JP2000018373A - 無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

無段変速機の変速制御装置

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JP2000018373A
JP2000018373A JP18606698A JP18606698A JP2000018373A JP 2000018373 A JP2000018373 A JP 2000018373A JP 18606698 A JP18606698 A JP 18606698A JP 18606698 A JP18606698 A JP 18606698A JP 2000018373 A JP2000018373 A JP 2000018373A
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ratio
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仁 城所
Itsuro Muramoto
逸朗 村本
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靖史 成田
Kazuhiro Takeda
和宏 竹田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無段変速機の非線形特性を解消して、制御精
度を向上させる。 【解決手段】 ステップモータ4に連結された油圧制御
機構を介して駆動される変速機構とを備えて変速比を連
続的に変更するトロイダル型無段変速機10は、傾転角
度と変速比の間に非線形性を備えており、運転状態に応
じた目標変速比に実際の変速比が一致するようにステッ
プモータ4を駆動するフィードバック制御手段は、メカ
ニカルフィードバックを相殺するカム相殺フィードバッ
ク70に傾転角度φに対する変速比iの逆関数h
-1(φ)から傾転角度を得る逆関数演算部77と、目標
変速比i*に応じた値に上記逆関数の偏微分導関数を乗
じる偏微分導関数演算部76を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無段変速機の変速
制御装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両に用いられる無段変速機としては、
Vベルト式やトロイダル型等の無段変速機が従来から知
られており、これら無段変速機の変速制御としては、例
えば、本願出願人が提案した特願平9−312048号
等がある。
【0003】上記トロイダル型無段変速機では、アクチ
ュエータに駆動される変速制御弁を介してトラニオンを
軸方向へ変位させることで、入出力ディスクに挟持され
るパワーローラの傾転角を変更し、変速比を連続的に制
御している。
【0004】ここで、トロイダル型無段変速機の場合、
変速比とパワーローラの傾転角度が一意に対応するた
め、変速制御コントローラは、運転条件に応じて目標変
速機を演算するとともに、この目標変速比に対応する傾
転角度となるように、アクチュエータを駆動して、変速
比の制御を行っている。
【0005】上記従来例では、トラニオンの軸方向変位
に対する傾転角度の変化率が傾転角度に依存するため、
フィードバックゲインを傾転角度に応じて変化させるも
のである。
【0006】また、トロイダル型無段変速機では、トラ
ニオンに設けたカムを主体にメカニカルフィードバック
系が設けられており、電子的フィードバックを行う場合
には、本願出願人が提案した特願平98−296722
号のように、メカニカルフィードバック系の作用を差し
引いて、実際の変速比を目標値にフィードバック制御す
るものもあり、また、特願平9−61105号のよう
に、変速比を傾転角度と同義として、実際の変速比を目
標値にフィードバック制御するものもある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、無段変速機
としてトロイダル型を採用して、変速機構の各部を図1
5に示すように設定した場合、変速比iと傾転角φの関
係は、次のように表される。
【0008】
【数1】
【0009】ただし、Ni:入力軸回転数 No:出力軸回転数 η、θ:パワーローラ及び入出力ディスクに応じて設定
された定数 である。
【0010】したがって、上記(1)式より、変速比i
と傾転角φの関係は、図7に示すように、非線形とな
る。
【0011】しかしながら、上記従来例では、変速比i
と傾転角φが同義であるとしており、図7に示すような
非線形性を考慮しておらず、変速制御を厳密に行う場合
には、この非線形性に伴って誤差が生じるという問題が
あった。
【0012】そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなさ
れたもので、無段変速機の非線形特性を解消して、制御
精度を向上させることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、アクチュ
エータに連結された油圧制御機構を介して駆動される変
速機構とを備えて変速比を連続的に変更する無段変速機
と、運転状態に応じて前記無段変速機の目標変速比を演
算するとともに、実際の変速比と目標変速比の偏差に基
づいて、実際の変速比が目標変速比に一致するように前
記アクチュエータを駆動するフィードバック制御手段と
を備えた無段変速機の変速制御装置において、前記フィ
ードバック制御手段は、前記変速機構の駆動量と変速比
との非線形関係を補償して前記アクチュエータへの指令
値と変速比の関係を一致または近似させる非線形性補償
手段を設ける。
【0014】また、第2の発明は、前記第1の発明にお
いて、前記変速機構は、パワーローラの傾転角度と変速
比の間に非線形性を有したトロイダル型で構成され、前
記非線形性補償手段は、傾転角度に対する変速比の逆関
数に基づいてメカニカルフィードバックを相殺するメカ
ニカルフィードバック相殺手段と、目標変速比に応じた
値に前記逆関数の偏微分導関数を乗じる補償手段とから
構成される。
【0015】また、第3の発明は、前記第1の発明にお
いて、前記変速機構は、パワーローラの傾転角度と変速
比の間に非線形性を有したトロイダル型で構成され、前
記非線形性補償手段は、傾転角度に対する変速比の逆関
数に基づいてメカニカルフィードバックを相殺するメカ
ニカルフィードバック相殺手段が、目標変速比に応じた
値と実変速比とから前記アクチュエータへの指令値を補
償する。
【0016】また、第4の発明は、前記第1の発明にお
いて、前記変速機構は、プーリの溝幅と変速比の間に非
線形性を有したVベルト型で構成され、前記非線形性補
償手段は、溝幅に対する変速比の逆関数に基づいてメカ
ニカルフィードバックを相殺するメカニカルフィードバ
ック相殺手段と、目標変速比に応じた値に前記逆関数の
偏微分導関数を乗じる補償手段とから構成される。
【0017】また、第5の発明は、前記第1の発明にお
いて、前記変速機構は、プーリの溝幅と変速比の間に非
線形性を有したVベルト型で構成され、前記非線形性補
償手段は、プーリの溝幅に対する変速比の逆関数に基づ
いて前記アクチュエータへのメカニカルフィードバック
を相殺するメカニカルフィードバック相殺手段が、目標
変速比に応じた値と実変速比とから前記アクチュエータ
への指令値を補償する。
【0018】
【発明の効果】第1の発明は、変速特性に非線形関係を
備えた無段変速機の変速制御を、電子的フィードバック
によって行う場合、非線形補償手段によって変速機構の
駆動量と変速比との関係を線形に補償することができ、
線形理論によるフィードバック制御を用いても非線形性
による誤差などの悪影響を抑制して、線形制御系によっ
て高精度で変速比制御を行うことが可能となり、目標値
を変速比とすることで、例えば、変速比とプーリ幅の関
係が非線形となるVベルト式無段変速機で得た知見を、
同じく非線形特性を備えるトロイダル型無段変速機へ容
易に適用することができ、変速制御装置の設計に要する
労力を低減することができる。
【0019】また、第2または第4の発明は、傾転角度
に対応する変速比の逆関数と、偏微分導関数から、非線
形フィードバックが構成され、変速比と傾転角度の非線
形性を補償して、制御特性を線形理論値にほぼ一致させ
ることができ、前記従来例のように、非線形性による誤
差などの悪影響を抑制して高精度の変速比制御を行うこ
とが可能となる。
【0020】また、第3または第5の発明は、メカニカ
ルフィードバック相殺手段の逆関数のみで、非線形性を
補償して線形理論値に近似した応答を得ることが可能と
なり、使用する非線形関数をひとつにして、制御内容を
簡素にでき、変速制御装置の設計を容易にするととも
に、演算負荷を低減して高速化を図ることが可能とな
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図
面に基づいて説明する。
【0022】図1は、無段変速機10にトロイダル型を
採用した場合に、本発明を適用した一例を示す。
【0023】無段変速機10は、入力軸20側にロック
アップ機構L/Uを備えたトルクコンバータ12を介し
てエンジン11に連結される一方、出力軸側(出力ディ
スク側)を図示しない駆動輪に連結しており、トロイダ
ル型の無段変速機10の変速機構及びメカニカルフィー
ドバック機構は前記従来例と同様に構成され、変速制御
コントローラ61の指令に応じてステップモータ4(ア
クチュエータ)が変速制御弁(図示せず)を駆動するこ
とで変速が行われるものである。
【0024】変速制御コントローラ61は、マイクロコ
ンピュータを主体に構成されており、スロットル開度セ
ンサ62が検出したスロットル開度TVO、無段変速機
10の出力軸側に配設された車速センサ63からの車速
VSP及び入力軸回転センサ64が検出した無段変速機
10の入力軸20の回転数Niに基づいて車両の運転状
態に応じた到達目標変速比を演算するとともに、油温セ
ンサ65が検出した無段変速機10の油温Tempと、油
圧センサが検出した無段変速機10のライン圧PLに基
づいて、PID制御(比例、積分、微分制御)の各ゲイ
ンc0、c1、c2を求め、無段変速機10の実際の変速
比が目標変速比と一致するような変速指令値u(すなわ
ち、図示しない変速制御弁を駆動するためのステップ数
STP)を演算し、ステップモータ4へ指令する。
【0025】なお、車速センサ63は検出した車速VS
Pを所定の定数で除したものを無段変速機10の出力軸
回転数Noとする。
【0026】この変速制御コントローラ61の変速制御
の概要は、図2に示すように、実際の変速比、すなわ
ち、パワーローラの傾転角を求める実変速比算出部71
と、スロットル開度TVOと車速VSPに応じて目標変
速比を演算する目標変速比算出部(図示せず)と、パワ
ーローラのオフセット量yを演算するy変位推定部72
と、ゲイン算出部73、積分器74、ステップ変換部7
5を主体に構成されて、各種ゲインや各種信号の演算を
行うのに加え、傾転角と変速比の非線形性を補償するた
め、偏微分導関数演算部76と逆関数演算部77を備え
ている。
【0027】まず、実変速比算出部71は、車速VSP
を所定の定数で除した出力軸回転数Noと入力軸回転数
Niの比から、実際の変速比iを求める。
【0028】図示しない目標変速比算出部は、スロット
ル開度TVOと車速VSPから、予め設定したマップ
(図示せず)に基づいて目標変速比i*を演算する。
【0029】そして、目標変速比i*と実変速比iの偏
差eに基づいて、フィードバック制御量の演算が行われ
る。
【0030】ゲイン算出部73では、車速VSP、実変
速比i、油温Temp、ライン圧PLに基づいて、PI
D制御の各ゲイン、すなわち、積分ゲインc0、比例ゲ
インc1、微分ゲインc2を前記従来例と同じく、次式に
よって決定する。
【0031】
【数2】
【0032】ここで、トロイダル型無段変速機10の伝
達関数W(s)は、
【0033】
【数3】
【0034】として表される。
【0035】ただし、上記伝達関数W(s)の極を表す
定数λ1、λ2、λ3は、正の実数でなければならない。
【0036】すなわち、定数λ1、λ2、λ3の何れかが
負であれば、系は不安定となって到達目標変速比へ制御
することは不可能となり、また、定数λ1、λ2、λ3
何れかが虚数であれば、フィードバック特性が振動的と
なって、運転性に悪影響をもたらすハンチングを生じる
ことになる。
【0037】上記(2)式のゲインによって、積分器7
4の出力に積分ゲインC0を乗じたものと、偏差eに比
例ゲインc1を乗じたものとを加算してから、y変位推
定部72の出力に微分ゲインC2を乗じた出力PiMO
utを加算して、制御出力vを得る。
【0038】なお、y変位推定部72は、本願出願人が
提案した特願平7−71495号と同様にして、実変速
比iと制御出力vに基づいて、パワーローラのオフセッ
ト量yを推定する。なお、このオフセット量yは、パワ
ーローラの傾転角度φの微分値から求めても良い。
【0039】そして、この制御出力vには、図2の偏微
分導関数演算部76で、図7、図8に示すように、予め
設定した関数ないしマップに基づいて、現在の変速比i
に応じた偏微分導関数を乗じたものを、出力v’として
演算する。
【0040】ここで、現在の変速比iに応じた偏微分導
関数は、図7に示すように、傾転角度φに対応する変速
比を関数h(φ)としたとき、偏微分関数∂h/∂φの
逆関数であり、任意の傾転角度φにおいて、
【0041】
【数4】
【0042】として求められるもので、図8に示すよう
に、予め設定されたものである。
【0043】一方、実変速比iに基づくカム相殺フィー
ドバック部70(メカニカルフィードバック相殺手段)
では、逆関数演算部77で、図7の傾転角度φに対応す
る変速比iの関数h(φ)の逆関数h-1(φ)より、実
変速比iから傾転角度φを得て、これにカム比aを乗じ
たものを、上記出力v’に加算して、制御指令値uを求
める。
【0044】すなわち、上記(4)式の偏微分導関数
と、逆関数h-1(φ)によって、変速比iと傾転角φの
非線形関係が解消されるのである。
【0045】そして、ステップ変換部75では、非線形
フィードバックによる制御指令値uをステップモータ4
のステップ数STPに変換する。すなわち、目標変速比
i*に対応する傾転角度φと実変速比iに対応する傾転
角度の偏差を解消するよう、図示しない変速制御弁のバ
ルブ変位量(開口量)を求めるとともに、このバルブ変
位量に対応するステップ数STPをステップモータ4へ
指令する。
【0046】ここで、傾転角度φと変速比iの線形化に
ついて考えると、トロイダル型無段変速機の動特性を決
定する方程式は、次のように表すことができる。
【0047】
【数5】
【0048】ただし、x1:パワーローラオフセット量
(回転軸とトラニオン側のY軸方向オフセット) x2:傾転角φ である。
【0049】このとき、制御指令値uから変速比iまで
の関係は、
【0050】
【数6】
【0051】
【数7】
【0052】より、
【0053】
【数8】
【0054】を代入して、
【0055】
【数9】
【0056】また、
【0057】
【数10】
【0058】より、
【0059】
【数11】
【0060】となる。
【0061】ここで、前記従来例のようなカム相殺フィ
ードバックを行なわないものでは、図3(B)に示すよ
うに、目標変速比(制御出力)vから制御指令値uまで
の関係が、 u=ah-1(i) ………(12) の場合、
【0062】
【数12】
【0063】となって、実変速比i=制御出力vになら
ない変速過渡状態では線形化されないことになる。
【0064】そこで、上記図2と等価の図3(A)のよ
うに、非線形フィードバックを用いると、目標変速比v
から制御指令値uまでの関係は、
【0065】
【数13】
【0066】であるから、
【0067】
【数14】
【0068】よって、
【0069】
【数15】
【0070】となる。
【0071】したがって、線形化が行われることにな
り、これを伝達関数として表現すると、
【0072】
【数16】
【0073】となって、傾転角φを制御対象として、カ
ム相殺フィードバックを行う従来例(図3(B)の構
成)と、同等の伝達関数となるのである。
【0074】次に、変速制御コントローラ61で行われ
る変速制御の一例について、図4、図5のフローチャー
トを参照しながら以下に詳述する。
【0075】図4は、ゲイン算出部73で行われる各ゲ
インの演算処理のフローチャートを示し、図5は、図4
のフローチャートで求めた各ゲインに基づいて行われ
る、フィードバック制御のメインルーチンを示す。な
お、これらの処理は、それぞれ所定時間毎に実行され、
例えば、10msec毎に実行されるものである。
【0076】まず、ゲインの算出について説明すると、
図4のステップS1では、車速センサ63から読み込ん
だ車速VSPを整数化処理して格納し、ステップS2で
は入力軸回転センサ64から読み込んだ入力コーンディ
スクの回転数Niを整数化処理して格納する。ステップ
S3では油温センサ65から読み込んだ油温Tempを整
数化処理して格納し、ステップS4では油圧センサ66
から読み込んだライン圧PLを整数化処理して格納す
る。
【0077】ここで、各整数化処理は、例えば、車速V
SPの最小値を0、最大値を255とし、変数fiを求
める配列f_Tableの大きさが、0から15までの添え字
をとるものとすれば、VSP=入力値×16/(1+2
55−0)の小数部を切り捨てる処理を行って、入力値
の最大値と最小値が配列の添え字の最大値と最小値とな
るように数値を調整する処理である。
【0078】そして、ステップS5では、上記入力軸の
回転数Niと車速VSPから次式によって実変速比iを
求める。
【0079】i=Ni/VSP×Cg なお、Cgは車速VSPを出力コーンディスクの回転数
No(出力軸回転数)へ変換するための定数である。
【0080】そして、前記従来例の特願平9−3120
48号と同様にして、油温Tempとライン圧PLは、上
記(17)式に示した伝達関数のgに関する値であり、
また、傾転角度φと車速VSPは、同じく上記(17)
式に示した伝達関数のfに関係する値であり、両者は独
立であるから、ステップS6では、油温Tempとライン
圧PLから、図6に示すように、予め設定した2次元の
配列g_Tableにより値giを求め、同様に傾転角度φと
車速VSPから予め設定した2次元の配列f_Tableによ
って値fiを求める。
【0081】これら変数fi、giは、ゲイン配列c0_
Table、c1_Table、c2_Tableの添え字となる整数であ
る。
【0082】そして、ステップS7では、上記変数gi
とfiから、図6に示すように、各ゲインに応じた次の
ような2次元配列に基づいて、各ゲインc0、c1、c2
を、 c0=c0_Table(fi、gi) c1=c1_Table(fi、gi) c2=c2_Table(fi、gi) として求めるのである。
【0083】次に、図5に示すメインルーチンでは、ま
ず、ステップS11で、入力軸回転センサ64が検出し
た入力軸回転数Niと車速センサ63が検出した車速V
SPを所定の定数で除した値を、実変速比iとして算出
する。
【0084】ステップS12では、実変速比iと上記図
2の制御出力vから、パワーローラのY軸方向変位(図
15参照。図示しないトラニオンの駆動量)を推定し、
この推定値に微分ゲインC2を乗じた値PiMOutを
算出する。
【0085】ステップS13では、目標変速比i*と実
変速比iの偏差eの積分値(図2の積分器74の出力)
に積分ゲインC0を乗じた値と、偏差eに比例ゲインC1
を乗じた値とを加算してから、ステップS12で求めた
PiMOutを減算して制御出力vを演算する。
【0086】そして、ステップS14では、制御出力v
に変速比iの関数である上記(4)式の偏微分導関数を
乗じて、
【0087】
【数17】
【0088】制御出力v’を得る。
【0089】一方、ステップS15では、実変速比iか
ら逆関数h-1(φ)より傾転角度φを得て、これにカム
比aを乗じたものをカム相殺フィードバックccとして
演算する。
【0090】そして、ステップS16では、上記制御出
力v’にカム相殺フィードバックccを加算して、制御
指令値uを求め、ステップS17では、目標変速比i*
に対応する傾転角度φと実変速比iに対応する傾転角度
の偏差を解消するよう、図示しない変速制御弁のバルブ
変位量(開口量)を求めるとともに、このバルブ変位量
に対応するステップ数STPをステップモータ4へ指令
する。
【0091】したがって、上記図2、図3に示したよう
に、傾転角度φに対応する変速比iの逆関数h-1(i)
と、上記(4)式の偏微分導関数から、非線形フィード
バックを構成することで、変速比iと傾転角φの非線形
性を補償することが可能となって、制御特性を図13に
示すように、線形理論値にほぼ一致させることができ、
前記従来例のように、上記非線形性による誤差などの悪
影響を抑制し、線形制御系によって高精度かつ高速度で
変速比制御を行うことが可能となる。
【0092】そして、目標値を変速比とすることで、例
えば、変速比とプーリ幅の関係が非線形となるVベルト
式無段変速機で得た知見を、トロイダル型無段変速機へ
容易に適用することができ、変速制御装置の設計に要す
る労力を低減することができる。
【0093】図9〜図11は、第2の実施形態を示し、
前記第1実施形態の、逆関数演算部77とカム比aの乗
算部を、ステップ変換部75の前段に移動する一方、偏
微分導関数演算部76を廃止したもので、その他の構成
は、前記第1実施形態と同様である。
【0094】この場合、変速制御コントローラ61で行
われる変速制御は、例えば、図11に示すように行われ
る。
【0095】図11において、ステップS11〜S13
までは、前記第1実施形態と同様であり、ステップS1
6’では、ステップS13の制御出力vに、カム相殺フ
ィードバック70からの実変速比iを加えたものから、
逆関数演算部77で、上記図7に示した関数h(φ)の
逆関数h-1(φ)によって、傾転角φを得るとともに、
この値にカム比aを乗じたものを、制御指令値uとして
ステップ変換部75へ入力する。
【0096】そして、ステップS17では制御指令値u
に応じたステップ数STPを、ステップモータ4へ出力
する。
【0097】この場合、図10に示すように、無段変速
機10への指令値をu’とすると、任意の変速比i0
ときには、 u’=ah-1(i0+v) ………(19) であるが、前記第1実施形態のように、偏微分導関数と
逆関数を用いる場合では、図3(A)に示すように、無
段変速機10への制御指令値uは、任意の変速比i0
とき、
【0098】
【数18】
【0099】となる。ここで、系に入力される目標値v
の変化δvが小さい場合には、図12に示すように、上
記制御指令値uとu’はほぼ等しくなり、前記第1実施
形態に近似した制御指令値を得ることができる。
【0100】すなわち、図9において、制御出力vから
変速比iまでの伝達関数、つまり、図9に示す仮想制御
対象79の伝達関数は、
【0101】
【数19】
【0102】で表現できる。
【0103】したがって、外乱がない場合、変速比iが
定常状態になるのは、v=0のときであり、vは外乱を
補正量として作用することが分かる。
【0104】こうして、前記第1実施形態における、カ
ム相殺フィードバック70の逆関数演算部77及びカム
比aの乗算部を、偏微分関数として用いることで、使用
する非線形関数はひとつになって、制御内容を簡素にし
ながらも、得られる制御特性を、図13に示すように、
前記第1実施形態の制御特性に近似させて、線形理論値
に近似した応答を得ることが可能となり、変速制御装置
の設計を容易にするとともに、変速制御コントローラ6
1の演算負荷を低減して、制御の高速化を図ることが可
能となる。
【0105】なお、上記第2実施形態では、上記(2
1)式に示したように、カム比aの分だけ値が大きくな
っているため、図14に示すように、カム比aに応じて
制御出力vに1/aを乗ずる除算部78を設けるか、あ
るいは、制御対象の無段変速機をa倍しておく必要があ
る。
【0106】なお、上記実施形態において、無段変速機
としてトロイダル型を採用した場合について述べたが、
Vベルト式等に適用してもよい。
【0107】Vベルト式無段変速機として、例えば、特
開平9−210158号公報に開示されるように、駆動
側プーリと変速制御弁をリンクによって連結するととも
に、このリンクをステップモータなどのアクチュエータ
駆動することで変速比を制御するものでは、上記実施形
態と同様に、アクチュエータ出力と変速比の関係が非線
形になる。
【0108】したがって、上記実施形態の、傾転角φと
変速比iの関係を、プーリの軸方向移動量(プーリ溝幅
の変化量)と変速比iの関係に置き換えればよく、駆動
側及び従動側プーリのベルト接触部の半径を、それぞ
れ、ri、roとすると、変速比は、 i=ri/ro となる。
【0109】そして、ri、roの関係は、
【0110】
【数20】
【0111】で表すことができ、これを、上記(1)式
の関係と置き換えればよい。
【0112】ただし、Ds:プーリの軸方向移動量 ri0:駆動側プーリの最小半径 ro:従動側プーリのベルト接触部半径 Dc:駆動側と従動側プーリの軸間距離 LB:ベルト周長 β:プーリのシーブ角 である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す無段変速機の変速制
御装置の概念図。
【図2】同じく変速制御コントローラのブロック図であ
る。
【図3】変速制御コントローラの概念図で、(A)は本
発明を示し、(B)は従来例を示す。
【図4】変速制御コントローラで行われるゲイン演算の
一例を示すフローチャートである。
【図5】同じく変速制御の一例を示すフローチャートで
ある。
【図6】ゲイン演算に用いるマップの一例を示すモデル
である。
【図7】傾転角度φに対応した変速比iの関数h(φ)
と偏微分関数の関係を示すマップである。
【図8】同じく、偏微分関数の傾転角度φと係数の関係
を示すマップである。
【図9】第2の実施形態を示す変速制御コントローラの
ブロック図である。
【図10】同じく変速制御コントローラの概念図であ
る。
【図11】変速制御コントローラで行われる変速制御の
一例を示すフローチャートである。
【図12】変速比iと傾転角度φの関係を示すマップで
ある。
【図13】ステップ状に目標変速比を変化させた場合
の、実変速比と時間の関係を示すグラフである。
【図14】他の実施形態を示し、変速制御コントローラ
のブロック図である。
【図15】トロイダル型無段変速機の変速機構の概念図
である。
【符号の説明】
4 ステップモータ 10 無段変速機 20 入力軸 61 変速制御コントローラ 62 スロットル開度センサ 63 車速センサ 64 入力軸回転センサ 65 油温センサ 66 油圧センサ 70 カム相殺フィードバック部 71 傾転角算出部 72 y変位推定部 73 ゲイン算出部 74 積分器 75 ステップ変換部 76 偏微分関数演算部 77 逆関数演算部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 成田 靖史 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 竹田 和宏 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 3J051 AA03 BA05 BD02 BE09 CA03 CA05 CB07 DA09 ED01 FA01 3J052 AA04 AA20 CA21 EA10 FA03 HA13 KA01 LA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクチュエータに連結された油圧制御機
    構を介して駆動される変速機構とを備えて変速比を連続
    的に変更する無段変速機と、 運転状態に応じて前記無段変速機の目標変速比を演算す
    るとともに、実際の変速比と目標変速比の偏差に基づい
    て、実際の変速比が目標変速比に一致するように前記ア
    クチュエータを駆動するフィードバック制御手段とを備
    えた無段変速機の変速制御装置において、 前記フィードバック制御手段は、前記変速機構の駆動量
    と変速比との非線形関係を補償して前記アクチュエータ
    への指令値と変速比の関係を一致または近似させる非線
    形性補償手段を設けたことを特徴とする無段変速機の変
    速制御装置。
  2. 【請求項2】 前記変速機構は、パワーローラの傾転角
    度と変速比の間に非線形性を有したトロイダル型で構成
    され、前記非線形性補償手段は、傾転角度に対する変速
    比を与える関数の逆関数に基づいてメカニカルフィード
    バックを相殺するメカニカルフィードバック相殺手段
    と、目標変速比に応じた値に前記逆関数の偏微分導関数
    を乗じる補償手段とから構成されたことを特徴とする請
    求項1に記載の無段変速機の変速制御装置。
  3. 【請求項3】 前記変速機構は、パワーローラの傾転角
    度と変速比の間に非線形性を有したトロイダル型で構成
    され、前記非線形性補償手段は、傾転角度に対する変速
    比を与える関数の逆関数に基づいてメカニカルフィード
    バックを相殺するメカニカルフィードバック相殺手段
    が、目標変速比に応じた値と実変速比とから前記アクチ
    ュエータへの指令値を補償することを特徴とする請求項
    1に記載の無段変速機の変速制御装置。
  4. 【請求項4】 前記変速機構は、プーリの溝幅と変速比
    の間に非線形性を有したVベルト型で構成され、前記非
    線形性補償手段は、溝幅に対する変速比を与える関数の
    逆関数に基づいてメカニカルフィードバックを相殺する
    メカニカルフィードバック相殺手段と、目標変速比に応
    じた値に前記逆関数の偏微分導関数を乗じる補償手段と
    から構成されたことを特徴とする請求項1に記載の無段
    変速機の変速制御装置。
  5. 【請求項5】 前記変速機構は、プーリの溝幅と変速比
    の間に非線形性を有したVベルト型で構成され、前記非
    線形性補償手段は、プーリの溝幅に対する変速比を与え
    る関数の逆関数に基づいて前記アクチュエータへのメカ
    ニカルフィードバックを相殺するメカニカルフィードバ
    ック相殺手段が、目標変速比に応じた値と実変速比とか
    ら前記アクチュエータへの指令値を補償することを特徴
    とする請求項1に記載の無段変速機の変速制御装置。
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