JP2002138935A - 点火プラグのくすぶり検出装置 - Google Patents

点火プラグのくすぶり検出装置

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JP2002138935A
JP2002138935A JP2000334040A JP2000334040A JP2002138935A JP 2002138935 A JP2002138935 A JP 2002138935A JP 2000334040 A JP2000334040 A JP 2000334040A JP 2000334040 A JP2000334040 A JP 2000334040A JP 2002138935 A JP2002138935 A JP 2002138935A
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smoldering
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Tatsunori Yamada
達範 山田
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NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 失火の前兆といえる奥飛びの発生を検出可能
とすることにより、点火プラグの電極間がカーボンの付
着により短絡されて失火が多発する前に、即ち点火プラ
グの電極間が短絡する前の状態にあるくすぶりを速やか
に検出することが可能な点火プラグのくすぶり検出装置
を提供する 【解決手段】 点火プラグのくすぶり検出装置1におい
て、点火プラグ13の放電期間における誘導放電持続期
間(Tt)内の所定期間(Tc)にて、二次電圧検出回
路51のスイッチング作動回路51を作動させ、電圧検
出用スイッチ57を短絡状態とさせる。ついで、二次電
圧の最大値に応じた分圧回路からの出力の最大値にあた
る、コンデンサC2と電圧検出用スイッチ57の接続点
における電位Vtを電圧信号SvとしてEUC21に出
力し、電圧信号Svが予め設定されたくすぶり判定値よ
りも大きいか否かを判定する。そして、これにより点火
プラグ13にて正常放電が発生したか奥飛びが発生した
かを判定することができ、ひいては点火プラグ13のく
すぶりの有無を検出することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の気筒に
装着され、気筒内の混合気を着火する点火プラグの“く
すぶり”を検出する機能を備えた点火プラグのくすぶり
検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関では、点火コイルにて発生する
二次電圧(放電電圧)を点火プラグに供給することで、
点火プラグにて火花放電を発生させ、気筒内の混合気を
着火、燃焼させている。一般に内燃機関の気筒に装着さ
れる点火プラグは、図5に示すように、筒状の主体金具
13dと、その主体金具13dの内側に保持される絶縁
体13cと、その絶縁体の中心貫通孔に保持される中心
電極13aと、一端が主体金具13dに結合され、他端
が中心電極13aに対して火花放電ギャップgを隔てて
対向する接地電極13bとから構成されるものである。
そして、点火プラグ13では、中心電極13aと接地電
極13bとの電極間(図5に模式的に示した電圧計Vを
記して示した部分)の絶縁抵抗が十分に大きくなるよう
に構成されている。
【0003】ところで、こうした点火プラグにあって
は、気筒内に誘導される燃料の霧化が十分でない等の要
因による不完全燃焼時に発生するカーボンが、絶縁体表
面に付着する現象、いわゆる“くすぶり”を生じること
がある。そして、点火プラグの絶縁体表面におけるカー
ボンの付着量が多くなる(換言すれば、くすぶりの度合
が進行する)と、点火プラグの電極間の絶縁抵抗が低下
してしまい、点火プラグへの二次電圧の供給時に、電極
間にカーボンを介してリーク電流が流れて電極間の電圧
が低下し、火花放電が発生せずに失火してしまうことが
ある。
【0004】そこで、点火プラグのくすぶりを検出する
手法として、例えば、特開平11−13620号公報や
特開平11−50941号公報等に示されているよう
に、点火プラグの放電によって気筒内で混合気の燃焼す
る際に発生するイオンを、イオン電流として検出する技
術を利用するものが提案されている。これら公報技術で
は、点火プラグのくすぶり時に流れるリーク電流がイオ
ン電流に重畳する点を考慮し、イオン電流発生時にイオ
ン電流検出回路により検出される電流挙動(詳細には、
イオン電流収束後の電流挙動)がくすぶりにより生ずる
リーク電流により変化することから、この電流挙動をモ
ニタしてくすぶりを検出している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図5を援用
して示すように、絶縁体13c表面におけるカーボンC
の付着状態が、点火プラグ13の電極間を短絡するより
も前の状態にある場合には、くすぶりは生じているもの
の、電極間の絶縁抵抗が十分に保たれているケースがあ
る。しかしながら、この場合に点火コイルから点火プラ
グ13に二次電圧が供給されると、火花放電ギャップg
にて火花放電が発生せずに、絶縁体13c表面に付着し
たカーボンCを導通して、カーボンCの端部と主体金具
13dの内壁面との間で放電する、いわゆる“奥飛び”
が発生することがある。そして、この奥飛びにより発生
した火炎核近傍に混合気が存在すれば着火する可能性が
あるものの、火花放電ギャップgにおける放電と比較す
ると、混合気に晒されにくいために失火が発生する危険
性も高くなる。
【0006】一方、上述した公報技術にあっては、点火
プラグのくすぶりを検出してはいるものの、リーク電流
に基づいてくすぶりを検出している。但し、このリーク
電流は、点火プラグの電極間が短絡する程度にまでくす
ぶりが進行し(換言すれば、点火プラグの電極間が短絡
する程度にまで絶縁体表面にカーボンが付着し)、電極
間の絶縁抵抗が大きく低下した際に流れるものである。
それより、上述の公報技術では、点火プラグの電極間が
短絡する程度にまで進行したくすぶりを、即ち、かなり
の確率で失火が発生しうる状況にあるくすぶりを検出可
能なものであって、点火プラグの電極間が短絡するより
も前の状態にあるくすぶりを、即ち失火の前兆にあたる
奥飛びが発生しうる状況にあるくすぶりを検出すること
まではできないものであった。
【0007】そこで、本発明は、失火の前兆といえる奥
飛びの発生を検出可能とすることにより、点火プラグの
電極間がカーボンの付着により短絡されて失火が多発す
る前に、即ち点火プラグの電極間が短絡する前の状態に
あるくすぶりを速やかに検出することが可能な点火プラ
グのくすぶり検出装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段、及び発明の効果】かかる
目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明
は、点火コイルと、点火コイルの一次コイルに接続さ
れ、点火時期毎に該一次コイルに流れる一次電流を遮断
するスイッチング手段と、点火コイルの二次コイルに接
続され、スイッチング手段による一次電流の遮断に伴っ
て、該二次コイルに発生する二次電圧が供給される点火
プラグと、点火プラグの放電期間における誘導放電持続
期間(Tt)内の所定期間(Tc)にて当該点火プラグ
に供給される二次電圧の最大値を検出する二次電圧検出
手段と、二次電圧の最大値と、くすぶりの有無を検出す
るために設定されるくすぶり判定値とを比較すること
で、点火プラグのくすぶりを検出するくすぶり検出手段
と、を備えることをその要旨とするものである。
【0009】内燃機関では、点火コイルの一次コイルに
流れる電流を点火時期に応じてスイッチング手段で遮断
することで、該点火コイルの二次コイルに二次電圧を誘
導させ、この二次電圧が点火プラグに供給されることで
点火プラグにて火花放電を発生させている。そして、点
火コイルにより発生した二次電圧の供給に伴う点火プラ
グでの放電期間中(放電持続時)には、点火プラグの電
極間に二次電流(放電電流)が流れる。
【0010】ところで、点火プラグにて発生する火花放
電には、正規の火花放電ギャップにて放電する(以下、
「正常放電」という)場合と、絶縁体表面にカーボンが
付着し(換言すれば、点火プラグにてくすぶりが発生
し)、このカーボンを導通して火花放電ギャップと異な
る部位で放電する、いわゆる「奥飛び」の場合とが考え
られる。なお、この奥飛び時には、その放電経路として
絶縁体表面に付着した比較的抵抗の大きなカーボンを通
過するものである。それより、奥飛び時に点火プラグの
電極間に流れる二次電流は、正常放電時の二次電流と比
較して早く減衰していくことなる。
【0011】そこで、本発明者は、奥飛び時と正常放電
時における二次電流の挙動を考慮して、点火プラグに供
給される二次電圧につき、奥飛び時における二次電圧波
形と正常放電時における二次電圧波形とを比較・検討し
たところ、点火プラグの放電期間における誘導放電持続
期間(Tt)内において、二次電圧値の大きさに差異が
みられることを見出したのである。
【0012】そして、本発明(請求項1)では、点火プ
ラグの放電期間における誘導放電持続期間(Tt)内の
所定期間(Tc)にて点火プラグに供給される二次電圧
の最大値を検出し、所定期間(Tc)内における二次電
圧の最大値と、奥飛びが発生したと識別できるレベルに
設定されたくすぶり判定値とを比較している点が注目す
べき点である。ここで「奥飛び」は、上述したように、
点火プラグの電極間がくすぶりの進行によって短絡され
る前の状態に発生するものである。したがって、点火プ
ラグのくすぶりを検出するためのくすぶり判定値を、正
常放電時における誘導放電持続期間(Tt)内の所定期
間(Tc)の二次電圧最大値と、ある程度くすぶりを進
行させて奥飛びを発生させた時の誘導放電持続期間(T
t)内の所定期間(Tc)の二次電圧最大値との境界に
予め設定した上で、二次電圧検出手段により検出される
誘導放電持続期間(Tt)内の所定期間(Tc)の二次
電圧最大値とこのくすぶり判定値とを比較することによ
って、失火の前兆といえる奥飛びの発生が検出可能とな
るのである。
【0013】以上説明したように、本発明(請求項1)
にあっては、点火プラグの放電期間における誘導放電持
続期間(Tt)内の所定期間(Tc)の点火プラグに供
給される二次電圧の最大値と、上記くすぶり判定値とを
比較し、点火プラグにて正常放電が発生したか奥飛びが
発生したかを検出することによって、点火プラグの電極
間がカーボンの付着によって短絡される前の状態(失火
が多発する前の状態)にあるくすぶりが生じているか否
かを判定することができるのである。
【0014】なお、点火プラグに生ずる火花放電は、図
6に模式的に示すように、電極間を絶縁破壊する「容量
放電(容量成分)」と、この容量成分に引き続いて放電
が完了するまでの間に発生する「誘導放電(誘導成
分)」との2つの成分からなることが知られており、2
つの成分により火花放電が持続している期間を「放電期
間」とする。さらに、本明細書では、上記誘導放電(誘
導成分)が持続している期間を「誘導放電持続期間(T
t)」とし、「所定期間(Tc)」については、この
「誘導放電持続期間(Tt)」内における任意の期間を
いうものとする(図6参照)。なお、「誘導放電持続期
間(Tt)」は点火コイルのインダクタンス分や気筒内
での燃焼状態によって変化するものであり、この「誘導
放電持続期間(Tt)」内の「所定期間(Tc)」につ
いては、点火コイルのインダクタンス分を考慮して適宜
設定するとともに、さらには、内燃機関のあらゆる運転
状態に対応できるように予め一定の期間を設定してもよ
く、あるいは内燃機関の運転状態に基づいて適宜可変す
るような期間に設定してもよい。
【0015】ついで、請求項2記載の発明は、請求項1
記載の点火プラグのくすぶり検出装置において、二次電
圧検出手段は、点火プラグに供給される二次電圧を所定
の分圧比にて分圧する分圧回路を有しており、前記誘導
放電持続期間(Tt)内の所定期間(Tc)にて該分圧
回路からの出力の最大値を前記二次電圧の最大値として
検出することを要旨とする。つまり、所定の分圧比を有
する分圧回路から出力される電圧値の挙動は、点火プラ
グに供給される二次電圧の挙動(二次電圧波形)と略同
傾向を示すことになるので、この分圧回路からの出力の
最大値に基づいて、点火プラグの放電期間における誘導
放電期間(Tt)内の所定期間(Tc)の二次電圧の最
大値を精度良く検出することができる。
【0016】また、請求項3記載の発明は、請求項2記
載の点火プラグのくすぶり検出装置において、二次電圧
検出手段は、前記誘導放電持続期間(Tt)内の所定期
間(Tc)における分圧回路からの出力の最大値を保持
するピークホールド回路を有し、ピークホールド回路に
て保持される出力の最大値を前記二次電圧の最大値とし
て検出することを要旨とする。
【0017】請求項4記載の発明は、請求項3記載の点
火プラグのくすぶり検出装置において、ピークホールド
回路は、分圧回路からの出力の最大値を保持するコンデ
ンサと、分圧回路からの出力をコンデンサに充電させる
ことを許容する電圧検出用スイッチング手段と、電圧検
出用スイッチング手段を前記誘導放電持続期間(Tt)
内の所定期間(Tc)作動させるスイッチング作動回路
を有することを要旨とする。
【0018】ところで、点火プラグの放電期間における
誘導持続期間(Tt)の所定期間にて、点火プラグに供
給される二次電圧の最大値を検出する手法としては、予
め設定された一定間隔(サンプリングタイム)毎に二次
電圧値の検出を繰り返し行い、所定期間(Tc)内にて
検出された複数の二次電圧値の内で最大値を選択的に検
出する手法を採用してもよい。但し、このような手法に
て二次電圧の最大値を検出した際には、二次電圧値の検
出を繰り返し行うサンプリングタイムにもよるが、上記
誘導放電持続期間(Tt)内の所定期間(Tc)全てに
わたって二次電圧値をモニタするものではないために、
確実に二次電圧の最大値を検出し得るものとは言い難
い。
【0019】そこで、上述した請求項3乃至4に記載の
発明の構成によれば、二次電圧検出手段が、点火プラグ
に供給される二次電圧を所定の分圧比にて分圧する分圧
回路からの出力の最大値を保持するピークホールド回路
を有し、さらにはピークホールド回路が、コンデンサに
対して分圧回路からの出力を充電させることを許容する
ための電圧検出用スイッチング手段の通電・遮断のスイ
ッチング制御を行うスイッチング作動回路を有する構成
を図ることで、上記誘導放電持続期間(Tt)内の所定
期間(Tc)全てにわたって点火プラグの二次電圧値を
モニタすることが可能となるとともに、確実に上記所定
期間(Tc)における二次電圧の最大値(二次電圧のピ
ークホールド値)を検出することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に、本発明にかかる点火プラ
グのくすぶり検出装置を具体化した一実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0021】まず、図1は、燃料を気筒内に直接噴射す
る直噴型内燃機関に備えられた点火プラグのくすぶり検
出装置1の概略構成を表す電気回路図である。図1に示
す本実施形態の点火プラグのくすぶり検出装置1は、内
燃機関の運転状態に基づいて各部の制御量を設定し、制
御量に応じた指令信号を各部に出力することで機関自体
を総合的に制御するためのマイクロコンピュータからな
る電子制御装置(以下、単に「ECU」ともいう)21
と、ECU21からの指令信号に基づいて燃料を気筒内
に供給する燃料制御部25と、ECU21からの指令信
号に基づいて混合気に着火させるための火花放電を発生
する点火制御部31と、を備えている。なお、ECU2
1以外の構成は、複数の気筒を備えた内燃機関(直噴型
内燃機関)の気筒毎に設けられるものであるが、図1で
は図面を見易くするために、1気筒分のみを表してい
る。
【0022】そして、点火制御部31は、放電用の電気
エネルギ(例えば12〔V〕電源電圧)を供給する電源
装置(バッテリ)23に対して直列に接続された一次コ
イルL1と、二次電圧を発生する二次コイルL2とから
なる点火コイル11と、内燃機関の気筒に装着されると
ともに、二次コイルL2と直列に接続されて、中心電極
13aと接地電極13bとにより形成される火花放電ギ
ャップgにて火花放電を発生する点火プラグ13と、二
次コイルL2にアノードが接続され、点火プラグの中心
電極13aにカソードが接続されたダイオードDと、一
次コイルL1に対して直列に接続されたnpn型の制御
用トランジスタ33と、点火プラグ13(点火プラグの
中心電極13a)に供給される二次電圧を検出するため
の二次電圧検出回路51とを備えている。
【0023】制御用トランジスタ33は、EUC21か
ら出力される点火指令信号(IG信号)に基づいて、一
次コイルL1への一次電流i1の通電・遮断を切り換え
る半導体からなるスイッチング素子である。なお、制御
用トランジスタ33は、一次コイルL1への一次電流i
1の通電・遮断を切り換える点火用イグナイタとして備
えられており、点火用イグナイタとしてはnpn型トラ
ンジスタの他に、例えばIGBT(insulated
−gate bipolar transistor)
等を用いてもよい。
【0024】一次コイルL1の一端は電源装置23の正
極に接続され、他端は制御用トランジスタ33のコレク
タに接続されている。また、二次コイルL2の一端は、
ダイオードDを介して点火プラグ13の中心電極13a
に接続され、他端は接地されている。そして、一次コイ
ルL1と二次コイルL2とは、コイルコア(鉄心)によ
り磁気結合されている。また、点火プラグ13の接地電
極13bは、電源装置23の負極と同電位のグランドに
接地されており、制御用トランジスタ33のベースはE
CU21と接続され、制御用トランジスタ33のエミッ
タはグランドに接地されている。
【0025】そして、ECU21から制御用トランジス
タ33のベースに対して、点火時期を制御するためのI
G信号がローレベル(一般にグランド電位)である場合
には、制御用トランジスタ33にベース電流は流れず、
制御用トランジスタ33はオフ状態となり、制御用トラ
ンジスタ33を通じて一次コイルL1に一次電流i1が
流れることはない。また、IG信号がハイレベルである
場合には、制御用トランジスタ33はオン状態となり、
電源装置23の正極側から点火コイル11の一次コイル
L1、及び制御用トランジスタ33を通じて電源装置2
3の負極側に至る一次コイルL1の通電経路を形成し、
一次コイルL1に一次電流i1が流れる。
【0026】したがって、IG信号がハイレベルとなり
点火コイル11の一次コイルL1に一次電流i1が流れ
ている時に、IG信号が点火時期に応じてローレベルに
なると、制御用トランジスタ33がターンオフして一次
コイルL1に流れる一次電流i1が遮断されることにな
る。すると、点火コイル11に蓄積されている磁束密度
が急激に変化して、点火コイル11の二次コイルL2に
誘導起電力である二次電圧が発生し、この二次電圧が点
火プラグ13に供給されて火花放電が発生する。そし
て、点火プラグ13における火花放電の発生に伴い、二
次コイルL2、ダイオードD、点火プラグ13、グラン
ドからなる閉ループに二次電流i2が流れることにな
る。なお、一次コイルL1への一次電流i1の通電開始
時にも点火コイル11における磁束密度が変化し、二次
コイルL2の両端に誘導電圧が発生するが、ダイオード
Dの通電許容方向に対して逆方向電圧となるために、一
次電流i1の通電開始時に点火プラグ13にて火花放電
が発生することはない。
【0027】そして、火花放電を発生させるべく点火プ
ラグ13に供給される二次電圧(二次電圧値)は、後述
する点火プラグ13の放電期間における誘導放電持続期
間(Tt)内の所定期間(Tc)にて、二次電圧検出回
路51にて検出され、この二次電圧検出回路51により
検出された二次電圧(具体的には、二次電圧の最大値)
はECU21に対して出力される。
【0028】ここで、点火プラグ13の放電期間におけ
る誘導放電持続期間(Tt)内の所定期間(Tc)に
て、この点火プラグ13に供給される二次電圧値を検出
するための二次電圧検出回路51について説明する。図
1に示すように、二次電圧検出回路51は、二次コイル
L2の高圧側と点火プラグ13との間の経路に接近して
容量結合され、点火プラグ13に供給される二次電圧に
応じて電荷を蓄積させる静電容量を構成することになる
導電体53と、この導電体53とグランドとの間に接続
されるコンデンサC1を有し、これら導電体53とコン
デンサC1とにより、二次電圧を分圧(容量分圧)する
分圧回路を構成している。なお、この実施の形態では、
容量分圧による分圧回路を構成している。
【0029】また、二次電圧検出回路51は、コンデン
サC1に並列に接続され、コンデンサC1の放電回路を
構成する抵抗器R1と、コンデンサC1及び抵抗器R1
の両端電圧を増幅するバッファ55と、一端がバッファ
55の出力端子に接続されて、外部からの指令信号に基
づき開放状態あるいは短絡状態に切り換えられる電圧検
出用スイッチ57と、外部から入力される信号(具体的
にはIG信号)の変化タイミングから一定期間が経過し
た後の所定期間(Tc)にわたり遅延信号Sdの出力を
行うスイッチング作動回路61と、一端が電圧検出用ス
イッチ57に接続され、他端が抵抗器R2を介してグラ
ンドに接続されるコンデンサC2と、コレクタが抵抗器
R3を介してコンデンサC2と電圧検出用スイッチ57
との接続点に接続されたnpn型パワートランジスタか
らなるトランジスタ59とを備えている。なお、バッフ
ァ55、電圧検出用スイッチ57、コンデンサC2、抵
抗器R2、スイッチング作動回路61、トランジスタ5
9、抵抗器R3にて、導電体53とコンデンサC1とに
より分圧された出力の最大値を保持するためのピークホ
ールド回路71を構成している。
【0030】そして、電圧検出用スイッチ57は、外部
信号入力端子がスイッチング作動回路61の遅延信号S
dを出力する出力端子に接続されており、遅延信号Sd
がローレベル(一般にグランド電位)であるときにはオ
フ状態(開放状態)となり、遅延信号Sdがハイレベル
(例えば、定電圧電源からの供給電圧5〔V〕)である
ときにはオン状態(短絡状態)となる。
【0031】また、スイッチング作動回路61は、外部
信号を入力するための入力端子がECU21のIG信号
(Sig)の出力端子に接続されている。そして、スイ
ッチング作動回路61は、Sigがハイレベル(例え
ば、定電圧電源からの供給電圧5〔V〕)からローレベ
ル(一般にグランド電位)になったことが入力される
と、その入力時(即ち、点火時期)から一定期間(例え
ば、100〔μsec〕)が経過したタイミングで、遅
延信号Sdをハイレベルとして電圧検出用スイッチ57
に対して出力する。このあと、所定のハイレベル継続期
間(例えば、200〔μsec〕)が経過すると、遅延
信号Sdはローレベルとなる。つまり、スイッチング作
動回路61は、Sigがハイレベルからローレベルに変
化してから、即ち点火時期から一定期間が経過した後、
遅延信号Sdをパルス信号として電圧検出用スイッチ5
7に対して出力するよう動作する。
【0032】次に、トランジスタ59は、エミッタがグ
ランドに接地され、ベースがECU21のIG信号(S
ig)の出力端子に接続されている。そして、トランジ
スタ59は、Sigがローレベル(一般にグランド電
位)であるときにはオフ状態(開放状態)となり、IG
信号がハイレベル(例えば、定電圧電源からの供給電圧
5〔V〕)であるときにはオン状態(短絡状態)とな
る。
【0033】そして、このように構成された二次電圧検
出回路51では、内燃機関の点火時期に応じて点火コイ
ル11の一次コイルL1に流れる一次電流i1が制御用
トランジスタ33により遮断され、二次コイルL2にて
発生する二次電圧が点火プラグ13(点火プラグ13の
中心電極13a)に供給されると、導電体53により形
成される静電容量に二次電圧に応じた電荷が蓄積される
とともに、コンデンサC1および抵抗器R1の両端に二
次電圧に応じた両端電圧が発生し、この導電体53によ
る静電容量及びコンデンサC1の容量により分圧された
両端電圧はバッファ55により増幅される。
【0034】このあと、スイッチング作動回路61にI
G信号(Sig)が状態変化したことが入力され、一定
期間(例えば、100〔μsec〕)が経過したタイミ
ングでスイッチング作動回路61から遅延信号Sdがハ
イレベルとして出力されると、電圧検出用スイッチ57
が短絡状態となり、バッファ55からの出力電圧に応じ
てコンデンサC2への充電が許容される。そして、遅延
信号Sdがローレベルとなると電圧検出用スイッチ57
は開放状態となり、コンデンサC2の両端電圧がバッフ
ァ55からの出力電圧の最大値に保持される。つまり、
電圧検出用スイッチ57が短絡状態となっている所定期
間(Tc)(本実施例では200〔μsec〕)に、二
次電圧の最大値に応じた分圧回路からの出力の最大値
が、コンデンサC2の両端に保持されることになる。な
お、このときトランジスタ59については、開放状態と
なっている。
【0035】ここで、コンデンサC2と電圧検出用スイ
ッチ57との接続点は、ECU21の入力端子に接続さ
れており、コンデンサC2と電圧検出用スイッチ57と
の接続点の電位Vtを電圧信号SvとしてECU21に
出力する。なお、電位Vtは、コンデンサC2によっ
て、電圧検出用スイッチ57が短絡状態となっている所
定期間(Tc)における二次電圧値に応じ分圧回路から
の出力値として保持されるものであり、二次電圧検出回
路51は、トランジスタ59が開放状態を継続している
間は、電圧信号Svを継続してECU21に出力する。
【0036】なお、充電状態にあるコンデンサC2は、
トランジスタ59が短絡状態となると、コンデンサC
2、抵抗器R3、トランジスタ59、グランド、抵抗器
R2からなる閉ループが形成されることにより、蓄積さ
れている電荷が放電されて両端電圧が0〔V〕にリセッ
トされる。そして、トランジスタ59が短絡状態となる
のは、IG信号(Sig)がハイレベルとなるときであ
り、即ち同気筒における次回の燃焼サイクルであって、
一次コイルL1への一次電流i1を通電開始するとき
に、コンデンサC2は放電されることになる。つまり、
ある燃焼サイクルにおいて保持されたコンデンサC2と
電圧検出用スイッチ57との接続点の電位Vtは、同気
筒における次回の燃焼サイクルであって、一次コイルL
1への一次電流i1の通電開始時まで保持される。
【0037】ここで、二次電圧検出回路51により、点
火プラグ13に供給される二次電圧(詳細には、分圧回
路からの二次電圧に応じた出力)を検出する期間(即
ち、スイッチング作動回路61から遅延信号Sdをハイ
レベルとして出力する期間)については、図6に援用し
て示すように、点火プラグ13の放電期間における誘導
放電持続期間(Tt)内の所定期間(Tc)に設定して
いる。例えば、二次電圧検出回路51により、点火プラ
グ13に供給される二次電圧を検出する期間は、この実
施の形態では、点火時期から100〔μsec〕経過し
た時点から300〔μsec〕経過するまでの期間に設
定している。
【0038】なお、上記誘導放電持続期間(Tt)内の
所定期間(Tc)については、点火時期を基準に20
〔μsec〕〜100〔μsec〕経過した時点から2
00〔μsec〕〜1000〔μsec〕経過するまで
の期間に設定することが好ましい。二次電圧検出回路5
1は、点火時期を基準に20〔μsec〕〜100〔μ
sec〕経過した時点から二次電圧の検出を開始する
(即ち、スイッチング作動回路61から遅延信号Sdを
ハイレベルとして出力する)ことにより、点火プラグ1
3に生ずる火花放電のうちで「容量放電(容量成分)」
を検出することなく、確実にこの容量成分に続く「誘導
放電(誘導成分)」について検出することができる(図
6参照)。他方、点火時期を基準に200〔μsec〕
〜1000〔μsec〕が経過するまでの期間に二次電
圧の検出を終了する(即ち、スイッチング作動回路61
から遅延信号Sdをハイレベルからローレベルとして切
り換える)ことにより、点火プラグ13に生ずる火花放
電中の後半に多重放電が発生することがあったとして
も、この多重放電に起因する二次電圧については検出す
ることなく、精度良く誘導放電持続期間における二次電
圧値の検出を行うことができる。また、「誘導放電持続
期間(Tt)」は点火コイルのインダクタンス分や気筒
内での燃焼状態によって変化するものであり、この「誘
導放電持続期間(Tt)」内の「所定期間(Tc)」に
ついては、点火コイルのインダクタンス分を考慮して適
宜設定するとともに、さらには、内燃機関のあらゆる運
転状態に対応できるように、点火時期を基準に上記範囲
内にて一定の期間を設定してもよく、あるいは内燃機関
の運転状態に基づいて上記範囲内にて可変するような期
間に設定してもよい。
【0039】よって、二次電圧検出回路51は、点火プ
ラグ13の放電期間における誘導放電持続期間(Tt)
内の所定期間(Tc)にて、電圧検出用スイッチ57を
短絡状態として二次電圧に応じた分圧回路からの出力を
検出し、点火時期から所定時間が経過した時点でのコン
デンサC2と電圧検出用スイッチ57との接続点の電位
VtをECU21に対し電圧信号Svとして出力してい
る。そして、次回の燃焼サイクルの一次電流通電開始時
にて電圧信号Svの値をリセットし、その後点火時期を
むかえると、その燃焼サイクルにおける二次電圧の検出
を再び行う。このような動作を繰り返すことで、二次電
圧検出回路51は、燃焼サイクル毎の点火プラグ13の
放電期間における誘導持続期間(Tt)内の所定期間に
て、点火プラグ13に供給される二次電圧の最大値(詳
細には、分圧回路からの二次電圧に応じた出力の最大
値)を検出するとともに、これを電圧信号SvとしてE
CU21に出力することが可能となる。
【0040】ここで、くすぶりの度合(カーボンの付着
状態)の違いにより、点火プラグ13に供給される二次
電圧がどの様に変化するかを確認するため、火花放電の
形態の違い((a)正常放電、(b)奥飛び)におい
て、二次電圧波形を測定した結果、及び二次電圧検出回
路51を構成するピークホールド回路71のコンデンサ
C2と電圧検出用スイッチ57との接続点の電位Vtを
測定した結果を、図2を用いて以下に説明する。
【0041】なお、(a)正常放電とは、点火プラグ1
3の中心電極13aを内側に保持してなる絶縁体13c
表面にカーボンCが付着していない状態で、正規の火花
放電ギャップgにて発生する火花放電のことを表す。ま
た、(b)奥飛びとは、図5を援用して示すように、絶
縁体13c表面における中心電極13a側の先端部か
ら、絶縁体13cと接地電極13bが結合された主体金
具13dの内壁面との接触点(実際には金属製の板パッ
キンaを介して接触している)までの略中間位置までカ
ーボンCが付着している状態で、カーボンCの端部と主
体金具13dの内壁面との間で発生する火花放電のこと
を表す。
【0042】そして、図2については、図1に示す回路
図におけるIG信号、点火プラグ13(点火プラグ13
の中心電極13a)に供給される電位Vp、ピークホー
ルド回路71のコンデンサC2と電圧検出用スイッチ5
7との接続点の電位Vt、スイッチング作動回路61か
ら電圧検出用スイッチ57に出力される遅延信号Sdの
各状態を表すタイムチャートとして表すことにする。
【0043】まず、時刻t1にて、IG信号をローから
ハイレベルに切り換え、制御用トランジスタ33により
点火コイル11の一次コイルL1に一次電流i1を流
し、その後予め設定した通電時間が経過した時刻t2
(点火時期)にて、IG信号をハイからローレベルに切
り換え、一次コイルL1への通電を遮断すると、点火プ
ラグ13の中心電極13aにおける電位Vpが急峻に変
化し、点火プラグ13に火花放電(図2(a)では正常
放電、図2(b)では奥飛び)が発生する。そして、時
刻t2にて、IG信号をハイからローレベルに反転させ
ると同時に、スイッチング作動回路61にIG信号(S
ig)がローレベルになったことが入力されることにな
る。そして、Sigがローレベルになったことが入力さ
れた時点から一定期間が経過したタイミング(時刻t
3)で、遅延信号Sdをローからハイレベルに切り換え
る。
【0044】すると、ピークホールド回路71にて、電
圧検出用スイッチ57が短絡状態となり、分圧回路から
の出力電圧に応じたコンデンサC2への充電が許容され
る。そして、時刻t4にて、遅延信号Sdがハイからロ
ーレベルに切り換わると、電圧検出用スイッチ57が開
放状態となる。そして、電圧検出用スイッチ57が短絡
状態となっている所定期間(時刻t3からt4の期間)
においては、二次電圧の最大値に応じた分圧回路からの
出力の最大値が、コンデンサC2と電圧検出用スイッチ
57の接続点に電位Vtとして保持されることになる。
その後、同気筒における次回の燃焼サイクルをむかえ、
一次コイルL1への一次電流i1の通電を開始するとき
(時刻t5)にトランジスタ59が短絡状態となり、コ
ンデンサC2は放電されて両端電圧(電位Vt)が0
〔V〕にリセットされる。
【0045】ここで、図2(a)及び(b)より、点火
プラグ13の電位Vp(二次電圧)の波形については、
(a)正常放電時と(b)奥飛び時とで異なる波形を示
すことがわかる。そして、この放電波形の差異に伴っ
て、コンデンサC2と電圧検出用スイッチ57との接続
点に保持される電位Vt、即ち二次電圧の最大値に応じ
た分圧回路からの出力の最大値の大きさが、(b)奥飛
び時の方が(a)正常放電時よりも大きい値を示すこと
がわかる。
【0046】よって、ピークホールド回路71のコンデ
ンサC2と電圧検出用スイッチ57との接続点の電位V
t(即ち、二次電圧の最大値に応じた分圧回路からの出
力の最大値)を検出することで、その時に発生した火花
放電が正常放電であるか、奥飛びであるかを検出するこ
とが可能となるのである。そして、奥飛びは、上述した
ように点火プラグ13の電極間が短絡されるまでくすぶ
りが進行する前の段階にて発生するものであることか
ら、この奥飛びを検出することにより、点火プラグ13
の電極間がカーボンの付着によって短絡される前のくす
ぶりを検出することが可能となる。
【0047】次に、この実施の形態における点火プラグ
のくすぶり検出装置1において、マイクロコンピュータ
からなるECU21の内部で実行される処理を、図3に
示すフローチャートに沿って説明する。
【0048】なお、ECU21は、内燃機関の点火時
期、燃料噴射量、アイドル回転速度等を総合的に制御す
るためのものであり、以下に説明するくすぶり検出処理
の他に、点火時期で点火プラグに火花放電を発生させる
ための点火制御処理や、燃料噴射時期で燃料を気筒内に
噴射するための燃料制御処理や、内燃機関の吸入空気量
(吸気管圧力)、回転速度、スロットル開度、冷却水
温、吸気温等、機関各部の運転状態を検出する運転状態
検出処理等を行っている。
【0049】まず、内燃機関が始動してくすぶり検出処
理が起動されると、まずS110(Sはステップを表
す)にて、別途実行される運転状態検出処理にて検出さ
れた内燃機関の運転状態を読み込み、S120にて、そ
の読み込んだ運転状態に基づき、点火時期tsを算出す
る。なお、点火時期tsは、例えば、内燃機関の吸入空
気量と回転速度をパラメータとするマップもしくは計算
式を用いて制御基準値を求め、これを冷却水温、吸気温
等の基づき補正する、といった手順により算出される。
【0050】次にS130では、S120にて算出した
点火時期tsに基づき、点火時期tsに対して、予め設
定された一次コイルL1の通電時間だけ早い一次コイル
L1の通電開始時期を求め、通電開始時期に達した時点
(図2に示す時刻t1)にて、IG信号をローからハイ
レベルに変化させる。なお、点火時期tsまでの一次コ
イルL1の通電時間は、一次コイルL1への一次電流i
1への通電によって、内燃機関のあらゆる運転条件下で
混合気を燃焼させるのに要する時間が予め設定されてい
る。
【0051】そして、続くS140では、クランク角セ
ンサからの検出信号に基づき、S120で算出した点火
時期tsに達したか否かを判定し、否定判定された場合
には、同ステップを繰り返し実行することにより、点火
時期tsが経過するのを待つ。そして、S140にて点
火時期tsに達したと判定される(図2に示す時刻t
2)と、S150に移行する。
【0052】S150では、図2に示したように、IG
信号をハイからローレベルに反転させる。この結果、制
御用トランジスタ33がターンオフして、一次電流i1
が遮断され、二次コイルL2に二次電圧が発生し、この
二次電圧が点火プラグ13に供給されて火花放電が発生
する。また、このIG信号がハイからローレベルに切り
換わったことはスイッチング作動回路61、トランジス
タ59にも同時にそれぞれ入力され、トランジスタ59
についてはIG信号がローレベルとなることにより開放
状態とされる。
【0053】次に、S160では、S140にて点火時
期tsとなった後、この点火時期tsを基準に設定され
る第1所定期間ts1(例えば、点火時期tsから10
0〔μsec〕が経過するまでの期間)が経過したか否
かを判定し、否定判定された場合には、同ステップを繰
り返し実行することにより、第1所定期間ts1が経過
するのを待つ。そして、S160にて、第1所定期間t
s1が経過したと判定される(図2に示す時刻t3)
と、S170に移行して、スイッチング作動回路61か
ら電圧検出用スイッチ57に対して出力される遅延信号
Sdがローからハイレベルに切り換わる。そして、遅延
信号Sdがハイレベルに切り換わることで電圧検出用ス
イッチ57が短絡状態となり、分圧回路からの二次電圧
に応じた出力によるコンデンサC2への充電が開始され
る。
【0054】続いて、S180に移行し、S180で
は、S140にて点火時期tsとなった後、この点火時
期tsを基準に設定される第2所定期間ts2(例え
ば、点火時期tsから300〔μsec〕が経過するま
での期間)が経過した否かを判定し、否定判定された場
合には、同ステップを繰り返し実行することにより、第
2所定期間ts2が経過するのを待つ。そして、S18
0にて、第2所定期間ts2が経過したと判定される
(図2に示す時刻t4)と、S190に移行して、スイ
ッチング作動回路61から電圧検出用スイッチ57に対
して出力される遅延信号Sdをハイからローレベルを切
り換える。
【0055】そして、S200に移行し、コンデンサC
2の両端電圧に保持される二次電圧の最大値に応じた分
圧回路からの出力の最大値にあたる、コンデンサC2と
電圧検出用スイッチ57の接続点における電位Vtを電
圧信号Svとして入力する。S200の処理が行われる
と、S210に移行し、S210では、S200にて検
出された電圧信号Svが予め設定されたくすぶり判定値
よりも大きいか否かを判定しており、肯定判定されると
S220に移行し、否定判定されるとS280に移行す
る。
【0056】そして、S220では、火花放電が奥飛び
であると判定され、S230に移行し、点火プラグにく
すぶりが発生していると判定する。そして、S240に
移行し、S240では、前述のS110での処理と同様
に別途実行される運転状態検出処理にて検出された内燃
機関の運転状態を読み込み、続くS250にて同気筒に
おける次回の燃焼サイクルの点火時期tsを算出する。
その後、S250にて算出された点火時期tsに基づ
き、点火時期tsに対し予め設定された一次コイルL1
の通電時間だけ早い一次コイルL1の通電開始時期を求
め、通電開始時期に達した時点(図2に示す時刻t5)
にて、S260にてIG信号をローからハイレベルに変
化させる。すると、一次コイルL1への一次電流i1へ
の通電が再開されるとともに、S270に移行してトラ
ンジスタ59をオン状態(短絡状態)とし、コンデンサ
C2を放電させて電位Vtをリセットする。そして、S
270の処理が行われると、S140に移行する。
【0057】また、S210にて否定判定されてS28
0に移行すると、S280では、火花放電が正常放電で
あると判定される。即ち、点火プラグ17にてくすぶり
の発生無しとして検出されることになるのである。そし
て、S280の処理が行われると、上述と同様にS24
0以降の処理に移行する。
【0058】以上説明したように、このくすぶり検出処
理では、点火プラグ13の放電期間における誘導放電持
続期間(Tt)内の所定期間(Tc)での二次電圧の最
大値に応じた分圧回路からの出力の最大値に基づき、点
火プラグ13の正常放電・奥飛びの発生を検出すること
により、点火プラグ13のくすぶりの有無を検出してい
る。
【0059】なお、上述のS210にて用いられるくす
ぶり判定値については、正常放電時における誘導放電持
続期間(Tt)の所定期間(Tc)での二次電圧の最大
値に応じた分圧回路からの出力の最大値と、奥飛び時の
誘導放電持続期間(Tt)の所定期間(Tc)での二次
電圧の最大値に応じた分圧回路からの出力の最大値と
が、識別可能となる値を予め設定しておく。
【0060】ここで、正常放電時における誘導放電持続
期間(Tt)の所定期間(Tc)の二次電圧の最大値に
応じた分圧回路からの出力の最大値と、ある程度くすぶ
りを進行させて奥飛びを発生させた時の誘導放電持続期
間(Tt)の所定期間(Tc)の二次電圧の最大値に応
じた分圧回路からの出力の最大値とを測定した結果を、
図4に示す。
【0061】なお、本測定は、絶縁体13c表面にカー
ボンCの付着がみられない点火プラグ13と、絶縁体1
3c表面にカーボンCをある程度付着させ、奥飛びが発
生しうる点火プラグ13とを準備し、それぞれの点火プ
ラグ13にて火花放電を100回ずつ、2つの異なるエ
ンジン条件下(アイドル時と、30km/h走行時)に
て実施し、図1に示す二次電圧検出回路51により、二
次電圧の最大値に基づく分圧回路からの出力の最大値の
平均をそれぞれについて測定した。また、二次電圧検出
回路51では、導電体53とコンデンサC1とにより、
二次電圧(二次電圧値)を1/5000に分圧(容量分
圧)する分圧回路を構成するものとするとともに、コン
デンサC2の容量を10000〔pF〕、抵抗器R2の
抵抗を500〔kΩ〕とした。さらに、電圧検出用スイ
ッチ57をスイッチング作動回路61により短絡状態と
する期間(即ち、点火プラグ13の放電期間における誘
導放電持続期間(Tt)内の所定期間(Tc))として
は、点火時期を基準に100〔μsec〕を経過した時
点から300〔μsec〕を経過するまでの期間とし
た。
【0062】ここで、図4では、2つのエンジン条件下
についての正常放電時と奥飛び時との二次電圧の最大値
の平均(100回の平均)を丸印で示すとともに、2つ
のエンジン条件下にて火花放電をそれぞれの点火プラグ
にて100回ずつ行った際に、二次電圧検出回路51に
て二次電圧の最大値を100回ずつ検出した中の最も大
きな値と最も小さな値の範囲(換言すれば、二次電圧の
最大値を100回検出した際のばらつきの範囲)を実線
で示している。そして、この図4によれば、正常放電時
の二次電圧の最大値に応じた分圧回路からの出力の最大
値の平均値(即ち、コンデンサC2と電圧検出用スイッ
チ57との接続点の電位Vt)、及び奥飛び時のそれ
は、エンジン条件がアイドル時、30km/h走行時そ
れぞれの条件下にて異なる値(ピークホールド値)を示
していることがわかる。
【0063】そして、図4では、2つのエンジン条件下
における正常放電時の二次電圧の最大値を100回検出
した中の最も大きな値と、2つのエンジン条件下におけ
る奥飛び時の二次電圧の最大値を100回検出した中の
最も小さな値とが重ならないものであることから、くす
ぶり判定値を、この図4に基づいて正常放電時と奥飛び
時との境界に、例えばアイドル時における正常放電時の
二次電圧の最大値を100回検出した中の最も大きな値
と、アイドル時における奥飛び時の二次電圧の最大値を
100回ずつ検出した中の最も小さな値との境界に設定
することで、上述したくすぶり検出処理におけるS21
0では各運転条件下(エンジン条件下)にわたり、正常
放電と奥飛びとの識別を確実に行うことができ、ひいて
は点火プラグ13のくすぶりの有無を確実に検出するこ
とができることになる。
【0064】以上説明したように、この実施の形態に示
す点火プラグのくすぶり検出装置1では、点火プラグ1
3の放電期間における誘導放電持続期間(Tt)内の所
定期間(Tc)の点火プラグ13に供給される二次電圧
の最大値(具体的には、二次電圧の最大値に応じた分圧
回路からの出力の最大値)と、くすぶり判定値とを比較
し、点火プラグ13にて正常放電が発生したか奥飛びが
発生したかを検出することで、点火プラグ13の電極間
がカーボンの付着によって短絡される前の状態(失火が
多発する前の状態)にあるくすぶりが生じているか否か
を精度良く検出することができるのである。
【0065】なお、本発明は上述した実施の形態に限定
されるものではなく、様々な態様にて実施することがで
きることは言うまでもない。例えば、上記実施例では、
二次電圧検出回路51において、導電体53とコンデン
サC1とにより、二次電圧を容量分圧する分圧回路を構
成しているが、抵抗分圧による分圧回路を構成してもよ
い。その他、上記実施例に示したくすぶり検出処理によ
り点火プラグ13のくすぶりが検出されたときには、例
えば点火プラグ13の点火時期を変化させたり、燃料制
御部25による燃料噴射時期を変化させたりすることで
点火プラグ17の自己清浄を促進させる制御を行うよう
にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の点火プラグのくすぶり検出装置の一
実施の形態における概略構成を表す電気回路図である。
【図2】 本発明の点火プラグのくすぶり検出装置の一
実施の形態において、(a)正常放電時、(b)奥飛び
時のそれぞれについて二次電圧波形を測定した結果、及
び二次電圧検出回路51を構成するピークホールド回路
71のコンデンサC2と電圧検出用スイッチ57との接
続点の電位Vtを測定した結果を示したタイムチャート
である。
【図3】 本発明の点火プラグのくすぶり検出装置の一
実施の形態において、ECU21にて実行されるくすぶ
り検出処理のフローチャートである。
【図4】 本発明の点火プラグのくすぶり検出装置の一
実施の形態において、正常放電時及び奥飛び時の二次電
圧の最大値に応じた分圧回路からの出力の最大値を各エ
ンジン条件下において100回ずつ検出した際の平均
値、及び100回の検出を行ったときの二次電圧の最大
値のばらつき範囲を示した結果である。
【図5】 点火プラグにて発生する奥飛びを模式的に表
した説明図である。
【図6】 点火プラグの火花放電における二次電圧波形
を示し、容量放電(容量成分)と誘導放電(誘導成分)
とを示した説明図である。 〔図面の簡単な説明〕 1…点火プラグのくすぶり検出装置、11…点火コイ
ル、13…点火プラグ、21…電子制御装置(EC
U)、33…制御用トランジスタ、51…二次電圧検出
回路、53…導電体、57…電圧検出用スイッチ、59
…トランジスタ、61…スイッチング作動回路、71…
ピークホールド回路、C2…コンデンサ、L1…一次コ
イル、L2…二次コイル、R2…抵抗器

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 点火コイルと、 前記点火コイルの一次コイルに接続され、点火時期毎に
    該一次コイルに流れる一次電流を遮断するスイッチング
    手段と、 前記点火コイルの二次コイルに接続され、前記スイッチ
    ング手段による一次電流の遮断に伴って、該二次コイル
    に発生する二次電圧が供給される点火プラグと、 前記点火プラグの放電期間における誘導放電持続期間
    (Tt)内の所定期間(Tc)にて当該点火プラグに供
    給される二次電圧の最大値を検出する二次電圧検出手段
    と、 前記二次電圧の最大値と、くすぶりの有無を検出するた
    めに設定されるくすぶり判定値とを比較することで、前
    記点火プラグのくすぶりを検出するくすぶり検出手段
    と、を備えることを特徴とする点火プラグのくすぶり検
    出装置。
  2. 【請求項2】 前記二次電圧検出手段は、前記点火プラ
    グに供給される二次電圧を所定の分圧比にて分圧する分
    圧回路を有しており、前記誘導放電持続期間(Tt)内
    の所定期間(Tc)にて該分圧回路からの出力の最大値
    を前記二次電圧の最大値として検出する請求項1に記載
    の点火プラグのくすぶり検出装置。
  3. 【請求項3】 前記二次電圧検出手段は、前記誘導放電
    持続期間(Tt)内の所定期間(Tc)における前記分
    圧回路からの出力の最大値を保持するピークホールド回
    路を有し、該ピークホールド回路にて保持される該出力
    の最大値を前記二次電圧の最大値として検出する請求項
    2に記載の点火プラグのくすぶり検出装置。
  4. 【請求項4】 前記ピークホールド回路は、前記分圧回
    路からの出力の最大値を保持するコンデンサと、前記分
    圧回路からの出力を該コンデンサに充電させることを許
    容する電圧検出用スイッチング手段と、前記電圧検出用
    スイッチング手段を前記誘導放電持続期間(Tt)内の
    所定期間(Tc)作動させるスイッチング作動回路を有
    する請求項3に記載の点火プラグのくすぶり検出装置。
  5. 【請求項5】 前記誘導放電持続期間(Tt)のうちの
    所定期間(Tc)は、前記点火時期を基準にして20
    〔μsec〕〜200〔μsec〕経過した時点から1
    00〔μsec〕〜1000〔μsec〕経過するまで
    の期間に設定される請求項1乃至4のいずれかに記載の
    点火プラグのくすぶり検出装置。
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