JP3563489B2 - インキ着けローラ着脱装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、オフセット印刷機のインキ着けローラ着脱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
紙の両面に印刷を施す両面印刷機は、図7に示すように、版胴1,ゴム胴2,ゴム胴3,版胴4を備えており、これらの胴配列等、種々の条件から、非印刷時に版胴1,4の少なくとも一方を各々対接するゴム胴2,3から離脱させるものがある。
また、各版胴1,4の一方の軸は、後述するひねり調整が可能となるよう、印刷機フレームに偏心軸受を介して支持されている。
【0003】
ここで、前記ひねり調整とは、図6に示すように、版胴1の一方の軸受5を中心として、他方の軸受6を偏心構造による回動等により図中矢印の方向へ移動させ、版胴1の一端側をゴム胴2に対し角度θ1 または角度θ2 だけ傾ける調整を言い、例えば絵柄の左側の見当は合っているが、右側の見当が天地方向にずれている場合等版胴1を円周方向または左右方向へ位相調整しても解決できないときに行うものである。
【0004】
ところで、前記版胴1,4には、版面へインキを供給するインキ着けローラが接離(着脱)自在に設けられており、かつ前記版胴1,4のひねり動作にも追従できる構成となっている。
【0005】
即ち、図4に示すように、各インキ着けローラ10a〜10cは、第1の枢支点O1 を中心に揺動自在なくの字状の第1レバー11aと第2の枢支点O2 を中心に揺動自在な同じくくの字状の第2及び第3レバー11b,11cの一端にそれぞれ支持され、これらレバーの他端がロッド12a〜12cを介してルラー上げシャフト13に連結される。前記各ロッド12a〜12cの両端はルラー上げシャフト13及び各レバー11a〜11cにそれぞれピン結合される。
【0006】
従って、各インキ着けローラ10a〜10cが版胴1(4)に接触した図4の(a)に示す状態から、ルラー上げシャフト13を反時計方向へ揺動させると、各レバー11a〜11cが枢支点O1 及びO2 を中心に所定方向へ揺動することから各インキ着けローラ10a〜10cが版胴1(4)から離脱して図4の(b)に示す状態になる。
【0007】
また、図5に示すように、版胴1(4)とルラー上げシャフト13とは同調ロッド14で連結され、版胴1(4)がひねり動作をすると前記同調ロッド14を介して各インキ着けローラ10a〜10cがひねり追従するようになっている(図中二点鎖線参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したルラー上げ機構と同調ロッドを備えた従来のインキ着けローラ着脱機構にあっては、版胴を着脱しない印刷機においては、版胴の動きの少ないひねり動作時にのみ対応できれば良いので、問題はないが、前述したように版胴を着脱させる必要がある印刷機においては、版胴の動き量も大きいことから、同調ロッドで剛に連結された部品相互の破損の可能性があるという問題がある。また、これを回避するためには、特に離脱動作のタイミングをとる必要があり、面倒である。加えて、部品点数も多くなり、構造が複雑であるという欠点もあった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、版胴のひねり動作を効果的に吸収できると共に、版胴の着脱動作にも十分対応できる、簡単な構造のインキ着けローラ着脱装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係るインキ着けローラ着脱装置は、レバーを介して版胴に対し着脱可能な複数のインキ着けローラを常に版胴と接するように付勢すると共に、前記少なくとも一つのレバーをアクチュエータで駆動することで該レバーが他のレバーと係合して各々のインキ着けローラが版胴から離脱するように設け、前記各々のインキ着けローラが前記版胴に接しているときに前記各レバーの係合部間を離間させたことを特徴とする。
【0011】
【作用】
前記構成によれば、アクチュエータを駆動させ各インキ着けローラを版胴から離脱させた後、版胴の着脱動作を行う。また、各インキ着けローラを版胴に対して付勢し、各インキ着けローラが前記版胴に接しているときに各レバーの係合部間を離間させたので、各インキ着けローラは版胴のひねり動作に追従することができると共にローラの経時変化も吸収することができる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本装置の概念及び作用説明図で、図2は図1の要部詳細図である。尚、従来例である図4〜図7と同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0013】
図1に示すように、インキ着けローラ10aを支持するくの字状の第1レバー20とインキ着けローラ10bを支持するくの字状の第2レバー21とは、同一の枢支点O3 を中心に揺動自在に設けられると共に、それぞれ圧縮ばね22a,22bで付勢されて各インキ着けローラ10a,10bを版胴1(4)へ常に押し付けるようになっている。また、インキ着けローラ10cを支持する第3レバー23は、枢支点O4 を中心に揺動自在に設けられると共に、エアシリンダ24の伸長作動によりインキ着けローラ10cを版胴1(4)へ常に押し付けるようになっている。
【0014】
尚、前記版胴1(4)の版面に対するインキ着けローラ10aのローラ圧は、図2に示すように、第1レバー20に保持した調整ボルト30の先端を版胴1(4)側に設けたカム31に当接させて、調整ボルト30の螺回転によりインキ着けローラ10aと版胴1(4)芯間を変化させることで、ある一定巾の圧で微調整することができる。インキ着けローラ10b,10cにおいても、同様の構成でローラ圧が調整される。
【0015】
前記第3レバー23からは第1係合ロッド25と第2係合ロッド26とが一体に突出され、該レバー23がインキ着けローラ10cを版胴1(4)から離脱すべく揺動する際に、第1係合ロッド25の先端部が第1レバー20の先端部に、また第2係合ロッド26の先端部が第2レバー21の先端部にそれぞれ係合して、各圧縮ばね22a,22bの付勢力に抗して各インキ着けローラ10a,10bを版胴1(4)から離脱し得るようになっている。
【0016】
そして、第1係合ロッド25の先端部と第1レバー20の先端部との間及び第2係合ロッド26の先端部と第2レバー21の先端部との間には、初期遊びとしての所定のクリアランスC1 ,C2 が設けられている。
【0017】
このように構成されるため、図1の(a)に示した版胴1(4)への接触状態から各インキ着けローラ10a,10b,10cを離脱させる時は、図1の(b)に示すように、エアシリンダ24を所定ストローク収縮作動させる。尚、エアシリンダ24の駆動力は各圧縮ばね22a,22bの付勢力に勝つものとする。
【0018】
これにより、第3レバー23の揺動でインキ着けローラ10cが直ちに版胴1(4)から離脱するが、他の二つのインキ着けローラ10a,10bは、クリアランスC1 ,C2 により、第1係合ロッド25の先端部が第1レバー20の先端部に、また第2係合ロッド26の先端部が第2レバー21の先端部にそれぞれ係合するまでは接触したままである。
【0019】
やがて、前記クリアランスC1 ,C2 がうめられて、第1係合ロッド25の先端部が第1レバー20の先端部に、また第2係合ロッド26の先端部が第2レバー21の先端部にそれぞれ係合するので、第1レバー20及び第2レバー21がそれぞれ圧縮ばね22a,22bの付勢力に抗して図中矢印の方向へ揺動され、各インキ着けローラ10a,10bが版胴1(4)から離脱される。
【0020】
逆に、図1の(b)に示した離脱状態から各インキ着けローラ10a,10b,10cを版胴1(4)へ接触させる時は、エアシリンダ24を所定ストローク伸長作動させることにより、各レバー20,21,23が上述した方向と反対方向へ揺動して各インキ着けローラ10a,10b,10cが、図1の(a)に示すように、版胴1(4)へ接触することは自明である。
【0021】
また、図1の(a)に示した各インキ着けローラ10a,10b,10cの接触状態で、版胴1(4)がひねり動作すると、第1レバー20と第2レバー21は前記クリアランスC1 ,C2 と圧縮ばね22a,22bにより任意の方向へ版胴1(4)の動きに追従することができると共に、第3レバー23は前記クリアランスC1 ,C2 とエアシリンダ24の伸縮作動により任意の方向へ版胴1(4)の動きに追従することができる。
【0022】
また、前記クリアランスC1 ,C2 の介設により、各インキ着けローラ10a,10b,10cが経時変化した時も、圧縮ばね22a,22b及びエアシリンダ24の付勢力で版面に対して任意に追従することができるという利点もある。
【0023】
また、前記接触状態で、版胴1(4)が離脱されて大きく動く時も、各レバー20,21,23は圧縮ばね22a,22b及びエアシリンダ24で付勢されているだけで、相互に剛に連結されるものではないので、版胴1(4)の動きに十分同調でき、構成部品の破損等は未然に回避できる。
【0024】
尚、上記実施例において、圧縮ばね22a,22bに代えてエアシリンダを用いても良い。また、アクチュエータとしては、エアシリンダに限らず、他の駆動手段を用いても良いことは言うまでもない。
【0025】
このように本実施例では、機構自体がコンパクトに構成できるため、そのあいた空間により、省力機器等の設置や操作性の向上が図れる。
【0026】
図3は、本発明の別の実施例を示すものである。
これは、先の実施例における第3レバー23も圧縮ばね22cで付勢すると共に、各インキ着けローラ10a,10b,10cを版胴1(4)から離脱させる際には、第2係合ロッド26を設ける代わりに第2レバー21と第3レバー23とを回転駆動体40の二つのアーム40a,40bで駆動するようにした例である。
【0027】
この実施例によるも、第1レバー20の先端部と第1係合ロッド25の先端部との間に、また両アーム40a,40bの先端部と第2レバー21及び第3レバー23の先端部との間に、それぞれクリアランスC1 ,C2 ,C3 を設けることで、先の実施例と同様の作用,効果が得られる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、レバーを介して版胴に対し着脱可能な複数のインキ着けローラを常に版胴と接するように付勢すると共に、前記少なくとも一つのレバーをアクチュエータで駆動することで該レバーが他のレバーと係合して各々のインキ着けローラが版胴から離脱するように設け、前記各々のインキ着けローラが前記版胴に接しているときに前記各レバーの係合部間を離間させたので、版胴を対接胴に対して着脱させることが可能となると共に版胴のひねり動作やローラの経時変化に対しても各インキ着けローラを追従させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインキ着けローラ着脱装置の一実施例の概念及び作用説明図である。
【図2】図1の要部詳細図である。
【図3】本発明の他の実施例の概念図である。
【図4】従来例の概念及び作用説明図である。
【図5】同じく従来例の異なった機構の概念及び作用説明図である。
【図6】版胴のひねり動作の説明図である。
【図7】胴配列の説明図である。
【符号の説明】
1,4 版胴
10a,10b,10c インキ着けローラ
20 第1レバー
21 第2レバー
23 第3レバー
24 エアシリンダ
25 第1係合ロッド
26 第2係合ロッド
C1 ,C2 ,C3 クリアランス
Claims (1)
- レバーを介して版胴に対し着脱可能な複数のインキ着けローラを常に版胴と接するように付勢すると共に、前記少なくとも一つのレバーをアクチュエータで駆動することで該レバーが他のレバーと係合して各々のインキ着けローラが版胴から離脱するように設け、前記各々のインキ着けローラが前記版胴に接しているときに前記各レバーの係合部間を離間させたことを特徴とするインキ着けローラ着脱装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14014995A JP3563489B2 (ja) | 1995-06-07 | 1995-06-07 | インキ着けローラ着脱装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14014995A JP3563489B2 (ja) | 1995-06-07 | 1995-06-07 | インキ着けローラ着脱装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH08332717A JPH08332717A (ja) | 1996-12-17 |
JP3563489B2 true JP3563489B2 (ja) | 2004-09-08 |
Family
ID=15262017
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14014995A Expired - Fee Related JP3563489B2 (ja) | 1995-06-07 | 1995-06-07 | インキ着けローラ着脱装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3563489B2 (ja) |
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JP4669870B2 (ja) * | 2007-10-18 | 2011-04-13 | 三起機械株式会社 | オフセット印刷機 |
-
1995
- 1995-06-07 JP JP14014995A patent/JP3563489B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH08332717A (ja) | 1996-12-17 |
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