以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付図面を参照し、同図には本開示を実施することができる特定の実施形態が例示として示されている。本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を用いることが可能であり、及び構造的又は論理的な変更を行うことが可能であることが理解されよう。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
本開示の少なくとも幾つかの実施形態は、生物学的流体の処理及び評価のために使用されるマイクロ流体デバイスに関するものである。実施形態によっては、かかる処理及び評価は、マイクロ流体デバイス上の流体フロー制御を含む。したがって、本開示の少なくとも幾つかの実施形態は、マイクロ流体デバイスの1つ以上のチャネル構造内及び該チャネル構造全体にわたる流体フロー制御を含む。
本開示の少なくとも幾つかの実施形態は、マイクロ流体デバイスのチャネル構造内で該チャネル構造を通る流体フローを制御する際の主要な流体アクチュエータに加えて、追加の流体アクチュエータを採用することにより、流体フロー制御の管理を提供する。したがって、かかる追加の流体アクチュエータは、マイクロ流体デバイスの主要な動作がかかる追加の流体アクチュエータに依存しないという点で冗長なものであると呼ばれることがある。代替的に、かかる追加の流体アクチュエータを選択的に作動させて、マイクロ流体チャネル構造内の流体フロー(fluid flow:流体の流れ)を一時的に変更する。実施形態によっては、(例えば、マイクロ流体チャネル構造内で部分的な又は完全な閉塞が発生した場合に)マイクロ流体チャネル構造内の予想される流速の実質的な低下が生じる。追加の流体アクチュエータを戦略的に配置し、閉塞の発生時に該追加の流体アクチュエータを選択的に作動させることにより、該追加の流体アクチュエータを使用して流体フロー方向を一時的に及び少なくとも部分的に逆転させて該閉塞を除去することが可能である。
実施形態によっては、第2の流体アクチュエータは、第1の方向の流体の流速の実質的な低下が生じるまで受動状態に留まり、該実質的な低下が生じた時点で、該第2の流体アクチュエータが、閉塞を解消させるのに適した期間及び強度で流体フローを逆転させる。
実施形態によっては、この流体の逆流は、閉塞した領域に限定され、したがって、マイクロ流体チャネル構造内の主たる流れ方向における一般的な流体フローに実質的に影響を与えず又は変化させない局所的な領域で発生する。しかし、他の実施形態では、追加の流体アクチュエータを使用してマイクロ流体チャネル構造内の流体フローを完全に逆転させて閉塞が除去される。換言すれば、マイクロ流体チャネル構造の少なくとも一部で、一般的な流体フローが停止されて、逆の流体フローのみが作用する。
実施形態によっては、流れ方向及び/又は流速の変化は、マイクロ流体チャネル構造内の流体流速センサによって検出される。
実施形態によっては、追加の流体アクチュエータが作動して閉塞が解消されると、該追加の流体アクチュエータは停止される。
したがって、実施形態によっては、流体フロー制御は、閉塞の発生時に該閉塞を除去する一方、所望の流体操作を維持するようマイクロ流体チャネル構造全体にわたり一般的な流体フローを維持することにより、管理される。
実施形態によっては、上述の追加の又は冗長な流体アクチュエータが、定期的な間隔で自動的に作動されて、一般的な流体フロー方向とは逆の一時的で局所的な逆流を該一般的な流体フロー内に生じさせて、マイクロ流体チャネル構造内の閉塞及び鬱滞の防止に資する。追加の流体アクチュエータのこの予防状態にもかかわらず閉塞が生じる場合には、該閉塞が解消するまで該追加の流体アクチュエータを更に選択的に作動させることが可能である。
かかる構成は、マイクロ流体デバイスのロバストな動作を確保すると共に一貫した結果を保証するものとなり、これにより、ポイント・オブ・ケア診断検査が現実世界の臨床条件にとって実用的なものとなり、同時に、これを比較的低コストの検査チップで行うことが可能となる。
かかる実施形態及び更なる実施形態を、少なくとも図1ないし図17に関して説明し、図示することとする。
図1は、本開示の一実施形態によるマイクロ流体デバイス20を概略的に示すブロック図である。同図に示すようにに、マイクロ流体デバイス20は、基板22上に形成され、マイクロ流体チャネル構造30を含む。該マイクロ流体チャネル構造30は、マイクロ流体チャネル内の流体を移動させるための構成を含み、該構成は、流体の検査又は評価を実行するため又は反応プロセスを実行するために所望の通りに流体を操作すべく、加熱、ポンピング、ミキシング、及び/又は検出といった様々な機能を実行する。
実施形態によっては、チャネル構造30は、第1の流体アクチュエータ32及び第2の流体アクチュエータ34を含む。概して言えば、第1の流体アクチュエータ32は、チャネル構造30内の動作を実施すべく第1の方向の一般的な流体フロー(37)を生じさせるよう配置される。一方、第2の流体アクチュエータ34は、チャネル構造30内に逆の流体フロー(38)を選択的に及び一時的に生じさせるよう配置される。実施形態によっては、該逆の流体フロー(38)は、該一般的な流体フロー(37)を実質的に変えない規模及び場所で生じる。
実施形態によっては、第2の流体アクチュエータは、(逆方向の)局所的な逆の流体フロー(第1の流体アクチュエータ32により生成される一般的な流体フローとは独立した流れ)を提供するのに十分な距離だけ第1の流体アクチュエータの位置から離れてチャネル構造30内に配置される。
実施形態によっては、第2の流体アクチュエータ34は、第1の流体アクチュエータ32がチャネル構造30を通る一般的な流体フローを維持するよう動作する強度よりも実質的に低い強度(例えば、一層低い電力、一層長いパルス幅)で作動される。
実施形態によっては、選択的に作動される際に、流体アクチュエータ32,34は、一般に0.5〜15ピコリットルの選択可能な流体変位を生じさせ、及び1Hz〜100kHzの範囲の周波数で作動させることができる。実施形態によっては、選択的に作動された際に、第2の流体アクチュエータ34は、最大100ピコリットルの流体変位を生じさせ、及び1kHz〜100kHzの周波数で作動させることができる。したがって、実施形態によっては、第2の流体アクチュエータ34は、シングルパルスモードで作動させることが可能であり、該シングルパルスモードでは、単一の小さな振幅の単一核形成(single nucleating)パルスが実施され、単一の小さなパルスの逆流が生成されて、閉塞の解消を助けるが、一般的な流体フローは実質的に変わらない。実施形態によっては、第2の流体アクチュエータ34がマルチパルスモードで作動され、この場合には、一連の離間した単一の小さな振幅の単一核生成パルスが実施され、一連の小さなパルスの逆流が生成されて、閉塞の解消を助けるが、一般的な流体フローは実質的に変わらない。
場合によっては、マイクロ流体デバイス20は、マイクロ流体チップ又は生物学的検査チップと呼ばれる。
チャネル構造30の流体フロー制御における第2の流体アクチュエータ34の役割及び属性に関するさらなる詳細について以下で説明する。
図2Aに示すように、実施形態によっては、図1に示すマイクロ流体チャネル構造30は、流速42及び/又は流体フロー方向44を検知する1つ以上のフローセンサ40を含む。その情報は、予想外の流体フローの変化を識別するために使用され、例えば、マイクロ流体チャネル構造30内の一般的な流体フローの流速の実質的な変化(例えば、低下)を検出するために使用されるが、これには限定されない。実施形態によっては、複数の流体フローセンサ40が互いに隔置され及びチャネル構造30全体にわたり分配されて、閉塞が生じる正確な位置を容易に識別することが可能となる。
実施形態によっては、第2の流体アクチュエータ34は複数の第2の流体アクチュエータを含み、該複数の第2の流体アクチュエータ34の何れが逆流又は第2の流体フローを生じさせることになるかについての決定が、複数のフローセンサ40のそれぞれに対応する位置で検知された流れに対するそれぞれの第2の流体アクチュエータ34の位置に従って行われる。
図2Bは、本開示の一実施形態による流体フロー制御フィードバックループ51を、少なくとも図1及び図2Aに関して上述し及び図3ないし図15に関して後述するようなマイクロ流体デバイス20の動作に関連して概略的に示すフローチャート50である。図2Bのブロック52に示すように、マイクロ流体チャネル構造30内の流体フローを検知することができる。実施形態によっては、検知される流体フローは、一般的な流体フロー54Bである。実施形態によっては、検知される流体フローは、マイクロ流体チャネル構造30の一部の内部の局所的な流体フロー54Aである。
検知された流体フローは、該流体フローの速度53A及び方向53B、並びに該検知された流体フローが一般的な流体フロー54Aであるか局所的な流体フロー54Bであるかを識別することが可能である。
マイクロ流体チャネル構造30内の流体フローを検知した後、図2Bのブロック55で、該検知した流体フローが、所定の基準(例えば、最小、最大、又はその他のパラメータ)を満たすか該基準を超えているかの判定が行われる。例えば、マイクロ流体デバイス20内の生物学的粒子を伴う検査又は操作を実行するために、最小の流速が関与すること又は最大の流速が関与することが可能であり、その各々は、それぞれの検査又は操作を容易にする。 マイクロ流体チャネル構造30内にターゲットとなる複数の異なる局所的な流体フローが存在し得る実施形態では、ブロック55での決定は、かかる複数の局所的な流体フローの各々が、それら流体フローが測定された特定の場所のための基準を満たすか該基準を超えているかを問い合わせることが可能である。
ブロック55での問い合わせに対する答えがYESである場合、更なる流体フローの検知のために経路56Aを選択してブロック52に進む。ブロック55での問い合わせに対する答えがNOである場合には、経路56Bを選択してブロック57に進み、除去ポンプ(例えば、図1の第2の流体アクチュエータ34)を作動させてマイクロ流体チャネル構造30内の予想される閉塞を除去し、及び前記基準に従ってマイクロ流体チャネル構造30の一般的な動作条件へと流体フローを回復させる。
第2の流体アクチュエータ34によるかかる除去活動の後、ループ51内の制御は、更なる流体フローの検知のためにブロック55に戻る。
フィードバックループ51を使用することにより、マイクロ流体デバイス20の一貫したロバストな動作を維持することが可能となる。
実施形態によっては、フィードバックループ51の動作に関する情報の少なくとも一部が、マイクロ流体デバイス20に関する更なる処理及び制御動作のために、マイクロ流体デバイス20から外部の構成要素及び装置へと通信される。
マイクロ流体デバイス20が機能することができる装置環境に関する少なくとも図3ないし図9に関して更なる情報を提供した後、マイクロ流体チャネル構造30及び第2の流体アクチュエータ34の流体フロー制御に関する一層多くの特徴及び属性について図10ないし図15に関して更なる詳細を提供することとする。
図3は、本開示の一実施形態による、マイクロ流体デバイス20(図1及び図2)を含むモジュール60を概略的に示すブロック図である。場合によっては、該モジュールは、カセット又はコンテナと呼ばれる。図3に示すように、モジュール60は、マイクロ流体デバイス20を少なくとも部分的に収容し及び/又は支持するハウジング61を含む。
実施形態によっては、図3に示すように、流体リザーバ64は、マイクロ流体デバイス20に近接してハウジング61内に画定され、該流体リザーバ64と該マイクロ流体デバイス20との間での流体的な連絡が可能となっている。図3に示すように、流体サンプル67は、(入口62を介して)投入されて流体リザーバ64に入り、1つ以上の試薬66と混合された後、マイクロ流体デバイス20に流入する。実施形態によっては、マイクロ流体デバイス20は、それ自体のリザーバを含み、リザーバ64からの(試薬66と混合された)流体サンプルを最初に該リザーバで受容した後、該流体を該マイクロ流体デバイス20の複数のチャネルへと流入させることが可能である。
流体サンプル67が血液である場合、実施形態によっては、1つ以上の試薬66は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの抗凝血剤、及び/又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの緩衝液を含む。実施形態によっては、適当な血液サンプルは約2マイクロリットルの体積を有し、試薬は約8マイクロリットルの体積を有し、マイクロ流体デバイス20により処理される10マイクロリットルの体積がもたらされる。
流体サンプル67が全血である場合、実施形態によっては、1つ以上の試薬66は、目的の診断検査のために血液を調製するための他の又は追加の試薬を含む、ということが更に理解されよう。実施形態によっては、かかる1つ以上の試薬66は、流体サンプル中の特定の粒子の追跡、計数、及び移動等のためにセンサが該特定の粒子を識別するのを助ける。実施形態によっては、かかる1つ以上の試薬66は、液体サンプル67中の特定の粒子と結合して、該特定の粒子を該流体サンプルから除外し又はフィルタリングして、目的の特定の生物学的粒子を一層良好に分離し又は濃縮させることを容易にする。実施形態によっては、1つ以上の試薬66による操作は、フィルタ及び/又は他の分類及び分離機構と協働して、特定の生物学的粒子をマイクロ流体デバイス20の検知領域から排除する働きをするものとなる。
実施形態によっては、1つ以上の試薬66は、ナノ粒子タグ付け(nano-particle tagging)技術、磁性粒子分類(magnetic particle sorting)技術、及び/又は高密度粒子タグ付け技術を実施するのに適した微粒子タグ付け及び/又は材料のための抗体抗原結合を行うのに適した材料を含む。
実施形態によっては、少なくとも幾つかの試薬66は、白血球の計数又は分析の実施に先立ち赤血球を分離することが望ましい場合など(但し、これには限定されない)の溶解剤を含む。
勿論、流体サンプル67が血液ではなく、尿、髄液といった異なる生物学的流体である場合には、1つ以上の試薬66は、かかる流体の取り扱い及びかかる流体の成分の所望の分離及び分類を達成するのに適した適当なタイプ及び数の試薬66を含むことになろう。
実施形態によっては、前述したような分子診断及びそれに関連する作業を行うためのプロセスといった(但し、これには限定されない)様々な反応プロセスを準備し、開始し、実行し、及び/又は終了させるために、1つ以上の試薬66が提供される。
実施形態によっては、適当な血液サンプル(すなわち、流体サンプル67)は約2マイクロリットルの体積を有し、試薬は約8マイクロリットルの体積を有し、マイクロ流体デバイス20により処理される10マイクロリットルの体積をもたらす。したがって、この構成では、約5の希釈係数が全血の流体サンプルに適用される。実施形態によっては、5以上又は5未満の希釈係数が全血に適用される。実施形態によっては、かかる低い希釈係数は、ターゲットとなる生物学的粒子が計数される検知領域を(被験体である)流体の検知体積が通過する際に高い信号対雑音比を保証するものとなる。更に、一層低い希釈係数は、マイクロ流体デバイスにより処理すべき流体の総体積を一層小さくし、それ故、特定の流体サンプルの総検査時間が短縮される。実施形態によっては、10以下の希釈係数が用いられる。
実施形態によっては、流体サンプル67が血液であってもその他のタイプの生物学的流体であっても、2マイクロリットルよりも多いか又は少ない体積を使用することができる。更に、実施形態によっては、流体サンプル67が血液であってもその他のタイプの生物学的流体であっても、8マイクロリットルよりも多いか又は少ない容積の試薬を使用することができる。実施形態によっては、流体サンプル67はまた、試薬66以外の他の又は追加の流体で希釈される。
図4Aは、本開示の一実施形態によるマイクロ流体デバイス80を概略的に示すブロック図である。実施形態によっては、マイクロ流体デバイス80は、図1ないし図3のマイクロ流体デバイス20と実質的に同じ特徴及び属性の少なくとも一部を含む。実施形態によっては、図4Aのマイクロ流体デバイス80の少なくとも幾つかの構成要素は、図1ないし図3のマイクロ流体デバイス20内に組み込まれている。
図4Aに示すように、マイクロ流体デバイス80は1つ以上のアクチュエータ82及び1つ以上の流体フローセンサ84を含み、アクチュエータ82はポンプ85A及び/又はヒータ85Bとして機能する。実施形態によっては、アクチュエータ82は、熱抵抗などの抵抗素子を含む。高い強度及び十分なパルス幅で駆動されると、アクチュエータ82は、チャネル構造30に沿って及び該チャネル構造30を通って流体を送出するように該チャネル構造30内の流体を移動させる核形成蒸気泡の形成を生じさせることが可能である。副生成物として、適度な量の熱が生成され得る。一実施形態では、かかる高強度での駆動は、比較的短いパルス幅と一層高い電力とを伴うものとなる。
しかし、著しく低い強度及び不十分なパルス幅で駆動された場合、アクチュエータ82は、有意な流体変位を生じさせるための十分なエネルギーが存在しないため、ポンプとして働くことができない。ポンプとして働くのではなく熱が生成され、アクチュエータ82は、流体を移動させることなくヒータ85Bとして機能する。一実施形態では、かかる低強度での駆動は、比較的長いパルス幅と一層低い電力とを伴うものとなる。
一実施形態では、1つ以上のアクチュエータ82は、図1の第1の流体アクチュエータ32及び第2の流体アクチュエータ34に対応する。
実施形態によっては、マイクロ流体デバイス80は、マイクロ流体チャネル構造30内の流体の流速及び方向を検知する1つ以上の流体フローセンサ40(図2A)を含む。実施形態によっては、該1つ以上の流体フローセンサ40は、流体の流れ及び方向の検知専用のセンサである。この意味では、1つ以上の流体フローセンサ40は、属性(attribute)センサ(例えば、図4Bの符号83)などの他のセンサとは別個の独立したものである。しかし、実施形態によっては、1つ以上の流体フローセンサ40は、属性センサ(図4Bの符号83)の機能を介して少なくとも部分的に実施される。実施形態によっては、閉塞され又は減少した流体の流れは、センサの近く又はその上を流れる細胞の欠如を示すインピーダンスセンサからの信号の値(又は値の変化)により少なくとも部分的に識別される。実施形態によっては、閉塞され又は減少した流体の流れは、閾値温度を超えて上昇するシリコン基板の温度を検出することにより少なくとも部分的に識別される。かかる識別の際に、第2の流体アクチュエータ34が冗長的なポンプとして作動されて流体の逆方向の流れが生成される。
実施形態によっては、流体フローセンサ40は(それが専用であるか属性センサの一部であるかにかかわらず)、非対称に配置された複数の電極を含み、信号分析を介してフロー方向の推定を可能とし、及び/又は特定の期間にわたる検知ゾーン内の個々の細胞の滞留時間を分析して流速を決定する。
後述する制御インタフェイス106は、1つ以上のアクチュエータ82及び1つ以上の流体フローセンサ40を駆動し制御するために、該マイクロ流体デバイス20,80の電気的なインタフェイスに接続することが可能である。
実施形態によっては、チップベースのマイクロ流体デバイス20,80の構造及び構成要素は、集積回路微細加工技術(例えば、電鋳、レーザアブレーション、異方性エッチング、スパッタリング、乾式及び湿式エッチング、フォトリソグラフィー、鋳造、成形、スタンピング、機械加工、スピンコーティング、積層など)を用いて作製される。
図4Bは、本開示の一実施形態による、微小流体デバイスの1つ以上の属性センサ83を概略的に示すブロック図である。実施形態によっては、デバイス20,80(図1ないし図4A)といったマイクロ流体デバイスは、pH、特定の生物学的粒子の識別、温度、細胞数などを検出するための1つ以上の属性センサ83を更に含む。実施形態によっては、属性センサ83は、インピーダンスセンサを含む。実施形態によっては、属性センサ83は、フローセンサ40として機能することができる。実施形態によっては、属性センサ83は、専用のフローセンサ40とは別個の独立したものとなる。
図5は、本発明の一実施例による、図1ないし図4Aのマイクロ流体デバイス20,80といったマイクロ流体デバイスの入出力要素89を概略的に示すブロック図である。該入出力要素89は、外部装置との間でのデータ、電力、制御信号等の通信を可能とし、これによりマイクロ流体デバイス20,80の動作が容易となり、これについては後に図7ないし図10に関して更に説明することとする。
図6は、本開示の一実施形態による、マイクロ流体デバイスの構成要素86,87を概略的に示すブロック図である。実施形態によっては、デバイス20,80(図1ないし図4C)といったマイクロ流体デバイスは、入口/出口チャンバ86及び/又はフィルタ87を更に含む。該入口/出口チャンバは、流体がチャネル構造30の様々な部分に出入りするのを可能にする一方、フィルタ87は、流体の異なる成分を分離させる(例えば、後に更に説明するように、より大きな粒子がマイクロ流体チャネル構造30を通過しないようにする)。
図7は、本開示の一実施形態によるマイクロ流体検査システム100を概略的に示すブロック図である。同図に示すように、システム100は、カセット60、制御インタフェイス106(ハウジング107を有する)、及びホスト装置108を含む。実施形態によっては、カセット60は、少なくとも図3に関して上述したカセット60と実質的に同じ特徴及び属性の少なくとも一部を含み、マイクロ流体デバイス20は、図1ないし図6に関して上述したマイクロ流体デバイス20,80と実質的に同じ特徴及び属性の少なくとも一部を含む。
図7に示すように、少なくともマイクロ流体デバイス20に加えて、カセット60は、(該カセット60内の)マイクロ流体デバイス20と制御インタフェイス106との間で電力、データ、及び/又は制御信号などを通信するための入出力(I/O)制御モジュール102を含み、該制御インタフェイス106が次いでホスト装置108と通信する。実施形態によっては、カセット60のI/Oモジュール102は、マイクロ流体デバイス80(図4A)の入出力要素89と接続する。
実施形態によっては、図7に示すように、カセット60は、制御インタフェイス106に対して取り外し可能な状態で結合することが可能であり、これにより、該カセット60を必要に応じて結合し又は取り外すことが可能となる。制御インタフェイス106は、更に後述するように、ホスト装置108に対して取り外し可能な状態で結合することが可能である。場合によっては、制御インタフェイス106は、ドングル若しくはコネクタと呼ばれ、又はドングル若しくはコネクタとして実施される。
概して言えば、流体サンプル67(図3)は、マイクロフルイディクスを介して処理されて様々な機能又は反応プロセスを受けた後、制御インタフェイス106の制御下でマイクロ流体デバイス20内の検出領域に曝される。該マイクロ流体デバイス20は、センサデータを表す電気出力信号を制御インタフェイス106に提供する。ホスト装置108の制御下にある制御インタフェイス106により、該ホスト装置108は、該制御インタフェイス106との間でデータ(基板22の熱管理を行うため及び/又はマイクロ流体デバイス20から得られたセンサデータを得るためにマイクロ流体デバイス20を制御するためのコマンド情報を含む)を送受信することが可能である。
図8は、本開示の一実施形態によるホスト装置108(図7)を概略的に示すブロック図である。図8に示すように、実施形態によっては、ホスト装置108は一般に、中央処理装置(CPU)110、様々なサポート回路112、メモリ114、様々な入出力(I/O)回路116、及び外部インタフェイス118を含む。CPU110はマイクロプロセッサを含む。実施形態によっては、サポート回路112は、キャッシュ、電源、クロック回路、データレジスタなどを含む。実施形態によっては、メモリ114は、ランダムアクセスメモリ、リードオンリーメモリ、キャッシュメモリ、磁気リード/ライトメモリなど、又はかかる記憶装置の任意の組み合わせを含む。実施形態によっては、I/O回路116は、外部インタフェイス118と協働して、通信媒体119(図7に示す)を介した制御インタフェイス106との通信を容易にする。通信媒体119は、任意のタイプの有線及び/又は無線通信プロトコルを含むことが可能であり、及び電気、光、電波(RF)などによる転送経路を含むことが可能である。
実施形態によっては、外部インタフェイス118は、USB(Universal Serial Bus)ケーブルを介して制御インタフェイス106との間でデータを送受信すること並びに該制御インタフェイス106に電力を供給することを可能にするUSBコントローラを含む。実施形態によっては、制御インタフェイス106に対する他のタイプの電気的、光学的、又は電波によるインタフェイスを使用してデータが送受信され及び/又は電力が供給されることが理解されよう。
実施形態によっては、図8に示すように、ホスト装置108のメモリ114にはオペレーティングシステム(OS)109及びドライバ111が格納される。OS109及びドライバ111は、ホスト装置108を制御するため及び外部インタフェイス118を介して制御インタフェイス106を制御するためにCPU110により実行することが可能な命令を含む。ドライバ111は、OS109と制御インタフェイス106との間のインタフェイスを提供する。実施形態によっては、ホスト装置108は、非一時的なプロセッサ/コンピュータ読み取り可能媒体(例えば、メモリ114)上に格納されたマシン読み取り可能命令を含むプログラム可能な装置を含む。
実施形態によっては、図8に示すように、ホスト装置108は、OS120がグラフィカルユーザインタフェイス(GU1)122を提供することを可能にするディスプレイ120を含む。ユーザは、ユーザインタフェイス122を使用してOS109及びドライバ111と対話して、制御インタフェイス106を制御すること及び該制御インタフェイス106から受信したデータを表示することが可能である。ホスト装置108は、任意のタイプの汎用の又は特定の目的のためのコンピューティング装置とすることが可能であることが理解されよう。一実施形態では、ホスト装置108は、「スマートフォン」、「タブレット」などのモバイルコンピューティング装置である。
図9は、本開示の一実施形態による制御インタフェイス106を概略的に示すブロック図である。一実施形態では、制御インタフェイス106は、コントローラ134、I/O回路136、及びメモリ138を含む。コントローラ134は、マイクロコントローラ又はマイクロプロセッサを含む。実施形態によっては、制御インタフェイス106は、ホスト装置108から電力を受容し、実施形態によっては、制御インタフェイス106は電源142を含む。
実施形態によっては、メモリ138は、マイクロ流体デバイス20を少なくとも部分的に制御するため及び/又はホスト装置108と通信するためにコントローラ134により実行することが可能な命令140を格納する。このため、制御インタフェイス106は、非一時的なプロセッサ/コンピュータ読み取り可能媒体(例えば、メモリ138)上に格納されたマシン読み取り可能140を含むプログラム可能な装置を含む。他の実施形態では、制御インタフェイス106は、ハードウェア、又はハードウェアとメモリ138に格納された命令140との組み合わせを使用して、実施することが可能である。例えば、実施形態によっては、制御インタフェイス106の全部又は一部は、PLD(Programmable Logic Device)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを使用して実施される。
実施形態によっては、ホスト装置108のメモリ114内のドライバ111及び/又は制御インタフェイス106のメモリ138は、マイクロ流体チャネル構造30の流体フロー制御管理を実施し及び/又は動作させるためのマシン読み取り可能命令を格納する。実施形態によっては、かかる流体フロー管理は、少なくとも図13Aに関して後述するように、流体フロー制御マネージャ350を介して少なくとも部分的に実施される。
図10は、本開示の一実施形態によるマイクロ流体デバイス160を示す平面図である。実施形態によっては、マイクロ流体構造160は、少なくとも図1ないし図9に関して上述したマイクロ流体デバイス(例えば、符号20,80)と実質的に同じ特徴及び属性の少なくとも幾つかを含み、それ故、本開示全体にわたって説明するような流体フロー制御を実施するのに適したものである。
図10に示すように、マイクロ流体デバイス160は、マイクロ流体チャネル構造162が形成された基板22と入出力部180とを含む。既述のように、実施形態によっては、該基板はシリコン材料からなる。
図10に示すように、マイクロ流体チャネル構造162は、中央に配置されたリザーバ164の周囲に該リザーバ164と流体的に連絡するよう配置された複数のマイクロ流体チャネルユニット166のアレイを含む。しかし、該ユニット166は、図10に示す特定のサイズ、形状、及び位置に厳密に限定されるものではなく、他のサイズ、形状、及び位置を呈することが可能であることが理解されよう。
実施形態によっては、該複数のマイクロ流体チャネルユニット166は、一般に、互いに独立しており、それぞれのチャネルユニット166の流体フローの流速及び方向は、他のそれぞれのチャネルユニット166から独立して管理される。
図11は、本開示の一実施形態によるマイクロ流体デバイス20の一部のマイクロ流体構造200を概略的に示す図であり、図10の複数のマイクロ流体チャネルユニット166のそれぞれの1つの例示的な実施形態を提供するものである。
図11に示すように、実施形態によっては、マイクロ流体構造200は、マイクロ流体チャネル202、第1の流体アクチュエータ204、属性センサ206、ノズル205(例えば、出口)、及び入口208を含む。図10はまた、カセット60(図3)の流体リザーバ64と連絡する流体リザーバ214を示している。実施形態によっては、チャネル202は、図10の(マイクロ流体チャネルユニット166の)複数のチャネル165のそれぞれに対応する。
実施形態によっては、図11に更に示すように、適用された流体サンプル中の粒子をフィルタリングするためのメッシュフィルタ212が流体リザーバ214内に配設される。図10の流体チャネル202の形状は、「U字形」のものとして示されているが、これは、チャネル202の形状に関する一般的な限定を意図したものではない。このため、チャネル202の形状は、湾曲形状、蛇行形状、角を有する形状、それらの組み合わせといった他の形状を含むことが可能であり、その幾つかを後に図12A、図12B、図14、及び図15に関して更に説明し図示することとする。更に、チャネル202の様々な部分は幅が変化することが可能である。更に、チャネル202は、特定の縮尺又は比率では示されていない。デバイス上に作製されるチャネル202の幅は、本開示の図面に示した如何なるスケール又は比率からも変化することが可能である。チャネル内の矢印は、該チャネルを通る流体フローの例示的な方向を示している。
入口208は、チャネル202が流体を受容するための開口部を提供する。フィルタ210は、入口208内に配設されて、(フィルタ210のサイズに応じて)流体中の特定サイズの粒子がチャネル202に入るのを防止する。実施形態によっては、入口208は、チャネル202よりも大きな幅及び容積を有することが可能である。
実施形態によっては、属性センサ206は、図11に示すように、入口208の近く(例えば、ポンプアクチュエータ204よりも入口208の近く)でチャネル202内に配置される。実施形態によっては、属性センサ206は入口208内に配設される。実施形態によっては、属性センサ206は、インピーダンスセンサであり、流体中の生物学的粒子がセンサ206を通過する際のインピーダンス変化を検出する。
図11に示すように、実施形態によっては、第1の流体アクチュエータ204(例えば、ポンプ)は、属性センサ206の下流側でチャネル202の閉鎖端の近くに配設される。第1の流体アクチュエータ204は、多種多様な構造を用いて実施することが可能な流体慣性ポンプ(fluidic inertial pump)アクチュエータとすることが可能である。実施形態によっては、第1の流体アクチュエータ204は、チャネル202内での流体の移動を生成する核形成蒸気泡を生成する熱抵抗である。移動した流体は、ノズル405から放出され、これにより、チャネル202内の及び/又はチャネル202を通る慣性フローパターンが可能となる。実施形態によっては、第1の流体アクチュエータ204は、電気的に誘発された撓みによりチャネル202内の流体の移動を生成する圧電素子(例えば、PZT)として実施される。電気、磁気、及びその他の力によって駆動される他の偏向膜要素もまた、第1の流体アクチュエータ204の実施に使用することが可能である。
概して言えば、流体アクチュエータ204は、属性センサ206の近くでの流体の高い流速を確保するために属性センサ206に十分に近接して配置される。図示しないが、実施形態によっては、第1の流体アクチュエータ204は、センサ206の領域を通って生物学的粒子を押し出す慣性ポンピングを生じさせるよう配置されるが、実施形態によっては、第1の流体アクチュエータ204は、図11に示すように、属性センサ206の領域を通って生物学的粒子を引き込む慣性ポンピングを生じさせるよう配置される。
第1の流体アクチュエータ204は、より長いパルス幅及び強度で動作させられた場合には、既述のマイクロ流体デバイス(図1ないし図2Aの符号20、図4Aの符号80)と一致して、チャネル202内の流体を加熱するためのヒータとして働く。既述のように、かかる場合、第1の流体アクチュエータ204は、核形成気泡を形成することなく流体に熱のパルスを供給するために一層低い強度で且つ一層長いパルス幅で駆動されてパルスモードで動作する。
実施形態によっては、チャネル202は、チャネル構造200内の一般的な流体フローを制御するために単一のチャネル202内に2つ以上の流体アクチュエータが配置されるように、2つ以上の第1の流体アクチュエータ204を含む。
図12Aは、本開示の一実施形態によるマイクロ流体デバイス240を概略的に示す平面図である。実施形態によっては、マイクロ流体デバイス240は、(少なくとも図10に関して上述した)マイクロ流体デバイス160及び図11のチャネル構造200の一般的な構成要素と実質的に同じ特徴及び属性の少なくとも幾つかを含む。
図12Aに示すように、実施形態によっては、マイクロ流体チャネル構造240は、(セグメント242Eを介して)端部243に接続してそこへ通じる第1の分岐241A及び第2の分岐241Bを含む第1のチャネル242を含む。第1の分岐241Aは、入口248A及びチャネルセグメント(すなわち、複数の部分)242A,242Cを含み、第2の分岐241Bは、入口248B及びセグメント242B,242Dを含む。結合部249は、セグメント242D,242C,242Eの交差部に形成される。
実施形態によっては、第1の属性センサ246Aはセグメント242D内に配置され、第2の属性センサ246Bはセグメント242E内に配置される。
第1のアクチュエータ流体アクチュエータ244C(図1の第1の流体アクチュエータ32と同様のもの)は端部243内に配置され、ノズル245(アクチュエータ244Cを表す四角に重ね合わされた円で表す)もまた端部243内に配置される。動作時に、第1の流体アクチュエータ244Cの駆動により、リザーバ214からチャネル242の分岐241A,241Bを介して流体が引き込まれ、該流体が属性センサ246A,246Bを通過した後、ノズル245を介してチャネル242を出る。
実施形態によっては、少なくとも1つの流体フローセンサ(F)250(又は252)がチャネル242内に配置される。この特定の実施形態では、流体フローセンサ(F)250は、属性センサ246Aに隣接してその下流側で且つ結合部249の上流側でチャネルセグメント242D内に示されている。実施形態によっては、第2の流体フローセンサ252(又は250)がチャネル242内に配置される。図12Aに示す特定の一実施形態では、第2の流体フローセンサ252は、結合部249の上流側でチャネルセグメント242C内に配置される。
各分岐241A,241Bは、それぞれのセグメント242A,242Bの第1の端部の近くに配置された(第2の流体アクチュエータ34と同様の)第2の流体アクチュエータ244A,244Bをそれぞれ含む。
動作時には、第1の流体アクチュエータ244Cが分岐241A,241Bを介して流体を引き込んで矢印Aにより示される方向に主流が生じる。
実施形態によっては、閉塞状態は、セグメント242D,242Cにそれぞれ配置されたフローセンサ250,252の一方又は両方により識別される。閉塞状態は、チャネル242に沿った幾つかの位置の何れかで潜在的に生じ得るが、実施形態によっては、結合部249は、閉塞が一層発生し易い部位を呈するものとなり、これは、チャネルセグメント242C,242Dにより形成される一対の90度の曲部と、互いに出会う個々のセグメント242C,242Dの各々からの流体フローの運動量(mmomentum)とによるものである。
しかし、チャネル242内で閉塞が形成される幾つかの場合には、閉塞を解消させるのに十分な一時的な所定期間にわたり(方向Aとは反対の)方向Bの逆流を生じさせるために第2の流体アクチュエータ244A,244Bの一方又は両方が駆動される。実施形態によっては、第1の流体アクチュエータ244Cにより生成される主流は、第2の流体アクチュエータ244A及び/又は244Bの駆動中に維持される。
一実施形態では、結合部249の近傍の閉塞は、第2の流体アクチュエータ244A,244Bの一方のみを駆動することにより解消され、この場合、該一方の第2の流体アクチュエータは、閉塞に関与する流体及び要素を、結合部249から離れる一方向へ引き込み、一方、方向Aに沿った主流の少なくとも一部は、第1の流体アクチュエータ244Cの継続的な駆動により端部243に向かって引き込まれる。閉塞が除去された後、前記一方の第2の流体アクチュエータ(244A,244Bの一方)が停止される。
異なる複数の分岐で一対の第2の流体アクチュエータ244A,244Bをそれぞれ配設することにより、これら第2の流体アクチュエータ244A,244Bのどちらが一層迅速に及び一層効果的に閉塞の解消をもたらすかに応じて該第2の流体アクチュエータ244A,244Bの一方を選択することが可能である。
図12Bは、本開示の一実施形態によるマイクロ流体デバイス260を概略的に示す平面図である。実施形態によっては、マイクロ流体デバイス260は、少なくとも図10に関して前述したマイクロ流体デバイス160並びに図11のチャネル構造200の一般的な構成要素と少なくとも実質的に同じ特徴及び属性を含む。
図12Bに示すように、実施形態によっては、マイクロ流体チャネル構造260は、主分岐261Aを含む第1のチャネル262と、主分岐261Aから延びて該主分岐261Aへと戻る第2の分岐261Bとを含む。主分岐241Aは、入口268Aと、チャネルセグメント(すなわち、複数の部分)262A,262B,262C,262D,262H,262Iとを含む。第2の分岐261Bは、結合部275で主分岐261Aから延びる入口268Bを介して始まり、該第2の分岐261Bは、セグメント262E,262F,262Gを更に含み、次いで主分岐261Aのセグメント262Iと再び結合する。結合部275は、セグメント262D,262E,262Hの交点に位置する。
実施形態によっては、第1の属性センサ266は、セグメント262E内に配置され、フィルタ270Aは、該第1の属性センサ266の下流側で入口268Bに配置される。
実施形態によっては、流体フローセンサ270は、第2の分岐261Bの入口268Bの上流側で主分岐261A内に配置されて、結合部275の近くのフローパラメータを監視する。
第1のアクチュエータ流体アクチュエータ264A(図1の第1の流体アクチュエータ32と同様)は、主分岐261Aの最初のセグメント262A内に配置され、リザーバ214からチャネル262への誘発された流体フローにより主分岐261Aを通る流体の慣性ポンピングを生じさせることにより方向Aの流体フローを生成して、第1の流体フロー方向Aに流体を押し出す。主分岐261A内の流体フローの一部は、第2の分岐261B内へと分流される。
実施形態によっては、第2の分岐261Bのセグメント262G内のもう1つの第1の流体アクチュエータ264Bが、第2の分岐261B内に流体フローを誘発させるよう働く。第2の分岐261B及びフィルタ270Aの幅が狭いほど、第2の分岐261Bに入る粒子が小さくなり、それら粒子が第2の分岐261Bのセグメント262E内の属性センサ266を通過する。第2の分岐261Bに入るのに適した大きさでない大きな粒子は、チャネルセグメント262G,262H内の主流体フロー中に存在し続けることになる。
実施形態によっては、少なくとも1つの流体フローセンサ270がチャネル262内に配置される。特定の実施形態では、流体フローセンサ270は、結合部275の上流側でチャネルセグメント262Dに示されている。図12Bには示していないが、実施形態によっては、全体的な流体フローを検知し、及び/又は結合部275以外の位置における局所的な閉塞を識別するために、追加の流体フローセンサをチャネル262内の様々な位置に配設することが可能であることが理解されよう。
実施形態によっては、図12Bに示すように、(第2の流体アクチュエータ34と同様の)第2の流体アクチュエータ264Cが、結合部275及びフローセンサ270の上流側でそれらに近接して配置される。
動作時に、主流は、概して上述した態様で方向矢印Aで示す方向に生じる。
実施形態によっては、閉塞は、フローセンサ270を介して識別することが可能である。閉塞は、チャネル262に沿った幾つかの位置で潜在的に発生し得るが、実施形態によっては、結合部275は、閉塞が一層発生し易い部位を呈するものとなる。これは、第2の分岐261Bのセグメント262Eに結合する際にチャネルセグメント262D,262Hにより行われる90°の方向転換のため、第2の分岐261Bのチャネルセグメントの幅(W2)が主分岐261Aの幅(W1)よりも狭いため、及び/又は第2の分岐261Bの入口268B内にフィルタ270Aが存在するためである。
結合部275の近傍でチャネル262内に閉塞が形成されるこの非限定的な実施形態によれば、(図1の第2の流体アクチュエータ34と同様の)第2の流体アクチュエータ264Cが駆動されて、閉塞を解消させるのに十分な一時的な期間にわたって(方向Aとは逆の)方向Bを有する逆方向の流体フローが生成される。実施形態によっては、第1の流体アクチュエータ264A,264Bにより生成された主流は、第2の流体アクチュエータ264Cの駆動中に維持される。閉塞が解消した後、第2の流体アクチュエータ264Cは停止される。
実施形態によっては、もう1つの第2の流体アクチュエータ264Dが存在し、第2の流体アクチュエータ264Cとほぼ同時に駆動される。第2の流体アクチュエータ264Dは、結合部275及び第2の流体アクチュエータ264Cの下流側に配置され、該第2の流体アクチュエータ264Dは、その駆動時に、第2の流体アクチュエータ264Cにより生成される一時的な(方向Bの)逆流中に方向Aの主流の維持に資するものとなる。
図13Aは、本開示の一実施形態による流体フローマネージャ350を示すブロック図である。実施形態によっては、流体フロー制御マネージャ350は、図1ないし図12Bに関して上述したマイクロ流体デバイスと同じ特徴及び属性の少なくとも一部に関連して動作する。概して言えば、実施形態によっては、流体フロー制御マネージャ350は、流体フローの速度及び方向を検知し、及び第2の又は冗長的な流体アクチュエータを介して流体フローを選択的に逆転させることにより、マイクロ流体デバイスチャネル構造内の流体フローを少なくとも部分的に管理する。図14に示すように、流体フロー制御マネージャ350は、フローパラメータモジュール360及び流体駆動モジュール380を含む。
図13Aに示すように、フローパラメータモジュール360は、流速パラメータ53A、方向パラメータ53B、局所パラメータ54A、一般パラメータ54B、及び基準パラメータ370を有する検知機能362、主機能364、及び除去機能366を含む。
フローセンサ40を介して、検知機能362は、少なくとも流速パラメータ53A(図2B及び図13A)及びフロー方向パラメータ53B(図2B及び図13A)に従って、マイクロ流体チャネル構造内の流体フローを検知するよう動作する。検知機能362は、局所的に(図2B及び図13Aの符号54A)及び/又は一般的に(図2B及び図13Aの符号54B)流体フローを検知することができる。基準パラメータ370は、(例えば、図2Bのフィードバックループ51のブロック55等において)検知されたフロー情報が比較されることになる所望の又は許容可能な流速又はフロー方向に関する基準を設定することを可能にする。
主機能364は、主流体アクチュエータ(例えば、図1の第1の流体アクチュエータ32)を介して実施される、基本的な又は主要な流体フローパターンを、マイクロ流体チャネル構造30内及びその全体にわたって提供し、除去機能366は、閉塞を除去し及び/又は閉塞を防止するために追加の流体アクチュエータ(図1の第2の流体アクチュエータ34)を介して実施される、チャネル構造30の少なくとも一部分内の(例えば、逆方向の)流体フローパターンを提供する。
主機能364及び除去機能366は、少なくとも図2Bに関して上述したように、流速パラメータ53A、方向パラメータ53B、局所パラメータ54A、及び一般パラメータ54Bに従って動作する。
図13Aに示すように、流体駆動モジュール380は、流速パラメータ394、電力パラメータ396、パルス幅パラメータ398、及び位置パラメータ399を有する主機能390及び除去機能392を含む。主機能390は、主流体フロー作を生成するよう第1の流体アクチュエータ32の駆動を実施し、除去機能392は、該流体フローの一部を選択的に逆転させる。主機能390及び除去機能392は、そのそれぞれが使用する流体アクチュエータの少なくとも流速パラメータ394、電力パラメータ396、パルス幅パラメータ398、及び位置パラメータ399に従って実施される。流速パラメータ394は、1Hz〜100kHzまでの範囲をとり得る流体アクチュエータ(図1の符号32,34、図4Aの符号82)の駆動速度を制御し、電力パラメータ396は、流体アクチュエータに加えられる電力の振幅を制御する。マイクロ流体チャネル構造が2つ以上の流体アクチュエータ(第1の流体アクチュエータ又は第2の流体アクチュエータ34の何れか)を含む場合には、位置パラメータ399は、チャネル構造内のそれぞれの流体アクチュエータの位置に基づいてどの流体アクチュエータを駆動するかを選択することを可能にする。
実施形態によっては、流体フロー制御マネージャ350は、コントローラに関連するメモリ(例えば、制御インタフェイス106のメモリ138及び/又はホスト装置108のメモリ114など)内に格納されたマシン読み取り可能命令内に存在する。少なくとも図3に関して上述した接続及び通信経路を介して、流体フロー制御マネージャ350は、動作中のマイクロ流体チャネル構造30(図1ないし図2A),162(図10)内の一貫した流体フローの維持に資するようにマイクロ流体デバイス20,80,160の流体動作を少なくとも部分的に制御する。
実施形態によっては、流体フロー制御マネージャ350の機能の少なくとも一部は、(例えば、(かかる機能を実施するための)マシン読み取り可能命令を(図13Bに示すように)マイクロ流体デバイス20上のメモリ352に格納することにより)マイクロ流体デバイス20(図1ないし図12B、図14、図15)上に存在し、この場合、該メモリ352は、メモリ114(図8)又はメモリ138(図9)と実質的に同一の特徴及び属性の少なくとも幾つかを有する。かかる実施形態では、マイクロ流体デバイス20上の流体フロー制御マネージャ350の機能は、制御インタフェイス106(図9)及び/又はホスト装置108(図8)上に残っている流体フロー制御マネージャ350の機能を補完し又はそれと協働するものとなる。実施形態によっては、流体フロー制御マネージャ350の全ての機能がマイクロ流体デバイス20のメモリ352に格納される。実施形態によっては、かかるメモリ352がマイクロ流体デバイス20上に存在する場合、マイクロ流体デバイス20はまた、制御インタフェイス106(図9)のコントローラ134及び/又はホストデバイス108(図8)のコントローラ機能(例えば、CPU110)と実質的に同じ機能を少なくとも幾つか含む制御機能を有するコントローラまたは回路を含む。
図14は、本開示の一実施形態によるマイクロ流体デバイスのチャネル構造400を示す平面図である。実施形態によっては、チャネル構造400を含むマイクロ流体デバイスは、(少なくとも図10に関して上述した)マイクロ流体デバイス160及び図11のチャネル構造200の全体的な構成要素と実質的に同じ特徴及び属性の少なくとも幾つかを含む。
図14に示すように、実施形態によっては、マイクロ流体チャネル構造400は、第1の部分401A、第2の部分401B、及び第3の部分401Cを含む第1のチャネル402を含む。第1の部分401Aは、入口408A,408B及びチャネルセグメント402A,402Bを含む。第2の部分401Bは、セグメント402C及び多方向転換(multi-turn)セグメント402Dを含み、該多方向転換セグメント402Dは一連の90度の方向転換部を含み、次いで該第2の部分401Bの端部セグメント402Eが第3の部分401Cに結合する。第3の部分401Cは、2つの反対方向に延びるセグメント402M,402Pを含み、該セグメント402M,402Pは、それぞれ、属性センサ406A,406B及び端部セグメント402N,402Qを含む。各端部セグメント402N,402Qは、第1の流体アクチュエータ404A,404B及び流体出口ノズル405A,405Bをそれぞれ含む。
動作時、第1の流体アクチュエータ404A,404Bの駆動により、リザーバ214から第1の部分401Aのセグメント402A,402B内への流体フローが誘発され、次いで第2の部分401B及び第3の部分401Cを通り、それぞれの属性センサ406A,406Bを通過した後、ノズル405A,405Bを出る。
実施形態によっては、少なくとも1つの流体フローセンサ(F)がチャネル402内に配設される。図14に示す特定の実施形態では、少なくとも1つの流体フローセンサ(F)が、属性センサ406A,406Bの上流側で第2部分401B内に示されている。更に、実施形態によっては、図14に示すように、複数のフローセンサ(F)がチャネル402内に含まれ、及び該チャネル402の部分401A,401B,401Cの長さに沿って分配されている。一実施形態では、該複数のフローセンサ(F)の少なくとも幾つかは、第2の部分401Bのチャネルセグメント402Dに沿った複数の90度の方向転換部の一部又はその近傍に配置される。
実施形態によっては、第2の流体アクチュエータ404D(図1の第2の流体アクチュエータ34と同様)が、属性センサ406A,406Bの上流側で一対のフローセンサ(F)の間に配設される。
実施形態によっては、もう1つの第2の流体アクチュエータ404Cが、複数のフローセンサ(F)の全ての上流側でチャネルセグメント402A,402B,402Cの結合部413に配置される。
動作時には、方向矢印Aで示す方向に主流が発生し、第1の流体アクチュエータ404A,404Bが既述の態様でチャネル402を通る流体フローを誘発させる。
実施形態によっては、第2の部分401Bのそれぞれのセグメント402D内に配置された複数のフローセンサ(F)の少なくとも幾つかを介して閉塞を識別することが可能である。実施形態によっては、閉塞は、図12Aの結合部249に関して上述したものと実質的に同じ理由により、結合部413の近傍のフローセンサ(F)を介して識別することが可能である。既述のように、閉塞は、チャネル402内の他の位置で識別することが可能である。
チャネル402内に閉塞が形成された場合には、第2の流体アクチュエータ404C,404Dの一方または両方が駆動されて、閉塞を除去するのに十分な一時的な期間にわたって(方向Aとは反対の)方向Bを有する逆の流体フローが生成される。実施形態によっては、第1の流体アクチュエータ404A,404Bにより生成される主流は、第2の流体アクチュエータ404C,404Dの駆動中に維持される。実施形態によっては、第2の流体アクチュエータ404C,404Dの一方のみがマイクロ流体チャネル構造400内に含まれることが理解されよう。
閉塞が除去された後、特定の第2の流体アクチュエータ404C及び/又は404Dを停止させる。
図15は、本開示の一実施形態によるマイクロ流体デバイスのチャネル構造500を示す平面図である。実施形態によっては、チャネル構造500を含むマイクロ流体デバイスは、(少なくとも図10に関して上述したような)マイクロ流体デバイス160及び図11のチャネル構造200の全体的な構成要素と少なくとも実質的に同じ特徴及び属性を含む。
図15に示すように、実施形態によっては、マイクロ流体チャネル構造500は、第1の部分501A及び第2の部分501B及び第3の部分501Cを含む第1のチャネル502を含む。第1の部分501Aは、共通セグメント502Cを介して互いに結合する入口508A,508B及びチャネルセグメント502A,502Bを含む。第2の部分501Bは、一連の90度の方向転換部を含む多方向転換セグメント502Eを含み、次いで第3の部分501Cに結合する。第3の部分501Cは、2つの反対方向に延びるセグメント502K,502Lを含み、該セグメント502K,502Lは、それぞれ、属性センサ506B,506Aと、該センサ506B,506Aの下流側のチャネル502M,502Nとを含む。
動作時に、第1の流体アクチュエータ504A,504Bの駆動により、リザーバ214から第1の部分501Aのセグメント502A,502Bへの流体フローが誘発され、次いで第2の部分501B及び第3の部分501Cを通って流体がそれぞれの属性センサ506A,506Bを通過する。
実施形態によっては、少なくとも1つの流体フローセンサ(F)がチャネル502内に配設される。図15に示す特定の実施例では、流体フローセンサ(F)513Aが、属性センサ506Aの下流側で第3の部分501C内に示されている。実施形態によっては、同様の流体フローセンサ(F)を属性センサ506Bの下流側に配置することができることが理解されよう。
実施形態によっては、チャネル502は、少なくとも図1ないし図14に関して上述した複数の実施形態における複数の位置のうちの少なくとも幾つかの位置に配置された追加の流体フローセンサを含むことが可能である。
動作時には、主流は、方向矢印Aで示す方向に発生し、第1の流体アクチュエータ504A,504Bが、既述の態様でチャネル502を通る流体フローを誘発させる。
実施形態によっては、閉塞は、チャネル502の第3の部分501C内でそれぞれのセグメント502Lに配置されたフローセンサ(F)の少なくとも一部により識別することが可能である。前述したように、その他の閉塞は、適当に配置された流体フローセンサ(F)によりチャネル502内の他の場所で潜在的に識別することが可能である。
チャネル502内で(例えば、属性センサ506Aの近傍で)閉塞が形成された場合には、該閉塞を除去するのに十分な一時的な期間にわたって(方向Aとは反対の)方向Bを有する逆の流体フローが生成されるように第2の流体アクチュエータ504Cが駆動される。実施形態によっては、第1の流体アクチュエータ504A,504Bによって引き起こされる主流は、第2の流体アクチュエータ504Cの駆動中に維持される。閉塞を除去した後、(1つ以上の)第2の流体アクチュエータ504Cを停止させる。
本開示の少なくとも幾つかの実施形態は、閉塞を除去するため及び/又は閉塞の形成を防止するための追加の又は冗長な1つ以上の流体アクチュエータを含むマイクロ流体チャネル構造の流体フロー制御を提供する。
本書では特定の実施形態を図示し説明してきたが、本開示の範囲から逸脱することなく、図示し説明した特定の実施形態の代わりに、様々な代替的な及び/又は等価な実施形態を用いることが可能である。本出願は、本書で説明した特定の実施形態の任意の応用又は変形を網羅することを意図している。