JP2000038243A - 紙しわ防止装置 - Google Patents

紙しわ防止装置

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JP2000038243A JP10208444A JP20844498A JP2000038243A JP 2000038243 A JP2000038243 A JP 2000038243A JP 10208444 A JP10208444 A JP 10208444A JP 20844498 A JP20844498 A JP 20844498A JP 2000038243 A JP2000038243 A JP 2000038243A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オフセット印刷をしたウェブ紙に、ブランケ
ット胴の２枚のブランケット側縁隣接部に対応する部位
に山形の変形が生じ、紙しわになっていた。 【解決手段】 ブランケット胴Ｂの軸方向略中央で側縁
が隣接する２つのブランケットＢ２の表面に接触するウ
ェブ紙Ｗに印刷を施すオフセット印刷部Ｐを有する輪転
印刷機において、走行するウェブ紙Ｗに周面が接触可能
かつ回転可能であるように接触ローラー１０を設ける。
接触ローラー１０は、オフセット印刷部Ｐとドラッグロ
ーラーＤ１との間に設けられ、走行するウェブ紙Ｗが２
つのブランケットＢ２の隣接部Ｂ１に接触した領域及び
その近傍領域が接する部分を等径部１０１ｃに形成する
とともに、等径部１０１ｃの両側部分を端部１０１ｅに
向かうにしたがって小径となるテーパー部１０１ｔに形
成された紙しわ防止装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】この発明は、ブランケット胴
の軸方向の略中央で夫々の側縁が隣接するように２枚の
ブランケットを設け、この２枚のブランケットに接触し
て走行するウェブ紙に、この２枚のブランケットを介し
て一斉に印刷することが可能なオフセット印刷部を備え
た輪転機、例えば新聞用オフセット輪転機の紙しわ防止
装置に関する。より詳細には、オフセット印刷部の下流
側で、ブランケット胴の略中央位置に沿ってウェブ紙に
出現する山形の変形を解消し、この山形の変形が紙しわ
となることを防止する紙しわ防止装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】オフセット印刷では、湿し水が刷版及び
ブランケットを介してウェブ紙に至り、ウェブ紙が幅方
向及び長さ方向に拡大することが知られている。また、
ブランケット胴の軸方向の略中央で夫々の側縁が隣接す
るように２枚のブランケットを設け、この２枚のブラン
ケットに接触して走行するウェブ紙に、この２枚のブラ
ンケットを介して一斉に印刷することが可能なオフセッ
ト印刷部では、各ブランケットに対応する刷版を、その
側縁が若干離隔した状態にして版胴に装着し、印刷にあ
たって、２つのブランケットの側縁の隣接部を避けて印
刷するようにしている。
【０００３】そのため、ウェブ紙において、印刷稼働中
に２枚のブランケットの側縁の隣接部に対応する部位で
は、刷版及びブランケットを介して湿し水が至ることが
なく、他部位に比較し、ウェブ紙の拡大が小さい。この
ようなオフセット印刷部で印刷されたウェブ紙をオフセ
ット印刷部の下流のドラッグローラーで牽引すると、ウ
ェブ紙において、２枚のブランケットの側縁の隣接部に
対応する部位の走行方向の張力が、湿し水による拡大が
小さいために、他部位の走行方向の張力よりも大きくな
り、その部位の、ブランケット胴からその下流のドラッ
グローラーまでの間に、山形の変形が生じる場合があ
る。
【０００４】特に、複数のオフセット印刷部で順次連続
して印刷されたウェブ紙では、前記２枚のブランケット
の側縁の隣接部に対応する部位と他部位との湿し水によ
る拡大量の差が大きくなり、最下流のオフセット印刷部
の下流のドラッグローラーでこのウェブ紙を牽引する
と、２枚のブランケットの側縁の隣接部に対応する部位
に、最下流のオフセット印刷部のブランケット胴からそ
の下流のドラッグローラーまでの間に、極めて明確な、
幅の狭い山形の変形が生じることが確認された。
【０００５】他方、紙しわ防止装置としては、例えば
「新聞印刷ハンドブック」（１９９７年４月１０日、社
団法人日本新聞協会発行）の第９６頁乃至第９７頁に記
載された技術（先行技術１）、すなわち、ウェブ紙の走
行経路中の紙しわの発生するおそれのある位置に、ロー
ラーの中央部を鼓状に細くした逆クラウンローラーやロ
ーラーの中央部を太鼓状に太くしたクラウンローラーを
設けた紙しわ防止装置が知られている。この逆クラウン
ローラー及びクラウンローラーは、走行するウェブ紙の
全幅と一斉に接触して回転するようになっており、軸方
向で左右対称に漸次変化する外径が、これに接触してし
て走行するウェブ紙の中央と両側とに、相違する張力及
び送出方向を与え、ウェブ紙を幅方向に張るようにして
ウェブ紙にしわが発生するのを防止する。
【０００６】また、前記逆クラウンローラー及びクラウ
ンローラーに代えて、例えば実公昭６２ー３２２０４号
公報（先行技術２）や特開平６ー２９７６０５号公報
（先行技術３）に示されるエキスパンダローラーを設け
た紙しわ防止装置が知られている。このエキスパンダロ
ーラーは、周面の独特な動き又は形状により、これに接
触して走行するウェブ紙に対し、その全幅にわたり、ロ
ーラー長手方向中央位置を中心に左右対称に、ウェブ紙
の幅を広げる向きの送り出し方向を与え、ウェブ紙を幅
方向に張るようにしてウェブ紙にしわが発生するのを防
止している。
【０００７】
【この発明が解決しようとする課題】前記従来例の技術
には、夫々幾つかの解決すべき課題があった。前記オフ
セット印刷部のブランケット胴からその下流のドラッグ
ローラー間でオフセット印刷されたウェブ紙に生じる山
形の変形は、このウェブ紙がそのままドラッグローラー
に接触するとそのまま偏平なしわとなって残留し、印刷
物としての製品品質を落とし、場合によっては、商品と
なり得ない印刷物となった。
【０００８】そこで本願出願人は、前記した先行技術１
や先行技術２に開示された逆クラウンローラー、クラウ
ンローラー、及びエキスパンダローラーを用いた紙しわ
取り装置によって、紙しわの解消を試みた。
【０００９】しかしながら、前記山形の変形を生じたウ
ェブ紙の全面を、全面しわ取りローラーとしてのローラ
ーに一斉に接触させると、山形の変形が偏平なしわとな
る。また、しわ取りローラーがウェブ紙を幅方向に広げ
ようよする作用は、ウェブ紙が湿し水によって腰を弱く
しているのに加え、幅方向への拡大を生じているため
に、前記偏平なしわの部分には至らず、偏平となったし
わを解消させることができなかった。
【００１０】
【課題を解決する為の手段】この発明は、上記の課題を
解決する為に、ブランケット胴の軸方向略中央で側縁が
隣接するように設けられた２つのブランケットの表面に
接触するウェブ紙に印刷するオフセット印刷部と、印刷
されたウェブ紙をオフセット印刷部の下流に牽引するド
ラッグローラーとを有する輪転印刷機において、オフセ
ット印刷部とドラッグローラーとの間に接触ローラーを
設け、接触ローラーは、走行するウェブ紙に周面が接触
可能かつ回転可能に設け、走行するウェブ紙が２つのブ
ランケットの隣接部及びその近傍に接触した部位と接す
る部分を等径部に形成し、等径部の両側部分を端部に向
かうにしたがって小径となるテーパー状に形成されたロ
ーラーであることを特徴とする紙しわ防止装置を提案す
る。
【００１１】及び、ブランケット胴の軸方向略中央で側
縁が隣接するように設けられた２つのブランケットの表
面に接触するウェブ紙に印刷するオフセット印刷部と、
印刷されたウェブ紙をオフセット印刷部の下流に牽引す
るドラッグローラーとを有する輪転印刷機において、オ
フセット印刷部とドラッグローラーとの間に接触ローラ
ーを設け、接触ローラーは、走行するウェブ紙に周面が
接触可能かつ回転可能に設け、走行するウェブ紙が２つ
のブランケットの隣接部及びその近傍に接触した部位と
接する部分を等径部に形成し、等径部の両側部分を端部
に向かうにしたがって小径となるテーパー状に形成され
たローラーからなり、オフセット印刷されたウェブ紙
の、２つのブランケットの隣接部及びその近傍に接触し
た部位に生じる山形の変形を均す程度の接触圧をもっ
て、ウェブ紙に接触ローラーの等径部を接触させること
により山形の変形を小さな膨らみとして分散させること
を特徴とする紙しわ防止装置を提案する。
【００１２】さらに、前欄及び前々欄記載の紙しわ防止
装置において、接触ローラーが、ウェブ紙への接触状態
を調節するためにウェブ紙に対して遠近移動可能に設け
る接触ローラーである紙しわ防止装置を提案する。
【００１３】さらに００１０欄乃至００１２欄記載の紙
しわ防止装置において、接触ローラーが、複数のオフセ
ット印刷部で順次連続して印刷されたウェブ紙と接触可
能であるように最下流のオフセット印刷部の下流に設け
られる接触ローラーである紙しわ防止装置を提案する。
【００１４】
【発明の実施の形態】この発明の紙しわ防止装置を１の
実施の形態を示す図１乃至図５、すなわちこの発明の紙
しわ防止装置が適用される印刷機の断面説明図である図
１、印刷機に組み込まれた第１実施の形態の進退移動調
節手段を有する紙しわ防止装置の斜視図である図２、同
じく第１実施の形態の進退移動調節手段を有する紙しわ
防止装置の断面図を示す図３、印刷機に組み込まれた第
２実施の形態の進退移動調節手段を有する紙しわ防止装
置の斜視図である図４、この発明の実施の形態である接
触ローラーの等径部付近の部分拡大図を示す図５に基づ
いて説明する。
【００１５】この発明の１の実施の形態を示す紙しわ防
止装置１は、吸湿や乾燥などによって伸縮しやすいウェ
ブ紙を用いる新聞用オフセット輪転機などに用いられ、
例えば、図１に示すようなタワー型印刷機Ｐの下流に設
ける。Ｄ１はドラッグローラー、Ｄ２は下流のドラッグ
ローラー、Ｇはガイドローラーである。
【００１６】タワー型印刷機Ｐは、第１印刷ユニットＰ
１、第２印刷ユニットＰ２、第３印刷ユニットＰ３、第
４印刷ユニットＰ４の４つの印刷ユニットからなる。タ
ワー型印刷機Ｐは、多色刷り印刷を効率よく行うことが
できるため、通常複数の印刷ユニットを積み重ねて使用
される。図１に示すように、ウェブ紙Ｗは、多色刷り印
刷のためにタワー型印刷機Ｐの第１印刷ユニットＰ１の
上流から導入され、順次下流の第２印刷ユニットＰ２、
第３印刷ユニットＰ３及び第４印刷ユニットＰ４を経て
適度な張力を与えられた状態でドラッグローラーＤ１に
達する。
【００１７】印刷されたウェブ紙Ｗは、さらに下流に送
られる。ウェブ紙Ｗは、第４印刷ユニットＰ４を通過す
ると、２枚のブランケットＢ２、Ｂ２（図２参照）の側
縁の隣接部Ｂ１に対応する部位の走行方向の張力が、湿
し水による拡大が小さいために、他部位の走行方向の張
力よりも大きくなり、その部位のブランケット胴Ｂから
その下流のドラッグローラーＤ１までの間に、極めて明
確な、幅Ｘ（従来例図６及び図７参照）の狭い山形の変
形Ｊが生じる。この山形の変形Ｊが下流のドラッグロー
ラーＤ１に接触するとそのまま偏平なしわとなって残留
する。この発明の実施の形態における幅Ｘは、通常１乃
至５ミリメートルの範囲で生じることが多い。
【００１８】この発明は、以上のような山形の変形Ｊが
偏平なしわとなるのを防止するために、図１に示すよう
に第４印刷ユニットＰ４とドラッグローラーＤ１との間
に、紙しわ防止装置１を設ける。
【００１９】次に図２、図３に基づく第１実施の形態で
ある紙しわ防止装置、及び図４に基づく第２実施の形態
である紙しわ防止装置について説明する。
【００２０】図２及び図３に示される第１実施の形態で
ある紙しわ防止装置では、接触ローラー１０は、ウェブ
紙Ｗの紙幅に見合う軸方向長さを有する中高のテーパー
ローラー１０１及び軸１０２、１０２からなる。テーパ
ーローラー１０１は、走行するウェブ紙Ｗに周面が接触
可能かつ回転可能に設け、走行するウェブ紙Ｗが２つの
ブランケットＢ２，Ｂ２の隣接部Ｂ１及びその近傍に接
触した部位と接する部分を等径部１０１ｃとして形成
し、等径部１０１ｃの両側部分を端部１０１ｅ、１０１
ｅに向かうにしたがって小径となるテーパー状のテーパ
ー部１０１ｔ、１０１ｔにより形成される。
【００２１】図２、図３に図示される実施の形態では、
オフセット印刷部Ａの下流に設けられたドラッグローラ
ーＤ１に牽引されて走行するウェブ紙Ｗに、接触ローラ
ー１０を、その等径部１０１ｃの接触により山形の変形
Ｊを均す程度の接触圧をもって接触させる。すると、等
径部１０１ｃの接触により、ウェブ紙Ｗの山形の変形Ｊ
は、等径部１０１ｃの両側に小さい膨らみとなって分散
する。この作用は、等径部１０１ｃの両側部分がテーパ
ー部１０１ｔ、１０１ｔのため、ウェブ紙Ｗとの接触圧
が等径部１０１ｃより端部に行くにしたがって小さくな
るためである。山形の変形Ｊが小さな膨らみに分散され
たウェブ紙Ｗは、小さな膨らみが走行中にウェブ紙Ｗの
両側縁に向けて分散されつつドラッグローラーＤ１に至
るので紙しわを生じない。
【００２２】また、接触ローラー１０は、等径部１０１
ｃに連続して端部１０１ｅ、１０１ｅに向かって小径に
なるテーパー部１０１ｔ、１０１ｔからなる周面を有す
るため、等径部１０１ｃの両側縁を境にしてウェブ紙Ｗ
に作用する接触圧に大きな差異が生じることがない。そ
のため、ウェブ紙Ｗは、等径部１０１ｃと接触したとこ
ろだけ接触圧による永久変形を生ずることがなく、また
接触圧の大きな差異によって等径部１０１ｃの両側縁を
始端として新たなしわ又はしわの原因となる変形を生じ
ることがない。
【００２３】等径部１０１ｃを山形の変形Ｊに接触させ
る場合、変形の突出側から接触させても変形の陥没側か
ら接触させても、山形の変形Ｊを等径部１０１ｃの両側
に小さな膨らみとして分散させる作用の相違はほとんど
ない。
【００２４】第１進退移動調節手段２０、２０は、ベア
リング１０３、１０３を取り付けるハウジング部２０
１、２０１を有する支持部材２０２、２０２と、支持部
材２０２、２０２をフレームＦ、Ｆの取り付け面上で角
変位させ得るように取り付けるピボット２０３、２０３
及びボルト２０４、２０４からなる。支持部材２０２、
２０２は、テーパーローラー１０１をウェブ紙Ｗに対し
て適宜に接触させ得るように、ピボット２０３、２０３
が挿入されている穴２０５、２０５と、位置決め用のボ
ルト２０４、２０４が挿入されている適宜な長さの長孔
２０６、２０６及びハウジング部２０１、２０１からな
る。
【００２５】第１進退移動調節手段２０、２０により、
左右のフレームＦ、Ｆに取り付けられたピボット２０
３、２０３を支点にして支持部材２０２、２０２を角変
位させ、テーパーローラー１０１の等径部１０１ｃがウ
ェブ紙Ｗの山形の変形Ｊを均す程度の接触圧をもって接
触させ得るようにウェブ紙Ｗに対して進退移動が可能な
ようになっている。そしてテーパーローラー１０１の位
置が適宜に決められると、長穴２０６、２０６に挿入さ
れ且フレームＦ、Ｆに取り付けられているボルト２０
４、２０４を締め込むことによって支持部材２０２、２
０２が固定される。
【００２６】図４は、この発明の第２実施の形態を示
し、進退移動調節手段の他の実施の形態である。第２進
退移動調節手段３０、３０は、テーパーローラー１０１
の軸１０２、１０２の軸端部に設けられたベアリング１
０３、１０３（図３参照）を支持するハウジング部３０
１、３０１（図３の２０１に相当する）を有する支持部
材３０２、３０２と、支持部材３０２、３０２をフレー
ムＦ、Ｆに取り付けるピボット３０３、３０３と、支持
部材３０２、３０２の穴に挿入されて回転し得るように
取り付けられたピン３０４、３０４と一体をなす雌ねじ
部材３０５、３０５と、雌ねじ部材３０５、３０５に捩
じ込まれ、且つ回転し得るねじ軸３０６、３０６及びね
じ軸３０６、３０６の他端に連結された駆動手段３０
７、３０７からなる。
【００２７】駆動手段３０７を、例えばパルスモーター
をフレームＦなどに固定して用いれば、支持部材３０
２、３０２の角変位量を制御装置（図示せず）によって
極めて容易に調節することが可能である。また、駆動手
段３０７を直動形アクチュエーター（図示せず）、例え
ば超音波リニアモーターや圧電アクチュエーターなどを
用い、雌ねじ部材３０５を図示しない他の連結部材を用
いてもよい。
【００２８】第２進退移動調節手段３０、３０によれ
ば、制御装置から適宜な指令を受けて駆動手段３０７、
３０７に連結されているねじ軸３０６、３０６が駆動手
段３０７、３０７（例えばパルスモーター）によって適
宜に正回転駆動あるいは逆回転駆動をさせられる。そし
てねじ軸３０６、３０６とねじが噛み合っている雌ねじ
部材３０５、３０５がねじ軸３０６、３０６上を前後に
移動する。そのようにすると、雌ねじ部材３０５、３０
５と一体をなすピン３０４、３０４を介して支持部材３
０２、３０２がピボット３０３、３０３を支点として適
宜に角変位するので、支持部材３０２、３０２の端部に
設けられたハウジング部３０１、３０１にベアリング１
０３、１０３（図３参照）を介して支えられている接触
ローラー１０を構成するテーパーローラー１０１が、ウ
ェブ紙Ｗの山形の変形Ｊを均す程度の接触圧をもって接
触させ得るようにウェブ紙Ｗに対して進退移動が可能に
なる。パルスモーター３０７、３０７は左右別個に駆動
制御させることも可能である。
【００２９】図３におけるベアリング１０３、１０３を
自動調心形ベアリングにして用いれば、図２及び図４に
おいて左右に設けられている進退移動調節手段２０、２
０及び３０、３０を左右単独に無理なく調整することが
可能となる。これによって、輪転機に多用される全幅の
ウェブ紙Ｗの幅よりも、幅の狭いもの、例えば、図４に
示すように、その半分の幅のウェブ紙Ｗ’が用いられた
りすることが多々あるが、ウェブ紙幅が、狭く且つテー
パーローラー１０１の等径部１０１ｃに対して中央部か
ら外れて非対称に接触しているような場合でも、左右単
独に調節可能な進退移動調節手段によって紙流れなどの
問題を生じるようなことはない。
【００３０】なお、この発明が紙しわにならぬよう消滅
させようとしている山形の変形Ｊ、すなわち、ブランケ
ット胴Ｂ、Ｂの略中央位置に沿ってウェブ紙Ｗに出現す
る山形の変形Ｊは、ウェブ紙Ｗがオフセット印刷部Ａの
一対のブランケット胴Ｂ、Ｂを通過し、下流のドラッグ
ローラーＤ１で牽引されると、図６及び図７に示すよう
に２枚のブランケットＢ２、Ｂ２の側縁の隣接部Ｂ１周
辺に接触するウェブ紙Ｗの部位に、オフセット印刷部Ａ
のブランケット胴Ｂ、Ｂからその下流のドラッグローラ
ーＤ１までの間に、幅Ｘ（図７参照）が通常１乃至５ミ
リメートルの範囲で極めて明確な山形に生じる。
【００３１】そこで、本願発明者は、図２に示す接触ロ
ーラー１０において、走行するウェブ紙Ｗが、２つのブ
ランケットＢ２、Ｂ２の隣接部Ｂ１周辺に接触した部位
に接触する等径部１０１ｃの軸方向の幅Ｙ（図５参照）
を様々に設定してテストした。その結果、幅Ｙをウェブ
紙Ｗに生じる山形の幅Ｘに相応させて２乃至１５ミリメ
ートルの範囲に形成して設けると、最もよく山形の変形
Ｊを解消させ得ることを確認した。
【００３２】この発明によれば、オフセット印刷された
ウェブ紙Ｗが、ブランケット胴Ｂの２枚のブランケット
Ｂ２，Ｂ２の側縁の隣接部Ｂ１に接触する部位に生じる
山形の変形Ｊに、この山形の変形Ｊを均す程度の接触圧
をもって、接触ローラー１０の等径部１０１ｃを接触さ
せる。接触ローラー１０の等径部１０１ｃの接触によ
り、山形の変形Ｊは、等径部１０１ｃの両側が端部１０
１ｅ、１０１ｅに向かうにしたがって小径となるテーパ
ー部１０１ｔにより、ウェブ紙Ｗとの接触圧が等径部１
０１ｃより小さくなり、等径部１０１ｃの両側に小さな
膨らみとなって分散する。山形の変形Ｊが小さな膨らみ
に分散されたウェブ紙Ｗは、小さな膨らみが走行中にウ
ェブ紙Ｗの両側縁に向けて分散されてドラッグローラー
Ｄ１に至るので、紙しわを生じない。
【００３３】また、接触ローラー１０が、等径部１０１
ｃに連続して端部１０１ｅに向かって小径になるテーパ
ー部１０１ｔからなる周面を有するので、等径部１０１
ｃの両側縁を境にしてウェブ紙Ｗに作用する接触圧に大
きな差異が生じることなく、等径部１０１ｃと接触した
ところだけに接触圧による永久変形を生じたり、接触圧
の大きな差異によって等径部１０１ｃの両側縁を始端と
して新たなしわ又はしわの原因となる変形を生じること
がない。なお、等径部１０１ｃを山形の変形Ｊに接触さ
せる場合、変形Ｊの突出側から接触させても変形Ｊの陥
没側から接触させても、山形の変形Ｊを等径部１０１ｃ
の両側に小さな膨らみとして分散させる作用の相違はほ
とんどない。
【００３４】
【発明の効果】この発明の紙しわ防止装置は、２枚のブ
ランケットの側縁の隣接部に接触する部位に生じるオフ
セット印刷したウェブ紙の山形の変形を均す程度の接触
圧をもって、接触ローラーの等径部を接触させることに
より、山形の変形を等径部の両側部分に小さな膨らみと
して分散させることができる。そのため、小さな膨らみ
が走行中にウェブ紙の両側縁に向けて分散されてドラッ
グローラーに至るので、走行中のウェブ紙に紙しわを生
じさせることがない。
【００３５】また、接触ローラーが、等径部に連続して
端部に向かって小径になるテーパー部からなる周面を有
するので、等径部の両側縁を境にしてウェブ紙に作用す
る接触圧に大きな差異を生じることなく、等径部と接触
したところだけに接触圧による永久変形を生じたり、接
触圧の大きな差異によって等径部の両側縁を始端とし
て、新たなしわ、又はしわの原因となる変形を生じるこ
とがない。そのため、オフセット印刷部の下流側で、ブ
ランケット胴の略中央位置に沿ってウェブ紙に出現する
山形の変形を解消させることが可能である。
【００３６】ウェブ紙に生じていた山形の変形を解消さ
せることより、商品にならない印刷物が無くなり、印刷
品質の向上と損紙の低減を図ることが可能になるととも
に、紙資源及びコスト節減等を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】 この発明の実施の形態の紙しわ防止装置が適
用される印刷機の断面説明図
【図２】 印刷機に組み込まれた第１実施の形態の進退
移動調節手段を有する紙しわ防止装置の斜視図
【図３】 同じく第１実施の形態の進退移動調節手段を
有する紙しわ防止装置の断面図
【図４】 印刷機に組み込まれた第２実施の形態の進退
移動調節手段を有する紙しわ防止装置の斜視図
【図５】 この発明の実施の形態である接触ローラーの
等径部の部分拡大図
【図６】 従来の印刷機におけるウェブ紙の山形の変形
が生じている部分の斜視図
【図７】 図６におけるウェブ紙の山形の変形部分の断
面拡大図
【符号の説明】
１ 紙しわ防止装置 １０ 接触ローラー １０１ テーパーローラー １０１ｃ 等径部 １０１ｅ 端部 １０１ｔ テーパー部 １０２ 軸 １０３ ベアリング ２０ 第１の進退移動調節手段 ２０１ ハウジング部 ２０２ 支持部材 ２０３ ピボット ２０４ ボルト ２０５ 穴 ２０６ 長穴 ３０ 第２の進退移動調節手段 ３０１ ハウジング部 ３０２ 支持部材 ３０３ ピボット ３０４ ピン ３０５ 雌ねじ部材 ３０６ ねじ軸 ３０７ パルスモーター（駆動手段） Ａ オフセット印刷部 Ｂ ブランケット胴 Ｂ１ 隣接部 Ｂ２ ブランケット Ｄ１ ドラッグローラー Ｄ２ ドラッグローラー Ｆ フレーム Ｇ ガイドローラー Ｊ 山形の変形 Ｐ タワー型印刷機 Ｐ１ 第１印刷ユニット Ｐ２ 第２印刷ユニット Ｐ３ 第３印刷ユニット Ｐ４ 第４印刷ユニット Ｗ ウェブ紙 Ｗ’ウェブ紙 Ｘ 山形の変形の幅 Ｙ 等径部の幅

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 ブランケット胴の軸方向略中央で側縁が
    隣接するように設けられた２つのブランケットの表面に
    接触するウェブ紙に印刷するオフセット印刷部と、印刷
    されたウェブ紙をオフセット印刷部の下流に牽引するド
    ラッグローラーとを有する輪転印刷機において、オフセ
    ット印刷部とドラッグローラーとの間に接触ローラーを
    設け、接触ローラーは、走行するウェブ紙に周面が接触
    可能かつ回転可能に設け、走行するウェブ紙が２つのブ
    ランケットの隣接部及びその近傍に接触した部位と接す
    る部分を等径部に形成し、等径部の両側部分を端部に向
    かうにしたがって小径となるテーパー状に形成されたロ
    ーラーであることを特徴とする紙しわ防止装置。
  2. 【請求項２】 ブランケット胴の軸方向略中央で側縁が
    隣接するように設けられた２つのブランケットの表面に
    接触するウェブ紙に印刷するオフセット印刷部と、印刷
    されたウェブ紙をオフセット印刷部の下流に牽引するド
    ラッグローラーとを有する輪転印刷機において、オフセ
    ット印刷部とドラッグローラーとの間に接触ローラーを
    設け、接触ローラーは、走行するウェブ紙に周面が接触
    可能かつ回転可能に設け、走行するウェブ紙が２つのブ
    ランケットの隣接部及びその近傍に接触した部位と接す
    る部分を等径部に形成し、等径部の両側部分を端部に向
    かうにしたがって小径となるテーパー状に形成されたロ
    ーラーからなり、オフセット印刷されたウェブ紙の、２
    つのブランケットの隣接部及びその近傍に接触した部位
    に生じる山形の変形を均す程度の接触圧をもって、ウェ
    ブ紙に接触ローラーの等径部を接触させることにより山
    形の変形を小さな膨らみとして分散させることを特徴と
    する紙しわ防止装置。
  3. 【請求項３】接触ローラーが、ウェブ紙への接触状態を
    調節するためにウェブ紙に対して遠近移動可能に設ける
    接触ローラーである請求項１又は請求項２記載の紙しわ
    防止装置。
  4. 【請求項４】接触ローラーが、複数のオフセット印刷部
    で順次連続して印刷されたウェブ紙と接触可能であるよ
    うに最下流のオフセット印刷部の下流に設けられる接触
    ローラーである請求項１又は請求項２又は請求項３記載
    の紙しわ防止装置。
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