JP2000038367A - 2−ブチルオクタン二酸の製造法 - Google Patents

2−ブチルオクタン二酸の製造法

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JP2000038367A JP10158766A JP15876698A JP2000038367A JP 2000038367 A JP2000038367 A JP 2000038367A JP 10158766 A JP10158766 A JP 10158766A JP 15876698 A JP15876698 A JP 15876698A JP 2000038367 A JP2000038367 A JP 2000038367A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】純度の高い2−ブチルオクタン二酸を収率良く
得る製造法の提供 【解決手段】7−シアノウンデカン酸および/または2
−ブチル−,7−シアノヘプタン酸1モルに対し、1〜
20モルのアルカリ性化合物を混合して、60〜200
℃で加水分解を行った後、酸を添加して、pH8.5以
下、15〜100℃で酸処理を行ない、酸処理で析出し
た塩を除去する2−ブチルオクタン二酸の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は2−ブチルオクタン
二酸の製造法に関する。さらに詳しくは7−シアノウン
デカン酸および/または2−ブチル−,7−シアノヘプ
タン酸から高純度の2−ブチルオクタン二酸を収率良く
製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】2−ブチルオクタン二酸は電解コンデン
サー、特に、耐電圧特性に優れたコンデンサーの有効な
電解質成分として使用されている。また、ポリアミドや
ポリエステルなどのポリマー原料やエポキシ樹脂用硬化
剤として有用な化合物である。
【0003】従来、2−ブチルオクタン二酸の製造法は
知られている。例えば、特開昭49−115992号公
報や特開昭50−37716号公報では、シクロヘキサ
ンを酸化分解して、ドデカン二酸と同時に2−ブチルオ
クタン二酸とを製造する方法が提案されている。2−ブ
チルオクタン二酸は、このドデカン二酸と2−ブチルオ
クタン二酸との混合物から分離して、製造される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来法は、ドデカン二
酸を主成分として製造する方法で、2−ブチルオクタン
二酸の生成量は少なく、2−ブチルオクタン二酸の収率
は低い。例えば、特開昭49−115992号公報や特
開昭50−37716号公報の実施例では2−ブチルオ
クタン二酸の生成量はドデカン二酸の10%以下であ
り、収率は低い。また、ドデカン二酸と2−ブチルオク
タン二酸とを分離することは難しく、この方法では、ド
デカン二酸の含有量が10重量%以下の2−ブチルオク
タン二酸を得ることは困難であった。そのため、純度の
高い2−ブチルオクタン二酸を収率良く得る製造法が望
まれていた。
【0005】本発明は純度の高い2−ブチルオクタン二
酸を収率良く得る製造法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは2−ブチル
オクタン二酸の原料や製造法について鋭意検討した結
果、原料として7−シアノウンデカン酸や2−ブチル
−,7−シアノヘプタン酸を用い、これらを加水分解し
た後、酸処理を行うことにより収率良く、純度の高い2
−ブチルオクタン二酸を得ることを見出し、本発明に到
達した。
【0007】すなわち、本発明の第一の発明は、7−シ
アノウンデカン酸および/または2−ブチル−,7−シ
アノヘプタン酸をアルカリ性化合物の存在下に加水分解
した後、pH8.5以下で酸処理を行ない、酸処理で析
出した塩を除去する2−ブチルオクタン二酸の製造法で
ある。
【0008】本発明の第二の発明は、7−シアノウンデ
カン酸および/または2−ブチル−,7−シアノヘプタ
ン酸をアルカリ性化合物の存在下に加水分解した後、p
H5〜8.5で酸処理を行い、この酸処理で析出する塩
を除去した後、更に、pH1〜5で酸処理を行い、この
酸処理で析出する塩を除去する本発明の第一の発明に記
載の2−ブチルオクタン二酸の製造法である。
【0009】本発明の第三の発明は、酸処理により析出
した塩を除去した後、水および/または有機溶剤で洗浄
する本発明の第一または第二の発明に記載の2−ブチル
オクタン二酸の製造法である。
【0010】7−シアノウンデカン酸や2−ブチル−,
7−シアノヘプタン酸を原料とすることにより、純度の
高い2−ブチルオクタン二酸を収率良く製造できる方法
を見出したことは本発明の特徴である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、2−ブチルオクタン二酸を7−シアノウンデ
カン酸および/または2−ブチル−,7−シアノヘプタ
ン酸から以下の手順で得る製造法である。原料である7
−シアノウンデカン酸および/または2−ブチル−,7
−シアノヘプタン酸とアルカリ性化合物および水を所定
温度範囲で混合して加水分解を行い、7−シアノウンデ
カン酸および/または2−ブチル−,7−シアノヘプタ
ン酸のアルカリ塩(以降、この塩を「アルカリ塩」と記
載する。)を生成させた後、酸を添加して酸処理を行
い、アルカリ塩と酸との反応で析出した塩(以降、この
塩を「析出塩」と記載する。)やその他不純物を分離除
去し、次いで、水を蒸発などの方法で除去することによ
り、従来法に比べ、純度の高い2−ブチルオクタン二酸
を収率良く製造できる。更に、純度の高い2−ブチルオ
クタン二酸は析出塩を除去した後、水および/または有
機溶剤で洗浄することにより製造できる。
【0012】7−シアノウンデカン酸、2−ブチル−,
7−シアノヘプタン酸は公知の方法で製造したものが使
用できる。例えば、シクロヘキサンから11−シアノウ
ンデカン酸を製造する際に、同時に製造される7−シア
ノウンデカン酸、2−ブチル−,7−シアノヘプタン酸
などがある。本発明で使用する7−シアノウンデカン酸
や2−ブチル−,7−シアノヘプタン酸は、11−シア
ノウンデカン酸や11−シアノウンデカン酸製造時に副
生する各種の化合物を含んでいても良い。
【0013】本発明で使用するアルカリ性化合物として
は公知のアルカリ金属またはアルカリ土類金属およびこ
れらの誘導体が使用できる。アルカリ金属またはアルカ
リ土類金属およびこれらの誘導体の具体例として、ナト
リウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシ
ウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、
カリウムメチラート、カリウムエチラート、水素化ナト
リウム、グリニヤ試薬などが挙げられる。これらは単独
でも、2種類以上を組合せても使用することができる。
これらの中では加水分解が効率良く実施でき、取扱いが
容易な点で水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが好まし
く用いられる。
【0014】アルカリ性化合物の使用量は7−シアノウ
ンデカン酸および/または2−ブチル−,7−シアノヘ
プタン酸の1モルに対して、一般的には1〜20モル、
好ましくは2〜10モル、より好ましくは2〜6モルで
ある。使用量が過度に少ないと加水分解の速度が遅くな
る。使用量が過度に多くなっても加水分解の速度はそれ
程速くならず、また、混合攪拌が不均一になり易く、加
水分解反応が不均一となることがある。
【0015】アルカリ性化合物はそのまま使用しても良
いし、アルカリ性化合物を水に混合や溶解して、水溶液
として使用しても良い。また、アルカリ性化合物の添加
時期は、特に制約がない。例えば、7−シアノウンデカ
ン酸および/または2−ブチル−,7−シアノヘプタン
酸、アルカリ性化合物および水を同時に混合しても良
く、また、7−シアノウンデカン酸および/または2−
ブチル−,7−シアノヘプタン酸および水からなる混合
液にアルカリ性化合物を添加しても良い。
【0016】7−シアノウンデカン酸および/または2
−ブチル−,7−シアノヘプタン酸やアルカリ性化合物
と混合する水は特に制約はないが、金属イオンなどの含
有量が少ないイオン交換水などの純水や蒸留水を使用す
ることが好ましい。水の使用量は、7−シアノウンデカ
ン酸および/または2−ブチル−,7−シアノヘプタン
酸1重量部に対し、一般的には0.5〜15重量部、好
ましくは3〜10重量部、より好ましくは4〜7重量部
である。水の使用量が過度に少ないと加水分解の反応速
度が遅くなる。水の使用量が過度に多くなると大きな反
応設備が必要となったり、水の除去に長時間を要し、生
産効率が低下する。
【0017】加水分解の温度は60〜200℃、好まし
くは80〜150℃、より好ましくは90〜130℃で
ある。温度が高い場合、副反応による不純物の生成が多
くなることが有り、また、温度が低い場合、加水分解に
時間がかかり過ぎる。加水分解を行う際の圧力は特に制
約はないが、加水分解の温度が100℃以上の場合には
水などの蒸発を抑えるため、圧力を1〜10気圧とする
ことが好ましい。加水分解に要する時間は温度、反応量
などの反応条件により異なるが、通常、0.5〜50時
間である。また、加水分解の際、不純物などの影響でア
ンモニアが発生することがあるが、発生したアンモニア
は反応装置の系外へ除去することが望ましい。
【0018】酸処理に使用する酸は、公知の無機酸や有
機酸が使用できる。無機酸の具体例には、塩酸、硫酸、
リン酸などが挙げられ、また、有機酸の具体例には、ギ
酸、酢酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸などが挙げら
れる。これらの中では無機酸が好ましく、その中でも装
置腐食などの心配が少ない硫酸が好ましい。
【0019】酸処理は、加水分解後、前記の酸を添加
し、通常、pH8.5以下、好ましくはpH1〜5、よ
り好ましくはpH1〜3で実施される。酸処理のpHの
値が小さくなるほど、2−ブチルオクタン二酸の収率は
良くなる傾向にある。酸処理に用いる酸の使用量は酸処
理を実施する水溶液のpHに対応して、適宜決められ
る。酸処理時のpHが8.5より大きい場合、アルカリ
塩の酸処理に時間がかかったり、酸処理が不完全となっ
たりして、2−ブチルオクタン二酸の収率や純度が低く
なるため、好ましくない。
【0020】酸処理における酸の添加は、酸処理を行う
所定のpHとなる量の酸を一度に添加しても良いし、ま
た、2回以上にわけて添加しても良い。また、酸処理時
のpHを2段階以上に設定し、酸処理を2回以上実施し
ても良い。例えば、2回酸処理を行なう場合、以下の手
順で実施される。先ず、pH5〜8.5となる量の酸を
添加して酸処理を行い、生成した析出塩やその他不純物
を除去した後、更に、酸を添加して、pH1〜5、好ま
しくはpH1〜3で酸処理を行ない、この酸処理で生成
した析出塩やその他不純物を除去する方法で実施され
る。3回以上酸処理を行う場合も、ほぼ同様の方法で実
施される。2回以上で酸処理を実施する方法は、1回で
酸処理する方法に比べ、1回の酸処理で生成する析出塩
やその他不純物の量が少なくなるので、析出塩の除去操
作が効率的に行える、酸処理に要する時間が短くなる、
純度の高い2−ブチルオクタン二酸が得易くなるなどの
利点がある。
【0021】酸処理時の温度は、一般的には15〜10
0℃、好ましくは35〜70℃である。酸処理の温度が
過度に低いと処理に時間がかかり過ぎ、また、過度に高
いと生成する2−ブチルオクタン二酸が着色したり、不
純物が増えたりすることがある。酸処理に要する時間は
酸処理時のpHや酸処理される量などにより異なるが、
通常、数分〜20時間である。
【0022】酸処理で生成した析出塩や他の不純物の除
去は濾過法や遠心分離法など公知の方法で行われる。酸
処理を2回以上で行う場合は、酸処理終了毎に析出塩な
どの除去を行うことが好ましい。析出塩などを除去した
後、蒸留、蒸発など公知の方法で水を除去することによ
り、2−ブチルオクタン二酸は製造される。本発明は2
−ブチルオクタン二酸が主成分として得られ、収率は高
く、副生するドデカン二酸の生成量は少ない。
【0023】また、析出塩、その他不純物を除去した
後、水および/または有機溶剤で洗浄すると、更に、純
度の高い2−ブチルオクタン二酸が製造できる。本発明
で製造法される2−ブチルオクタン二酸に含まれる不純
物は、原料の7−シアノウンデカン酸や2−ブチル−,
7−シアノヘプタン酸に含まれる不純物に起因するドデ
カン二酸などの有機系不純物、酸処理に使用した酸、析
出塩や反応装置から生ずる金属類などがある。酸や析出
塩などは主に水で、有機系不純物は主に有機溶剤で除去
される。一例として水と有機溶剤とを併用した洗浄法を
説明する。析出塩などを除去した2−ブチルオクタン二
酸を含有する水溶液に2−ブチルオクタン二酸の良溶媒
である有機溶剤を加え、混合攪拌した後、静置して、2
−ブチルオクタン二酸を含む有機溶剤層と水層とに分離
させる。分液やデカンテーションなど公知の方法によ
り、有機溶剤層を分別した後、攪拌下にこの有機溶剤層
に水を加えて、水に溶解する不純物を水層に移行させ、
この不純物などを含む水層を分離除去して、2−ブチル
オクタン二酸が含む不純物は除去される。この洗浄の操
作は、通常、2〜3回繰返えすことが好ましい。洗浄を
実施する温度は、通常、10〜80℃であり、洗浄の時
間は、通常、1分〜10時間、好ましくは20分〜5時
間である。洗浄の後、有機溶剤と2−ブチルオクタン二
酸は分別蒸留法や有機溶剤の蒸発など公知の方法により
有機溶剤を除去することにより、純度の高い2−ブチル
オクタン二酸を得ることができる。
【0024】また、原料や装置材料などから生ずる金属
類などの不純物は、洗浄にキレート剤を含有する水およ
び/または有機溶剤を使用することにより、より良く除
去することができる。本発明で使用するキレート剤の具
体例には、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、
ジメチルグリオキシム、アセチルアセトン、クラウンエ
ーテルなどが挙げられる。キレート剤の使用量は洗浄に
使用する水や有機溶剤に対して0.01〜5重量%であ
る。
【0025】洗浄に使用される有機溶剤は2−ブチルオ
クタン二酸の良溶媒であり、具体例にはトルエン、キシ
レン、ベンゼン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、エチレングリコールジエチルエーテルなどが
挙げられる。これら有機溶剤の使用量は析出塩などを除
去した2−ブチルオクタン二酸を含む水溶液の量の10
容量%以上、好ましくは10〜500容量%の範囲、よ
り好ましくは20〜300容量%である。
【0026】洗浄に使用する水は特に制約は無いが、不
純物の少ないイオン交換水などの純水や蒸留水が好まし
く使用される。洗浄に使用する水の量は、一般的には2
−ブチルオクタン二酸を含む有機溶剤層の容量に対し
て、1容量%以上、好ましくは1〜500容量%、より
好ましくは、10〜300容量%である。
【0027】また、更に、高純度の2−ブチルオクタン
二酸を得る方法として、上記の方法で得た2−ブチルオ
クタン二酸を蒸留したり、晶析したりする方法などがあ
る。晶析は溶剤として、ヘキサンや水とメタノールの混
合溶液などが用いられ、公知の方法で実施することがで
きる。
【0028】本発明の2−ブチルオクタン二酸の製造法
は回分式でも連続式でも実施でき、公知の攪拌装置を備
えた反応装置が使用できる。還流装置を有する反応装置
は水などの蒸発を抑制できるため、好ましく使用でき
る。また、酸処理で析出した塩の分離は瀘過装置や遠心
分離装置など公知の分離装置が使用できる。
【0029】
【実施例】以下に実施例、および比較例を示し、本発明
の効果を具体的に説明する。尚、実施例に示した分析値
は以下の方法で測定した。
【0030】1)加水分解後の成分および2−ブチルオ
クタン二酸、ドデカン二酸の分析 ガスクロマトグラフィを用い、分析した。 2)鉄分、硫酸イオンの分析 イオンクロマトグラフィを用い、分析した。
【0031】実施例1 温度計、還流器、攪拌装置を備えた3000mlのステ
ンレス製の容器に、7−シアノウンデカン酸50重量
%、2−ブチル、7−シアノヘプタン酸25重量%、1
1−シアノウンデカン酸25重量%およびその他不純物
を含む原料300gを入れ、さらに、50%カ性ソーダ
水溶液600gおよびイオン交換水1000gを加え、
均一に混合攪拌した。この原料の水溶液を攪拌しながら
オイルバスで加熱して、窒素ガス雰囲気下に105℃ま
で昇温した。同温度で、24時間、加水分解させた。そ
の間に生成したアンモニアガスは還流器の出口を通じて
ドラフトへ放散させた。加水分解した水溶液をガスクロ
マトグラフィで分析した結果、7−シアノウンデカン
酸、2−ブチル,7−シアノヘプタン酸および11−シ
アノウンデカン酸のピークは観察されず、これら原料が
加水分解されていることを確認した。水溶液の温度を5
0℃まで冷却して、攪拌しながら、62%硫酸を加え、
pHを6.2とした。更に、この水溶液にイオン交換水
250gを加えて温度を40〜45℃に冷却し、この温
度で1時間攪拌を続け、酸処理を行った。その後、酸処
理で析出した塩を瀘過により除去した。次いで、この濾
液の温度を30〜40℃に維持して、pHが1.5とな
るまで62%硫酸を添加し、攪拌下に、1時間酸処理し
た。この間に析出した塩を瀘過して、除去した。次い
で、攪拌しながらこの瀘液にメチルイソブチルケトン5
00gを加え、約30分間混合してから、静置し、メチ
ルイソブチルケトン層(有機溶剤層)と水層とに分離さ
せて、分液によりメチルイソブチルケトン層を取出し
た。このメチルイソブチルケトン層を攪拌しながらイオ
ン交換水200gを加え、約30分間混合してから、静
置した。メチルイソブチルケトン層と水層にわかれた
後、分液によりメチルイソブチルケトン層を取出した。
この操作を2度繰返した後、エバポレーターでメチルイ
ソブチルケトン層を濃縮して、メチルイソブチルケトン
がほとんど残らない状態まで留去し、190gの化合物
を得た。得た化合物をガスクロマトグラフィで分析した
結果、2−ブチルオクタン二酸94.9重量%,ドデカ
ン二酸3.8重量%の組成であった。また、鉄分は5p
pm、硫酸イオンは27ppmであった。
【0032】実施例2 実施例1と同様の容器に7−シアノウンデカン酸50重
量%、2−ブチル,7−シアノヘプタン酸25重量%、
11−シアノウンデカン酸25重量%およびその他不純
物を含む原料150gを入れ、さらに、50%カ性ソー
ダ水溶液300gおよびイオン交換水550gを加え、
均一に混合攪拌した。この原料の水溶液を攪拌しながら
オイルバスで加熱して、窒素ガス雰囲気下に100℃ま
で昇温した。同温度で、24時間、加水分解させた。そ
の間に生成したアンモニアガスは還流器の出口を通じて
ドラフトへ放散させた。加水分解した水溶液をガスクロ
マトグラフィで分析した結果、7−シアノウンデカン
酸、2−ブチル,7−シアノヘプタン酸および11−シ
アノウンデカン酸のピークは観察されず、これら原料が
加水分解されていることを確認した。この水溶液にイオ
ン交換水200gを加えて温度を35〜45℃に冷却し
てから、この温度を維持しながら、攪拌下にpHが2と
なるまで62%硫酸を添加し、同温度で1時間酸処理を
行った。その後、酸処理で析出した塩を瀘過により分離
除去した。次いで、攪拌しながらこの瀘液にメチルイソ
ブチルケトン240gを加えて約60分間混合してか
ら、静置した。メチルイソブチルケトン層(有機溶剤
層)と水層とに分離してから、分液によりメチルイソブ
チルケトン層を取出した。このメチルイソブチルケトン
層を攪拌しながらエチレンジアミン四酢酸0.2gを含
有するイオン交換水200gを加え、約30分間混合し
てから、静置した。メチルイソブチルケトン層と水層に
わかれた後、分液によりメチルイソブチルケトン層を取
出した。この操作を2度繰返した後、メチルイソブチル
ケトン層をエバポレーターで濃縮し、メチルイソブチル
ケトンがほとんど残らない状態まで留去して、83gの
化合物を得た。得た化合物をガスクロマトグラフィで分
析した結果、2−ブチルオクタン二酸90.9重量%,
ドデカン二酸9.1重量%の組成であった。また、鉄分
は1ppm以下、硫酸イオンは19ppmであった。
【0033】実施例3 実施例1と同様の容器に7−シアノウンデカン酸50重
量%、2−ブチル,7−シアノヘプタン酸25重量%、
11−シアノウンデカン酸25重量%およびその他不純
物を含む原料150gを入れ、さらに、50%カ性ソー
ダ水溶液300gおよびイオン交換水550gを加え、
均一に混合攪拌した。この原料の水溶液を攪拌しながら
オイルバスで加熱して、窒素ガス雰囲気下に100℃ま
で昇温した。同温度で、24時間、加水分解させた。そ
の間に生成したアンモニアガスは還流器の出口を通じて
ドラフトへ放散させた。加水分解した水溶液をガスクロ
マトグラフィで分析した結果、7−シアノウンデカン
酸、2−ブチル,7−シアノヘプタン酸および11−シ
アノウンデカン酸のピークは観察されず、これら原料が
加水分解されていることを確認した。この水溶液にイオ
ン交換水200gを加えて温度を35〜45℃に冷却し
てから、この温度を維持しながら、攪拌下にpHが2と
なるまで62%硫酸を添加し、同温度で1時間酸処理を
行った。その後、酸処理で析出した塩を瀘過により分離
除去した。次いで、水をエバポレーターで濃縮し、水が
ほとんど残らない状態まで留去して、88gの化合物を
得た。この化合物にイオン交換水300gを加え、約3
0分攪拌を続け、水で洗浄した後、水をエバポレーター
で濃縮し、水がほとんど残らない状態まで留去した。こ
の水での洗浄操作を2回繰り返した。得た化合物をガス
クロマトグラフィで分析した結果、2−ブチルオクタン
二酸91.5重量%,ドデカン二酸8.5重量%の組成
であった。また、鉄分は3ppmであった。
【0034】比較例1 62%硫酸の添加をpHが9となる時点で停止して、加
水分解を24時間実施した以外は、実施例2と同様の装
置、原料および条件で加水分解を実施した。加水分解し
た水溶液をガスクロマトグラフィで分析した結果、7−
シアノウンデカン酸、2−ブチル,7−シアノヘプタン
酸および11−シアノウンデカン酸のピークが観察で
き、これらの50%以上が加水分解されいなかった。加
水分解が十分で無かったため、酸処理など以後の操作を
中止した。
【0035】
【発明の効果】7−シアノウンデカン酸および/または
2−ブチル−、7−シアノヘプタン酸をアルカリ性化合
物の存在下に加水分解した後、pH8.5以下で酸処理
を行い、酸処理で析出する塩を除去することにより高純
度の2−ブチルオクタン二酸を収率よく製造することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H006 AA02 AC46 AC47 AD17 BA02 BA03 BA06 BA29 BA32 BB11 BB15 BB16 BB31 BC16 BD70 BE01 BE03 BE04 BE60

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 7−シアノウンデカン酸および/または
    2−ブチル−,7−シアノヘプタン酸をアルカリ性化合
    物の存在下に加水分解した後、pH8.5以下で酸処理
    を行ない、酸処理により析出した塩を除去することを特
    徴とする2−ブチルオクタン二酸の製造法。
  2. 【請求項2】 7−シアノウンデカン酸および/または
    2−ブチル−,7−シアノヘプタン酸をアルカリ性化合
    物の存在下に加水分解した後、pH5〜8.5で酸処理
    を行い、この酸処理により析出した塩を除去した後、更
    に、pH1〜5で酸処理を行い、この酸処理で析出した
    塩を除去することを特徴とする請求項1記載の2−ブチ
    ルオクタン二酸の製造法。
  3. 【請求項3】 酸処理により析出した塩を除去した後、
    水および/または有機溶剤で洗浄することを特徴とする
    請求項1または2記載の2−ブチルオクタン二酸の製造
    法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の洗浄において、洗浄に使
    用する水および/または有機溶剤がキレート剤を含むこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の2−ブチルオク
    タン二酸の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010004084A (ja) * 2001-01-15 2010-01-07 Ube Ind Ltd 高純度1,6−デカンジカルボン酸、その製造方法及びその用途

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