JP2000026757A - 基材の表面を光触媒的に親水性にするための光触媒性コ―ティング組成物、親水性の光触媒性表面を備えた複合材、および、その製造方法 - Google Patents

基材の表面を光触媒的に親水性にするための光触媒性コ―ティング組成物、親水性の光触媒性表面を備えた複合材、および、その製造方法

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JP2000026757A
JP2000026757A JP11057377A JP5737799A JP2000026757A JP 2000026757 A JP2000026757 A JP 2000026757A JP 11057377 A JP11057377 A JP 11057377A JP 5737799 A JP5737799 A JP 5737799A JP 2000026757 A JP2000026757 A JP 2000026757A
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photocatalytic
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composite material
hydrophilic
repellent
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JP11057377A
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Hidefumi Fujimoto
英史 藤本
Shinji Toyofuku
信次 豊福
Kazuya Kokubu
和也 國分
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Toto Ltd
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光触媒性能を維持しつつ、油汚れ等が固着し
にくく、且つ、付着した油汚れ等が水等により容易に落
し易い性能を持つ光触媒性コーティング組成物の提供。 【解決手段】 光触媒性コーティング組成物において、
光触媒性材料と撥油性材料とを含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光触媒性材料を利
用した防汚材料において、従来の光触媒性能を維持しつ
つ、油汚れ等が固着しにくく、且つ、付着した油汚れ等
が水等により容易に落し易い性能を持つ基材の表面を光
触媒的に親水性にするための光触媒性コーティング組成
物、親水性の光触媒性表面を備えた複合材、および、そ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来は、防汚材料の多くは、表面に高い撥
水性・疎水性を示す被膜を形成するものである。このよ
うな被膜は、シリコーンやフッ素樹脂で形成することが
多く、表面自由エネルギ−が低いため、物質が付着しに
くく、そのため優れた防汚性を発揮し得ると言われてき
た。しかし、疎水性被膜の防汚性は十分ではなく、むし
ろ、内外環境中の親油性成分を疎水性の表面に付着し易
いことが指摘されている。そこで、最近では、防汚のた
めには、被膜の表面をむしろ親水性にするのが望ましい
と考えられている。ここで、この親水性被膜としては、
光触媒性酸化物とシリコーンまたはシリカとを有する組
成物により形成する方法(国際公開番号WO96/29375,WO9
7/23572)が提案されている。しかしながら、この方法
で作成した光触媒コーティング膜は、親水性だけでなく
親油性も持ち合わせているため、防汚性は十分ではな
い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記、光触媒コーティ
ング膜では、親油性を有するために油を滴下した場合、
油が広がり乾燥が促進されるために油が早期に固着して
しまう。一端、固着した油は、簡単な洗浄では落とせな
くなってしまう。例えば、ユニットバスの壁では、入浴
時の石鹸垢や皮脂等が付着した場合に広がるために乾燥
が促進され、早期に固着する。固着した汚れは、埃等の
他の汚れも付着し易く、また、表面は撥水性を示すこと
から、石鹸垢等が付着した場合に流れ落ちにくく、その
部分を核として汚れが堆積し、広がっていくと考えられ
る。従って、本発明は、上記のような問題点を解決し、
従来の光触媒性能を維持しつつ、油汚れ等が固着しにく
く、且つ、付着した油汚れ等が水等により容易に落し易
い性能を持つ光触媒性コーティング組成物、その組成物
を用いて形成した被膜を有する複合材とその製造方法の
提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
になされた本発明は、光触媒性材料と撥油性材料を組み
合わせた光触媒性コーティング組成物を提供する。
【0005】また、本発明においては、さらにシリカ及
び/又はケイ素原子に結合する有機基の少なくとも一部
が水酸基に置換されたシリコ−ンを含有する光触媒性材
料と撥油性材料を組み合わせた光触媒性コーティング組
成物を提供する。
【0006】また本発明においては、光触媒と撥油性材
料を組み合わせた光触媒性組成物を用いて形成された被
膜を有することを特徴とする複合材である。また、本発
明においては、光触媒性材料と撥油性材料を組み合わせ
た光触媒性組成物を用いて形成された被膜を有すること
により、従来の光触媒性材料 に対して本発明の複合材
は光励起されたときの複合材に対する水の接触角は、ほ
ぼ従来の性能を維持しつつ、複合材に対する油の接触角
が従来のそれより大きくなることにより、複合材に対す
る水の接触角と複合材に対する油の接触角の差が広が
る。よって油を滴下した場合、油が広がらないために乾
燥が進まず、固着しにくい。また、複合材に対する水の
接触角と複合材に対する油の接触角の差が大きいために
水が油の下に 回り込み易く簡単な水洗浄で汚れを落と
すことができる。また、このことにより、複合材の高度
に親水化された表面は、湿潤環境中では水膜を形成して
親油性成分の付着を防ぐことができる。
【0007】また本発明は、基材表面に中間層を塗布
し、中間層表面に光触媒性材料と撥油性材料からなる光
触媒性コーティング組成物を塗布し、必要に応じて硬化
させた光触媒性材料と撥油性材料からなる被膜を形成す
ることを特徴とする。
【0008】さらに、本発明によれば、上記複合材表面
層の最表面においては、フッ素系撥油剤あるいはシリコ
ン系撥油剤に由来する疎水性・疎油性部分と、光触媒に
よって惹起された親水性・親油性部分とが微視的に分散
して存在してなる部材が提供される。該複合材表面層の
最表面に疎水性部分と親水性部分、疎油性部分と親油性
部分とが隣接して存在する結果、親水性の付着物および
疎水性の付着物、疎油性の付着物および親油性の付着物
いずれもが付着できず、また付着してもその付着は不安
定であり、さらに、光触媒の酸化分解作用が加わる結
果、容易にその付着物は分解、脱離し、部材表面は清浄
な状態に維持される。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明による親水性の光触媒性表
面を備えた複合材は、基材と、この基材上に設けられ
た、光触媒性酸化物と、シリコーン樹脂またはシリカ
と、フッ素系撥油剤またはシリコーン系撥油剤とを含有
してなる表面層からなり、この表面層の最表面には、光
触媒性酸化物と、シリコーンまたはシリカとフッ素系撥
油剤またはシリコン系撥油剤が微視的に分散して存在し
てなる。
【0010】本発明による部材表面層において、フッ素
系撥油剤またはシリコン系撥油剤が最表面に露出して存
在してなることから、まず、この部材の最表面には疎水
・疎油性部分が形成される。一方、この最表面には、シ
リコーンまたはシリカが露出してなる。本発明にあって
は、このシリコーンおよびシリカには、この部材の表面
に光が照射されると、表面層中に存在する光触媒性酸化
物の作用によってさらに高度の親水性が付与され、かつ
この高度の親水性は光照射が続けられる限り持続する。
さらに、一旦光照射を止めても、再び光照射を再開する
ことで高度の親水性が再度付与される。親水化の作用機
構は定かではないが、例えばシリコーンの場合、シリコ
ーン分子中のケイ素原子に結合した有機基が少なくとも
部分的に水酸基に置換されて親水性を呈するようになる
ものと考えられる。このような親水化によって、本発明
による部材の最表面には、親水性・親油性部分が形成さ
れることとなる。
【0011】上記したように、高度の親水性、水中撥油
性が維持されれば、湿潤環境中では水膜を形成して親油
性成分の付着を防ぐことができる。さらに、その最表面
には、疎水性部分と親水性部分、疎油性部分と親油性部
分とを併せ持ち、これに光触媒の酸化分解作用が加わる
結果、本発明による部材表面には、親水性の付着物およ
び疎水性の付着物、疎油性の付着物および親油性の付着
物いずれもが付着できず、また付着してもその付着は不
安定であり、容易にその付着物は分解、脱離し、部材表
面は清浄な状態に維持される。
【0012】本態様の好ましい具体例を図1に示す。図
1において、部材1は、基材2とその上に形成された表
面層3とからなり、表面層3は、シリコーンまたはシリ
カ層4と、この層4中に分散されたフッ素系撥油剤また
はシリコン系撥油剤5と光触媒性酸化物6とを含んでな
り、このシリコーンまたはシリカ層4の最表面にフッ素
系撥油剤またはシリコン系撥油剤5の一部が露出してな
る。この図1に示される態様において、シリコーンまた
はシリカは層構造のもとして、またフッ素系撥油剤また
はシリコン系撥油剤および光触媒性酸化物は、粒子形状
のものとして提供される。
【0013】以下、本発明の実施の形態を詳細に説明す
る。本発明の光触媒性材料としては、アナタ−ゼ型酸化
チタン、ブルッカイト型酸化チタン、ルチル型酸化チタ
ン、酸化錫、酸化亜鉛、三酸化二ビスマス、三酸化タン
グステン、酸化第二鉄、チタン酸ストロンチウムの群か
ら選ばれる1種又は2種以上等が使用できる。
【0014】光触媒性材料にシリカ及び/又はケイ素原
子に結合する有機基の少なくとも一部が水酸基に置換さ
れたシリコ−ンが含有されることにより、暗所における
親水維持性能が向上する。ケイ素原子に結合する有機基
の少なくとも一部が水酸基に置換されたシリコ−ンとし
ては、加水分解性シラン、アルキルシリケ−ト、それら
の(部分)加水分解物、加水分解・縮合物などが使用で
きる。ここで加水分解性シランとしては、メチルトリメ
トキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリ
エトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルト
リプロポキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、n
−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエト
キシシラン、n−プロピルトリプロポキシシラン、イソ
プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキ
シシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、メチル
トリブトキシシラン、エチルトリブトキシシラン、n−
プロピルブトキシシラン、イソプロピルブトキシシラ
ン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキ
シシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルト
リブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、β−
(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メル
カプトプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロ
ピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエ
トキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ジメ
チルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジ
エチルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシ
ラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエト
キシシラン等の加水分解性オルガノシラン、テトラエト
キシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−
プロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメト
キシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等のテトラア
ルコキシシランなどが使用できる。アルキルシリケ−ト
としては、メチルシリケ−ト、エチルシリケ−ト、プロ
ピルシリケ−ト、ブチルシリケ−トなどが使用できる。
【0015】本発明の光触媒性コーティング組成物に
は、他の無機酸化物も添加できる。無機酸化物としては
セリア、ジルコニア、アルミナ、無定型酸化チタン、酸
化錫、マグネシア、カルシア、イットリア、酸化マンガ
ン、クロミア、酸化バナジウム、酸化銅、酸化コバル
ト、酸化ニッケル、酸化ルテニウム、ハフニア、酸化ス
トロンチウム、酸化銀の群から選ばれる1種又は2種以
上等が挙げられる。これら無機酸化物は充填剤として被
膜の強度を向上させる。さらに、このうちジルコニアを
添加すると耐水性が向上する。またアルミナ、セリア、
イットリアを添加すると暗所親水維持性が向上する。ま
た酸化ルテニウム、酸化銅を添加すると酸化還元力が向
上する。また、酸化銀、酸化銅を添加すると抗菌性が向
上する。
【0016】本発明の光触媒性コーティング組成物に
は、銀、銅、パラジウム、白金、ロジウム、プラチウ
ム、ルテニウム、金、亜鉛、コバルト、鉄、ニッケル、
ナトリウム、リチウム、ストロンチウム、カリウム、カ
ルシウム、マグネシウム又はそれら金属の化合物の群か
ら選ばれる1種以上が添加してもよい。銀、銅、亜鉛又
はそれら金属の化合物の群から選ばれる1種以上を添加
することで、抗菌性を付与することができる。パラジウ
ム、白金、ロジウム、プラチウム、ルテニウム、金、コ
バルト、鉄、ニッケル又はそれら金属の化合物の群から
選ばれる1種以上を添加することで、光半導体の光励起
による酸化還元触媒性能を向上させることができる。ナ
トリウム、リチウム、ストロンチウム、カリウム、カル
シウム、マグネシウム又はそれら金属の化合物の群から
選ばれる1種以上を添加することで、光半導体の光励起
に応じた親水化性能を向上させることができる。
【0017】光触媒の光励起は、光触媒結晶の伝導電子
帯と価電子帯との間のエネルギ−ギャップよりも大きな
エネルギ−(すなわち短い波長)を有する光を光触媒に
照射して行う。より具体的には、光触媒がアナタ−ゼ型
酸化チタンの場合には波長387nm以下、ルチル酸化
チタンの場合には波長413nm以下、酸化錫の場合に
は波長344nm以下、酸化亜鉛の場合には波長387
nm以下の光を含有する光線を照射する。上記光触媒の
場合は、紫外線光源により光励起されるので、光源とし
ては、蛍光灯、白熱電灯、メタルハライドランプ、水銀
ランプのような室内照明、太陽光や、それらの光源を低
損失のファイバ−で誘導した光源等を利用できる。複合
材表面の親水化に必要な、光半導体を光励起するために
必要な光の照度は、0.0001mW/cm2 以上、好
ましくは0.001mW/cm2 以上、より好ましく
は0.01mW/cm2 以上である。
【0018】さらに、本態様において、フッ素系撥油剤
としては、フッ素樹脂、フッ素系界面活性剤がある。フ
ッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリク
ロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−
ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、エチレン−テト
ラフルオロエチレンコポリマー、エチレン−クロロトリ
フルオロエチレンコポリマー、テトラフルオロエチレン
−パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、パ
ーフルオロシクロポリマー、ビニルエーテル−フルオロ
オレフィンコポリマー、ビニルエステル−フルオロオレ
フィンコポリマー、テトラフルオロエチレン−ビニルエ
ーテルコポリマー、クロロトリフルオロエチレン−ビニ
ルエーテルコポリマー、テトラフルオロエチレンウレタ
ン架橋体、テトラフルオロエチレンエポキシ架橋体、テ
トラフルオロエチレンアクリル架橋体、テトラフルオロ
エチレンメラミン架橋体等フルオロ基を含有するポリマ
ーをが好適に利用できる。また、フッ素系界面活性剤と
しては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、
パーフルオロアルキルアンモニウム塩、パーフルオロア
ルキルベタイン、パーフルオロアルキルエチレンオキシ
ド付加物、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、ト
リフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプ
ロピルブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキ
シシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、
ヘプタデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプ
タデカフルオロオクチルトリエトキシシラン等を好適に
利用できる。
【0019】上記フッ素系撥油剤において、パーフルオ
ロアルキルカルボン酸塩、又は、パーフルオロアルキル
スルホン酸塩がより好ましい。これは、前記撥油剤成分
中のカルボン酸塩、或いはスルホン酸塩の持つ陰イオン
性に由来し、より高い撥油性を発現できる。さらに、本
態様において、シリコン系撥油剤としては、ジメチルシ
リコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シ
リコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、シリコーンポリ
エーテル共重合体、メチルハイドロジェンシリコーン等
を好適に利用できる。
【0020】本発明においてフッ素系撥油剤やシリコン
系撥油剤の撥油性の程度は、本発明の効果が発揮される
範囲において適宜決定されてよいが、その程度は例え
ば、光触媒によって惹起された高親水性表面において、
オレイン酸との接触角が15度以上の範囲のものが好ま
しく、より好ましくは20度以上のものである。
【0021】本態様による表面層中のフッ素系撥油剤ま
たはシリコン系撥油剤の存在量は、表面層の組成および
用途などを勘案して適宜決定されてよいが、例えば表面
層中において0.01〜20重量%程度の量存在するの
が好ましく、より好ましくは5〜10重量%程度であ
る。
【0022】また、表面層中の光触媒性酸化物の量も特
に限定されないが、例えば表面層中において40〜90
重量%程度の量存在するのが好ましく、より好ましくは
60〜80重量%程度である。
【0023】本発明の好ましい態様によれば、表面層の
膜厚は表面層の組成および用途などを勘案して適宜決定
されてよいが、例えば表面層を透明としたい場合は、約
0.4μm以下が好ましい。これによって光の乱反射に
よる白濁を防止することができ、表面層は実質的に透明
となるからである。さらに、好ましくは約0.2μm以
下であり、光の干渉による表面層の発色を有効に防止す
ることができる。表面層が薄ければ薄いほどその透明度
は向上するが、耐摩耗性の観点からは一定の厚さを有す
ることが好ましいことは明らかである。また、例えば光
触媒の酸化分解作用の程度をより高くしたい場合は、約
0.1μm以上が好ましい。これによって、励起光の照
度が0.001mW/cm2程度の微弱な空間において
も、堆積される汚れの分解性能は維持される。さらに、
好ましくは約0.3μm以上であり、0.001mW/
cm2程度の微弱照度の励起光を5時間/日程度受けれ
ば、堆積される汚れが分解、離脱され撥油性が維持され
る。
【0024】さらに、図1に示される態様のように、フ
ッ素系撥油剤やシリコン系撥油剤および光触媒性酸化物
が粒子形状のものとして利用される場合、それらの粒子
径は適宜決定されてよいが、フルオロアルキル基を有す
るシラン化合物は1次粒子径として10nm〜10μm
程度の大きさが好ましく、より好ましくは100nm〜
1μm程度であり、光触媒性酸化物は結晶子径として1
nm〜100nm程度の大きさが好ましく、より好まし
くは5nm〜20nm程度である。
【0025】本発明の好ましい態様によれば、疎水性部
分と親水性部分、疎油性部分と親油性部分の存在の程度
は、その用途を勘案して適宜決定されてよい。例えば、
表面層の最表面において、10nm2 〜100nm2
たり前記フッ素系撥油剤やシリコン系撥油剤に由来する
疎水性部分と、前記シリコーンまたはシリカに由来する
親水性部分とが少なくとも一カ所づつ存在する部材は、
生体高分子が付着しにくい性質を有する。よって、この
ような部材は、抗血栓性材料、蛋白質付着性材料、脂質
付着防止性材料等への応用が可能であり、より具体的に
はコンタクトレンズ、導尿カテーテルや経皮デバイス、
各種人口臓器、血液バッグ、採尿バック、肺ドレナー
ジ、それらの接続チューブ等のディスポーザブルな医療
器具などとして用いられる。また、表面層の最表面にお
いて、10nm2〜1μm2あたり前記フッ素系撥油剤や
シリコン系撥油剤に由来する疎水性部分と、前記シリコ
ーンまたはシリカに由来する親水性部分とが少なくとも
一カ所づつ存在する部材は、生物が付着しにくい性質を
有する。よって、このような部材は、船底材料、外壁材
料、浴室材料、浴槽材料、観賞用水槽材料、循環水等を
利用した施設(例えば、公園の人工滝)において循環水
と接触する表面材料(例えば、意匠タイル)などとして
用いられる。さらに、表面層の最表面において、0.1
mm2あたり前記フッ素系撥油剤やシリコン系撥油剤に
由来する疎水性・疎油性部分と、前記シリコーンまたは
シリカに由来する親水性・親油性部分とが少なくとも一
カ所づつ存在する部材は、大気中の浮遊煤煙に由来する
汚れが付着しにくい、または一旦付着した前記汚れが容
易に除去される性質を有する。よって、屋外用建材、太
陽電池カバー、太陽熱温水器の集熱装置用カバー、高
欄、トンネル内壁、防音壁、遮音壁、ガードフェンス、
道路用化粧板等の道路用構造物、ブラインド、硝子、ホ
イール、自動車等乗物の筐体部として用いられる。本態
様による部材は、それが防汚活性を有する限り、その表
面層の水との接触角は基本的には限定されないが、一般
には10〜120度程度の範囲の見かけの水との接触角
を有するものとなる。
【0026】本発明の光触媒性コーティング組成物の塗
布方法としては、スプレ−コ−ティング法、ディップコ
−ティング法、フロ−コ−ティング法、スピンコ−ティ
ング法、ロ−ルコ−ティング法、バーコート法、刷毛塗
り、スポンジ塗り等の方法が好適に利用できる。
【0027】硬化方法としては、熱処理、室温放置、紫
外線照射等により重合させて行うことができる。
【0028】本発明のが適用可能な基材としては、防曇
用途においては、ガラス、透明プラスチック、レンズ、
プリズム、鏡等の透明性の基材である。より具体的に
は、浴室用又は洗面所用鏡、車両用バックミラ−、歯科
用歯鏡、道路鏡のような鏡;眼鏡レンズ、光学レンズ、
写真機レンズ、内視鏡レンズ、照明用レンズ、半導体製
造用レンズのようなレンズ;プリズム;建物や監視塔の
窓ガラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、
雪上車、ロ−プウエイのギンドラ、遊園地のゴンドラ、
宇宙船のような乗り物の窓ガラス;自動車、鉄道車両、
航空機、船舶、潜水艇、雪上車、スノ−モ−ビル、オ−
トバイ、ロ−プウエイのギンドラ、遊園地のゴンドラ、
宇宙船のような乗り物の風防ガラス;防護用又はスポ−
ツ用ゴ−グル又はマスク(潜水用マスクを含む)のシ−
ルド;ヘルメットのシ−ルド;冷凍食品陳列ケ−スのガ
ラス;計測機器のカバ−ガラス、及びそれら物品に貼着
可能なフィルム、ワッペン等である。
【0029】本発明のが適用可能な基材としては、降雨
による自己浄化が期待できる屋外用途においては、例え
ば、金属、セラミックス、ガラス、プラスチック、木、
石、セメント、コンクリ−ト、繊維、布帛、紙、それら
の組合せ、それらの積層体、それらの塗装体等である。
より具体的には、外壁や屋根のような建物外装;窓枠;
自動車、鉄道車両、航空機、船舶、自転車、オ−トバイ
のような乗物の外装及び塗装;窓ガラス;看板、交通標
識、防音壁、ビニ−ルハウス、碍子、乗物用カバ−、テ
ント材、反射板、雨戸、網戸、太陽電池用カバ−、太陽
熱温水器等の集熱器用カバ−、街灯、舗道、屋外照明、
人工滝・人工噴水用石材・タイル、橋、温室、外壁材、
壁間や硝子間のシ−ラ−、ガ−ドレ−ル、ベランダ、自
動販売機、エアコン室外機、屋外ベンチ、各種表示装
置、シャッタ−、料金所、料金ボックス、屋根樋、車両
用ランプ保護カバ−、防塵カバ−及び塗装、機械装置や
物品の塗装、広告塔の外装及び塗装、構造部材、及びそ
れら物品に貼着可能なフィルム、ワッペン等である。
【0030】本発明のが適用可能な基材としては、水洗
による清浄化が期待できる用途においては、例えば、金
属、セラミックス、ガラス、プラスチック、木、石、セ
メント、コンクリ−ト、繊維、布帛、紙、それらの組合
せ、それらの積層体、それらの塗装体等である。より具
体的には、上記屋外用途部材が含まれることは勿論、そ
の他に、建物の内装材、窓ガラス、住宅設備、便器、浴
槽、洗面台、照明器具、台所用品、食器、食器乾燥器、
流し、調理レンジ、キッチンフ−ド、換気扇、窓レ−
ル、窓枠、トンネル内壁、トンネル内照明、及びそれら
物品に貼着可能なフィルム、ワッペン等である。
【0031】本発明のが適用可能な基材としては、乾燥
促進が期待できる用途においては、例えば、窓サッシ、
熱交換器用放熱フィン、舗道、浴室用洗面所用鏡、ビニ
−ルハウス天井、洗面化粧台、自動車ボディ及びそれら
物品に貼着可能なフィルム、ワッペン等である。
【0032】本発明のが適用可能な用途は上記以外にも
着雪防止、気泡付着防止、生体親和性向上等広範囲に存
在する。着雪防止性は特に表面粗さ1μm以下の表面層
を設けると顕著に優れた特性が得られ、例えば、雪国用
屋根材、アンテナ、送電線及びそれら物品に貼着可能な
フィルム、ワッペン等を含む基材に適用可能である。
【0033】請求項10記載の親水性の光触媒性表面を
備えた複合材の製造方法によれば、好ましくは該複合材
は次のように製造することができる。まず、フッ素系撥
油剤やシリコン系撥油剤をこれを溶解する溶剤に溶解
し、これに光触媒性酸化物、又は/及び無機酸化物を分
散させ調製した光触媒性コーティング組成物を塗工液と
する。次に、基材表面に直接これを塗布した後、溶媒を
蒸発させ乾燥させて光触媒性コーティング組成物層を形
成しておく。続いて、基材上に光触媒性コーティング組
成物層を形成した上記部材を、室温から200℃程度の
温度で一定時間保持すれば本発明の親水性防汚部材を得
ることができる。さらに、基材は特に限定されず、例え
ば、金属、セラミックス、ガラス、プラスチック、木、
石、セメント、コンクリート、繊維、布帛、それらの組
合わせ、それらの積層体が好適に利用できる。基材は部
材の用途を勘案して決定されてよい。
【0034】請求項11記載の発明によれば、親水性の
光触媒性表面を備えた複合材は、好ましくは次のように
製造することができる。光触媒性酸化物、又は/及び無
機酸化物とフッ素系撥油剤やシリコン系撥油剤を含有す
る光触媒性コーティング組成物から成る層でシートを被
覆し、さらに該シートで基材を被覆することによって製
造することができる。より具体的には、まず、フッ素系
撥油剤やシリコン系撥油剤をこれを溶解する溶剤に溶解
し、これに光触媒性酸化物、又は/及び無機酸化物を分
散させ調製した光触媒性コーティング組成物をシートに
塗布あるいは含浸する。その後、溶媒を蒸発させ乾燥さ
せてシート上に光触媒性コーティング組成物か形成する
ことができる。次に、上記シ−トを、熱圧着あるいは接
着剤を介して基材表面に接着して親水性防汚部材の成形
体を得ることができる。
【0035】請求項12記載の発明によれば、本発明の
光触媒性コーティング組成物を樹脂系の基材にコーティ
ングする場合、樹脂系材料は、撥水性を呈するためにコ
ーティング材料との濡れ性およびコーティング後の基材
との密着性が悪く、また、コーティング後光励起された
場合に基材の光酸化還元反応により基材が侵される。こ
の場合、中間層を設けることにより上記のような悪影響
を抑制することができる。中間層としてはフッ素樹脂や
シリコーンなどの主鎖の結合エネルギーが高い物質の膜
を利用できる。
【0036】請求項13記載の発明によれば、親水性の
光触媒性表面を備えた複合材は、好ましくは次のように
製造することができる。まず、フッ素系撥油剤やシリコ
ン系撥油剤をこれを溶解する溶剤に溶解し、これに光触
媒性酸化物、又は/及び無機酸化物を分散させ調製した
光触媒性コーティング組成物を、塗工液として成形型表
面に塗布する。その後、溶媒を蒸発させ乾燥させて光触
媒性コーティング組成物層を形成しておく。次に、基材
を形成する原料を室温から200℃程度の温度に保持し
た成形型上に配置し、成形型を閉合して所定の時間だけ
保持すると、成形型に塗布した上記光触媒性コーティン
グ組成物が基材表面に転写され親水性の光触媒表面を備
える成形体を得ることができる。また、上記成形工程に
おいて、成形型を閉合した後に5〜15Mpa程度で成
形型内の材料を加圧しても良い。上記防汚性組成物を成
形型に塗布する方法としては、ロールコート法、スプレ
ーコート法、刷毛塗り、スポンジ塗り等の方法が好適に
利用できる。上記撥水性防汚部材の成形方法としては、
加圧プレス法、加圧注型法、ブロー成形法、射出成形法
等がある。成形型内に配置される基材原料としては、加
圧プレス成形材料としてSMC(シートモールディング
コンパウンド)、BMC(バルクモールディングコンパ
ウンド)等のガラス繊維強化プラスチックが、加圧注型
用として不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリレー
ト樹脂、ウレタンアクリレート樹脂等の熱硬化性樹脂
が、その他の方法にはポリプロピレン、ポリエチレン、
ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂が、主に
使われる。
【0037】請求項14記載記載の発明によれば、親水
性の光触媒性表面を備えた複合材は、好ましくは次のよ
うに製造することができる。まず、光触媒性酸化物、又
は/及び無機酸化物とフッ素系撥油剤やシリコン系撥油
剤とを含有する光触媒性コーティング組成物をシートに
塗布あるいは含浸して、シート表面層を上記光触媒性コ
ーティング組成物で形成する。次に、上記シ−トを、成
形型側に前記表面層がくるように、成形型上に配置す
る。次に、基材を形成する原料を室温から200℃程度
の温度に保持した成形型上に配置し、成形型を閉合して
所定の時間だけ保持すると、予め成形型上に配置した上
記シートと基材とが硬化一体化して親水性の光触媒表面
を備える成形体を得ることができる。また、上記成形工
程において、成形型を閉合した後に5〜15Mpa程度
で成形型内の材料を加圧しても良い。
【0038】上記光触媒性コーティング組成物を表面層
に有するシ−トとしては、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルムの
他、紙、布、不織布、ガラスマット、ガラスクロスなど
が使用可能である。上記の紙としては、例えば、薄様
紙、チタン紙、新聞巻取り紙、上質紙、中質紙、更紙、
グラビア用紙、アート紙、コート紙、筆記用紙、図画用
紙等が使用可能である。上記布と不織布としては、絹、
麻、木綿等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、ポリエ
ステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維等を織成した
ものが使用可能である。ガラスクロスとはガラス繊維を
織成したものであり、ガラスマットとは織成しないガラ
ス繊維同士の交点を接着剤により接着してシート状にし
たものである。上記シート表面に光触媒性コーティング
組成物層を形成するには、ロールコート法、バーコート
法、スピンコート法、ディップ法等による塗布あるいは
含浸方法がある。上記部材の成形方法としては、加圧プ
レス法、加圧注型法、ブロー成形法、射出成形法等があ
る。成形型内に配置される基材原料としては、加圧プレ
ス成形材料としてSMC(シートモールディングコンパ
ウンド)、BMC(バルクモールディングコンパウン
ド)等のガラス繊維強化プラスチックが、加圧注型用と
して不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリレート樹
脂、ウレタンアクリレート樹脂等の熱硬化性樹脂が、そ
の他の方法にはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエ
チレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂が、主に使われ
る。
【0039】
【実施例】実施例1 光触媒性材料と撥油性材料を組み合わせた材料による水
と油の接触角の評価 (1)試料の作成 エチルシリケート(コルコート社製)18gをメタノー
ル(和光社製)134.11gで希釈後、0.04%硝酸
水溶液9.3gを添加し、攪拌して加水分解させて得た
溶液をジアセトンアルコールとノルパルプロパノールを
5:5で混合した溶液で希釈後、FT−1(昭和電工
製)を加え、攪拌し、光触媒液を作成した。作成した光
触媒液に蒸留水で6倍に希釈した撥油剤(アルキル基を
有する水溶性材料)KP18C(信越化学製)を固形分
比10:1にて混合し、攪拌を行い、撥油剤と光触媒を
組み合わせた液を作成した。次に、表面にポリエステル
系プライマーが固定されたPETフィルムA4100
(東洋紡製)にコロナ放電処理装置AGI−021S
(春日電機製)にて表面処理を施し、メチルトリメトキ
シシラン、γ-グルシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、シリカ、メタノール、エタノール混合溶液をバーコ
ード法にて塗布し、10分間の常温乾燥後、恒温槽AD
P-31(ヤマト化学製)にて120℃、30分乾燥を
行った。再度、コロナ放電処理装置AGI−021S
(春日電機製)にて表面処理を施し、前記にて作成した
撥油剤と光触媒液を組み合わせた液をバーコード法にて
塗布し、1時間の常温乾燥後、恒温槽ADP−31(ヤ
マト化学製)にて100℃、10分乾燥を行い試料1を
作成した。また、比較試料として市販の光触媒PETフ
ィルム AC-77(日本曹達製)を用いて中間層までを
同様のコーティング処理を実施し、前記にて作成した光
触媒液をバーコード法にて塗布し、10分間の常温乾燥
後、恒温槽ADP−31(ヤマト化学製)にて120
℃、30分乾燥を行い、この操作を3回繰り返し、試料
2を作成した。 (2)水と油の接触角評価 作成した試料の親水、撥油性能の調査には、水およびオ
レイン酸の接触角を用いた。なお、水およびオレイン酸
の接触角の測定には、接触角測定装置、CA−X150
(協和界面科学製)を使用した。評価方法としては、
試料1については、試料作成直後および紫外線照度1m
W/cm2にてBLBランプを41時間照射後の水およ
びオレイン酸の接触角を測定し、試料2については、試料作
成直後および紫外線照度1mW/cm2にてBLBラン
プを24時間照射後の水およびオレイン酸の接触角を測
定し、評価した。その評価結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】表1より、光触媒のみの試料2に比較し
て、光触媒に撥油剤を添加した試料1は、紫外線照射前
後において十分な親水性を維持しながら、オレイン酸の
接触角は大きくなっており、油汚れが付着しづらく、落
し易いことが期待できる。
【0042】実施例2 光触媒性材料と撥油性表面処理剤の組み合わせによる防
汚性の向上 100mm×300mmのPET鋼板(東陶機器製)に
粘着材にて貼り付けた表面にポリエステル系プライマー
が固定されたPETフィルム A4100(東洋紡製)
にコロナ放電処理装置AGI−21S(春日電機製)に
て表面処理を施し、メチルトリメトキシシラン、γ-グ
ルシドキシプロピルトリメトキシシラン、シリカ、メタ
ノール、エタノール混合溶液をバーコード法にて塗布
し、10分間の常温乾燥後、恒温槽ADP-31(ヤマ
ト化学製)にて120℃、30分乾燥を行った。再度、
コロナ放電処理装置AGI-021S(春日電機製)に
て表面処理を施し、前記実施例1の方法にて作成した光
触媒と撥油性材材を組み合わせた液ををバーコード法に
て塗布し、1時間の常温乾燥後、恒温槽ADP−31
(ヤマト化学製)にて100℃、10分乾燥を行った。
同様の操作を3回繰り返し、試料3を作成した。但し、
3回目の乾燥条件は、150℃×10分とした。また、
比較試料として100mm×300mmのPET鋼板
(東陶機器製)に粘着材にて貼り付けた市販の光触媒P
ETフィルム AC-77(日本曹達製)に中間層までを
同様のコーティング処理を実施し、前記にて作成した光
触媒液をバーコード法にて塗布し、10分間の常温乾燥
後、恒温槽ADP-31(ヤマト化学製)を用いて12
0℃、30分乾燥を行った。同様の操作を3回繰り返
し、試料4を作成した。作成した試料は、あらかじめ紫
外線照度1mW/cm2のBLBランプを照射して親水
化させておいた。これらの試料をシャワーブースの壁に
設置して防汚評価を行った。試料設置位置は、汚れやす
く、汚れ負荷の大きい壁の下部に設置し、負荷を一定と
するために設置場所を1日毎に変更した。入浴人数は、
1日4人とし、入浴後は、水道水にて洗浄操作を実施し
た。夜間は、白色蛍光灯にて照度1μW/cm2の紫外
線を5時間照射した。付着する汚れは、石鹸かす、皮脂
汚れなどで、この汚れを評価する指標として見た目の感
じに近い光沢保持率を用いた。光沢率の測定には、日本
電色工業製光沢計を用いた。その評価結果を表2に示
す。
【0043】
【表2】
【0044】表2より、従来の光触媒性材料に比べ、光
触媒に撥油性材材を組み合わせた材料は、1.5倍以上
に防汚性が向上することが確認できた。
【0045】実施例3 (1) 本発明の撥水性防汚部材の製作 エチルシリケート(コルコート社製)6gをメタノール
44.7gで希釈後、2%硝酸水溶液9.3gを添加
し、攪拌して得た溶液25gをジアセトナルコールとノ
ルマルプロパノールを1:1で混合した溶液35gで希
釈後、チタニアゾル(昭和電工製FT−1:固形分濃度
10%)を18.6g加え、攪拌し、光触媒液を作成し
た。作成した光触媒液に、フッ素系撥油剤としてパーフ
ルオロアルキル基含有オリゴマー(大日本インキ化学製
MCF323)を固形分比100:1にて混合し、攪拌
を行い、撥油剤と光触媒とを組み合わせた光触媒性コー
ティング組成物を作成した。次に、表面にポリエステル
系プライマーが固定されたPET(ポリエチレンテレフ
タレート)フィルム(東洋紡製A4100)に、メチル
トリメトキシシラン、γ−グルシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、シリカ、メタノール、エタノール混合溶
液をフローコート法にて塗布し、10分間の常温乾燥
後、恒温槽にて120℃で30分乾燥を行い、下地材を作成
した。続いて、前記にて作成した光触媒製コーティング
組成物をフローコート法にて塗布し、1時間の常温乾燥
後、恒温槽にて120℃で30分乾燥を行い試料5を作
成した。また、フッ素系撥油剤としてパーフルオロアル
キルカルボン酸塩(大日本インキ製F−812)を用い
て、試料5と同様に試料6を作成した。また、フッ素系
撥油剤としてパーフルオロアルキルスルホン酸塩(大日
本インキ製F−110)を用いて、試料5と同様に試料
7を作成した。また、他に、上記下地材に上記光触媒液
を用いてフローコート法にて塗布し、1時間の常温乾燥
後、恒温槽にて120℃で30分乾燥を行って、比較試
料8を作成した。加えて、PETフィルムラミネート鋼
板(TOTO製HQP)を比較試料9した。
【0046】(2) 防汚性評価 次に、試料5、6、7の防汚性を評価するため、表面の
親水性・撥油性を調べた。親水性は水の接触角で、撥油
性はオレイン酸の接触角によって調べた。接触角の測定
は、成形後初期と紫外線を照射した後に行った。紫外線
照射は、BLB(ブラックライトブルー)ランプ(三栄
電気製20W型)で1mW/cm2(トプコン製照度計
UVR−2で計測)を3時間照射して行った。光触媒性
コーティング組成物層を有さない比較試料8、9につい
ても、同じく水とオレイン酸の接触角を調べた。尚、接
触角測定には協和界面科学製CA-X150を使用した。
【0047】
【表3】
【0048】表3に示す通り、試料5、6、7は、紫外
線を照射した後、水の接触角に対してオレイン酸の接触
角は高く、高度の親水性・水中撥油性を示す。特に、試
料6、7については、優れた親水性・水中撥油性を示す
ことが分かる。これに対して、比較試料8は撥油剤を含
まず光触媒のみで表面層を形成しているため、高い親水
性と同時に親油性を呈す。また、防汚処理を施していな
い比較試料9は、疎水・親油性を示し、汚れ易い材料で
あることが容易に予測できる。
【0049】(3)防汚性評価 これらの試料を浴室の壁に設置して、入浴を行い、防汚
テストを実施した。試料設置位置は、汚れやすく、汚れ
負荷の大きい壁の下部に設置し、負荷を一定とするため
に入浴人数は1日4人とし、設置場所を1日毎に変更し
た。夜間は、白色蛍光灯にて照度1μW/cm2(トプコン
製照度計UVR−2で計測)の紫外線を5時間照射し
た。付着する汚れは、石鹸かす、皮脂汚れなどで、この
汚れ度合いを光沢保持率で代用する。光沢率の測定に
は、日本電色工業製光沢計を用いた。評価結果を表4に
示す。
【0050】
【表4】
【0051】表4より、従来の光触媒材料に比べ、光触
媒に撥油材を組み合わせた材料は、格段に防汚性能が向
上することが確認できた。
【0052】
【発明の効果】本発明の光触媒性組成物を用いることに
より、従来の光触媒材料が有する様々な効果を有すると
共に、油汚れ等が固着しにくく、且つ、付着した油汚れ
等が水等により容易に落し易い性能を持つ被膜を有する
複合材を作成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】基材表面に光触媒性コーティング組成物層を形
成した断面図。
【図2】親水性防汚部材の製造方法を示す図。
【符号の説明】
1: 親水性の光触媒性表面を備えた複合材 2: 基材 3: 光触媒性コーティング組成物層 4: シリコーンまたはシリカ層 5: 撥水性材料 6: 光触媒性酸化物 7: 成形型(凸) 8: 成形型(凹) 9: 基材 10: シート 11: 光触媒性コーティング組成物層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 7/12 C09D 7/12 Z 183/04 183/04

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の表面を光触媒的に親水性にするた
    めの光触媒性コーティング組成物であって、 光触媒性材料と撥油性材料からなることを特徴とする光
    触媒性コーティング組成物。
  2. 【請求項2】 さらにシリカ及び/又はケイ素原子に結
    合する有機基の少なくとも一部が水酸基に置換されたシ
    リコ−ンを含有することを特徴とする請求項1に記載の
    光触媒性コーティング組成物。
  3. 【請求項3】 前記撥油性材料がフッ素系撥油剤である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の光触媒性コ
    ーティング組成物。
  4. 【請求項4】 前記フッ素系撥油剤がパーフルオロアル
    キルカルボン酸塩及び/又はパーフルオロアルキルスル
    ホン酸塩であることを特徴とする請求項3に記載の光触
    媒性コーティング組成物。
  5. 【請求項5】 前記撥油性材料がシリコン系撥油剤であ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の光触媒性
    コーティング組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかの一項に記載の
    光触媒性コーティング組成物を基材表面に被覆したこと
    を特徴とする親水性の光触媒性表面を備えた複合材。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の複合材において、表面
    層の最表面は、光触媒性酸化物と、シリコーン及び/又
    はシリカと、フッ素系撥油剤とが微視的に分散して存在
    して成ることを特徴とする親水性の光触媒性表面を備え
    た複合材。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載の複合材において、表面
    層の最表面は、光触媒性酸化物と、シリコーン及び/又
    はシリカと、シリコン系撥油剤とが微視的に分散して存
    在して成ることを特徴とする親水性の光触媒性表面を備
    えた複合材。
  9. 【請求項9】 請求項6〜8のいずれかの一項に記載の
    複合材において、該部材は、浴室,洗面所,台所,トイレ
    等の水廻り空間用部材であることを特徴とする親水性の
    光触媒性表面を備えたことを特徴とする複合材。
  10. 【請求項10】 請求項6〜9のいずれかの一項に記載
    の複合材の製造方法において、 基材表面に請求項1〜5のいずれかの一項に記載の光触
    媒性コーティング組成物を塗布し、次に、乾燥により硬
    化させるか、又は、熱処理により硬化させることにより
    光触媒性材料を含有する被膜を形成することを特徴とす
    る複合材の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項6〜9のいずれかの一項に
    記載の複合材の製造方法において、 基材表面に、請求項1〜5のいずれかの一項に記載の光
    触媒性コーティング組成物から成る表面層を有するシ−
    トを固定させる工程を含むことを特徴とする複合材の製
    造方法。
  12. 【請求項12】 請求項10または11の複合材の製造
    方法において、 基材表面に中間層を塗布し、該中間層表面に請求項1〜
    5のいずれかの一項に記載の光触媒性コーティング組成
    物を塗布し、次に、乾燥により硬化させるか、又は、熱
    処理により硬化させることにより光触媒性材料を含有す
    る被膜を形成することを特徴とする複合材の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項6〜9のいずれかの一項に記
    載の複合材の製造方法において、 成形型表面に請求項1〜5のいずれかの一項に記載の光
    触媒性コーティング組成物を塗布する工程と、前記工程
    を行った後に基材を形成する原料を成形型に配置する工
    程と、成形型を加熱及び/又は加圧する工程と、を含む
    ことを特徴とする複合材の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項6〜9のいずれかの一項に記載
    の複合材の製造方法において、 成形型上に請求項1〜5のいずれかの一項に記載の光触
    媒性コーティング組成物から成る表面層を有するシ−ト
    を成形型側に前記表面層がくるように配置する工程と、
    前記工程を行った後に基材を形成する原料を成形型に配
    置する工程と、成形型を加熱及び/又は加圧する工程
    と、を含むことを特徴とする複合材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002225191A (ja) * 2001-02-02 2002-08-14 Daiken Trade & Ind Co Ltd 化粧板及びその製造方法
JP2008238767A (ja) * 2007-03-29 2008-10-09 Sekisui Jushi Co Ltd 低汚染性屋外工作物
JP2009136811A (ja) * 2007-12-07 2009-06-25 Kubota Matsushitadenko Exterior Works Ltd 塗装体

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