JP2000029541A - 温度制御装置 - Google Patents

温度制御装置

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JP2000029541A
JP2000029541A JP20004598A JP20004598A JP2000029541A JP 2000029541 A JP2000029541 A JP 2000029541A JP 20004598 A JP20004598 A JP 20004598A JP 20004598 A JP20004598 A JP 20004598A JP 2000029541 A JP2000029541 A JP 2000029541A
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Japan
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temperature
light
temperature control
fluorescent dye
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JP20004598A
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Koichi Kato
宏一 加藤
Kenji Yasuda
賢二 安田
Takeshi Sakamoto
健 坂本
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流体中において微小領域の温度を制御する装
置を提供すること。 【解決手段】 蛍光観察用光源16で発生した光は、バ
ンドパスフィルター151、ダイクロイックミラー1
8、対物レンズ15を経て容器13内の微粒子11に照
射される。微粒子11に付加された蛍光色素は発光し、
蛍光は対物レンズ15、ミラー111、エミッションフ
ィルター112経て、検出器113に至る。容器保温部
115により容器13に保持される流体の温度は一定に
保たれている。赤外レーザー光源17で発生した赤外光
は、赤外光の吸収を持つ微粒子11に照射される。微粒
子11は赤外光を吸収し、発熱するので微粒子11近傍
の温度上昇が発生する。熱消光効果により蛍光強度は減
少し、微粒子11近傍の温度を測定することが可能であ
る。計算機114によりレーザー光源17の出力を帰還
制御し、微粒子11近傍の温度を制御する。 【効果】 PCRなどの生化学反応をμmのオーダーで局所
的に行なうための温度制御ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、温度制御装置に関
し、特に微粒子を含む流体中の微粒子近傍の温度を加熱
制御する温度制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】化学反応について重要な因子は温度、粘
性、極性、 pH、イオン濃度などである。化学反応にお
いては反応分子同士が拡散し、衝突し、錯体を形成し、
化学結合の組み替えを行い、解離する。化学反応に関与
する因子の中でも温度は前記反応分子の衝突の頻度を調
整する重要な因子である。
【0003】生体内においても、生命現象は遺伝子の複
製・転写・翻訳、エネルギー代謝、細胞内外情報伝達等
の一連の酵素反応から成り立っており、こうした生化学
反応に最も影響を与える因子の一つが温度である。酵素
活性の至適温度は生物種ごとに決められているため、至
適条件で酵素反応を起こさせるためには、用いる酵素の
由来に応じた厳密な温度制御が要求される。一方、DN
A、RNA等の核酸の2重らせん形成に最も影響を与える因
子も温度である。例えば、特定の塩基配列を有するDNA
を選択的に増幅するPCR法において、DNAの変性、アニー
リング、伸長の3段階それぞれに最適化した温度を設定
することが、効率的かつノイズの少ないDNA増幅に必須
である。また、微量核酸の検出・定量に用いられるハイ
ブリダイゼーション法においては、プローブDNAと特異
的にハイブリダイズする試料核酸のみを高精度で検出す
るためには最適化した温度設定が必要である。
【0004】一方、これら核酸の増幅・検出・定量法に
おいて、従来は、採取した生物試料から核酸を抽出し、
試験管内で反応させることが主流であったが、最近、組
織細胞を原形を留めた状態で固定し、目的とする核酸の
組織中の局在領域を決めるための、インシトゥ(in sit
u)法が注目を集めつつある。この技術についてはヌオ
ボが『PCRインシトゥ ハイブリダイゼーション』(19
97年)(Gerard J.Nuovo, PCR in situ Hybridizatio
n: Protocols and applications, third edition, Lipp
incott-Raven Publishers, 1997)において詳しく述べ
ている。本従来技術では、組織切片あるいは培養細胞全
体を化学処理により固定して核酸や酵素等の試薬を添加
した後、スライドガラス上のサンプル全体の温度をコン
トロールすることにより反応を進行させている。しかし
ながら、空間分解能をもった温度制御により、サンプル
中のμmオーダーの局所的な領域における酵素反応や遺
伝子増幅・検出を行っている例はない。
【0005】上記温度制御技術を実現するために確立す
べき要素技術は二つ挙げられる。微小領域に定量的に熱
を注入する技術と、微小領域での温度を計測する技術で
ある。
【0006】まず、第一に微小領域への定量的な熱注入
の技術について述べる。超音波あるいは光のエネルギー
は媒質あるいは媒体によって吸収され、熱に変換される
ことは古くから知られている。積極的に超音波の吸収に
よる発熱を利用した例として超音波による局部的加熱作
用によるマッサージ療法が挙げられる。また、光吸収を
持つ微粒子をレーザートラップすることにより微粒子周
辺のμmオーダーの微小領域に局所的温度上昇を発生さ
せ、タンパクサブユニット会合体を切断する技術につい
て、鷲津らが静電気学会講演論文集(1994年)11
1頁から114頁に報告している。
【0007】第二に微小領域での温度の測定法について
述べる。微小領域で温度を測定する場合、測定したい対
象物と接触する温度計の熱容量が問題となる。温度計の
熱容量の問題を回避するために微小領域での温度計測は
非接触による測定が望まれる。
【0008】非接触で温度をイメージングする方法の代
表的なものとして第一にサーモグラフィーが挙げられ
る。サーモグラフィーとは、物体が放射する赤外線を検
出して、物体表面の温度分布を二次元的に表示し、可視
化する方法である。熱放射を利用する利点は、非接触で
測定可能であり、測定対象に影響を及ぼさず、応答性に
優れ、速い温度変化が測定できるなどの点が挙げられ
る。粘菌変形体の自発的な張力振動に伴う粘菌表面の温
度振動がサーモグラフィーによって測定されている。こ
れらの成果については田中がプロトプラズマの第138
号98頁から104頁( Tanaka et al., Protoplasma
138, 98−104 (1987))に報告している。
【0009】微小領域の温度測定法の第二として、蛍光
色素を使用する方法がある。温度が上昇すると蛍光強度
が量子収率の低下のために減少することを利用して、蛍
光色素 ( europiumthenoylrtifluoroacetonate ) をポ
リメタクリル酸メチルの薄膜に混ぜ、集積回路に被覆
し、その蛍光強度を測定することにより温度分布を測定
することが可能である。これにより、集積回路の局所的
な温度上昇を画像化し、断線箇所を検出しようという試
みがなされている。この技術について、コロドナーらが
アプライド・フィジックス・レターズ第42号(198
3年)第117頁から第119頁( P. Kolodner et a
l., Applied Physics Letters, 42, (1983)117-119)に
報告している。
【0010】ところで、赤外光レーザーを集光すること
により凍結した溶液の一部分を局所的に融解させること
が可能である。氷中に凍結しているDNA分子に対してレ
ーザー光を照射することにより、氷中に固定されたDNA
分子近傍の溶液を選択的に溶解させ、溶液に含まれるDN
A分子を光の集光点とともに移動させることが可能であ
る。これらの技術について桂らが日本機械学会第9回バ
イオエンジニアリング講演会講演論文集(1997年)
第45頁から第46頁に報告している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術で述べ
たように、生体試料の生化学測定を、できるだけ本来の
組織・細胞の形態を保持した状態で行おうとする場合、
μmオーダーの局所的な温度制御が必要である。ところ
が、上記従来技術で述べた、微小領域における温度測定
の代表的な方法であるサーモグラフィーは表面の温度の
みしか測定できず、測定対象面の放射率や表面での反
射、光路での放射の発散、吸収などに影響されるなどの
欠点がある。また、赤外光を使用することにより空間分
解能は赤外光の波長である1ミクロンに限定される。ま
た、蛍光色素により温度を計測する手法は主に乾燥した
系でなされており、水溶液中で蛍光色素を使用して温度
を計測したという例は報告されていない。
【0012】一方、流体中において光あるいは超音波の
吸収を利用して、局所的に温度を上昇を発生させる技術
は先述したように既存である。しかし、流体中で局所的
な温度上昇を発生させ、その上昇した温度を同時に蛍光
強度を用いて測定することにより、微小領域の温度を制
御するという技術は報告されていない。
【0013】上記従来技術では熱を注入する技術と温度
を計測する技術を組み合わせておらず、微小領域の温度
を精密に制御することができなかった。本発明の温度制
御装置は、流体中において微粒子に光あるいは超音波を
照射することにより局所的に温度勾配を形成し、同時に
上昇した温度を蛍光色素の蛍光強度より精密に測定し、
光量あるいは超音波照射量の帰還制御を行い、温度を調
節をすることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、蛍光色素を付加した微粒子と、前記微粒子
を含む流体を保持する光透過性を持つ容器と、前記流体
の全体の温度を一定に保つ手段と、前記微粒子を加熱す
る手段と、前記蛍光色素を励起する波長の光を照射する
手段と、前記蛍光色素を励起する波長の光を除去する手
段と、前記蛍光色素より発せられた蛍光強度を検出する
手段と、前記蛍光強度より温度を計算する手段と、前記
微粒子に対する加熱強度を制御する手段とを有する。ま
た、前記流体を凍結する手段と、前記微粒子を非接触に
捕捉する手段とを有する。
【0015】具体的には前記流体に比べて極めて大きな
超音波吸収あるいは光吸収を持った微粒子に超音波ある
いは光を照射することで一定温度に保たれた流体中の微
粒子近傍のみで局所的に温度を上昇させ、この温度上昇
を微粒子に付加された蛍光色素の蛍光強度変化から測定
する。更に微粒子を加熱する手段について帰還制御を行
うことにより、微小領域の温度を調節することが可能で
ある。また、熱源となる微粒子を光あるいは超音波によ
る輻射圧により非接触に捕捉し、目的位置に移動させる
ことも可能である。また、流体全体を凍結させ、氷中の
局所領域に温度上昇を発生させ、融解させることも可能
である。また、本発明では500kHz以上の超音波を用いる
ことにより、生体試料に損傷を与える可能性のあるキャ
ビテーション生成を抑制することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施例として、微
小領域における光による温度制御、計測方法および装置
について図1を用いて以下に説明する。本装置は、蛍光
観察用光源16、赤外レーザー光源17、光透過性を持
つ容器13、容器保温部115、対物レンズ15、検出
器113、計算機114から構成される。本実施例で
は、蛍光観察用光源16、赤外レーザー光源17は対物
レンズ15の光軸に対して垂直に配置され、それぞれの
光軸が交わる位置にダイクロイックミラー18、19が
配置される。容器13は対物レンズ15の光軸に対して
垂直に配置される。
【0017】蛍光観察用光源16で発生した光は、バン
ドパスフィルター151を通過することにより微粒子1
1に付加された蛍光色素を励起するのに適当な波長に選
択される。光はダイクロイックミラー18により上方に
反射され、対物レンズ15により集光され、容器13内
の微粒子11に照射される。微粒子11に付加された蛍
光色素は発光し、蛍光は対物レンズ15により集めら
れ、ミラー111、エミッションフィルター112経
て、検出器113に至る。エミッションフィルター11
2は検出したい蛍光の波長域の光のみを選択する。ま
た、容器保温部115は容器13に保持される流体の全
体の温度を一定に保つ。
【0018】赤外レーザー光源17で発生した赤外光
は、ダイクロイックミラー19により上方に反射され、
対物レンズ15により集光され、赤外光の吸収を持つ微
粒子11に照射される。微粒子11は赤外光を吸収し、
発熱するので微粒子11近傍の温度上昇が発生する。温
度上昇により、微粒子11に付加された蛍光色素から発
せられる蛍光強度が減少する。蛍光強度の温度依存性は
あらかじめバルクの系で計測されている。図2に水溶液
中において微粒子に付加された蛍光色素の蛍光強度比と
温度の関係の一例を示す。図2より蛍光強度比と温度の
関係は
【0019】
【数1】
【0020】と置くことができる。従って、微粒子11
から発生した蛍光強度の減少を検出器113で捉え、微
粒子11に赤外光を照射する以前と以後との蛍光強度比
を計算機114により算出することにより、微粒子11
近傍の温度を測定することが可能である。また、計算機
114によりレーザー光源17の出力を帰還制御し、微
粒子11近傍の温度を任意に調節することが可能であ
る。また、赤外レーザーは微粒子11を捕捉する光ピン
セットとしても使用可能であるので、微粒子11を加熱
しながら任意の場所へ移動させることが可能である。本
発明により空間分解能を保持しながら流体中の任意の微
小領域の温度を上昇させ、温度を測定し、制御すること
が可能になる。図3に、水溶液中において微粒子に付加
された蛍光色素の蛍光強度の温度変化に対する時間変化
を蛍光顕微鏡下で高速カメラにより測定した結果の一例
を示す。温度の上昇および下降に伴なう蛍光強度変化の
時定数は6ミリ秒である。
【0021】発明の第2の実施例として、微小領域にお
ける超音波による温度制御、計測方法および装置につい
て図4を用いて以下に説明する。本装置は、蛍光観察用
光源24、微粒子21を含む流体を保持し、光透過性を
持つ容器23、容器保温部215、対物レンズ27、検
出器211、制御部212から構成される。また、容器
23内には超音波音源221、222が向かい合うよう
に配置されている。
【0022】光源24で発生した光は、バンドパスフィ
ルター25を通過することにより微粒子21に付加され
た蛍光色素を励起するのに適当な波長に選択される。光
はダイクロイックミラー26により上方に反射され、対
物レンズ27により集光され、容器23中の微粒子21
に照射される。微粒子21に付加された蛍光色素は発光
し、蛍光は対物レンズ27により集められ、ミラー28
を経てエミッションフィルター29を通過し、検出器2
11に至る。微粒子21は超音波吸収を持つため、超音
波音源221、222から微粒子21に超音波を照射す
ることにより微粒子21は熱を発生し、微粒子21近傍
の温度が上昇する。微粒子21からの蛍光強度は減少
し、検出器211で測定される。超音波照射以前と以後
の蛍光強度比を計算機212で算出することにより、微
粒子21近傍の温度を計測することができる。また、計
算機212により超音波音源の出力を帰還制御し、微粒
子21近傍の温度を任意に調節することが可能である。
また、超音波は微粒子21を非接触に捕捉することも可
能であるので、微粒子21を加熱しながら任意の場所へ
移動させることが可能である。本発明では、超音波によ
るキャビテーションの発生を抑制するために、500kHz以
上の超音波を用いることが望ましい。
【0023】図5に本発明の第3の実施例の模式図を示
す。ただし、図5では容器310内の構造を分かりやす
くするため、容器310上面を透視している。本実施例
で容器310の底面は半導体微細加工技術により微小セ
ル30に分割されている。分割された各微小セル30に
は超音波音源31、32が向かい合うように配置されて
いる。微小セル30内にある超音波吸収を持つ微粒子3
3に超音波を照射することにより、局所的に温度を上昇
させることが可能である。また、微小セル30の超音波
音源32、33を任意に駆動させ、容器310の底面に
おいて局所的な温度の上昇を独立に発生させることが可
能である。また、微粒子33より発生する蛍光の強度の
減少から微粒子33近傍の温度を計算し、帰還制御を用
いることにより任意の微小領域の温度を任意に調節する
ことが可能である。
【0024】本発明の第4の実施例として、凍結させた
流体を局所的に融解する装置について図6を用いて以下
に説明する。クーラー41内にはメタノールとドライア
イスが含まれ、クーラー41は−75℃に冷却されてい
る。クーラー41をカバーガラス42に密着させること
によりカバーガラス42とスライドガラス45に挟まれ
た溶液43を凍結させることができる。凍結された溶液
43は光吸収を持つ微粒子48を含み、レーザー光源4
01から発生した赤外光を対物レンズ46を経て、微粒
子48に集光させることにより、微粒子48近傍の温度
を上昇をさせることができる。従って、微粒子48近傍
の氷は融解し、微粒子48近傍の局所領域44が溶液状
態となる。微粒子48に照射する赤外光の強度を調整す
ることにより、融解している溶液43の量を任意に調節
することが可能である。また、温度上昇に用いる赤外光
は微粒子48を捕捉する光ピンセットとしても使用する
ことが可能であるので、微粒子48を捕獲し、氷中の局
所領域44を融解させながら、任意の位置へ微粒子48
を移動させることが可能である。また、氷が融解するの
は微粒子48近傍のみであるため、微粒子48の移動に
伴ない、微粒子48から離れた溶液43は再び凍結す
る。また、微粒子48には蛍光色素が付加してあり、微
粒子48近傍の温度を測定することが可能である。
【0025】図7に本発明の第5の実施例の模式図を示
す。光吸収を持つ微粒子51、正常細胞54、55と異
常細胞53が含まれている細胞懸濁液57が凍結されて
いる。細胞懸濁液57にはmRNAの分解を防ぐために予め
リボヌクレアーゼインヒビターが添加されている。細胞
が正常か異常であるかは顕微鏡下で細胞の形状を観察す
ることにより判断できる。回収したいのは異常細胞53
のmRNAである。微粒子51には微粒子51近傍の温度を
モニターするための蛍光色素と、異常細胞53のmRNAの
部分配列に相補的な合成オリゴDNA52が付加されてお
り、微粒子51に赤外光を照射することにより、微粒子
51近傍の氷を融解させ、移動させることにより微粒子
51を光ピンセットによりmRNAを回収したい異常細胞5
3に密着させることができる。この状態で微粒子51に
対する赤外光の照射を停止し、微粒子51近傍の溶液を
凍結させる。再び赤外光を微粒子51に照射し、微粒子
51近傍の氷を融解させる。上に述べた局所的な氷の融
解凍結を数回繰り返すことにより、試料中の異常細胞5
3を選択的に破砕することが可能となる。一般に動物等
の真核細胞からタンパク質や核酸などを抽出する方法と
して凍結融解法が知られているが、本実施例はμmオー
ダーで局所的に融解凍結を行うことができる。これによ
り、正常細胞54、55からのmRNAの流出によるコンタ
ミネーションを抑制しつつ、異常細胞53のmRNAを選択
的に純度良く検出し、回収することが可能である。ま
た、本発明により、mRNAとのハイブリダイゼーション温
度を、合成オリゴDNA52の塩基配列に応じてμmオーダ
ーで局所的に最適化することが可能である。
【0026】図8に本発明の第6の実施例の模式図を示
す。本発明は正常組織と病理組織が混在している病理切
片61を凍結し、病理組織近傍の温度を制御することに
より、局所的にin situ PCRを行うことを目的とする。 スライドガラス62上の病理切片61に対して光吸収を
持つ微粒子63を遺伝子銃64により病理切片61内に
打ち込む。次にTaqポリメラーゼなどを含むPCR試薬65
を病理切片61内のDNAに到達させるためにプロテアー
ゼを加える。次にPCR試薬65を加え、カバーガラス6
6を加え、病理切片61を密閉し、凍結することで固定
する。病理切片61を顕微鏡下で観察し、病理組織近傍
に導入された微粒子63に光67を照射し、微粒子に付
加された蛍光色素からの蛍光量を測定することにより定
量的に温度を制御することが可能である。通常のin situ
PCR法では、DNA、mRNAなどが拡散流出し、隣接細胞内に
浸透し、混合されてしまい、偽のシグナルを生じるとい
う問題がある。しかし、本実施例では光が集光する箇所
以外は凍結しているので、正常組織からのDNA、 mRNAの
流出がなく、増幅のS/Nを向上させることが可能である。
また、病理組織近傍の温度を制御するので、病理切片6
1の大きさ、容器の熱伝導性などを考慮したサーマルサ
イクリングを行なう必要がなく、各試料ごとに実験条件
を決定する煩雑さを避けることが可能である。また、従
来のin situ PCR法は試料全体の温度をサーマルサイク
ラーにより制御していたが、本実施例では温度制御に光
を使用し、温度の上昇下降を10ミリ秒以内に完了するこ
とが可能である。従って本発明により温度制御を簡便化
し、高速化することが可能となる。また、この手法はin
situハイブリダイゼーションにも応用することが可能
である。
【0027】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明を用いるこ
とによって、PCRなどの生化学反応をμmのオーダーで局
所的に行なうための温度制御ができるという効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の基本構成を示す模式
図。
【図2】蛍光強度の温度依存性を示す実験データを示す
図。
【図3】温度変化時の蛍光強度の時間変化を示す実験デ
ータを示す図。
【図4】本発明の第2の実施例の基本構成を示す模式
図。
【図5】本発明の第3の実施例の基本構成を示す模式
図。
【図6】本発明の第4の実施例の基本構成を示す模式
図。
【図7】本発明の第5の実施例の基本構成を示す模式
図。
【図8】本発明の第6の実施例の基本構成を示す模式
図。
【符号の説明】
11、51、48、51、63…光吸収を持つ微粒子、
21、33、61…超音波吸収を持つ微粒子、13、2
3、310…容器、14…温度勾配、15、27、46
…対物レンズ、16、24…蛍光観察用光源、17…レ
ーザー光源、18、19、26、47…ダイクロイック
ミラー、111、28…ミラー、112、29…エミッ
ションフィルター、113、211…検出器、114、
212…計算機、151、25…バンドパスフィルタ
ー、221、222、31、32…超音波音源、11
5、215…容器保温部、41…クーラー、42、62
…カバーガラス、43…凍結した試料、44…溶解した
溶液部分、45、66…スライドガラス、52…オリゴ
DNA、53…異常細胞、54、55…正常細胞、57
…凍結した細胞懸濁液、61…病理切片、64…遺伝子
銃、65…PCR反応液、67…照射された光。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂本 健 埼玉県比企郡鳩山町赤沼2520番地 株式会 社日立製作所基礎研究所内 Fターム(参考) 5H323 AA38 AA40 BB06 CA04 CA06 CB18 CB42 GG30 HH02 NN14

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】蛍光色素を付加した微粒子と、前記微粒子
    を含む流体を保持する光透過性を持つ容器と、前記流体
    の全体の温度を一定に保つ手段と、前記流体中の前記微
    粒子を選択的に加熱する手段と、前記蛍光色素を励起す
    る波長の光を照射する手段と、前記蛍光色素を励起した
    ときに発する蛍光を選択的に検出する手段と、前記蛍光
    の強度より温度を測定する手段と、測定された前記温度
    に応じて前記微粒子を加熱する手段を制御する手段とを
    有することを特徴とした温度制御装置。
  2. 【請求項2】請求項第1項記載の装置において、前記微
    粒子が超音波吸収を持つ前記微粒子であり、前記微粒子
    を加熱する手段が超音波であることを特徴とした温度制
    御装置。
  3. 【請求項3】請求項第1項記載の装置において、前記微
    粒子が光に吸収を持つ前記微粒子であり、前記微粒子を
    加熱する手段が光であることを特徴とした温度制御装
    置。
  4. 【請求項4】請求項第1項記載の装置において、前記蛍
    光色素を励起する波長の光を照射する手段において前記
    蛍光色素を励起する波長帯を透過し、反射する手段とし
    て光学フィルターを使用することを特徴とした温度制御
    装置。
  5. 【請求項5】請求項第1項記載の装置において、前記蛍
    光色素を励起したときに発する蛍光を選択的に検出する
    手段において前記蛍光色素を励起する波長帯を除去する
    手段として、蛍光シグナルとして検出したい波長帯のみ
    を透過させる光学フィルターを使用することを特徴とし
    た温度制御装置。
  6. 【請求項6】請求項第1項記載の装置において、前記流
    体の全体の温度を一定に保つ手段が、前記流体を凍結す
    ることが可能な冷却器であることを特徴とした温度制御
    装置。
  7. 【請求項7】請求項第2項記載の装置において、超音波
    の周波数が500キロヘルツ以上であることを特徴とし
    た温度制御装置。
  8. 【請求項8】請求項第2項記載の装置において、前記微
    粒子を加熱する手段が前記容器の壁面上に多数配置され
    ており、前記微粒子を加熱する手段を独立に制御するこ
    とを特徴とした温度制御装置。
  9. 【請求項9】請求項第2項記載の装置において、前記微
    粒子を加熱する手段が微粒子を非接触に捕捉することを
    特徴とした温度制御装置。
  10. 【請求項10】請求項第3項記載の装置において、前記
    微粒子を加熱する手段である光が赤外光であることを特
    徴とした温度制御装置。
  11. 【請求項11】請求項第3項記載の装置において、前記
    微粒子を加熱する手段である光が前記微粒子を非接触に
    捕捉する光学ピンセットとして使用することを特徴とし
    た温度制御装置。
  12. 【請求項12】請求項第3項記載の装置において、前記
    容器が前記流体をカバーガラスとスライドガラスで挟み
    込むことから構成されることを特徴とした温度制御装
    置。
  13. 【請求項13】請求項第1項記載の装置において、前記
    微粒子がポリスチレン球であることを特徴とした温度制
    御装置。
  14. 【請求項14】バンドパスフィルター、ダイクロイック
    ミラー、対物レンズを介して、容器内の液体中の微粒子
    に照射される光を発生する蛍光観察用光源と、光を照射
    された前記微粒子に付加された蛍光色素から発する蛍光
    を前記対物レンズ、ミラー、エミッションフィルターを
    介して検出する検出器と、前記容器に保持される流体の
    温度を所定の温度に保つ温度制御部と、微粒子に照射さ
    れる赤外光を発生するレーザー光源と、前記検出器の出
    力から微粒子近傍の温度を計算し、計算結果に基づいて
    前記レーザー光源の出力を帰還制御して、微粒子近傍の
    温度を制御する計算制御部と、を有することを特徴とし
    た温度制御装置。
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