JP2000044206A - 酸化物粉末製造方法 - Google Patents

酸化物粉末製造方法

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JP2000044206A
JP2000044206A JP10206298A JP20629898A JP2000044206A JP 2000044206 A JP2000044206 A JP 2000044206A JP 10206298 A JP10206298 A JP 10206298A JP 20629898 A JP20629898 A JP 20629898A JP 2000044206 A JP2000044206 A JP 2000044206A
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oxide powder
lithium
oxide
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powder
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Itsuki Sasaki
厳 佐々木
Kazumasa Takatori
一雅 鷹取
Naoyoshi Watanabe
直義 渡辺
Tatsuo Noritake
達夫 則竹
Jun Sugiyama
純 杉山
Tatsuya Hatanaka
達也 畑中
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少ないプロセスによって、粒子表面にむらな
く均一に被膜が形成された酸化物粉末を製造する。 【解決手段】 合成される酸化物粉末の原料イオンを含
有する原料水溶液を可燃性液体中に乳濁させてエマルジ
ョンとなす工程と、エマルジョン10を液滴状に噴霧
し、該液滴中の可燃性液体を燃焼させて該酸化物粉末を
合成する工程とを含む酸化物粉末製造方法であって、合
成される前記可燃性液体中に、前記酸化物粉末の表面に
形成される被膜の原料を溶解もしくは懸濁させておくこ
とを特徴とする製造方法によって酸化物粉末を製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面が被膜された
酸化物粉末の製造方法に関するものであり、例えば、リ
チウム二次電池用正極活物質であるリチウムマンガン複
合酸化物粉末の粒子表面に、他の酸化物被膜を形成させ
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酸化物微粉末を利用した技術は、ファイ
ンセラミックスの分野をはじめとして広い分野に及んで
いる。例えば電池の分野においても、最近のパソコン、
携帯電話等のの小型化に伴い、充放電電圧が高くかつ充
放電容量も大きいという特徴からリチウム二次電池が注
目され、このリチウム二次電池の正極活物質材料として
リチウム複合酸化物の粉末が使用されるに至っている。
【0003】現在においては、このリチウム二次電池の
正極活物質材料として、規則配列層状岩塩構造のLiC
oO2の粉末を用いるのが主流となっている。これは、
LiCoO2が合成が容易でありかつ取り扱いも比較的
容易であることに加え、LiCoO2を正極活物質とし
た二次電池が、充放電サイクル特性において優れている
等の理由からである。ところが含有元素であるコバルト
は資源量として少なくまた高価格であるため、電池自体
の価格を押し上げる要因ともなっていることから、リチ
ウム二次電池の正極活物質としての地位が、リチウムマ
ンガン複合酸化物粉末に置き換えられつつある。
【0004】しかし、例えばスピネル構造のLiMn2
4を正極活物質としたリチウム二次電池を構成した場
合、LiCoO2を正極活物質とした場合に比べ以下の
欠点がある。 (1)LiMn24粉末の粒子表面において電解液との
反応性が高く、Mnイオンが電解液中に溶出しやすく、
電池の実使用温度の上限である60℃程度の温度の下
で、サイクル特性、保存特性が極端に悪くなる。 (2)LiMn24の導電率は10-5S/cm程度であ
り、LiCoO2に比べ3桁小さいため、高電流密度で
急速充放電を行った場合、大きな放電容量を得にくくま
た容量劣化の大きいものとなる。 という欠点である。
【0005】この欠点をカバーするためには、リチウム
マンガン複合酸化物の粉末の粒子表面を、別の酸化物で
被膜する表面改質が有効である。例えば、LiMn24
粉末の粒子表面を、LiCoO2等のリチウム遷移金属
酸化物で被膜するようなものである。この表面改質は、
上記(1)に対して確実に効果があり、改質した表面で
のリチウム拡散速度や導電率が、母体であるLiMn2
4より優れている場合にあっては、上記(2)に対し
ても効果がある。
【0006】一方、酸化物粉末の粒子表面に別の酸化物
被膜を形成させる方法としては、従来より、以下の方法
があった。例えば、母体となる酸化物粉末の粒子を製造
した後に、この粒子を表面被膜の原料となる1種または
2種以上の金属塩を溶解もしくは懸濁させた溶液と混合
し、乾燥、焼成するといった方法や、メカノケミカル処
理、衝撃法等の物理的手法によって表面被膜となる添加
粒子を母体である酸化物粉末の粒子表面に付着させる方
法などである。
【0007】しかし、従来の技術を用いた方法では、ど
の方法を採用しても、母体となる酸化物粒子の製造工程
と表面被膜の形成工程とが別工程とならざるを得ず、煩
雑であり、酸化物粉末の製造コストも高くなってしま
う。また、従来の方法では、母体となる酸化物粒子の表
面全体に効率よく均一な表面皮膜を形成することは困難
であり、表面を充分に覆うためには、被膜する物質の割
合を多くしなければならなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、粒子表面に
別の酸化物皮膜が形成されている酸化物粉末を製造する
従来の技術が抱える以下の問題、 (1)製造プロセスが多段階となる。 (2)均一な表面被膜の形成が困難である。 を解決すべく、きわめて簡便な方法によって、均一な表
面被膜の形成された酸化物粉末を製造することを目的と
している。
【0009】そして、この新たなる酸化物粉末製造方法
によって製造されたリチウムマンガン複合酸化物の粉末
を正極活物質に用いることによって、高電流密度での充
放電であっても充放電容量が大きく、実使用温度域の高
温側においてサイクル特性が良好であって、かつ、製造
コストの面でも安価なリチウム二次電池を得ようとする
ものである。
【0010】本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意
研究を行い、所定の金属イオンを含む水溶液を出発原料
とし、その溶液が可燃性液体中に球状に分散し乳濁して
いる油中水滴(W/O)型エマルジョンを液滴状に噴霧
し、次いで液滴中の可燃性液体を燃焼させて酸化物粉末
を合成させる方法(以下、単に「噴霧燃焼法」という)
において、上記可燃性液体中に、すなわち原料水溶液を
覆う可燃性液体中に予め表面被膜の原料となる金属塩を
溶解もしくは懸濁させておくことにより、極めて簡単か
つ少ないプロセスで、均一な表面被膜の形成された酸化
物粉末が製造可能であることに想到するに至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の酸化物粉末製造
方法は、合成しようとする酸化物粉末の原料イオンを含
有する原料水溶液を可燃性液体中に乳濁させてエマルジ
ョンとなす工程と、該エマルジョンを液滴状に噴霧し、
該液滴中の可燃性液体を燃焼させて該酸化物粉末を合成
する工程とを含む酸化物粉末製造方法であって、前記可
燃性液体中に、合成される前記酸化物粉末の表面に形成
される被膜の原料を溶解もしくは懸濁させておくことを
特徴とする。
【0012】本発明の酸化物粉末製造方法は、上述した
ように噴霧燃焼法を利用するものであり、原料水溶液を
可燃性液体中に乳濁させたエマルジョンを液滴状に噴霧
し、これを燃焼させることにより酸化物を合成するもの
である。噴霧された液滴中には、一定の大きさの原料水
溶液が可燃性液体に包まれた状態で含有されている。そ
して、可燃性液体の燃焼熱によって、各液滴中の個々の
原料水溶液ごとに、脱溶媒、熱分解、結晶成長のプロセ
スが進行するものである。したがって本製造方法を用い
て製造された酸化物粉末は、粒子の凝集体が少なく、ま
た球形かつ均一な径を持つ粒子からなる粉末となる。
【0013】さらに本発明の酸化物粉末製造方法では、
この可燃性液体中に被膜を形成させるための金属塩等の
原料を含有させることを特徴としている。したがって可
燃性液体の燃焼熱は、原料水溶液に含まれる母体酸化物
の原料となる金属元素を酸化させるだけでなく、可燃性
液体自身に含まれる被膜の原料となる金属元素をも酸化
させる。このことにより、母体となる酸化物と表面を被
膜する酸化物とが同時に合成される。また、可燃性液体
は原料水溶液を包むように存在することから、酸化物被
膜は、母体酸化物の表面全体にむらなく均一に形成され
ることになる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の酸化物粉末製造
方法の実施形態として、リチウム二次電池の正極活物質
として使用できる、粒子表面をリチウムコバルト複合酸
化物等で被膜したリチウムマンガン複合酸化物粉末の製
造方法を中心にして説明する。そしてその後に本発明の
製造方法によって製造された酸化物粉末を、正極活物質
として使用したリチウム二次電池の構成について説明す
る。
【0015】〈酸化物粉末製造方法の実施形態〉本発明
の酸化物粉末製造方法の実施形態では、所定の金属イオ
ンを含む水溶液を出発原料とする。この原料水溶液は、
酸化物粉末の原料イオン、即ち、得ようとする酸化物粉
末の粒子母体となる酸化物の原料元素を、イオン状態で
含むものである。例えばリチウムマンガン複合酸化物を
母体とする粉末を製造する場合にあっては、この原料水
溶液は、リチウムイオンおよびマンガンイオンを含有さ
せたものとなる。そしてリチウムイオン源となる物質と
しては硝酸リチウム(LiNO3)等を、またマンガン
イオン源としては硝酸マンガン6水和物(Mn(N
32・6H2O)等を用いることができる。
【0016】なお、リチウムマンガン複合酸化物には、
スピネル構造のLiMn24の他にジグザグ層状構造の
LiMnO2、層状岩塩構造のLiMnO2等があり、い
ずれもリチウム二次電池の正極活物質となりうるため、
目的とする母体酸化物を得るためには、リチウムイオン
およびマンガンイオンの含有比率を、目的とする母体酸
化物に応じて調整する必要がある。
【0017】上記原料水溶液は、可燃性液体に乳濁させ
てエマルジョンとなす。本実施形態において用いること
のできる可燃性液体としては、ケロシン、軽油、重油、
ガソリン等がある。またエマルジョン形成用の乳化剤と
しては、金属イオンを含まないもの、特にノニオン系界
面活性剤が望ましく、グリセリン脂肪酸エステル等を用
いることができる。
【0018】上記可燃性液体中に含有させる母体酸化物
の表面に形成される被膜の原料は、この被膜を構成する
元素を含む金属塩のようなものであり、この可燃性液体
中に溶解もしくは懸濁の形態でとどまるものであれば特
に制限はない。また、2種以上の金属元素からなる複合
酸化物被膜を形成させたい場合は、可燃性液体中に2種
以上の金属塩等を含有させることもできる。
【0019】したがって、上記リチウムマンガン複合酸
化物を母体としてその粒子表面にリチウムコバルト複合
酸化物の被膜を形成させる場合は、エタノールに溶解さ
せた形態の硝酸コバルト6水和物(Co(NO32・6
2O)等のコバルト化合物と、水酸化リチウム(Li
OH)等のリチウム化合物とを含む可燃性液体とするこ
とによってそれが可能となる。なお、リチウム二次電池
の正極活物質としての態様の場合、形成させる被膜酸化
物は、上記リチウムコバルト複合酸化物に代えて、リチ
ウムニッケル複合酸化物等とすることもできる。この場
合には、可燃性液体にはニッケル化合物、リチウム化合
物等を含有させる必要がある。
【0020】エマルジョンを作製工程終了後に、このエ
マルジョンを噴霧し燃焼させる工程に移る。この工程は
噴霧燃焼装置によって行う。図1に噴霧燃焼装置の概要
について示す。この装置はおおまかには、エマルジョン
10を攪拌混合しつつ貯溜させる混合タンク1と、混合
タンク1からエマルジョン10を供給する定量ポンプ2
と、エマルジョン10を液滴状にして噴霧させるアトマ
イザ3と、液滴中の可燃性液体に着火させるためのパイ
ロットバーナー4と、反応を進行させるための燃焼反応
塔5と、作製された酸化物粉末を回収するための捕集器
6とから構成されている。
【0021】アトマイザ3に供給されたエマルジョン1
0は、酸素ガス20を周りから吹き付けることによっ
て、上部から燃焼反応塔5内に液滴状に噴霧される。そ
してパイロットバーナー4には水素と酸素との混合ガス
30が供給されており、この混合ガス30を燃焼させる
ことによりエマルジョン10の可燃性液体に着火させ、
燃焼反応塔5内で酸化物の合成が行われる。そして、燃
焼合成された酸化物粉末は、補集器6によって回収され
る。
【0022】噴霧燃焼合成時における燃焼反応塔内のエ
マルジョンの燃焼火炎温度は、合成する酸化物の種類に
応じて設定する。例えばLiMn24を母体酸化物と
し、表面にLiCoO2の被膜を形成させた粉末を製造
する場合には、600〜900℃とすることが望まし
い。これは、600℃未満では燃焼の安定性に問題があ
る一方、950℃を超えるとLiMn24が分解してし
まうという問題があるからである。製造する酸化物粒子
の大きさは、アトマイザを調整し、噴霧される液滴の大
きさを変えることにより、所望のものとすることができ
る。
【0023】以上のように、本実施形態では原料水溶液
に含まれる原料イオンにより母体となる酸化物が合成さ
れ、可燃性液体中に含有させた金属塩等の被膜原料によ
って他の酸化物の被膜が形成されるものであるが、原料
水溶液中に含有させた原料イオンと可燃性液体中に存在
する金属塩等との反応により複合酸化物皮膜を形成させ
る態様とすることも可能であり、また燃焼条件の変更、
燃焼合成後のさらなる熱処理等の手法を用いることによ
って、表面のみ元素置換された酸化物粉末の製造も可能
となる。
【0024】〈本製造方法によって製造された酸化物を
使用したリチウム二次電池〉上述したように、本製造方
法によって、粒子表面をリチウムコバルト複合酸化物等
で被膜したリチウムマンガン複合酸化物粉末を製造する
ことができる。以下に、このリチウムマンガン複合酸化
物を正極活物質とするリチウム二次電池の実施形態につ
いて説明する。なお一般にリチウム二次電池は、正極お
よび負極と、セパレータと、非水電解液とから構成され
ることから、説明についてはこれにしたがって行う。
【0025】リチウム電池に用いる正極は、リチウムイ
オンを吸蔵・放出できる正極活物質に導電材および結着
剤を混合し、適当な溶媒を加えてペースト状としたもの
を、金属箔製の集電体表面に塗布乾燥して形成する。正
極活物質にはLiCoO2等のリチウム複合酸化物粉末
を用いることができるが、含有元素であるコバルト等が
希少元素であり高価なため、本実施形態では、粒子母体
として、リチウムマンガン複合粉末を用いている。
【0026】ところが冒頭で述べたように、例えばスピ
ネル構造のLiMn24は、電解液との反応性が高い、
伝導率が小さいという欠点を抱えている。そこで本実施
形態では、この欠点をカバーすべく、上記製造方法で製
造された粒子表面に、LiCoO2の被膜を形成させ表
面改質を施したLiMn24粉末を正極活物質として用
いた。
【0027】正極に用いる導電材は、正極活物質層の電
気伝導性を確保するためのものであり、カーボンブラッ
ク、アセチレンブラック、黒鉛等の炭素物質粉状体の1
種又は2種以上を混合したものを用いることができる。
結着剤は、活物質粒子を繋ぎ止める役割を果たすもの
で、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデ
ン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポ
リエチレン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。こ
れら活物質、導電材、結着剤を分散させる溶媒として
は、N−メチルピロリドン等の有機溶媒を用いることが
できる。そして正極集電体には、アルミニウム箔等を用
いることができる。
【0028】負極は、金属リチウム、リチウム合金等を
用いることができる。またこれらに代え、正極同様に、
リチウムイオンを吸蔵・放出できる負極活物質に結着剤
を混合し、適当な溶媒を加えてペースト状にしたもの
を、金属箔集電体の表面に塗布乾燥して形成する。この
場合の負極活物質としては、黒鉛、フェノール樹脂等の
有機化合物焼成体、コークス等の炭素物質の粉状体を用
いることができる。
【0029】炭素物質を負極活物質とした場合の負極結
着剤にはポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂等を、
溶媒としてはN−メチルピロリドン等の有機溶媒を用い
ることができるが、これらの材料に代えて、結着剤とし
てメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の
グループから選ばれる1種又は2種以上のセルロースエ
ーテル系物質とスチレンブタジエンゴムラテックス、カ
ルボキシ変性スチレンブタジエンゴムラテックス等の合
成ゴム系ラテックス型接着剤との複合バインダを用い、
溶媒として水を用いることもできる。そして負極集電体
としては、銅箔等を用いることができる。
【0030】正極と負極の間に挟装されるセパレータ
は、正極と負極とを分離し電解液を保持するものであ
り、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い微多孔膜を
用いることができる。非水電解液は、有機溶媒に電解質
を溶解させたもので、有機溶媒としては、非プロトン性
有機溶媒、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカ
ーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネ
ート、γブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシ
エタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチ
レン等の1種またはこれらの2種以上の混合液を用いる
ことができる。また、溶解させる電解質としては、Li
I、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiPF6
等を用いることができる。なお、非水電解液に代えて固
体電解質を用いることも可能である。
【0031】以上のもので構成される本実施形態のリチ
ウム二次電池であるが、その形状は円筒型、積層型、コ
イン型等、種々のものとすることができる。いずれの形
状を採る場合であっても、正極および負極にセパレータ
を挟装させ電極体とし、正極集電体および負極集電体か
ら外部に通ずる正極端子および負極端子までの間を集電
用リード等を用いて接続し、この電極体を非水電解液と
ともに電池ケースに密閉して形成する。
【0032】本実施形態のリチウム二次電池は、上記態
様のものとなっているが、、特徴とする部分は、上記実
施形態の製造方法に基づいて製造された、表面を均一な
リチウムコバルト複合酸化物で被膜したリチウムマンガ
ン複合酸化物粉末を正極活物質として用いていることに
ある。このことから、本実施形態の二次電池は、正極活
物質の粒子母体と電解液との反応が抑制され、Mnイオ
ンの電解液への溶出が減少し、特に高温環境下でのサイ
クル特性、保存特性が改善されることになる。また、本
実施形態の二次電池は、活物質表面においてリチウムの
拡散速度が大きくかつ電導率もよいため、高電流密度で
の充放電を行った場合でも大きな放電容量が得られ、し
かも容量劣化の小さいものとなる。
【0033】
【実施例】以下に、上記本発明の実施形態に基づく酸化
物粉末製造方法の実施例として、リチウム二次電池の正
極活物質として使用される、粉末粒子表面にLiCoO
2の被膜を形成させたLiMn24粉末の製造方法につ
いて、より具体的に説明する。さらに、粉末粒子表面に
LiCoO2の被膜を形成させたLiMn24粉末の固
相反応法による製造方法、および表面に被膜が形成され
ていないLiMn24粉末の噴霧燃焼法による製造方法
を、比較例として説明する。そして、それぞれの方法に
よって製造された酸化物粉末を正極活物質として用い、
実際にリチウム二次電池を構成させ、それぞれの電池の
性能比較を行った結果を合わせて記述する。
【0034】〈実施例〉リチウムイオン源としての硝酸
リチウム(LiNO3)30.3gと、マンガンイオン
源としての硝酸マンガン6水和物(Mn(NO32・6
2O)254.3gとを溶解させた水溶液を、マンガ
ンイオン濃度で2.7Mとなるように調整し、合計で3
28ccの原料水溶液とした。
【0035】次いで、乳化剤としてグリセリン脂肪酸エ
ステルを溶かした可燃性液体としてのケロシン192c
cの中に、エタノールに溶解させた形態で、硝酸コバル
ト6水和物(Co(NO32・6H2O)12.9g
と、18wt%水酸化リチウム水溶液20.6gとを加
え、これをよく攪拌して、コバルトとリチウムの化合物
を含む可燃性液体を作製した。
【0036】上記原料水溶液を上記可燃性液体中に乳濁
させ、上記実施形態においてで説明した噴霧燃焼装置の
混合タンク内に攪拌しつつ貯溜させ、エマルジョンを作
製させた。そして、このエマルジョンを定量ポンプでア
トマイザに供給し、アトマイザによって燃焼反応塔内に
液滴状に噴霧させ、パイロットバーナーにてエマルジョ
ンの可燃性液体に着火させ、噴霧燃焼合成を行った。噴
霧燃焼合成が行われているエマルジョンの火炎温度は、
約880℃であった。
【0037】燃焼合成された粉末は、スピネル構造のL
1.06Mn1.944を粒子母体として、その表面にLi
CoO2が被膜された形態の酸化物粉末となった。ま
た、Li1.06Mn1.944とLiCoO2との重量比は、
1:0.054であり、全体としての金属元素の元素比
は、Li:Mn:Co=1.09:1.82:0.09
となった。
【0038】〈比較例1〉本比較例は、粒子表面にLi
CoO2の被膜を形成させたLiMn24粉末の固相反
応法による製造方法である。母体となる酸化物の原料と
して、炭酸リチウム(Li2CO3)、二酸化マンガン
(MnO2)の粒子を用い、これらをモル比でLi:M
n=1.06:1.94となるように混合した。混合
は、エタノールを溶媒ととして、遊星ボールミルにて行
った。この混合粒子を乾燥後、ペレット上にプレス成形
し、800℃の酸素雰囲気炉内で、8時間熱処理を行っ
た。このペレットを充分粉砕し、母体となるLi1.06
1.944粒子を作製した。
【0039】次いで、硝酸リチウム(LiNO3)1
0.57gと硝酸コバルト6水和物(Co(NO32
6H2O)44.61gとをイオン交換水307ccに
溶かし、上記の固相反応法で作製した酸化物粉末27
2.34gを分散させ、充分攪拌した後、水分を蒸発さ
せた。そしてこの粉末を、500℃の酸素雰囲気炉内で
8時間熱処理を行って、表面にLiCoO2が被膜され
た形態のLi1.06Mn1.944粉末を得た。全体として
の金属元素の元素比は、実施例によるものと同様、L
i:Mn:Co=1.09:1.82:0.09であっ
た。
【0040】〈比較例2〉本比較例は、粉末粒子表面に
被膜が形成されていないLiMn24粉末の噴霧燃焼法
による製造方法である。硝酸リチウム(LiNO3)と
硝酸マンガン6水和物(Mn(NO32・6H2O)と
をモル比でLi:Mn=1.06:1.94となるよう
な割合で溶解させた水溶液を、マンガンイオン濃度で
2.7Mとなるように調整し、原料水溶液とした。この
原料水溶液を、予め乳化剤としてグリセリン脂肪酸エス
テルを溶かした可燃性液体であるケロシン中に乳濁させ
て、エマルジョンを作製した。このエマルジョンを、上
記実施例の場合と同様に、噴霧燃焼装置で燃焼合成さ
せ、Li 1.06Mn1.944の粉末を得た。
【0041】〈リチウム二次電池の作製と電池特性の比
較〉上記実施例および比較例の方法によって得られた酸
化物粉末を正極活物質に用いてリチウム二次電池を作製
した。二次電池の正極として、上記それぞれの粉末70
重量部に対して導電材25重量部、結着剤5重量部を混
合させたたものをアルミニウム箔製の集電体表面に塗布
し、乾燥、プレスを行って、厚さ100μmとしたもの
用い、負極として、厚さ0.4mmの金属リチウム箔を
用いた。そして正極と負極との間に挟装させるセパレー
タとしてポリプロピレン不織布を用い、電解液として、
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積
比1:1に混合した溶媒に電解質としてLiPF6を溶解
させ1Nとしたものを用いた。
【0042】上記のように構成したそれぞれのリチウム
二次電池に対して、サイクル充放電試験を行い、初期放
電容量および100サイクル後の放電容量を測定し、さ
らに残存容量率(100サイクル後の放電容量/初期放
電容量)を求めた。この試験の充放電条件を以下に説明
する。まず4.2Vまで1mA/cm2の定電流で、電
圧が4.2Vに到達後はこの電圧の下定電圧で、合計2
時間の充電を行う。次いで充電完了後、10分間放置
し、放電電流密度1mA/cm2の定電流で3.5Vま
で放電を行う。放電終了後、10分間放置した後に、再
度充電を開始し、以上を1サイクルとするものである。
なお、電池の実使用温度範囲の高温域におけるサイクル
耐久性を評価するため、充放電試験は、60℃の温度の
下で行った。
【0043】上記充放電試験の結果を表1に示す。
【0044】
【表1】 以下に、この結果に基づいて、正極活物質となる酸化物
粉末の製造方法の違いが、リチウム二次電池の電池性能
にどう影響するかについて検討する。
【0045】実施例および比較例1の方法によって製造
された、表面にLiCoO2被膜が形成されているLi
Mn24粉末を正極活物質に用いたリチウム二次電池
は、表面に被膜が形成されていない比較例2の製造方法
によるものと比べて、電池の実使用温度範囲の比較的高
温下でのサイクル耐久性において、優れた二次電池であ
ることが実証された。これは表面被膜が存在するため、
母体酸化物に含まれるマンガンがイオンとなって電解液
中に溶出するのが抑制されるためであると考えられる。
このことは、現状の主流であるリチウムコバルト複合酸
化物に代え、比較的安価なリチウムマンガン複合酸化物
を正極活物質とすることの可能性を拓き、リチウム二次
電池の低コスト化を促進させることにも繋がっている。
【0046】また、実施例の方法によって製造された酸
化物粉末を使用した電池は、固相反応法である比較例1
の方法によるものと比べ、初期放電容量およびサイクル
耐久性の両者において良好であることが実証された。こ
れは、本発明の酸化物粉末製造方法によれば、粉末粒子
表面にむらのない均一な被膜を形成できることを示して
いる。
【0047】
【発明の効果】本発明は、原料水溶液を可燃性液体中に
乳濁させたエマルジョンを液滴状に噴霧して行う噴霧燃
焼法において、予め可燃性液体中に合成される酸化物粉
末の表面に形成される被膜の原料を溶解もしくは懸濁さ
せておくことにより、粒子表面に別の酸化物被膜が形成
されている酸化物粉末を製造するものである。本製造方
法は、従来多段階のプロセスによって行われていた表面
被膜を形成した酸化物粉末の製造を、少ないプロセスに
よって行うことを可能にしている。そしてまた、本製造
方法によって形成された表面被膜は、従来方法によるも
のに比較して、むらがなく均一であるという効果をも有
する。このことは、ファインセラミックスの分野をはじ
めとする種々の分野の粉体技術の進歩に、大きく貢献す
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態において使用する噴霧燃焼
装置の概念を示す図
【符号の説明】
1 混合タンク 2 定量ポンプ 3 アトマイザ 4 パイロットバーナー 5 燃焼反応塔 6 捕集器 10 エマルジョン 20 酸素ガス 30 水素酸素混合ガス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 直義 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 則竹 達夫 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 杉山 純 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 畑中 達也 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 4G042 DA01 DB09 DB27 DE15 5H003 AA08 BA00 BA01 BA03 BB05 BC01 BC05 5H014 AA02 BB00 BB01 BB06 CC01 EE10 5H029 AJ14 AK03 AL13 AM03 AM07 CJ00 CJ02 CJ08 CJ28 DJ16

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成しようとする酸化物粉末の原料イオ
    ンを含有する原料水溶液を可燃性液体中に乳濁させてエ
    マルジョンとなす工程と、該エマルジョンを液滴状に噴
    霧し、該液滴中の可燃性液体を燃焼させて該酸化物粉末
    を合成する工程とを含む酸化物粉末製造方法であって、 前記可燃性液体中に、合成される前記酸化物粉末の表面
    に形成される被膜の原料を溶解もしくは懸濁させておく
    ことを特徴とする酸化物粉末製造方法。
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