JP4400190B2 - 負極活物質の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電解液として水溶液電解液を有する水系リチウム二次電池用の負極活物質の製造方法に関する。
非水系電解液を用いた非水系のリチウム二次電池は、高電圧でエネルギー密度が高く、また小型・軽量化が図れることから、パソコンや携帯電話等の携帯情報端末等を中心に情報機器及び通信機器の分野で実用が進み、広く一般に普及するに至っている。また他の分野では、環境問題や資源問題から電気自動車の開発が急がれる中、非水系のリチウム二次電池を電気自動車用電源として用いることが検討されている。
しかし、上記非水系のリチウム二次電池は、電解液として有機溶媒等の非水系電解液を含有しており、過充電や短絡等により引火や爆発の危険性を有している。そのため、高温度条件下での使用を余儀なくされる上記電気自動車の電源等として用いることについては、懸念がある。
また、上記非水系のリチウム二次電池は、その製造工程において徹底したドライ環境を維持する必要があるため、製造コストが高くなってしまうおそれがある。そのため、特に電気自動車用の二次電池をにらんだ将来の量産化に対応しにくく、価格的にもきわめて高価になってしまうという問題があった。
一方、電解液として水溶液電解液を用いた水系リチウム二次電池がある。この水系リチウム二次電池は、非水系のリチウム二次電池が有する上記のような問題に対して非常に有利である。即ち、水系リチウム二次電池は、有機溶媒を含有していないため、非常に燃え難い。また、その製造時にドライ環境を必要としないため、製造コストを低くすることができる。さらに、一般的に水溶系電解液は、非水系電解液に比べて導電性が高いため、水系リチウム二次電池は、非水系のリチウム二次電池に比べて内部抵抗が低くなるという利点がある。
しかし、水系リチウム二次電池は、水の電気分解反応が起こらない電位範囲で充放電をさせる必要があることから、非水系のリチウム二次電池と比較して大きな放電容量を確保することが難しいという欠点を抱えている。
したがって、水系リチウム二次電池においては、水溶液中で安定で、かつ水の電気分解により酸素や水素を発生しない電位範囲において、可逆的に大量のリチウムを吸蔵及び脱離できる活物質、つまり可逆容量の大きい活物質を用いることが望まれている。
具体的には、正極活物質としては、pH7の水溶液中で3.85Vまでにより多くのLiが引き抜ける材料が、負極活物質としては、pH14の水溶液中で2.21Vまでにより多くのLiが挿入できる材料が望まれている。なぜならば、水系リチウム二次電池の水溶液電解液としては、活物質である酸化物は酸性の水溶液中での安定性に乏しいため、中性又はアルカリ性のものが用いられ、pHが7の水溶液電解液を用いた場合の理論上の酸素発生電位がそれぞれ2.62V及び3.85Vであり、pHが14の水溶液電解液を用いた場合の理論上の水素発生電位及び酸素発生電位がそれぞれ2.21V、3.44Vであるからである。実際には、ガス発生過電圧が存在するため、正極活物質としては3.85Vより大きな電位、負極活物質としては2.21よりも小さな電位のものでも使用可能であるが、自己放電や高温での使用を考えると、できるだけこの範囲内の電位に抑えることが好ましいと考えられている。
また、水系リチウム二次電池は非水系のリチウム二次電池に比べて電位幅が少ないため、少しでもエネルギー密度を高くするため、活物質としては平坦な電位曲線をもつものが望まれている。
これまでに、水系リチウム二次電池としては、Li−Mn酸化物、Li−Ni酸化物、Li−Co酸化物等を正極活物質として含有し、Li−Mn酸化物、VO2、LiV38等を負極活物質として含有するものが提案されている(特許文献1〜3参照)。
しかしながら、このような従来の水系リチウム二次電池の活物質は、電位の平坦性、放電容量、及び水溶液電解中での安定性が未だ不十分であった。そのため、このような活物質を利用した水系リチウム二次電池は、放電容量が小さく、充放電を繰り返し行うことにより容量劣化が起こりやすいという問題があった。また、電位曲線の平坦性が乏しく、エネルギー密度が小さいという問題があった。それ故、現状の水系リチウム二次電池は、アイデア段階を抜けておらず、従来の非水系リチウム二次電池等に取って代わるほどの実用性を備えるには至っていない。
特開2003−17057号公報 特表平9−508490号公報 特開2000−77073号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、高いエネルギー密度を発揮でき、可逆的に大きな放電容量を取り出すことができる負極活物質の製造方法を提供しようとするものである。
第1の参考発明は、電解液として水溶液電解液を含有する水系リチウム二次電池用の負極活物質であって、
上記負極活物質は、平均粒径が5μm以下の微粒子よりなる、スピネル構造のLiV24を含有することを特徴とする負極活物質にある。
上記第1の参考発明において、上記負極活物質は、平均粒径が5μm以下の微粒子よりなる、スピネル構造のLiV24を含有している。このような上記負極活物質は、電位曲線の平坦性に優れるため、高いエネルギー密度を発揮することができる。また可逆的に高い放電容量を示すことができる。そのため、上記負極活物質は、水系リチウム二次電池に好適なものとなる。
上記負極活物質が上記のごとく可逆的に高い容量を発揮できるメカニズムついては明確にはわかっていないが、上記負極活物質が5μm以下という小さな微粒子により構成されているため、活物質の拡散経路を短縮できるからと推察される。また、上記負極活物質の比表面積が大きくなり、負極活物質の表面を活性の高い状態に維持できるからと推察される。
このように、上記第1の参考発明によれば高いエネルギー密度を発揮でき、可逆的に大きな放電容量を取り出すことができる負極活物質を提供することができる。
本発明は、電解液として水溶液電解液を含有する水系リチウム二次電池に用いる負極活物質を製造する方法であって、
焼成後にLiV24となるような化学量論比にて原料粉末を混合し、原料混合物を作製する混合工程と、
上記原料混合物を温度700℃以下で焼成する焼成工程とを有し、
上記焼成工程は、上記原料混合物を焼成して3価のバナジウム化合物を作製する第一焼成工程と、酸素分圧が1.0×10 -3 atm以下の酸素含有ガス中で上記バナジウム化合物を焼成してLiV 2 4 を生成する第二焼成工程とを有することを特徴とする負極活物質の製造方法にある(請求項2)。
本発明においては、焼成後にLiV24となるような化学量論比にて原料粉末を混合し、原料混合物を作製し(混合工程)、該原料混合物を700℃以下にて焼成している(焼成工程)。
このように700℃以下という低温にて焼成を行うことにより、上記焼成工程におけるLiV24の粒成長を抑制することができる。その結果、LiV24よりなる上記負極活物質の微粒子を、平均粒径が5μm以下という非常に小さなものにすることができる。そして、このようにして得られる上記負極活物質は、電位曲線の平坦性に優れ、高いエネルギー密度を発揮できると共に、可逆的に高い充放電容量を発揮できるものとなる。即ち、水系リチウム二次電池の負極活物質として好適なものとなる。
第2の参考発明は、正極活物質を含有する正極と、負極活物質を含有する負極と、電解液としての水溶液電解液とを有する水系リチウム二次電池において、
上記負極活物質として、上記第1の発明の負極活物質を用いていることを特徴とする水系リチウムイオン二次電池にある。
上記第2の参考発明の水系リチウム二次電池は、上記第1の参考発明の負極活物質を用いている。そのため、上記水系リチウム二次電池は、上記第1の参考発明の負極活物質の優れた特性を生かして、高いエネルギー密度を発揮でき、可逆的に高い放電容量を示すことができるものとなる。
上記第1の参考発明において、上記負極活物質は、平均粒径が5μm以下の微粒子よりなる。上記微粒子の粒径が5μmを越える場合には、上記負極活物質における可逆的に取り出すことのできる放電容量が小さくなるおそれがある。上記微粒子の平均粒径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置等を用いて測定し、算出することができる。
また、上記負極活物質は、主成分としてスピネル構造のLiV24を含有してなるが、このLiV24以外にも、例えばLi3VO4、V23、LiVO2等の副成分を含有していてもよい。この場合には、上記負極活物質中の上記副成分の含有量は20重量%以下にすること好ましい。副成分の含有量が20重量%を越える場合には、上記負極活物質の放電容量が低下するおそれがある。より好ましくは、上記副成分の含有量は10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下がよく、最も好ましくは0重量%、即ち上記負極活物質が上記副生成物を含有していないことがよい。
また、上記負極活物質中のLiV24の含有量は、80重量%以上であることが好ましい。より好ましくは、90重量%以上がよく、さらに好ましくは95重量%以上がよく、最も好ましくは、100重量%であることがよい。上記負極活物質中のLiV24の含有量が80重量%未満の場合には、上記負極活物質の放電容量が低下するおそれがある。
また、上記負極活物質中のLiV24は、Li及びVを金属元素の主成分とするスピネル構造であれば、他の元素によって陽イオン置換や陰イオン置換されたものであってもよい。
また、本発明において、上記混合工程においては、原料粉末を、焼成後にLiV24となるような混合比で混合し、原料混合物を作製する。
このような原料粉末としては、例えばLiを含有する化合物と、Vを含有する化合物とを組み合わせて用いることができる。Liを含有する化合物としては、例えばLi2CO3、LiCl、LiNO3、Li2O、及びLi2SO4等を用いることができる。また、Vを含有する化合物としては、例えばV25、V23、及びV24等を用いることができる。
また、上記焼成工程においては、温度700℃以下で焼成を行う。
焼成時の温度が700℃を越える場合には、上記焼成時にLiV24よりなる粒子が粒成長して、その粒径が5μmを越えて大きくなるおそれがある。その結果、上記負極活物質における可逆的に取り出すことのできる放電容量が低下するおそれがある。
また、上記焼成工程は、上記原料混合物を焼成して3価のバナジウム化合物を作製する第一焼成工程と、酸素分圧が1.0×10-3atm以下の酸素含有ガス中で上記バナジウム化合物を焼成してLiV24を生成する第二焼成工程とを有することが好ましい
この場合には、温度700℃という低温の焼成にて、LiV24よりなる、平均粒径の小さい上記負極活物質を容易に作製することができる。
酸素分圧が1.0×10-3atm(約1.0×102Pa)を越える場合には、3価のバナジウム化合物が酸化され過ぎて、目的物質であるLiV24を充分に得ることができないおそれがある。
上記原料粉末に用いられる通常のバナジウムの酸化物においては、バナジウムの価数は+5や+4という比較的大きな値をとっている。上記のごとく、第一焼成工程において、上記原料混合物を焼成して3価のバナジウム化合物を生成し、次いで上記第二焼成工程において、3価のバナジウム化合物を1.0×10-3atm以下という低い酸素分圧条件下で焼成を行うことにより、この3価のバナジウムを非常に緩やかな酸化条件で酸化することができ、バナジウムの価数が3.5であるLiV24を700℃という低温の焼成においても容易に作製することができる。
酸素分圧が1.0×10-3atm以下の酸素含有ガスとしては、酸素の他に、例えばCO2ガス、CO2とCOとの混合ガス、CO2とH2との混合ガス、又はH2OとH2との混合ガス等を含有させてその酸素分圧を1.0×10-3atm以下に調整したガスを用いることができる。
また、本発明において、上記水系リチウム二次電池は、例えばリチウムを吸蔵・放出する正極及び負極と、これらの間に狭装されるセパレータと、正極及び負極間でリチウムを移動させる水溶液電解液などを主要構成要素として構成することができる。
上記水系電解液としては、例えばリチウム塩を水に溶解してなるものを用いることができる。
上記リチウム塩としては、例えばLiNO3、LiOH、LiCl、及びLi2SO4等がある。これらのリチウム塩は、それぞれを単独で用いることもできるが、2種以上を併用することもできる。
また、上記水溶液電解液のpHは6〜14であることが好ましい。
上記水溶液電解液のpHが6未満の場合には、上記負極活物質が不安定となり、電池の容量やサイクル特性が低下するおそれがある。
上記水系リチウム二次電池において、正極は、リチウムを吸蔵及び放出する正極活物質を含有する。
このような正極活物質としては、オリビン構造のLiFePO4、LiMn24、LiMnO2、LiMnNiO2、LiNi1/3Co1/3Mn1/32、及びLiNiO2等がある。なお、上記正極活物質中の遷移金属元素の一部を他の元素で置換してもよい。
上記正極は、例えば上記正極活物質に導電材及び結着剤を混合し、必要に応じて適当な溶剤を加えてペースト状の正極合材としたものを成形し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成することができる。
導電材は、正極の電気伝導性を確保するためのものであり、例えばカーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛等の炭素物質粉末状体を用いることができる。また、導電材としては、これらのうちの1種又は2種以上を用いることができる。
結着剤は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、あるいはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂等を用いることができる。
これらの活物質、導電材、結着剤を分散させる溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
負極は、上記正極と同様に、上記負極活物質に導電材や結着剤を混合し、必要に応じて適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を成形し、その後必要に応じてプレスして形成することができる。負極の形成に用いる上記導電材、結着剤及び溶剤としては、上記正極と同様のものを用いることができる。
また、正極及び負極に狭装させるセパレータは、正極と負極とを分離し、電解液を保持するものであり、例えばセルロース、ポリエチレン、及びポリプロピレン等の薄い微多孔膜を用いることができる。
また、上記水系リチウム二次電池の形状としては、例えばコイン型、円筒型、角型等がある。上記の正極、負極、セパレータ及び水溶液電解液などを収容する電池ケースとしては、これらの形状に対応したものを用いることができる。
(実施例1)
次に、本発明の実施例について、図1を用いて説明する。
本例においては、電解液として水溶液電解液を含有する水系リチウム二次電池用の負極活物質を作製し、これを用いて水系のリチウム二次電池を作製する。本例の負極活物質は、平均粒径が5μm以下の微粒子よりなる、スピネル構造のLiV24を含有する。
まず、下記のようにして負極活物質を作製する。
本例の負極活物質の製造方法は、混合工程と焼成工程とを有する。混合工程においては、焼成後にLiV24となるように原料粉末を混合し、原料混合物を作製する。また、焼成工程においては、上記原料混合物を温度700℃以下で焼成する。また、本例の焼成工程は、第一焼成工程と第二焼成工程とからなる。第一焼成工程においては、上記原料混合物を焼成して3価のバナジウム化合物を作製する。また、第二焼成工程においては、酸素分圧が1.0×10-3atm以下の酸素含有ガス中で上記バナジウム化合物を焼成してLiV24を生成する。
具体的には、まず、原料粉末としての炭酸リチウム(Li2CO3)と五酸化バナジウム(V25)とを、目的物質であるLiV24となるような化学量論比にしたがって自動乳鉢で120分間混合し、原料混合物を作製した(混合工程)。
次いで、この混合物をプレス成形し、水素気流中で700℃で3時間焼成し、3価のバナジウム化合物として、V23とLi2VO2との混合物を作製した(第一焼成工程)。この混合物を自動乳鉢で20分間混合し、その後、酸素分圧を1.0×10-3atmに調整した、炭酸ガスと酸素とよりなる酸素含有ガス中で、温度650℃で48時間焼成した(第二焼成工程)。さらに自動乳鉢で20分間混合し、上記第二焼成工程をもう一度繰り返し行って、微粒子よりなる、スピネル構造のLiV24を得た。これを試料Eとした。
試料Eは、これをX線回折装置(XRD)にて解析することにより、ほぼ単相のスピネル構造のLiV24よりなることを確認している。また、試料Eの微粒子の平均粒径を、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定したところ、その平均粒径は1.2μmであった。
また、本例においては、上記試料Eの優れた特性を明らかにするため、比較用の3種類の負極活物質(試料C1〜試料C3)を作製した。
まず、試料C1について説明する。この試料C1は、上記試料Eよりも高い温度で焼成することにより作製したLiV24よりなる。
その作製方法としては、試料Eと同様に、まず、炭酸リチウム(Li2CO3)と五酸化バナジウム(V25)とを目的物質であるLiV24の化学量論比にしたがって自動乳鉢で120分間混合して原料混合物を作製した。次いで、この混合物をプレス成形し、水素気流中で700℃で3時間焼成し、V23とLiVO2との混合物を作製した。この混合物を自動乳鉢で20分間混合し、その後、上記試料Eの作製に用いたものと同様の酸素含有ガス中で、温度750℃で48時間焼成して、スピネル構造のLiV24よりなる粒子を得た。これを試料C1とした。試料C1におけるLiV24の合成は、試料Eと同様にXRDにより確認した。この試料C1は、上記試料Eよりも大きな粒子よりなり、その平均粒径を試料Eと同様に測定したところ、5.6μmであった。
次に、試料C2について説明する。
試料C2は、試料Eの作製に用いた五酸化バナジウムの代わりに三酸化バナジウム(V23)を用い、上記試料E及び試料C1よりもさらに高い温度で焼成して作製したLiV24よりなる。
具体的には、まず、炭酸リチウム(LiCO3)と三酸化バナジウム(V23)とを目的物質であるLiV24の化学量論比にしたがって自動乳鉢で20分間混合して原料混合物を作製した。次いで、この原料混合物をアルゴン気流中で900℃で24時間焼成し、その後急冷してスピネル構造のLiV24よりなる粒子を得た。これを試料C2とした。試料C2におけるLiV24の合成は、試料Eと同様にXRDにより確認した。この試料C2は、上記試料Eよりも大きな粒子よりなり、その平均粒径を試料Eと同様に測定したところ、12.1μmであった。
次に、試料C3について説明する。
試料C3は、上記試料E、試料C1及びC2とは異なり、LiV38よりなるものである。
試料C3の作製方法としては、まず、炭酸リチウム(Li2CO3)と、五酸化バナジウム(V25)とを目的物質であるLiV38となるような化学量論比にしたがって自動乳鉢で20分間混合した。この混合物をアルゴン雰囲気流中で700℃まで昇温し、12時間保持した。その後炉冷し、LiV38を得た。これを試料C3とした。試料C3におけるLiV38の合成は、XRDにより確認した。
(実験例1)
次に、実施例1にて作製した4種類の負極活物質(試料E、及び試料C1〜試料C3)のうち、負極活物質としてスピネル構造のLiV24よりなる3種類の負極活物質(試料E、試料C1、及び試料C2)について、可逆的に利用できる容量を見積もるために、単極でのサイクリックボルタモグラム測定を行った。
具体的には、まず試料Eを70wt%、導電材としてのカーボンを25wt%、結着剤としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を5wt%混合して混合粉末を作製した。次いで、この混合粉末10mgをSUSメッシュ上に約0.6ton/cm2で圧着して試料極を作製した。また、同様にして、上記試料C1及び試料C2を試料Eの代わりにそれぞれ用いて試料極を作製した。
次いで、上記のように作製した、負極活物質としてそれぞれ試料E、試料C1、及び試料C2をそれぞれ含有する3種類の試料極をそれぞれ用い、サイクリックボルタモグラム測定を行った。このとき、評価用の電解液としては飽和LiNO3水溶液を、参照極としては銀塩化銀電極を、対極としては白金ワイヤー(φ0.3×5;コイル状)をそれぞれ用いた。また、測定は3極式のビーカーセルを用いて、スキャン速度2mV/sec又は0.2mV/secで行った。なお、後述の各試料の可逆容量は0.2mV/secでの測定データから見積もった。測定はすべて20℃の恒温槽中で行い、電圧は−1.05〜0.2Vの範囲で3サイクル行った。その結果(サイクリックボルタモグラム)を図1に示す。なお、図1において、横軸は電圧(V)を示し、縦軸は電流(mA)を示す。
また、図1の結果より、各負極活物質(試料E、試料C1、及び試料C2)から可逆的に取り出せる放電容量(可逆容量)を算出し、その結果を表1に示す。表1において、可逆容量は、負極活物質1gあたりの量に換算した値を用いた。
Figure 0004400190
図1より知られるごとく、700℃以下という低温の焼成にて作製した、微粒子よりなるLiV24を含有する負極活物質(試料E)は、サイクリックボルタモグラムにおいて優れた可逆性を示し、試料Eは、水系リチウム二次電池の負極活物質として優れていることがわかる。また、表1より知られるごとく、試料Eは、109mAh/gという非常に大きな可逆容量を示した。
一方、700℃を越える高い温度で作製した負極活物質(試料C1及び試料C2)においては、XRD解析においては試料Eと同様のほぼ単相のLiV24が生成しているにもかかわらず、可逆容量が試料Eの半分未満で非常に小さかった。この原因は明確ではないが、試料C1及び試料C2においては、その製造時に700℃を越える高温で合成したことによって、表1に示すごとくその平均粒径が大きくなり、すべてのLiを可逆的に取り出すことが困難になったからと考えられる。また、高温での焼成が負極活物質の表面活性を低下させたためであると考えられる。
(実験例2)
次に、上記試料E、試料C1〜試料C3をそれぞれ負極活物質として用いて4種類の水系リチウム二次電池(電池E、電池C1〜電池C3)を作製する。
図2に示すごとく、本例の水系リチウム二次電池1は、正極2と負極3と、水溶液電解液とを有する。正極2は、正極活物質としてLiFePO4を含有する。また、負極3は、負極活物質として、上記にて作製した試料E、試料C1〜試料C3のいずれかを含有する。また水溶液電解液は、リチウム塩としてのLiNO3を水に溶解してなる。
また、本例の水系リチウム二次電池1においては、CR2016型の電池ケース11中に、上記正極2及び負極3と共に、これらの間に狭装させた状態でセパレータ4が配置されている。また、電池ケース11内には水溶液電解液が注入されている。電池ケース1内の端部にはガスケット5が配置されており、電池ケース11は封口板12により密封されている。
次に、上記水系リチウム二次電池1として、試料Eを負極活物質として含有する電池Eの作製方法について説明する。
まず、負極活物質としての試料Eを70重量部、導電材としてのカーボンブラックを25重量部、結着剤としてのポリエチレンテレフタレートを5重量部混合し、負極合材を作製した。この負極合材15mgを予め電池ケース11の内側に溶接したSUSメッシュ上に約0.6ton/cm2で圧着して負極3を形成した。
また、正極活物質としてLiFePO4を準備し、上記負極合材の作製と同じ比率で、この正極活物質と導電材と結着剤とを混合し、正極合材を作製した。この正極合材10mgを予め電池ケース11の内側に溶接したSUSメッシュ上に約0.6ton/cm2で圧着して正極2を形成した。また、正極2と負極3とを隔てるために、これらの間にセルロース系のセパレータ4を配置した。
また、水溶液電解液として、リチウム塩であるLiNO3の飽和水溶液(pH≒7)を準備した。電池ケース11内の端部にガスケット5を配置し、さらに電池ケース11内に上記水溶液電解液を適量注入して含浸させた。続いて、封口板12を配置し、電池ケース11の端部をかしめ加工することにより、電池ケース11を密封して水系リチウム二次電池1を作製した。この水系リチウム二次電池1は、負極3に負極活物質として上記試料Eを含有するものである。これを電池Eとした。
また、上記試料C1〜試料C3をそれぞれ負極活物質として用い、上記電池Eと同様にして水系リチウム二次電池を作製し、これらをそれぞれ電池C1〜電池C3とした。
即ち、電池C1は、その負極に負極活物質として上記試料C1を、また電池C2は、負極活物質として上記試料C2を、また電池C3は、負極活物質として上記試料C3をそれぞれ含有するものである。なお、その他の構成は、上記電池Eと同様である。
次に、負極活物質としてLiV24を含有する上記電池Eと、負極活物質としてLiV38を含有する上記電池C3との放電容量を比較する。
具体的には、まず、上記電池E及び電池C3とをそれぞれ定電流方式で充電電流密度1mA/cm2にて1.5Vまで充電し、1分間放置した後、放電電流密度1mA/cm2で0.05Vまで放電させた(充放電試験)。このとき、充放電は、温度20℃でおこなった。
放電時の、各電池(電池E及び電池C3)の放電容量(mAh/g)及び電位(V)の関係を放電曲線として図3に示す。なお、図3において、横軸は、正極活物質1gあたりの容量に換算した放電容量を示し、縦軸は、各電池の電位を示す。
図3より知られるごとく、負極活物質として上記試料Eを有する電池Eの放電曲線は、負極活物質として上記試料C3を有する電池C3に比べて、平坦な放電電位を示している。そのため、電池Eは、高いエネルギー密度を発揮することができる。また、電池Eは、電池C3に比べて高い放電容量を示した。したがって、電池Eの負極活物質として用いた上記試料Eは、水系リチウム二次電池の負極活物質として非常に好適であることがわかる。
また、本例においては、実施例1にて作製した上記電池C1及び上記電池C2についても、上記と同様の充放電試験を行い、その放電容量を算出した。その結果を上記電池E及び電池C3の結果と共に、下記の表2に示す。
Figure 0004400190
表2より知られるごとく、電池Eは、電池C1〜電池C3に比べて非常に高い放電容量を示した。
電池Eは、負極活物質として上記試料Eを含有している点を除いては、上記電池C1〜電池C3と同様の構成を有している。したがって、電池Eが優れた放電容量及び電位の平坦性を示すことができるのは、電池Eがその負極活物質として、上記試料E、即ち平均粒径が5μm以下の微粒子よりなる、スピネル構造のLiV24を用いているからと考えられる。
実験例1にかかる、負極活物質(試料E、試料C1及び試料C2)のサイクリックボルタメトリーの測定結果を示す説明図。 実験例2にかかる、水系リチウム二次電池の構成を示す説明図。 実験例2にかかる、水系リチウム二次電池(電池E及び電池C3)の放電曲線を示す説明図。
符号の説明
1 水系リチウム二次電池
2 正極
3 負極
4 セパレータ

Claims (1)

  1. 電解液として水溶液電解液を含有する水系リチウム二次電池に用いる負極活物質を製造する方法であって、
    焼成後にLiV 2 4 となるような化学量論比にて原料粉末を混合し、原料混合物を作製する混合工程と、
    上記原料混合物を温度700℃以下で焼成する焼成工程とを有し、
    上記焼成工程は、上記原料混合物を焼成して3価のバナジウム化合物を作製する第一焼成工程と、酸素分圧が1.0×10 -3 atm以下の酸素含有ガス中で上記バナジウム化合物を焼成してLiV 2 4 を生成する第二焼成工程とを有することを特徴とする負極活物質の製造方法。
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