JP2000042807A - 精密切削用工具 - Google Patents
精密切削用工具Info
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Abstract
耐熱性に優れた精密切削用工具を提供すること。 【解決手段】 平均粒径が0.5μm以下の立方晶窒化
ホウ素からなる立方晶窒化ホウ素焼結体を刃先とした精
密切削用工具であって、前記刃先部の立方晶窒化ホウ素
焼結体の、任意の方向のX線回折線の(220)回折強
度(I(220) )と(111)回折強度(I(111) )との
比I(220) /I(111) が、0.05以上であり、その粒
界に介在物を実質的に含まない精密切削用工具。
Description
るもので、特に鉄系材料の精密切削加工に用いることの
できる精密切削工具に関する。
高硬度鉄系材料の高精度な仕上げ切削加工の要求が高ま
っている。この鉄系材料の精密加工として単結晶ダイヤ
モンド、および単結晶立方晶窒化ホウ素が検討されてき
た。しかし、単結晶ダイヤモンドで鉄系材料を切削する
場合、切削熱によりダイヤモンドと鉄の化学反応がおこ
り、ダイヤモンド工具が急速に摩耗するという問題があ
り、鋼などの金型の直接加工が不可能である。そのた
め、たとえばレンズ金型の精密加工においては無電解ニ
ッケルメッキ層を施して、そのメッキ層を精密に仕上げ
る方法がとられているが、金型の強度が不十分、プロセ
スが複雑などの問題があった。また、特殊雰囲気による
化学反応抑制法などで、直接加工の検討が行われている
が実用的でない。
ンドに次ぐ硬度を有し、熱的化学的安定性の高い物質
で、鉄族金属とは反応しない。このため、cBNの粉末
をバインダーで固めた焼結体が鉄系材料の切削工具とし
て用いられている。現在、切削工具として用いられてい
るcBN焼結体は、cBNの粉末を、TiN、TiC、
Coなどのバインダーを用いて超高圧下で焼結されたも
ので、焼結体には10〜60体積%程度のバインダーが
含まれる。このため、切削時に微小な刃こぼれを生じや
すく、また刃先の研削仕上げにおいて刃先を刃こぼれな
くシャープに仕上げることは非常に難しく、精密切削工
具としての使用は困難であった。この対策のためには、
刃先に単結晶もしくはバインダーを含まない工具が必要
である。cBNの単結晶を作製して、鋼の超精密加工用
切削工具とする試みがなされたが、不純物や欠陥の少な
い大型cBN単結晶の合成が非常に困難であり、また、
cBN単結晶は意外に強度が低く、耐摩耗性が十分でな
かった。このため、cBN単結晶が精密用切削工具に実
用化されることはなかった。
として、ホウ窒化マグネシウムなどの触媒を用いて六方
晶窒化ホウ素(hBN)を原料として、反応焼結させた
焼結体がある。この焼結体はバインダーがなくcBN粒
子が強く結合しているため熱伝導率が600〜700W
/m・Kと高く、ヒートシンク材やTABボンディング
ツールなどに用いられている。しかし、この焼結体の中
には触媒がいくらか残留しているため、熱を加えるとこ
の触媒とcBNとの熱膨張差による微細クラックが入り
やすい。このため、その耐熱温度は700℃程度と低
く、切削工具としては大きな問題となる。また、粒径が
10μm前後と大きいため、熱伝導率が高いものの、強
度が十分でなく、切削工具としては適用出来なかった。
を超高圧高温下で、無触媒で合成(直接変換)すること
が可能である。このhBN→cBN変換と同時に焼結さ
せることで、バインダーを含まないcBN焼結体を作製
できることが知られている。たとえば、特開昭47−3
4099号公報や特開平3−159964号公報にhB
Nを超高圧高温下でcBNに変換させ、cBN焼結体を
得る方法が示されている。また、特公昭63−394号
公報や特開平8−47801号公報には熱分解窒化ホウ
素(pBN)原料にして、cBN焼結体を作製する方法
が示されている。しかし、圧縮hBNが残留しやすいこ
と、配向(異方)性が強くて層状亀裂や剥離の問題が生
じやすいことなどの問題がある。そのほか、直接変換に
よりcBNを得る方法として例えば、特公昭49−27
518号公報に、一次粒子の平均粒径が3μm以下の六
方晶系窒化ほう素を原料とする方法が示されている。
が、六方晶窒化ほう素が微粉であるため、数%の酸化ホ
ウ素不純物や吸着ガスを含み、そのため焼結が十分に進
行せず、また、酸化物を焼結体内に多く含むため、高硬
度、高強度で耐熱性に優れた焼結体が得られず、切削工
具に用いることができない。
N焼結体は、鋭利な刃先が得られず、また刃先の強度や
耐摩耗性が十分でなく、鉄系材料の精密切削加工ができ
ない。cBN単結晶は、不純物や欠陥の少ない大型cB
N単結晶の合成が非常に困難であり、また、cBN単結
晶は以外に強度が低く、耐摩耗性が十分でない。cBN
は(110)面や(111)面によるへき開により、刃
先の欠損や、マイクロチッピングによる摩耗が進行する
と考えられる。
士の結合が十分な、バインダーを含まないcBN単相の
焼結体が得られれば、鋭利な刃先形成が可能で、かつ、
へき開による刃先欠損や摩耗が改善でき、鉄系材料の精
密切削加工が可能と考えられる。しかし、従来のバイン
ダーを含まないcBN焼結体は、前項で述べたように、
粒径が数μmと大きく、さらに粒界に、触媒や圧縮型h
BN、酸化物など介在するため、鋭利な刃先が得られ
ず、また十分な刃先強度が得られない。また、従来の直
接変換法では、原料のhBNが配向しやすく、その結果
<111>方向に配向した焼結体となりやすい。もとも
と配向性の高いpBNを原料に用いると、hBNを原料
にしたときより更に<111>配向したcBN焼結体と
なる。この配向性のため、切削工具として使用した場
合、層状亀裂、剥離などの不具合が生じるという問題が
あった。等方的でかつ微粒でしかも切削用途に適用でき
るような粒子間結合の強いcBN単相の焼結体は従来知
られていなかった。本発明は上記の問題点を解消するた
めに開発されたもので、バインダーを含まず0.5μm
以下の微粒のcBNからなり、粒界に介在物を含まず、
かつ組織が等方的であるため刃先が極めて鋭利で、強
度、耐摩耗性に優れた精密切削工具を提供することを目
的とする。
明とその具体的態様によって達成することができる。 (1)平均粒径が0.5μm以下の立方晶窒化ホウ素か
らなる立方晶窒化ホウ素焼結体を刃先とした精密切削用
工具であって、前記刃先部の立方晶窒化ホウ素焼結体
の、任意の方向のX線回折線の(220)回折強度(I
(220) )と(111)回折強度(I(111) )との比I
(220) /I(111) が、0.05以上、特に0.1以上で
あり、その粒界に介在物を実質的に含まない精密切削用
工具、
体の抗折力(曲げ強度)が80kg/mm2 以上で、高
温下でも強度が低下しない上記(1)記載の精密切削用
工具、(3)前記刃先部の立方晶窒化ホウ素焼結体の硬
度が4000kg/mm2 以上である上記(1)または
(2)に記載の精密切削用工具、(4)前記刃先部の立
方晶窒化ホウ素焼結体の熱伝導率が、250W/m・K
〜1000W/m・Kである上記(3)に記載の精密切
削用工具。
窒素の存在下で還元窒化して低圧相窒化ホウ素を合成し
得られた低圧相窒化ホウ素を出発物質として高温高圧下
で立方晶窒化ホウ素に直接変換させると同時に焼結する
ことを特徴とする平均粒径が0.5μm以下の立方晶窒
化ホウ素からなる精密切削工具用焼結体の製造方法、お
よび(6)直接変換と焼結を圧力6GPa以上、温度1
550〜2100℃で行う上記(5)記載の精密切削工
具用焼結体の製造方法を提供する。
具を構成するcBN焼結体は、バインダーを含まず、
0.5μm以下の微粒のcBNからなり、粒界に介在物
を含まず、かつ、組織が等方的であるため、刃先が極め
て鋭利で、かつ強度、耐摩耗性に優れた工具が得られ、
精密切削加工用途に十分使用することができる。
吸着ガスや酸化ホウ素を含まない低結晶性あるいは、微
粒の常圧型BNを出発物質とし、これを高圧高温下でc
BNに直接変換焼結することにより得られる。ここで用
いる、低結晶性あるいは、微粒の常圧型BNは、酸化ホ
ウ素やホウ酸を炭素で還元し、窒化させて調製されたも
のである必要がある。通常、常圧型BNの合成方法とし
て、酸化ホウ素やホウ酸をアンモニアと反応させる方法
が一般に工業的に行われている。しかし、このようにし
て得られたBNは、高温で熱処理するとhBNへ結晶化
する。このため、この方法により微細で低結晶性の常圧
型BNを合成しても、不純物の酸化ホウ素を除去するた
めの高温精製処理(窒素ガス中2050℃以上、真空中
1650℃以上など)を行うと、hBNに結晶化、粒成
長してしまう。これに対し、酸化ホウ素やホウ酸を炭素
と窒素の存在下で還元窒化させた常圧型BNは、高温で
熱処理しても結晶化しない特徴があり、したがって、こ
の方法で微粒で低結晶性の常圧型BNを合成し、窒素ガ
ス中2050℃以上または真空中1650℃以上などの
高純度精製処理を行うことで、酸化ホウ素や吸着ガスの
ない直接変換焼結に非常に適した常圧型BNが得られ
る。上記の還元窒化は窒素と炭素の存在下で行うか、又
は炭素と窒素とを含む化合物を用いて行うことができ
る。
性の常圧型BNであり、しかもcBN変換を阻害する酸
化ホウ素を含まないため、従来の直接変換法でよくみら
れた圧縮hBNの残留がなく、直接変換後のcBNが粒
成長したり、一軸配向することが少ない。その結果、微
細な粒子からなる等方的な焼結体となる。さらに、cB
N粒子同士の焼結を阻害する酸化ホウ素や、吸着ガスが
ないため粒子間の結合強度の強い焼結体が得られる。
Pa以上、温度1550〜2100℃が好ましい。特に
焼結温度が重要で、低いとcBNへの変換が十分でな
く、高すぎるとcBNの粒成長が進行し、cBN同士の
結合力が小さくなる。cBNの粒成長の起こらない焼結
温度は、出発原料の結晶性、粒径により変化する。上記
の適切な焼結温度範囲で焼結したcBN焼結体は、平均
粒径0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下のcB
Nからなる緻密な組織を有し、粒界に介在物を含まず、
かつ組織が等方的であるという特徴をもつ。ここで、c
BN粒径のコントロールは直接変換焼結時の温度で行
う。すなわち、0.5μm以下の微粒状態をコントロー
ルするために、出発原料として微粒で低結晶性の常圧型
のBNを用いそして低温域で直接変換焼結する必要があ
る。通常のhBNやpBNでは2100℃以上にしなけ
ればcBNに変換しないので0.5μm以下にコントロ
ールできない。
工具用の素材とすることで、極めて鋭利で、強度の高い
刃先が得られ、従来困難であった精密切削が可能とな
る。この発明の精密切削用工具は、刃先部が低圧相窒化
ホウ素を高圧高温下で直接変換させると同時に焼結させ
て得られる、平均粒径が0.5μm以下の立方晶窒化ホ
ウ素(cBN)からなる焼結体であって、このcBN焼
結体の、任意の方向のX線回折線の(220)回折強度
(I(220) )と(111)回折強度(I(111 ) )との比
I(220) /I(111) が、0.05以上、特に0.1以上
であり、その粒界に介在物を実質的に含まないものであ
る。ここで、cBNの平均粒径が0.5μmを越える
と、精密切削加工に十分鋭利な刃先が得られず、強度も
不十分となる。また、X線の回折強度比I(220) /I
(111) が、0.05未満であれば、cBN焼結体は<1
11>方向への配向が強く、異方向であるため、層状亀
裂や剥離が生じやすくなる。
0kg/mm2 以上で、高温下でも強度が低下しないも
のであることが好ましい。80kg/mm2 未満、また
は高温下で強度が低下するものであると、十分な強度の
刃先が得られず、切削中に欠損が起こりやすくなる。ま
た、刃先部のcBN焼結体の硬度が4000kg/mm
2 以上であることが好ましい。4000kg/mm2 未
満では、切削中の摩耗が大きく、精密な切削加工ができ
なくなる。
250W/m・K以上であることが好ましい。250W
/m・K未満では切削中の発熱によって刃先先端温度が
上昇し、切削熱に起因する摩耗が大きくなり、工具寿命
を低下させる。
BN焼結体は、バインダーを含まず、微粒のcBNから
なり、粒界に介在物を含まず、かつ、組織が等方的であ
るため、精密加工が可能な、鋭利な刃先が得られ、かつ
強度、耐摩耗性に優れる。このため、鉄系材料の精密加
工用切削工具に用いた場合に、従来の焼結体に見られな
い優れた性能を示す。
ミン(C3 N6 H6 )をモル比で3:1で配合し、乳鉢
で均一に混合した。これを、管状炉で、窒素ガス中、合
成温度850℃で2時間処理した。得られた粉末をエタ
ノールで洗浄して未反応のB2 O3 を除去し、さらに、
高周波炉で、N2 ガス中、2100℃で2時間処理し
た。得られた窒化ホウ素粉末の酸素含有量を、ガス分析
により測定すると0.75重量%であった。窒素ガス
中、2100℃の処理でB2 O3 や吸着ガスは完全に除
去されているため、この酸素はhBNに固溶した不純物
と思われる。
形は、hBNの(102)回折線がなく、hBNの(0
02)回折線が非常にブロードで、結晶性がかなり低い
ことを示した。hBN(002)回折線の半値幅より結
晶子サイズLcを計算すると8nmであった。この低結
晶性常圧型BN粉末を6ton/cm2 で型押し成形
し、この成形体を再度、高周波炉で、N2 ガス中、21
00℃で2時間処理した。次にこれをMoカプセルに入
れ、ベルト型超高圧発生装置で6.5GPa、1800
℃で15分処理した。得られた焼結体は、X線回折の結
果cBNのみからなることが判った。また、このcBN
焼結体のX線回折におけるcBNの(220)回折強度
のcBN(111)回折強度に対する比率は0.22
で、配向の少ない等方性の焼結体であることがわかっ
た。また、このcBN焼結体の微細構造を透過型電子顕
微鏡で観察したところ、cBN粒子の大きさは0.3μ
m以下と微細で、粒子同士が結合した緻密な組織である
ことがわかった。この硬度をマイクロヌープ圧子で測定
したところ5000kg/mm2 と高硬度であった。抗
折力を測定すると、室温で110kg/mm2 、100
0℃では120kg/mm 2 と高強度であった。また、
真空炉を用いて、真空中での高温処理後の硬度の変化
で、耐熱性を評価したところ、1300℃まで安定で、
耐熱性に優れていることがわかった。また、焼結体を5
×4×1mmの直方体に加工後、定常法を用いて50℃
〜60℃における熱伝導率を測定したところ、290W
/m・Kであった。
を#8000のダイヤモンド砥石で研削し、刃先ノーズ
Rが0.1mmである切削工具を作製した。刃先を顕微
鏡で観察すると、極めてシャープな刃先であることが確
認できた。前逃げ面の面粗さを測定すると、0.01μ
m以下であった。比較のため、市販のバインダーを含む
cBN焼結体で同様の刃先加工を行うと、逃げ面面粗さ
は0.02〜0.03μm程度であった。こうして得ら
れた切削工具で、SUS420J2(HRC53)を切
削速度100m/min、切り込み0.005mm、送
り0.005mm/revで、精密切削加工テストを行
ったところ、切削面粗さ0.1μmRmaxを確保でき
る工具寿命は、切削距離にして約5000mであった。
比較のため、cBN単結晶工具で同様の切削性能を評価
したところ、上記の工具寿命は最長200mであった。
度を800℃で2時間処理した他は、実施例1と同様に
窒化ホウ素を合成、精製した。得られた常圧型BN粉末
の酸素含有量を、ガス分析により測定すると0.8重量
%であった。X線回折図形は、hBNの(102)回折
線がなく、hBNの(002)回折線が非常にブロード
であり、微粒で、結晶性がかなり低いことを示した。h
BN(002)の回折線の半値幅より求めたLcは約6
nmであった。この低結晶性常圧型BNを原料にして実
施例1と同様にしてcBN焼結体を作製した。得られた
cBN焼結体を走査型電子顕微鏡観察した結果、粒径は
0.5μm以下と微細であることがわかった。また、X
線回折におけるcBNの(220)回折強度のcBN
(111)回折強度に対する比率は0.26で、等方性
であることを示した。このcBN焼結体の粒径、硬度、
強度、耐熱性、熱伝導率は実施例1と同様の値を示し、
精密切削のテストでも同様の性能を示した。
度を950℃で2時間処理した他は、実施例1と同様に
窒化ホウ素を合成、精製した。得られたBN粉末の酸素
含有量を、ガス分析により測定すると0.65重量%で
あった。X線回折図形は、hBNの(102)回折線が
なく、hBNの(002)回折線がブロードで、結晶性
が低いことを示した。hBN(002)の回折線の半値
幅より求めたLcは約15nmであった。この低結晶性
常圧型BNを原料にして実施例1と同様にしてcBN焼
結体を作製した。得られたcBN焼結体を走査型電子顕
微鏡観察した結果、粒径は0.5μm以下と微細である
ことがわかった。また、X線回折におけるcBNの(2
20)回折強度のcBN(111)回折強度に対する比
率は0.18で、等方性であることを示した。このcB
N焼結体の粒径、硬度、強度、耐熱性、熱伝導率は実施
例1と同様の値を示し、精密切削のテストでも同様の性
能を示した。
した、低結晶性常圧型BNを原料にして、これをMoカ
プセルに入れ、ベルト型超高圧発生装置で7.0GP
a、1900℃で15分処理した。得られた焼結体は、
X線回折の結果cBNのみからなることが判った。ま
た、このcBN焼結体のX線回折におけるcBNの(2
20)回折強度のcBN(111)回折強度に対する比
率は0.06で、等方性を示した。また、このcBN焼
結体の微細構造を透過型電子顕微鏡で観察したところ、
cBN粒子の大きさは0.5μm以下と微細で、粒子同
士が結合した緻密な組織であることがわかった。このc
BN焼結体の硬度、強度、耐熱性は実施例1と同様の値
を示し、実施例1と同様の精密切削のテストでも切削面
粗さ0.1μmRmaxを確保できる工具寿命は、切削
距離にして約1000mであった。
mの結晶性のよいhBN成形体を用いた。これを高周波
炉で、N2 ガス中、2100℃で2時間処理し、酸素含
有量をガス分析により測定すると0.03重量%であっ
た。これをベルト型超高圧発生装置で7.7GPa、2
200℃、15分で処理した。強固な焼結体が得られた
が、この焼結体を構成するcBN粒子は3〜5μm程度
で、そのX線回折におけるcBN(220)回折強度/
cBN(111)回折強度の値は、0.06であり、や
や粗粒で、(111)面方向に選択配向した異方性のあ
る焼結体であることがわかった。また、X線回折で、面
間隔d=3.1オングストローム付近に圧縮hBNが微
量ながら認められた。この焼結体より切削工具を作製
し、精密切削のテストを行ったところ、数分の後、刃先
部が層状に剥離したと思われる欠損が生じた。
BN)の成形体を用いた。これを高周波炉で、N 2 ガス
中、2100℃で2時間処理し、酸素含有量をガス分析
により測定すると0.02重量%であった。これをベル
ト型超高圧発生装置で7.5GPa、2100℃、15
分で処理した。強固な焼結体が得られたが、このcBN
焼結体のX線回折におけるcBN(220)回折線はほ
とんど認められず、このcBN(220)回折強度/c
BN(111)回折強度の値はほとんど0であった。
(111)面方向に選択配向した非常に異方性の高い焼
結体であることがわかった。また、X線回折で、面間隔
d=3.1オングストローム付近に圧縮hBNが認めら
れた。この焼結体より切削工具を作製し、精密切削のテ
ストを行ったところ、瞬時にして刃先が欠損した。刃先
の損傷をみると、層状に剥離している部分が多く見られ
た。
低圧相BNを作製し、焼結温度を2200℃としたこと
以外は、実施例3と同様にcBN焼結体を作製した。等
方的な焼結体が得られたが、粒径約1〜3μmとやや大
きく、抗折力が約70kg/mm2 で、1000℃の温
度下では40程度に低下した。この焼結体で、実施例1
と同様に精密切削のテストを行ったところ、初期の段階
で、刃先に微細なチッピングが生じ、高精度な加工がで
きなくなった。
インダーを含まず、0.5μm以下の微粒のcBNから
なり、粒界に介在物を含まず、かつ、組織が等方的であ
るため、刃先が極めて鋭利で、かつ強度、耐摩耗性に優
れた工具が得られ、精密切削加工用途に十分使用するこ
とができる。
Claims (6)
- 【請求項1】 平均粒径が0.5μm以下の立方晶窒化
ホウ素からなる立方晶窒化ホウ素焼結体を刃先とした精
密切削用工具であって、前記刃先部の立方晶窒化ホウ素
焼結体の、任意の方向のX線回折線の(220)回折強
度(I(220))と(111)回折強度(I(111) )との
比I(220) /I(111) が、0.05以上であり、その粒
界に介在物を実質的に含まない精密切削用工具。 - 【請求項2】 前記刃先部の立方晶窒化ホウ素焼結体の
抗折力が80kg/mm2 以上で、高温下でも強度が低
下しない請求項1記載の精密切削用工具。 - 【請求項3】 前記刃先部の立方晶窒化ホウ素焼結体の
硬度が4000kg/mm2 以上である請求項1または
2に記載の精密切削用工具。 - 【請求項4】 前記刃先部の立方晶窒化ホウ素焼結体の
熱伝導率が、250W/m・K〜1000W/m・Kで
ある請求項3に記載の精密切削用工具。 - 【請求項5】 ホウ素と酸素を含む化合物を炭素と窒素
の存在下で還元窒化して低圧相窒化ホウ素を合成し得ら
れた低圧相窒化ホウ素を出発物質として高温高圧下で立
方晶窒化ホウ素に直接変換させると同時に焼結すること
を特徴とする平均粒径が0.5μm以下の立方晶窒化ホ
ウ素からなる精密切削工具用焼結体の製造方法。 - 【請求項6】 直接変換と焼結を圧力6GPa以上、温
度1550〜2100℃で行う請求項5記載の精密切削
工具用焼結体の製造方法。
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JP11119891A JP2000042807A (ja) | 1998-05-22 | 1999-04-27 | 精密切削用工具 |
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JP10-141366 | 1998-05-22 | ||
JP11119891A JP2000042807A (ja) | 1998-05-22 | 1999-04-27 | 精密切削用工具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2000042807A true JP2000042807A (ja) | 2000-02-15 |
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JP11119891A Pending JP2000042807A (ja) | 1998-05-22 | 1999-04-27 | 精密切削用工具 |
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JP (1) | JP2000042807A (ja) |
Cited By (6)
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