JP2000039414A - コンクリート構造物中の鉄筋の腐食状態の評価方法 - Google Patents
コンクリート構造物中の鉄筋の腐食状態の評価方法Info
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Abstract
然電位のみのデーターから、より正確な鉄筋の腐食状態
の評価が容易に行えるコンクリート構造物中の鉄筋の腐
食状態の評価方法を提供すること。 【解決手段】 コンクリート構造物中に埋設された鉄筋
の腐食状態を、鉄筋の自然電位を測定することにより評
価するコンクリート構造物中の鉄筋の腐食状態の評価方
法において、上記鉄筋の自然電位をコンクリート構造物
表面において測定すると共に、該測定値を、自然電位の
原理となるポテンシャル問題の3次元Laplace方
程式を境界要素法による解析法によって解くことで鉄筋
上の電位に変換し、更に該変換値を利用して電流量解析
から鉄筋中の電流量を求め、該鉄筋中の電流量に基づい
て鉄筋の腐食状態を評価するコンクリート構造物中の鉄
筋の腐食状態の評価方法とした。
Description
トンネル等の各種コンクリート構造物中に埋設された鉄
筋の腐食状態を、非破壊的に検査して評価するコンクリ
ート構造物中の鉄筋の腐食状態の評価方法に関するもの
である。
中には、該構造物の強度確保等の観点から鉄筋が埋設さ
れている。この埋設された鉄筋の腐食状態が進行する
と、構造物自体の強度低下につながるために補修をする
必要がある。ところが、鉄筋は構造物中に埋設されてい
るため、鉄筋が腐食しているか否かの診断は構造物表面
からはできない。
腐食状態を評価する方法が種々考えられ、その中の一つ
に自然電位法がある。この自然電位法は、健全なコンク
リート構造物中では強アルカリ性のために鉄筋は不動態
化しており、その電位は−0.1〜−0.2V(CS
E)を示すが、塩化物の進入や中性化によって鉄筋が活
性状態となり、腐食が進行するとその電位は卑方向
(−)へ変化することに着目し、この自然電位の測定値
をもとに腐食の確率を評価する手法である。
然電位を測定する方法は、照合電極(例えば飽和硫酸銅
電極、飽和塩化銀電極など)と電位差計とを用い、コン
クリート構造物中の鉄筋とコンクリート構造物表面上の
照合電極との電位差を測定することにより行われる。ま
た、求められた電位値から鉄筋の腐食状態を判断する基
準としては、表1に示したASTM(American Society
for Testing and Materials)によって測定された評価基
準(ASTM C 876-91)が広く使用されている。
方法ではあるが腐食しているか否かの判断が曖昧になる
ケースが多く、実際には必要以上の場所でコンクリート
中から鉄筋をハツリ出して調査をせざるを得ない状況で
あり、信頼性に欠けると言う課題を有していた。これ
は、そもそもコンクリート構造物中における鉄筋の電位
は、コンクリート構造物表面においてコンクリートを介
して測定されたものであるため、測定誤差が有ると共
に、コンクリートの含水率、塩分量更には炭酸化深さ等
の要因が測定値に影響を及ぼし、測定値は必ずしも鉄筋
の真の電位を示すものとはなっていないことに大きく起
因していた。
造物表面で測定した自然電位を、真の鉄筋表面における
自然電位に近づける補正を行う研究が成されている。例
えば、「防錆管理」Vol.39,1995年11月号の第3
93頁〜第399頁には、コンクリート構造物表面で測
定した自然電位と、鉄筋近傍で測定した自然電位との差
を補正電位とし、これを用いてコンクリート構造物表面
の他の場所で測定された自然電位を補正する手法が開示
されている。
算出するための鉄筋近傍での自然電位の測定が不可欠と
なるが、この補正電位は、ひとつのコンクリート構造物
において同じような環境下にある部位にしか有効ではな
く、例えば南向き面と北向き面とではその乾燥度(含水
率)が少なくとも異なっているため、それぞれ別個に鉄
筋近傍での自然電位を測定しなければ正しい補正電位を
得ることが出来ない。
の自然電位を測定するための孔をコンクリート構造物に
対して多数穿設しなければならず、面倒かつ煩雑で作業
性に劣ると言う課題を有する上、鉄筋近傍での自然電位
の測定時においては孔の部位を濡らしてはならないと言
う、コンクリート構造物表面から自然電位を測定する場
合とは全く正反対の条件下での測定が強いられるため、
測定自体も煩雑なものとなっていた。
は、予め試験によってコンクリートの含水率、塩分量等
がコンクリート構造物表面で測定した自然電位の測定値
に及ぼす影響を把握し、実測したコンクリート構造物表
面での自然電位に対し、実測した鉄筋の被り部分におけ
るコンクリートの含水率、塩分量等に基づいた補正を行
い、この補正自然電位に基づいて鉄筋の腐食状態を評価
する手法が開示されている。
精度を増すためにはコンクリート構造物の多くの部位に
おけるコンクリートの含水率、塩分量等を測定しなけれ
ばならず、その作業はやはり面倒かつ煩雑なものとなっ
ていた。
題に鑑み成されたものであって、その目的は、コンクリ
ート構造物表面で測定した鉄筋の自然電位のみのデータ
ーから、より正確な鉄筋の腐食状態の評価が容易に行え
るコンクリート構造物中の鉄筋の腐食状態の評価方法を
提供することにある。
目的を達成すべく試験・研究を重ねた結果、コンクリー
ト構造物表面において測定した自然電位を、自然電位の
原理となるポテンシャル問題の3次元Laplace方
程式を境界要素法による解析法によって解くことで鉄筋
上の電位に変換し、更に該変換値を利用して電流量解析
から鉄筋中の電流量を求めれば、より正確な鉄筋の腐食
状態の評価が可能となるとの知見に基づき、本発明を完
成させた。
埋設された鉄筋の腐食状態を、鉄筋の自然電位を測定す
ることにより評価するコンクリート構造物中の鉄筋の腐
食状態の評価方法において、上記鉄筋の自然電位をコン
クリート構造物表面において測定すると共に、該測定値
を、自然電位の原理となるポテンシャル問題の3次元L
aplace方程式を境界要素法による解析法によって
解くことで鉄筋上の電位に変換し、更に該変換値を利用
して電流量解析から鉄筋中の電流量を求め、該鉄筋中の
電流量に基づいて鉄筋の腐食状態を評価する、具体的に
は、例えば電流量解析により求めた鉄筋中の電流量が0
mA以下の部位の鉄筋は腐食していると評価するコンク
リート構造物中の鉄筋の腐食状態の評価方法とした。
リート構造物に埋設された鉄筋の位置を、設計図面或い
はレーダー法等によって確認する。続いて、従来と同様
に照合電極と電位差計とを用い、コンクリート構造物表
面から鉄筋の自然電位U(q) を測定する。
の原理となるポテンシャル問題の3次元Laplace
方程式を境界要素法による解析法によって解くことで鉄
筋表面上の電位U(p) に変換する。
順を、以下に詳述する。
ent Method、以下単にBEM)の解析領域をΩ、解析境
界S、任意の解析内点p(X,Y,Z)のポテンシャル
をU、pからSまでの距離をrとする。なお、図中×印
は境界節点である。
let境界値問題の支配方程式は下記の式1で表され
る。
等しいとき、その解としてのΩ内及びS上で微分可能な
ポテンシャル関数をGとすると下記式2を満足する。
G=(1/4π)・(1/r3 )である。
すれば、一般にGreenの第2定理は下記の式3で表
される。
は以下の式4のようになる。
は、ラプラス方程式を満足することから境界要素法(B
EM)により上記式4と表示される。ここで、境界上の
電位U(q) と電流強さ∂U/∂n(q) のみを考える場合
には、上記式4の係数cは1/2であり、境界値問題と
して解くことができる。
であるが、この場合にはコンクリート構造物表面全てを
境界要素としてモデル化する必要があり、実用的ではな
い。そこで、コンクリート構造物体Ωに対して、自然電
位を測定した面のみをShとして式4を解くと、内部点
(鉄筋上の点)pでの電位は、下記の式5として求めら
れる。
鉄筋の自然電位の測定値である。従って測定面をメッシ
ュに分解し、メッシュの中心点を測定点として式5にU
(q) を与えて積分を実行すれば、鉄筋に接するコンクリ
ート構造物内部での電位、即ち鉄筋表面上の電位U(P)
が計算されることとなる。これは、無限物体に境界面S
h を設定した解に相当する。
の電位U(P) は、コンクリート構造物表面のポテンシャ
ルを、鉄筋上のポテンシャルに直すことでその値が決定
されたものであるため、測定誤差、また鉄筋の被り部分
におけるコンクリートの含水率、塩分量更には炭酸化深
さ等の測定値に影響を与える要因がある程度補正され、
真の鉄筋表面の自然電位に近い値となる。
面上の電位U(P) と、オームの法則から下記の式6を用
いて電流量解析を行い、鉄筋中の電流量を求める。
筋は、電流が流出している部位であり、アノードを形成
していると考えることができるため、鉄筋中の電流量が
0mA以下の部位の鉄筋は腐食していると評価する。
表面上の電位U(P) を用いて従来と同様にASTMによ
って測定された評価基準に照らし合わせて鉄筋の腐食状
態を評価しても、従来のコンクリート構造物表面で測定
した自然電位をそのまま用いて評価した場合よりは腐食
しているか否かの判断が曖昧になるケースは少なくな
る。
構造物中の鉄筋の腐食状態の評価方法の実施例につき説
明する。
試体(図中、鎖線で示したものが埋設された鉄筋を示
す。)を使用した。なお、供試体は2種類あり、埋設さ
れた鉄筋の腐食状態が相違する。
いて、その表面から自然電位を図3に示した方法によっ
て各々測定した。なお、測定点は、各供試体ごとに表1
に示す20点を採り測定した。自然電位の測定結果を、
表2に示す。
自然電位を、自然電位の原理となるポテンシャル問題の
3次元Laplace方程式を境界要素法による解析法
によって解くことで鉄筋表面上の電位に変換した。具体
的には、下記の式7を用いて鉄筋表面上の電位に変換し
た。
位差から鉄筋中の電流量を求めた。具体的には、下記の
式8を用いて各鉄筋中の電流量を求めた。なお、コンク
リートの比抵抗は、10kΩ・mとして求めた。
も鉄筋及び鉄筋についての電流量を図中にプロット
した。その図面を図4〜図7に各々示す。また、各図面
中にコンクリート表面において測定した自然電位も合わ
せてプロットした。
下の部位の鉄筋は腐食している(×)と評価し、また得
られた鉄筋中の電流量が0mAを越える部位の鉄筋は腐
食していない(○)と評価した。その評価結果中、各供
試体とも鉄筋及び鉄筋についての評価結果を表3に
実施例(電流量)として示す。また、比較のために、コ
ンクリート表面において測定した自然電位をASTMに
よって測定された評価基準に照らして鉄筋の腐食状態を
評価した結果を表3に従来例(自然電位)として併記し
た。
鉄筋は実際に各供試体から鉄筋をハツリ出し、目視によ
って腐食が確認された部位を示し、また表3において
は、実測値(目視)として実際に腐食が確認された部位
は(×)として示し、腐食が確認されなかった部位は
(○)として示した。また、上記した解析によって得ら
れた鉄筋表面上の電位U(P) 中、各供試体とも鉄筋及
び鉄筋について、ASTMによって測定された評価基
準に照らして鉄筋の腐食状態を評価した結果を表4に参
考例(変換電位)として示す。また、比較のために、コ
ンクリート表面において測定した自然電位をASTMに
よって測定された評価基準に照らして鉄筋の腐食状態を
評価した結果を表4に従来例(自然電位)として併記し
た。
クリート表面で測定した自然電位をそのままASTMに
よって測定された評価基準に照らして鉄筋の腐食状態を
評価するよりは、コンクリート表面で測定した自然電位
を自然電位の原理となるポテンシャル問題の3次元La
place方程式を境界要素法による解析法によって解
くことで鉄筋上の電位に変換し、更に該変換値を利用し
て電流量解析から鉄筋中の電流量を求め、該鉄筋中の電
流量が0mA以下の部位の鉄筋は腐食していると評価す
る方が、鉄筋の腐食状態をより正確に示していることが
分かる。また、表4から、解析によって得られた鉄筋表
面上の電位を用いて従来と同様にASTMによって測定
された評価基準に照らし合わせて鉄筋の腐食状態を評価
しても、従来のコンクリート構造物表面で測定した自然
電位をそのまま用いて評価した場合よりは腐食している
か否かの判断が曖昧になるケースが少なくなることが分
かる。
ート構造物中の鉄筋の腐食状態の評価方法によれば、コ
ンクリート構造物表面で測定した鉄筋の自然電位のみの
データーから、より正確な鉄筋の腐食状態の評価が可能
となる効果がある。
した図で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は
側面図を各々示す。
る。
た図である。
た図である。
た図である。
た図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 コンクリート構造物中に埋設された鉄筋
の腐食状態を、鉄筋の自然電位を測定することにより評
価するコンクリート構造物中の鉄筋の腐食状態の評価方
法において、上記鉄筋の自然電位をコンクリート構造物
表面において測定すると共に、該測定値を、自然電位の
原理となるポテンシャル問題の3次元Laplace方
程式を境界要素法による解析法によって解くことで鉄筋
上の電位に変換し、更に該変換値を利用して電流量解析
から鉄筋中の電流量を求め、該鉄筋中の電流量に基づい
て鉄筋の腐食状態を評価することを特徴とするコンクリ
ート構造物中の鉄筋の腐食状態の評価方法。 - 【請求項2】 上記電流量解析により求めた鉄筋中の電
流量が0mA以下の部位の鉄筋は腐食していると評価す
ることを特徴とする、請求項1記載のコンクリート構造
物中の鉄筋の腐食状態の評価方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP21984598A JP3973768B2 (ja) | 1998-07-17 | 1998-07-17 | コンクリート構造物中の鉄筋の腐食状態の評価方法 |
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