JP2000044388A - シリコン単結晶ウエーハ及びその製造方法 - Google Patents
シリコン単結晶ウエーハ及びその製造方法Info
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Abstract
部を除いた全面にOSFまたはOSFの核が存在し、か
つゲッタリング能力を有するCZ法によるシリコン単結
晶ウエーハを安定した製造条件下に製造する。 【解決手段】 結晶成長時に、結晶中の固液界面近傍の
融点から1400℃の間の温度勾配をG(温度変化量/結晶
軸方向長さ)[℃/cm]とし、結晶中心部分の温度勾
配Gcと結晶周辺部分の温度勾配Geとの差を△G=
(Ge−Gc)で表した時、△Gが0または負となるよ
うに、用いる装置の炉内温度を制御し、かつ結晶直径を
横軸に、引上げ速度を縦軸として欠陥分布を示した分布
図において、OSF領域が帯状逆M字型またはU字型を
形成する時、OSF領域の内側ラインの最小値に対応す
る引上げ速度と、OSF領域の外側ラインの最大値に対
応する引上げ速度の範囲内に制御しながら結晶を引上げ
るシリコン単結晶の製造方法。
Description
く、ゲッタリング能力を備えたシリコン単結晶ウエーハ
及びその製造方法に関するものである。
子の微細化に伴い、その基板となるチョクラルスキー法
(以下、CZ法と略記する)で作製されたシリコン単結
晶に対する品質要求が高まってきている。特に、FP
D、LSTD、COP等のグローンイン(Grown−
in)欠陥と呼ばれる酸化膜耐圧特性やデバイスの特性
を悪化させる、単結晶成長起因の欠陥が存在しその密度
とサイズの低減が重要視されている。
ず、シリコン単結晶に取り込まれるベイカンシイ(Va
cancy、以下Vと略記することがある)と呼ばれる
空孔型の点欠陥と、インタースティシアル−シリコン
(Interstitial−Si、以下Iと略記する
ことがある)と呼ばれる格子間型シリコン点欠陥のそれ
ぞれの取り込まれる濃度を決定する因子について、一般
的に知られていることを説明する。
acancy、つまりシリコン原子の不足から発生する
凹部、穴のようなものが多い領域であり、I領域とは、
シリコン原子が余分に存在することにより発生する転位
や余分なシリコン原子の塊が多い領域のことであり、そ
してV領域とI領域の間には、原子の不足や余分が無い
(少ない)ニュートラル(Neutral、以下Nと略
記することがある)領域が存在していることになる。そ
して、前記グローンイン欠陥(FPD、LSTD、CO
P等)というのは、あくまでもVやIが過飽和な状態の
時に発生するものであり、多少の原子の偏りがあって
も、飽和以下であれば、欠陥としては存在しないことが
判ってきた。
晶の引上げ速度(成長速度)と結晶中の固液界面近傍の
温度勾配Gとの関係から決まり、V領域とI領域との境
界近辺にはOSF(酸化誘起積層欠陥、Oxidati
on Indused Stacking Faul
t)と呼ばれる欠陥が、結晶成長軸に対する垂直方向の
断面で見た時に、リング状に分布(以下、OSFリング
ということがある)していることが確認されている。
中固液界面近傍の温度勾配Gが大きい炉内構造(ホット
ゾーン:HZということがある)を使用したCZ引上げ
機で結晶軸方向に成長速度を高速から低速に変化させた
場合、図5に示したような欠陥分布図として得られる。
ると、図6に示したように、例えば成長速度が0.6m
m/min前後以上と比較的高速の場合には、空孔タイ
プの点欠陥が集合したボイド起因とされているFPD、
LSTD、COP等のグローンイン欠陥が結晶径方向全
域に高密度に存在し、これら欠陥が存在する領域はV−
リッチ領域と呼ばれている(図5のライン(A)、図6
(A)参照)。 また、成長速度が0.6mm/min
以下の場合は、成長速度の低下に伴い、OSFリングが
結晶の周辺から発生し、このリングの外側に転位ループ
起因と考えられているL/D(Large Dislo
cation:格子間転位ループの略号、LSEPD、
LFPD等)の欠陥が低密度に存在し、これら欠陥が存
在する領域はI−リッチ領域(L/D領域ということが
ある)と呼ばれている。さらに、成長速度を0.4mm
/min前後以下と低速にすると、OSFリングがウエ
ーハの中心に凝集して消滅し、全面がI−リッチ領域と
なる(図5のライン(C)、図6(C))。
域の中間でOSFリングの外側に、N領域と呼ばれる、
空孔起因のFPD、LSTD、COPも、転位ループ起
因のLSEPD、LFPDも存在しない領域の存在が発
見されている。この領域はOSFリングの外側にあり、
そして、酸素析出熱処理を施し、X−ray観察等で析
出のコントラストを確認した場合に、酸素析出がほとん
どなく、かつ、LSEPD、LFPDが形成されるほど
リッチではないI−リッチ領域側であると報告している
(図5のライン(B)、図6(B)参照)。
の極一部にしか存在しないN領域を、引上げ機の炉内温
度分布を改良し、引上げ速度を調節して、V/G値(単
結晶引上げ速度をV[mm/min]とし、シリコンの
融点から1300℃の間の引上げ軸方向の結晶内温度勾
配の平均値をG[℃/mm]とするとき、V/Gで表わ
される比)を0.20〜0.22mm2 /℃・minと
してウエーハ全面及び結晶全長に対して制御すれば、N
領域をウエーハ全面に広げることが可能であると提案
(特開平8−330316号公報)している。
結晶全体に広げて製造しようとすると、この領域がI−
リッチ領域側のN領域のみに限定されるため、製造条件
の上で制御範囲が極めて狭く、実験機ならともかく生産
機では精密制御が難しく、生産性に難点があって実用的
でない。
5に示すように結晶軸方向に成長速度を故意に高速から
低速に変化させる操業を行った場合、図6に示したよう
に(A)全面V−リッチ領域型、(B)V−リッチ領域
とN−領域の共存型、(C)全面I−リッチ領域型(L
/Dリッチ領域型ということがある)及び(D)V−リ
ッチ領域とI−リッチ領域共存型(不図示)が形成さ
れ、目的用途に応じて各品質が得られるよう結晶軸方向
の成長速度を調整して製造している。
チ領域型は標準品として量産されている。(B)のV−
N共存型は(A)の改良品として製造されているが、デ
バイス工程でN−領域は高歩留りであってもV−リッチ
領域では低下し、不完全なものである。(C)の全面I
−リッチ領域型はパーティクルモニターとして製造して
いるが、L/Dが障害となり、デバイス作製用としては
使用されていない。また、(A)、(C)、(D)各タ
イプのウエーハは、デバイス工程に投入しても、ウエー
ハ表面に残存しているサイズが大きい空孔や格子間転位
等の影響により、デバイスの歩留りが悪化する傾向があ
る。
全面N−領域型が提案されており、全面で高歩留りが得
られるものの前述したように量産性が低いのが現状であ
る。さらに、(B)、(E)タイプの場合、熱処理して
も酸素が析出しないI−リッチ側のN−領域ではゲッタ
リング能力が不足する場合もあり、必ずしも安定的では
ない。一方、シリコン単結晶ウエーハを基板として使用
するエピタキシャルウエーハにおいては、ゲッタリング
能力向上のために、析出および欠陥の多い基板が望まれ
ている。
問題点に鑑みなされたもので、熱酸化処理をした際に結
晶全面あるいは外周部を除いた全面にOSFまたはOS
Fの核が形成され、高いゲッタリング能力を有するCZ
法によるシリコン単結晶ウエーハを安定した製造条件下
に得ることを目的とする。
成するために為されたもので、本発明の請求項1に記載
した発明は、チョクラルスキー法により育成されたシリ
コン単結晶ウエーハであって、熱酸化処理をした際に結
晶全面あるいは外周部を除いた全面にOSFまたはOS
Fの核が存在するシリコン単結晶ウエーハである。この
ように、本発明のウエーハは、OSFあるいはその潜在
核が結晶全面あるいは外周部を除いた全面に形成された
ことにより、ゲッタリング能力が著しく向上したものと
なった。
は、チョクラルスキー法により育成されたシリコン単結
晶ウエーハであって、熱酸化処理をした際にウエーハ全
面の90%以上の面積にOSFまたはOSFの核が存在
するシリコン単結晶ウエーハである。
求項1または請求項2に記載したシリコン単結晶ウエー
ハであって、FPD、COP及びL/Dがウエーハ全面
内に存在しないシリコン単結晶ウエーハである。
ハの酸素濃度が24ppma(ASTM’79値)未満
であることが好ましい。このようにすると、熱酸化処理
をした際にOSFの核は存在するが、OSFは発生せ
ず、かつ、FPD、COP、L/D等がウエーハ全面内
に存在しないシリコン単結晶ウエーハとなる。
熱酸化処理をした際に発生するOSFの密度が100個
/cm2 以下であるという極低欠陥のシリコン単結晶ウ
エーハである。この程度のOSF密度ならば、エピタキ
シャル層の結晶性に悪影響を及ぼすことはない。
項1ないし請求項5に記載したシリコン単結晶ウエーハ
を基板としたエピタキシャルウエーハであり、ゲッタリ
ング能力に優れており、高抵抗のp型基板でもゲッタリ
ングが十分に実現できる。
ハの製造方法としては、本発明の請求項7に記載したよ
うに、チョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製
造する場合において、育成されるシリコン単結晶が結晶
成長時に、結晶中の固液界面近傍の融点から1400℃
の間の温度勾配をG(温度変化量/結晶軸方向長さ)
[℃/cm]とし、結晶中心部分の温度勾配Gc[℃/
cm]と結晶周辺部分の温度勾配Ge[℃/cm]との
差を△G=(Ge−Gc)で表した時、△Gが0または
負となるように、用いる装置の炉内温度を制御し、かつ
結晶直径を横軸に、引上げ速度を縦軸として欠陥分布を
示した欠陥分布図において、OSF領域が帯状逆M字型
またはU字型を形成する時、OSF領域の内側ラインの
最小値に対応する引上げ速度と、OSF領域の外側ライ
ンの最大値に対応する引上げ速度の範囲内に制御しなが
ら結晶を引上げるシリコン単結晶の製造方法である。
求めた図1の欠陥分布図を元に、シリコンの融点から1
400℃の間の引上げ軸方向の結晶内温度勾配Gの結晶
中心と結晶周辺との差△Gが0または負となるように用
いる装置の炉内温度を制御し、引上げ速度を上記で規定
した範囲内に制御しながら結晶を引上げれば、本発明の
ような、熱酸化処理をした際に結晶全面あるいは外周部
を除いた全面にOSFまたはOSFの核が存在し、か
つ、FPD、COP及びL/D等の欠陥がウエーハ全面
内に存在しないシリコン単結晶を作製することができ
る。
記チョクラルスキー法によるシリコン単結晶を製造する
場合に、磁場を印加するMCZ法を用いれば、より安定
してシリコン単結晶を製造することができる。そして特
に請求項9に記載したように、前記MCZ法によるシリ
コン単結晶を製造する場合に、横磁場で2000Gau
ss以上の磁場を印加すれば、より一層安定性が得られ
る。
記結晶成長時の引上げ速度の精度を、結晶定径部(単結
晶の直胴部分をいう)の成長長さ10cmごとに算出し
た引上げ速度の平均値±0.01[mm/min]以内
とすることが望ましい。引上げ速度の精度をこのように
高精度にすれば、容易に請求項7ないし請求項9で規定
する条件下でシリコン単結晶を安定して製造することが
できる。
温度を制御するためには、引上げ装置内に環状固液界面
断熱材を設け、この下端と融液表面との間隔を5〜10
cmに設定すればよい。こうすれば、上記結晶中心部分
の温度勾配Gc[℃/cm]と結晶周辺部分の温度勾配
Ge[℃/cm]との差△G=(Ge−Gc)が0また
は負、すなわち結晶周辺の温度勾配と結晶中心の温度勾
配が等しいか、あるいは結晶周辺の温度勾配の方が結晶
中心より低くなるように炉内温度を制御することがで
き、OSF分布を帯状逆M字型あるいはU字型にするこ
とができる。
記載のシリコン単結晶の製造方法で製造されたシリコン
単結晶をスライスして得られるシリコン単結晶ウエーハ
(請求項12)は、これを基板として、エピタキシャル
層を成長すれば、ゲッタリング能力に優れたエピタキシ
ャルウエーハを製造することができる。
発明はこれらに限定されるものではない。説明に先立ち
各用語につき予め解説しておく。1)FPD(Flow
Pattern Defect)とは、成長後のシリ
コン単結晶棒からウェーハを切り出し、表面の歪み層を
弗酸と硝酸の混合液でエッチングして取り除いた後、K
2 Cr2 O7 と弗酸と水の混合液で表面をエッチング
(Seccoエッチング)することによりピットおよび
さざ波模様が生じる。このさざ波模様をFPDと称し、
ウェーハ面内のFPD密度が高いほど酸化膜耐圧の不良
が増える(特開平4−192345号公報参照)。
it Defect)とは、FPDと同一のSecco
エッチングを施した時に、流れ模様(flow pat
tern)を伴うものをFPDと呼び、流れ模様を伴わ
ないものをSEPDと呼ぶ。この中で10μm以上の大
きいSEPD(LSEPD)は転位クラスターに起因す
ると考えられ、デバイスに転位クラスターが存在する場
合、この転位を通じて電流がリークし、P−Nジャンク
ションとしての機能を果たさなくなる。
ring Tomography Defect)と
は、成長後のシリコン単結晶棒からウエーハを切り出
し、表面の歪み層を弗酸と硝酸の混合液でエッチングし
て取り除いた後、ウエーハを劈開する。この劈開面より
赤外光を入射し、ウエーハ表面から出た光を検出するこ
とでウエーハ内に存在する欠陥による散乱光を検出する
ことができる。ここで観察される散乱体については学会
等ですでに報告があり、酸素析出物とみなされている
(Jpn.J.Appl.Phys. Vol.32,
P3679,1993参照)。また、最近の研究では、
八面体のボイド(穴)であるという結果も報告されてい
る。
nated Particle)とは、ウエーハの中心
部の酸化膜耐圧を劣化させる原因となる欠陥で、Sec
coエッチではFPDになる欠陥が、SC−1洗浄(N
H4 OH:H2 O2 :H2 O=1:1:10の混合液に
よる洗浄)では選択エッチング液として働き、COPに
なる。このピットの直径は1μm以下で光散乱法で調べ
る。
tion:格子間転位ループの略号)には、LSEP
D、LFPD等があり、転位ループ起因と考えられてい
る欠陥である。LSEPDは、上記したようにSEPD
の中でも10μm以上の大きいものをいう。また、LF
PDは、上記したFPDの中でも先端ピットの大きさが
10μm以上の大きいものをいい、こちらも転位ループ
起因と考えられている。
て、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明者ら
は、先に特願平9−199415号で提案したように、
CZ法によるシリコン単結晶成長に関し、V領域とI領
域の境界近辺について、詳細に調査したところ、この境
界近辺の極く狭い領域にFPD、LSTD、COPの数
が著しく少なく、L/Dも存在しないニュートラルな領
域があることを発見した。
ハ全面に広げることができれば、点欠陥を大幅に減らせ
ると発想し、成長(引上げ)速度と温度勾配の関係の中
で、結晶のウエーハ面内では、引上げ速度はほぼ一定で
あるから、面内の点欠陥の濃度分布を決定する主な因子
は温度勾配である。つまり、ウエーハ面内で、軸方向の
温度勾配に差があることが問題で、この差を減らすこと
が出来れば、ウエーハ面内の点欠陥の濃度差も減らせる
ことを見出し、結晶中心部の温度勾配Gcと結晶周辺部
分の温度勾配Geとの差を△G=(Ge−Gc)≦5℃
/cmとなるように炉内温度を制御して引上げ速度を調
節すれば、ウエーハ全面がN領域からなる欠陥のないウ
エーハが得られるようになった。
Gが小さいCZ法による結晶引上げ装置を使用し、炉内
構造を組み変えて△Gを変化させ、引上げ速度を変えて
結晶面内を調査した結果、新たに次のような知見を得
た。使用した装置の炉内構造は図4(a)に示したよう
に、湯面から環状固液界面断熱材の下端までの間隔を変
えて△Gを変化させ、単結晶定径部の平均引上げ速度を
例えば0.6〜0.3mm/minまで、10cm毎に
0.05mm/minづつ減速して変化させて、OSF
リングが結晶バルク中心で消滅し、L/D領域が形成さ
れる様子を調査した。
て示した。横軸は結晶直径方向、縦軸は成長速度であ
る。図1は、△Gが0または負、すなわち結晶周辺の温
度勾配Geと結晶中心の温度勾配Gcが等しいか、ある
いは結晶周辺の温度勾配Geの方が結晶中心の温度勾配
Gcより低い場合で、かつ成長速度が0.48〜0.4
5mm/minの範囲において、OSFが帯状で逆M字
型あるいはU字型に分布していることを表している。そ
してこの分布の内、成長速度が0.47〜0.45mm
/minの範囲を結晶面として見ると、図3(a)のよ
うに外周部(I−リッチ側のN−領域)を除いた90%
以上の面積がOSF領域で、OSFまたはその潜在核が
存在するウエーハとなっていることが判る。
て、OSF領域が帯状逆M字型またはU字型を形成する
時、OSF領域の内側ラインの最小値に対応する引上げ
速度と、OSF領域の外側ラインの最大値に対応する引
上げ速度の範囲内に引上げ速度を制御しながら結晶を引
上げようというもので、上記の例で具体的に言えば、成
長速度を0.47〜0.45mm/minの範囲内に設
定し、結晶定径部の成長長さ10cmごとに算出した目
標成長速度の平均値±0.01mm/min以内となる
ように高精度に制御して引上げる。こうして得られた単
結晶棒を縦割りにし、前記同様欠陥分布を調査した。そ
の結果を図2に示す。図2から明らかなように最適成長
速度を維持して引上げた部分はその全長に亙ってOSF
領域が円柱状に分布し、OSF領域以外の外周部がI−
リッチ側のN−領域であることが判る。
の外周のOSF未発生領域(N−領域)を研削して除去
し、スライスして得たウエーハを表しており、面内10
0%にOSFあるいはその潜在核が存在しているシリコ
ン単結晶ウエーハである。
わち結晶周辺の温度勾配Geの方が結晶中心の温度勾配
Gcより高い場合は、成長速度が約0.6〜0.4mm
/minの範囲において、図5に示したようにOSFは
帯状で三日月型に分布しており、図6の結晶面内分布で
見ても本発明品のように、全面或は外周部を除いた全面
がOSF領域で、ウエーハ全面の90%以上と言った広
い面積でOSFまたはその潜在核が存在し、外周部がI
−リッチ側のN−領域で形成されたウエーハが現れるこ
とはないことが判る。以上のことは従来の△Gがプラス
側に大きい結晶引上げ装置で実験した場合には発見され
ず、今回上記の△Gが0または負の結晶引上げ装置を使
用した結晶を調査した結果、発見したものである。
ついては、総合伝熱解析ソフトFEMAG(F.Dup
ret,P.Nicodeme,Y.Ryckman
s,P.Wouters,and M.J.Croch
et,Int.J.HeatMass Transfe
r,33,1849(1990))を使用して鋭意解析
を行った結果、判明したものである。
については、最近の研究からウエーハ全面内で低酸素濃
度とした場合には、OSFの核が存在しても熱酸化処理
によりOSFを発生することはなく、デバイスに影響を
与えないということが判ってきている。この酸素濃度の
限界値は、同一の結晶引上げ装置を使用して、数種類の
酸素濃度レベルの結晶を引上げた結果、ウエーハ全面内
の酸素濃度が24ppma(ASTM’79)未満であ
れば、ウエーハの熱酸化処理を行った時にOSF密度を
100個/cm2 以下に抑制できること、あるいは発生
しないことが確認された。
上げ中に徐々に酸素濃度を下げていった時に、結晶全長
にわたってOSFとなる核は存在するが、ウエーハの熱
酸化処理を行った時にOSFが観察されるのは24pp
maまでで、24ppma未満ではOSFの核は存在す
るが、熱酸化処理によるOSFは発生していないことが
判った。
pma未満にするには、従来から一般に用いられている
方法で行えばよく、例えば、ルツボの回転数あるいは融
液内温度分布等を調整して融液の対流を制御する等の手
段により簡単に行うことができる。
熱酸化処理をした際に発生するOSFの密度は、100
個/cm2 以下と極めて低欠陥で、この程度のOSF密
度ならば、エピタキシャルウエーハとした場合に、エピ
タキシャル層の結晶性に悪影響を及ぼすことはない。こ
の場合、OSF密度の測定は、シリコン単結晶ウエーハ
に、1200℃/100分の熱処理を施したのち、ライ
ト(Wright)液で選択エッチング処理して測定し
た。
晶引上げ装置の構成例を図4(a)により説明する。図
4(a)に示すように、この単結晶引上げ装置30は、
引上げ室31と、引上げ室31中に設けられたルツボ3
2と、ルツボ32の周囲に配置されたヒータ34と、ル
ツボ32を回転させるルツボ保持軸33及びその回転機
構(図示せず)と、シリコンの種結晶5を保持するシー
ドチャック6と、シードチャック6を引上げるワイヤ7
と、ワイヤ7を回転又は巻き取る巻取機構(図示せず)
を備えて構成されている。ルツボ32は、その内側のシ
リコン融液(湯)2を収容する側には石英ルツボが設け
られ、その外側には黒鉛ルツボが設けられている。ま
た、ヒータ34の外側周囲には断熱材35が配置されて
いる。
を設定するために、結晶の固液界面4の外周に環状の固
液界面断熱材8を設けている。この固液界面断熱材8
は、その下端とシリコン融液2の湯面3との間に5〜1
0cmの間隔10を設けて設置されている。図4(b)
に示したヒータを囲繞する断熱材35の上に設けられた
上部断熱材9は、炉内温度条件によって使用するもの
で、その場合は、間隔10を調節することになる。さら
に、冷却ガスを吹き付けたり、輻射熱を遮って単結晶を
冷却する筒状の冷却装置(不図示)を設けることもあ
る。別に、最近では引上げ室31の水平方向の外側に、
図示しない磁石を設置し、シリコン融液2に水平方向あ
るいは垂直方向等の磁場を印加することによって、融液
の対流を抑制し、単結晶の安定成長をはかる、いわゆる
MCZ法が用いられることも多い。
単結晶育成方法について説明する。まず、ルツボ32内
でシリコンの高純度多結晶原料を融点(約1420°
C)以上に加熱して融解する。次に、ワイヤ7を巻き出
すことにより融液2の表面略中心部に種結晶5の先端を
接触又は浸漬させる。その後、ルツボ保持軸33を適宜
の方向に回転させるとともに、ワイヤ7を回転させなが
ら巻き取り種結晶5を引上げることにより、単結晶育成
が開始される。以後、引上げ速度と温度を適切に調節す
ることにより略円柱形状の単結晶棒1を得ることができ
る。
成するために特に重要であるのは、図4(a)または図
4(b)に示したように、引上げ室31の湯面上の単結
晶棒1中の液状部分の外周空間において、湯面近傍の結
晶の融点から1400℃までの温度域が制御できるよう
に環状の固液界面断熱材8を設けたことと、断熱材35
の上に上部断熱材9を配置したことである。
に、図4(a)に示したように、引上げ室31内に環状
固液界面断熱材8を設け、この下端と融液表面との間隔
10を5〜10cmに設定すればよい。こうすれば、上
記結晶中心部分の温度勾配Gc[℃/cm]と結晶周辺
部分の温度勾配Ge[℃/cm]との差△G=(Ge−
Gc)が0または負、すなわち結晶周辺の温度勾配と結
晶中心の温度勾配が等しいか、あるいは結晶周辺の温度
勾配の方が結晶中心より低くなるように炉内温度を制御
することができる。別の方法としては、図4(b)に示
したように、上記間隔10を調節すると共に、上部断熱
体9を断熱材35の上に継ぎ足して上部空間からの放熱
を制御する方法もある。
については、結晶定径部の成長長さ10cmごとに算出
した引上げ速度の平均値±0.01[mm/min]以
内とすることが望ましく、引上げ速度の精度がこの範囲
にあれば、上記炉内温度(△G)と引上げ速度条件値と
の相乗効果により、結晶全長に亙り、かつ、面内90%
以上に円柱状のOSF領域またはその潜在核が存在する
シリコン単結晶を安定して製造することができる。
造されたシリコン単結晶をスライスして得られるシリコ
ン単結晶ウエーハは、ウエーハに熱酸化処理をした際
に、結晶全面あるいは外周部を除いた全面にOSFまた
はOSFの核が形成されることによりゲッタリング能力
が著しく向上し、かつFPD、COP及びL/Dがウエ
ーハ全面内に存在しないために酸化膜耐圧も良好な極低
欠陥品である。そして、低酸素化を併用すれば、熱酸化
処理をした際に発生するOSFの密度が100個/cm
2 以下の低密度となり、エピタキシャルウエーハの基板
として、エピタキシャル層に悪影響を与えることなく、
ゲッタリング能力を有するシリコン単結晶ウエーハを製
造することができる。
本発明はこれらに限定されるものではない。 (実施例1)図4(a)に示した引上げ装置30で、2
4インチ石英ルツボに原料多結晶シリコンを100Kg
チャージし、直径8インチ、方位<100>、直胴長さ
約1mのシリコン単結晶棒を引上げた。使用した炉内構
造(ホットゾーン:HZ)は、湯面3と環状固液界面断
熱材8の下端との間隔10を60mmに設定し、シリコ
ン融液2の湯温を約1420℃に保持した。そしてこの
場合、磁場として3000Gaussの横磁場を印加し
た。
0.3mm/minまで、10cm毎に0.05mm/
minづつ減速して変化させて、OSFが結晶バルク中
心で消滅し、L/D領域が形成される様子を調査した。
調査方法は、結晶を厚さ2mmに縦割りにし、表面の加
工歪みをエッチング除去して2枚の試料を作製した。1
枚は30分間セコ・エッチングを施した後、FPD、L
/Dを観察した。また、残りの1枚については、120
0℃/100分間の熱処理を施した後、ライト液で選択
エッチング処理してOSFの発生状況を確認した。その
結果をまとめて図1に欠陥分布図として示した。横軸は
結晶直径方向、縦軸は引上げ速度である。図からOSF
が帯状で逆M字型またはU字型に分布していることが判
る。これを見ると、この炉内構造では、本発明品を得る
ためには、成長速度を0.47〜0.45mm/min
に制御すれば良いことが判る。
内全面がOSF領域である本発明品を結晶軸方向に拡大
するために、最適成長速度(0.47〜0.45mm/
min)に設定し、結晶定径部の成長長さ10cmごと
に算出した目標成長速度の平均値±0.01以内となる
ように制御して引上げた。こうして得られた単結晶棒を
縦割りにし、前記同様欠分布を調査した。その結果を図
2に示す。図から明らかなように最適成長速度を維持し
て引上げた部分はその全長に亙ってOSF領域が円柱状
に分布し、OSF領域以外の外周がI−リッチ側のN−
領域であることが判る。
面研磨仕上げウエーハに加工し、FPD、L/D、OS
Fの評価を行った。その結果、図3(a)に示したよう
なOSFが95%の円形に分布し、OSF領域以外の外
周がI−リッチ側のN−領域であるウエーハであった。
そして、FPD、L/Dは観察されなかった。なお、こ
のウエーハの酸化膜耐圧特性は、C−モード良品率で1
00%となった。C−モード測定条件は、次の通りであ
る。 1)酸化膜厚:25nm、 2)測定電極:リンド
ープ・ポリシリコン、 3)電極面積:8mm2 、 4)判定電流:1mA
/cm2 、 5)判 定:絶縁破壊電界が8MV/cm以上のものを
良品と判定した。
たように、断熱材35の上に上部断熱材9を設置し、シ
リコン融液面3と環状固液界面断熱材8の下端との間隔
10を50mmとした以外は実施例1と同じ条件で引上
げた結果、実施例1とほぼ同じ品質の単結晶棒を得た。
ppma以下に抑えた以外は、実施例1と同条件で引上
げ、欠陥を評価したところ、OSF領域におけるOSF
の密度は、0〜10個/cm2 、平均約2個/cm2 で
あり、極めて低密度であり、殆ど観察されなかった。
ン基板を用い、エピタキシャル成長を行った。実施例1
で作製した基板上にエピタキシャル層を通常行われてい
る方法で成長させた。そして、エピタキシャル層の表面
をライト液による選択エッチング処理を施し、観察した
が、SF(積層欠陥、Stacking Fault)
等の結晶欠陥は全く観察されず、極めて良好なエピタキ
シャルウエーハであった。
るものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明
の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同
一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いか
なるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
インチのシリコン単結晶を育成する場合につき例を挙げ
て説明したが、本発明はこれには限定されず、直径10
〜16インチあるいはそれ以上のシリコン単結晶にも適
用できる。また、本発明は、シリコン融液に水平磁場、
縦磁場、カスプ磁場等を印加するいわゆるMCZ法にも
適用できることは言うまでもない。
熱酸化処理をした際に、結晶全面あるいは外周部を除い
た全面にOSFまたはOSFの核が形成されることによ
りゲッタリング能力が著しく向上し、かつFPD、CO
P及びL/Dがウエーハ全面内に存在しないウエーハを
容易に高歩留りで作製することができる。そして、低酸
素化を併用すればOSFも低密度となり、エピタキシャ
ルウエーハの基板としてゲッタリング能力を有するシリ
コン単結晶ウエーハを製造することができる。
の径方向位置を横軸とし、成長速度を縦軸とした場合の
諸欠陥分布図である。
布を表した縦断面説明図である。
諸欠陥分布を表した説明図である。(a)本発明の引上
げ条件で引上げた場合、(b):(a)の外周を研削除
去した場合。
置の概略説明図である。(a)特定の炉内構造とした
例、(b):(a)の炉内構造に上部断熱材を付加した
例。
における、結晶の径方向位置を横軸とし、成長速度を縦
軸とした場合の諸欠陥分布図である。
内欠陥分布との関係を表した説明図である。(A)高速
引上げの場合、(B)中速引上げの場合、(C)低速引
上げの場合。
液面(湯面)、4…固液界面、5…種結晶、6…シード
チャック、7…ワイヤ、8…環状固液界面断熱材、9…
上部断熱材、10…湯面と固液界面断熱材下端との間
隔、30…単結晶引上げ装置、31…引上げ室、32…
ルツボ、33…ルツボ保持軸、34…ヒータ、35…断
熱材。V…V−リッチ領域、N…N−領域、OR…OS
F領域、L/D…L/D領域(I−リッチ領域)。
Claims (12)
- 【請求項1】 チョクラルスキー法により育成されたシ
リコン単結晶ウエーハであって、熱酸化処理をした際に
結晶全面あるいは外周部を除いた全面にOSFまたはO
SFの核が存在することを特徴とするシリコン単結晶ウ
エーハ。 - 【請求項2】 チョクラルスキー法により育成されたシ
リコン単結晶ウエーハであって、熱酸化処理をした際に
ウエーハ全面の90%以上の面積にOSFまたはOSF
の核が存在することを特徴とするシリコン単結晶ウエー
ハ。 - 【請求項3】 前記請求項1または請求項2に記載した
シリコン単結晶ウエーハであって、FPD、COP及び
L/Dがウエーハ全面内に存在しないことを特徴とする
シリコン単結晶ウエーハ。 - 【請求項4】 前記ウエーハの酸素濃度が24ppma
未満であることを特徴とする請求項1ないし請求項3の
いずれか1項に記載したシリコン単結晶ウエーハ。 - 【請求項5】 前記熱酸化処理をした際に発生するOS
Fの密度が100個/cm2 以下であることを特徴とす
る請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載したシ
リコン単結晶ウエーハ。 - 【請求項6】 請求項1ないし請求項5に記載したシリ
コン単結晶ウエーハを基板とすることを特徴とするエピ
タキシャルウエーハ。 - 【請求項7】 チョクラルスキー法によってシリコン単
結晶を製造する場合において、育成されるシリコン単結
晶が結晶成長時に、結晶中の固液界面近傍の融点から1
400℃の間の温度勾配をG(温度変化量/結晶軸方向
長さ)[℃/cm]とし、結晶中心部分の温度勾配Gc
[℃/cm]と結晶周辺部分の温度勾配Ge[℃/c
m]との差を△G=(Ge−Gc)で表した時、△Gが
0または負となるように、用いる装置の炉内温度を制御
し、かつ結晶直径を横軸に、引上げ速度を縦軸として欠
陥分布を示した欠陥分布図において、OSF領域が帯状
逆M字型またはU字型を形成する時、OSF領域の内側
ラインの最小値に対応する引上げ速度と、OSF領域の
外側ラインの最大値に対応する引上げ速度の範囲内に制
御しながら結晶を引上げることを特徴とするシリコン単
結晶の製造方法。 - 【請求項8】 前記チョクラルスキー法によるシリコン
単結晶を製造する場合に、磁場を印加するMCZ法を用
いることを特徴とする請求項7に記載したシリコン単結
晶の製造方法。 - 【請求項9】 前記MCZ法によるシリコン単結晶を製
造する場合に、横磁場で2000Gauss以上の磁場
を印加することを特徴とする請求項8に記載したシリコ
ン単結晶の製造方法。 - 【請求項10】 前記結晶成長時の引上げ速度の精度
を、結晶定径部の成長長さ10cmごとに算出した引上
げ速度の平均値±0.01[mm/min]以内とする
ことを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれか1
項に記載したシリコン単結晶の製造方法。 - 【請求項11】 前記炉内温度を制御するために、引上
げ装置内に環状固液界面断熱材を設け、これと融液表面
との間隔を5〜10cmに設定することを特徴とする請
求項7ないし請求項10のいずれか1項に記載したシリ
コン単結晶の製造方法。 - 【請求項12】 請求項7ないし請求項11の方法で得
られたシリコン単結晶から得られるシリコン単結晶ウエ
ーハを基板として、エピタキシャル層を成長することを
特徴とするエピタキシャルウエーハの製造方法。
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