JP2000018301A - 振動減衰部材 - Google Patents

振動減衰部材

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JP2000018301A
JP2000018301A JP10185484A JP18548498A JP2000018301A JP 2000018301 A JP2000018301 A JP 2000018301A JP 10185484 A JP10185484 A JP 10185484A JP 18548498 A JP18548498 A JP 18548498A JP 2000018301 A JP2000018301 A JP 2000018301A
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vibration damping
joining
internal friction
resin
ceramic
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JP10185484A
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Toshiyuki Ihara
俊之 井原
Takashi Maeda
岳志 前田
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Publication date
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  • Container, Conveyance, Adherence, Positioning, Of Wafer (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Vibration Dampers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】複雑形状品や大型形状品を容易に作製し、しか
も振動減衰特性を向上させることができる。 【解決手段】複数のセラミックス部材を、該セラミック
ス部材よりも内部摩擦の大きい接合材5で接合して振動
減衰部材1を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体関連の製造
装置などの分野において、振動減衰特性を向上させた振
動減衰部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】セラミックスは軽量、高剛性、高強度、
高硬度という特徴を有し、また、耐熱性、耐食性に優れ
ているという特性を活かし、構造部材・耐摩耗部材・耐
食部材として多くの分野で利用されており、半導体製造
装置の分野でも使用されている。
【0003】現在、半導体業界ではLSIの高集積化に
伴い微細化が進み、パターン最小線幅は年々減少してい
る。現在の設計線幅0.35μmであるが1998年に
は0.25μm、2001年には0.18μm、200
4年には0.13μmへ移行すると予想されている。デ
バイスの製作に用いる描画方式は現在の光露光方式であ
るが、将来的には高精度・高品質な処理が可能な電子ビ
ーム描画方式、X線描画方式に変更されるようになると
いわれている。
【0004】一般的に用いられている紫外線を利用した
露光装置は、石英マスク(レチクル)上にあらかじめ形
成されたクロム薄膜のパターンをシリコン基板上の感光
性樹脂膜(レジスト)に縮小転写(通常1/5)するも
のである。このレジストパターンが基板あるいは基板上
の積層膜をエッチングする際のマスク材となる。
【0005】また、ウェハーサイズは、現在の200m
mから2000年もしくは1999年に300mmへの
サイズアップが予定されている。サイズアップに伴う描
画面積の増大のため、より高精度な対応と高速描画対応
の2点が半導体製造装置に望まれる。
【0006】これまでの200mm以下のウェハー対応
半導体製造装置では、ソフト面からのバックアップ等で
使いこなすことができたがウェハーサイズアップ、線幅
の微細化対応により、対応できなくなった。そこでシス
テム全体の見直しを行うこととなった。
【0007】半導体製造装置は、およそ照明系・駆動系
・支持系の3つの要素からなるといえる。共通して言え
ることであるが特に駆動系は、熱・振動・磁場の発生源
であり、装置の設計は次のような方針で行う。
【0008】各部の温度制御を±0.1℃とする。低
熱膨張材料から構成すること 非磁性材料から構成すること 長寿命であること 小型であること 構造が簡単なこと 材料の加工性がよいこと 耐摩耗性に優れること 以上の設計方針を満足し、低熱膨張・高剛性という特性
を活かして半導体製造装置の部品の材質としてセラミッ
クスが選定されている。
【0009】更に半導体製造装置の部材には、スループ
ット向上のため固有振動数の高い部材が求められる。固
有振動数の値が低いと共振が発生しやすくなり、ウェハ
ーの位置決めに要する時間が長くなるため、スループッ
トを上げることが難しくなる。しかも、固有振動数が高
いままに減衰特性が優れる複雑形状をした構造体が要求
されている。
【0010】振動の影響は、装置精度がnmオーダーの
精度を問題としているため、振動の安定に要する時間が
描画時間の長さに反映される。従って、高速描画対応は
装置の駆動系から発生する振動をすみやかに減衰するこ
とが必要な条件となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところが、セラミック
スで半導体製造装置用部材を構成する場合、大型化への
対応が困難であるという問題があった。
【0012】即ち、上述したようにウェハの大型化に伴
い、半導体製造装置の大型化が求められているが、セラ
ミックスはその製造工程上、大型品を製造することが難
しく、振動減衰特性に優れ、かつ大型のセラミックス部
材を得ることは困難であった。
【0013】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は、複数の
セラミックス部材を、該セラミックス部材よりも内部摩
擦の大きい接合材を用いて接合し、内部摩擦5×10-4
以上、固有振動数400〜4000Hzの振動減衰部材
を構成したことを特徴とする。
【0014】即ち、複数のセラミックス部材を接合する
ことによって、大型品を容易に作製するとができ、しか
もこの接合材として内部摩擦の大きいものを用いること
によって、全体の振動減衰特性を向上させることがで
き、大型の振動減衰部材とすることができるのであ
る。。
【0015】また、上記振動減衰部材は、厚み方向で1
/2〜1/4に分割する部分に接合面を有し、該接合面
の少なくとも25%以上に接合材を介在させることが好
ましい。
【0016】また、上記接合材は、フェノール樹脂、エ
ポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹
脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキド樹脂等の硬化性
樹脂を主剤とし、好ましくは上記樹脂100重量部に対
し、40重量部以下のポリアミドアミンを含むものを用
いれば良い。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を説明す
る。
【0018】図1に示す振動減衰部材1は、セラミック
ス製の第1部材2、第2部材3を、このセラミックスよ
りも内部摩擦の大きい接合材5で接合し、内部に中空部
4を備えたものである。
【0019】このように複数のセラミック部材を接合す
ることによって、大型品や複雑形状品を容易に形成する
ことができ、詳細を後述するように、振動減衰特性を向
上させることができる。また、上記中空部4を備えるこ
とで、軽量化するとともに、配線配管を施すことができ
る。
【0020】この振動減衰材1は、例えば半導体製造装
置のステージ、スライダー等、外部に電気配線、エア配
管を有していたものを中空部4に内装することが可能と
なり、装置をコンパクトに設計することができる。
【0021】また、他の実施形態として図2に示すよう
に、中空部4を外部に開口した形状とすることもでき
る。
【0022】これは、例えば、半導体製造装置のレチク
ルステージ、ウェハーステージ等の駆動部品に用いるこ
とにより、軽量化することで高速駆動を可能とすること
ができる。
【0023】さらに他の実施形態として、図3(a)に
示すように、定盤を第1部材2とし、支持台を第2部材
3として、両者を接合材5で接合することもできる。こ
のようにすれば、支持台を備えた定盤を容易に作製する
ことができ、しかも振動減衰効果を付与することができ
る。これは、例えば、半導体製造装置の定盤関連部材に
応用することができる。
【0024】さらに他の実施形態として、図3(b)に
示すように、緻密質セラミックスからなる2つの第1部
材2、2の間に、多孔質セラミックスからなる第2部材
3を挟み込み、それぞれの間を接合材5で接合すること
もできる。このような構造とすれば、表面は緻密で、か
つ軽量化した部材とすることができる。
【0025】以上のように本発明の振動減衰部材は、セ
ラミックスとセラミックスの間に内部摩擦の大きい接合
材5、具体的には樹脂・ラバー・ガラス等の低密度・低
ヤング率材料をはさんだサンドイッチ構造としたもので
ある。そして、この接合材5として内部摩擦の大きい材
質を用いることによって、詳細を後述するように、振動
減衰特性を向上させることができる。
【0026】本発明における内部摩擦とは、外部から固
体に加えられた変形エネルギーの一部が熱運動のエネル
ギーに変化する現象であり、内耗ともいう。振動のよう
な周期的な外力の場合、1サイクル中に失われるエネル
ギーの全弾性エネルギーに対する比として定義される。
複素関数で表した応力XとひずみYとの間に線形関係X
=GYが成り立つときは、応答関数Gの虚数部と実数部
の比Q-1が内部摩擦の尺度となる。非線形系では、Q-1
は応力振幅に依存する。
【0027】内部摩擦の大きい材料は、外力の変形エネ
ルギーを内部で熱エネルギーに変換しやすいといえる。
振動が外力として加わる場合、見かけ上振動は速やかに
収束する。即ち、振動減衰特性は増す傾向となる。
【0028】内部摩擦は、次式で表すことができる。
【0029】内部摩擦:Q-1 = △F/1.73Fres △F:半値幅 共振ピーク値の半分の値となる2点の差
(幅)を指す。半値全幅ともいう。
【0030】Fres :固有振動数 式より、内部摩擦は、半値幅に比例し、固有振動数に反
比例することが分かる。すなわち、内部摩擦を大きくす
る場合は、固有振動数の値が小さい材質を選定すれば良
い。
【0031】具体的な内部摩擦の測定方法は、被測定部
材を細い棒状や薄板状とし、2本の吊糸に吊るし、一方
からスピーカーで振動を導入して試料を横振動させ、他
方にピックアップを付けるかマイクロホンを用いて振動
を検出し、導入する周波数を変化させながら1次の固有
振動数と半値幅を求める。実際の固有振動数データの例
を図4に示す。1次の固有振動数であるかどうかは、試
料の長手方向に検出器を移動して、振動の節を確認する
ことで対応できる。
【0032】以上の方法で得られた各種材質の内部摩擦
のデータを表1に記す。アルミナ等の各種セラミックス
と真鍮は5×10-4以下となり、振動減衰特性は高くな
い。これに対し、他の金属材は上記セラミックスよりも
内部摩擦が大きく、また表には示していないが各種樹脂
はさらに内部摩擦が大きい。したがって、本発明では、
セラミックスを内部摩擦の大きい接合材で接合すること
によって、その振動減衰特性を向上できるようにしたの
である。
【0033】
【表1】
【0034】また、セラミックスの振動特性における固
有振動数は、次式で表される。
【0035】 固有振動数:ω ∝ √(E/ρ) E:ヤング率 ρ:密度 すなわち、固有振動数はヤング率に比例し、密度に反比
例することがわかる。従って、セラミックス部材の固有
振動数を大きくしたい場合は、ヤング率の大きな材質又
は密度の小さい材質を選定すればよい。
【0036】ただし、部材の設計では、振動減衰時間が
小さくできるよう配慮が必要となる。また、部材設計と
しては、図1、2に示すような中空構造とすることによ
り、重量を軽減することで、位置決めの時の制止動作に
よる慣性力が小さくできることにより短時間で位置決め
が可能となり、生産能力を向上することができる。
【0037】中空構造とした複雑な構造体として、更に
減衰特性を向上させる視点から、ヤング率が低く、密度
も小さい接合部材を組み合わせることで固有振動数が高
いまま、内部摩擦が大きく減衰特性に優れる構造体を得
ることが可能となる。
【0038】本発明で用いるセラミックスは、比較的安
価で製作が可能で現在最も多く半導体製造装置用部材と
して用いられているアルミナセラミックスが好ましい。
このアルミナセラミックスは、純度95%以上で、焼結
助剤としてマグネシア、シリカをそれぞれ0.2重量部
〜3重量部の範囲で添加されたものとし、密度3.8以
上とし、結晶粒径2〜20μmのものを使用する。
【0039】このようなアルミナセラミックスは、耐摩
耗性、耐腐食性に優れるが内部摩擦5×10-4未満であ
り振動減衰特性は劣るものである。そこで、この特性を
補うために本発明では、部材を分割製作し、次の接合材
を使用して接合処理を行うこととした。
【0040】接合材には、エポキシ樹脂、フェノール樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ジア
リルフタレート樹脂、アルキド樹脂、ラバー、ガラス、
はんだ等の内部摩擦5×10-4以上のものを用いる。こ
れらのうち、接合部材の用途に合わせ、強度、剛性、耐
腐食性、耐熱性等の条件で満足する接合材を選定する。
【0041】また、接合材として樹脂を用いる場合は、
硬化材を加えるが、硬化材は、同様に接合部材の使用条
件を満足し、毒性の少ないものを選定することが重要で
ある。硬化剤の添加量は、硬化時間と接合強度に他に影
響を与える。硬化剤添加は数重量%でも硬化は進行する
が硬化完了までに非常に長時間要し、生産効率が低下
し、また、接合強度は低い。逆に多すぎた場合、数十分
で硬化が完了するため、いわゆる接合作業ができなくな
ってしまう。このような点から、硬化材としてはポリア
ミドアミンを用い、添加量は40重量%以下で調整する
ことが作業性、接合強度とも良好な仕様である。ちなみ
に、エポキシ樹脂にポリアミドアミン40重量%で硬化
に8時間要する。
【0042】なお、本発明の振動減衰部材を成すセラミ
ックスとしては、アルミナ以外に、窒化珪素、炭化珪
素、コージェライト、ジルコニア、チタニアも接合処理
が可能な素材である。
【0043】次に本発明の振動減衰部材の製造方法を説
明する。
【0044】振動減衰部材の製造方法は、先ず所定形状
のセラミックス部材を作製し、この部材の接合面を平面
度0.01mm以下、表面粗さ0.2μm以下に仕上げ
る。特に平面度は接合厚みムラを生ずる最も大きい要因
となるので特に精度維持が重要である。また、接合面に
は、加工による油膜や目に見えない有機物が付着してい
るため、アセトン等の有機溶剤で事前に処理行う。望ま
しくは400〜500℃で熱処理するとそれら有機物は
完全に除去することができる。
【0045】次に接合材を用意するが、接合材の調整
は、少量で有ればビーカー等の小容器内でスパチュラー
等で攪拌すれば良いが、大量に必要な場合は、所定の混
練機を使用する。添加量は混練から接合に要する時間で
硬化が進行しない量に調整する。硬化の目安は、約8時
間で硬化完了する仕様で樹脂に対し約40%となる。
【0046】次に、接合材を上記部材の接合面に塗布す
るが、部材が小さければスクリーンの#150〜#25
0を使用して行う。少量で有れば、スパチュラー等で塗
布し摺り合わせでも対応できる。
【0047】その後、各部材の接合面同士を当接し、
1.0〜1.5kgf/cm2 相当の荷重を接合面に対
して垂直方向に加え硬化を待つ、また、硬化を加速させ
るので有れば室温から100℃の範囲で加熱することが
有効である。以上の作業で接合は完了となる。
【0048】上記接合材の最終的な厚みは0.2mm以
下の範囲とすることが好ましい。これは、0.2mmを
超えると接合強度が急激に低下するためである。また、
接合材の厚みは0.1mm以上としておけば、さらに好
適である。この範囲内であれば、接合強度は、引っ張り
剪断強さで表して170〜180kgf/cm2 とな
る。
【0049】なお、本発明の振動減衰部材は、上記のよ
うに複数の部材を接合したものであるが、その接合面
は、振動減衰部材の厚さの1/2の部分で行うことが好
ましい。これは、振動が加わったときの振れを均等にす
ることがその理由である。1/2の部分に接合面をとれ
ないような場合でも、少なくとも、振動減衰部材の1/
4の部分を接合面とすることが好ましい。これは、特に
中空構造の場合、接合面の境界に振動による応力が集中
しやすく、破損の原因となるためである。
【0050】したがって、振動減衰部材の接合面の位置
は、部材厚みの1/2〜1/4としておくことが好まし
い。
【0051】また、上記接合材は、接合面の25%以上
の領域に塗布しておくことが好ましい。これは、25%
未満であると、振動が加わったときに剥がれる恐れが生
じるためである。
【0052】以上のようにして作製された本発明の振動
減衰部材は、全体としての内部摩擦が5×10-4以上、
固有振動数400〜4000Hzであることが好まし
い。これは、内部摩擦が5×10-4未満であると振動減
衰特性を高めることができないからであり、また、固有
振動数400Hz未満では共振が発生しやすくなるため
であり、4000Hzを超えると部材の重量過多となる
ためである。
【0053】また、第1部材2、第2部材3を成すセラ
ミックスの厚みが薄いと、接合後にそりが生じやすいた
め、各部材の厚みは1.5mm以上としておくことが好
ましい。
【0054】
【実施例】以下に本発明の実施例を述べる。
【0055】実施例1 アルミナセラミックスはアルミナ純度99.5%の材料
を使用した。接合試験片は、振動特性における内部摩擦
を測定する形状10×80×2mmとした。図5に示す
ように10×40×2mmの形状の第1部材2、第2部
材3を長手方向に接着材5で接合し、10×80×2m
mとした接合試験片を用いて、固有振動数及び内部摩擦
の評価を行った。
【0056】接合材5にはエポキシ樹脂を選定し、硬化
材は、毒性がなく取り扱いの容易なポリアミドアミンを
用いた。エポキシ樹脂100重量%に対し、ポリアミド
アミン40重量%添加し、攪拌処理したものを接合材5
として使用した。この接合材5を第1部材2、第2部材
3のそれぞれ接合面(10×2mm面)にへらを使用し
て塗り残しが無いように厚めに塗布した。なお接合面
は、塗布前にアセトンを使用して脱脂処理を行った。そ
の後、平面度0.01mm以下に仕上げられた作業台上
で両部材の接合面を対向圧着させ、はみ出した接合材を
除去した後、半日、室中で硬化処理行った。最終的な接
合材5の厚みは0.12〜0.13mmであった。
【0057】また、比較例として同形状試験片をガラス
接合で製作した。接合材5のガラスは、ペースト状に調
整したものを使用した。このガラスペーストを上記各部
材の接合面(10×2mm面)に塗布し、平面度0.0
1mm以下に仕上げた作業台上で同様にして準備された
部材と対向圧着した後、熱処理行い、接合体が得られ
た。熱処理条件は、室温から1000℃まで緩やかな昇
温速度で上昇させた後、炉冷行う仕様とした。
【0058】さらに、比較例として、図5の第1部材
2、第2部材3を接合したものと同じ寸法の試験片を上
記と同じアルミナセラミックスで一体的に形成した。
【0059】なお、アルミナセラミックスの内部摩擦は
5×10-4以下であり、今回用いたガラスの内部摩擦は
これよりも若干小さいものであった。また、エポキシ樹
脂の内部摩擦は300とアルミナセラミックスよりも格
段に大きいものであった。
【0060】上記各試験片について、全体の内部摩擦と
固有振動数を測定した。測定測定は、試験片を図5に示
すように接合層を跨ぐように2本のワイヤーで吊し、一
方のワイヤーに2000Hzの振動を加え、反対のワイ
ヤーから伝搬されてくる振動を検出する。そして、図4
に示されるようなオシロスコープの波形から、固有振動
数Fres と半値幅△Fを算出する。得られた測定値を前
述の計算式を用いて、計算を行うことで内部摩擦係数が
得られる。
【0061】測定結果を表2に示す。この結果より、比
較例として内部摩擦がアルミナセラミックスよりも若干
小さいガラスの接合材を用いたものでは、全体をアルミ
ナセラミックスで一体的に形成したものに比べて、全体
の内部摩擦が大きくならず、振動減衰特性を向上できな
かった。
【0062】これに対し、本発明実施例である、エポキ
シ樹脂で接合したものでは、全体をアルミナセラミック
スで一体的に形成したものに比べて、6〜7倍の内部摩
擦を有することが確認でき、そのため振動減衰特性を向
上できることも確認できた。また、全体の固有振動数は
3086Hzと好適な範囲内であった。
【0063】
【表2】
【0064】実施例2 上記実施例と同様のアルミナセラミックスを使用して3
00×450×20mmのステッパー用ステージ部材を
製作した。
【0065】なお、ステッパーとは、半導体のシリコン
ウェハー上にパターンを描画行うためにX−Y軸(一部
Z軸含む)でステップアンドリピート動作を繰り返すた
めのステージであり、ここで製作したステージは、シリ
コンウェハーを装着するステージ全体の最上部に位置す
る部材を指す。
【0066】ステージは、図2に示す構造として、接合
材5として上記と同様のエポキシ樹脂を用い、接合面の
全面で接合するようにした。各部材の接合面は、塗布前
にアセトンを使用して脱脂処理を行い、両方の部材にス
クリーン印刷で接合材5を塗布した。その後、接合面を
対向させ、加圧力1kgf/cm2 で圧着し、20分保
持した後、室中で半日保持した。
【0067】また、比較例として、上記と同様に、アル
ミナセラミックスよりも内部摩擦の小さいガラスからな
る接合材で接合したもの、全体をアルミナセラミックス
で一体的に形成したものを用意した。
【0068】以上の仕様にて、得られたサンプルから、
図6に示すような単純形状の試験片を切り出し、実施例
1同様に評価を行った。結果は表3に示す通りである。
【0069】この結果より、ガラスで接合した比較例で
は、内部摩擦を大きくすることができず、振動減衰特性
を向上できなかったのに対し、エポキシ樹脂で接合した
本発明実施例では、アルミナセラミックスで一体的に形
成したものに比べて5倍以上の内部摩擦を有し、振動減
衰特性も向上できることが確認できた。また、本発明実
施例の固有振動数は480Hzと、好ましい範囲内であ
った。
【0070】
【表3】
【0071】実施例3 上記と同様のアルミナセラミックスを用いて、300×
450×20mmのステッパー用ステージ部材を製作し
た。構造は図1に示すものとし、内部に温度調節用の配
管を施すための高さ3mmの中空部4を備えた。また、
図1では厚み方向の1/2の位置に接合面を備えたが、
この実施例では、厚み方向の1/4となる部分に接合面
を備える構造とした。
【0072】接合材5は上記と同様のエポキシ樹脂を用
い、接合材5を塗布する面積は全面積の25%とした。
接合面は、アセトンを使用して脱脂処理を行い、洗浄し
た後、スクリーン印刷で接合材を塗布した。次に、接合
面を対向させ、加圧力1kgf/cm2 で圧着し、20
分保持し、室中で半日保持した。
【0073】また、比較例として、上記と同様に、アル
ミナセラミックスよりも内部摩擦の小さいガラスからな
る接合材で接合したもの、全体をアルミナセラミックス
で一体的に形成したものを用意した。
【0074】以上の仕様にて、得られたサンプルから、
図6に示すような単純形状の試験片を切り出し、実施例
1同様に評価を行った。結果は表4に示す通りである。
【0075】この結果より、ガラスで接合した比較例で
は、内部摩擦を大きくすることができず、振動減衰特性
を向上できなかったのに対し、エポキシ樹脂で接合した
本発明実施例では、アルミナセラミックスで一体的に形
成したものに比べて5倍以上の内部摩擦を有し、振動減
衰特性も向上できることが確認できた。また、本発明実
施例の固有振動数は470Hzと、好ましい範囲内であ
った。
【0076】
【表4】
【0077】なお、以上の実施例では接合材としてエポ
キシ樹脂を用いたが、その他の樹脂やさまざまな材質を
用いることができる。例えば、ガラスであってもセラミ
ックスより内部摩擦の大きいものを接合材として用いれ
ば、全体の内部摩擦を大きくして振動減衰特性を向上す
ることができる。
【0078】また、上記実施例では、2つの部材を接合
した例を示したが、3つ以上の部材を接合することもで
きる。
【0079】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、複数の
セラミックス部材を、該セラミックス部材よりも内部摩
擦の大きい接合材で接合して振動減衰部材を構成したこ
とによって、複雑形状品や大型形状品であっても、単純
形状の部材を接合することで容易に作製することがで
き、しかも全体の内部摩擦を大きくして振動減衰特性を
向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の振動減衰部材を示す斜視図である。
【図2】本発明の振動減衰部材の他の実施形態を示す斜
視図である。
【図3】(a)(b)は本発明の振動減衰部材の他の実
施形態を示す斜視図である。
【図4】内部摩擦を求めるための振動数と振幅の関係を
示すグラフである。
【図5】内部摩擦を求めるための試験片の構造を示す図
である。
【図6】内部摩擦を求めるための試験片の構造を示す図
である。
【符号の説明】 1:振動減衰部材 2:第1部材 3:第2部材 4:中空部 5:接合材
フロントページの続き Fターム(参考) 3J066 AA14 AA26 BC01 BD05 BD10 BE06 4F100 AA19 AD00A AD00B AK33C AK36C AK41C AK44C AK46C AK46H AK53C AL05C AR00C BA03 BA06 BA10A BA10B BA13 CA02 GB51 JB12C JH02 JK16C JL11C YY00 YY00C 5F031 AA02 FF03 KK04 5F046 AA23 CC01 CC02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のセラミックス部材を、該セラミック
    ス部材よりも内部摩擦の大きい接合材を用いて接合し、
    全体の内部摩擦5×10-4以上、固有振動数400〜4
    000Hzであることを特徴とする振動減衰部材。
  2. 【請求項2】厚み方向で1/2〜1/4に分割する部分
    に接合面を有し、該接合面の少なくとも25%以上に接
    合材を介在させたことを特徴とする請求項1記載の振動
    減衰部材。
  3. 【請求項3】上記接合材がフェノール樹脂、エポキシ樹
    脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ジア
    リルフタレート樹脂、アルキド樹脂等の硬化性樹脂を主
    剤としたことを特徴とする請求項1記載の振動減衰部
    材。
  4. 【請求項4】上記接合材が樹脂100重量部に対し、4
    0重量部以下のポリアミドアミンを含むことを特徴とす
    る請求項4記載の振動減衰部材。
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