JP2000045078A - 表面処理金属板およびその製造方法 - Google Patents
表面処理金属板およびその製造方法Info
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Abstract
表面処理金属板およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 金属板またはめっき金属板に表面処理皮
膜が形成されている表面処理金属板であって、前記表面
処理皮膜は、SiとLiをSi/Li(モル比)が36
〜66となるように有していると共に、実質的にCrを
有していない表面処理金属板である。
Description
施さなくても良好な耐食性を示す皮膜が形成された表面
処理金属板に関し、さらに詳しくは、耐食性と共に、潤
滑性、耐疵付き性、耐指紋性、塗装性(塗膜密着性)等
においても優れた特性を示す表面処理金属板およびその
製造方法に関するものである。本発明の表面処理金属板
は、家庭用電気製品や建材等、自動車部品等の分野に適
用することができる。
としては、電気Znめっき鋼板および溶融Znめっき鋼
板等のZn系めっき鋼板や、より一層の耐食性及び塗料
を塗布した場合の塗膜の密着性(以下「塗装性」とい
う)の向上を目的として、Znめっき鋼板上にクロメー
ト処理やりん酸塩処理等の化成処理を施した表面処理鋼
板が多く用いられている。
る処理液中にはCrなどの有毒金属およびイオンが含ま
れており、無害化対策を行っていても、地下水や土壌を
汚染する可能性が皆無ではないという問題があった。
の表面処理法が提案されている。例えば、特公昭53−
47774号には、正リン酸、アルミ系ゾル、金属系ヒ
ドロゾルを含む処理液で処理する方法が、特公昭58−
31390号には、水ガラスやケイ酸ソーダとピラゾー
ルを含む処理液で処理する方法が、また特開平4−29
3789号にはシリケートコーティングを行う方法が開
示されている。しかしながら、これらの方法で形成され
た皮膜は、耐食性が不充分であったり、塗装性が悪かっ
たり、耐疵付き性に劣るなどの問題があり、さらなる改
善が嘱望されていた。
ロメート処理を行わないことを大前提としてこのクロメ
ート処理に代替可能な表面処理方法を確立して、耐食
性、耐疵付き性、塗装性等の各種特性に優れた皮膜を有
する表面処理金属板およびその製造方法を提供すること
を課題として掲げた。
理金属板は、 金属板またはめっき金属板に表面処理皮
膜が形成されている表面処理金属板であって、前記表面
処理皮膜は、SiとLiをSi/Li(モル比)が36
〜66となるように有していると共に、実質的にCrを
有していないところに要旨を有する。
合物およびLi系無機化合物を構成成分として含む有機
・無機複合皮膜であること、さらにシランカップリング
剤を構成成分として含むものであること、あるいはさら
に固体潤滑剤を構成成分として含むものであることは、
いずれも本発明の好ましい実施態様である。
0.02〜0.6g/m2 であることが好ましい。ま
た、表面処理皮膜の上に、さらに、有機樹脂を主成分と
する樹脂コーティングが施されている形態の表面処理金
属板、本発明に含まれる。このとき、樹脂コーティング
膜中にシリカがSiO2 として3〜30重量%含まれて
いることが好ましく、耐食性が一層向上する。
は、金属板またはめっき金属板に、クロメート処理を施
すことなく、Si系無機化合物およびLi系無機化合物
をSi/Li(モル比)が36〜66となるように含有
する処理溶液を直接塗布し、次いで乾燥して表面処理皮
膜を形成するところに要旨を有する。
を用い、Li系無機化合物としてリチウムシリケートを
用い、塗布後の乾燥温度を200℃以下とすると、皮膜
物性が向上するため好ましい。
メート処理膜は形成されていないが、反応型クロメート
処理金属板と同等以上の耐食性を示すものである。ま
た、表面処理皮膜の上に樹脂コーティングを施したタイ
プでは塗布型クロメート処理金属板と同等以上の高耐食
性を示す。以下、詳細に説明する。
属板またはめっき金属板とは、特に限定されず、鋼板、
ステンレス鋼板、アルミ板、アルミ合金板、チタン板等
の金属板、あるいはこれらに単一金属または各種合金の
めっきを施したものを用いることができる。耐食性の観
点からはめっき金属板を用いる方が好ましく、Znめっ
き鋼板やZn合金めっき鋼板が汎用されているので、こ
れらを用いるとよい。もちろんめっき方法は特に限定さ
れない。
とLiである。皮膜中では、両者の比:Si/Li(モ
ル比)が36〜66となるように存在していなければな
らない。また、皮膜には、実質的にCrが含まれていな
いことも必要である。
る表面処理皮膜形成用処理液(以下処理液と省略する)
中に配合するSi系無機化合物とLi系無機化合物の量
を調整することによって行う。また、Crは、クロメー
ト処理を行わないため、本発明の皮膜に含まれてくるは
ずがないが、金属板中またはめっき層中に不可避不純物
として含まれていたCrが表面処理皮膜中に移動してく
る可能性があるので、このような場合に皮膜からCrが
検出されたとしても、本発明の範囲からはずれるもので
はない。「実質的にCrが含まれていない」とはこの意
味である。
は、特に限定されないが、例えば、蛍光X線分析法を用
いることができる。このとき、表面処理皮膜が付いたま
まの表面処理金属板試料について各元素の定量分析を行
うと共に、この試料を濃塩酸(例えば、50%水溶液)
に浸漬して金属板から皮膜を溶解剥離させて得られる金
属板のみについても定量分析も行い、両者の差から、皮
膜中の元素の量を割り出すことが必要である。めっき金
属板の場合は、塩酸の濃度や浸漬時間を調製して剥離す
る部分を変えることにより、表面処理皮膜とめっき層と
金属板の各部分における定量が可能である。蛍光X線分
析には、例えば、島津製作所製のMULTI-CHANNEL X-RAY
FLUORESCENCE SPECTROMETER 「MFX−2100」を用
いることができ、測定誤差±3mg/m2 レベルで定量
分析を行うことができる。
としての−OHを有し、かつ、ある程度移動可能な状態
で存在しているものと、4個の酸素原子と共有結合して
完全にガラス状で移動不可能な状態で存在しているもの
とがあり、皮膜に疵が入ったときに、移動可能なSiが
疵部に移動して皮膜の修復を行い、疵の広がりを防御す
るために、耐食性が発揮されるのではないかと考えられ
る。この観点から、Siとしては、吸着水やOH基を有
するシリカを皮膜中に存在させることが好ましく、完全
結晶化したSiO2 は好ましくない。処理液としての使
いやすさからは、Si系無機化合物のうち、いわゆるコ
ロイダルシリカが好適に用いられるが、その他のシリカ
も使用可能である。
を有する。しかし、Liが多くなると、Li成分が皮膜
から溶出しやすくなって皮膜の耐水性が低下する。ま
た、上記した皮膜の自己修復に必要なSiが、結果的に
少なくなるため、本発明では、Si/Li(SiとLi
のモル比)の下限を36とした。逆に、Siが多すぎる
と、後述する有機樹脂の助けを借りても皮膜形成性が悪
化して、耐食性のある緻密な皮膜を作ることができなく
なると共に、形成された皮膜に亀裂が生じやすく、疵付
きやすくなる。また、Si分が多いと、処理液の金属板
に対する濡れ性が低下し、金属板に塗布した処理液がは
じかれやすくなって、形成される皮膜の基材密着性が悪
化するデメリットもある。従って、Si/Liの上限は
66とする。より好ましいSi/Liの下限は44、上
限は60である。皮膜中にLiを存在させるためには、
処理液中にリチウムシリケートを加えればよい。なお、
リチウムシリケートに由来するSiも皮膜中のSiとし
てカウントされるので、Si/Liが上記最適範囲には
いるようにリチウムシリケート量を調整するとよい。
びLiからのみ形成することもできるが、造膜性、皮膜
の耐疵付き性、耐指紋性、必要により表面処理皮膜の上
に形成される樹脂コーティングとの密着性を考慮する
と、有機樹脂バインダーを用いて、有機・無機複合皮膜
とすることが好ましい。有機・無機複合皮膜とすること
により、均一な皮膜が形成されるので、耐食性を向上さ
せることにもなる。さらに、Li成分による皮膜の耐水
性低下を補う効果も発揮する。
レタン系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル系樹脂、ポリエ
チレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリス
チレン等のスチレン系樹脂、ポリエステルあるいはこれ
らの共重合物や変成物等、塗料用として公知の樹脂であ
ればいずれも使用可能である。中でも、ウレタン系樹
脂、アクリル系樹脂、これらの変性樹脂等が、皮膜特性
の点から好ましく用いられる。Si系無機化合物および
Li系無機化合物と混合して処理液とする観点から、有
機樹脂はエマルジョンタイプのものを用いることが好ま
しい。また、これらの樹脂に組み合わせることが知られ
ている公知の架橋剤を添加してもよい。樹脂中のポリマ
ー鎖同士を架橋することにより緻密な皮膜が形成される
ので、耐食性や皮膜硬度の向上を図ることができる。
重量%以上が好ましく、より好ましくは10重量%以
上、特に好ましくは15重量%以上である。また含有量
の上限は33重量%以下が好ましく、より好ましくは3
0重量%以下、特に好ましくは25重量%以下である。
有機樹脂の含有量が8重量%未満の場合には、有機樹脂
添加による造膜性や皮膜特性の改善効果が不充分とな
る。一方、有機樹脂の含有量が33重量%を上回る場合
には、無機成分が減少することとなり、皮膜の耐食性が
発現しない。
ときは、さらにシランカップリング剤を加えることが好
ましい。有機樹脂と、Si系無機化合物およびLi系無
機化合物が、シランカップリング剤を介して結合するの
で、緻密な耐食性に優れた皮膜を形成するからである。
金属板あるいはめっき層に対して結合することにより、
密着性の向上効果も発揮する。
は、特に限定されず、いずれも使用できる。ただし、シ
ランカップリング剤は加水分解をしてシラノール基を生
成する際に、アルコールが生成して、造膜性に悪影響を
及ぼすことがあるので、シランカップリング剤中のアル
コキシ基がメトキシ基やエトキシ基であるものを選択す
ることが好ましい。加水分解後にメタノール・エタノー
ル等の低沸点のアルコールが生成して、アルコールの揮
散を速やかに行えるからである。また、水溶液中での分
散性や相溶性等の観点からは、エポキシ基やアミノ基を
有するシランカップリング剤を用いることが好ましい。
好ましいシランカップリング剤の具体例として、γ−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3、4−
エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられ
る。
0.8〜17.0重量%が好ましい。0.8重量%未満
では、有機・無機複合皮膜の複合化(結合化)効果が発
揮されにくい。一方、17.0重量%を超えると、Si
系無機化合物とシランカップリング剤との加水分解反応
の急激な進行によって、処理液の安定性が低下して、処
理液の塗装作業ができなくなるからである。なお、本発
明では、皮膜中のSiとしてシランカップリング剤に由
来するSiもカウントするものとする。従って、シラン
カップリング剤が多すぎると、前記したSi/Liの最
適範囲にするためには、Si系無機化合物の量が減少
し、耐食性が低下することがあるため好ましくない。
含めることもできる。表面処理皮膜を表面処理金属板の
最表面として使用する場合、すなわち、表面処理皮膜状
に他の樹脂コーティングを施さずにしようする場合に
は、皮膜の潤滑性を改善して、疵付きを防止することが
好ましいからである。他の層をコーティングする場合に
は、固体潤滑剤は入れなくてもよい。
しては、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワッ
クス、酸化ポリプロピレンワックス、カルナバワック
ス、パラフィンワックス、モンタン酸ワックス、ライス
ワックス、テフロンワックス(四フッ化エチレンワック
ス)、二硫化モリブデン、二硫化炭素、グラファイト等
が例示でき、これらの固体潤滑剤の中から1種又は2種
以上を任意に選択すればよい。処理液中での分散状態や
潤滑性能を考慮すると、ワックスタイプの潤滑剤、特に
ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックスを用
いて、水分散型ワックスの状態で処理液に添加すること
が推奨される。
以上、より好ましくは0.25重量%以上で、2.8重
量%以下、より好ましくは1.5重量%以下とする。
0.20重量%未満では、潤滑性や耐疵付き性の改善効
果が発現しない。一方、2.8重量%を超えると、造膜
性が低下して、結果として形成される皮膜の耐食性が悪
くなる傾向がある。
μmであることが好ましい。固体潤滑剤の粒径が0.1
μm未満では皮膜中に潤滑剤が埋もれてしまい満足でき
る性能が得られないことがある。一方1.0μmを超え
る粒径のものは、処理液中における均一分散性や液安定
性が悪くなるので、塗布作業性が低下する。
れない。皮膜の厚みよりも、自己修復作用を有するSi
がどれだけ皮膜に含まれているかが、耐食性に影響を及
ぼすためである。この観点から考慮すると、表面処理皮
膜の付着量の好ましい範囲は、Si換算で0.02〜
0.6g/m2 である。Si付着量が少ないと耐食性が
発現せず、皮膜としても薄すぎて耐疵付き性等の特性が
悪化する。しかし、Si付着量が多くなると、造膜性の
悪化に伴い耐食性が次第に低下する。また、塗装性も低
下するため好ましくない。
合物およびLi系無機化合物をSi/Li(モル比)が
36〜66となるように含有する処理溶液を、金属板ま
たはめっき金属板に直接塗布し、次いで乾燥して表面処
理皮膜を形成することにより製造することができる。こ
のとき、クロメート処理を施してはいけない。本発明の
目的から逸脱するからである。
ことが好ましい。乾燥温度が200℃を超えると、4個
の酸素原子と共有結合して完全にガラス状で移動不可能
な状態で存在しているSiが増えて、移動可能な状態で
存在しているSiが減少し、皮膜の自己修復作用が発現
しなくなることが見出されたからである。この意味で、
150℃以下とすることがさらに好ましい。処理液の塗
布方法は限定されるものではなく、ロールコーター法、
ナイフコーター法、スプレー法等の公知の塗布方法の中
から任意に選択すればよい。
て樹脂コーティングを施すこともできる。樹脂コーティ
ングは、特に、塗布型クロメート処理と同等以上の耐食
性が要求される場合に有用である。また、耐指紋性や塗
装性を向上させる効果もある。このような効果を発揮さ
せるためには、樹脂コーティング膜の付着量を、0.2
〜2.5g/m2 とすることが好ましい。付着量が少な
いと、上記効果が発現せず、多すぎると耐疵付き性が悪
化することがある。
ー用の有機樹脂として例示したものがいずれも使用でき
る。なお、表面処理皮膜に使用した樹脂と、この樹脂コ
ーティングに使用する樹脂は同種でも異種でも構わな
い。
ために、コロイダルシリカを加えることが好ましい。S
iO2 換算で、皮膜中に3〜30重量%含ませるとよ
い。少ないと、耐疵付き性、耐食性が発現せず、多すぎ
ると耐食性や皮膜特性が低下する。また、表面処理皮膜
のときと同様に、固体潤滑剤を添加することも好ましい
手段である。樹脂コーティング膜の潤滑性を改善して、
疵付きを防止することができるからである。好ましく用
いられる固体潤滑剤は、前記例示の通りである。適正使
用量は、皮膜中の量として、1〜20重量%である。少
ないと潤滑性改善効果が見られず、多すぎると耐食性や
塗装性が低下する。
が、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発
明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することはすべて
本願発明に含まれる。
は下記の通りである。
S Z2371に規定された塩水噴霧試験を実施し、4
8時間後の白錆の発生率で耐食性を評価した。評価基準
を以下に示す。 ◎:白錆なし ○:白錆発生面積5%未満 △:白錆発生面積5%以上25%未満 ×:白錆発生面積25%以上
68時間後の白錆の発生率で耐食性を評価した。評価基
準も平板−1と同じである。
ターナイフでクロスカットを入れ、平板−1と同様にし
て塩水噴霧試験を実施し、24時間後の白錆の発生率で
耐食性を評価した。評価基準を以下に示す。 ◎:白錆なし ○:白錆発生面積5%未満 △:白錆発生面積5%以上25%未満 ×:全面に白錆発生
ときの72時間後の白錆の発生率で耐食性を評価した。
評価基準もクロスカット−1と同じである。
き抜き速度300mm/分で引き抜き試験を行ったとき
の引き抜き荷重を測定し、この引き抜き荷重と加圧力か
ら測定面の動摩擦係数を算出した。測定は供試材の両面
について行い、両面の動摩擦係数の平均値を算出し、下
記基準で評価した。 ◎:動摩擦係数0.15未満 ○:動摩擦係数0.15以上0.20未満 △:動摩擦係数0.20以上0.30未満 ×:動摩擦係数0.30以上
×10mm)で、表面性試験装置(HEIDON社製)
にセットした。1kgの荷重をかけた状態で2枚の供試
材を相互に摺動させて、疵付き具合を評価した。 ◎:擦り疵が発生しない ○:わずかに擦り疵が発生した △:かなり擦り疵が発生した ×:全面疵
指紋液として用い、供試材を人工指紋液に1分間浸漬
し、浸漬前後の色調変化を色差計(日本電色株式会社
製)で測定した。下記式からΔEを求め、耐指紋性を下
記基準で評価した。
あり、L1 、a1 、b1 は試験後の色調である。 ◎:ΔEが1未満 ○:ΔEが1以上2未満 △:ΔEが2以上3未満 ×:ΔEが3以上
膜密着性を碁盤目テストで評価した。メラミン塗装は、
アミラック1000(関西ペイント社製)を用い、膜厚
20±1μmとなるようにスプレー塗布した後、130
℃で20分間焼きつけることにより行った。 ◎:剥がれなし ○:塗膜残存率90〜100% △:塗膜残存率80%以上90%未満 ×:塗膜残存率80%未満
化させた表面処理鋼板を製造した。金属板は、クロメー
ト処理を施していない電気Znめっき鋼板(Zn付着量
20g/m2 、板厚0.8mm)を用いた。この金属板
の片面(または両面)に、表面処理液(組成は後述)
を、塗布乾燥後のSi重量で0.1g/m 2 となるよう
に絞りロールで塗布し、板温120℃で乾燥させて供試
材(1層タイプ)としたもの、およびこの処理皮膜の上
にさらに樹脂コーティング膜(組成後述)を乾燥後の付
着量として1.0g/m2 となるように形成して(塗布
・乾燥条件は同上)供試材としたもの(2層タイプ)を
作成した。なお、表1のNo.10および表2のNo.
20は、クロメート処理(Cr付着量20g/m2 )を
施し、本発明の表面処理を施していない電気Znめっき
鋼板の例であり、表2のNo.21は、クロメート処理
も本発明の表面処理も施していない電気Znめっき鋼板
に樹脂コーティングのみを施した例である。
示したSi/Li比になるように調整(Siには、リチ
ウムシリケートおよびシランカップリング剤中のものも
含まれる。) ・有機樹脂:水分散型ウレタン樹脂:25重量%(処理
液中の固形分総量に対する「重量%」である。以下同
じ) ・シランカップリング剤:γ―グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン:10重量% ・固体潤滑剤:粒径0.6μmの水分散型ポリエチレン
ワックス粒子:1重量%
コーティング膜形成用組成物の固形分総量に対する「重
量%」である。以下同じ) ・固体潤滑剤:粒径0.6μmの水分散型ポリエチレン
ワックス粒子:10重量%
36〜66を満足する本発明例No.1〜5は、耐食
性、潤滑性、耐疵付き性、耐指紋性、塗装性の全てに優
れていた。特に、Si/Li比が44〜60の本発明例
No.2〜4は、耐食性が極めて優れていた。一方、S
i/Li比が小さ過ぎるNo.6、7は、耐食性が劣
り、Si/Li比が大き過ぎるNo.8、9は、全体的
に特性が悪かった。No.10のクロメート処理材は、
耐食性においても本発明例よりも劣っていることがわか
った。
36〜44を満足する本発明例No.11〜15は、全
ての特性に優れていた。しかし、Si/Li比が小さ過
ぎるNo.16、17、Si/Li比が大き過ぎるN
o.18、19は、いずれも耐食性が悪い。No.20
のクロメート処理材は、全体的に本発明例よりも劣って
いる。樹脂コーティング膜のみのNo.21は、潤滑性
と耐指紋性は良好であるが、他の特性は劣っていた。
にして、1層タイプと2層タイプの供試材を作成した
が、処理液の組成は、Si/Li比を50(モル比)と
一定にし、ウレタン樹脂の量を表3および4に示すよう
に変化させた。結果を表3および4に示した。
が8〜33重量%の範囲内にある本発明例No.22〜
26は、良好な特性を示したが、一方、有機樹脂添加量
が8〜33重量%の好ましい範囲からはずれているN
o.27〜30は、耐食性を始めとして、あまり良好な
特性を示さなかった。表4の2層タイプでは、有機樹脂
を含まないNo.36は耐指紋性以外の特性すべてが劣
っている。有機樹脂の少ないNo.37は、耐食性と塗
装性が本発明例より悪い。また、有機樹脂の添加量が3
3重量%を超えて多くなっていくのに伴い、耐食性、潤
滑性、耐疵付き性等が悪くなる傾向にあることがわかる
(No.38、39)。
討した。Si/Li比を50とし、粒径の異なる水分散
型ポリエチレンワックス粒子の含有量を0〜10重量%
に変更した以外は実施例1と同様にして1層タイプと2
層タイプの供試材を作成した。結果を表5および6に示
した。
が少ないと、潤滑性・耐疵付き性・塗装性が低下する傾
向がわかる。しかし、多くなると潤滑性以外の特性が悪
くなることもわかった。粒径が小さい固体潤滑剤を用い
たNo.51では、耐指紋性と塗装性以外の特性が悪
く、大粒径の固体潤滑剤を用いたNo.52、53では
いずれの特性も良くなかった。
体潤滑剤を用いたNo.65が、耐疵付き性と耐指紋性
を除いてまずまずの特性を示したこと以外は、1層タイ
プと同様の傾向を示した。なお、固体潤滑剤の粒径が
3.0μmのNo.67は、処理液中で固体潤滑剤が分
散しなかったため、供試材の作成を断念した。
について検討した。Si/Li比を50とし、シランカ
ップリング剤の種類と添加量を表7、8に示すように変
更した以外は、実施例1と同様にして供試材を作成し
た。特性評価結果を、表7、8に示した。
いても良好な特性を示すことと、シランカップリング剤
の量が少なくなるにつれ、潤滑性、耐疵付き性、塗装性
が悪くなる傾向を示すことがわかった。シランカップリ
ング剤の含有量が多過ぎるNo.78〜80は、全体的
に特性が悪い。また、表8の2層タイプでは、シランカ
ップリング剤無添加のNo.89や添加量の少ないN
o.90で、耐指紋性以外の特性が悪い。添加量が多く
なっても、耐指紋性以外の特性が次第に低下していくこ
とがわかる(No.91〜93)。
とし、乾燥温度を表9および表10に記載したように変
えた以外は実施例1と同様にして供試材を作成し、特性
を評価した。評価結果を表9および10に示した。
塗装性に影響があるが、その他はまずまずの特性を示し
た。しかし、200℃を超えて乾燥温度が高くなってい
くと、すべての特性が悪化する傾向にあることがわかっ
た。2層タイプでは、乾燥温度が高くなると、特に耐食
性の悪化が目立った(表10)。
Si/Li比を50とし、有機樹脂の種類とSi付着量
を表11および表12に記載したように変えた以外は実
施例1と同様にして供試材を作成し、特性を評価した。
評価結果を表11および12に示した。
2 と少ない場合(No.105)は潤滑性と耐疵付き性
が若干劣るがその他の特性は良好であることがわかる。
No.106〜111は良好な耐食性、皮膜特性を示し
た。しかし、付着量が少なすぎるNo.112では、い
ずれの特性も劣っていた。また、付着量が多くなると、
膜厚の増大に伴い、耐食性、耐疵付き性、塗装性が悪化
していくことがわかる。2層タイプでは本発明例は優れ
た特性を示したが、表面処理皮膜の付着量が少なすぎる
No.123でいずれの特性も劣っていた。その他の参
考例は、まずまずの特性を示していた。
樹脂付着量について検討した。Si/Li比を50と
し、コーティング層用樹脂の種類と付着量を表13に記
載したように変えた以外は実施例1と同様にして2層タ
イプの供試材を作成し、特性を評価した。評価結果を表
13に示した。
g/m2 と少ない場合(No.135)は、いずれの特
性も劣っていた。また、付着量が多くなる(No.13
6)と、膜厚の増大に伴い耐疵付き性が悪化した。
カの量(重量%)について検討した。Si/Li比を5
0とし、コロイダルシリカの量を表14に記載したよう
に変えた以外は実施例1と同様にして2層タイプの供試
材を作成し、特性を評価した。評価結果を表14に示し
た。
3、144は、耐食性、耐疵付き性、塗装性が劣ってい
る。しかし量が多いNo.145、146は、すべての
特性が悪く、コロイダルシリカ量の最適範囲が明瞭に把
握できた。
種類と量(重量%)について検討した。Si/Li比を
50とし、固体潤滑剤の種類と量を表15に記載したよ
うに変えた以外は実施例1と同様にして2層タイプの供
試材を作成し、特性を評価した。評価結果を表15に示
した。
滑性と耐疵付き性が劣っている。しかし、固体潤滑剤が
多すぎると、耐食性、耐疵付き性、耐指紋性、塗装性が
低下していくことがわかる。
用を有する有機・無機複合皮膜が形成されているので、
クロメート処理を行わなくても良好な耐食性を示すとと
もに、潤滑性、耐疵付き性、耐指紋性、塗装性等の特性
にも優れている。クロメート処理を行う必要性がなくな
り、環境保護の点で有用である。
Claims (9)
- 【請求項1】 金属板またはめっき金属板に表面処理皮
膜が形成されている表面処理金属板であって、前記表面
処理皮膜は、SiとLiをSi/Li(モル比)が36
〜66となるように有していると共に、実質的にCrを
有していないことを特徴とする表面処理金属板。 - 【請求項2】 上記表面処理皮膜が、有機樹脂、Si系
無機化合物およびLi系無機化合物を構成成分として含
む有機・無機複合皮膜であり、SiとLiをSi/Li
(モル比)が36〜66となるように有していると共
に、実質的にCrを有していないことを特徴とする表面
処理金属板。 - 【請求項3】 上記表面処理皮膜が、さらに、シランカ
ップリング剤を構成成分として含むものである請求項1
または2に記載の表面処理金属板。 - 【請求項4】 上記表面処理皮膜が、さらに、固体潤滑
剤を構成成分として含むものである請求項1〜3のいず
れかに記載の表面処理金属板。 - 【請求項5】 上記表面処理皮膜の付着量がSi換算で
0.02〜0.6g/m2 である請求項1〜4のいずれ
かに記載の表面処理金属板。 - 【請求項6】 上記表面処理皮膜の上に、さらに、有機
樹脂を主成分とする樹脂コーティングが施されているも
のである請求項1〜5のいずれかに記載の表面処理金属
板。 - 【請求項7】 上記樹脂コーティング膜中にシリカがS
iO2 として3〜30重量%含まれている請求項6に記
載の表面処理金属板。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の表面処
理金属板の製造方法であって、金属板またはめっき金属
板に、クロメート処理を施すことなく、Si系無機化合
物およびLi系無機化合物をSi/Li(モル比)が3
6〜66となるように含有する処理溶液を直接塗布し、
次いで乾燥して表面処理皮膜を形成することを特徴とす
る表面処理金属板の製造方法。 - 【請求項9】 Si系無機化合物がコロイダルシリカで
あり、Li系無機化合物がリチウムシリケートであり、
200℃以下で乾燥を行うものである請求項8に記載の
表面処理金属板の製造方法。
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