JP2000038632A - アルミニウム箔地及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム箔地及びその製造方法

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JP2000038632A JP20539998A JP20539998A JP2000038632A JP 2000038632 A JP2000038632 A JP 2000038632A JP 20539998 A JP20539998 A JP 20539998A JP 20539998 A JP20539998 A JP 20539998A JP 2000038632 A JP2000038632 A JP 2000038632A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 JIS1N30相当の純アルミニウム組成で
あっても、箔圧延性及びピンホール特性を損なうことな
く、箔を薄肉化できるアルミニウム箔地及びその製造方
法を提供する。 【解決手段】 Fe:0.3乃至0.1重量%を含み、
不純物のSiが0.15重量%未満に規制され、残部が
Al及び不可避不純物からなるアルミニウム合金組成を
有し、0.1乃至0.3μm以下の金属間化合物の総数
が4×l08乃至10×108個/mm3である。前記ア
ルミニウム合金は、必要に応じて、Cu:0.02重量
%以下、Ti:0.03重量%以下を含有する。前記組
成を有する溶湯を、凝固時の冷却速度を0.3乃至3.
0℃/秒として半連続鋳造し、面削した後、400乃至
620℃の温度範囲にて均質化処理を施し、熱間圧延後
に圧延率50%以上の冷間圧延を行い、その後300乃
至450℃にて中間焼鈍を施し、冷間圧延することによ
り、0.1乃至0.3μmの金属間化合物の総数が4×
108乃至10×l08個/mm3である箔地を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は食品その他の包装
用、フィルムコンデンサ用、ラベル用、たばこ包装用等
の薄箔として好適のアルミニウム箔地及びその製造方法
に関し、特に厚さが15μm以下の極簿のアルミニウム
箔用途であってピンホール特性を向上させたアルミニウ
ム箔地及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、薄箔用のアルミニウム又はアルミ
ニウム合金箔地用材料としては、JIS1N30等の純
アルミニウム又はJIS8079若しくは8021等の
アルミニウム合金が使用されている。
【0003】なお、以下、純アルミニウム及びアルミニ
ウム合金を総称してアルミニウムという。アルミニウム
箔地は、一般的に、これらの組成のアルミニウム鋳塊に
均質化処理・熱間圧延・冷間圧延及び中間焼鈍を施し、
また必要に応じて、その後冷間圧延を施すことにより製
造されている。
【0004】そして、得られたアルミニウム箔地に箔圧
延及び最終焼鈍を行うことによりアルミニウム箔が得ら
れる。ところで、5.5乃至7μmのアルミニウム箔が
実用化されているが、薄箔需要は6乃至7μmが大半で
あり、同一の厚さのアルミニウム箔は箔圧延での互換性
の点よりJIS1N30純アルミニウムを使用したいと
いう要望が強い。
【0005】一般的に、箔厚の減少に伴う問題点として
は、ピンホールが著しく増加し、箔が本来有するべき機
能である光、気、液等に対するバリアー性が低下すると
共に、ピンホールによる箔破断を生ずること等が知られ
ている。
【0006】薄箔の仕上箔圧延は、通常、重合圧延によ
り行われ、ピンホールはマット面うねりの最大のところ
がブライト面オイルピット等と連結して生ずることが知
られている。また、ピンホールはオイルピット等の表面
欠陥と比べて、マット面粗度に主に支配されることも知
られている。更に、オイルピットは圧延条件(リダクシ
ョン、バックテンション)に主に支配され、マット面は
結晶粒の自由変形により形成されると考えられ、箔地に
より支配される要因が大きいことが知られている(特公
平3−60562号公報、軽金属学会第70回予稿集
33、34、35)。
【0007】そこで、従来、マット面粗度を低減させる
べく、Fe含有量の増加及び均熱以降の製造条件の変更
によりFe固溶度を減少させ、結晶粒を微細化すること
により加工硬化を抑制できる箔が開示されている(特開
昭63−26322号公報等)。また、Ni、Mn及び
Crの添加により、結晶粒を微細化し、加工硬化を抑制
する技術が提案されている(特開昭63−282228
号公報、特開昭63−282244号公報及び特開平8
−333644号公報等)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Fe、
Ni、Mn又はCrを添加したアルミニウム箔地では、
上述のような互換性のメリットがなく、また、JIS1
N30純アルミニウム相当の組成で、Fe含有量の増加
がない場合には、均熱以降の製造条件変更により析出促
進を行っても、箔厚が6乃至7μmのアルミニウム箔を
得る箔圧延においては、大きな加工硬化の抑制効果は得
られない。また、製造工程の変更で析出促進を図って
も、結晶粒が逆に大きくなってしまうこともあり、ピン
ホールが多発したり、箔破断が頻発したりするという問
題点がある。
【0009】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、JIS1N30相当の純アルミニウム組成
であっても、箔圧延性及びピンホール特性を損なうこと
なく、箔を薄肉化できるアルミニウム箔地及びその製造
方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係るアルミニウ
ム箔地は、Fe:0.3乃至0.1重量%を含み、不純
物のSiが0.15重量%未満に規制され、残部がAl
及び不可避不純物からなるアルミニウム合金組成を有
し、0.1乃至0.3μm以下の金属間化合物の総数が
4×l08乃至10×108個/mm3とすることを特徴
とする。
【0011】このアルミニウム箔地において、前記アル
ミニウム合金は、必要に応じて、Cu:0.02重量%
以下、Ti:0.03重量%以下を含有することができ
る。
【0012】また、本発明に係るアルミニウム箔地の製
造方法は、前記組成のアルミニウム合金組成を有する溶
湯を、凝固時の冷却速度を0.3乃至3.0℃/秒とし
て半連続鋳造し、面削した後、400乃至620℃の温
度範囲にて均質化処理を施し、熱間圧延後に圧延率50
%以上の冷間圧延を行い、その後300乃至450℃に
て中間焼鈍を施すことにより、0.1乃至0.3μmの
金属間化合物の総数が4×108乃至10×l08個/m
3である箔地を得ることを特徴とする。
【0013】このアルミニウム箔地の製造方法におい
て、前記中間焼鈍の後工程として、冷間圧延工程を設け
ることができる。
【0014】本発明者らは、課題を解決すべくアルミニ
ウム箔・箔地に関して種々実験研究した結果、ピンホー
ルを少なくするためには、マット面粗度を低くするこ
と、即ち、仕上箔圧延時の変形ブロックを微小化するこ
とが有効であることを見出した。また、本願発明者等
は、マット面は結晶粒サイズのみではなく、転位セルサ
イズの自由変形によっても形成されることを見いだし
た。更に、ピンホールを少なくするには、加工硬化を抑
制することが有効であることは公知であるが、本願発明
者等は、この現象は、転位整理によるサブ・グレイン化
により達成されていることを究明した。
【0015】そこで、上記特性を発現するためのアルミ
ニウム箔地を開発するため、鋭意研究を重ねた結果、
0.1乃至0.3μmの金属間化合物の総数を適正化す
ることが有効であり、JIS1N30純アルミニウム組
成の場合には、このサイズの総金属間化合物数の適正化
は従来行われてきた均熱以降の製造条件の変更のみでは
調整困難であり、鋳造条件の適正化と均熱以降の箔地製
造条件の組み合わせで制御することにより、その目的が
達成されることを見出した。本発明はこれらの知見に基
づいてなされたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳細に
説明する。先ず、本発明に係るアルミニウム箔地の成分
添加理由及び組成限定理由について説明する。
【0017】Fe:0.3%乃至1.0重量% Feはアルミニウムへの固溶限が小さく、アルミニウム
中において他の元素と結合してAl−Fe系の金属間化
合物を生成する元素であり、同化合物は再結晶の核とし
て作用するために、Feの添加は結晶粒の微細化に効果
がある。Fe含有量が0.3重量%未満では鋳造時に晶
出する金属間固化合物の数が不十分であり、結晶粒を微
細化する効果を得にくい。一方、Fe含有量が1.0重
量%を超える場合には、Al−Fe系の晶出物の数が多
く形成されるので、結晶粒の微細化効果は大きいが、箔
圧延時の変形抵抗が増大するため、圧延性が極端に低下
する。従って、Fe含有量は0.3%乃至1.0重量%
とする。
【0018】Si:0.15重量%未満 Siは地金中の不可避的不純物の一つである。Siは、
粗大なAl−Fe−Si系金属間化合物を生成し易く、
ピンホールが増大する原因となるため、少ない方が良
い。このため、Si含有量は0.15重量%未満にする
ことが望ましい。
【0019】0.1乃至0.3μmの金属間化合物の
総数4×108乃至10×108個/mm3 0.1乃至0.3μmの金属間化合物は主に析出物であ
り、均質化処理、熱間圧延及び中間焼鈍にて生成する。
これらの金属間化合物の分布は、箔圧延中の転位蓄積・
整理に作用するために、その後の重合圧延における転位
セルオーダーの変形ブロックサイズに影響を及ぼす。同
サイズの金属間化合物の総数が10×108個/mm3
超える場合には、重合圧延前のパスで金属間化合物によ
って転位の移動が妨げられる所謂ピン止め現象が起こ
り、これにより転位蓄積が過多となり、後の重合圧延に
て複数の転位セル単位での変形ブロックとなるために、
マット面が粗くなり、ピンホールが多発する。一方、前
記サイズの金属間化合物の総数が4×108個/mm3
満では、重合圧延前パスでの転移整理は容易となり、単
一セルでの変形ブロックとなるが、粗大セルが形成され
易いため、マット面が粗くなり、ピンホールが多発す
る。従って、0.1乃至0.3μmの金属間化合物の総
数は4×108乃至10×108個/mm3とする。
【0020】Cu:0.02重量%以下 Cuはアルミニウム中に固溶する元素であり、固溶硬化
によるO材強度の向上に有効であり、必要に応じて添加
しても良い。Cu含有量が0.005重量%未満では、
固溶硬化が不十分であり、O材強度を向上する効果を得
にくい。一方、Cu含有量が0.02重量%を超える場
合には、固溶硬化の程度が大き過ぎ、箔圧延時の変形抵
抗が増大するため、圧延性が極端に低下する。従って、
Cuは0.02重量%以下であれば、必要に応じて添加
しても良い。
【0021】Ti:0.03重量%以下 TiはAl−Ti又はAl−Ti−B母合金として添加
され、鋳塊組織を微細化するために使用される。箔圧延
後に筋模様が問題となる場合には、0.03重量%以下
の範囲で添加しても良い。しかし、Tiを添加しない
で、羽毛状晶とした方が鋳塊で晶出する金属間化合物が
微細となるため、筋模様に支障がなければTiは少ない
方が好ましい。従って、Tiは0.03重量%以下であ
れば、必要に応じて添加しても良い。
【0022】不可避的不純物 アルミニウムに含有する上記以外の不可避的不純物とし
ては、Mn、Mg、Zn、Cr、V、Zr、Bi、S
n、In及びPb等が挙げられるが,JIS1100及
び1N30程度の含有範囲であれば、それが含有されて
いても、本発明の目的を損なうものではない。
【0023】次に、本発明におけるアルミニウム箔地の
製造方法における処理条件の限定理由について説明す
る。
【0024】凝固時の冷却速度:0.3乃至3.0℃
/秒 上述のように、箔として優れたピンボール特性を発現す
るためには、箔地で0.1乃至0.3μmの金属間化合
物の総数を適正化する必要がある。この総金属間化合物
数の適正化は従来行われてきた均熱以降の製造条件の変
更のみでは調整困難であり、鋳造条件の適正化と均熱以
降の箔地の製造条件を組み合わせて制御することによ
り、その目的は達成される。
【0025】即ち、凝固時の冷却速度を適正化すること
は、同サイズの総金属間化合物数を適正化することとな
り、ピンホールの低減に寄与する。凝固時の冷却速度が
3.0℃/秒を超えて造塊されたスラブでは、その後の
均質化処理・熱間圧延処理・中間焼鈍により、過飽和固
溶したFeが微細析出物として排出され、0.3μm以
下の析出物数を極端に増加させ、ピン止めとなるために
マット面が粗くなり、ピンホールの多発を招く。一方、
凝固時の冷却速度が0.3℃/秒未満では、グラススク
リーン内で浮遊晶を生ずるため、圧延用スラブとして造
塊することは困難である。従って、凝固時の冷却速度は
0.3乃至3.0℃/秒、好ましくは、0.3乃至2.
4℃/秒とする。
【0026】均質化処理:400乃至620℃ 前記組成・造塊条件のスラブを面削した後、均質化処理
を施す。この均質化処理は固溶及び析出調整を目的とし
て行われ、0.1乃至0.3μmの総金属間化合物数を
適正化する重要な処理であり、ピンホールの低減に寄与
する。均質化処理温度が400℃未満であるか、又は6
20℃を超える場合は、固溶元素の析出による析出物数
が不十分となり、総金属間化合物数が不足するため、ピ
ンホールの多発を招く。なお.均質化処理温度が400
℃未満であっても、長時間の焼鈍を行う場合には固溶元
素が充分に析出するが、生産効率が悪くなるため好まし
くない。このため、均質化処理温度は400乃至620
℃とする。この均質化処理時間は特に規定するものでは
ないが、2時間以上行うことが好ましい。
【0027】圧延率:50%以上、中間焼鈍:300
乃至450℃ 前記の均質化処理の後、熱間圧延し、次に冷間圧延を施
し、更に中間焼鈍する。この中間焼鈍は固溶元素の析出
及び再結晶を目的として行われるものであるが、上述の
0.1乃至0.3μmの総金属間化合物数は中間焼鈍温
度と圧延率に影響される。圧延率が50%未満、又は中
間焼鈍温度が300℃未満、若しくは450℃を超える
場合には、固溶元素の析出による析出物数が不十分とな
り、総金属間化合物数が不足するため、ピンホールの多
発を招く。なお.中間温度が300℃未満であっても、
長時間の焼鈍を行う場合には、固溶元素が充分に析出す
るが、生産効率が悪くなるため好ましくない。このた
め、中間焼鈍温度は300乃至450℃とする。この中
間焼鈍時間は特に規定するものではないが、2時間以上
行うことが好ましい。
【0028】熱間粗圧延温度:450℃未満320℃
以上、1パス当たり圧延率37乃至60% O材強度の向上及びマット面粗度の低減には、結晶粒の
微細化も有効であり、熱間粗圧延で確実な再結晶を繰り
返すことは、結晶粒微細化に有効であるため、必要に応
じて、以下の熱延粗圧延を施しても良い。この再結晶粒
径の適正化には、熱間粗圧延での1パス当たりの圧延率
と温度範囲とを適正化する必要がある。
【0029】この1パス当たりの圧延率が37%未満、
又は温度が320℃未満の場合は再結晶に至らず、結晶
粒の微細化程度が不足する。一方、1パス当たりの圧延
率が60%超、若しくは温度が450℃を超えると粒成
長を生じ、結晶粒が粗大化する。従って、必要に応じ
て、熱間粗圧延で結晶粒微細化する場合は、450℃未
満320℃以上、1パス当たり圧延率37乃至60%と
する。
【0030】仕上熱間圧延終了温度:200乃至26
0℃ 前述と同様に、結晶粒微細化を目的とした以下の熱間仕
上圧延を必要に応じて施しても良い。ホットコイル調質
は仕上熱延温度により変化し、熱延終了温度を低温にす
ることでホットコイルの厚さを厚くすることなくR方位
の蓄積を強化させ、中間焼鈍での再桔晶粒微細化を図る
ことができる。仕上熱延温度が260℃を超える場合に
は、R方位の蓄積が不足し、中間焼鈍で余り微細な結晶
粒が得られない。一方、仕上熱延温度が200℃未満で
は、箔地として必要なコイル形状が得られず、箔圧延で
の圧延性に劣る。従って、必要に応じて、結晶粒微細化
する場合に、200乃至260℃で熱延仕上圧延を終了
する。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例に係るアルミニウム箔
地の特性について、本発明の特許請求の範囲から外れる
比較例と比較して具体的に説明する。 (実施例1)下記表1に示す組成を有するアルミニウム
溶湯を同表に示す凝固時の冷却速度で半連続鋳造(D
C)し、得たスラブを面削した後、540℃の温度で8
時間の均質化処理を行い、その直後に熱間圧延を開始
し、厚さが5mm厚のアルミニウム板を得た。その後、
圧延率86%で冷間圧延を行い、得た板を420℃の温
度で6時間の中間焼鈍を行った。更に、冷間圧延して、
厚さが0.3mmのアルミニウム箔地を製作した。得ら
れたアルミニウム箔地を箔圧延し、最終焼鈍することに
より、厚さが6μmのアルミニウム箔を製作した。
【0032】得られたアルミニウム箔地を、箔圧延時に
おける圧延性について評価した。但し、圧延性評価欄に
おいて、○(良好)は圧延時において円滑に圧延できた
ことを示し、×(不良)は同一圧延条件において、薄肉
化が困難であるか、強度不足により圧延速度を速くでき
ないか、又は板厚分布等の平面性制御が困難等のトラブ
ルが発生する傾向が強いことを示す。また、造塊時に、
浮遊晶発生により、圧延用としてのスラブが取れなかっ
たものも×(不良)とした。
【0033】また、最終焼鈍後の6μmのアルミニウム
箔を幅が15mm、有効長さが100mmの短册状に
し、これについてインストロン式の引張試験器により引
張強さを測定し、これをO材強度とした。O材強度は5
5MPa未満が劣り、55乃至75MPa超が特に優れ
ることを示す。
【0034】また、最終焼鈍後の6μmのアルミニウム
箔について、ピンホール検知機により1m2当たりのピ
ンホール数(直径が5μm以上のもの)を測定した。ピ
ンホールは100個/m2以下が優れる。
【0035】なお、表中の凝固時の冷却速度、0.1乃
至0.3μmの総金属間化合物数及び結晶粒径は以下に
より測定した。
【0036】凝固時の冷却速度は、造塊後の鋳塊より湯
底側の定常部を採取し、次に広面中央部の表皮より10
0mmの位置より小片を採取し、更に、電解研磨の後
に、交線法と二次技法にてDAS(デンドライトアーム
スペーシング)を測定することにより算出した。交線法
と二次技法との測定値補正は下記経験式(数式1)によ
り行った。
【0037】
【数1】dr=1.49ds 但し、drは交線法によるDAS、dsは二次技法によ
るDASである。そして、凝固時の冷却速度Cは下記数
式2により算出した。
【0038】
【数2】Fe量≦0.65重量%の場合:ds=33.
4・C-0.33 Fe量>0.65重量%の場合:ds=77・C-0.42
【0039】これらの数式1及び2は、軽金属学会の研
究部会報告書No.20「アルミニウムのデントライト
アームスペーシングと冷却速度の測定法」に記載されて
いるものである。
【0040】0.1乃至0.3μmの総金属間化合物数
は透過型電子顕微鏡と画像処理装置を使用して測定し
た。即ち、箔地より7.5mm角の小片を採取し、0.
1mm厚に研磨後、直径3mmに打ち抜く。これを35
0℃×5分の転位除去処理を行い、次にジェット研磨に
より厚さが約5μmの観察サンプルを作製した。これら
を、透過型電子顕微鏡で倍率×10,000倍にて析出
物を観察し、総面積が3512μm2になる視野数の写
真を撮影した。更に、これらの写真を画像処理にてカウ
ントすることにより、0.1乃至0.3μmの総金属間
化合物数を算出した。
【0041】結晶粒径は中鈍板より小片を採取し、電解
研磨の後に光顕微鏡に偏光、倍率×100で撮影した写
真より交線法にて算出した。
【0042】各実施例及び比較例のアルミニウム箔地
を、上述の圧延性評価基準、ピンホール特性及びO材強
度の測定条件に基づいて評価し、この評価結果と測定結
果を下記表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】上記表1に示すように、実施例1のNo.
1乃至6については、良好な圧延性を得た。また、ピン
ホール及びO材強度についても実施例1のNo.1乃至
6は好ましい値であり、全体にわたって良好なアルミニ
ウム箔を得ることができた。
【0045】一方、比較例No.1は、ピンホール及び
O材強度は良好であるものの、過剰のFeの添加により
圧延性が低下した。比較例No.2は、圧延性は良好で
あったが、Fe含有量の不足により結晶粒を小さくでき
ず、ピンホール及びO材強度が実施例に比べて劣った。
比較例No.3及び5は、圧延性及びO材強度は良好で
あったが、比較例No.3はSiの過剰添加により、比
較例5はTiの過剰添加により、多量のピンホールが発
生した。比較例No.4は、O材強度は良好であるもの
の、Cuの過剰添加により、圧延性及びピンホール特性
が実施例に比べて劣った。比較例No.7、9、11、
13は、圧延性及びO材強度は良好であるものの、鋳造
凝固時の冷却速度が速過ぎ、0.1乃至0.3μmの総
金属間化合物数が過剰に多くなったために、マット面が
粗くなり、多量のピンホールが発生した。比較例No.
6、8、10、12は、鋳造凝固時の冷却速度が遅す
ぎ、グラススクリーン内で浮遊晶を生じたために、圧延
用スラブが製作できなかったものである。
【0046】(実施例2)上記表1の実施例1のNo.
1、4、6と成分及び凝固時の冷却速度が同じ鋳塊につ
いて、面削後、下記表2に示す均質化処理を行い、その
直後に熱間圧延を開始し、厚さが5mm厚のアルミニウ
ム板を得た。その後、表2に示す圧延率及び焼鈍温度で
冷間圧延及び中間焼鈍を行った。更に、冷間圧延して、
厚さが0.3mmのアルミニウム箔地を製作した。得ら
れたアルミニウム箔地を箔圧延し、最終焼鈍することに
より、厚さが6μmのアルミニウム箔を製作した。
【0047】上述の実施例1と同じ圧延性評価基準、並
びにピンホール特性及びO材強度の測定条件に基づいて
評価し、又は測定した結果を下記表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】上記表2に示すように、実施例2のNo.
7乃至12については良好な圧延性を得た。また、ピン
ホール数及びO材強度についても実施例2のNo.7乃
至12については好ましい値であり、全体にわたって良
好な箔を得ることができた。
【0050】一方、比較例No.14乃至25は圧延性
については良好であったが、いずれについても、均質化
温度若しくは中間焼鈍温度が高すぎるか若しくは低すぎ
るため、又は圧延率が不足するため、粒子間距離が広く
なり、このために、マット面が粗くなり、ピンホールが
多く発生した。
【0051】(実施例3)上記表1の実施例1のNo.
1、4、6と成分及び凝固時の冷却速度が同じ鋳塊につ
いて、面削後、600℃の温度で8時間の均質化処理を
行い、その直後に熱間圧延を開始し、表2に示す熱間粗
圧延と熱間仕上圧延を行い、厚さが5mm厚のアルミニ
ウム板を得た。その後、圧延率87%で冷間圧延を行
い、得た板を400℃の温度で6時間の中間焼鈍を行っ
た。更に、冷間圧延して、厚さが0.3mmのアルミニ
ウム箔地を製作した。得られたアルミニウム箔地を箔圧
延し、最終焼鈍することにより、厚さが6μmのアルミ
ニウム箔を製作した。
【0052】上述の実施例1と同じ圧延性評価基準、並
びにピンホール特性及びO材強度の測定条件に基づいて
評価し、又は測定した結果を下記表3に示す。
【0053】
【表3】
【0054】上記表3に示すように、 実施例3のN
o.13乃至15については良好な圧延性を得た。ま
た、ピンホール数及びO材強度についても実施例No.
13乃至15は好ましい値であり、特にO材強度につい
ては、実施例1及び2に示す実施例No.1乃至12と
比べて、化学成分が同じであっても、高いレベルのO材
強度が得られており、全体にわたって優れた箔を得るこ
とができた。
【0055】一方、比較例 No.26についてはO材
強度が良好であったが、熱延仕上圧延の終了温度が低す
ぎ、良好なコイル形状が得られず、箔圧延性及びピンホ
ール特性に劣る。比較例No.27、29、30は、箔
圧延性、ピンホール数及びO材強度良好であるが、実施
例1及び2に示す実施例No.1乃至12と比べて特性
が同等であり、特に優れたものではなかった。比較例
No.28及び31は、圧延性及びピンホール数は良好
であったが、熱延粗圧延の温度範囲が高いか又は圧延率
が高いために、結晶粒が大きめとなり、O材強度が特に
優れることはなく、実施例1及び2に示す実施例No.
1乃至12と比べて特性が同等であり、特に優れたもの
ではなかった。
【0056】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によれ
ば、鋳造凝固時の冷却速度、均質化処理条件、冷間圧延
率及び中間焼鈍処理条件の制御により0.1乃至0.3
μmの金属間化合物総数の適正化を図ることにより、箔
圧延性が優れ、箔圧延後のピンホール発生数が少ないア
ルミニウム箔地を得ることができる。
【0057】更には、熱延粗圧延における温度範囲及び
1パス当たりの圧延率と熱延仕上圧延の終了温度の適正
化を組み合わせることにより、結晶粒の微細化を図るこ
とができ、箔圧延性が優れ、箔圧延後のピンホール発生
数が少なく、且つ、O材強度が優れたアルミニウム箔地
を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 682 C22F 1/00 682 685 685Z 686 686A 691 691B 694 694A

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe:0.3乃至0.1重量%を含み、
    不純物のSiが0.15重量%未満に規制され、残部が
    Al及び不可避不純物からなるアルミニウム合金組成を
    有し、0.1乃至0.3μm以下の金属間化合物の総数
    が4×l08乃至10×108個/mm3とすることを特
    徴とするアルミニウム箔地。
  2. 【請求項2】 前記アルミニウム合金は、Cu:0.0
    2重量%以下を含有することを特徴とする請求項1に記
    載のアルミニウム箔地。
  3. 【請求項3】 前記アルミニウム合金は、Ti:0.0
    3重量%以下を含有することを特徴とする請求項1又は
    2に記載のアルミニウム箔地。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3に記載のアルミニウ
    ム合金組成を有する溶湯を、凝固時の冷却速度を0.3
    乃至3.0℃/秒として半連続鋳造し、面削した後、4
    00乃至620℃の温度範囲にて均質化処理を施し、熱
    間圧延後に圧延率50%以上の冷間圧延を行い、その後
    300乃至450℃にて中間焼鈍を施すことにより、
    0.1乃至0.3μmの金属間化合物の総数が4×10
    8乃至10×l08個/mm3である箔地を得ることを特
    徴とするアルミニウム箔地の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記中間焼鈍の後工程として、冷間圧延
    することを特徴とする請求項4に記載のアルミニウム箔
    地の製造方法。
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