JP5880267B2 - SiAlON基粒子、焼結体および工具 - Google Patents

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Description

本発明はSiAlON基粒子、焼結体および工具に関し、より特定的には、α相型SiAlONおよびβ相型SiAlONの少なくともいずれかと、γ相型SiAlONとを含むSiAlON基粒子、該基粒子を含む焼結体および該焼結体を用いた工具に関する。
ダイヤモンド粒子や立方晶窒化ホウ素(以下、cBNともいう)粒子は、Al23粒子やSiC粒子よりも高硬度であることから、これらに替わる硬質粒子として、研削加工や切削工具用硬質粒子材料として使用されている。
硬質粒子への要求特性は、被削材の種類や加工方法によって異なる。たとえば、セラミックや非鉄金属の加工ではダイヤモンド粉末が適する。一方、鋼や鋳鉄などの鉄基金属では、ダイヤモンド中のカーボンが高温下で被削材と反応してしまうため、鉄族元素との親和性がダイヤモンドよりも低いcBN粉末が使用されている。
しかしながら、cBNもFe、Ni、Coなどの鉄族金属と高温で反応するため、cBNに替わる、Al23粒子やSiC粒子よりも高硬度で、かつ靱性に優れる硬質粒子原料の開発が望まれている。
なお、cBNに代わる硬質粒子原料は、切削加工や切削工具用の材料としてだけではなく、パンチやダイスなどに代表される塑性加工や摩擦撹拌接合の分野においても、高速度鋼製、超硬合金製、セラミックス製、ダイヤモンド焼結体製、あるいはcBN焼結体製工具を代替する工具用材料として期待されている。
SiAlON(以下、サイアロンともいう)は、窒化ケイ素にアルミニウムと酸素が固溶した構造を有しており、六方晶系に属するα相型SiAlON(以下、α−SiAlONともいう)とβ相型SiAlON(以下、β−SiAlONともいう)の2種類の結晶形がある。サイアロンを用いた焼結体は、被加工材との反応性が低いという特性を有するため、切削工具用材料としての研究が進められている。
たとえば、特許文献1(特開2002-121013号公報)には、β-SiAlONを衝撃波によって瞬間的に加圧することによって、化学式Si(6-x)Alxx(8-x)(0<x≦4.2)で表される高圧相のスピネル型サイアロン(以下、γ−SiAlONともいう)粉末を合成する方法が開示されている。
前記γ−SiAlONは、β-SiAlONの高圧相であることから、β-SiAlON粉末より高密度化、高硬度化していることが類推されるが、靱性が十分ではなく、また耐摩耗性においてもさらなる向上が要求されている。
そこで本発明者らは、前記γ-SiAlON粉末の摩砕試験や、該粉末からなる焼結体でのNi基耐熱合金の切削評価を、従来のα−SiAlON、β−SiAlON粉末やcBN粉末と比較しながら実施した。γ−SiAlON粒子は意外なことに、低負荷条件(低応力条件)では、α−SiAlONやβ−SiAlONよりも耐摩耗性には優れるものの、高負荷条件(高応力条件)では、α−SiAlONやβ−SiAlONよりも耐摩耗性、及び耐欠損性に劣ることが判明した。損傷状態を観察したところ、高負荷条件下では、α−SiAlONやβ−SiAlONよりも、γ−SiAlONの損傷が大きく、γ−SiAlON粒子の破砕、チッピングの集積が確認されることから、特許文献1に開示されるγ−SiAlONは、その靱性不足により、摩耗、欠損が進展する結果となったものと推定される。
特許文献2(特開2011-256067号公報)にはβ−SiAlONを衝撃圧縮法で処理してγ−SiAlONに変換した原料に、β−SiAlON、ならびに第1化合物(鉄、コバルト、ニッケル、周期律表の第4a族元素、第5a族元素、および第6a族元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素)および第2化合物(第4a族元素、第5a族元素、および第6a族元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素および硼素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とからなる少なくとも1種の化合物)の少なくとも1種の化合物を添加して焼結した焼結体が開示されている。
前記焼結体は、γ-SiAlON粒子、β-SiAlON粒子、第1化合物、第2化合物のそれぞれを個別に準備し、これらを混合した粉末を焼結して作製されている。特許文献2では、第1化合物ならびに第2化合物の少なくともいずれかを用いることで、SiAlON粒子同士の結合力の向上することを目的としている。しかし、主成分のγ−SiAlON粒子自体の靱性が十分でないことから、切削用途などでは、高応力の発生によりγ−SiAlON粒子で発生した破砕や亀裂を起点として、焼結体の欠損や耐摩耗性のバラツキを生ずるという課題がある。
特開2002-121013号公報 特開2011-256067号公報
本発明は、優れた耐摩砕性を有するSiAlON基粒子、優れた耐摩耗性および耐欠損性を有する焼結体、および該焼結体を用いた工具を提供することを目的とする。
本発明のSiAlON基粒子は、α相型SiAlONおよびβ相型SiAlONの少なくともいずれかと、γ相型SiAlONとを含み、エタノール溶媒に超音波分散させた際の平均粒径が0.1μm以上100μm以下であり、SiAlON基粒子中のケイ素、アルミニウム、酸素、および窒素の合計質量に対して、ケイ素を18.68質量%以上59.33質量%以下、アルミニウムを0.96質量%以上38.72質量%以下、酸素を2.08質量%以上24.44質量%以下、および窒素を18.16質量%以上37.63質量%以下の範囲で含み、X線回折法によるα相型SiAlONの(201)面でのX線回折線のピーク強度Iα、X線回折法によるβ相型SiAlONの(101)面でのX線回折線のピーク強度Iβ、およびX線回折法によるγ相型SiAlONの(400)面でのX線回折線のピーク強度Iγが、下記式(I)で表わされる。
0.09≦(Iα+Iβ)/(Iα+Iβ+Iγ)≦0.88 (I)
本発明のSiAlON基粒子において好ましくは、SiAlON基粒子は、SiAlON基粒子中のケイ素、アルミニウム、酸素、および窒素の合計質量に対して、ケイ素を34.71質量%以上58.29質量%以下、アルミニウムを1.93質量%以上23.83質量%以下、酸素を2.65質量%以上15.62質量%以下、および窒素を25.84質量%以上37.13質量%以下の範囲で含み、Iα、Iβ、Iγが下記式(II)の関係で表わされる。
0.13≦(Iα+Iβ)/(Iα+Iβ+Iγ)≦0.82 (II)
本発明のSiAlON基粒子において好ましくは、SiAlON基粒子は、SiAlON基粒子中のケイ素、アルミニウム、酸素、および窒素の合計質量に対して、ケイ素を45.02質量%以上57.26質量%以下、アルミニウムを2.89質量%以上14.61質量%以下、酸素を2.84質量%以上10.2質量%以下、および窒素を30.17質量%以上36.63質量%以下の範囲で含み、Iα、Iβ、Iγが下記式(III)で表わされる。
0.18≦(Iα+Iβ)/(Iα+Iβ+Iγ)≦0.75 (III)
本発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、SiAlON基粒子がα相型SiAlONおよびβ相型SiAlONの少なくともいずれかと、γ相型SiAlONとを含み、さらにSiAlON基粒子中のケイ素、アルミニウム、酸素、および窒素の含有率およびIα、Iβ、Iγの関係が上記の範囲を満たす場合に、優れた耐摩砕性を有することを見出した。これは、本発明のSiAlON基粒子が高い硬度を有し、さらに優れた硬度と靭性のバランスを有しているためと考えられる。SiAlON基粒子が高い硬度を有することの理由として、SiAlON基粒子が、α相型SiAlONやβ相型SiAlONよりも密度および硬度が大きいγ相型SiAlONを含むことが考えられる。SiAlON基粒子の硬性と靭性のバランスが優れていることの理由として、SiAlON基粒子がγ相型SiAlONとともに、γ相型SiAlONよりも優れた靭性を有するα相型SiAlONおよびβ相型SiAlONの少なくともいずれかとを含むことが考えられる。
本発明のSiAlON基粒子において好ましくは、SiAlON基粒子は強靭化成分をさらに含み、強靭化成分は、ホウ素、炭素、マグネシウム、カルシウム、イットリウム、鉄、ニッケル、コバルト、周期律表の第4a族元素、第5a族元素、第6a族元素、Si34、AlON、AlNおよびAl23の中から選ばれる少なくとも1種を含み、Iα、Iβ、Iγ、およびX線回折法による強靭化成分の最強回折線のピーク強度Is(hkl)が、下記式(IV)で表わされる。
0.01≦Is(hkl)/(Iα+Iβ+Iγ)≦0.3 (IV)
本発明のSiAlON基粒子において好ましくは、Iα、Iβ、Iγ、およびIs(hkl)が、下記式(V)で表わされる。
0.01≦Is(hkl)/(Iα+Iβ+Iγ)≦0.2 (V)
強靭化成分は本発明のSiAlON基粒子合成時後に熱膨張率差、ヤング率差、或いは固溶化に起因する残留応力の付与と推定される効果により強靭化の効果を発揮する。したがって、強靭化成分を、Is(hkl)/(Iα+Iβ+Iγ)の値が上記式(IV)または式(V)の範囲となる割合で含むSiAlON基粒子は、硬度と靭性のバランスが優れており、優れた耐摩砕性を有する。
本発明のSiAlON基粒子において好ましくは、γ相型SiAlONの(400)面でのX線回折線の半値幅が、0.4°以上2.0°以下である。
γ相型SiAlONの(400)面でのX線回折線の半値全幅が、0.4°以上2.0°以下である本発明のSiAlON基粒子は、微細な1次粒子が強固に結合した焼結砥粒となるため、特に、高靱性高耐摩砕性を発揮する。半値幅が0.4°未満では1次粒子が粗すぎるため1次粒子の保持力が弱くなり、また劈開を生じる場合があるため耐摩砕性が低下する。一方半値幅が2.0°を超える場合には、1次粒子が微粒となり、1次粒子の粒界で発生した亀裂の伝搬抵抗が低く、靱性が低下する場合がある。
本発明の焼結体は、本発明のSiAlON基粒子を20体積%以上95体積%以下含む。
焼結体中のSiAlON基粒子の含有量が20体積%以上95体積%以下であると、焼結体の耐欠損性および耐摩耗性が向上する。これは、SiAlON基粒子による分散強化の効果が得られるためと考えられる。
本発明の焼結体において好ましくは、焼結体は、SiAlON基粒子および残部からなり、残部はアルミニウム、ホウ素、ケイ素、鉄、ニッケル、コバルト、マグネシウム、カルシウム、イットリウム、ならびに周期律表の第4a族元素、第5a族元素および第6a族元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素およびホウ素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とからなる少なくとも1種の化合物、ならびに化合物の固溶体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む。
本発明の焼結体において好ましくは、残部は、AlNおよびBNの少なくとも1種を含む。
焼結体の残部に、上記の化合物、および化合物の固溶体が含まれると、焼結体の耐欠損性および耐摩耗性が向上する。これは、上記の化合物、および化合物の固溶体が焼結体中のSiAlON基粒子間の結合力を高めるためと考えられる。
本発明の工具は、本発明の焼結体を用いる。本発明の焼結体を材料として用いた工具は、優れた耐摩耗性および耐欠損性を有する。
本発明によれば、耐摩砕性に優れたSiAlON基粒子、優れた耐摩耗性および耐欠損性を有する焼結体、および該焼結体を用いた工具を提供することができる。
[実施の形態1]
本発明の一実施の形態において、SiAlON基粒子は、α相型SiAlONおよびβ相型SiAlONの少なくともいずれかと、γ相型SiAlONとを含む。
(SiAlON基粒子)
本明細書中、「SiAlON基粒子」とは、α相型SiAlON、β相型SiAlONおよびγ相型SiAlONの少なくともいずれかを含む粒子を意味する。
SiAlONとは、Si−Al−O−N系の化合物群の総称である。SiAlONは、結晶型により、α相型SiAlON、β相型SiAlON、スピネル型SiAlON(以下、γ相型SiAlONともいう)などに分類される。
β相型SiAlONとは、六方晶系に属するβ相型Si34のSi位置にAlが、N位置にOが置換型に固溶した固溶体であり、一般式Si(6−Z)AlZZ(8−Z)(0<z≦4.2)で表される。
β相型SiAlONは、被削材との反応性が低く、高靱性であるため、β相型SiAlONを焼結体原料として用いると、優れた耐摩耗性および耐欠損性を有する焼結体を得ることができる。
α相型SiAlONとは、六方晶系に属するα相型Si34のSi位置にAlが、N位置にOが置換型に固溶し、さらに結晶格子間に、特定な金属原子が侵入型固溶した固溶体であり、一般式MxSi12-3xAl3xx16-xで示される。ここでMはLi、Ca、Mgなどの侵入型に固溶する元素を示す。
α相型SiAlONは、被削材との反応性が低く、高靱性であるため、α相型SiAlONを焼結体原料として用いると、優れた耐摩耗性および耐欠損性を有する焼結体を得ることができる。
γ相型SiAlONとは、アルミン酸マグネシウム(MgAl24)からなる立方晶系に属する鉱物であるスピネルと同様の結晶構造を有し、一般式Si(6−Z)AlZZ(8−Z)(0<z≦4.2)で表される。γ相型SiAlONは、たとえば低圧相β−SiAlON粉末を静的圧縮、あるいは衝撃圧縮処理することにより、低圧相β−SiAlONを高圧相のγ相型SiAlONに相転移させて得ることができる。
γ相型SiAlONは、β相型SiAlONの高圧相であることから、β相型SiAlONよりも、密度および硬度が大きく、焼結体原料として用いると、優れた耐摩耗性を有する焼結体を得ることができる。
SiAlON基粒子は、エタノール溶媒に超音波分散させた際の平均粒径が0.1μm以上100μm以下である。ここで、「平均粒径が0.1μm以上100μm以下」とは、エタノール20g中にSiAlON基粒子0.5gを投入して、超音波振動装置で1分間、解砕、分散させた後、レーザー式の粒度分布測定装置(マイクロトラック製MT3300EX2)で、エタノールの屈折率を1.36、測定粉末の屈折率を2.2として測定した時の累積%が50%の粒子径(D50)が0.1μm以上100μm未満であることを意味する。本発明のSiAlON基粒子は、超音波分散処理後においても、0.1μm以上100μm以下の平均粒径を維持することができ、優れた強度を有するため、焼結体原料として用いると、優れた耐摩耗性および耐欠損性を有する焼結体を得ることができる。
SiAlON基粒子の平均粒径が0.1μm未満になると、表面積が増加するため、酸化による脆化層が形成されやすくなり、靱性が低下する。一方、該平均粒径が100μmを超えると、SiAlON基粒子を含む焼結体を切削用途に使用した場合に、粗大粒子によるスクラッチや、粒子の強度低下による破砕、焼結体からの脱落が生じる。このため、被加工部品の表面粗さなどの品位が低下する。該平均粒径は、さらに0.2μm以上8μm以下であることが好ましい。
SiAlON基粒子は、SiAlON基粒子中のケイ素、アルミニウム、酸素、および窒素の合計質量に対して、ケイ素を18.68質量%以上59.33質量%以下、アルミニウムを0.96質量%以上38.72質量%以下、酸素を2.08質量%以上24.44質量%以下、および窒素を18.16質量%以上37.63質量%以下の範囲で含み、該SiAlON基粒子中のα相型SiAlONの(201)面でのX線回折線のピーク強度Iα、X線回折法による前記β相型SiAlONの(101)面でのX線回折線のピーク強度Iβ、およびX線回折法による前記γ相型SiAlONの(400)面でのX線回折線のピーク強度Iγが、下記式(I)で表わされる。
0.09≦(Iα+Iβ)/(Iα+Iβ+Iγ)≦0.88 (I)
ここで、SiAlON基粒子中の各元素の含有量は、高周波誘導結合プラズマ発光分析法(ICP分析)、不活性ガス融解赤外線吸収法、不活性ガス融解熱伝導度法を用いて測定した値である。
(Iα+Iβ)/(Iα+Iβ+Iγ)の値が前記式(I)で表わされる範囲であると、SiAlON基粒子中のα相型SiAlON、β相型SiAlON、γ相型SiAlONの含有量のバランスがよく、SiAlON基粒子の耐摩砕性が良好になる。
該SiAlON基粒子は、たとえば以下の方法で作製することができる。
α相型SiAlONおよびβ型SiAlONの少なくともいずれかを準備する。α相型SiAlONを用いる場合は、X線回折法によるα相型SiAlONの(201)面でのX線回折線の半値幅が0.35°以上2.0°以下になるまで、ビーズミルやジェットミル処理による粉砕、歪導入などで微細組織化を行い、低結晶性のα相型SiAlONを作製する。β相型SiAlONを用いる場合も同様に、X線回折法によるβ相型SiAlONの(101)面でのX線回折線の半値幅が0.35°以上2.0°以下になるまで、微細組織化処理を行い、低結晶性のβ相型SiAlONを作製する。該低結晶性のα相型SiAlON、β相型SiAlONを、圧力15GPa以上50GPa以下、温度1200℃以上3000℃以下の条件の衝撃圧縮法で処理することにより、前記式(I)の条件を満たすSiAlON基粒子を得ることができる。なお、α相型SiAlON、β相型SiAlONの微細組織化処理において、それぞれ半値幅が2.0°を超えるまで微粉砕した場合には、SiAlON粒子の比表面積の増加による酸化のため、γ相型SiAlONへの変換率が低下する。このため、その後の衝撃圧縮条件(圧力、温度、時間)の調整を行っても、前記式(I)の条件を満たすSiAlON基粒子を得ることが困難である。
上記の衝撃圧縮法に替えて、マルチアンビルプレスなどを用いた、圧力0.1GPa以上20GPa未満、温度1000℃以上2000℃以下の条件の静圧合成法で、合成時間を調整することによっても、前記式(I)の条件を満たすSiAlON基粒子を得ることができる。
SiAlON基粒子は、SiAlON基粒子中のケイ素、アルミニウム、酸素、および窒素の合計質量に対して、ケイ素を34.71質量%以上58.29質量%以下、アルミニウムを1.93質量%以上23.83質量%以下、酸素を2.65質量%以上15.62質量%以下、および窒素を25.84質量%以上37.13質量%以下の範囲で含み、前記Iα、前記Iβ、前記Iγが下記式(II)の関係で表わされることが好ましい。
0.13≦(Iα+Iβ)/(Iα+Iβ+Iγ)≦0.82 (II)
SiAlON基粒子は、SiAlON基粒子中のケイ素、アルミニウム、酸素、および窒素の合計質量に対して、ケイ素を45.02質量%以上57.26質量%以下、アルミニウムを2.89質量%以上14.61質量%以下、酸素を2.84質量%以上10.2質量%以下、および窒素を30.17質量%以上36.63質量%以下の範囲で含み、前記Iα、前記Iβ、前記Iγが下記式(III)で表わされることがさらに好ましい。
0.18≦(Iα+Iβ)/(Iα+Iβ+Iγ)≦0.75 (III)
前記式(II)また前記式(III)の条件を満たすSiAlON基粒子は、たとえば、α相型SiAlONおよびβ型SiAlONの少なくともいずれかを準備し、それぞれX線回折法によるα相型SiAlONの(201)面でのX線回折線の半値幅が0.35°以上2.0°以下、X線回折法によるβ相型SiAlONの(101)面でのX線回折線の半値幅が0.35°以上2.0°以下になるまで微細組織化処理を行い、低結晶性のα相型SiAlON、β相型SiAlONを作製し、衝撃圧縮法または静圧合成法で処理することにより得ることができる。
SiAlON基粒子は、X線回折法によるγ相型SiAlONの(400)面でのX線回折線の半値幅(以下、FWHMγともいう)が、0.4°以上2.0°以下であることが好ましい。本明細書中「半値幅」とは「半値全幅(full width at half maximum, FWHM)」を意味する。FWHMγが0.4°以上2.0°以下であると、微細な1次粒子が強固に結合した焼結砥粒となるため、特に、高靱性高耐摩砕性を発揮する。半値幅が0.4°未満では1次粒子が粗すぎるため1次粒子の保持力が弱くなり、また劈開を生じる場合があるため耐摩耗性が低下する。一方半値幅が2.0°を超える場合には、1次粒子が微粒となり過ぎ、1次粒子の粒界で発生した亀裂の伝搬抵抗が低く靱性が低下する。FWHMγの範囲は、さらに0.4°以上1.5°以下が好ましい。
なお、SiAlON基粒子は、γ相型SiAlON、β相型SiAlON、α相型SiAlON以外のSi−Al−O−N系の化合物、窒化ケイ素を含むことができる。
[実施の形態2]
本発明の一実施の形態において、SiAlON基粒子は、α相型SiAlONおよびβ相型SiAlONの少なくともいずれかと、γ相型SiAlONとを含み、さらに強靭化成分を含む。
α相型SiAlON、β相型SiAlONおよびγ相型SiAlONは、実施の形態1と同様のものを用いることができる。
強靭化成分は、ホウ素、炭素、マグネシウム、カルシウム、イットリウム、鉄、ニッケル、コバルト、周期律表の第4a族元素、第5a族元素、第6a族元素、Si34、AlON、AlNおよびAl23の中から選ばれる少なくとも1種を含む。ここで、「周期律表の第4a族元素」にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムが含まれ、「周期律表の第5a族元素」にはバナジウム、ニオブ、タンタムが含まれ、「周期律表の第6a族元素」にはクロム、モリブデン、タングステンが含まれる。
上記の元素および化合物は、本発明のSiAlON基粒子合成時後に熱膨張率差、ヤング率差、或いは固溶化に起因する残留応力の付与と推定される効果により強靭化の効果を発揮する。したがって、強靭化成分を含むSiAlON基粒子は、優れた耐摩砕性を有することができる。
強靭化成分を含むSiAlON基粒子は、前記Iα、前記Iβ、前記Iγ、およびX線回折法による前記強靭化成分の最強回折線のピーク強度Is(hkl)が、下記式(IV)で表わされることが好ましい。
0.01≦Is(hkl)/(Iα+Iβ+Iγ)≦0.3 (IV)
ここで、「強靭化成分の最強回折線のピーク強度Is(hkl)」とは、X線回折法による前記強靭化成分の回折線の中で最も強度比が高い回折線の強度を強度Is(hkl)とし、このIs(hkl)が、上記式(IV)で表わされることが好ましい。
Is(hkl)/(Iα+Iβ+Iγ)の値が前記式(IV)で表わされる範囲であると、SiAlON基粒子中のα相型SiAlON、β相型SiAlON、γ相型SiAlONおよび強靭化成分の含有量のバランスがよく、SiAlON基粒子の耐摩砕性が良好になる。
強靭化成分を含むSiAlON基粒子は、前記Iα、前記Iβ、前記Iγ、およびX線回折法による前記強靭化成分の最強回折線のピーク強度Is(hkl)が、下記式(V)で表わされることがさらに好ましい。
0.01≦Is(hkl)/(Iα+Iβ+Iγ)≦0.2 (V)
強靭化成分を含むSiAlON基粒子は、たとえば以下の方法で作製することができる。
α相型SiAlONおよびβ型SiAlONの少なくともいずれかを準備し、それぞれX線回折法によるα相型SiAlONの(201)面でのX線回折線の半値幅が0.35°以上2.0°以下、X線回折法によるβ相型SiAlONの(101)面でのX線回折線の半値幅が0.35°以上2.0°以下になるまで微細組織化処理を行い、低結晶性のα相型SiAlON、低結晶性のβ相型SiAlONを作製する。得られたα相型SiAlONおよびβ相型SiAlONの合計100質量部に対して強靭化成分を3〜10質量部添加して、エタノールなどの有機溶媒中で超音波分散するか、またはボールミル中で混合し、得られたスラリーをドライヤーなどで乾燥して混合粉を得る。得られた混合粉を、圧力15GPa以上50GPa以下、温度1200℃以上3000℃以下の条件の衝撃圧縮法、または圧力0.1GPa以上20GPa未満、温度1000℃以上2000℃以下の条件の静圧合成法で処理することにより、強靭化成分を含むSiAlON基粒子を得ることができる。
なお、SiAlON基粒子は、γ相型SiAlON、β相型SiAlON、α相型SiAlON以外のSi−Al−O−N系の化合物、窒化ケイ素を含むことができる。
[実施の形態3]
本発明の一実施の形態において、焼結体はSiAlON基粒子を20体積%以上95体積%以下含む。
SiAlON基粒子は、実施の形態1および実施の形態2と同様のものを用いることができる。
焼結体中のSiAlON基粒子の含有量が20体積%以上95体積%以下であると、SiAlON基粒子による分散強化により、焼結体の耐欠損性および耐摩耗性が向上する。なお、SiAlON基粒子の含有量が20体積%未満であると、分散強化の効果を得ることができない。一方、SiAlON基粒子の含有量が95質量%を超えると、SiAlON基粒子の高靱性、化学的安定性という特性により、難焼結性となるため、焼結体の特性が低下する。焼結体中のSiAlON基粒子の含有量は40体積%以上80体積%以下であることがさらに好ましい。
焼結体は、SiAlON基粒子および残部からなり、前記残部はアルミニウム、ホウ素、ケイ素、鉄、ニッケル、コバルト、マグネシウム、カルシウム、イットリウム、ならびに周期律表の第4a族元素、第5a族元素および第6a族元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素およびホウ素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とからなる少なくとも1種の化合物(以下、結合材化合物ともいう)、ならびに結合材化合物の固溶体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。結合材化合物および結合材化合物の固溶体は、SiAlON基粒子との親和性が高いため、SiAlON基粒子と混合して焼結すると、耐欠損性および耐摩耗性に優れた焼結体を得ることができる。
結合材化合物としては、たとえばTiN、FeSi、Al23、TiO2、TiS、TiB2、TiCN、TiZrCN、Y23、CaO、TiSi、AlN、BNなどを用いることができる。中でも、AlNおよびBNの少なくともいずれかを用いることが好ましい。ここで、AlNとしては、六方晶系に属する窒化アルミニウム(hAlN)および立方晶系に属する窒化アルミニウム(cAlN)のいずれも用いることができる。BNとしては、六方晶系に属する窒化ホウ素(hBN)および立方晶系に属する窒化ホウ素(cBN)のいずれも用いることができる。
焼結体は、たとえば以下の方法で作製することができる。
SiAlON基粒子および結合材化合物を、SiAlON基粒子:結合材化合物との割合が20体積%:80体積%〜95体積%:5体積%の範囲となるように準備する。SiAlON基粒子と結合材化合物とを、エタノール溶媒を用いて分散混合して混合粉を得る。該混合粉をガードル型超高圧プレスを用いて、0.1GPa〜20GPaの圧力および1000℃〜2000℃の温度の条件下で3〜180分間焼結して、焼結体を得ることができる。
[実施の形態4]
本発明の一実施形態において、工具は、切削加工または塑性加工に関与する少なくとも一部に本発明の焼結体を用いている。このような工具としては、たとえばドリル、エンドミル、フライス加工用または旋削加工用刃先交換型切削チップ、メタルソー、歯切工具、リーマ、タップ加工用チップや摩擦撹拌接合用工具などが挙げられる。
本発明の焼結体を工具の刃先などに用いることにより、インコネルなどの難削材を削る場合にも、欠損が生じにくく、かつ摩耗しにくいという優れた性能を有することができる。
本発明の工具は、従来のα−SiAlON基セラミックス、β−SiAlON基セラミックスやcBN焼結体工具に比して、コストパフォーマンスに優れるだけでなく、耐欠損性、及び耐摩耗性にも優れたものとなる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<試料1〜35>
(原料粒子の準備)
α−SiAlON(平均粒径5μm)とβ−SiAlON(平均粒径5μm)を、表1の「充填量(g)」に記載のとおり準備し、超硬ボールによるボールミルにて解砕、分散混合して原料粒子を得た。
(原料粒子の測定)
原料粒子中のSi、Al、O、Nのそれぞれの含有率を高周波誘導結合プラズマ発光分析法(ICP分析)、および不活性ガス融解赤外線吸収法、不活性ガス融解熱伝導度法を用いて測定した。
α相型SiAlONの(201)面、及びβ相型SiAlONの(101)面での半値幅をX線回折法により算出した。
結果を表1に示す。
(合成粒子の作製)
次に、原料粒子300gをヒートシンク、および圧力媒体としての銅粉と混合して、鋼製容器に充填し、爆薬の爆発による衝撃圧縮法により、40GPaの圧力および2000℃の温度条件で処理した。
衝撃圧縮処理により得られた粉末を、ボールミルにより粉砕した。次に、粉砕粉末を硝酸処理して不純物成分を除去した後に、水簸により分級回収して合成粒子を得た。
(合成粒子の測定)
合成粒子をCu−Kα線を用いたX線回折法で分析すると、γ−SiAlONに対応するX線回折線のピーク(γ-SiAlONと同等の結晶構造を有するJCPDS074−3494のγ−Si34を使用する)、α−SiAlONに対応するX線回折線のピーク(JCPDS041−0360のα−Si34を使用する)、β−SiAlON(JCPDS033−1160のβ−Si34を使用する)に対応するX線回折線のピークが同定された。
次に、合成粒子のγ−SiAlONの(400)面でのX線回折線のピーク強度Iγ、α−SiAlONの(201)面でのX線回折線のピーク強度Iα、β−SiAlONの(101)面でのX線回折線のピーク強度を測定し、{(Iα+Iβ)/(Iα+Iβ+Iγ)}の値を算出した。
合成粒子の平均粒径をレーザー式の粒度分布測定装置(マイクロトラック製MT3300EX2)を用いて測定した。
合成粒子中のSi、Al、OおよびNの合計質量に対するSi、Al、O、Nのそれぞれの含有率(質量%)を高周波誘導結合プラズマ発光分析法(ICP分析)、および不活性ガス融解赤外線吸収法、不活性ガス融解熱伝導度法を用いて測定した。
結果を表1に示す。
(摩砕試験)
作製した合成粒子150gを、Al23ボールの入ったエタノール溶媒中で、3000rpmで回転させ、合成粒子の平均粒径D50の値が1/2になるまでの時間T(min)を測定した。Tの値が大きいほど、耐摩砕性が優れている。
結果を表1に示す。
<試料36〜38>
試料36および37は、従来例として、以下の市販のSiAlON粒子を用いて前記の摩砕試験を行った。試料38は、結晶性の良いβ−SiAlONを出発原料として衝撃合成して得られたγ−SiAlONを用いて前記の摩砕試験を行った。
試料36:α−SiAlON(平均粒径5μm)
試料37:β−SiAlON(平均粒径5μm)
試料38:γ−SiAlON(平均粒径5μm)
結果を表1に示す。
Figure 0005880267
(評価結果)
試料2、4、5、7〜10、12〜14、17〜19、21、23〜28、30〜34の合成粒子は、合成粒子中のSi、Al、O、Nの合計質量に対して、Siを18.68質量%以上59.33質量%以下、Alを0.96質量%以上38.72質量%以下、Oを2.08質量%以上24.44質量%以下、Nを18.16質量%以上37.63質量%以下含み、平均粒径が0.2μm以上100μm以下、{(Iα+Iβ)/(Iα+Iβ+Iγ)}の値が0.09以上0.88以下の範囲であり、本発明に係るSiAlON基粒子の条件を満たしていた。これらの合成粒子は、摩砕試験において、従来例である試料36〜38より、耐摩砕性が優れていた。
試料1の合成粒子は、合成粒子中のSi、Al、O、Nの合計質量に対して、Siを17.68質量%、Alを39.65質量%、Oを24.99質量%、Nを17.68質量%含み、平均粒径が5μm、{(Iα+Iβ)/(Iα+Iβ+Iγ)}の値が0.96であった。該合成粒子は、試料2などの本発明に係るSiAlON基粒子の条件を満たす合成粒子より、耐摩砕性が劣っていた。
試料3、6、16、20、22、29、35の合成粒子は、{(Iα+Iβ)/(Iα+Iβ+Iγ)}の値が0.91以上0.96以下の範囲であった。該合成粒子は、試料2などの本発明に係るSiAlON基粒子の条件を満たす合成粒子より、耐摩砕性が劣っていた。
試料11の合成粒子は、平均粒径が150μmであった。該合成粒子は、試料2などの本発明に係るSiAlON基粒子の条件を満たす合成粒子より、耐摩砕性が劣っていた。
試料15の合成粒子は、合成粒子中のSi、Al、O、Nの合計質量に対して、Siを59.85質量%、Alを0.48質量%、Oを1.80質量%、Nを37.87質量%含み、平均粒径が5μm、{(Iα+Iβ)/(Iα+Iβ+Iγ)}の値が0.04であった。該合成粒子は、試料2などの本発明に係るSiAlON基粒子の条件を満たす合成粒子より、耐摩砕性が劣っていた。
<試料39〜98>
(原料粒子の準備)
β−SiAlON粒子(平均粒径1μm)を、表2および表3の「充填量(g)」に記載のとおり準備した。前記β−SiAlONに、強靭化成分として、表2および表3の「添加元素」に記載の種類の元素(B、C、Mg、Ca、Y、Fe、Ni、Co、Ti、Zr、Mo、W、Cr、Si34、AlON、AlN、Al23)を、添加して、超硬ボールによるボールミルにて解砕、分散混合して原料粒子を得た。なお、添加元素の添加量は、原料粒子の合計質量(Mt)に対する強靭化成分の質量(Mb)の割合(質量%)が、表2および表3の「Mb/Mt×100(質量%)」に記載の値となるように調整した。
(原料粒子の測定)
原料粒子中のSi、Al、OおよびNの合計質量に対する、Si、Al、O、Nのそれぞれの含有率(質量%)を高周波誘導結合プラズマ発光分析法(ICP分析)、および不活性ガス融解赤外線吸収法、不活性ガス融解熱伝導度法を用いて測定した。
結果を表2および表3に示す。
(合成粒子の作製)
次に、原料粒子300gをヒートシンク、および圧力媒体としての銅粉と混合して、鋼製容器に充填し、爆薬の爆発による衝撃圧縮法により、40GPaの圧力および2000℃の温度で処理した。
衝撃圧縮処理により得られた粉末を、ボールミルにより粉砕した。次に、粉砕粉末を硝酸処理して不純物成分を除去した後に、水簸により分級回収して合成粒子を得た。
(合成粒子の測定)
合成粒子をCu−Kα線を用いたX線回折法で分析すると、γ−SiAlONに対応するX線回折線のピーク、α−SiAlONに対応するX線回折線のピーク、β−SiAlONに対応するX線回折線のピークが同定された。さらに、強靭化成分に対応するX線回折線のピークも同定された。
次に、合成粒子中のγ−SiAlONの(400)面でのX線回折線のピーク強度Iγ、α−SiAlONの(201)面でのX線回折線のピーク強度Iα、β−SiAlONの(101)面でのX線回折線のピーク強度を測定し、{(Iα+Iβ)/(Iα+Iβ+Iγ)}の値を算出した。
さらに、強靭化成分に対応するX線回折線のうち、最強回折線のピーク強度Is(hkl)を測定し、{Is(hkl)/(Iα+Iβ+Iγ)}の値を算出した。
合成粒子の平均粒径をレーザー式の粒度分布測定装置(マイクロトラック製MT3300EX2)を用いて測定した。
合成粒子中のSi、Al、OおよびNの合計質量に対するSi、Al、O、Nのそれぞれの含有率(質量%)を高周波誘導結合プラズマ発光分析法(ICP分析)、および不活性ガス融解赤外線吸収法、不活性ガス融解熱伝導度法を用いて測定した。
結果を表2および表3に示す。
(摩砕試験)
作製した合成粒子150gを、Al23ボールの入ったエタノール溶媒中で、3000rpmで回転させ、合成粒子の平均粒径D50の値が1/2になるまでの時間T(min)を測定した。Tの値が大きいほど、耐摩砕性が優れている。
結果を表2および表3に示す。
Figure 0005880267
Figure 0005880267
(評価結果)
試料40〜試料56の合成粒子は、強靭化成分を含み、合成粒子中のSi、Al、O、Nの合計質量に対して、Siを29.68質量%、Alを28.51質量%、Oを18.39質量%、Nを23.42質量%含み、平均粒径が5μm、{(Iα+Iβ)/(Iα+Iβ+Iγ)}の値が0.85、Is(hkl)/(Iα+Iβ+Iγ)の値が0.05であった。これらの合成粒子は、摩砕試験において、強靭化成分を含まない試料39より、耐摩砕性が優れていた。
試料57〜試料69の合成粒子は、強靭化成分を含み、合成粒子中のSi、Al、O、Nの合計質量に対して、Siを34.64質量%、Alを23.78質量%、Oを17.08質量%、Nを24.50質量%含み、平均粒径が5μm、{(Iα+Iβ)/(Iα+Iβ+Iγ)}の値が0.75であった。
試料70〜試料98の合成粒子は、強靭化成分を含み、合成粒子中のSi、Al、O、Nの合計質量に対して、Siを50.10質量%、Alを9.63質量%、Oを8.71質量%、Nを31.56質量%含み、平均粒径が5μm、{(Iα+Iβ)/(Iα+Iβ+Iγ)}の値が0.70であった。
試料58〜60、試料62〜64、試料66〜68の合成粒子は、強靭化成分を含み、Is(hkl)/(Iα+Iβ+Iγ)の値が0.01以上0.30以下の範囲であった。これらの合成粒子は、摩砕試験において、強靭化成分を含まない試料57よりも、同等以上の優れた耐摩砕性を示した。
一方、試料61、65、69の合成粒子は、強靭化成分を含み、Is(hkl)/(Iα+Iβ+Iγ)の値が0.40であった。これらの合成粒子は、摩砕試験において、強靭化成分を含まない試料57より、耐摩砕性が劣っていた。
試料71〜73、試料75〜77、試料79〜81、試料83〜85、試料87〜89、試料91〜93、試料95〜97は、強靭化成分を含み、Is(hkl)/(Iα+Iβ+Iγ)の値が0.01以上0.30以下の範囲であった。これらの合成粒子は、摩砕試験において、強靭化成分を含まない試料70よりも、同等以上の優れた耐摩砕性を示した。
一方、試料74、78、82、86、90、94、98は、強靭化成分を含み、Is(hkl)/(Iα+Iβ+Iγ)の値が0.30以上であった。これらの合成粒子は、摩砕試験において、強靭化成分を含まない試料70より、耐摩砕性が劣っていた。
<試料99〜139>
(原料粒子の準備)
α−SiAlON(平均粒径2μm)とβ−SiAlON(平均粒径2μm)を、超硬ボールによるボールミルにて解砕、分散混合して原料粒子を得た。
(原料粒子の測定)
原料粒子中のSi、Al、OおよびNの合計質量に対する、Si、Al、O、Nのそれぞれの含有率(質量%)を高周波誘導結合プラズマ発光分析法(ICP分析)、及び不活性ガス融解赤外線吸収法、不活性ガス融解熱伝導度法を用いて測定した。
α相型SiAlONの(201)面、およびβ相型SiAlONの(101)面での半値幅をX線回折法により算出した。
結果を表4および表5に示す。
(合成粒子の作製)
次に、原料粒子300gをヒートシンク、および圧力媒体としての銅粉と混合して、鋼製容器に充填し、爆薬の爆発による衝撃圧縮法により、表4および表5に記載の圧力(10GPa〜50GPa)および温度(1000℃〜2000℃)で処理した。
衝撃圧縮処理により得られた粉末を、ボールミルにより粉砕した。次に、粉砕粉末を硝酸処理して不純物成分を除去した後に、水簸により分級回収して合成粒子を得た。
(合成粒子の測定)
合成粒子をX線回折Cu−Kα線を用いたX線回折法で分析すると、γ−SiAlONに対応するX線回折線のピーク、α−SiAlONに対応するX線回折線のピーク、β−SiAlONに対応するX線回折線のピークが同定された。
次に、合成粒子中のγ−SiAlONの(400)面でのX線回折線のピーク強度Iγ、α−SiAlONの(201)面でのX線回折線のピーク強度Iα、β−SiAlONの(101)面でのX線回折線のピーク強度を測定し、{(Iα+Iβ)/(Iα+Iβ+Iγ)}の値を算出した。
さらに、合成粒子中のγ−SiAlONの(400)面でのX線回折線の半値幅を算出した。
合成粒子の平均粒径をレーザー式の粒度分布測定装置(マイクロトラック製MT3300EX2)を用いて測定した。
合成粒子中のSi、Al、OおよびNの合計質量に対するSi、Al、O、Nのそれぞれの含有率(質量%)を高周波誘導結合プラズマ発光分析法(ICP分析)、および不活性ガス融解赤外線吸収法、不活性ガス融解熱伝導度法を用いて測定した。
結果を表4および表5に示す。
(摩砕試験)
作製した合成粒子150gを、Al23ボールの入ったエタノール溶媒中で、3000rpmで回転させ、合成粒子の平均粒径D50の値が1/2になるまでの時間T(min)を測定した。Tの値が大きいほど、耐摩砕性が優れている。
結果を表4および表5に示す。
Figure 0005880267
Figure 0005880267
(評価結果)
試料99〜139の合成粒子のうち、合成粒子中のSi、Al、O、Nの合計質量に対する、Si、Al、O、Nのそれぞれの含有率が同じ合成粒子どうしを比較すると、合成粒子中のγ−SiAlONの(400)面でのX線回折線の半値幅の値が0.4°以上2.0°以下の合成粒子は、他の合成粒子に比べて、耐摩砕性が優れていた。
<試料140〜185>
(原料粒子の準備)
α−SiAlON(平均粒径2μm)とβ−SiAlON(平均粒径2μm)を、表6および表7の「充填量(g)」に記載のとおり準備した。
(原料粒子の測定)
原料粒子中のSi、Al、OおよびNの合計質量に対する、Si、Al、O、Nのそれぞれの含有率(質量%)を高周波誘導結合プラズマ発光分析法(ICP分析)、および不活性ガス中溶融ガス分析法、不活性ガス中溶融熱伝導度法を用いて測定した。
α相型SiAlONの(201)面、およびβ相型SiAlONの(101)面での半値幅をX線回折法により算出した。
結果を表6および表7に示す。
(合成粒子の作製)
次に、原料粒子300gをヒートシンク、および圧力媒体としての銅粉と混合して、鋼製容器に充填し、爆薬の爆発による衝撃圧縮法により、40GPaの圧力および2000℃の温度で処理した。
衝撃圧縮処理により得られた粉末を、ボールミルにより粉砕した。次に、粉砕粉末を硝酸処理して不純物成分を除去した後に、水簸により分級回収して合成粒子を得た。
(合成粒子の測定)
合成粒子をCu−Kα線を用いたX線回折法で分析すると、γ−SiAlONに対応するX線回折線のピーク、α−SiAlONに対応するX線回折線のピーク、β−SiAlONに対応するX線回折線のピークが同定された。
次に、合成粒子中のγ−SiAlONの(400)面でのX線回折線のピーク強度Iγ、α−SiAlONの(201)面でのX線回折線のピーク強度Iα、β−SiAlONの(101)面でのX線回折線のピーク強度を測定し、{(Iα+Iβ)/(Iα+Iβ+Iγ)}の値を算出した。
さらに、合成粒子中のγ−SiAlONの(400)面でのX線回折線の半値全幅を算出した。
合成粒子の平均粒径をレーザー式の粒度分布測定装置(マイクロトラック製MT3300EX2)を用いて測定した。
合成粒子中のSi、Al、OおよびNの合計質量に対するSi、Al、O、Nのそれぞれの含有率(質量%)を高周波誘導結合プラズマ発光分析法(ICP分析)、および不活性ガス融解赤外線吸収法、不活性ガス融解熱伝導度法を用いて測定した。
結果を表6および表7に示す。
(焼結体の作製)
得られた合成粒子と、結合材(TiN:FeNi:TiAl3:Al23=70質量%:10質量%:15質量%:5質量%の比率で含む混合粉末)とを、表6および表7の「含有率(体積%)」に記載の割合で、エタノール溶媒を用いて分散混合して混合粉を得た。該混合粉をガードル型超高圧プレスを用いて、表6および表7に記載の焼結圧力(0.1〜20GPa)および焼結温度(800〜2200℃)で60分間焼結し、焼結体を作製した。
次いで焼結体を研磨し、その研磨面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて観察し、それに付属の波長分散型X線分析(EPMA:Electron Probe Micro-Analysis)を用いて、複合焼結体の断面中におけるSiAlONと結合材成分の同定を行ない、SiAlON基粒子を100点以上包含する領域の反射電子像について、画像処理によってSiAlONの面積比率の百分率を算出した。その結果、上記の混合粉における合成粒子および結合材の配合比と、最終的に得られる複合焼結体を構成する合成粒子および結合材の体積比とは同一とみなし得た。なお、表6および表7の「焼結体の結合材の種類」の欄に記載されている化合物は、焼結体中の残部に含まれる化合物の種類を示す。
(切削試験)
得られた焼結体を切削に関与する部分に備える切削チップを作製した。このチップ形状は、ISO型番でCNGA120408に分類され、刃先処理を−25°の角度で、幅0.15mmのチャンファー形状とし、切刃傾き角、横すくい角、前逃げ角、横逃げ角、前切刃角、横切刃角がそれぞれ、−5°、−5°、5°、5°、5°、−5°となるようにホルダーに取り付け、切削工具を作製した。
該切削工具を用いて、以下の切削条件で連続切削を行なうことにより、工具寿命を評価した。
被削材:インコネル718の丸棒の外径加工
被削材硬度:HRC40
切削速度:V=200m/min
切り込み:d=0.2mm
送り速度:f=0.1mm/rev
クーラント:エマルジョン20倍希釈
工具寿命は、切削工具の逃げ面の最大摩耗量(VBmax)が0.2mmとなるまでの切削距離(km)によって評価した。最大摩耗量(VBmax)が0.2mm未満において欠損が生じた場合は、その欠損が生じるまでの切削距離によって評価することとした。なお、切削距離が長いほど、切削工具の耐摩耗性および耐欠損性が優れることを示している。
結果を表6および表7に示す。
<試料186〜188>
試料186〜188は、以下の焼結体を準備して、試料140〜185と同様の条件で切削試験を行った。
試料186:α−SiAlON基セラミックス焼結体。
試料187:β−SiAlON基セラミックス焼結体。
試料188:cBN(立方晶窒化ホウ素)基焼結体。
結果を表6および表7に示す。
Figure 0005880267
Figure 0005880267
(評価結果)
試料140〜185の焼結体のうち、焼結体中の合成粒子の含有率が20体積%以上95体積%以下の焼結体は、従来例である試料186、187の焼結体よりも、切削試験において、切削距離が長く、切削工具の耐摩耗性および耐欠損性が優れていた。
一方、試料180の焼結体は、焼結体中の合成粒子の含有率が10体積%であり、従来例である試料186、187の焼結体よりも、切削試験において、切削距離が短く、切削工具の耐摩耗性および耐欠損性が劣っていた。
試料174は、合成粒子のみ(焼結体中の合成粒子の含有率が100体積%)に焼結工程を行ったが、焼結体を得ることができなかった。
試料146では、焼結温度が800℃と低温であったため、SiAlON基粒子や結合材間の拡散、焼結が進まず、焼結できなかった。
<試料189〜234>
(原料粒子の準備)
α−SiAlON(平均粒径3μm)とβ−SiAlON(平均粒径3μm)を、表8および表9の「充填量(g)」に記載のとおり準備した。超硬ボールによるボールミルにて解砕、分散混合して原料粒子を得た。
(原料粒子の測定)
原料粒子中のSi、Al、OおよびNの合計質量に対する、Si、Al、O、Nのそれぞれの含有率(質量%)を高周波誘導結合プラズマ発光分析法(ICP分析)、および不活性ガス融解赤外線吸収法、不活性ガス融解熱伝導度法を用いて測定した。
α相型SiAlONの(201)面、およびβ相型SiAlONの(101)面での半値幅をX線回折法により算出した。
結果を表8および表9に示す。
(合成粒子の作製)
次に、原料粒子300gをヒートシンク、および圧力媒体としての銅粉と混合して、鋼製容器に充填し、爆薬の爆発による衝撃圧縮法により、40GPaの圧力および2000℃の温度で処理した。
衝撃圧縮処理により得られた粉末を、ボールミルにより粉砕した。次に、粉砕粉末を硝酸処理して不純物成分を除去した後に、水簸により分級回収して合成粒子を得た。
(合成粒子の測定)
合成粒子をCu−Kα線を用いたX線回折法で分析すると、γ−SiAlONに対応するX線回折線のピーク、α−SiAlONに対応するX線回折線のピーク、β−SiAlONに対応するX線回折線のピークが同定された。
次に、合成粒子中のγ−SiAlONの(400)面でのX線回折線のピーク強度Iγ、α−SiAlONの(201)面でのX線回折線のピーク強度Iα、β−SiAlONの(101)面でのX線回折線のピーク強度を測定し、{(Iα+Iβ)/(Iα+Iβ+Iγ)}の値を算出した。
さらに、強靭化成分に対応するX線回折線のうち、最強回折線のピーク強度Is(hkl)を測定し、{Is(hkl)/(Iα+Iβ+Iγ)}の値を算出した。
さらに、合成粒子中のγ−SiAlONの(400)面でのX線回折線の半値幅を算出した。
合成粒子の平均粒径をレーザー式の粒度分布測定装置(マイクロトラック製MT3300EX2)を用いて測定した。
合成粒子中のSi、Al、OおよびNの合計質量に対するSi、Al、O、Nのそれぞれの含有率(質量%)を高周波誘導結合プラズマ発光分析法(ICP分析)、および不活性ガス融解赤外線吸収法、不活性ガス融解熱伝導度法を用いて測定した。
結果を表8および表9に示す。
(焼結体の作製)
得られた合成粒子と、下記(1)〜(12)の各種結合材、
(1) TiN:TiAl3:Al23:TiB2=77質量%:15質量%:5質量%:3質量%の割合で含む混合粉末。試料189〜209で使用。
(2) TiCN:TiAl3:Al23:TiB2=77質量%:15質量%:5質量%:3質量%の割合で含む混合粉末。試料210〜214で使用。
(3) TiZrCN:TiAl3:Al23:TiB2=77質量%:15質量%:5質量%:3質量%の割合で含む混合粉末。試料215〜219で使用。
(4) TiCN:Al23:Ti2AlN:Y23=77質量%:15質量%:5質量%:3質量%の割合で含む混合粉末。試料220〜222で使用。
(5) TiCN:Al23:Ti2AlN:CaO=77質量%:15質量%:5質量%:3質量%の割合で含む混合粉末。試料223で使用。
(6) TiCN:Al23:Ti2AlN:FeSi=77質量%:15質量%:5質量%:3質量%の割合で含む混合粉末。試料224で使用。
(7) TiCN:Al23:Ti2AlN:TiSi=77質量%:15質量%:5質量%:3質量%の割合で含む混合粉末。試料225で使用。
(8) TiCN:Al23:Ti2AlN:AlN=77質量%:15質量%:5質量%:3質量%の割合で含む混合粉末。試料226で使用。
(9) TiCN:Al23:Ti2AlN:cAlN(立方晶窒化アルミニウム)=77質量%:15質量%:5質量%:3質量%の割合で含む混合粉末。試料227で使用。
(10) TiCN:Al23:Ti2AlN:hBN(六方晶窒化ホウ素)=77質量%:15質量%:5質量%:3質量%の割合で含む混合粉末。試料228で使用。
(11) TiCN:Al23:Ti2AlN:cBN(立方晶窒化ホウ素)=77質量%:15質量%:5質量%:3質量%の割合で含む混合粉末。試料229で使用。
(12) TiCN:Al23:Ti2AlN:AlN:cBN(立方晶窒化ホウ素)=77質量%:12質量%:5質量%:3質量%:3質量%の割合で含む混合粉末。試料230〜234で使用。
とを、表8および表9の「含有率(体積%)」に記載の割合で、エタノール溶媒を用いて分散混合して混合粉を得た。該混合粉をガードル型超高圧プレスを用いて、6GPaの圧力および表8および表9に記載の温度(800〜2000℃)条件下で120分間焼結し、焼結体を作製した。
次いで焼結体を研磨し、その研磨面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて観察し、それに付属の波長分散型X線分析(EPMA:Electron Probe Micro-Analysis)を用いて、複合焼結体の断面中におけるSiAlONと結合材成分の同定を行ない、SiAlON基粒子を100点以上包含する領域の反射電子像について、画像処理によってSiAlONの面積比率の百分率を算出した。その結果、上記の混合粉における合成粒子および結合材の配合比と、最終的に得られる複合焼結体を構成する合成粒子および結合材の体積比とは同一とみなし得た。なお、表8および表9の「焼結体の結合材の種類」の欄に記載されている化合物は、焼結体中の残部に含まれる化合物の種類を示す。
(切削試験)
得られた焼結体を切削に関与する部分に備える切削チップを作製した。このチップ形状は、ISO型番でCNGA120408に分類され、刃先処理を−25°の角度で、幅0.15mmのチャンファー形状とし、切刃傾き角、横すくい角、前逃げ角、横逃げ角、前切刃角、横切刃角がそれぞれ、−5°、−5°、5°、5°、5°、−5°となるようにホルダーに取り付け、切削工具を作製した。
該切削工具を用いて、以下の切削条件で連続切削を行なうことにより、工具寿命を評価した。
被削材:インコネル718の丸棒の外径加工
被削材硬度:HRC40
切削速度:V=200m/min
切り込み:d=0.2mm
送り速度:f=0.1mm/rev
クーラント:エマルジョン20倍希釈
工具寿命は、切削工具の逃げ面の最大摩耗量(VBmax)が0.2mmとなるまでの切削距離(km)によって評価した。最大摩耗量(VBmax)が0.2mm未満において欠損が生じた場合は、その欠損が生じるまでの切削距離によって評価することとした。なお、切削距離が長いほど、切削工具の耐摩耗性および耐欠損性が優れることを示している。
結果を表8および表9に示す。
Figure 0005880267
Figure 0005880267
<試料235〜237>
試料235〜237は、以下の焼結体を準備して、試料189〜234と同様の条件で切削試験を行った。
試料235:α−SiAlON基セラミックス焼結体。
試料236:β−SiAlON基セラミックス焼結体。
試料237:cBN(立方晶窒化ホウ素)基焼結体。
結果を表8および表9に示す。
(評価結果)
試料189〜234の焼結体は、焼結体中の合成粒子の含有率が80体積%であり、結合材としてTiN、Al23、TiB2、TiCN、TiZrCN、TiAl3、Ti2AlN、Y23、CaO、FeSi、TiSi、AlN、cAlN、hBN、cBNの少なくともいずれかを用い、残部にTiN、Al23、TiB2、TiCN、TiZrCN、Y23、CaO、FeSi、TiSi、AlN、cAlN、hBN、cBNの少なくともいずれかを含む。これらの焼結体は、焼結工程を行っても焼結体を得られなかった試料195および試料223を除き、従来例である試料235、236の焼結体よりも、切削試験において、切削距離が長く、切削工具の耐摩耗性および耐欠損性が優れていた。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (9)

  1. α相型SiAlONおよびβ相型SiAlONの少なくともいずれかと、γ相型SiAlONとを含むSiAlON基粒子であって、
    前記SiAlON基粒子は、エタノール溶媒に超音波分散させた際の平均粒径が0.1μm以上100μm以下であり、
    前記SiAlON基粒子は、前記SiAlON基粒子中のケイ素、アルミニウム、酸素、および窒素の合計質量に対して、ケイ素を18.68質量%以上59.33質量%以下、アルミニウムを0.96質量%以上38.72質量%以下、酸素を2.08質量%以上24.44質量%以下、および窒素を18.16質量%以上37.63質量%以下の範囲で含み、
    X線回折法による前記α相型SiAlONの(201)面でのX線回折線のピーク強度Iα、X線回折法による前記β相型SiAlONの(101)面でのX線回折線のピーク強度Iβ、およびX線回折法による前記γ相型SiAlONの(400)面でのX線回折線のピーク強度Iγが、下記式(I)で表わされ
    0.09≦(Iα+Iβ)/(Iα+Iβ+Iγ)≦0.88 (I)
    前記SiAlON基粒子は強靭化成分をさらに含み、
    前記強靭化成分は、ホウ素、炭素、マグネシウム、カルシウム、イットリウム、鉄、ニッケル、コバルト、周期律表の第4a族元素、第5a族元素、第6a族元素、Si 3 4 、AlON、AlNおよびAl 2 3 の中から選ばれる少なくとも1種を含み、
    前記Iα、前記Iβ、前記Iγ、およびX線回折法による前記強靭化成分の最強回折線のピーク強度Is(hkl)が、下記式(IV)で表わされる、SiAlON基粒子。
    0.01≦Is(hkl)/(Iα+Iβ+Iγ)≦0.3 (IV)
  2. 前記SiAlON基粒子は、前記SiAlON基粒子中のケイ素、アルミニウム、酸素、および窒素の合計質量に対して、ケイ素を34.71質量%以上58.29質量%以下、アルミニウムを1.93質量%以上23.83質量%以下、酸素を2.65質量%以上15.62質量%以下、および窒素を25.84質量%以上37.13質量%以下の範囲で含み、
    前記Iα、前記Iβ、前記Iγが下記式(II)の関係で表わされる、請求項1に記載のSiAlON基粒子。
    0.13≦(Iα+Iβ)/(Iα+Iβ+Iγ)≦0.82 (II)
  3. 前記SiAlON基粒子は、前記SiAlON基粒子中のケイ素、アルミニウム、酸素、および窒素の合計質量に対して、ケイ素を45.02質量%以上57.26質量%以下、アルミニウムを2.89質量%以上14.61質量%以下、酸素を2.84質量%以上10.2質量%以下、および窒素を30.17質量%以上36.63質量%以下の範囲で含み、
    前記Iα、前記Iβ、前記Iγが下記式(III)で表わされる、請求項1または2に記載のSiAlON基粒子。
    0.18≦(Iα+Iβ)/(Iα+Iβ+Iγ)≦0.75 (III)
  4. 前記Iα、前記Iβ、前記Iγ、および前記Is(hkl)が、下記式(V)で表わされる、請求項1〜3のいずれかに記載のSiAlON基粒子。
    0.01≦Is(hkl)/(Iα+Iβ+Iγ)≦0.2 (V)
  5. X線回折法による前記γ相型SiAlONの(400)面でのX線回折線の半値幅が、0.4°以上2.0°以下である、請求項1〜のいずれかに記載のSiAlON基粒子。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載のSiAlON基粒子を20体積%以上95体積%以下含む、焼結体。
  7. 前記焼結体は、前記SiAlON基粒子および残部からなり、
    前記残部はアルミニウム、ホウ素、ケイ素、鉄、ニッケル、コバルト、マグネシウム、カルシウム、イットリウム、ならびに周期律表の第4a族元素、第5a族元素および第6a族元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素およびホウ素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とからなる少なくとも1種の化合物、ならびに前記化合物の固溶体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、
    請求項に記載の焼結体。
  8. 前記残部は、AlNおよびBNの少なくとも1種を含む、請求項に記載の焼結体。
  9. 請求項のいずれかに記載の焼結体を用いた工具。
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