JP2000026731A - クリーンルーム用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物 - Google Patents

クリーンルーム用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物

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JP2000026731A JP21189698A JP21189698A JP2000026731A JP 2000026731 A JP2000026731 A JP 2000026731A JP 21189698 A JP21189698 A JP 21189698A JP 21189698 A JP21189698 A JP 21189698A JP 2000026731 A JP2000026731 A JP 2000026731A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩基性物質を放出せず、また接点障害を起こ
すことがなく、しかも保存安定性、接着性共に優れた、
特にクリーンルーム用シーリング材や電気電子用接点部
材周辺に用いる材料として好適な、脱アルコール型の室
温硬化性シリコーン組成物を提供する。 【解決手段】 (A)分子鎖末端が、水酸基、もしくは
1〜3個のアルコキシ基またはビニロキシ基で封鎖され
たジオルガノポリシロキサン、および(B)カオリンク
レーのような酸性充填剤を含有してなるクリーンルーム
用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、室温硬化性オルガ
ノポリシロキサン組成物に関し、特にクリーンルーム用
シーリング材や電気電子用接点部材周辺に用いる材料と
して好適な脱アルコール型の室温硬化性オルガノポリシ
ロキサン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】クリーンルーム用シーリング材や電気電
子用接点部材周辺に用いる材料として耐熱性、電気特性
及び作業性の面から、特に脱アルコール型の室温硬化性
オルガノポリシロキサン組成物が多用されている。しか
しながら、この種のオルガノポリシロキサン(シリコー
ン)組成物においては、ベースポリマーであるオルガノ
ポリシロキサン中に不純物として揮発性の低分子シロキ
サンや、保存安定剤兼硬化剤として低沸点のシラン化合
物が含まれているために、上記組成物を電気接点部のよ
うに蓄熱される場所に使用した場合には、前記低分子シ
ロキサンまたは低沸点シラン化合物が揮発し、接点で発
生するスパークによって燃焼して二酸化珪素(シリカ)
になり、接点に付着する。その結果、接点部分が絶縁膜
で覆われた状態となり、モーター回路、リレー回路等が
正常な機能を果たさなくなるという接点障害を起こす欠
点がある。なお、近年、ストリップ法などの技術の向上
により、低分子シロキサンの含有量が極力低減されたベ
ースポリマーが生産されるようになったので、低分子シ
ロキサンによる接点障害の問題は改善されてきたが、ま
だ不十分である。
【0003】一方、近年におけるクリーンルーム用シー
リング材への要求は、クリーンルーム内で半導体の製造
に使用されるレジストの感度を低下させないため、シー
リング材からの塩基性物質の揮発成分の含有量を従来の
ppm単位からppb単位まで低減した厳しい条件が要
求されている。従って、シーリング材の接着性、機械的
強度などの補強効果を目的として添加される充填剤につ
いても対策が必要となっている。従来のクリーンルーム
用シーリング材では、充填剤として主に炭酸カルシウム
が使用されているため、この塩基性物質により半導体レ
ジスト等への悪影響を起こす恐れがあった。また炭酸カ
ルシウムでは、十分な保存安定性、接着性が得られなか
った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、塩基性物質を放出せず、また接点障害を起こすこと
がなく、しかも保存安定性、接着性共に優れた、特にク
リーンルーム用シーリング材や電気電子用接点部材周辺
に用いる材料として好適な、脱アルコール型の室温硬化
性シリコーン組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来技術
における以上のような問題を解消するため、種々検討し
た結果、充填剤として酸性充填剤、特にカオリンクレー
を使用することにより、上記目的を達成できることを見
い出し、本発明に到達した。
【0006】即ち本発明は、(A)分子鎖末端が、水酸
基、もしくは1〜3個のアルコキシ基またはビニロキシ
基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン、および
(B)酸性充填剤を含有してなるクリーンルーム用室温
硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供する。
(B)成分の酸性充填剤としては、カオリンクレーまた
は表面処理されたカオリンクレーであることが好まし
い。また(A)成分のジオルガノポリシロキサンとして
は、不純物としての重合度3〜20の環状及び直鎖状シ
ロキサンの含有量を0.1重量%以下としたものが好ま
しい。本発明の組成物は、さらに(C)一般式(1):
【0007】
【化2】 (但し、式中R1、R2はメチル基またはエチル基、
3、R4は各々、水素原子、または非置換または置換の
一価炭化水素基であり、R5は炭素数6以上の非置換ま
たは置換の一価炭化水素基であり、aは0または1の整
数である。)で示されるアルコキシ−α−シリルエステ
ルを含有することが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】(A)ジオルガノポリシロキサン 本発明の組成物を構成する(A)成分のジオルガノポリ
シロキサンは、この組成物のベースポリマーあり、例え
ば平均組成式(I): RcSiO4-c/2 (I) (ここで、Rは独立に置換もしくは非置換の一価炭化水
素基であり、cは1.90〜2.05の数である。)で
示されるものが挙げられ、基本的には直鎖状であるが、
一部分岐していてもよい。
【0009】平均組成式(I)において、Rとしては炭
素数1〜10、特に1〜8のものが好ましく、具体的に
はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素
数1〜8のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数
2〜6のアルケニル基;フェニル基、トリル基等の炭素
数6〜18のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエ
チル基等の炭素数7〜21のアラルキル基;およびこれ
ら基の水素原子の一部または全部をハロゲン原子などで
置換したクロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプ
ロピル基等が挙げられる。このようなアルコキシ基含有
有機珪素化合物としては下記の化合物を例示することが
できる。なお、下記式中Meはメチル基、Phは置換ま
たは非置換のフェニル基、Viはビニル基を表す。
【0010】
【化3】 等の一般式(2):
【0011】
【化4】 (但し、Rは前記に同じ、nは25℃における粘度が2
5cStとなる数を表す。)で示されるα,ω−ジオル
ガノポリシロキサンジオール;
【0012】
【化5】 等の一般式(3):
【0013】
【化6】 (但し、R、nは前記に同じ、R’は炭素数1〜4のア
ルキル基、又はビニル基を表し、bは0又は1であ
る。)で示される末端アルコキシ又はビニロキシジオル
ガノポリシロキサン。
【0014】また(A)成分としては、不純物としての
重合度3〜20の環状及び直鎖状シロキサンの含有量が
各々0.1重量%以下であり、特に重合度が10以下の
低分子シロキサンの含有量が0.03重量%以下のもの
が好適に使用される。(A)成分の25℃における粘度
は、通常25cSt以上、好ましくは25〜100,0
00cSt、特に100〜50,000cStである。
これにより、本発明の組成物から得られる硬化物は、良
好なゴム弾性および優れた機械的強度を示す。
【0015】(B)酸性充填剤 次に、本発明の最も重要な構成要素である(B)成分の
充填剤は、酸性充填剤である。酸性充填剤は、酸性の充
填剤であれば制限されないが、カオリンクレーが好適で
ある。カオリンクレーとしては、未処理のもの、表面が
シランカップリング剤等で処理されたもの、瞬間焼成で
クレーの結晶構造を変化させたもの、二重焼成により白
色度を向上させたもの等の処理されたクレー等が例示さ
れ、中でも処理されたカオリンクレーが好ましい。カオ
リンクレーの市販品としては、バーゲスピグメント社の
カオリンクレーアイスキャップKやカオリンクレーKE
等のバーゲスクレーが有用である。(B)成分の配合量
は、(A)成分100重量部に対し、通常1〜400重
量部の範囲であり、好ましくは5〜200重量部の範囲
である。1重量部未満ではこの組成物から得られる硬化
物が充分な機械的強度を示さなくなることがあり、40
0重量部を超えると、得られる組成物の粘度が増大して
作業性が悪くなるぱかりでなく、硬化後のゴム強度が低
下して所望のゴム弾性が得難くなることがある。
【0016】(C)アルコキシ−α−シリルエステル 本発明の組成物には、組成物の硬化性および保存安定性
をさらに向上させるため、(C)成分として下記一般式
(1)で示されるアルコキシ−α−シリルエステルを含
有することが好ましい。 一般式(1):
【0017】
【化7】
【0018】一般式(1)において、R1、R2はメチル
基またはエチル基であり、R3、R4は各々、水素原子、
または非置換または置換の一価炭化水素基であり、R5
は炭素数6以上の非置換または置換の一価炭化水素基で
あり、aは0または1の整数である。R3、R4として
は、例えば水素原子;メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、2−エチルヘキシル基等の炭素数1〜1
0のアルキル基;ビニル基等の炭素数2〜10のアルケ
ニル基;フェニル基;シクロヘキシル基;およびこれら
の基の水素原子の少なくとも一部をハロゲン原子等で置
換した基等が挙げられ、中でも水素原子、メチル基、エ
チル基、プロピル基が好ましい。また、R5としては、
例えばフェニル基等の炭素数6〜12のアリール基;炭
素数6〜30のアルキル基;シクロヘキシル基;および
これらの基の水素原子の少なくとも一部をハロゲン原子
等で置換した基等が挙げられ、中でもフェニル基、炭素
数6〜20のアルキル基が好ましい。
【0019】本発明者らは、先に提案した特開平3−4
7868において、従来の脱アルコール型室温硬化性シ
リコーン組成物の保存安定性、硬化性が低い原因は、分
子鎖末端に水酸基を持つオルガノポリシロキサン中の水
酸基と、充填剤中に含まれる水分と反応すべきアルコキ
シ基を有する低分子シラン化合物中のアルコキシ基との
反応性が低く、未反応のシラノール基が残存するためで
あること、およびアルコキシ基を有するシラン化合物と
水酸基との反応によって生成するフリーのアルコールが
組成物中に存在するためであることを既に突き止めてい
る。この提案の組成物では、(A)成分としてのジオル
ガノポリシロキサンに(B)成分としての充填剤を混合
した後、これに一定量のアルコキシシランまたはその部
分分解物を空気遮断下に混合し、まず(A)成分および
(B)成分中にそれぞれ含まれるシラノール基および水
分を、アルコキシシランまたはその部分加水分解物と反
応させて、混合物中にシラノール基およびアルコールを
残存させ、次いでα−シリルエステルを添加し、残存す
るアルコールを除去している。そこで、本発明者らは、
さらに組成物を簡素化するために、上記したα−シリル
エステルの構造を鋭意検討した結果、一般式(1)の
(C)成分である有機珪素化合物は高沸点のため揮発せ
ず、しかもシラノール基やアルコールに対して高活性で
あることを見い出し、これにより、従来技術で説明した
ように上記揮発性または低沸点成分による接点障害を起
こさずに、保存安定性も硬化性も優れた本発明のRTV
オルガノポリシロキサン組成物を得ることができた。
【0020】本発明の(C)成分として用いられる有機
珪素化合物は、前記した(A)成分のジオルガノポリシ
ロキサンおよび(B)成分の充填剤中にそれぞれ含まれ
るシラノール基および水分と、(C)成分のアルコキシ
基との反応で発生したアルコールを、下記の式で示すよ
うに反応させて、アルコールを除去するものである。
【0021】
【化8】 (ここで、R3,R4,R5は前記の通りであり、R’は
アルキル基である。) 上記反応で生成するアルコキシシランあるいはアルコキ
シシロキサンとエステル化合物は、本発明の組成物に何
等悪影響を及ぼさない。この有機珪素化合物の添加によ
って、本発明の組成物はいっそう硬化性、保存安定性の
優れたものとなる。
【0022】一般式(1)で示されるアルコキシ−α−
シリルエステルとしては下記のものが例示される。式
中、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル
基である。
【0023】
【化9】 上記列挙された化合物の部分加水分解物、即ち部分加水
分解縮合させたシロキサンも使用し得る。
【0024】この(C)成分の有機珪素化合物の配合量
は、アルコールとの反応が容易に且つ化学量論的に進行
するので、前記一般式(1)で示される基をXで表し
て、(C)成分が有する基 ≡SiXが ≡SiX/R0H≧1(モル比) となるようにすればよい。一般に、(C)成分の配合量
は、(A)成分100重量部あたり、0.1重量部以
上、好ましくは20重量部以下である。(A)成分10
0重量部に対し0.1重量部未満ではアルコールが残存
するおそれがある。また、通常、20重量部を超えて配
合する必要はなく、経済的にも不利になる。
【0025】その他の成分 本発明の組成物には、硬化触媒として従来公知の有機錫
化合物、有機チタン化合物も添加可能である。有機錫化
合物としては、従来からこの種の組成物に使用されてい
る縮合反応触媒として公知のものであり、例えば、ジブ
チル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチ
ル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオレート、ジフェニル
錫ジアセテート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジ
メトキサイド、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)
錫、ジブチル錫ベンジルマレート等を挙げることができ
る。また、有機チタン化合物も同様、従来からこの種の
組成物に使用されている縮合反応触媒として公知のもの
であり、例えばテトライソプロポキシチタン、テトラブ
トキシチタン、チタンジイソプロポキサイドビス(エチ
ルアセトアセテート)等を挙げることができる。この硬
化触媒の配合量は、(A)成分100重量部に対し、
0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜2重量部で
ある。少なすぎると硬化触媒としての機能が十分に発揮
されないために、硬化時間が長くなる。さらに、多すぎ
るとこの組成物の保存安定性が低くなる。
【0026】本発明の組成物には、得られるシリコーン
ゴム弾性体の機械的性質を向上させるために、フューム
ドシリカ系の充填剤を添加してもよく、さらにはその物
性を調節する目的でチクソトロピー付与剤、耐熱性向上
剤、着色剤、接着性付与剤(例えばメチルトリメトキシ
シラン)などを添加することも可能である。
【0027】組成物の調製および用途 本発明の組成物は、(A)成分、(B)成分および必要
ならば(C)成分、その他の添加成分を混合して調製さ
れる。こうして得られる本発明の組成物は湿気により、
硬化してシリコーンゴム弾性体となる。このゴム弾性体
はシリコーンゴムの特徴である優れた耐熱性、対侯性、
低温特性を有するため、広範な分野での実用が可能であ
る。特にクリーンルーム用シーリング材や電気電子用接
点部材周辺に用いる材料として好適である。
【0028】
【実施例】次に、本発明の組成物を構成する(A)成分
のオルガノポリシロキサンの合成例および実施例によ
り、本発明を説明する。なお、例中の部は重量部を、ま
た粘度は25℃での測定値を示す。実施例1 両末端がヒドロキシ基で封鎖されたポリジメチルシロキ
サンで、低分子含有率は、重合度10以下のものが0.
01重量%以下、且つ重合度3〜20のものが0.05
wt%以下で、粘度が5,000cStのポリジメチル
シロキサン55部に、カオリンクレー(バーゲスピグメ
ント社製商品名カオリンクレーアイスキャップK)45
部を均一に混合してベースコンパウンドを製造した。つ
いで、該ベースコンパウンド100部に、メチルトリメ
トキシシラン3部、チタンジイソプロポキサイドビス
(エチルアセトアセテート)2.5部を配合して湿分遮
断、減圧下で15分間撹拌してRTVオルガノポリシロ
キサン組成物を調製した(組成物1)。また、該ぺ−ス
コンパウンド100部に、2−トリメトキシシリルプロ
ピオン酸2−エチルヘキシル6部、ジブチル錫ジオクト
エート0.2部を加え、湿分遮断、減圧下で15分間撹
拌してRTVオルガノポリシロキサン組成物を調製した
(組成物2)。
【0029】実施例2 分子鎖両末端が3個のアルコキシ基で封鎖されたポリジ
メチルシロキサンで、低分子含有率は、重合度10以下
のものが0.01重量%以下、且つ重合度3〜20のも
のが0.05wt%以下で、粘度が8,000cStの
ポリジメチルシロキサン55部に、表面処理されたカオ
リンクレー(バーゲスピグメント社製商品名カオリンク
レーKE)45部を均一に混合してベースコンパウンド
を製造した。ついで、該ベースコンパウンド100部
に、メチルトリメトキシシラン3部、チタンジイソプロ
ポキサイドビス(エチルアセトアセテート)2.5部を
配合して湿分遮断、減圧下で15分間撹拌してRTVオ
ルガノポリシロキサン組成物を調製した(組成物3)。
また、該ベースコンパウンド100部に、2−トリメト
キシシリルプロピオン酸2−エチルヘキシル6部、ジブ
チル錫ジオクトエート0.2部を加え、湿分遮断、減圧
下で15分間撹拌してRTVオルガノポリシロキサン組
成物を調製した(組成物4)。
【0030】比較例1 両末端がヒドロキシ基で封鎖されたポリジメチルシロキ
サンで、低分子含有率は、重合度10以下のものが0.
01重量%以下、且つ重合度3〜20のものが0.05
重量%以下で、粘度が5,000cStのポリジメチル
シロキサン55部に、炭酸カルシウム45部を均一に混
合してベースコンパウンドを製造した。ついで、該ベー
スコンパウンド100部に、メチルトリメトキシシラン
3部、チタンジイソプロポキサイドビス(エチルアセト
アセテート)2.5部を配合して湿分遮断、減圧下で1
5分間撹拌してRTVシロキサン組成物を調製した(組
成物5)。次に得られた未硬化物100gを容積5lの
容器に入れ、図1に示した可変定電圧電源(2.0V−
150mA)によるマイクロモーター(M)の実装試験
をを行い、このモーターの波形をシンクロスコープを用
いて観察した。波形が異常となった時点で接点不良にな
ったものとして、これらの組成物についての接点不良の
発生を調べたところ、表1に示した通りの結果が得られ
た。また参考のため、重合度3〜20の低分子シロキサ
ンの含有量が0.5重量%である両末端ヒドロキシポリ
ジメチルシロキサンを使用した以外は同様にしてRTV
シロキサン組成物を調製し、接点不良の発生を調べたと
ころ、3個ともモーターがストップした。
【0031】つぎに、各組成物を厚さ2mmのシート状
に押し出し、20℃・55%RHの空気に曝したとこ
ろ、組成物1は25分間で、組成物2は5分間で、組成
物3は25分間で、組成物4は5分間で、組成物5は2
0分間で指触乾燥した。該シートを同じ雰囲気下に7日
間放置して得た硬化物の物性を表2〜6に示す。また、
上記の組成物を密閉容器に入れて、70℃の温度で7日
間放置したもの、及び20℃で6ヵ月間放置したものか
ら作った厚さ2mmのシートについての物性も表2〜6
に示す。
【0032】表2〜6の結果から、本発明の組成物は保
存安定性に優れ、また保存後に硬化して得られる硬化物
は、各種物性に優れていることが確認された。さらに、
接着特性をJIS A 5758に準ずる試験方法で確認
したところ、表7に示すように、実施例1、2で製造し
た組成物1〜4はいずれも比較例の組成物5より優れて
いることが確認された。また組成物1及び5の硬化物
(20℃55%RH×7日)の抽出水について、pHの測
定を行った。その結果、表8に示すように、カオリンク
レーを使用した組成物1の硬化物のpHは弱酸性、炭酸カ
ルシウムを使用した組成物5の硬化物のpHは弱アルカリ
性であった。硬化物のpHには充填材の影響が大きいこと
が確認された。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
【0038】
【表6】 (注)物性はJIS K 6301の方法に準じて測定
【0039】
【表7】 (注)凝集破壊率;シーリング自体の破壊、100%が
被着体表面に完全に残っていることを示す。
【0040】
【表8】 以上の実施例及び比較例の結果から、本発明のシリコー
ン組成物は保存安定性、接着特性に優れ、さらに、極め
て接点障害を起こし難いことが実証された。また、硬化
物に関しても充填材による影響が大きいpHの測定から、
塩基性物質が極めて少ないことが確認された。
【0041】
【発明の効果】本発明の組成物は、密封下では安定で、
空気中に曝したときは、その湿分によって速やかに硬化
してゴム弾性体となる。この組成物は、充填剤として、
酸性充填剤、特にカオリンクレーを用いたので、従来の
炭酸カルシウムを使用したシリコーン組成物に比べて、
保存安定性、接着特性に優れる上、塩基性物質の放出が
極めて少ないことから、接点障害を起こすことは殆どな
くなる。さらに硬化剤兼保存安定剤として高沸点α−シ
リルエステル化合物を配合すると、従来の低沸点シラン
化合物を用いたものに比べて、接点障害の発生がさらに
抑制される上、組成物の保存安定性、硬化性もいっそう
向上し、例えば6ヵ月間の貯蔵後も空気中に曝すと速や
かに硬化して、優れた物性を持つ硬化物を与える。
【0042】さらに、本発明の組成物は塩基性物質の放
出が極めて少なく、しかも硬化時に毒性あるいは腐食性
のガスを放出せず、また硬化処理面に錆を生じさせるこ
ともなく、更にこの硬化物は各種基材、特に金属面に良
く接着するので、特にクリーンルーム用シーリング材、
電気電子部品用材料(接着剤)として有用である他、各
種基材に対するシール剤、コーキング剤、被覆剤、離型
処理剤として、また繊維処理剤として、広い分野に有用
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で使用した、接点不良を試験するための
実装試験機の概略図である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4H017 AA04 AA27 AB15 AC01 AC05 AE03 AE05 4J002 CP051 CP061 CP121 DJ036 EX037 FB096 FD010 FD016 GJ02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)分子鎖末端が、水酸基、もしくは1
    〜3個のアルコキシ基またはビニロキシ基で封鎖された
    25℃における粘度が25cSt以上のジオルガノポリ
    シロキサン、および (B)酸性充填剤を含有してなるクリーンルーム用室温
    硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
  2. 【請求項2】(B)成分の酸性充填剤が、カオリンクレ
    ーである請求項1記載の室温硬化性オルガノポリシロキ
    サン組成物。
  3. 【請求項3】(B)成分の酸性充填剤が、表面処理され
    たカオリンクレーである請求項1又は2記載の室温硬化
    性オルガノポリシロキサン組成物。
  4. 【請求項4】(A)成分のジオルガノポリシロキサンの
    不純物としての重合度3〜20の環状及び直鎖状シロキ
    サンの含有量が0.1重量%以下である請求項1〜3の
    いずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組
    成物。
  5. 【請求項5】さらに下記(C)成分 (C)一般式(1): 【化1】 (式中、R1、R2はメチル基またはエチル基、R3、R4
    は各々、水素原子、または非置換または置換の一価炭化
    水素基であり、R5は炭素数6以上の非置換または置換
    の一価炭化水素基であり、aは0または1の整数であ
    る。)で示されるアルコキシ−α−シリルエステルを含
    有する請求項1〜4のいずれかに記載の室温硬化性オル
    ガノポリシロキサン組成物。
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