JP2000021241A - 絶縁膜、電子源および画像形成装置の製造方法 - Google Patents

絶縁膜、電子源および画像形成装置の製造方法

Info

Publication number
JP2000021241A
JP2000021241A JP18797998A JP18797998A JP2000021241A JP 2000021241 A JP2000021241 A JP 2000021241A JP 18797998 A JP18797998 A JP 18797998A JP 18797998 A JP18797998 A JP 18797998A JP 2000021241 A JP2000021241 A JP 2000021241A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron
film
voltage
insulating film
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP18797998A
Other languages
English (en)
Inventor
Masako Midorikawa
理子 緑川
Nobuyuki Ishikawa
信行 石川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP18797998A priority Critical patent/JP2000021241A/ja
Publication of JP2000021241A publication Critical patent/JP2000021241A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Formation Of Insulating Films (AREA)
  • Organic Insulating Materials (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 緻密で、絶縁特性の良好な絶縁膜のパターン
を容易に形成できるようにする。 【解決手段】 ゾルゲル液13をマイクロカプセル15
に内包させてビヒクル14に分散させた絶縁材料溶液
を、印刷プロセスにより塗布した後、該ビヒクル14の
沸点以上の温度で焼成することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気回路等の基板
上に絶縁層を形成する絶縁膜製造方法、及び該製造方法
の応用である電子源及び該電子源を用いて構成した表示
装置や露光装置等の画像形成装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、基板上に絶縁膜を形成する場合、
ガラスペーストを用いたスクリーン印刷法、CVD法、
LPD法、ゾルゲル法を用いた各種コーティング等によ
って行っていた。
【0003】印刷法は、市販のガラスペースト(例:ノ
リタケカンパニーリミテッド)をスクリーン印刷法など
の手法により基板上に塗布し、600℃前後で焼成する
ことにより成膜する。かかる方法によって形成される絶
縁膜は、膜厚が20〜50μm程度、比誘電率が10〜
30程度となる。
【0004】CVD法では、高減圧下に基板を置きシラ
ン系ガスの蒸着、まやはアルゴン、ヘリウム、酸素等の
キャリアガスによるシリコンの酸化により、膜厚1μm
程度までのSiO2 膜を形成することができる。
【0005】LPD法では、ケイフッ化水素酸水溶液に
低温でSiO2 を溶かして過飽和溶液とし、基板を該溶
液に浸漬した状態で、30〜40℃程度に温め基板上に
SiO2 を析出させる(温度法)か、アルミニウム・水
・ほう酸を加えることにより化学平衡をずらして、基板
上にSiO2 を析出させて成膜する。
【0006】ゾルゲル法では、市販のゾルゲル液(例:
日本曹達(株)/アトロン、東芝シリコーン(株)/ト
スガード)あるいはテトラエトキシシラン等のシラン化
合物をエタノール等の適当な溶液に溶かした調製品等を
ディップ、スプレーまたはスピンコーティング等の手法
を用いて基板上に塗布し、300〜500℃程度で焼成
することにより、成膜する。かかる方法によって形成さ
れる絶縁膜は、膜厚が厚いもので数μm程度まで、比誘
電率は3〜15程度となる。
【0007】また、従来、画像形成装置の電子ビーム源
として用いることができる電子放出素子には、大別して
熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子の2種類が知られ
ている。冷陰極電子放出素子には電界放出型(以下、
「FE型」と称す。)、金属/絶縁層/金属型(以下、
「MIM型」と称す。)や表面伝導型電子放出素子等が
有る。
【0008】表面伝導型電子放出素子は、絶縁性基板上
に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流す
ことにより、電子放出が生ずる現象を利用するものであ
る。この表面伝導型電子放出素子としては、エリンソン
等によるSnO2 薄膜を用いたもの[M.I. Eli
nson, Radio Eng. Electron
Phys., 10,1290(1965)]、Au
薄膜によるもの[G.Dittmer:“Thin S
olid Films”, 9,317(197
2)]、In23 /SnO2 薄膜によるもの[M.H
artwell and C.G. Fonstad:
“IEEE Trans. ED Conf.”, 5
19(1975)]、カーボン薄膜によるもの[荒木久
他:真空、第26巻、第1号、22頁(1983)]
等が報告されている。
【0009】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な例として、前述のM.ハートウェルの素子構成を図2
3に模式的に示す。同図において1は基板である。4は
導電性膜で、H型形状のパターンに形成された金属酸化
物薄膜等からなり、後述の通電フォーミングと呼ばれる
通電処理により電子放出部5が形成される。尚、図中の
素子電極間隔Lは、0.5〜1mm、W’は、0.1m
mで設定されている。
【0010】これらの表面伝導型電子放出素子において
は、電子放出を行う前に導電性膜4を予め通電フォーミ
ングと呼ばれる通電処理によって電子放出部5を形成す
るのが一般的である。即ち、通電フォーミングとは、前
記導電性膜4の両端に電圧を印加通電し、導電性膜4を
局所的に破壊、変形もしくは変質させて構造を変化さ
せ、電気的に高抵抗な状態の電子放出部5を形成する処
理である。尚、電子放出部5では導電性膜4の一部に亀
裂が発生しており、その亀裂付近から電子放出が行われ
る。
【0011】上述の表面伝導型電子放出素子は、構造が
単純であることから、大面積に亙って多数素子を配列形
成できる利点がある。そこで、この特徴を活かすための
種々の応用が研究されている。例えば、荷電ビーム源、
表示装置等の画像形成装置への利用が挙げられる。
【0012】従来、多数の表面伝導型電子放出素子を配
列形成した例としては、並列に表面伝導型電子放出素子
を配列し、個々の表面伝導型電子放出素子の両端(両素
子電極)を配線(共通配線とも呼ぶ)にて夫々結線した
行を多数行配列(梯子型配置とも呼ぶ)した電子源が挙
げられる(例えば、特開昭64−31332号公報、特
開平1−283749号公報、同2−257552号公
報)。
【0013】また、特に表示装置においては、液晶を用
いた表示装置と同様の平板型表示装置とすることが可能
で、しかもバックライトが不要な自発光型の表示装置と
して、表面伝導型電子放出素子を多数配置した電子源
と、この電子源からの電子線の照射により可視光を発光
する蛍光体とを組み合わせた表示装置が提案されている
(アメリカ特許第5066883号明細書)。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の絶縁膜形成技術には、それぞれ以下に記すような問
題点を有している。
【0015】すなわち、印刷法では、ガラスペーストを
用いるため膜厚が数十μm以上の厚いものしか形成でき
ず、また、PdO等の成分が多いため比誘電率が大きく
なり、絶縁特性が悪くなるという欠点があった。
【0016】また、CVDでは、高真空を必要とするた
めスループットが長く、基板の大面積化が困難であると
いう欠点があった。
【0017】また、LPD法では成膜スピードが非常に
遅く、膜の厚みに比例してスループットが非常に長くな
るといった欠点があった。
【0018】また、ゾルゲル法では、液の粘度が低いた
め、ディップ、スピン、スプレー等の手法でせいぜい1
μm程度の膜厚のベタ膜を成膜した後、フォトリソエッ
チング等の手法によって、パターン形成するという工程
を必要とした。
【0019】本発明は、上記問題点に鑑み、各種基板上
に絶縁特性の良好な絶縁膜を必要な形状に容易に形成す
ることが可能な絶縁膜の製造方法の提供を目的とする。
【0020】また、本発明の別の目的は、特に基板上に
複数の表面伝導型電子放出素子を配線した電子源におけ
る層間絶縁層として、絶縁特性の良好な絶縁膜を容易に
形成できるようにすること、また、かかる電子源を用い
て構成した表示装置や露光装置等の画像形成装置の製造
方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
成された本発明の構成は、以下の通りである。
【0022】即ち、本発明の第1は、ゾルゲル液と増粘
剤を含有する絶縁材料溶液を、印刷プロセスにより塗布
する工程と、焼成工程を有することを特徴とする絶縁膜
の製造方法にある。
【0023】上記本発明の第1は、さらにその特徴とし
て、「前記増粘剤が、固体物または粘性液体である」こ
と、「前記増粘剤が、ビヒクルである」こと、「前記絶
縁材料溶液として、前記ゾルゲル液をマイクロカプセル
に内包させて前記ビヒクルに分散させた溶液を用いる」
こと、「前記焼成工程における焼成温度を、前記ビヒク
ルの沸点以上の温度に設定する」こと、「前記印刷プロ
セスがオフセット印刷プロセスである」こと、を含む。
【0024】また、本発明の第2は、基板上に、一対の
素子電極間に跨がる導電性膜に電子放出部を有する電子
放出素子が複数設けられ、該複数の電子放出素子がマト
リクス状に配線された電子源の製造方法において、該マ
トリクス配線間を絶縁する層間絶縁膜を、上記本発明の
第1の方法により製造することを特徴とする電子源の製
造方法にある。
【0025】また、本発明の第3は、基板上に一対の素
子電極間に跨がる導電性膜に電子放出部を有する電子放
出素子が複数設けられ、該複数の電子放出素子がマトリ
クス状に配線された電子源と、該電子源から放出される
電子線の照射により画像を形成する画像形成部材を有す
る画像形成装置の製造方法において、該電子源を上記本
発明の第2の方法により製造することを特徴とする画像
形成装置の製造方法にある。
【0026】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態を図面を
参照して詳細に説明する。
【0027】図1は、本発明により基板上に塗布された
絶縁膜を模式的に示したものである。図1において、1
1は基板、12は絶縁膜である。
【0028】本発明の絶縁膜の製造方法においては、絶
縁膜12の形成材料としてゾルゲル液と増粘剤を含有す
る絶縁材料溶液を用いる。
【0029】ゾルゲル液としては、焼成によって絶縁性
の膜を形成するようなものであれば特に限定されるもの
ではない。具体的には、例えばSi(OC254
の金属アルコキシドにエタノール等のアルコールを添加
して混合溶液とし、これに水及び触媒としての酸・アル
カリを加えたものを攪拌して加水分解・重縮合させてゾ
ルとしたものを用いることができる。また、アルミニウ
ムのキレート塩や、有機アルカリ金属塩または有機アル
カリ土類金属塩等を含有する組成物等で、焼成後に絶縁
性酸化物となる様々なゾルが、それぞれ単体または混合
された状態で好適に用いられる。または市販のゾルゲル
液(例えば、日本曹達(株)製/アトロン、東芝シリコ
ーン(株)製/トスガード)等を用いることもできる。
【0030】上記のゾルゲル液には適当な増粘剤が加え
られて、採用する印刷方法に見合った粘性をもつように
絶縁材料溶液が調製される。この増粘剤としては、例え
ば2−エチルヘキサノール、エチレングリコールモノフ
ェニルエーテル等や、液状高分子など粘ちょうな液体、
あるいはコロイダルシリカ、アセトアミド、アセトトル
イド、アセチルピロール、クロロアセトアミドや様々な
固体物等であって、前記ゾルゲル液に安定に溶解または
分散し且つ混合液が適当な粘性を生じるようなものであ
れば特に限定されない。
【0031】上記の増粘剤は、採用する印刷方法に適し
たいわゆるビヒクルであってもよい。図2は、ビヒクル
中にゾルゲル液を分散させた絶縁材料溶液を用いて印刷
した模式図である。図2において、11は基板、12は
絶縁膜、13は分散しているゾルゲル液、14はビヒク
ルである。
【0032】ビヒクル14としては、採用する印刷方法
に適した物性を生じる組成となれば、いかなる成分を使
用しても構わない。通常、ビヒクル14には油、樹脂、
溶剤、可塑剤等が含まれており、本発明においてはゾル
ゲル液13に印刷適性を発現させるために使用する。す
なわち、この目的のために、ビヒクル14の成分につい
てはゾルゲル液13の性質等を考慮して、適宜選択す
る。また、これらの成分は、印刷後、焼成中にはゾルゲ
ル液13の反応が充分進むまで、被印刷面に液を保持す
る機能を有している。そして、適当な温度で焼成する
と、図2(b)に示すように焼きしまったビヒクル部分
14とゾルゲル液の硬化部分13が混在する絶縁膜12
となる。
【0033】しかし、ビヒクル14はゾルゲル液13の
反応終了後も長い間被印刷面に留まっている必要はな
く、むしろ焼成中に徐々に蒸発または分解していくよう
な成分であることがより望ましい。すなわち、ビヒクル
14の成分を焼成しようとするプロセス温度より低い沸
点または分解点をもつもので構成すると、焼成中にビヒ
クル14は蒸発および分解し、ゾルゲル液13による緻
密な絶縁膜12が得られる(図2(c))。
【0034】ビヒクル14とゾルゲル液13は、印刷性
を満たし、かつ、一回の印刷による絶縁膜の厚みを充分
にするには、通常、ゾルゲル液が10重量%〜70重量
%程度となるように配合される。
【0035】また、印刷方法によっては、ゾルゲル液を
マイクロカプセルに内包させてビヒクルに分散させた絶
縁材料溶液を用いることができる。図3は、このような
絶縁材料溶液を用いて印刷した模式図である。図3にお
いて、11は基板、12は絶縁膜、13はゾルゲル液、
14はビヒクル、15はマイクロカプセル(マイクロカ
プセル膜材)である。
【0036】上記の場合、ビヒクル14は、ゾルゲル液
13を封入したマイクロカプセル15に流展性を与え
て、印刷適性を発現させるために使用する。すなわち、
この目的のためにビヒクル14等は適宜選ぶことができ
る。また、これらの成分は、印刷後、焼成中にはゾルゲ
ル液13の反応が充分進むまで、被印刷面にマイクロカ
プセル15を固着させる機能をも合わせ持つ。しかしな
がら、前述の通りビヒクル14はこの後も長い間被印刷
面に固着している必要はなく、焼成中に徐々に蒸発また
は分解していくような成分であることがより望ましい。
そのような成分が用いられることによって、焼成後の絶
縁膜はより均質なものとなり、膜質の良いものが得られ
る。
【0037】ゾルゲル液13のマイクロカプセル15へ
の封入方法としては、公知のマイクロカプセル製法のい
ずれを用いてもかまわない。
【0038】例えば、化学的製法としては界面重合法、
in site法、液中硬化被覆法などがあり、使用す
るゾルゲル液の溶剤成分や必要なマイクロカプセルの径
に応じて適宜選択される。そのほか、物理化学的製法
(コアセルベーション法等)、物理的製法等が知られて
いるが、適当な手法を用いてよい。
【0039】また、得られるマイクロカプセルの膜材
が、絶縁膜を焼成しようとする温度および時間におい
て、充分な耐熱性を有さないものであることが好まし
い。この場合、絶縁膜の焼成時にマイクロカプセルが適
当に壊れ、温度上昇に応じてゲル化の進行したゾルゲル
液が小規模に流出し、得られる絶縁膜のより一層の均一
化を助ける。
【0040】また、本発明で用いる絶縁材料溶液には、
市販の分散安定剤等を添加することもできる。
【0041】本発明による絶縁膜の製造方法を、ゾルゲ
ル液をマイクロカプセルに内包させてビヒクルに分散さ
せた絶縁材料溶液を用いる場合を例に挙げて、図3〜図
6を用いて簡単に説明する。
【0042】図3(a)は、上記絶縁材料溶液を印刷法
により塗布した状態を示す。この後の焼成工程におい
て、焼成温度がビヒクル14及びマイクロカプセル膜材
15の沸点に達しない場合、焼成後もビヒクル14及び
マイクロカプセル膜材15の成分が絶縁膜12中に殆ど
残存する(図3(b))。ビヒクル14の耐熱性がマイ
クロカプセル膜材15の耐熱性よりも低い場合、温度上
昇に伴い、絶縁材料溶液中よりビヒクル14が徐々に蒸
発する(図3(c))。
【0043】また、更に温度上昇してマイクロカプセル
膜材15の耐熱温度を超えるとカプセルが壊れる(図4
参照)。このとき、カプセルが壊れてもゾルゲル液13
が印刷部より広く流出することがないように、カプセル
の壊れる前にカプセル中でゾルゲル液のゲル化が充分に
進むように設定しておく。すなわち、焼成温度プロファ
イルを適度に設定する。
【0044】更に、カプセルの壊れる温度環境でそのま
ま保持するか、ゆっくりとした加熱を行うことにより、
ゲル化したゾルゲル液13は互いに境界をなくし(図5
参照)、またレベリングされ、より一層緻密な絶縁膜1
2が得られる(図6参照)。
【0045】なお、絶縁膜12を形成する基板11は、
一般的な基板が用いられ、ケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガ
ラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス等のガラス基板、ア
ルミナ等のセラミックス基板、金属、あるいはシリコン
等から、適宜選択される。
【0046】次に、上記本発明の絶縁膜の製造方法を、
電子源の層間絶縁層の形成に応用する場合について説明
する。
【0047】本発明が適用される電子源は、複数の表面
伝導型電子放出素子がマトリクス状に配線されているも
のである。
【0048】まず、表面伝導型電子放出素子の構成及び
製造方法について説明する。
【0049】図7は、表面伝導型電子放出素子の一構成
例を示す模式図であり、図7(a)は平面図、図7
(b)は縦断面図である。図7において、1は基板、2
と3は電極(素子電極)、4は導電性膜、5は電子放出
部である。
【0050】基板1としては、石英ガラス、Na等の不
純物含有量を減少させたガラス、青板ガラス、青板ガラ
スにスパッタ法等によりSiO2 を積層した積層体、ア
ルミナ等のセラミックス及びSi基板等を用いることが
できる。
【0051】対向する素子電極2,3の材料としては、
一般的な導体材料を用いることができる。
【0052】素子電極間隔L、素子電極長さW、導電性
膜4の形状等は、応用される形態等を考慮して、設計さ
れる。素子電極間隔Lは、好ましくは、数百nmから数
百μmの範囲とすることができ、より好ましくは、素子
電極間に印加する電圧等を考慮して数μmから数十μm
の範囲とすることができる。
【0053】素子電極長さWは、電極の抵抗値、電子放
出特性を考慮して、数μmから数百μmの範囲とするこ
とができる。素子電極2,3の膜厚dは、数十nmから
数μmの範囲とすることができる。
【0054】導電性膜4を構成する材料としては、例え
ばPd,Pt,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,
Cr,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pb等の金属、P
dO,SnO2 ,In23 ,PbO,Sb23 等の
酸化物導電体、HfB2 ,ZrB2 ,LaB6 ,CeB
6 ,YB4 ,GdB4 等の硼化物、TiC,ZrC,H
fC,TaC,SiC,WC等の炭化物、TiN,Zr
N,HfN等の窒化物、Si,Ge等の半導体、カーボ
ン等が挙げられる。
【0055】導電性膜4には、良好な電子放出特性を得
るために、微粒子で構成された微粒子膜を用いるのが好
ましい。その膜厚は、素子電極3へのステップカバレー
ジ、素子電極2,3間の抵抗値等を考慮して適宜設定さ
れるが、通常は、数Å〜数百nmの範囲とするのが好ま
しく、より好ましくは1nm〜50nmの範囲とするの
が良い。その抵抗値は、Rsが102 Ωから107 Ωの
値であるのが好ましい。なお、Rsは、幅がwで長さが
lの薄膜の長さ方向に測定した抵抗Rを、R=Rs(l
/w)と置いたときに現れる値である。
【0056】電子放出部5は、導電性膜4の一部に形成
された高抵抗の亀裂により構成され、導電性膜4の膜
厚、膜質、材料及び後述する通電フォーミング等の手法
等に依存したものとなる。電子放出部5の内部には、数
Åから数十nmの範囲の粒径の導電性微粒子が存在する
場合もある。この導電性微粒子は、導電性膜4を構成す
る材料の元素の一部、あるいは全ての元素を含有するも
のとなる。また、電子放出部5及びその近傍の導電性膜
4には、炭素及び炭素化合物を有することもできる。
【0057】上記の電子放出素子の製造方法としては様
々な方法があるが、その一例を図8に基づいて説明す
る。尚、図8においても図7に示した部位と同じ部位に
は図7に付した符号と同一の符号を付している。
【0058】1)基板1を洗剤、純水及び有機溶剤等を
用いて十分に洗浄し、真空蒸着法、スパッタ法等により
素子電極材料を堆積後、例えばフォトリソグラフィー技
術を用いて基板1上に素子電極2及び3を形成する(図
8(a))。
【0059】2)素子電極2,3を設けた基板1上に、
有機金属溶液を塗布して、有機金属膜を形成する。有機
金属溶液には、前述の導電性膜4の材料の金属を主元素
とする有機化合物の溶液を用いることができる。この有
機金属膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチング等
によりパターニングし、導電性膜4を形成する(図8
(b))。ここでは、有機金属溶液の塗布法を挙げて説
明したが、導電性膜4の形成法はこれに限られるもので
はなく、真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積法、
分散塗布法、ディッピング法、スピンナー法等を用いる
こともできる。
【0060】3)続いて、フォーミング工程を施す。こ
のフォーミング工程の方法の一例として通電処理による
方法を説明する。素子電極2,3間に、不図示の電源よ
り通電すると、導電性膜4の部位に、構造の変化した電
子放出部5が形成される(図8(c))。
【0061】通電フォーミングの電圧波形の例を図9に
示す。
【0062】電圧波形は、特にパルス波形が好ましい。
これにはパルス波高値を定電圧としたパルスを連続的に
印加する図9(a)に示した手法と、パルス波高値を増
加させながらパルスを印加する図9(b)に示した手法
がある。
【0063】まず、パルス波高値を定電圧とした場合に
ついて図9(a)で説明する。図9(a)におけるT1
及びT2 は電圧波形のパルス幅とパルス間隔である。三
角波の波高値(ピーク電圧)は、電子放出素子の形態に
応じて適宜選択される。このような条件のもと、例え
ば、数秒から数十分間電圧を印加する。パルス波形は、
三角波に限定されるものではなく、矩形波等の所望の波
形を採用することができる。
【0064】次に、パルス波高値を増加させながら電圧
パルスを印加する場合について図9(b)で説明する。
図9(b)におけるT1 及びT2 は、図9(a)に示し
たのと同様とすることができる。三角波の波高値(ピー
ク電圧)は、例えば0.1Vステップ程度づつ、増加さ
せることができる。
【0065】通電フォーミング処理の終了は、パルス間
隔T2 中に、導電性膜4を局所的に破壊,変形しない程
度の電圧を印加し、電流を測定して検知することができ
る。例えば0.1V程度の電圧印加により流れる電流を
測定し、抵抗値を求めて、1MΩ以上の抵抗を示した
時、通電フォーミングを終了させる。
【0066】4)フォーミング処理を施した素子には活
性化工程と呼ばれる処理を施すのが好ましい。活性化工
程は、例えば、有機物質のガスを含有する雰囲気下で、
通電フォーミングと同様に、素子電極2,3間にパルス
の印加を繰り返すことで行うことができ、この処理によ
り、素子電流If ,放出電流Ie が、著しく変化するよ
うになる。
【0067】活性化工程における有機物質のガスを含有
する雰囲気は、例えば油拡散ポンプやロータリーポンプ
などを用いて真空容器内を排気した場合に雰囲気内に残
留する有機ガスを利用して形成することができる他、オ
イルを使用しないイオンポンプなどにより一旦十分に排
気した真空中に適当な有機物質のガスを導入することに
よっても得られる。このときの好ましい有機物質のガス
圧は、前述の素子の形態、真空容器の形状や、有機物質
の種類などにより異なるため、場合に応じ適宜設定され
る。適当な有機物質としては、アルカン、アルケン、ア
ルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコ
ール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類、フェノー
ル、カルボン、スルホン酸等の有機酸類等を挙げること
が出来、具体的には、メタン、エタン、プロパンなどC
n2n+2で表される飽和炭化水素、エチレン、プロピレ
ンなどCn2n等の組成式で表される不飽和炭化水素、
ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、ホルム
アルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルアミン、エチルアミン、フェノール、
蟻酸、酢酸、プロピオン酸等が使用できる。
【0068】この活性化処理により、雰囲気中に存在す
る有機物質から、炭素あるいは炭素化合物が素子上に堆
積し、素子電流If ,放出電流Ie が、著しく変化する
ようになる。
【0069】炭素あるいは炭素化合物とは、例えばグラ
ファイト(いわゆるHOPG,PG,GCを包含するも
ので、HOPGはほぼ完全なグラファイト結晶構造、P
Gは結晶粒が20nm程度で結晶構造がやや乱れたも
の、GCは結晶粒が2nm程度になり結晶構造の乱れが
さらに大きくなったものを指す。)、非晶質カーボン
(アモルファスカーボン及び、アモルファスカーボンと
前記グラファイトの微結晶の混合物を指す。)であり、
その膜厚は、50nm以下の範囲とするのが好ましく、
30nm以下の範囲とすることがより好ましい。
【0070】活性化工程の終了判定は、素子電流If
放出電流Ie を測定しながら、適宜行うことができる。
【0071】5)このような工程を経て得られた電子放
出素子は、安定化工程を行うことが好ましい。この工程
は、真空容器内の有機物質を排気する工程である。真空
容器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオイ
ルが素子の特性に影響を与えないように、オイルを使用
しないものを用いるのが好ましい。具体的には、ソープ
ションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げる
ことが出来る。
【0072】前記活性化の工程で、排気装置として油拡
散ポンプやロータリーポンプを用い、これから発生する
オイル成分に由来する有機ガスを用いた場合には、この
成分の分圧を極力低く抑える必要がある。真空容器内の
有機成分の分圧は、上記炭素あるいは炭素化合物がほぼ
新たに堆積しない分圧で10-6Pa以下が好ましく、さ
らには10-8Pa以下が特に好ましい。さらに真空容器
内を排気するときには、真空容器全体を加熱して、真空
容器内壁や、電子放出素子に吸着した有機物質分子を排
気しやすくするのが好ましい。このときの加熱条件は、
80〜250℃好ましくは150℃以上で、できるだけ
長時間処理するのが望ましいが、特にこの条件に限るも
のではなく、真空容器の大きさや形状、電子放出素子の
構成などの諸条件により適宜選ばれる条件により行う。
真空容器内の圧力は極力低くすることが必要で、10-5
Pa以下が好ましく、さらには10-6Pa以下が特に好
ましい。
【0073】安定化工程を行った後の、駆動時の雰囲気
は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ま
しいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去
されていれば、圧力自体は多少上昇しても十分安定な特
性を維持することが出来る。このような真空雰囲気を採
用することにより、新たな炭素あるいは炭素化合物の堆
積を抑制でき、結果として素子電流If ,放出電流Ie
が、安定する。
【0074】上述した工程を経て得られた本発明を適用
可能な電子放出素子の基本特性について、図10及び図
11を参照しながら説明する。
【0075】図10は、真空処理装置の一例を示す模式
図であり、この真空処理装置は測定評価装置としての機
能をも兼ね備えている。図10においても、図7に示し
た部位と同じ部位には図7に付した符号と同一の符号を
付している。
【0076】図10において、55は真空容器であり、
56は排気ポンプである。真空容器55内には電子放出
素子が配されている。また、51は電子放出素子に素子
電圧Vfを印加するための電源、50は素子電極2,3
間を流れる素子電流If を測定するための電流計、54
は素子の電子放出部5より放出される放出電流Ie を捕
捉するためのアノード電極、53はアノード電極54に
電圧を印加するための高圧電源、52は電子放出部5よ
り放出される放出電流Ie を測定するための電流計であ
る。一例として、アノード電極54の電圧を1kV〜1
0kVの範囲とし、アノード電極54と電子放出素子と
の距離Hを2mm〜8mmの範囲として測定を行うこと
ができる。
【0077】真空容器55内には、不図示の真空計等の
真空雰囲気下での測定に必要な機器が設けられていて、
所望の真空雰囲気下での測定評価を行えるようになって
いる。
【0078】排気ポンプ56は、ターボポンプ、ロータ
リーポンプ等からなる通常の高真空装置系と、イオンポ
ンプ等からなる超高真空装置系とにより構成されてい
る。ここに示した電子放出素子基板を配した真空処理装
置の全体は、不図示のヒーターにより加熱できる。従っ
て、この真空処理装置を用いると、前述の通電フォーミ
ング以降の工程も行うことができる。
【0079】図11は、図10に示した真空処理装置を
用いて測定された放出電流Ie 及び素子電流If と、素
子電圧Vf との関係を模式的に示した図である。図11
においては、放出電流Ie が素子電流If に比べて著し
く小さいので、任意単位で示している。尚、縦・横軸と
もリニアスケールである。
【0080】図11からも明らかなように、本発明を適
用可能な電子放出素子は、放出電流Ie に関して次の3
つの特徴的性質を有する。
【0081】即ち、第1に、本素子はある電圧(閾値電
圧と呼ぶ;図11中のVth)以上の素子電圧を印加する
と急激に放出電流Ie が増加し、一方閾値電圧Vth以下
では放出電流Ie が殆ど検出されない。つまり、放出電
流Ie に対する明確な閾値電圧Vthを持った非線形素子
である。
【0082】第2に、放出電流Ie が素子電圧Vf に単
調増加依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vf で制
御できる。
【0083】第3に、アノード電極54(図10参照)
に捕捉される放出電荷は、素子電圧Vf を印加する時間
に依存する。つまり、アノード電極54に捕捉される電
荷量は、素子電圧Vf を印加する時間により制御でき
る。
【0084】以上の説明より理解されるように、本発明
を適用可能の電子放出素子は、入力信号に応じて、電子
放出特性を容易に制御できることになる。この性質を利
用すると複数の電子放出素子を配して構成した電子源、
画像形成装置等、多方面への応用が可能となる。
【0085】図11においては、素子電流If が素子電
圧Vf に対して単調増加する(MI特性)例を示した
が、素子電流If が素子電圧Vf に対して電圧制御型負
性抵抗特性(VCNR特性)を示す場合もある(不図
示)。これらの特性は、前述の工程を制御することで制
御できる。
【0086】上記の表面伝導型電子放出素子について
は、前述した通り3つの特性があることから、多数の電
子放出素子を配置した場合においても、個々の素子にパ
ルス状電圧を適宜印加すれば、入力信号に応じて、表面
伝導型電子放出素子を選択して電子放出量を制御でき
る。
【0087】本発明の絶縁膜の製造方法は、上記表面伝
導型電子放出素子を複数マトリクス状に配線した電子源
の製造に好ましく用いることができる。かかる電子源と
しては、電子放出素子をX方向及びY方向に行列状に複
数個配し、同じ行に配された複数の電子放出素子の素子
電極の一方を、X方向の配線に共通に接続し、同じ列に
配された複数の電子放出素子の素子電極の他方を、Y方
向の配線に共通に接続するものが挙げられる。このよう
なものは所謂単純マトリクス配置である。この単純マト
リクス配置について以下に詳述する。
【0088】図12は、上記の表面伝導型電子放出素子
を複数配して得られる電子源基板を模式的に示してい
る。図12において、71は電子源基板、72はX方向
配線、73はY方向配線である。74は電子放出素子、
75は結線である。
【0089】m本のX方向配線72は、Dx1,Dx2,…
…,Dxmからなり、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等
を用いて形成された導電性金属等で構成することができ
る。配線の材料、膜厚、幅は適宜設計される。Y方向配
線73は、Dy1,Dy2,……,Dynのn本の配線よりな
り、X方向配線72と同様に形成される。X方向配線7
2とY方向配線73は、それぞれ外部端子として引き出
されている。
【0090】これらm本のX方向配線72とn本のY方
向配線73との間には、不図示の層間絶縁層が設けられ
ており、両者を電気的に分離している(m,nは、共に
正の整数)。本発明の電子源の製造方法は、この層間絶
縁層を前述した本発明の絶縁膜の製造方法を用いて製造
するものであり、前述の絶縁材料溶液を用いて印刷プロ
セスにより、例えばX方向配線72を形成した基板71
の全面或は一部に所望の形状で形成し、特に、X方向配
線72とY方向配線73の交差部の電位差に耐え得るよ
うに膜厚及び材料が適宜設定される。
【0091】電子放出素子74を構成する一対の素子電
極(不図示)は、それぞれm本のX方向配線72とn本
のY方向配線73に、導電性金属等からなる結線75に
よって電気的に接続されている。
【0092】配線72と配線73を構成する材料、結線
75を構成する材料及び一対の素子電極を構成する材料
は、その構成元素の一部あるいは全部が同一であって
も、また夫々異なってもよい。これらの材料は、例えば
前述の素子電極の材料より適宜選択される。素子電極を
構成する材料と配線材料が同一である場合には、素子電
極に接続した配線は素子電極ということもできる。
【0093】X方向配線72には、X方向に配列した電
子放出素子74の行を選択するための走査信号を印加す
る不図示の走査信号印加手段が接続される。一方、Y方
向配線73には、Y方向に配列した電子放出素子74の
各列を入力信号に応じて変調するための、不図示の変調
信号発生手段が接続される。各電子放出素子に印加され
る駆動電圧は、当該素子に印加される走査信号と変調信
号の差電圧として供給される。
【0094】上記構成においては、単純なマトリクス配
線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とす
ることができる。
【0095】このような単純マトリクス配置の電子源を
用いて構成した画像形成装置について、図13と図14
及び図15を用いて説明する。図13は、画像形成装置
の表示パネルの一例を示す模式図であり、図14は、図
13の画像形成装置に使用される蛍光膜の模式図であ
る。図15は、NTSC方式のテレビ信号に応じて表示
を行うための駆動回路の一例を示すブロック図である。
【0096】図13において、71は電子放出素子を複
数配した電子源基板、81は電子源基板71を固定した
リアプレート、86はガラス基板83の内面に蛍光膜8
4とメタルバック85等が形成されたフェースプレート
である。82は支持枠であり、該支持枠82には、リア
プレート81、フェースプレート86がフリットガラス
等を用いて接続されている。88は外囲器であり、例え
ば大気中あるいは窒素中で、400〜500℃の温度範
囲で10分間以上焼成することで、封着して構成され
る。
【0097】74は、図7に示したような表面伝導型電
子放出素子である。72,73は、表面伝導型電子放出
素子の一対の素子電極と接続されたX方向配線及びY方
向配線ある。
【0098】外囲器88は、上述の如く、フェースプレ
ート86、支持枠82、リアプレート81で構成され
る。リアプレート81は主に基板71の強度を補強する
目的で設けられるため、基板71自体で十分な強度を持
つ場合は別体のリアプレート81は不要とすることがで
きる。即ち、基板71に直接支持枠82を封着し、フェ
ースプレート86、支持枠82及び基板71で外囲器8
8を構成してもよい。一方、フェースプレート86とリ
アプレート81の間に、スぺーサーと呼ばれる不図示の
支持体を設置することにより、大気圧に対して十分な強
度をもつ外囲器88を構成することもできる。
【0099】図14は、蛍光膜を示す模式図である。蛍
光膜84は、モノクロームの場合は蛍光体のみで構成す
ることができる。カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配
列により、ブラックストライプ(図14(a))あるい
はブラックマトリクス(図14(b))等と呼ばれる黒
色導電材91と蛍光体92とから構成することができ
る。ブラックストライプ、ブラックマトリクスを設ける
目的は、カラー表示の場合、必要となる三原色蛍光体の
各蛍光体92間の塗り分け部を黒くすることで混色等を
目立たなくすることと、蛍光膜84における外光反射に
よるコントラストの低下を抑制することにある。黒色導
電材91の材料としては、通常用いられている黒鉛を主
成分とする材料の他、導電性があり、光の透過及び反射
が少ない材料を用いることができる。
【0100】ガラス基板83に蛍光体を塗布する方法
は、モノクローム、カラーによらず、沈澱法や印刷法等
が採用できる。蛍光膜84の内面側には、通常メタルバ
ック85が設けられる。メタルバックを設ける目的は、
蛍光体の発光のうち内面側への光をフェースプレート8
6側へ鏡面反射することにより輝度を向上させること、
電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用さ
せること、外囲器内で発生した負イオンの衝突によるダ
メージから蛍光体を保護すること等である。メタルバッ
クは、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理
(通常、「フィルミング」と呼ばれる。)を行い、その
後Alを真空蒸着等を用いて堆積させることで作製でき
る。
【0101】フェースプレート86には、更に蛍光膜8
4の導電性を高めるため、蛍光膜84の外面側に透明電
極(不図示)を設けてもよい。
【0102】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体と電子放出素子とを対応させる必要があり、十分
な位置合わせが不可欠となる。
【0103】図13に示した画像形成装置は、例えば以
下のようにして製造される。
【0104】外囲器88内は、適宜加熱しながら、イオ
ンポンプ、ソープションポンプ等のオイルを使用しない
排気装置により不図示の排気管を通じて排気し、10-5
Pa程度の真空度の有機物質の十分に少ない雰囲気にし
た後、封止が成される。外囲器88の封止後の真空度を
維持するために、ゲッター処理を行うこともできる。こ
れは、外囲器88の封止を行う直前あるいは封止後に、
抵抗加熱あるいは高周波加熱等を用いた加熱により、外
囲器88内の所定の位置に配置されたゲッター(不図
示)を加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッター
は通常Ba等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用によ
り、例えば1×10-5Pa以上の真空度を維持するもの
である。ここで、電子放出素子のフォーミング処理以降
の工程は適宜設定できる。
【0105】次に、単純マトリクス配置の電子源を用い
て構成した表示パネルに、NTSC方式のテレビ信号に
基づいたテレビジョン表示を行う為の駆動回路の構成例
について、図15を用いて説明する。図15において、
101は画像表示パネル、102は走査回路、103は
制御回路、104はシフトレジスタ、105はラインメ
モリ、106は同期信号分離回路、107は変調信号発
生器、Vx及びVaは直流電圧源である。
【0106】表示パネル101は、端子Dox1 乃至D
oxm 、端子Doy1 乃至Doyn 及び高圧端子87を介して
外部の電気回路と接続している。端子Dox1 乃至Doxm
には、表示パネル101内に設けられている電子源、即
ち、m行n列の行列状にマトリクス配線された電子放出
素子群を1行(n素子)づつ順次駆動する為の走査信号
が印加される。端子Doy1 乃至Doyn には、前記走査信
号により選択された1行の電子放出素子の各素子の出力
電子ビームを制御する為の変調信号が印加される。高圧
端子87には、直流電圧源Vaより、例えば10kVの
直流電圧が供給されるが、これは電子放出素子から放出
される電子ビームに、蛍光体を励起するのに十分なエネ
ルギーを付与する為の加速電圧である。
【0107】走査回路102について説明する。同回路
は、内部にm個のスイッチング素子(図中、S1 乃至S
m で模式的に示している)を備えたものである。各スイ
ッチング素子は、直流電圧電源Vxの出力電圧もしくは
0[V](グランドレベル)のいずれか一方を選択し、
表示パネル101の端子Dox1 乃至Doxm と電気的に接
続される。各スイッチング素子S1 乃至Sm は、制御回
路103が出力する制御信号Tscanに基づいて動作する
ものであり、例えばFETのようなスイッチング素子を
組み合わせることにより構成することができる。
【0108】直流電圧源Vxは、本例の場合には電子放
出素子の特性(電子放出閾値電圧)に基づき、走査され
ていない素子に印加される駆動電圧が電子放出閾値電圧
以下となるような一定電圧を出力するよう設定されてい
る。
【0109】制御回路103は、外部より入力される画
像信号に基づいて適切な表示が行われるように、各部の
動作を整合させる機能を有する。制御回路103は、同
期信号分離回路106より送られる同期信号Tsyncに基
づいて、各部に対してTscan,Tsft 及びTmry の各制
御信号を発生する。
【0110】同期信号分離回路106は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から、同期信号成分と
輝度信号成分とを分離するための回路で、一般的な周波
数分離(フィルター)回路等を用いて構成できる。同期
信号分離回路106により分離された同期信号は、垂直
同期信号と水平同期信号より成るが、ここでは説明の便
宜上Tsync信号として図示した。前記テレビ信号から分
離された画像の輝度信号成分は、便宜上DATA信号と
表した。このDATA信号は、シフトレジスタ104に
入力される。
【0111】シフトレジスタ104は、時系列的にシリ
アルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン
毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制
御回路103より送られる制御信号Tsft に基づいて動
作する(即ち、制御信号Tsft は、シフトレジスタ10
4のシフトクロックであると言い換えてもよい。)。シ
リアル/パラレル変換された画像1ライン分のデータ
(電子放出素子n素子分の駆動データに相当)は、Id1
乃至Idnのn個の並列信号として前記シフトレジスタ1
04より出力される。
【0112】ラインメモリ105は、画像1ライン分の
データを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であ
り、制御回路103より送られる制御信号Tmry に従っ
て適宜Id1乃至Idnの内容を記憶する。記憶された内容
は、Id'1 乃至Id'n として出力され、変調信号発生器
107に入力される。
【0113】変調信号発生器107は、画像データI
d'1 乃至Id'n の各々に応じて、電子放出素子の各々を
適切に駆動変調する為の信号源であり、その出力信号
は、端子Doy1 乃至Doyn を通じて表示パネル101内
の電子放出素子に印加される。
【0114】前述したように、本発明を適用可能な電子
放出素子は放出電流Ie に関して以下の基本特性を有し
ている。即ち、電子放出には明確な閾値電圧Vthがあ
り、Vth以上の電圧が印加された時のみ電子放出が生じ
る。電子放出閾値以上の電圧に対しては、素子への印加
電圧の変化に応じて放出電流も変化する。このことか
ら、本素子にパルス状の電圧を印加する場合、例えば電
子放出閾値電圧以下の電圧を印加しても電子放出は生じ
ないが、電子放出閾値電圧以上の電圧を印加する場合に
は電子ビームが出力される。その際、パルスの波高値V
mを変化させることにより、出力電子ビームの強度を制
御することが可能である。また、パルスの幅Pwを変化
させることにより、出力される電子ビームの電荷の総量
を制御することが可能である。
【0115】従って、入力信号に応じて電子放出素子を
変調する方式としては、電圧変調方式とパルス幅変調方
式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際して
は、変調信号発生器107としては、一定長さの電圧パ
ルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パル
スの波高値を変調できるような電圧変調方式の回路を用
いることができる。パルス幅変調方式を実施するに際し
ては、変調信号発生器107として、一定の波高値の電
圧パルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧
パルスの幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を
用いることができる。
【0116】シフトレジスタ104やラインメモリ10
5は、デジタル信号式のものでもアナログ信号式のもの
でも採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換や
記憶が所定の速度で行なわれれば良いからである。
【0117】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路106の出力信号DATAをデジタル信号化
する必要があるが、これには同期信号分離回路106の
出力部にA/D変換器を設ければ良い。これに関連して
ラインメモリ105の出力信号がデジタル信号かアナロ
グ信号かにより、変調信号発生器107に用いられる回
路が若干異なったものとなる。即ち、デジタル信号を用
いた電圧変調方式の場合、変調信号発生器107には、
例えばD/A変換回路を用い、必要に応じて増幅回路等
を付加する。パルス幅変調方式の場合、変調信号発生器
107には、例えば高速の発振器及び発振器の出力する
波数を計数する計数器(カウンタ)及び計数器の出力値
と前記メモリの出力値を比較する比較器(コンパレー
タ)を組み合わせた回路を用いる。必要に応じて、比較
器の出力するパルス幅変調された変調信号を電子放出素
子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器を付加す
ることもできる。
【0118】アナログ信号を用いた電圧変調方式の場
合、変調信号発生器107には、例えばオペアンプ等を
用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフト
回路等を付加することもできる。パルス幅変調方式の場
合には、例えば電圧制御型発振回路(VCO)を採用で
き、必要に応じて電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増
幅するための増幅器を付加することもできる。
【0119】このような構成をとり得る本発明を適用可
能な画像形成装置においては、各電子放出素子に、容器
外端子Dox1 乃至Doxm 、Doy1 乃至Doyn を介して電
圧を印加することにより、電子放出が生じる。高圧端子
87を介してメタルバック85あるいは透明電極(不図
示)に高圧を印加し、電子ビームを加速する。加速され
た電子は、蛍光膜84に衝突し、発光が生じて画像が形
成される。
【0120】以上説明した本発明を適用可能な画像形成
装置は、テレビジョン放送の表示装置、テレビ会議シス
テムやコンピューター等の表示装置の他、感光性ドラム
等を用いて構成された光プリンターとしての画像形成装
置等としても用いることができる。
【0121】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳し
く説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもの
ではなく、本発明の目的が達成される範囲内での各要素
の置換や設計変更がなされたものをも包含する。
【0122】(実施例1)ゾルゲル液としてゾルゲル剤
アトロン(日本曹達(株)製)を用い、これに増粘剤と
してエチレングリコールモノフェニルエーテル(キシダ
化学製)を20.0重量%加えて均一になるまで撹拌
し、絶縁材料溶液を調製した。
【0123】この絶縁材料溶液を、深さ10μm幅30
0μmのラインパターンの凹版を用いて、オフセット印
刷法により、100×100mmサイズの青板ガラスに
ライン状に塗布し、そのまま水平に10分間保持した
後、150℃・15分間の仮焼成を行い、さらに450
℃・30分間の本焼成を行った。焼成後の絶縁膜の膜厚
は5μmであった。
【0124】(実施例2)ゾルゲル液としてゾルゲル剤
アトロン(日本曹達(株)製)を用い、これにビヒクル
としてスキージオイル(水素添加ロジンエステル、パイ
ン油等からなる)を50.0重量%混合し均一になるま
で撹拌し、絶縁材料溶液を調製した。
【0125】この絶縁材料溶液を、深さ10μm幅30
0μmのラインパターンの凹版を用いて、オフセット印
刷法により、100×100mmサイズの青板ガラスに
ライン状に塗布し、そのまま水平に10分間保持した
後、100℃・15分間の仮焼成を行い、さらに450
℃・1時間の本焼成を行った。
【0126】(実施例3)ゾルゲル剤アトロン(日本曹
達(株)製)に、0.4Mとなるように1,6−ヘキサ
メチレンジアミンを加え、0.45Mの炭酸ナトリウム
溶液と先のアトロンをそれぞれ7.5mlずつとって、
クロロホルムとシクロヘキサンを体積比で1:4で混合
した溶液に加えて600rpmで撹拌し、乳化させた。
5分間撹拌の後、先のクロロホルム/シクロヘキサン混
合溶液の新たな75mlにフタロイルジクロリド0.6
gを溶解し、乳化撹拌容器を冷水で4℃程度に冷やしな
がらフタロイルジクロリド溶液を加えた。
【0127】生成したマイクロカプセルを遠心分離した
後、よく乾燥させ、このカプセルとビヒクルとしてスキ
ージオイル(水素添加ロジンエステル、パイン油等から
なる)とを、50.0重量%ずつとって混練し、絶縁材
料溶液を調製した。
【0128】この絶縁材料溶液を、深さ30μm幅30
0μmのラインパターンの凹版を用いて、オフセット印
刷法により、100×100mmサイズの青板ガラスに
ライン状に塗布し、100℃・15分間の仮焼成を行
い、さらに5℃/minの昇温で450℃まで加温し1
時間の本焼成を行った。
【0129】(実施例4)本実施例の層間絶縁層の形成
方法を図16を用いて説明する。
【0130】A4サイズの青板ガラス基板11にスクリ
ーン印刷法により、下配線16としてCu配線をライン
/スペース=100μm/200μmになるようライン
状に施した(図16(a))。
【0131】次に、実施例3と同様に調製した絶縁材料
溶液をスクリーン印刷法により、先の下配線16と直交
するようにライン/スペース=300μm/200μm
となるように塗布した(図16(b))。
【0132】そのまま水平に15分間保持した後、15
0℃・15分間の仮焼成を行い、さらに5℃/minで
昇温して500℃・30分間の本焼成を行い、絶縁膜1
2を形成した(図16(c))。
【0133】次に、この絶縁膜12上に位置するよう
に、150μm幅のCu配線をスクリーン印刷法により
施し、上配線17を形成してマトリクス配線を形成した
(図16(d))。
【0134】(比較例1)本比較例の絶縁層の形成方法
を図17を用いて説明する。
【0135】ゾルゲル剤トスガード510(東芝シリコ
ーン(株)製)中に100×100mmの青板ガラス基
板11(1.8t)をディッピングし、20mm/se
cで引き上げた。この基板を150℃・15分間仮焼成
した後、500℃・1時間本焼成した。焼成後の絶縁膜
12の膜厚は1μmであった。
【0136】(比較例2)本比較例の絶縁層の形成方法
を図18を用いて説明する。
【0137】ゾルゲル剤アトロン(日本曹達(株)製)
中にA4サイズの青板ガラス基板11(2.8t)をデ
ィッピングし、20mm/secで引き上げた。100
℃・20分間の仮焼成後、450℃・1時間の本焼成を
行った(図18(a))。
【0138】形成された絶縁膜12上に、レジスト18
としてBMR−1000をスピンコートし、80℃で1
5分間乾かし(図18(b))、フォトリソパターンニ
ングを行った。現像後、エッチング処理を行い(図18
(c))、レジスト18を剥離して、所定のパターン形
状を有する絶縁膜12を形成した(図18(d))。
【0139】(比較例3)ガラスペーストQQ550
(デュポン(株)製)をスクリーン印刷法にて、A4サ
イズの青板ガラス基板(2.8t)に、ライン/スペー
ス=300μm/200μmとなるように塗布した。基
板を水平に15分間保持した後、550℃で、30分間
焼成した。
【0140】上述の実施例及び比較例により成膜/パタ
ーンニングした絶縁膜の特性を比較したものが表1であ
る。
【0141】[膜質]電子顕微鏡(日立製作所(株)製
/FE−SEM(S−4000))を用いて観察した。
【0142】[絶縁特性]成膜しようとする基板に予め
10mm幅にアルミを蒸着しておき、該基板に上記実施
例及び比較例と同様に絶縁膜を形成後、下配線に直交す
るように上配線としてアルミを蒸着した。LFインピー
ダンス・アナライザ(ヒューレット・パッカード製、H
P4192)を用いてインピーダンスを求め、計算によ
って、容量/誘電率等を求めた。なお、実施例のうち、
パターンニングを行ったものについては、同様の組成、
膜厚を持ったベタ塗りの絶縁膜について評価し、括弧内
に示した。
【0143】[工程の簡便さ]塗布〜パターンニングの
工程が1工程であるものを○とした。3工程以上になる
ものを×とした。
【0144】[取り回し]絶縁膜が必要な部位にのみ形
成されるものを○、不必要な部位にも形成され、汚れと
して残存するものを×とした。その結果、図17及び図
18に示されるように、比較例1及び比較例2において
は基板11の裏面に不必要な絶縁膜19(絶縁膜汚れ)
が残存していた。
【0145】
【表1】
【0146】(実施例5)本実施例は、図7に示したよ
うな電子放出素子の多数個を単純マトリクス配置した図
12に示したような電子源基板を用いて、図13に示し
たような画像形成装置を作製した例である。
【0147】複数の導電性膜がマトリクス配線された電
子源基板の一部の平面図を図19に示す。また、図19
中のA−A’断面図を図20に示す。これらの図で71
は電子源基板、72は図12のDxmに対応するX方向配
線(下配線とも呼ぶ)、73は図12のDynに対応する
Y方向配線(上配線とも呼ぶ)である。151は層間絶
縁層、152は素子電極2と下配線72との電気的接続
のためのコンタクトホールである。
【0148】先ず、本実施例の電子源基板の製造方法
を、図21及び図22を用いて工程順に従って具体的に
説明する。なお、以下に説明する工程−a〜hは、夫々
図21の(a)〜(d)及び図22の(e)〜(h)に
対応する。
【0149】工程−a 清浄化した青板ガラス上に厚さ0.5μmのシリコン酸
化膜をスパッタ法で形成した基板71上に、真空蒸着法
により、厚さ5nmのCr、厚さ600nmのAuを順
次積層した後、ホトレジスト(AZ1370;ヘキスト
社製)をスピンナーにより回転塗布し、ベークした後、
ホトマスク像を露光、現像して下配線パターンを形成
し、Au/Cr堆積膜をウェットエッチングして所望の
形状の下配線72を形成した。
【0150】工程−b 次に、厚さ5.0μmの層間絶縁層151を実施例1の
絶縁膜の形成方法と同様にして形成した。
【0151】工程−c 工程−bで形成した層間絶縁層151にコンタクトホー
ル152を形成するためのホトレジストパターンを作
り、これをマスクとして層間絶縁層151をエッチング
してコンタクトホール152を形成した。エッチングは
CF4 とH2 ガスを用いたRIE(Reactive
Ion Etching)法によった。
【0152】工程−d その後、素子電極2,3と素子電極間ギャップLとなる
べきパターンをホトレジスト(RD−2000N−4
1;日立化成社製)で形成し、真空蒸着法により、厚さ
5nmのTi、厚さ100nmのNiを順次堆積した。
ホトレジストパターンを有機溶剤で溶解し、Ni/Ti
堆積膜をリフトオフし、素子電極間隔Lが3μm、幅W
が300μmの素子電極2,3を形成した。
【0153】工程−e 素子電極2,3の上に上配線73のホトレジストパター
ンを形成した後、厚さ5nmのTi、厚さ500nmの
Auを順次真空蒸着により堆積し、リフトオフにより不
要な部分を除去して、所望の形状の上配線73を形成し
た。
【0154】工程−f 次に、膜厚30nmのCr膜153を真空蒸着により堆
積した後、これを導電性膜4の形状の開口部を有するよ
うにパターニングし、その上にPdアミン錯体溶液(c
cp4230;奥野製薬(株)製)をスピンナーにより
回転塗布、300℃12分間の加熱焼成処理を施してP
dO微粒子よりなる導電性膜4を形成した。この膜の膜
厚は70nmであった。
【0155】工程−g Cr膜153を酸エッチャントを用いてウェットエッチ
ングしてPdO微粒子よりなる導電性膜4の不要部分と
ともに除去し、所望の形状の導電性膜4を形成した。こ
の導電性膜4の抵抗値は、Rs=4×104 Ω/□程度
であった。
【0156】工程−h コンタクトホール152部分以外にレジストパターンを
形成し、真空蒸着により厚さ5nmのTi、厚さ500
nmのAuを順次堆積した。リフトオフにより不要な部
分を除去することにより、コンタクトホール152を埋
め込んだ。
【0157】以上の工程により、絶縁性基板71上に下
配線72、層間絶縁層151、上配線73、素子電極
2,3、導電性膜4を形成した。
【0158】次に、以上のようにして作製した複数の導
電性膜4がマトリクス配線された電子源基板71(図1
9)を用いて画像形成装置を作製した。作製手順を図1
3及び図14を用いて説明する。
【0159】電子源基板71をリアプレート81上に固
定した後、基板71の5mm上方に、フェースプレート
86(ガラス基板83の内面に蛍光膜84とメタルバッ
ク85が形成されて構成される)を支持枠82を介して
配置し、フェースプレート86、支持枠82、リアプレ
ート81の接合部にフリットガラスを塗布し、大気中4
30℃で10分以上焼成することで封着した(図1
3)。なお、リアプレート81への基板71の固定もフ
リットガラスで行った。
【0160】蛍光膜84は、カラーを実現するために、
ストライプ形状(図14(a)参照)の蛍光体とし、先
にブラックストライプを形成し、その間隙部にスラリー
法により各色蛍光体92を塗布して蛍光膜84を作製し
た。ブラックストライプの材料としては、黒鉛を主成分
とする材料を用いた。
【0161】また、蛍光膜84の内面側にはメタルバッ
ク85を設けた。メタルバック85は、蛍光膜84の作
製後、蛍光膜84の内面側表面の平滑化処理(通常、フ
ィルミングと呼ばれる)を行い、その後、Alを真空蒸
着することで作製した。
【0162】フェースプレート86には、更に蛍光膜8
4の導電性を高めるため、蛍光膜84の外面側に透明電
極を設ける場合もあるが、本実施例ではメタルバック8
5のみで十分な導電性が得られたので省略した。
【0163】以上のようにして完成した外囲器88内の
雰囲気を排気管(不図示)を通じ真空ポンプにて10-4
Pa程度の真空度まで排気した。Y方向配線を共通結線
して1ライン毎にパルス電圧を印加しフォーミング処理
を行った。このときのパルス電圧の波形は、図9(b)
のような波高値の漸増する三角波パルスであり、パルス
幅T1 =1msec.、パルス間隔T2 =10mse
c.とした。また、フォーミング処理中は、フォーミン
グパルスの休止時間内に0.1Vの抵抗測定用パルスを
挿入し、抵抗値が1MΩを越えたところでフォーミング
処理を終了した。
【0164】続いて、活性化処理を行った。まず、外囲
器88の排気管を活性化物質であるアセトンが充填され
たアンプルに接続し、アセトンを外囲器88内に導入し
圧力が1.3×10-1Paとなるように調整した。そし
て、18V矩形波パルスを素子電極2,3間に印加し
た。パルス幅は100μsec.、パルス間隔は20m
sec.とした。
【0165】全ての行の活性化が終了したところで、ガ
ス導入装置のバルブを閉じアセトンの導入を停止し、外
囲器88全体を約200℃に加熱しながら5時間排気を
続けたところで、単純マトリクス駆動により、電子を放
出させ、蛍光膜84を全面発光させ、正常に動作するこ
とを確認した後、排気管を加熱溶着して封じ切った。こ
の後、高周波加熱により外囲器88内に設置したゲッタ
ー(不図示)をフラッシュさせた。
【0166】以上のようにして作製した表示パネルの容
器外端子Dox1 乃至Doxm とDoy1乃至Doyn 、及び高
圧端子87を夫々必要な駆動系に接続し、画像形成装置
を完成した。各電子放出素子に、容器外端子Dox1 乃至
oxm とDoy1 乃至Doyn を通じて、走査信号及び変調
信号を不図示の信号発生手段より夫々印加することによ
り電子放出させ、高圧端子87を通じてメタルバック8
5に数KV以上の高圧を印加して、電子ビームを加速
し、蛍光膜84に衝突させ、励起・発光させることで画
像表示がなされた。
【0167】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、ゾ
ルゲル液に増粘剤を加えて適当な粘性をもつように調製
した絶縁材料溶液を用いることにより、各種印刷法によ
り、緻密で、絶縁特性の良好な所定の形状の絶縁膜を容
易に形成することができる。
【0168】また、上記絶縁材料溶液が印刷法に適する
ように調製することによって、更に精巧な印刷方法を選
択することができ、高度なパターンニングをも可能とす
る。特に、マイクロカプセルに封入したゾルゲル液を印
刷インキ用ビヒクルに均一分散させた絶縁材料溶液を用
いた場合には、ビヒクルの成分やマイクロカプセルの膜
材、焼成温度を適当に選ぶことにより、更に緻密で膜質
の良好な絶縁膜を容易に形成することができる。
【0169】また、上記本発明の絶縁膜の製造方法を多
数の電子放出素子が単純マトリクス配線される電子源及
びこれを用いた画像形成装置に応用することにより、よ
り信頼性の高い高品位な画像形成装置、例えばカラーフ
ラットテレビが実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により基板上にパターン形成された絶縁
膜の一例を示す模式図である。
【図2】本発明により基板上にパターン形成された絶縁
膜の別の例を示す模式図である。
【図3】本発明の絶縁膜の製造方法の一例を説明するた
めの図である。
【図4】本発明により基板上にパターン形成された絶縁
膜の別の例を示す模式図である。
【図5】本発明により基板上にパターン形成された絶縁
膜の別の例を示す模式図である。
【図6】本発明により基板上にパターン形成された絶縁
膜の別の例を示す模式図である。
【図7】表面伝導型電子放出素子の一例を示す模式図で
ある。
【図8】表面伝導型電子放出素子の製造方法を説明する
ための図である。
【図9】表面伝導型電子放出素子の製造に際して採用で
きる通電フォーミング処理における電圧波形の一例を示
す模式図である。
【図10】表面伝導型電子放出素子の製造に用いること
のできる真空処理装置(測定評価装置)の一例を示す概
略構成図である。
【図11】表面伝導型電子放出素子の電子放出特性を示
す図である。
【図12】本発明を適用可能な単純マトリクス配置の電
子源の一例を示す模式図である。
【図13】本発明を適用可能な画像形成装置の表示パネ
ルの一例を示す模式図である。
【図14】表示パネルにおける蛍光膜の一例を示す模式
図である。
【図15】本発明を適用可能な画像形成装置にNTSC
方式のテレビ信号に応じて表示を行うための駆動回路の
一例を示すブロック図である。
【図16】実施例4における絶縁膜の製造方法を説明す
るための図である。
【図17】比較例1における絶縁膜を説明するための図
である。
【図18】比較例2における絶縁膜の製造方法を説明す
るための図である。
【図19】実施例5のマトリクス配線した電子源の一部
を示す模式図である。
【図20】図19のA−A’断面模式図である。
【図21】実施例5に係る電子源の製造工程図である。
【図22】実施例5に係る電子源の製造工程図である。
【図23】従来例の表面伝導型電子放出素子の模式図で
ある。
【符号の説明】
1 基板 2,3 素子電極 4 導電性膜 5 電子放出部 11 基板 12 絶縁膜 13 有機化合物 14 液状絶縁材料 15 マイクロカプセル(膜材) 16 下配線 17 上配線 18 レジスト 19 絶縁膜汚れ 50 素子電流If を測定するための電流計 51 電子放出素子に素子電圧Vf を印加するための電
源 52 電子放出部5より放出される放出電流Ie を測定
するための電流計 53 アノード電極54に電圧を印加するための高圧電
源 54 電子放出部5より放出される電子を捕捉するため
のアノード電極 55 真空容器 56 排気ポンプ 71 電子源基板 72 X方向配線 73 Y方向配線 74 電子放出素子 75 結線 81 リアプレート 82 支持枠 83 ガラス基板 84 蛍光膜 85 メタルバック 86 フェースプレート 87 高圧端子 88 外囲器 91 黒色導電材 92 蛍光体 101 表示パネル 102 走査回路 103 制御回路 104 シフトレジスタ 105 ラインメモリ 106 同期信号分離回路 107 変調信号発生器 Vx,Va 直流電圧源 151 層間絶縁層 152 コンタクトホール 153 Cr膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G059 AA01 AB07 AC20 DA06 DA08 DB02 GA01 GA02 GA04 GA05 GA06 GA07 GA14 5F058 BB06 BB07 BF46 BF47 BF80 BH01 BJ01 5G305 AA06 AA11 AB36 BA09 CA60 CB26 CB27 CD20 DA22

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゾルゲル液と増粘剤を含有する絶縁材料
    溶液を、印刷プロセスにより塗布する工程と、焼成工程
    を有することを特徴とする絶縁膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記増粘剤が、固体物または粘性液体で
    あることを特徴とする請求項1に記載の絶縁膜の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記増粘剤が、ビヒクルであることを特
    徴とする請求項1に記載の絶縁膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記絶縁材料溶液として、前記ゾルゲル
    液をマイクロカプセルに内包させて前記ビヒクルに分散
    させた溶液を用いることを特徴とする請求項3に記載の
    絶縁膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記焼成工程における焼成温度を、前記
    ビヒクルの沸点以上の温度に設定することを特徴とする
    請求項3または4に記載の絶縁膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記印刷プロセスがオフセット印刷プロ
    セスであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに
    記載の絶縁膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 基板上に、一対の素子電極間に跨がる導
    電性膜に電子放出部を有する電子放出素子が複数設けら
    れ、該複数の電子放出素子がマトリクス状に配線された
    電子源の製造方法において、 該マトリクス配線間を絶縁する層間絶縁膜を、請求項1
    〜6のいずれかに記載の方法により製造することを特徴
    とする電子源の製造方法。
  8. 【請求項8】 基板上に一対の素子電極間に跨がる導電
    性膜に電子放出部を有する電子放出素子が複数設けら
    れ、該複数の電子放出素子がマトリクス状に配線された
    電子源と、該電子源から放出される電子線の照射により
    画像を形成する画像形成部材を有する画像形成装置の製
    造方法において、 該電子源を請求項7に記載の方法により製造することを
    特徴とする画像形成装置の製造方法。
JP18797998A 1998-07-03 1998-07-03 絶縁膜、電子源および画像形成装置の製造方法 Withdrawn JP2000021241A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18797998A JP2000021241A (ja) 1998-07-03 1998-07-03 絶縁膜、電子源および画像形成装置の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18797998A JP2000021241A (ja) 1998-07-03 1998-07-03 絶縁膜、電子源および画像形成装置の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000021241A true JP2000021241A (ja) 2000-01-21

Family

ID=16215498

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18797998A Withdrawn JP2000021241A (ja) 1998-07-03 1998-07-03 絶縁膜、電子源および画像形成装置の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000021241A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006500607A (ja) * 2002-09-04 2006-01-05 ダニエルズ、ジョン 電子回路・ディスプレイ製作のプリンタおよび方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006500607A (ja) * 2002-09-04 2006-01-05 ダニエルズ、ジョン 電子回路・ディスプレイ製作のプリンタおよび方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2001319562A (ja) 電子源形成用基板、該基板を用いた電子源並びに画像表示装置
JP2000311579A (ja) 電子放出素子、電子源及び画像形成装置
JP2001319564A (ja) 電子源形成用基板、該基板を用いた電子源並びに画像表示装置
JP2009277459A (ja) 電子放出素子及び画像表示装置
JP3217949B2 (ja) 電子放出素子、電子源、表示素子及び画像形成装置の製造方法
JP2000182513A (ja) 電子放出素子、電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法
JP2002358874A (ja) 電子源及び画像形成装置の製造方法
JP2000195415A (ja) 電子放出素子、電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法
JP2000021241A (ja) 絶縁膜、電子源および画像形成装置の製造方法
JP3559689B2 (ja) 電子放出素子、電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法
JP3296549B2 (ja) インクジェット噴射装置及びそれに用いるインクジェットインク
JP3544135B2 (ja) 電子放出素子、電子源及び画像形成装置の製造方法
JP2000082334A (ja) 絶縁膜、電子源および画像形成装置の製造方法
JP2002313220A (ja) 電子放出素子、電子源および画像形成装置の製造方法
JPH09245697A (ja) 画像表示装置および該装置の製造方法
JP3428806B2 (ja) 電子放出素子、電子源基板、および画像形成装置の製造方法
JP3302258B2 (ja) 電子放出素子、電子源、表示素子および画像形成装置の製造方法
JPH11329221A (ja) ペースト状物質の塗布方法及び前記塗布方法を用いた画像表示装置
JP3241599B2 (ja) 電子放出素子、電子源基板、電子源、表示パネルおよび画像形成装置の製造方法
JPH11250804A (ja) 画像形成装置の製造方法
JP3217946B2 (ja) 電子放出部形成用材料並びに該材料を用いた電子放出素子、電子源、表示素子及び画像形成装置の製造方法
JP3703255B2 (ja) 電子放出素子、電子源、それを用いた画像形成装置およびそれらの製造方法
JPH1012136A (ja) 電子放出素子の製造方法、電子放出素子、該素子を用いた電子源、表示パネルおよび画像形成装置
JPH11191369A (ja) 電子放出素子および画像形成装置の製造方法
JP2000021300A (ja) 電子放出素子、電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050906