JP2000024472A - 熱溶融性フッ素樹脂中空糸およびその製造方法ならびにそれを用いた中空糸膜モジュール - Google Patents

熱溶融性フッ素樹脂中空糸およびその製造方法ならびにそれを用いた中空糸膜モジュール

Info

Publication number
JP2000024472A
JP2000024472A JP10208585A JP20858598A JP2000024472A JP 2000024472 A JP2000024472 A JP 2000024472A JP 10208585 A JP10208585 A JP 10208585A JP 20858598 A JP20858598 A JP 20858598A JP 2000024472 A JP2000024472 A JP 2000024472A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hollow fiber
heat
fluororesin
fusible
solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10208585A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4223098B2 (ja
Inventor
Takeshi Hoshiko
健 星子
Tomoe Arai
友恵 新井
Yoshiaki Ishibashi
喜昭 石橋
Sakuko Kaneda
佐久子 金田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Junkosha Co Ltd
Original Assignee
Junkosha Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Junkosha Co Ltd filed Critical Junkosha Co Ltd
Priority to JP20858598A priority Critical patent/JP4223098B2/ja
Publication of JP2000024472A publication Critical patent/JP2000024472A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4223098B2 publication Critical patent/JP4223098B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 耐薬品性、耐熱性に優れ、しかも良好な耐圧
性、気体透過性を有すると共に取扱性に優れた熱溶融性
フッ素樹脂中空糸とその製造方法を提供する。また、前
記熱溶融性フッ素樹脂中空糸を用いた中空糸膜モジュー
ルを提供する。 【解決手段】 心線上に熱溶融性フッ素樹脂からなる非
多孔質の内層を設け、さらに熱溶融性フッ素樹脂と溶剤
に可溶な樹脂からなる固形物を、熱溶融性フッ素樹脂の
融点以下の温度で内層上に被覆し、さらに被覆心線を熱
溶融性フッ素樹脂の融点以上の温度で加熱処理し、溶剤
に可溶な樹脂を溶剤で溶出除去し、心線を延伸して除去
する。また、熱溶融性フッ素樹脂中空糸の多孔質外層と
熱溶融性フッ素樹脂の封止材を溶融一体化させ、中空糸
膜モジュールの端部を封止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば脱気や除湿等の
目的で利用される気体透過膜に好適な熱溶融性フッ素樹
脂中空糸およびその製造方法ならびにそれを用いた中空
糸膜モジュールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、脱気モジュール用の膜として、ポ
リウレタン、ポリアミド、ポリメチルペンテンなどから
なる中空糸膜がよく知られているが、これらの樹脂から
なる中空糸は耐熱性および耐薬品性が充分ではなく、さ
らに耐圧性に関して充分な性能を有していなかった。
【0003】上記のような樹脂で作成された中空糸より
も優れた耐熱性および耐薬品性を有する中空糸として、
フッ素樹脂を用いた中空糸が提案されている。このよう
なフッ素樹脂を用いた中空糸の一つとしてポリフッ化ビ
ニリデン(PVdF)を用いたものが知られているが、
PVdFは他の熱溶融性フッ素樹脂、特にパーフルオロ
系の熱溶融性フッ素樹脂と比較すると耐熱性および耐薬
品性に欠けるため、PVdF製の中空糸は、例えば原液
が高い腐食性を有する場合あるいは高温である場合等の
さらに高い要求の用途には、充分な性能を有していない
という問題点がある。また上記PVdF製の中空糸を作
成する場合に用いられる相分離法は、PVdFの溶液を
紡糸用ノズル等の専用の口金から凝固液中に吐出させ溶
媒を除去して非対称膜を得る製造法であるが、PVdF
の溶液の調整や吐出条件の調整の作業が煩雑であるとい
う問題があった。
【0004】そのようなPVdF製の中空糸の問題点を
解消するために、耐熱性および耐薬品性がさらに優れ
た、代表的なフッ素樹脂であるポリテトラフルオロエチ
レン(PTFE)の延伸等により、中空糸の長さ方向に
延伸され多孔質化された中空糸膜も脱気モジュール用膜
として検討されている。しかし延伸PTFEの中空糸に
おいては液漏れなどの恐れがあった。また延伸PTFE
の中空糸はその延伸方向にはある程度の機械的強度を有
しているが、それ以外の方向の強度は弱く、更に加熱さ
れる場合には延伸方向に沿って収縮するという問題があ
った。
【0005】また、熱溶融性フッ素樹脂である、テトラ
フルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体
(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロア
ルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフル
オロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオ
ロアルキルビニルエーテル共重合体(EPA)、テトラ
フルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)等
に、可溶性の無機塩類を混合して、溶融混練後中空糸状
に押出成形した後に、無機塩類を抽出することによって
多孔質化された熱溶融性フッ素樹脂の中空糸も知られて
いる。しかしこの場合においても液漏れなどの恐れがあ
った。また、中空糸状に押出成形される際に樹脂が押出
方向に剪段力を受けるため、抽出後の多孔質中空糸は繊
維状になったものが融着した構造となっている。このた
め押出方向にはある程度の機械的強度を有しているが、
それ以外の方向の強度は弱く、さらに加熱される場合に
は押出方向に沿って収縮するという問題があった。
【0006】上記した耐熱性および耐薬品性の向上を図
り、加熱時における中空糸の延伸または押出方向に沿う
収縮の問題を解消し、さらに原液の液漏れの恐れを回避
するために、非多孔質のPTFE製の中空糸も提案され
ている。この非多孔質のPTFE製の中空糸の場合に
は、原液が高い腐食性を有する場合あるいは高温である
場合であっても液漏れの恐れなく脱気等に用いられ得
る。一般にPTFEは、溶融粘度が極めて高く通常の溶
融押出成形方法が適用できず、非孔質のPTFE製の中
空糸を製造するにはペースト押出法と呼ばれている成形
方法が適用される。しかし、ペースト押出による中空糸
成形では薄くても中空糸の壁は0.1mm程度までしか
成形できず、中空糸の分離性能は中空糸の材質とその壁
の厚さによるので、従来の非多孔質のPTFE製中空糸
では気体透過性能をこれ以上高くすることができないと
いう問題があった。それと共に、その厚さの中空糸はそ
の機械的強度あるいは耐圧性は充分とは言い難かった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は上記
の問題を解決するためになされたもので、その目的は、
耐薬品性、耐熱性に優れ、しかも良好な耐圧性、気体透
過性を有すると共に、取扱性に優れた熱溶融性フッ素樹
脂中空糸とその製造方法を提供することにある。また、
本発明の他の目的は熱溶融性フッ素樹脂中空糸を用いた
中空糸膜モジュールを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、本発明に係
わる熱溶融性フッ素樹脂中空糸とその製造方法によって
達成される。すなわち、要約すれば、本発明は、熱溶融
性フッ素樹脂からなる非多孔質の内層と、熱溶融性フッ
素樹脂の粒子が凝集、結合して形成された非繊維状の三
次元網目構造を有する多孔質の外層を有する熱溶融性フ
ッ素樹脂中空糸であって、また特に、前記内層および前
記外層の熱溶融性フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレ
ン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テ
トラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエ
ーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−
ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニ
ルエーテル共重合体(EPA)、テトラフルオロエチレ
ン−エチレン共重合体(ETFE)、から選ばれる熱溶
融性フッ素樹脂中空糸である。
【0009】また、心線上に、熱溶融性フッ素樹脂の内
層を被覆する工程と、熱溶融性フッ素樹脂と該熱溶融性
フッ素樹脂と親和性であって溶剤に可溶な樹脂とを混合
して固形物を形成し、得られた固形物を前記溶剤に可溶
な樹脂の融点以上であって熱溶融性フッ素樹脂の融点以
下の温度において、内層が形成された心線上に外層とし
て被覆する工程と、被覆された心線を該熱溶融性フッ素
樹脂の融点以上に加熱処理した後に前記溶剤に可溶な樹
脂を溶剤によって抽出除去し外層を多孔質化する工程
と、心線を延伸して除去する工程とからなる熱溶融性フ
ッ素樹脂中空糸の製造方法である。
【0010】また、前記内層および前記外層の熱溶融性
フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオ
ロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチ
レン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体
(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロ
プロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重
合体(EPA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共
重合体(ETFE)、から選ばれるフッ素樹脂であり、
前記溶剤に可溶な樹脂がフッ素樹脂である前記熱溶融性
フッ素樹脂中空糸の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】図面を参照して、本発明を説明す
る。本発明の熱溶融性フッ素樹脂中空糸1は、例えば図
1に示すように、層の厚さが非常に薄い熱溶融性フッ素
樹脂からなる非多孔質の内層2と、この内層2の外周面
上に設けられる比較的層の厚さが厚い多孔質の熱溶融性
フッ素樹脂からなる外層3から構成されている。
【0012】本発明の熱溶融性フッ素樹脂中空糸1の内
層2は、熱溶融性フッ素樹脂からなる非多孔質の均質な
層であり気体透過膜として作用する。この内層2は、厚
さが5〜40μmであることが好ましく、10〜25μ
mであることがより好ましい。5μm未満では、機械的
物性の低下が著しくなるため好ましくない。40μm以
上では、気体透過性が低すぎるので好ましくない。
【0013】本発明の熱溶融性フッ素樹脂中空糸1の外
層3は、後述するような方法により、図1に示すように
内層2の外周面上に設けられ、熱溶融性フッ素樹脂の粒
子が凝集、結合して形成された非繊維状の三次元網目構
造を有する多孔質の均質な層であり、外層3は内層2の
機械的特性を補う支持層として機能する。外層3は、多
孔質の空孔率が30〜80%であることが好ましく、5
0〜70%であることがより好ましい。厚さは50〜4
00μmであることが好ましく、100〜300μmで
あることがより好ましい。空孔率が80%以上、厚さが
50μm未満では、機械的物性の低下が著しくなるため
好ましくない。空孔率が30%以下では、気体透過性に
影響を与えるので好ましくなく、厚さが400μm以上
では、中空糸の外径が大きくなり、モジュールの総膜面
積を高くできないので好ましくない。この外層3は、三
次元網目構造の多孔質体であり、押出方向等の特定の方
向に配向してはおらず、均質であり、いずれの方向にも
機械的強度は均一である。また、外層用材料として利用
されている熱溶融性フッ素樹脂に対応する高い連続使用
温度においても寸法安定性に優れている。
【0014】なお、本発明の熱溶融性フッ素樹脂中空糸
1の内層2、外層3の材質としては、耐薬品性、耐熱性
にすぐれた熱溶融性フッ素樹脂、具体的には、テトラフ
ルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体
(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロア
ルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフル
オロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオ
ロアルキルビニルエーテル共重合体(EPA)、テトラ
フルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)が挙
げられる。内層2、外層3は、共に同じ種類の熱溶融性
フッ素樹脂を利用することができ、また異なる種類の熱
溶融性フッ素樹脂を利用することもできる。
【0015】次に本発明の熱溶融性フッ素樹脂中空糸1
の製造方法について説明する。図2に示すように、ま
ず、内層2の材質として挙げられた熱溶融性フッ素樹脂
から選ばれた熱溶融性フッ素樹脂を、心線4上に押出機
により例えば、5〜40μmの厚さで電線被覆等に用い
られている一軸押出機等を利用して押出被覆し内層2を
設ける。押出成形は熱溶融性フッ素樹脂の種類に従った
押出成形条件を設定して行うことができる。
【0016】次いで、外層3の材質として挙げられた熱
溶融性フッ素樹脂から選ばれた熱溶融性フッ素樹脂と、
この熱溶融性フッ素樹脂と親和性であって溶剤に可溶な
樹脂とを混合して、後に詳述する固形物を形成する。得
られた固形物を、溶剤に可溶な樹脂の融点以上であって
熱溶融性フッ素樹脂の融点以下の温度において、内層2
が形成された心線4上に、例えば50〜400μmの厚
さで、電線被覆等に用いられている一軸押出機等を利用
して、押出被覆し被覆層5を設ける。これにより被覆層
5においては、溶剤に可溶な樹脂中に熱溶融性フッ素樹
脂の粒子が分散した状態となっている。次いで、内層2
と被覆層5が形成された心線4を、熱溶融性フッ素樹脂
の融点以上に加熱処理する。加熱処理は、被覆層5を設
けた被覆された心線4を、熱溶融性フッ素樹脂の融点よ
り20℃以上高い温度で、20〜30秒間電気炉等に通
すことにより行うことができる。加熱状態において、被
覆層5の溶剤に可溶な樹脂と熱溶融性フッ素樹脂は親和
性があるが互いに相溶することはないので、溶融してい
る溶媒に可溶な樹脂の中で、分散している熱溶融性フッ
素樹脂の溶融した粒子どうしが凝集して三次元的に結合
する。加熱処理後被覆された心線4を室温まで冷却する
と、被覆層5において加熱時に形成された熱溶融性フッ
素樹脂の三次元的結合が固定される。次いで、被覆心線
4を溶剤中に浸漬して、溶剤に可溶な樹脂を溶出除去す
ることにより被覆層5を多孔質化する。溶剤に可溶な樹
脂の溶出除去は、被覆心線4を室温から60℃の範囲の
温度にした溶剤に可溶な樹脂の種類に応じて選ばれる溶
剤中に浸漬して行うことができる。浸漬後は溶剤の種類
に応じて被覆心線4を乾燥することが好ましい。これに
より、熱溶融性フッ素樹脂の粒子が凝集、結合して形成
された非繊維状の三次元網目構造を有する多孔質の外層
3を、前述したように内層2の外周面上に設けることが
できる。さらに、心線4のみを延伸して径を減少させ心
線4を除去し、熱溶融性フッ素樹脂中空糸1を得ること
ができる。
【0017】本発明に用いることができる溶剤に可溶な
樹脂としては、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリ
デン共重合体、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリ
デン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化
ビニリデンが利用できる。また、これに対応する抽出除
去用の溶剤としては、ポリフッ化ビニリデンには、N−
メチルピロリドン(NMP)、その他の樹脂について
は、アセトン、NMPを挙げることができる。好ましく
は、熱溶融性フッ素樹脂との融点の差が100℃以上あ
るものを利用することが望ましい。
【0018】本発明において、被覆層5に用いられる前
述した固形物を形成するには、熱溶融性フッ素樹脂の水
性ディスパージョンと溶剤に可溶な樹脂の有機溶液とを
混合し、ゲル化させたのち、固形分を取り出し乾燥させ
たものを利用することができる。また、熱溶融性フッ素
樹脂の粉末と溶剤に可溶な樹脂の粉末を混合したものも
利用することができる。熱溶融性フッ素樹脂と親和性で
あって溶剤に可溶な樹脂とを混合した固形物を、溶剤に
可溶な樹脂の融点以上であって熱溶融性フッ素樹脂の融
点以下の温度において、二軸押出機等の溶融混練装置に
より混練しペレット状にすることが、内層2の外周面に
固形物を押出被覆するうえで好ましい。また、それぞれ
の樹脂の混合の割合を調節することにより、外層3の空
孔率を変化させることができる。熱溶融性フッ素樹脂と
溶剤に可溶な樹脂との割合は、固形物においてこれらの
樹脂の体積比が20:80〜70:30、特に40:6
0となるようにすることが好ましい。
【0019】本発明を利用して、上述した実施例とは逆
の中空糸の外表面から気体を透過させる別のタイプの脱
気モジュール用中空糸を提供することができる。この場
合は、前記の製造工程を入れ換えることで容易に中空糸
を製造することができる。すなわち、心線上に、熱溶融
性フッ素樹脂とこの熱溶融性フッ素樹脂と親和性であっ
て溶剤に可溶な樹脂とを混合して固形物を形成し、得ら
れた固形物を溶剤に可溶な樹脂の融点以上であって熱溶
融性フッ素樹脂の融点以下の温度において被覆する工程
と、被覆された心線を熱溶融性フッ素樹脂の融点以上に
加熱処理した後に溶剤に可溶な樹脂を溶剤によって溶出
除去し多孔質化する工程と、被覆された層が多孔質化さ
れた心線に熱溶融性フッ素樹脂の非多孔質の外層を被覆
する工程と、心線を延伸して除去する工程とからなる製
造方法により、内層が多孔質層、外層が非多孔層の二層
の熱溶融性フッ素樹脂中空糸を得ることができる。
【0020】次いで、本発明の熱溶融性フッ素樹脂中空
糸を用いた中空糸膜モジュールについて説明する。これ
まで、ペースト押出のPTFE製の中空糸を用いた膜モ
ジュールにおいては、PTFEのもつ非粘着性のため
に、親水化処理などの表面処理を行わなければ、エポキ
シ樹脂等の通常の封止用材料を利用して端部を封止する
ことはできなかった。また、そのような封止用材料を利
用する場合は、原液が腐食性の高いあるいは高温の用途
にはPTFE製の中空糸を用いた膜モジュールを利用で
きなかった。また、これまでの延伸PTFEの中空糸を
用いた膜モジュールにおいては、多孔質部分を封止して
集束させることが、封止材の選択や完全な封止の点で困
難であった。しかし本発明の熱溶融性フッ素樹脂中空糸
を用いた中空糸膜モジュールにおいては、中空糸が熱溶
融性フッ素樹脂からなり多孔質の外層を有しているの
で、封止材として中空糸と同じ材料である熱溶融性フッ
素樹脂を利用でき、その結果中空糸の多孔質外層を熱溶
融によって非多孔質化し、端部封止用材料、例えば熱収
縮チューブ等と溶融一体化させ、端部をハニカム構造と
することができ、完全な封止が実現する。さらに、この
ような中空糸膜モジュールを用いた場合には、原液が接
する面はすべて熱溶融性フッ素樹脂であるので、原液が
腐食性の高いあるいは高温の場合でも耐熱性および耐薬
品性に優れた膜モジュールとすることができる。
【0021】
【実施例】以下に実施例をあげて、この発明を説明す
る。 実施例1 心線として外径0.5mm(ミリメートル)の銅線に、
テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニル
エーテル共重合体(PFA)(ダイキン工業、ネオフロ
ンAP−210)のペレットを用いて20μm(マイク
ロメートル)の厚さに押出被覆した。PFAの水性ディ
スパージョン(ダイニオン、PFAX6910N、固形
分23重量%)5657gとテトラフルオロエチレン−
フッ化ビニリデン共重合体(ダイキン工業,ネオフロン
VDF)の25重量%アセトン溶液6292gとを室温
で混合しゲル化させ、固形分を取り出し乾燥させた。固
形分を二軸押出機で、ダイ温度160℃でペレットにし
た。このペレットをPFA被覆心線に、一軸押出機で、
ダイ温度190℃で200μmの厚さに押出被覆した。
この被覆心線を、320℃に設定された電気炉に20秒
間加熱されるように通した。得られた被覆心線を、アセ
トン中に12時間浸漬して、テトラフルオロエチレン−
フッ化ビニリデン共重合体を溶出除去した。心線を延
伸、除去し、PFA中空糸を得た。このPFA中空糸の
内径は0.5mm、外径は0.94mmであった。
【0022】得られたPFAの中空糸の耐圧性を、次に
示す測定方法で測定した。すなわち、中空糸の片端を接
着剤で封止し、もう一方の片端を評価用コネクタにエポ
キシ系の接着剤で固定し、コネクタに装着した側から水
を通しておき、徐々に水圧を上げ中空糸が破壊したとき
の水圧を破壊圧力として測定した。得られたPFAの中
空糸の破壊圧力は2.8MPa(メガパスカル)であっ
た。
【0023】得られたPFAの中空糸の脱気性能を次に
示す測定方法で測定した。すなわち、得られたPFAの
中空糸を用いて両端をエポキシ系の接着剤で固定し、中
空糸膜モジュール11を作成した。図3に示すように、
モジュール11の片端から25℃の溶存酸素濃度が8.
1ppm(ピーピーエム)の水をポンプ12で流量計1
3を見ながら200ml(ミリリットル)/分で圧送
し、中空糸膜内部に流した。同時に中空糸膜モジュール
11の容器に接続されている真空ポンプ14を作動さ
せ、モジュール内の中空糸外部空間を減圧し、圧力計1
5の表示に従い100torr(トル)に保った。そし
て中空糸膜モジュール11の流入後の水を溶存酸素濃度
測定器16に通し、脱気後の溶存酸素濃度を測定した。
総膜面積が0.33m2 (平方メートル)であるこのP
FA中空糸膜モジュールを通過した後の水の溶存酸素濃
度は5.4ppmであった。
【0024】比較例1 心線として外径0.5mmの銅線に、PFA(ダイキン
工業、ネオフロンAP−210)のペレットを用いて2
0μmの厚さに押出被覆した。心線を延伸し、除去し、
支持層のないPFA中空糸を得た。得られたPFAの中
空糸の耐圧性を、実施例1と同様の測定方法で測定しと
ころ、破壊圧力は1.6MPaであった。
【0025】比較例2 PTFE製中空糸を用いた膜モジュールを作成した。P
TFE製中空糸は内径0.9mm、厚さが125μmの
ものを用いた。実施例1と同様脱気性能を測定した。総
膜面積が1.25m2 であるこのPTFE製中空糸膜モ
ジュールを通過した後の水の溶存酸素濃度は4.6pp
mであった。
【0026】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の熱溶
融性フッ素樹脂中空糸はすべての材料がフッ素樹脂から
なるので、耐薬品性および耐熱性に優れている。また内
層の熱溶融性フッ素樹脂の厚さが薄いので良好な気体透
過性を有し、しかも機械的強度が均一で熱に対しても寸
法安定性の高い多孔質の外層を支持層としているので耐
圧性が高く、さらに多孔質の外層は内層の気体透過性に
何ら影響を及ぼさない。また、従来の中空糸と同様な外
径に仕上げることができるので、モジュール化の際作業
性を低下させることがない。本発明の熱溶融性フッ素樹
脂中空糸の製造方法によれば、溶融押出成形方法を利用
しているので、効率良く成形加工できる。さらに本発明
の熱溶融性フッ素樹脂中空糸を用いた中空糸膜モジュー
ルは原液が接する面はすべて熱溶融性フッ素樹脂からな
るので、耐薬品性および耐熱性に優れている。
【0027】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による熱溶融性フッ素樹脂中空糸の断面
説明図である。
【図2】本発明による熱溶融性フッ素樹脂中空糸の製造
方法の説明図である。
【図3】本発明に係る脱気性能測定方法の概略図であ
る。
【符号の説明】
1:熱溶融性フッ素樹脂中空糸 2:内層 3:外層 4:心線 5:被覆層 11:中空糸膜モジュール 12:ポンプ 13:流量計 14:真空ポンプ 15:圧力計 16:溶存酸素濃度測定器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 71/36 B01D 71/36 D01F 8/10 D01F 8/10 A // D01D 5/24 D01D 5/24 C (72)発明者 金田 佐久子 東京都世田谷区宮坂2丁目25番25号 株式 会社潤工社内 Fターム(参考) 4D006 GA32 HA01 MA01 MA24 MA28 MA31 MB03 MC28 MC30 4D011 AA08 4L041 AA27 BA02 BA03 BA05 BA21 BA42 BA46 BA57 BC20 BD06 CA02 CA47 DD01 DD11 DD14 DD18 EE16 EE20 4L045 AA05 BA02 BA18 BA24 BA51 BA54 BA60

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱溶融性フッ素樹脂からなる非多孔質の内
    層と、熱溶融性フッ素樹脂の粒子が凝集、結合して形成
    された非繊維状の三次元網目構造を有する多孔質の外層
    を有する熱溶融性フッ素樹脂中空糸。
  2. 【請求項2】前記内層および前記外層の熱溶融性フッ素
    樹脂が、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロ
    ピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−
    パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PF
    A)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピ
    レン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体
    (EPA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合
    体(ETFE)、から選ばれる請求項1に記載の熱溶融
    性フッ素樹脂中空糸。
  3. 【請求項3】熱溶融性フッ素樹脂中空糸の製造方法にお
    いて、心線上に、熱溶融性フッ素樹脂の内層を被覆する
    工程と、熱溶融性フッ素樹脂と該熱溶融性フッ素樹脂と
    親和性であって溶剤に可溶な樹脂とを混合して固形物を
    形成し、得られた固形物を前記溶剤に可溶な樹脂の融点
    以上であって熱溶融性フッ素樹脂の融点以下の温度にお
    いて、内層が形成された心線上に外層として被覆する工
    程と、被覆された心線を該熱溶融性フッ素樹脂の融点以
    上に加熱処理した後に前記溶剤に可溶な樹脂を溶剤によ
    って抽出除去し外層を多孔質化する工程と、心線を延伸
    して除去する工程とからなる熱溶融性フッ素樹脂中空糸
    の製造方法。
  4. 【請求項4】前記内層および前記外層の熱溶融性フッ素
    樹脂が、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロ
    ピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−
    パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PF
    A)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピ
    レン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体
    (EPA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合
    体(ETFE)、から選ばれるフッ素樹脂であり、前記
    溶剤に可溶な樹脂がフッ素樹脂である請求項3に記載の
    熱溶融性フッ素樹脂中空糸の製造方法。
  5. 【請求項5】複数本の集束された中空糸の少なくとも片
    方の端部を封止材を用いてハウジングに封止してなる中
    空糸膜モジュールにおいて、請求項1に記載の熱溶融性
    フッ素樹脂中空糸を複数本用い、前記ハウジング内にお
    いて、これらの中空糸の多孔質外層を、熱溶融性フッ素
    樹脂の端部封止用材料と溶融一体化させると共に、熱溶
    融によって非多孔質化させ、端部をハニカム構造とした
    ことを特徴とする中空糸膜モジュール。
JP20858598A 1998-07-08 1998-07-08 熱溶融性フッ素樹脂中空糸およびその製造方法ならびにそれを用いた中空糸膜モジュール Expired - Fee Related JP4223098B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20858598A JP4223098B2 (ja) 1998-07-08 1998-07-08 熱溶融性フッ素樹脂中空糸およびその製造方法ならびにそれを用いた中空糸膜モジュール

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20858598A JP4223098B2 (ja) 1998-07-08 1998-07-08 熱溶融性フッ素樹脂中空糸およびその製造方法ならびにそれを用いた中空糸膜モジュール

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000024472A true JP2000024472A (ja) 2000-01-25
JP4223098B2 JP4223098B2 (ja) 2009-02-12

Family

ID=16558633

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20858598A Expired - Fee Related JP4223098B2 (ja) 1998-07-08 1998-07-08 熱溶融性フッ素樹脂中空糸およびその製造方法ならびにそれを用いた中空糸膜モジュール

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4223098B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016030232A (ja) * 2014-07-29 2016-03-07 オルガノ株式会社 有機溶剤精製システム及び方法
CN114832650A (zh) * 2022-04-27 2022-08-02 安徽科纳诺膜科技有限公司 一种复合型聚四氟乙烯中空纤维膜的制备方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016030232A (ja) * 2014-07-29 2016-03-07 オルガノ株式会社 有機溶剤精製システム及び方法
CN114832650A (zh) * 2022-04-27 2022-08-02 安徽科纳诺膜科技有限公司 一种复合型聚四氟乙烯中空纤维膜的制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4223098B2 (ja) 2009-02-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO1989000879A1 (en) Porous polymetrafluoroethylene membrane, separating apparatus using same, and process for their production
US9248412B2 (en) Fluoropolymer hollow fiber membrane with fluoro-copolymer and fluoro-terpolymer bonded end portion(s) and method to fabricate
KR0150640B1 (ko) 다층 폴리테트라플루오로에틸렌 다공막의 제조방법
CN1023297C (zh) 半渗透膜装置的管板
CN102481528B (zh) 氟类中空纤维膜及其制备方法
JP3099416B2 (ja) 非対称孔径ポリテトラフルオロエチレン多孔膜の製造方法
WO2015146469A1 (ja) 中空糸膜、及び中空糸膜の製造方法
JP5329730B2 (ja) ペル弗化熱可塑性フィルタカートリッジ
JP7290209B2 (ja) 中空糸膜及び中空糸膜モジュール
JP4781691B2 (ja) 多孔質膜およびその製造方法
JP2000024472A (ja) 熱溶融性フッ素樹脂中空糸およびその製造方法ならびにそれを用いた中空糸膜モジュール
KR101453801B1 (ko) 다층 ptfe 중공형 막증류 분리막 및 그 제조방법
TW201707775A (zh) 摻合灌封樹脂及其用途
JP2009165913A (ja) 分離膜エレメント、分離膜モジュール及び分離膜エレメントの製造方法
JPS59199001A (ja) 気体分離用複合膜及びその製造方法
JP3214222B2 (ja) チューブ状多孔質複合物及びその製造方法
JP2000033245A (ja) フッ素樹脂複合膜及びその製造方法
JP3077260B2 (ja) 中空糸状多孔質分離膜エレメントおよびその製造方法
CN111655358A (zh) 基于氟的树脂多孔膜及其制备方法
JPH10266014A (ja) フッ素樹脂中空糸の製造方法
JPH10202074A (ja) 非対称構造フッ素樹脂チューブ及びこのチューブの製造法及びこのチューブを用いた脱気方法及び脱気装置
JP7351822B2 (ja) 中空糸膜、及び中空糸膜の製造方法
JP3521364B2 (ja) 脱気装置及び脱気方法
JPH03106422A (ja) 流体分離モジュール及びその製造方法
JPH10266015A (ja) フッ素樹脂多孔質中空糸の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050526

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070412

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080507

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20080707

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20080710

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080718

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081118

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081119

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111128

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121128

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131128

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees