接地される
と、点火プラグ10の電極に残存する電荷が放電され
る。次に、ECU6が実行するメイン処理について説明
する。なお、ECU6は、内燃機関の点火時期,燃料噴
射量,アイドル回転数等を総合的に制御するためのもの
であり、以下に説明するメイン処理以外に、内燃機関の
吸気管圧力(又は吸入空気量),エンジン回転速度,冷
却水温など各種運転状態を検出する運転状態検出処理等
を行っている。
【0040】図3に示すように、本処理が起動される
と、まずS110では、別途実行される運転状態検出処
理にて検出された運転状態を読み込み、続くS120で
は、S110にて読み込んだ運転状態に従って、多重放
電を開始する点火タイミングts、及び多重放電継続時
間Ttを設定する。
【0041】なお、これら点火タイミングts及び多重
放電継続時間Ttは、運転状態を表すパラメータとの関
係を規定する計算式に基づいて算出してもよいし、予め
実験的に求めた結果をテーブルにしてROM等に記憶し
ておき、このテーブルから運転状態を表すパラメータを
参照値として読み込むことで設定してもよい。そして、
概略的には、吸入空気量等に基づいて推定される負荷が
高いほど、またエンジン回転数が高いほど、点火タイミ
ングtsが進角し、また多重放電継続時間Ttが短くな
るように設定される。但し、点火タイミングts及び多
重放電継続時間Ttは、クランク角度に換算した値で設
定される。
【0042】続くS130では、図示しないクランク角
センサからの検出結果に基づいて、S120にて設定さ
れた点火タイミングtsであるか否かを判断し、否定判
定された場合は同ステップを繰り返し実行することで待
機する。そして、点火タイミングtsとなり肯定判定さ
れた場合は、S140に移行して、点火信号IGをオン
(High)レベルに設定することにより、タイマ回路18
に、トリガー信号TGの出力を開始させる。
【0043】続くS150では、先のS130にて点火
タイミングtsとなった後、先のS120にて設定され
た多重放電継続時間Ttが経過したか否かを判断し、否
定判定された場合は同ステップを繰り返し実行すること
で待機する。そして、多重放電継続時間Ttが経過し、
肯定判定されると、S160に移行して、点火信号IG
をオフ(Low) レベルに設定することにより、タイマ回
路18に、トリガー信号TGの出力を停止させる。
【0044】続くS170では、点火信号IGがオフレ
ベルにされた後、予め設定された待機時間Twが経過し
たか否かを判断し、否定判定された場合は同ステップを
繰り返し実行することで待機する。そして、待機時間T
wが経過して肯定判定されると、S180に移行する。
【0045】なお、待機時間Twは、点火信号IGをLo
w レベルとすると同時にサイリスタ16がターンオンし
た場合を想定して、点火プラグ10での火花放電後に点
火コイル12の二次側回路に発生する電圧減衰振動が十
分に収束し、しかも、クランク上死点(TDC)を越え
ることがないような長さに設定される。但し、ここでは
待機時間Twを固定値としているが、点火タイミングt
sや多重放電継続時間Ttと同様に、運転状態に応じて
可変設定するようにしてもよい。
【0046】そして、S180では、予め決められた検
出期間の間だけ、検出信号SdをHighレベルとすること
により放電用スイッチ30を作動させて充電用ダイオー
ド28の両端を短絡する。この検出期間は、イオン電流
Iioが正常に流れた場合に、コンデンサ24の電荷がす
べて放電されるような長さに設定することが望ましい。
【0047】続くS190では、検出期間(検出信号S
dがHighレベル)の間に、抵抗20の両端電圧VioをA
D変換してなる検出値Dioを検出回路8から読み込む。
そして、検出期間が終了すると、S200にて、接地信
号Sgを出力してトランジスタ32を導通させ、点火プ
ラグ10に残存する電荷を放電させた後、本処理を終了
する。
【0048】即ち、図4に示すように、本実施例におい
ては、点火タイミングtsにて点火信号IGがオンレベ
ルに切り替わり(S130,140)、トリガー信号T
Gの出力が開始されると、以後、多重放電継続時間Tt
の間、トリガー信号TGに従って、サイリスタ16がタ
ーンオンすることにより、点火コイル12を介して点火
用高電圧が点火プラグ10の中心電極に印加され、点火
プラグ10では、放電間隔Tm毎に火花放電が行われ
る。
【0049】この火花放電時に点火コイル12の二次側
回路に流れる火花放電電流Ispは、ツェナーダイオード
26にツェナー電圧Vzを発生させると共に、充電用ダ
イオード28を介してコンデンサ24に供給されコンデ
ンサ24を充電する。また、この時、点火コイル12の
一次側回路では、コンデンサ14の放電電流がゼロにな
り、サイリスタ16が自動的にターンオフすると、次の
火花放電までの間に、昇圧回路15が生成する充電電圧
によってコンデンサ14は速やかに充電される。
【0050】そして、点火タイミングts後、多重放電
継続時間Ttが経過して点火信号IGがオフレベルに切
り替わることにより(S150,S160)トリガー信
号TGの出力が停止される。更にその後、待機時間Tw
が経過して検出信号SdがHighレベルに切り替わり(S
170,S180)、放電用スイッチ30が作動して充
電用ダイオード28の両端が短絡されると、以後、検出
信号SdがHighレベルに保持される検出期間Tdの間、
コンデンサ24の放電により点火プラグ10の電極間に
検出用高電圧が印加され、点火プラグ10の電極間のイ
オン量に応じたイオン電流Iioが流れる。
【0051】この検出期間Tdの間に、イオン電流Iio
が抵抗20を流れることにより生じる抵抗20の両端電
圧Vioを検出回路8がAD変換し、その変換結果をイオ
ン電流検出値DioとしてECU6が読み込む(S19
0)。なお、ECU6に読み込まれたイオン電流検出値
Dioは、例えば、内燃機関の失火やノッキングの発生を
判定するためや、内燃機関の各種運転状態(空燃比,空
燃比のリーン限界,排気再循環量の限界等)を判定する
ため等に用いられる。
【0052】その後、検出期間Tdが終了して、接地信
号Sgが出力されると(S200)、トランジスタ32
によって、イオン電流検出回路4の二次巻線L2との接
続端が接地され、例えば失火等、十分なイオン電流Iio
が流れないことにより、点火プラグ10の電極に残存し
てしまった電荷が確実に放電される。
【0053】以上説明したように、本実施例の内燃機関
用点火装置においては、点火回路2が、1回の火花放電
における放電持続時間の短いCDI方式により多重放電
を行うように構成され、しかも、その多重放電継続時間
Tt(換言すれば、火花放電の回数)を、内燃機関の運
転状態に応じて、着火性の悪い低回転,軽負荷であるほ
ど長く(多く)、逆に高回転,重負荷であるほど短く
(少なく)設定するようにされている。
【0054】従って、本実施例の内燃機関用点火装置に
よれば、運転状態に応じて必要最小限の長さに設定され
る多重放電継続時間Ttの経過後に、速やかにイオン電
流の検出を行うことができるため、常に放電持続時間の
長い火花放電が行われる従来のフルトランジスタ型の点
火回路を備えた従来装置とは異なり、特に着火性のよい
高回転,重負荷時に火花放電の放電期間とイオンの存在
期間とが重なり合ってしまうようなことがなく、イオン
電流を確実かつ感度よく検出することができ、ひいては
検出したイオン電流に基づいて行う各種制御を精度よく
実行させることができる。
【0055】しかも、本実施例の内燃機関用点火装置に
よれば、多重放電の放電間隔Tmが100μsに設定さ
れているので、フルトランジスタ型の点火回路を備えた
従来装置と同等の着火性を保持することができる。な
お、本実施例において、点火回路2が点火手段、イオン
電流検出回路4及びS170〜S200がイオン電流検
出手段、S110〜S160が点火制御手段、サイリス
タ16がスイッチング素子、タイマ回路18がスイッチ
ング手段に相当する。
【0056】以上、本発明の一実施例について説明した
が、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、様
々な態様にて実施することができる。例えば、上記実施
例では、タイマ回路18は、点火信号IGがオンレベル
の間だけトリガー信号TGを出力するように構成されて
いるが、点火信号IGの代わりに出力すべきトリガー信
号TGの数をタイマ回路18に供給し、タイマ回路18
では、その数だけトリガー信号TGを出力するように構
成してもよい。
【0057】また、上記実施例では、放電間隔Tmを1
00μsとしたが、この放電間隔Tmは300μs以
下、且つ、昇圧回路15からの充電電圧による充電を完
了するのに要する時間以上に設定されていればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の内燃機関用点火装置の全体構成を表
す回路図である。
【図2】 点火回路の動作を表すタイミング図である。
【図3】 ECUが実行する処理の内容を表すフローチ
ャートである。
【図4】 実施例の点火装置全体の動作を表すタイミン
グ図である。
【図5】 運転限界空燃比を測定した結果を表すグラフ
である。
【図6】 運転限界空燃比を測定した結果を表すグラフ
である。
【図7】 イオン電流の検出タイミングを説明するため
の波形図である。
【図8】 従来装置の問題点を表す説明図である。
【符号の説明】
2…点火回路 4…イオン電流検出回路 8…
検出回路 10…点火プラグ 12…点火コイル 14…コン
デンサ 15…昇圧回路 16…サイリスタ 18…タイ
マ回路 20…抵抗 22…ダイオード 24…コン
デンサ 26…ツェナーダイオード 28…充電用ダイオード 30…放電用スイッチ 32…トランジスタ BT…バッテリ L1…一次巻線 L2…二次
巻線

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の気筒に装着された点火プラグ
    に点火用高電圧を印加して、該点火プラグに火花放電を
    起こさせる点火手段と、 該点火手段の動作を制御する点火制御手段と、 該点火制御手段が前記点火手段を動作させた後に、前記
    点火用高電圧とは逆極性の検出用高電圧を前記点火プラ
    グに印加して、前記点火プラグの電極間を流れるイオン
    電流を検出するイオン電流検出手段とを備えた内燃機関
    用点火装置において、 前記点火手段は、 電源に接続され放電用のエネルギーを蓄積するコンデン
    サと、 一次巻線が前記コンデンサ,二次巻線が前記点火プラグ
    と共にそれぞれ閉ループを形成するよう接続された点火
    コイルと、 前記コンデンサと前記一次巻線とを接続する電流経路
    を、各着火タイミングにおいて予め設定された放電間隔
    で予め設定された放電期間中繰り返し断続するスイッチ
    ング手段とを備え、 前記点火制御手段は、内燃機関の運転状態に応じて放電
    期間を設定することを特徴とする内燃機関用点火装置。
  2. 【請求項2】 前記放電期間は、着火が十分に生じる程
    度には長く、一方で前記イオン電流の検出が可能となる
    程度に短く設定されていることを特徴とする請求項1記
    載の内燃機関用点火装置。
  3. 【請求項3】 前記イオン電流検出手段は、前記点火制
    御手段にて設定される放電期間の終了後に前記イオン電
    流を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2記
    載の内燃機関用点火装置。
  4. 【請求項4】 前記イオン電流検出手段は、ATDC1
    80°に達するまでの期間内に前記イオン電流を検出す
    ることを特徴とする請求項3記載の内燃機関用点火装
    置。
  5. 【請求項5】 前記イオン電流検出手段は、TDCに達
    するまでの期間内に前記イオン電流を検出することを特
    徴とする請求項3記載の内燃機関用点火装置。
  6. 【請求項6】 前記スイッチング手段の放電間隔は、3
    00μs以下に設定されていることを特徴とする請求項
    1乃至請求項5いずれか記載の内燃機関用点火装置。
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