JP2000039427A - 液体クロマトグラフィー用送液ポンプ - Google Patents
液体クロマトグラフィー用送液ポンプInfo
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Abstract
密な送液を可能とする。 【解決手段】異径同軸プランジャーで共通に駆動される
第1ポンプヘッド5A1,5A2と第2ポンプヘッド5
B1,5B2をもつ体積の異なる2つのポンプヘッドを
有し、第1ポンプヘッドおよび第2ポンプヘッドの各異
径同軸プランジャーの大径部で駆動される2つのポンプ
ヘッドを第1ポンプ5Aとし、異径同軸プランジャーの
小径部で駆動される2つのポンプヘッドを第2ポンプ5
Bとして、第1ポンプと第2ポンプをシリアルに結合
し、第1ポンプ5Aの吐出口に設置した加熱器8で加熱
された溶離液中のエアバブルを除去する気/液セパレー
タ4を備え、気/液セパレータ4でエアバブルを除去し
た溶離液を第2ポンプ5Bで吸引して前記分析部に送液
する如く構成した。
Description
り、特に液体クロマトグラフィーを用いて成分分析する
溶離液中に溶存する気体成分および気泡(バブル)を除
去して微量かつ精密な高速送液を可能とした高速液体ク
ロマトグラフィー用送液ポンプに関する。
グラフィー(以下、HPLCとも称する)は、溶離液
(溶液、ソルベント)貯留容器から送液ポンプにより溶
離液を吸入し、これをサンプル注入バルブを介して分離
カラムを含む検出手段に送液し、検出した結果を記録あ
るいはモニター画面に出力する。
液、またはミクロ送液)で高い送液精度を行う高速・高
精度の液体クロマトグラフィー(セミミクロHPLC、
マイクロHPLC)では、その送液ポンプの送液安定性
を確保する目的で、送液ポンプの吸入側にエアトラップ
あるいはデガッサー(脱気装置)等の相分離器(以下、
フェーズセパレータ、気/液セパレータとも称する)を
設置してある。
は、溶離液中に存在する不要気体(エア、その他のガ
ス、以下エアとも称する)を除去(以下、脱気、または
トラップとも称する)することにある。特に、電極還元
反応を測定する場合には、溶離液中の溶存酸素が測定値
に大きく影響する。すなわち、溶存酸素自身の還元反応
が大きなバックグラウンド電流となり、ノイズ増大の原
因となる。
的なシステム構成を説明する模式図である。第1容器
(溶離液貯留容器)1に貯留してある溶離液2は配管3
を介して送液ポンプ5の汲み上げにより相分離器4を通
して脱気された後、サンプル注入バルブ(オートサンプ
ラー)6→カラム7→検出器8に通過し、検出器8から
の溶離液は廃液9として第2容器10に廃棄される。図
中の矢印は送液方向を示す。
装置11に転送されて、所要のデータ処理を施し、可視
あるいはコンピユータ処理可能なデータ形態として提供
され、かつ記録装置等に保存される。
るために恒温槽7Aに収納されており、また、相分離器
5とサンプル注入バルブ6の制御はシステムコントロー
ラ12により行われる。
4は、送液ポンプ5によって第1容器1から吸い上げる
溶離液2に溶存するエアを除去することで、安定した送
液と正確な分析を行うようにしている。
ィーを構成する他の部材およびシステム全体の機能は既
知であるので、説明は省略する。
1.5ミリリットル/分)からセミミクロ及びミクロ領
域の流速領域(1〜300マイクロリッル/分)に送液
領域が移行した時、現状でも問題となっている溶存気体
の問題(所謂、エアトラブル)は、送液精度を維持する
上でますます重要な問題となってくる。
謂、エアバブル)として存在するエアと溶離液中に溶存
した状態のエアとの2通りに起因する。
(図5の第1容器)に蓄えられており、この容器から直
接に送液ポンプで溶離液を汲み上げる場合、容器と送液
ポンプをテフロンチューブ(テフロンは商品名、以下同
じ)のような細管で連結する。したがって、溶離液は必
ず細管を通って送液ポンプに入る。
にエアバブルが存在するか否かを確認する。エアバルブ
が見られる場合はマニュアル操作で細管内部のエアバブ
ルを除去した後、送液を開始する。エアバブルが無いこ
とを確認した状態で送液を開始する訳けであるが、流量
がマイクロ領域で長時間に渡って安定した送液を必要と
する場合は、溶離液中の溶存酸素によるトラブルが生じ
る。その理由は、送液ポンプが吸引工程のとき、ポンプ
内部は減圧状態になるので、溶離液中の溶存酸素がエア
バブルとなり、このバブルが送液を不安定にさせるため
である。
に説明するような対策が採られている。
見られるエアバルブについては当該吸入口の前に小さな
エアボトル(エアトラップ)を設け、エアバブルと液体
(溶離液)を分離して、液成分のみを送液ポンプが吸引
するようにする。
式図である。容器1の溶離液2は送液ポンプ5で細管3
1を通って汲み上げられるが、この細管31の送液ポン
プ5の前段にエアトラップ4Aを設置する。エアトラッ
プ4Aは密閉した所謂エアボトルの上方に容器1からの
細管31の端部を開放し、底部に送液ポンプ5につなが
る細管41の吸入端を設置する。
4Aに流入すると、エアトラップ4A内で上方にエア成
分(気相)が、下方に液成分(液相)が分離される。送
液ポンプ5はエアトラップの底部から液成分のみを吸引
する。なお、エアトラップ4Aの上部には分離されたエ
ア成分を放出する細管32とバルブ33が設けられてい
る。
A内部の液体を吸引すると、エアトラップ4Aの内部は
減圧され、容器1の内部は大気圧であるため、その溶離
液2は細管3と31を通ってエアトラップ4Aの内部に
送られる。このとき、溶離液中にエアが存在すると、エ
アトラップ4Aの内部でアエ成分は上部に、液成分は下
部に、それぞれ分離される。これにより、送液ポンプ5
はエアを吸引することなく溶離液のみを送液することに
なる。
共に上部にエアが溜まってくるが、適宜にバルブ33を
開いて細管32からエア抜きを行う。
見られるエアバルブについて、当該吸入口の前に脱気装
置(デガッサー)を設置して液体(溶離液)からエア成
分を分離して、液成分のみを送液ポンプが吸引するよう
にする。
図である。容器からの溶離液は送液ポンプ5で細管31
を通って汲み上げられるが、この細管31の送液ポンプ
5の前段にデガッサー4Bを設置する。デガッサー4B
は真空ポンプ15で排気される真空チャンバー13の内
部に脱気モジュール16を設置し、真空チャンバー13
の出口の細管41に送液ポンプ5を接続する。
タ16a,16bに連結した多数のテフロン等のチュー
ブからなるガス透過膜で構成され、チューブ内を通過す
る際に溶離液に溶存している溶存気体を真空チャンバー
13に排出させる。これにより、送液ポンプ5の吸引時
の当該送液ポンプ5でのエアバブルの発生を防止する。
なお、このデガッサーで除去されるのは主として溶存酸
素であり、大きな気泡(バブル)の粒はデガッサーを通
過してしまう。
ラップの使用によって一見解決しそうに見えるが、実際
にはトラブルを発生する幾つかの問題点を含んでいる。
は無理があることである。エアトラップを使用する場
合、当該トラップ内部のエア量を確認する必要があるこ
とと、エア量が多い場合はマニュアル操作でエアを抜き
取らなければならない。このような操作条件では長時間
の運転中にエアトラップに徐々に蓄積されてくるエア量
を四六時中確認することができないので、連続でポンプ
を運転することが困難となってくる。
アバブルを除去する方法では、自動化された装置にポン
プを組み込み、数十日間連続運転するような条件の操作
には使用できないということになる。
る程、エアトラップが有効的に働かなくなる可能性が大
きくなる。吸入側のチューブにエアバブルが発生するの
は、多くの場合、前掲のテフロンチューブを配管チュー
ブに使用しているため、夜間ポンプが停止した状態にな
っていると、チューブの膜を通過してエアが外部から内
部へ侵入することによるのが原因である。これらの目で
見える多量のエアはエアトラップで除去されるが、マイ
クロ送液では、これらの液体を送液ポンプ内部に吸引し
た時、当該ポンプ内部で発生する極めて微量のエアバブ
ルが問題となる。例えば、数十マイクロリットル/分の
送液では1マクロリットル/分以下のエアバブルでも送
液の安定性は大きく損なわれる。
ブルの発生原因は、液体の温度がエアトラップと送液ポ
ンプ内部で異なることによって生じるものと考えられ
る。エアトラップの温度は、エアトラップが送液ポンプ
の外部に付いているので、通常は室温に近い温度にあ
る。これに対し、送液ポンプ内部はモータ及び電気系に
よって発生する熱がポンプ部に伝導することにより、通
常の室温より高い温度になっている。
大きいので、エアトラップの液体が温度のより高いポン
プの内部へ吸引された時、気体の溶解度は減少する。こ
の温度差によってエアバブルが発生することになる。ポ
ンプが吸込み工程のときはポンプ内部は減圧になってい
るので、更にエアは発生し易い状態となる。
が大きいときは小さなエアバブルの体積は相対的に無視
できることになるが、ポンプ体積がマイクロ送液では3
2〜8マイクロリットル/分と小さくなってくると、最
早小さなエアバブルを無視できなくなってくる。
変化による溶存ガスの溶解度の変化を考慮に入れなけれ
ば、長時間の安定送液は困難となる。
のHPLCを対象として作られているため、マイクロ送
液に使用するには問題がある。一番の問題点は、脱気モ
ジュールのサイズが大きいことである。前記図7で説明
したように、従来のデガッサーは、複数のテフロンチュ
ーブからなる脱気モジュールの中を液体が通過し、上記
テフロンチューブの外側を減圧することにより、エアバ
ブル端部に溶解した溶存ガスを除去するものである。
トルというサイズであると、ポンプの流速が1〜1.5
ミリリットル/分であれば最適な大きさであるが、流速
が0.3〜0.05ミリリットル/分、または0.05
〜0.005ミリリットル/分のオーダになると大き過
ぎるということになる。マイクロ送液をするためにはど
うしても脱気モジュールの大きさを小さくする必要があ
る。
体積を単に小さくすることは可能である。脱気モジュー
ルに使用されているテフロンチューブの長さ(典型的に
は2.5m)を短くすることで内部体積を小さくするこ
とは容易である。しかし、これでは脱気モジュールの内
部液体の置換効率が低下し脱気効率の低下をもたらす。
その理由は、テフロンチューブを短くするに従い複数の
テフロンチューブに液体が通過するときに生じる流動抵
抗の大きさのバラツキが大きくなり、液体の置換効率が
悪化する。簡単に説明すれば、抵抗の小さいテフロンチ
ューブ内の液体は短時間に通過してしまうからである。
ガッサーを使用すればエアバブルの除去も有効であると
考える人も多いようである。しかし、これは間違いであ
る。恐らく、デガッサーという言葉から、エアトラブル
に対しては全て対策できるものというイメージが作られ
たと思われる。デガッサーは液体中に溶存するガス分を
除去することを目的とするものであって、エアバブルそ
れ自体を除去するものではない。
〜9ppmであり、デガッサーを用いることにより、こ
れを1ppm程度の濃度に下げることが可能である。デ
ガッサーの使用により、約8ppm程度濃度が下がると
考えてよい。
が液体を送液しているとすると、この時デガッサーによ
って除去される濃度変化に相当するエアの体積は5.6
マイクロリットルの体積となる。
小さなエアバブルであり、明らかに目で見える程度の大
きいエアバブルはデガッサーで除去することはできな
い。仮に、デガッサーの能力を前記した計算の5倍とし
たとき、従来のデガッサーで28マクロリットル/分、
このサイズを1/10にしたデガッサーでは2.8マイ
クロリットル/分となる。これ以上のエアがデガッサー
に入り込むと、エアバブルはデガッサーを通過してしま
うことになる。
プを同時に使用したとしても、マイクロ送液で長時間の
安定送液を維持することは困難であることが分かる。し
かし、マイクロ送液において、当該マイクロ送液用に開
発されたデガッサーが必要であることは言うまでもな
い。ここで言うマイクロデガッサーとは、先にモーレ
(株)等が開発し、出願した脱気モジュールであり、容
積が小さく、液体の置換効率が良く、かつ脱気効率が従
来のデガッサーに比較して優れた機能を備えたものであ
る。
を説明する断面模式図であって、図中、このデガッサー
4Cは、前記図7におけるテフロンチューブに代えて少
なくとも2枚のテフロンシートで形成した薄い平面状の
液体通路を有せしめたものである。図示しない容器から
の溶離液は細管31からコネクタ104を介して脱気モ
ジュール16’に流入する。流入した溶離液はテフロン
シートの間を通る過程で溶存したエア分が真空チャンバ
ー13内に浸出し、エアが除去された溶離液としてコネ
クタ105を介して細管41を通り送液ポンプ5で送液
される。その他の構成は前記図7と同様であるので説明
は省略する。
脱気装置については、例えば米国特許明細書第5,47
2,598号を参照されたい。
を解決する方法として、送液ポンプシステムを変えるこ
とが従来から試みられてきた。従来のHPLC用の送液
ポンプは、図9に示したような2つのシステムに分類さ
れる。
エアトラブルとの関係の説明図であって、(a)はパラ
レル型送液ポンプシステム、(b)はシリーズ型送液ポ
ンプシステム、50A,50Bはポンプのプランジャー
を示す。
は、最もポピュラーなシステムであり、2つのプランジ
ャー50A,50Bをパラレルに接続し、液体は矢印に
示すように2つのプランジャー50A,50Bに各々吸
引されて交互に送り出されて連続送液するように配置さ
れる。
ムは、2つのプランジャー50A,50Bが直列に接続
され、液体は矢印に示すように初段のプランジャー50
Aに吸引され、この初段のプランジャー50Aが吐出す
る液体の1/2の量を次段のプランジャー50Bが吸引
し、初段のプランジャー50Aが液体を吸引する時次段
のプランジャー50Bが吐出する動作を実行することに
より連続的に送液を行うように配置される。
シリーズ型送液ポンプシステムの方が、ポンプがエアバ
ブルを吸引したときのエアバブルが抜け易い。
は、プランジャー体積の大きさにある。(b)のポンプ
システムでは、初段のプランジャー50Aの体積は次段
プランジャー50Bの体積の2倍大きいものを使用して
いる。このプランジャーの体積は、(a)ポンプシステ
ムのプランジャーの2倍でもある。このような大きな体
積のプランジャーを用いることがエアバブルを除去する
能力が大きいことの理由の1つである。
けが良い理由の第2は、プランジャーの配置にある。
(b)のポンプシステムでは、2つのプランジャー50
A,50Bは直列に配置され、初段のプランジャー50
Aが液体を吐出するとき次段のプランジャー50Bが吐
出された液体の吸引を行う。このように、初段のプラン
ジャー50Aが液体を吐出するとき次段のプランジャー
50Bが吐出された液体の吸引を行うために、エアバブ
ルは(a)のポンプシステムよりも抜け易い。
よりエアバブルを抜け易くすることは可能である。しか
し、エアバブルがポンプ内部に存在する間は流量が不安
定となる。上記した(a)と(b)のポンプシステムの
違いは、エアバブルがポンプ内部に入ったとき、流量が
不安定となる時間は(b)のポンプシステムの方が短い
点である。
はエアトラブルが全く無くなると言うことではなく、こ
のエアトラブルの大きさが(a)のポンプシステムより
も少なくなると考えるべきであり、根本的なエアバブル
の除去は困難である。
解消し、溶離液中のエアバブルの影響を全く受けずに精
密な送液を可能とした液体クロマトグラフィー用送液ポ
ンプを提供することにある。
に、本発明は、同軸異径の共通プランジャーで駆動され
る2つのポンプヘッドで構成されたツインヘッドポンプ
を加熱器と気/液分離器(フェーズセパレータ)を介し
てシリアル接続し、上記共通プランジャーの同軸異径の
各大径部で駆動される一対のポンプヘッドで第1ポンプ
を構成し、各小径部で駆動される他の一対のポンプヘッ
ドで第2ポンプを構成した点に特徴を有する。
の通りである。
り溶離液を吸入し、吸入した溶離液に溶存する気体を除
去した後、サンプル注入バルブを介して分離カラムを含
む検出手段に送液するために、前記溶離液貯留容器と分
析部の間に設置する高速液体クロマトグラフィー用送液
ポンプであって、前記送液ポンプが、異径同軸プランジ
ャーで共通に駆動される第1ポンプヘッドと第2ポンプ
ヘッドをもつ体積の異なる2つのポンプヘッドを有し、
前記第1ポンプヘッドおよび第2ポンプヘッドの各異径
同軸プランジャーの大径部で駆動される2つのポンプヘ
ッドを第1ポンプとし、前記異径同軸プランジャーの小
径部で駆動される2つのポンプヘッドを第2ポンプとし
て、第1ポンプと第2ポンプをシリアルに結合してな
り、前記加熱器の出口に設置して、加熱された溶離液中
のエアーバブルを除去する気/液セパレータを有し、前
記気/液セパレータでエアバブルを除去した前記溶離液
を前記第2ポンプで吸引して前記分析部に送液する如く
構成したことを特徴とする。
アバブルの影響を全く受けずに精密な送液が可能とな
る。なお、加熱器を設置したことで、溶離液中に溶存し
ている気体が強制的に追い出され、気/液セパレータの
下部に溜まる液体の気体溶存量が低くなる。これによ
り、沸点の低い溶媒(メタノール、ヘキサン等)でも安
定した送液が可能となる。
ランジャーで共通に駆動される第1ポンプヘッドの体積
が前記第2ポンプヘッドの体積よりも大きいことを特徴
とする。
の下部に溜まった過剰の溶離液は再び第1ポンプに吸引
される。なお、第1ポンプヘッドの体積と前記第2ポン
プヘッドの体積の比は略2:1とするのが好適である
が、(第1ポンプヘッドの体積)>(前記第2ポンプヘ
ッドの体積)とすることで本発明の効果が達成できる。
記第1ポンプヘッドと第2ポンプヘッドの間に第2ポン
プヘッドのシール材の大気圧側を自動的に洗浄できる洗
浄ラインを設けたことを特徴とする。
設置されている裏面に設けられており、洗浄ポートとも
称する。この洗浄ラインに常時溶離液を流すことで、シ
ール材から漏れる溶離液を洗い流して溶離液からの析出
成分が蓄積してシール材を損傷するトラブルが回避され
る。
載の技術思想を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であ
ることは言うまでもない。
き、実施例の図面を参照して詳細に説明する。
送液ポンプの基本システムを説明する構成図である。同
図中、1は容器(図5の第1容器に相当)、2は溶液、
3は細管、4は気/液分離器、5Aは第1ポンプ、5B
は第2ポンプ、5Cは洗浄ライン(洗浄ポンプ)、5A
1は第1ポンプの第1ポンプヘッド、5A2は第1ポン
プの第2ポンプヘッド、5B1は第2ポンプの第1ポン
プヘッド、5A2は第2ポンプの第2ポンプヘッド、5
C1は第1の洗浄ライン、5C2は第2の洗浄ライン、
6は逆止弁、7は液体分離キャピラリを示す。
結され、それぞれの流速は異なっており、「第1ポンプ
の流速>第2ポンプの流速」を満足する流速設定となっ
ている。例えば、第1ポンプ5Aは200マイクロリッ
トル/分、第2ポンプ5Bは100マイクロリットル/
分の流速に設定される。なお、この流速および比率の差
は第1ポンプの流速>第2ポンプの流速であれば、上記
に限るものではない。
とする。第1ポンプ5Aと第2ポンプ5Bの間に液体を
加熱する加熱器8と液体からエアバブルを分離する気/
液セパレータ4が設置され、第1ポンプ5Aから送液さ
れた溶離液は、先ず加熱器8に導入され、次に気/液セ
パレータ4に導入される。第1ポンプ5Aの流量は大き
く設定されているので、多量のエアバブルを吸引しても
問題なく溶離液を送り出す能力を持っている。
バブルを含む溶離液のうち、エアバブルは上方へ、液体
(溶離液分)は下方に分離される。第2ポンプ5Bは気
/液セパレータ4の下部に溜まっている溶離液を吸引し
て送液する。
た溶離液を一部含むエアバブルは液体分離キャピラリ7
で溶離液が分離され、エアバブル分は外部に放出され
る。分離した溶離液は第1ポンプ5Aと第2ポンプ5B
のそれぞれのプランジャー5A1,5B1および5A
2,5B2の中間に配置して第1ポンプ5Aと第2ポン
プ5Bの背面を洗浄する洗浄ポンプで構成される洗浄ラ
イン5C1,5C2に通され、排出管34から排出され
る。
は、「第1ポンプ5A>第2ポンプ5B」に設定されて
いるので、気/液セパレータ4の下部に溜まった過剰の
溶離液は再び第1ポンプ5Aに吸引される。
5Bであるが、上記したポンプシステムでは、多量のエ
アバブルが入ってきても第2ポンプ5Bは全くエアバブ
ルの影響を受けないで送液が可能となる。
ポンプのポンプヘッドの構造例を説明する模式図であ
る。このポンプヘッドは、同軸のプランジャー51で動
作す2つのヘッドからなる。このプランジャー51は異
径同軸プランジャーと称し、先端の径が細い部分が第2
ポンプ5Bのプランジャーを形成し、径の細い部分と細
い部分の段差部分で第1ポンプ5Aのプランジャーを構
成する。50は本体ブロック、52はシール材、53A
1は第1ポンプの吸入弁、53A2は第2ポンプの吸入
弁、54A1は第1ポンプの吐出弁、54A2は第2ポ
ンプの吐出弁を示す。
それぞれが独立に保たれ、相互に影響を及ぼさないよう
になっている。このシール材52は、ポンプ内部を高圧
に維持するためにプランジャーと気密に封止する部分以
外の部分は大気圧に曝されている。また、第1ポンプと
第2ポンプの中間には第2ポンプのシール材の大気圧側
を洗浄するための洗浄ライン55が形成されている。
体を高圧で流すとき、液体は僅かながらシール材から漏
れ出す。シール材の低圧側は通常は大気と接する状態と
なっているので、沸点の低い有機溶媒等は事前に気化す
るが溶解している成分は析出してシール材に付着する。
例えば、塩を含む水溶液を送液した場合、シール材から
漏れた水分は蒸発するが、塩は結晶となり粉の状態でシ
ール材に付着残留する。シール材に残留した塩の粉はシ
ール材自体あるいはシール材とポンプの可動部分に侵入
してこれらを傷つけたり腐蝕させ、ポンプトラブルの原
因となる。
置して溶離液を常時流すことで上記したようなポンプト
ラブルの発生を防止する。
た送液ポンプを図9(a)に示したようなパラレル配置
した本発明の液体クロマトグラフィー用送液ポンプの1
実施例の送液ポンプ流系図である。この送液ポンプは図
9におけるポンプヘッド50A,50Bを図2のツイン
ヘッドで置き換えたものと考えてよい。
ヘッドの本体ブロック、51a,51bは各ポンプヘッ
ドの異径同軸プランジャー、56a,56bはこの異径
同軸プランジャー(第1のプランジャー51a、第2の
プランジャー51b)をそれぞれ駆動する第1カム、第
2カムである。なお、各ポンプヘッドの構造は図2で説
明したので繰り返しても説明は符号と共に省略する。
1のプランジャー51aと第2のプランジャー51b
は、それぞれカム56a、56bの回転でで往復駆動さ
れる。そして、各本体ブロック50aと50bの第1の
プランジャー51aと第2のプランジャー51bの大径
部分で構成されるポンプ部分が第1のポンプ5Aを構成
し、第1のプランジャー51aと第2のプランジャー5
1bの小径部分で構成されるポンプ部分が第2のポンプ
5Bを構成する。
含む溶離液は加熱器8で加熱された後、気/液セパレー
タ4でエア成分と溶離液成分に分離される。気/液セパ
レータ4の下部に溜まった溶離液は第1ポンプ5Aの1
/2の送液量の第2ポンプ5Bにより吸引され、クロマ
トグラフィー装置の検出部に送られる。
分は図1の気液分離キャピラリ7をとおして溶離液を分
離後、外部に排出される。分離された溶離液は洗浄ライ
ン55C2,55C1に通される。
液中の溶存酸素は自動的に部分的に除去され、溶離液中
のエアバブルは自動的に除去され、第2ポンプ5Bはエ
アバブルの影響を受けることなく、精密な送液を行うこ
とができる。
の溶存ガスの発生がどのように解決されるかについて説
明する。
が、前記したように、第1ポンプの内部で先ずエアバブ
ルが発生することになる。第1ポンプ5Aの内部でエア
バブルが発生して流量が低下したとしても、「第1ポン
プの流量>第2ポンプの流量」の条件が満たされていれ
ば、表面的には第2ポンプはその外部から直接エアバブ
ルが流入したのと全く変わらないことになり、エアバブ
ルは確実に加熱器8を通過して気/液セパレータ4に送
り込まれることになる。したがって、前記したように、
第2ポンプ5Bは気/液セパレータ4の下部よりエアバ
ブルを含まない溶離液を安定して送液することが可能と
なる。
内部で生じたようなエアバブルの発生があるのでないか
との疑問があろうが、下記の理由で第2ポンプ5Bでは
エアバブルの発生は無い。
が発生したり、加熱器8でエアバブルが発生したりする
ことにより溶離液中の溶存ガスはかなり除去される。そ
して、エアバブルとして発生したガスは第2ポンプ5B
の吸入口に至るまでには、フェーズセパレータで既に除
去されており、第2ポンプ5Bのポンプ内部の温度条件
は第1ポンプ5Aと同じ条件であるので、第2ポンプ5
B内部では第1ポンプ5Aにおけるようなエアバブルの
発生は起こり難い。
と溶離液が出て行く細管には多少の抵抗があるので、気
/液セパレータ4の内部は多少加圧された状態になって
いる。このため、第2ポンプ5Bの吸入口は第1ポンプ
5Aの吸入口がゼロの圧力であるのに対して加圧された
状態になっており、エアバブルは発生し難い条件となっ
ている。
ルが既に発生しているので、溶離液中の溶存ガスの量は
少なくなっている。したがって、第2ポンプ5Bの内部
でのエアが発生することはない。
ば、外部からエアバブルと溶離液の溶存酸素による送液
ポンプ内部でのエアバブル発生によって長時間の安定送
液を阻んできた従来の送液ポンプにおける問題が解決さ
れ、長時間安定して精密な送液が可能となる。
液ポンプとを比較した説明図であり、(a)は前記図9
のパラレル型送液ポンプシステム、(b)は同じくシリ
ーズ型送液ポンプシステム、(c)は本発明実施例の送
液ポンプシステムの概念図、(a’)、(b’)、
(c’)はそれぞれ上記(a)、(b)、(c)の各ポ
ンプシステムのエアバブルに対する送液の免疫性(イミ
ュニティ)を示す流量変化のグラフである。
を吸引したときの安定性に注目して実験した結果であ
る。
した形式のポンプシステムであり、2つのポンプで交互
に送液するものであり、(b)のポンプシステムは初段
のポンプが次段のポンプの2倍の体積を持ち、2つのポ
ンプを直列に結合したポンプシステム、(c)は上記し
た本発明によるポンプシステムである。
ブルに対するイミュニティは、図の(a’)、
(b’)、(c’)から明らかなように、(c)>
(b)>(a)の順序となる。
(b)のポンプシステムは(a)のポンプシステムに比
べてポンプに吸入したエアバブルは抜け易いが、一端エ
アバブルを吸入したとき、それが抜け出るまでの送液は
不安定となることが分かる。
発明のポンプシステムではポンプがエアバブルを吸入し
ても、送液安定性は全く損なわれない。本発明の送液ポ
ンプでは、図1に示した構成により、特に気/液セパレ
ータ4により、恰もポンプをすり抜けて通過してしま
う。その結果、図4の(c’)に示したように、エアバ
ブルを吸入しても送液安定性に些かの影響も及ぼさな
い。したがって、この送液ポンプを用いた液体クロマト
グラフィーにより、長時間にわたって高精度の分析作業
を高い信頼性で提供することができる。
ンの洗浄を必要に応じてマニュアルで行うか、あるいは
別途設置した洗浄用のポンプを用いて行うよにしている
のに対し、本実施例では、第2ポンプヘッドのシール材
の大気圧側を洗浄するためのライン(55C1,55C
2)を設置し、気/液セパレータ4より溶離液をこのラ
インに流し込むシステムにより、シール材を自動的に、
しかも常時洗浄するように構成したため、塩等を用いる
バッファー水溶液においても長期の安定送液が可能な液
体クロマトグラフィー用送液ポンプが得られる。
溶離液を分析部に送液に使用する送液ポンプにおけるエ
アバブルの影響が解消され、溶離液中のエアバブルの影
響を全く受けずに精密な送液を可能とした液体クロマト
グラフィー用送液ポンプを提供することができる。
の基本システムを説明する構成図である。
ンプヘッドの構造例を説明する模式図である。
プをシリアル配置した本発明の液体クロマトグラフィー
用送液ポンプの1実施例の送液ポンプ流系図である。
を比較した説明図である。
ム構成を説明する模式図である。
る。
図である。
ルとの関係の説明図である。
Claims (3)
- 【請求項1】溶離液貯留容器から送液ポンプにより溶離
液を吸入し、吸入した溶離液に溶存する気体を除去した
後、サンプル注入バルブを介して分離カラムを含む検出
手段に送液するために、前記溶離液貯留容器と分析部の
間に設置する高速液体クロマトグラフィー用送液ポンプ
において、 前記送液ポンプが、異径同軸プランジャーで共通に駆動
される第1ポンプヘッドと第2ポンプヘッドをもつ体積
の異なる2つのポンプヘッドを有し、 前記第1ポンプヘッドおよび第2ポンプヘッドの各異径
同軸プランジャーの大径部で駆動される2つのポンプヘ
ッドを第1ポンプとし、前記異径同軸プランジャーの小
径部で駆動される2つのポンプヘッドを第2ポンプとし
て、第1ポンプと第2ポンプをシリアルに結合してな
り、 前記第1ポンプの吐出口に設置して吐出された溶離液を
加熱する加熱器と、この加熱器で加熱された溶離液中の
エアバブルを除去する気/液セパレータとを有し、 前記気/液セパレータでエアバブルを除去した前記溶離
液を前記第2ポンプで吸引して前記分析部に送液する如
く構成したことを特徴とする液体クロマトグラフィー用
送液ポンプ。 - 【請求項2】前記異径同軸プランジャーで共通に駆動さ
れる第1ポンプヘッドの体積が前記第2ポンプヘッドの
体積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の液
体クロマトグラフィー用送液ポンプ。 - 【請求項3】前記第2ポンプヘッドのシール材の大気側
を自動的に洗浄する洗浄ラインを設けたことを特徴とす
る請求項1または2に記載の液体クロマトグラフィー用
送液ポンプ。
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