JP2000034399A - 熱可塑性エラストマー複合材及びシール材料 - Google Patents

熱可塑性エラストマー複合材及びシール材料

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JP2000034399A
JP2000034399A JP10202022A JP20202298A JP2000034399A JP 2000034399 A JP2000034399 A JP 2000034399A JP 10202022 A JP10202022 A JP 10202022A JP 20202298 A JP20202298 A JP 20202298A JP 2000034399 A JP2000034399 A JP 2000034399A
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fibers
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tpe
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Hitoshi Yamada
山田  均
Kazuki Morimoto
和樹 森本
Kazuo Nishimoto
一夫 西本
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Original Assignee
Nichias Corp
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  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形が容易で、強度、圧縮率、復元率、柔軟
性のバランスが良好な複合材が提供する。 【解決手段】 A)A1)ウレタン系熱可塑性エラストマ
ー、A2)ポリアミド系熱可塑性エラストマー、A3)ポリエ
ステル系熱可塑性エラストマーの3群の内2群以上から
選択される複数種の熱可塑性エラストマー100重量部
と、B)平均繊維長0.1〜20mmの有機繊維5〜10
0重量部とを含むことを特徴とする複合材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性エラスト
マーと有機繊維とを含む複合材、及び前記複合材からな
るシール材料に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴムと繊維とからなる複合材は、高い剛
性とゴム弾性を併せ持ち、ベルト、ホース、ダイアフラ
ム、制振ゴム、シール材等として用いられている。しか
し、これら複合材においては強度と成形加工性の両立が
難しく、成形性の良い低繊維充填量品では強度、特に高
い圧縮荷重に対する強度が不十分である。高強度の繊維
強化ゴム複合材においては、まずシート状物を成形し、
そこからの打ち抜きによって種々の成形品を作成するの
が一般的であり、製造工程が複雑な上に、打ち抜きによ
って材料の約半分が無駄になるという問題点を抱えてい
る。
【0003】そこで、ゴム弾性と柔軟性とを有する材料
で、かつ溶融成形が可能なものとして熱可塑性エラスト
マー(TPE)が知られており、TPEへの繊維充填に
関する研究がいくつか行われている。例えば、Kunststo
ffe German Plastics,80(10),p79,1990(Leverkusen)に
は、ショアD硬さ60のウレタン系TPE(TPU)に
ガラス繊維を15〜25wt%充填する技術が記載されて
いる。TPUとガラス繊維とからなる複合材は、例えば
Goodrich社よりエスタロックの商標で市販されている。
また、Kuttyらは、エーテル系TPU100重量部に繊
維長6mm(平均繊維長;以下、同様)のポリエステル
繊維10〜40重量部または繊維長3mm以下のアラミ
ド繊維5〜50重量部充填した複合材について検討して
いる。(J.Appl. Poly.Sci.,42,p1835,1991;43,p1913,19
91、Intern.J.Polymeric Mater.,19,p63,1993、Plast.R
ubber Comp.Proc.Appl.,15,p23,1991;19,p105,1993)芦
田らは、スチレン系またはポリエステル系のTPEに繊
維長0.5〜6mmのポリエステル繊維または炭素繊維
を5〜20vol%充填した複合材について検討してい
る。(J.Appl.Poly.Sci.,49,p573,1993;49,p1081,1993;5
0,p1435,1993)
【0004】さらに、Ibarraらは、スチレン系TPEに
繊維長7mmの炭素繊維10vol%を充填した複合材
について(Kaut.Gummi Kunst.,48,p180,1995;J.Appl.Pol
y.Sci.,57,p831,1995);長谷らは、水素添加スチレン−
イソプレンブロック共重合体に繊維長3〜10mmのポ
リエステル繊維を5〜15vol%充填した複合材につ
いて(日本ゴム協会誌,66,p741,1993);山口らは水素添
加スチレン−イソプレンブロック共重合体に繊維長3〜
10mmのポリエステル繊維5〜15vol%を配合し
た複合材について、それぞれ検討している。また、本田
技研工業(株)は塩素化ポリエチレンに(繊維長4mm
の)ポリアミド繊維を(1〜10vol%)充填した複
合材について(特開昭61-291627号公報参照);松尾は
(ポリエステル)連続繊維(58vol%)が(ポリエ
ステル系)TPEマトリックス中で一軸方向に配列した
複合材(特開平6-170845号公報参照)について検討して
いる。 DRAFTEX INDUSTRIES LIMITEDは、熱可塑性エラ
ストマーに強化繊維等を充填した材料を出願している
(特開平7-278346号公報参照)。この特許は熱可塑性エ
ラストマー等の種類について具体的に記していないが、
ショアD硬さが40〜55のTPEに繊維長5mm以下
のガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維またはセルロー
ス繊維を0.5〜10vol%含有する複合材である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記報
文に従いスチレン系TPEに繊維を充填しても、高い面
圧が掛かった場合に材料が破壊する、あるいは復元性が
低いという欠点がある。この欠点を埋めるべく繊維充填
量を増すと、TPEの利点である成形容易性が失われ
る。また、TPEとして塩素化ポリエチレン、塩化ビニ
ル系TPE、オレフィン系TPE等を用いると、繊維と
の複合材は概して成形が困難となる。TPEとしてウレ
タン系TPE(TPU)を使用すると、成形加工性はか
なり良好なものとなる。しかし、TPUや強化繊維の種
類によっては、複合材が多量の充填材を配合する場合の
強度及び復元性が、尚も不十分である。また、TPUを
ベースとする複合材は、しばしば耐熱性に劣るものとな
る。ポリエステル系TPE(TPEE)をベースとする
複合材は強度、耐熱性、耐油性等に優れるが、柔軟性の
点で問題がある。ポリアミド系TPE(TPAE)をベ
ースとする複合材は充填材を多量配合しても成形が容易
であるが、強度と柔軟性をバランス良く保持することは
難しい。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、複合材に
用いるTPE及び繊維について検討した結果、ウレタン
系TPE(TPU)、ポリアミド系TPE(TPAE)
及びポリエステル系TPE(TPEE)の内の2種以上
を併用し、かつ特定の繊維を特定重量充填させることに
よって、成形加工性と柔軟性及び強度、特に高面圧下で
の強度及び復元性に優れる複合材が得られることを見出
した。
【0007】すなわち本発明は、A)A1)ウレタン系熱可
塑性エラストマー、A2)ポリアミド系熱可塑性エラスト
マー、A3)ポリエステル系熱可塑性エラストマーの3群
の内2群以上から選択される複数種の熱可塑性エラスト
マー100重量部と、B)平均繊維長0.1〜20mmの
有機繊維5〜100重量部とを含むことを特徴とする複
合材である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明に関して詳細に説明
する。本発明の第一の要件は、TPEとしてTPU、T
PAE、TPEEの内の2種以上を併用することであ
る。後記する実施例でも示すように、スチレン系、塩化
ビニル系、オレフィン系のTPE等を用いると、成形が
困難または圧縮に対する耐性が低くなる。また、TP
U、TPAE、TPEEのいずれか単独を使用するだけ
では、特に充填材を多用した場合に成形加工性と強度、
柔軟性とのバランスを取ることが困難である。一方、本
発明に従いTPU、TPAE、TPEEの内の2種以上
を併用して特定の繊維と組み合わせると、高面圧下での
強度及び復元性に優れ、成形が容易で、しかもシール材
として用いた場合に流体漏れの殆ど無い複合材料を得る
ことができる。これは全く予期されなかったことであ
る。
【0009】ウレタン系TPE(TPU)自体は公知で
あり、旭硝子(株)のユーファイン、Goodrich(協和発
酵工業)のエステン、クラレ(株)のクラミロンU、大
日精化(株)のレザミンP、大日本インキ化学工業
(株)のパンデックス、ダウケミカル日本(株)のペレ
セン、日清紡績(株)のモビロン、日本ミラクトラン
(株)のミラクトラン、住友バイエルウレタン(株)の
デスモパン等、種々の製品が市販されている。TPUは
分子中にウレタン基(−NHCOO−)を有するTPE
であり、ウレタン結合部分をハードセグメントとし、ポ
リエステルまたはポリエーテル部分をソフトセグメント
とする。通常はそのソフトセグメントの種類により、エ
ーテル系、アジペートエステル系、カプロラクトン系、
ポリカーボネート(炭酸エステル)系の4種に分類され
て扱われている。例えば、高い強度と柔軟性を備えた複
合材を目的とする場合にはアジペートエステル系TPU
を、耐熱性や耐加水分解性に優れる複合材を目的とする
場合にはカプロラクトン系TPUやエーテル系TPUを
使用すれば良く、強度と耐熱性に優れる複合材を目的と
する場合にはポリカーボネート系TPUを用いれば良
い。また、加工性と耐加水分解性を重視する場合にはエ
ーテル系TPUを使用する。本発明ではどのようなタイ
プのTPUをも使用することができ、その分子構造、分
子量、軟化温度、溶融粘度等に特に制限はない。分子内
に架橋構造を有していても良い。複数のTPUを併用す
ることもできる。上記のように、本発明においてはどの
ようなTPUをも使用することができるが、好ましくは
ショアA硬さ95以下でかつショアD硬さ48以下のT
PUを使用する。TPUのショアD硬さは、より好まし
くは約45以下、特に好ましくは約40以下である。一
般に、硬さの高いTPUを用いると、複合材は強度が大
きくなるものの、硬く、場合により柔軟性が不十分なも
のとなる。組み合わせる有機繊維の種類・量によって
は、成形が困難または不可能となることもある。一方、
ショアA硬さ95以下でかつショアD硬さ48以下のT
PUを用いると、高面圧下での強度及び復元性、良好な
成形性、柔軟性を兼ね備えた複合材を得ることができ
る。同じ理由から、TPUのガラス転移温度は、−15
℃以下、特に−20℃以下であることが好ましい。ガラ
ス転移温度の低いTPUを用いると、複合材はより柔軟
になる上、より低温での使用が可能となる。
【0010】ポリアミド系TPE(TPAE)もまた、
公知である。TPAEは通常、結晶性のポリアミド成分
をハードセグメントとし、非晶性のポリエーテルまたは
ポリエステル成分をソフトセグメントとするブロックコ
ポリマーである。ソフトセグメントやハードセグメント
のタイプ、式量、両者の比率によって吸水性や耐薬品
性、融点等の物性が変化することが分かっており、ポリ
アミド-ポリエーテルブロックコポリマー、ポリアミド-
ポリエーテルエステルブロックコポリマー、ポリアミド
-脂肪族ポリエステルブロックコポリマー等、各種分子
構造のものが提供されている。ポリアミド成分として
も、ナイロン6ベースのもの、ナイロン12ベースのも
の、芳香族アミドベースのもの等がある。例として、ダ
イセル・ヒュルス(株)のダイアミドPAE、宇部興産
(株)のUBE-PAE、エムス(EMS)・ジャパン(株)
のグリロンELX、グリルアミドELY、三菱化学
(株)のノバミッドPAE、東レ(株)のペバックス、
大日本インキ化学(株)のグリラックスA、積水化学
(株)のS-TPAE、東ソー(株)のTPEA等、種
々の製品が製造されている。本発明においては、どのよ
うなタイプのTPAEをも使用することができ、その分
子構造、分子量、軟化温度、溶融粘度等に特に制限はな
い。分子内に架橋構造を有していても良い。複数のTP
AEを併用することもできる。しかしながら、本発明で
使用するTPAEは、ショアA硬さが70以上、特に8
0以上のものが好ましい。特に好ましくは、ショアA硬
さ80〜90のTPAEを使用する。ショアD硬さは6
0以下、特に50以下であることが好ましい。低硬度の
TPAEを使用すると、複合材の品質が一定しない場合
がある。逆に、TPAEが硬すぎると、得られる複合材
は柔軟性に欠けるものとなる。上記とは別に、有機繊維
及び充填材を多量配合しながらも高強度の複合材が要求
される場合には、ポリアミド-脂肪族ポリエステルブロ
ックコポリマーを使用することが好ましい。また、高温
での強度が重要な場合には芳香族アミドベースのTPA
Eを、低温物性や柔軟性が必要とされる場合にはポリア
ミド-ポリエーテルブロックコポリマーまたはポリアミ
ド-ポリエーテルエステルブロックコポリマーを使用す
るのが好ましい。特に、耐水性が要求される用途には、
ポリアミド-ポリエーテルブロックコポリマーの使用が
好ましい。
【0011】ポリエステル系TPE(TPEE)も公知
である。通常のTPEEは、PBT等の芳香族ポリエス
テルや液晶性モノマーをハードセグメントとし、ポリエ
ーテルやポリエステルをソフトセグメントとするブロッ
クコポリマーである。東洋紡(株)のペルプレン、東レ
・デュポン(株)のハイトレル、日本ジーイープラスチ
ックス(株)のローモッド、積水化学(株)のS-TP
E等が市販されている。本発明においてはどのようなT
PEEをも使用することができ、複数のTPEEを併用
することも可能である。しかし、好ましくはショアD硬
さが50以下、特に45以下のものを使用する。このこ
とによって、複合材の柔軟性をより好ましいレベルとす
ることができる。
【0012】本発明においては、上記TPE3群の内2
群以上から選択される複数のTPEを併用する。どの群
とどの群とを組み合わせても良いが、例えば柔軟性を考
慮するならばTPUとTPAEとを組み合わせるのが良
いであろう。また、3群のTPE全てを組み合わせて使
用しても良い。TPU:TPAE:TPEEの配合比に
制限はなく、各群のTPEの品種及び目的とする物性に
応じて選定すればよい。しかしながら、成形性、強度、
柔軟性等の物性バランスを取る上で、個々の群の配合比
は全TPEの99wt%を越えないようにするのが良い。
各群の好ましい配合比を図1に示すが、TPU:TPA
E:TPEEの重量比として98:2:0-98:0:
2-10:0:90-0:10:90-0:98:2-2:
98:0で囲まれる範囲(図1の斜線を付した範囲)、
より好ましくは97:3:0-97:0:3-30:0:
70-0:30:70-0:97:3-3:97:0で囲
まれる範囲(図1で網掛けした範囲)、特に好ましくは
90:10:0-90:0:10-50:50:0-0:
50:50-0:90:10-10:90:0で囲まれた
範囲(図1で塗りつぶした範囲)である。
【0013】本発明の第二の要件は、強化繊維の種類に
ある。本発明の複合材に使用する強化繊維原料は、繊維
長が0.1〜20mmの範囲内の有機繊維である。強化
繊維としてガラス繊維等の無機繊維を使用すると、高面
圧に対する複合材の耐性が不十分なものとなる。また、
繊維長が20mmを越えると本発明の目的の一つである
成形容易性が達成し難く、0.1mm未満では十分な補
強効果を得るのが困難となる。有機繊維の形状(例えば
繊維長、太さ、アスペクト比、断面形状等)について
は、上記以外に特に制限はないが、繊維長が約1〜10
mm、特に約2〜8mm、太さが約0.5〜5d(デニ
ール)、特に1〜2.5dであることが好ましい。ま
た、繊維がフィブリル化されていると、より高い補強効
果を得ることができる。
【0014】本発明で強化繊維として使用する有機繊維
は、主鎖が主として炭素原子から成る繊維であればどの
ようなものであっても良い。例として、綿、羊毛、絹、
麻、ナイロン繊維、アラミド繊維、ビニロン(ポリビニ
ルアルコール)繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊
維、アセテート繊維、フェノール-ホルムアルデヒド繊
維、ポリフェニレンサルファイド繊維、アクリル繊維、
ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウ
レタン繊維、テトラフロロエチレン繊維等が挙げられる
が、これらに限定されない。また、これら有機繊維の一
部を炭化して得られる、所謂耐炎繊維も使用可能であ
る。例えば、アクリル繊維を部分的に炭化した繊維を例
示することができる。さらに、複数の有機繊維を併用す
ることも可能である。
【0015】しかし、本発明においては、好ましくはナ
イロン繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステ
ル繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維、フェノール-
ホルムアルデヒド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊
維、アクリル繊維、耐炎繊維から選択される一以上の繊
維を;より好ましくはアラミド繊維、ビニロン繊維、ポ
リエステル繊維、フェノール-ホルムアルデヒド繊維、
ポリフェニレンサルファイド繊維、アクリル繊維、耐炎
繊維から選択される一以上の繊維を;さらに好ましくは
アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、フェ
ノール-ホルムアルデヒド繊維から選択される一以上の
繊維を使用する。これらの繊維を使用することによっ
て、成形性と高面圧下での復元性をさらに改善すること
ができる。特に、フィブリル化アラミド繊維を用いる
と、強度及び復元性の極めて高い複合材を得ることがで
きる。一方、耐炎繊維を用いると、補強効果はやや低い
ものの、成形の容易な複合材を得ることができる。ま
た、ポリエステル繊維を強化繊維とする複合材は、物性
と成形性のバランスに優れる利点がある。尚、ここで列
挙した有機繊維はいずれも公知であり、例えばアラミド
繊維はデュポン社からケブラーの商標で、アクゾ社から
トワロンの商標で、また、フェノール-ホルムアルデヒ
ド繊維はカイノール社からカイノールの商標で、それぞ
れ市販されている。上記の有機繊維を用いることによっ
て、高い強度(特に高面圧下での強度・復元性)と良好
な成形性とを両立させることができる。
【0016】有機繊維の充填量は、TPE100重量部
に対して5〜100重量部、好ましくは約15〜90重
量部、より好ましくは約20〜80重量部、特に好まし
くは約25〜70重量部である。繊維充填量が少ない
と、十分な補強効果が発現し難く、充填量が多すぎると
成形性、シール性が低下する。尚、フィブリル化繊維は
少量で大きな補強効果を示すが、成形性を低下させる場
合がある。それ故、有機繊維としてフィブリル化繊維を
使用する場合には、充填量を少な目にするのが好まし
い。例えば、フィブリル化アラミド繊維、フィブリル化
ビニロン繊維の充填量は、好ましくは約7〜70重量
部、より好ましくは約7〜50重量部、特に好ましくは
約7〜35重量部程度とするのが良い。
【0017】本発明の繊維強化TPEは、種々の慣用の
方法によって製造することができる。一般的には、TP
Eを加熱溶融させて混練し、有機繊維を添加する。TP
Eを溶剤で糊状にして有機繊維を練り込んでも良い。典
型的には、ニーダー、バンバリーミキサー、加熱ロール
等でTPEを溶融し、そこに有機繊維を混練下添加す
る。混練前の有機繊維を、レゾルシン、ヘキサメチレン
テトラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ホルムア
ルデヒド、またはこれらの縮合物、イソシアネート、ゴ
ムラテックス、カップリング剤、サイジング剤、熱水等
で前処理しても良い。また、TPEに、混練前または混
練時に、予備乾燥、化学変性等の処理を施しても良い。
TPUによっては特定の架橋剤(例えば大日精化(株)
のクロスネート等)も用意されており、それらを混練時
または成形前にブレンドして成形し、成形後にTPU成
分を架橋させることも可能である。
【0018】他に、任意的成分として他の充填材、例え
ばカーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バ
リウム、粘度鉱物等のフィラー、ガラス繊維や炭素繊維
等の無機繊維、顔料、分散剤、老化防止剤、カップリン
グ剤、相容化剤、難燃剤、表面平滑剤、可塑剤、プラス
チック粉末、再生ゴム粉末、加工助剤等を添加すること
もできる。無機繊維の好ましい充填量はTPE100重
量部に対して5〜100重量部、特に10〜50重量
部、無機充填材の好ましい充填量は5〜300重量部、
特に10〜250重量部である。特に、平均粒径0.5
〜4μmの炭酸カルシウムは、複合材の成形性、強度、
柔軟性をさほど損なうことなく、多量に、例えば100
あるいは150phr以上配合することが可能である。
本発明はまた、これら無機繊維及び/または無機充填材
をさらに含有する複合材をも包含する。上記の他、NB
R、アクリルゴム等の未架橋ゴムを配合し、混練下、有
機繊維の添加と前後してゴム用架橋剤を加える、動的架
橋の技術を併用することも可能である。
【0019】本発明の複合材は、成形が容易で、かつ強
度に優れる。特に、強い圧縮力に対する耐性、復元性に
優れている。しかも複合材内部に空隙が生じ難く、それ
故流体を漏らし難い利点を有する。従って、高い圧力の
掛かる部位でのホース、シール材(例えばジョイントシ
ート)のような用途に適している。また、通常の繊維強
化ゴムと異なり、硫黄化合物等の架橋剤を必要としない
ので、食品、医療、半導体等の用途、あるいは電線被覆
材等、金属と接触する用途に適している。本発明の複合
材は、射出成形、押出成形、トランスファー成形、ブロ
ー成形、プレス成形等、熱可塑性樹脂の分野で汎用の種
々の成形法によって各種の形状へと成形することができ
る。当業者であれば、用途及び形状に応じ、好ましい成
形法及び成形条件を選定することが可能であろう。射出
や押出と言った溶融成形が可能と言う長所を持つため、
複雑でモールド成形し難い形状の物品、熱の通り難い厚
物等の材料として特に有用である。また、成型品のリサ
イクルや、バリ部分等の再利用も可能である。所望によ
り、放射線、紫外線、電子線等で架橋することもでき
る。本発明はまた、これら複合材から成るシール材料や
成形品をも包含する。
【0020】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく
説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもので
はない。
【0021】
【実施例】[実施例1〜6、比較例1〜5] ・サンプルの調製 以下の方法により、サンプルを製造した。各TPEに、
表1に示した配合材料(表中、配合量の単位は重量部で
ある)を、東洋精機(株)のラボプラストミル(混合量
60ml)を用い、TPEの溶融温度に応じて140〜
200℃前後の温度に加熱しながら、回転数80rpm
で5〜20分間混練して、サンプルを得た。各成分は、
合計体積が50ml程度となるような量にて使用した。
表1中の略号等で示した原材料の性状は、以下の通りで
ある。 TPU1:ポリカーボネート系TPU、硬さ93A、4
6D、Tg−17℃ TPU2:アジペートエステル系TPU、硬さ78A、
36D、Tg−41℃ TPAE1:ポリアミド−ポリエーテルエステル型TP
AE、硬さ75A、25D、Tg−72℃ TPAE2:ポリアミド−脂肪族ポリエステル型TPA
E、硬さ80A、36D、Tg−38℃ TPEE:PBT−脂肪族ポリエーテル系TPEE、硬
さ89A、40D、Tg−68℃ ケブラーパルプ:平均繊維長6mm、平均1.5dのフ
ィブリル化繊維 尚、上記各TPEの硬さは、JIS K6253(加硫
ゴムの硬さ試験方法)に従い測定した。Tgは、動的粘
弾性(10Hz)の貯蔵弾性率のピーク温度に基づく。
次に、得られた混合物を、射出成形機を用い、180〜
250℃のシリンダー温度で、JIS 6号ダンベル
(成形の際の溶融サンプルの流れ方向は,ダンベルの縦
方向に一致させた)及び直径25mm、厚さ1.5mm
の円盤の形状に射出成形した。
【0022】・物性試験 上記のようにして成形したサンプルを用い、硬さの測
定、引張試験、圧縮復元試験、及び柔軟性試験を、以下
の方法により行った。 硬さの測定:ショアーD硬さを、JISK6253
(加硫ゴムの硬さ試験方法) に従い測定した。 引張試験:JIS K6251(加硫ゴムの引張試験
方法)及びJIS R3453(石綿ジョイントシー
ト)に従い、25℃及び70℃で、300mm/min
で行った。 引裂試験:JIS K6252(加硫ゴムの引裂試験
方法)に準じ、25℃、 300mm/minにて行った。圧縮復元試験:JI
S R3453に従い、25℃で行った。 柔軟性試験:JIS R3453に従い、25℃で行っ
た。柔軟性F値が小さいほど、柔軟であることを示す。 各サンプルの配合、物性試験結果を表1に示す。表中、
比と付いた数字は、比較例の番号を示す。
【0023】
【表1】
【0024】物性試験結果を基に各TPEの配合比と引
裂強さ、柔軟性F値との関係を図2に示す。本発明に従
い複数種のTPEを併用した場合、特にTPUとTPA
Eとを併用した場合、強度または柔軟性の点で相乗効果
が観察される。また、実施例4及び6と比較例4、実施
例5と比較例5に見られるように、本発明に従い複数種
のTPEを併用することによって、強度、圧縮率、復元
率、柔軟性のバランスが良好な複合材が得られた。ま
た、圧縮率に着目すると、本発明に従う複合材ではいず
れも10〜20%の好ましい範囲の数値となっている。
【0025】[実施例7〜12、比較例6〜11]実施
例1〜6と同様にして、各種複合材を調製した。ここで
新たに使用した原材料の性状を、以下に示す。 TPAE3:ポリアミド−脂肪族ポリエステル型TPA
E、硬さ91A、40D、Tg−7℃ TPAE4:ナイロン12−ポリエーテル型TPAE、
硬さ97A、47D、Tg−52℃ ポリエステル繊維:平均繊維長5.0mm、太さ1.4
d シリカ:平均粒径0.02μm 炭酸カルシウム:平均粒径1.0μm 各サンプルの配合、物性試験結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】本発明に従い複数種のTPEを併用するこ
とによって、有機繊維に加え、充填材を多量に配合した
場合においても、強度、圧縮率、復元率、柔軟性のバラ
ンスが良好な複合材が得られた。例えば、実施例7及び
8の複合材は、それぞれ比較例6で用いたTPU1また
は比較例8で用いたTPEEを、比較例7で用いたTP
AE4と併用することにより、圧縮率及び柔軟性が良好
なレベルとなっている。本発明に従う複合材はいずれ
も、充填材が多量配合されているにも拘わらず、圧縮率
が10〜20%、柔軟性F値が10以下と、好ましい範
囲の数値となっている。特に、TPU2とTPAE2ま
たはTPAE3との併用は、優れた物性をもたらしてい
る。また、物性試験結果を基に各TPEの配合比と25
℃での引張強さ、柔軟性F値との関係を第3図に示す。
2種のTPEの併用により、強度及び柔軟性に関して相
乗効果が見られる。
【0028】
【発明の効果】本発明によって、成形が容易で、強度、
圧縮率、復元率、柔軟性のバランスが良好な複合材が提
供された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるウレタン系TPE(TPU):
ポリアミド系TPE(TPAE):ポリエステル系TP
E(TPEE)の好ましい配合比(重量比)を示す三角
グラフである。
【図2】実施例から求めたTPUとTPAEまたはTP
EEとの配合比と、引裂強さ、柔軟性F値との関係を示
すグラフである。
【図3】実施例から求めたTPU2とTPAE2または
TPAE3との配合比と、25℃での引張強さ、柔軟性
F値との関係を示すグラフである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 67/00 C08L 67/00 77/00 77/00 C09K 3/10 C09K 3/10 D Q Z N (72)発明者 西本 一夫 静岡県浜松市新都田2丁目22番3号 ニチ アス(株)都田寮内 Fターム(参考) 4F070 AA47 AA53 AA54 AC13 AD02 AE01 FA17 4F072 AA02 AA08 AB04 AB05 AB06 AB07 AB08 AD02 AD37 AD43 AD44 AE06 AF04 AG04 AK15 AK16 AK17 AL16 AL19 4H017 AA03 AA15 AA17 AA18 AA25 AB03 AC02 AD03 AE02 4J002 AB012 BE062 BG102 CC032 CF002 CF101 CF171 CK021 CL002 CL062 CL071 CL081 CN012 DE236 FA042 FD012 FD016 GJ02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 A)A1)ウレタン系熱可塑性エラストマ
    ー、A2)ポリアミド系熱可塑性エラストマー、A3)ポリエ
    ステル系熱可塑性エラストマーの3群の内2群以上から
    選択される複数種の熱可塑性エラストマー100重量部
    と、 B)平均繊維長0.1〜20mmの有機繊維5〜100重
    量部とを含むことを特徴とする複合材。
  2. 【請求項2】 有機繊維が、ナイロン繊維、アラミド繊
    維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、
    アセテート繊維、フェノール-ホルムアルデヒド繊維、
    ポリフェニレンサルファイド繊維、アクリル繊維、耐炎
    繊維から選択される一以上の繊維であることを特徴とす
    る、請求項1記載の複合材。
  3. 【請求項3】 有機繊維がフィブリル化繊維であること
    を特徴とする、請求項1または2記載の複合材。
  4. 【請求項4】 無機繊維5〜100重量部及び/または
    無機充填材5〜300重量部を、さらに含有することを
    特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合
    材。
  5. 【請求項5】 無機充填材が平均粒径0.5〜4μmの
    炭酸カルシウムであることを特徴とする、請求項4記載
    の複合材。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか一項に記載の複
    合材から成ることを特徴とするシール材料。
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