JP2000017274A - 重質油の水素化処理方法 - Google Patents
重質油の水素化処理方法Info
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Abstract
素化処理方法の提供。 【解決手段】 再生触媒層と新触媒層が交互に配置され
少なくとも3層からなる、または再生触媒と新触媒とか
らなり両者の混合触媒層を有する反応層を用いて重質油
を水素化処理する方法。
Description
方法に関するものである。さらに詳しくは触媒の一部に
再生触媒を用いて重質油を水素化処理する方法に関する
ものである。
処理により精製する工程は多数ある。ナフサ、灯油、軽
油等の脱硫脱窒素や、重質軽油の脱硫脱窒素、分解、さ
らには残油、重油の脱硫脱窒素などがある。そのうちで
も、比較的沸点が低く、バナジウム等の金属不純物含有
量のほとんどないナフサや灯油、軽油を処理する水素化
処理工程に用いられる触媒は使用による劣化の度合いが
少ない。
とんど少量の炭素質の蓄積によるものであり、これを燃
焼等により除去してやれば再使用可能であった。さらに
炭素質の除去についても、触媒上の炭素質の量が少ない
ため厳密な燃焼制御は必要としないで再使用可能な触媒
がえられる。また、一旦使用した触媒でも劣化の度合い
が少ない触媒もあり、このようなものはそのまま再使用
できる。これらの触媒は特別の注意を払うことなく再度
ナフサ、灯油、軽油等の処理に用いられている。
処理触媒についても、再生等により再使用をしている
が、その再生、使用方法についても確立されている。た
とえば、重質軽油水素化分解プロセスにおいては水素化
分解触媒も、その前処理のための水素化脱窒素触媒も水
素賦活または酸素賦活により再生使用できることが知ら
れている。
触媒は、処理原料油中に金属不純物はほとんどないの
で、触媒上にも原料に起因するバナジウム等の金属の堆
積は少ない。また、炭素質の堆積も少ないだけでなく、
炭素質の質も燃焼させ易いものであり燃焼による再生時
にも触媒表面はそれほど高温にならず、触媒担体の細孔
構造や活性金属相の担持状態等の変化も小さく、再度重
質軽油や減圧軽油等の留出油の処理に使用することはで
きていた。(Stadies in Surface
and Catalysis vol.88 P199
(1994))しかし、残渣油のようなさらに沸点の高
い、あるいは蒸留できない留分を含む重質油の水素化処
理においては、原料油中に含まれる金属不純物やアスフ
ァルテン分等の炭素質化し易い成分が多く、これらが使
用済み触媒上に多量の金属分や炭素質を堆積させる。ま
た、質的にも金属分と炭素質が同時に蓄積した使用済み
触媒は簡単には炭素質の燃焼除去ができなかった。(C
atal.Todayvol.17 No.4 P53
9(1993),Catal.Rev.Sci.En
g.33(3&4)P281(1991))このため、
これらの使用済み触媒は再利用されることはなく処分さ
れていた。
水素化処理プロセスにおいて使用により失活し、利用さ
れてずに廃棄されていた触媒を、再生処理し有効に活用
する重質油の水素化処理方法を提供することを目的とす
る。
結果、重質油等の水素化処理プロセスにおいて使用によ
り失活した触媒を、再生処理し、同時に使用する新触媒
との組合せ方法を最適化することにより好適な水素化処
理効果が得られることを見い出した。さらには、再生処
理を施して付着した不純物量や物理性状が特定の範囲内
に制御された触媒がとくに有効であることを見出し、こ
の知見に基づいて本発明を完成したものである。
ある。 (1) 再生触媒層と新触媒層が交互に配置され、少な
くとも3層からなる反応層を用いて重質油を水素化処理
する方法。 (2) 再生触媒層における、水素化処理のための原料
油の液空間速度(LHSV)が1H-1より大きくなるよ
うにした(1)記載の重質油を水素化処理する方法。
なくとも両者の混合層を有する反応層を用いて重質油を
水素化処理する方法。 (4) 再生触媒の充填量が5〜80%、新触媒の充填
量が20〜95体積%である(1)〜(3)のいずれか
に記載の重質油を水素化処理する方法。 (5) 再生触媒のバナジウム含有量が35重量%以下
である(1)〜(4)のいずれかに記載の重質油を水素
化処理する方法。
%以下である(1)〜(5)のいずれかに記載の重質油
を水素化処理する方法。 (7) 再生触媒の比表面積が60〜200m2/gである
(1)〜(6)のいずれかに記載の重質油を水素化処理
する方法。 (8) 再生触媒の細孔容積が0.3〜1.0cc/gであ
る(1)〜(7)のいずれかに記載の重質油を水素化処
理する方法。
デン、タングステン、コバルトおよびニッケルのうち少
なくとも一種類の金属種を担持した触媒を鉱油の水素化
処理に使用した後、再生処理したものである(1)〜
(8)のいずれかに記載の重質油を水素化処理する方
法。 (10) 酸化物担体がアルミナで担持金属種がニッケ
ルおよびモリブデンである(9)記載の重質油を水素化
処理する方法。
けい素の酸化物のうちの少なくとも一種類を含むアルミ
ナで、担持金属種がニッケルまたはコバルト、およびモ
リブデンである(9)記載の重質油を水素化処理する方
法。 (12) 担持金属種であるニッケルまたはコバルトの
含有量が0.1〜10重量%、およびモリブデンの含有
量が0.1〜25重量%の範囲にある、(9)〜(1
1)のいずれかに記載の重質油を水素化処理する方法。
説明する。本発明は、触媒を充填した反応層中で重質油
を水素化処理するにあたり、再生触媒と新触媒を特定の
触媒配置で使用することを特徴とする水素化処理方法で
ある。すなわち、ひとつの態様としては反応層に充填す
る触媒の配置を、再生触媒層と新触媒層を3層以上交互
に組み合わせて配置した触媒を用いて重質油を水素化処
理する方法である。(請求項1に対応する態様) この態様の最も基本的なものは図1のケース1および図
2のケース2に示す触媒配置である。ケース1の組合せ
配置は重油の水素化脱硫の場合には最も一般的であり、
上流側から新触媒層(重油の水素化脱硫の場合には脱金
属触媒と脱硫触媒の組合せが好適である。)、再生触媒
層(重油の水素化脱硫の場合には脱硫触媒層)、新触媒
層(重油の水素化脱硫の場合には脱硫触媒層)となって
いる。
ら再生触媒層、新触媒層、再生触媒層となっている。重
質油の水素化分解処理の場合などに適した組合せであ
る。すなわち、最初の再生触媒層は脱金属能の十分残存
している再生触媒を、次の新触媒層は新しい水素化分解
触媒を、最後の再生触媒層は脱硫等の後処理触媒の再生
品を配置することができる。
重質油を十分に水素化処理するためには触媒層での重質
油の液空間速度(LHSV)を小さくし、反応層での滞
留時間を十分にとってやる必要がある。しかし、再生触
媒層での重質油の滞留時間があまり長いと熱分解や炭素
質の生成など好ましくない反応が進行する場合がある。
これを避けるためには一つの再生触媒層で一定の滞留時
間になったら、重質油の水素化能の大きい新触媒で十分
水素化して熱分解や炭素質の生成など好ましくない反応
が進行しにくいものに変化させてやることが好ましい。
そのためには再生触媒層と新触媒層を3層以上組み合わ
せた配置とし、一つひとつの再生触媒層のLHSVが1
H-1以上好ましくは1.5H-1以上とすることが望まし
い。
のような場合の配置方法である。また、ケース3および
ケース4は異なった機能の触媒を層状に充填する場合に
それぞれに再生触媒を利用するための方法でもある。現
実の重質油の水素化処理装置たとえば水素化脱硫装置で
は図5のケース5や図6のケース6のように反応器が2
個以上(図5、図6の場合は3個)の場合が多い。その
ような場合は反応器ごとに新触媒や再生触媒を充填した
新触媒層、再生触媒層としてもよいし、反応器の中に新
触媒層や再生触媒層を設けてもよい。特に、ケース6の
触媒層の配置方法は重質油の水素化脱硫装置では好まし
い水素化処理結果を期待できる。
と新触媒の両者を混合した混合層を持つ触媒配置を用い
て重質油を水素化処理する方法がある(請求項3に対応
する態様)。図7のケース7に示す触媒の充填、配置方
法が基本形である。この応用として、図8のケース8、
図9のケース9がある。また、図10(ケース10)は
ケース1およびケース7の応用である。ここでは、
(a)および(c)で構成されているが、(a)のかわ
りに(b)としてもよい。さらに反応器が多数の場合に
は図11、図12のような態様でもよい。図12の態様
の場合はそれぞれの混合層の再生触媒と新触媒の比率は
異なっていてもよい。また、ひとつの混合層のなかでの
再生触媒と新触媒の比率が異なっているような触媒の配
置方法でもよい。勿論、再生触媒のみの触媒層があって
もよい。
ろな目的で重質油の処理が行われている。主目的として
は脱硫、分解などが多いが、これらの場合でも生成油の
金属分や窒素分を低減させる目的も兼ねている場合が多
い。たとえば、重油製造のための脱硫プロセスでは、製
品重油の硫黄含有量のほか、窒素含有量、金属分含有量
は重要な品質管理項目と成っている場合が多い。また、
重質油脱硫プロセスはガソリン製造用の接触分解プロセ
スの前処理用に利用されることがあるが、接触分解用の
原料としては硫黄分だけでなく金属分、窒素分、重質芳
香族分等の低減も重要な要素である。また、水素化分解
プロセスのように分解触媒の触媒毒となる原料油中の窒
素化合物を予備的に脱窒素反応により除去する場合もあ
る。
ように各種の水素化処理を言い、脱硫反応、脱金属反
応、脱窒素反応、分解反応などを主目的としている場合
はもちろん、これらのひとつと他の反応とを同時に行わ
せたり、他の反応の前処理や後処理をも含む。また、反
応層中に充填する触媒とはひとつの機能のみを目的とし
ているものを言うだけでなく、たとえば脱硫、脱スケー
ル、脱金属を目的としている触媒や脱窒素反応を兼ねて
いる触媒も含む。
に前後に組み合わせた反応層にくらべ、重質油の水素化
脱硫反応も水素化脱窒素反応も水素化脱金属反応をも好
適に進行させることができる。具体的に説明すると、反
応層中の前段に新触媒層、後段に再生触媒層を配置して
重質油の水素化処理をすると脱硫反応、脱金属反応は好
適に進むが脱窒素反応は進み難いという現象があった。
逆に、反応層中の前段に再生触媒層、後段に新触媒層を
配置して重質油の水素化処理をすると脱窒素反応は好適
に進むが脱硫反応、脱金属反応は進み難い。本発明の触
媒配置をとることにより両者の欠点を補って全ての水素
化反応を効率よく進めることができる。
するには、再生触媒が多すぎては不都合である。新触媒
を触媒層全体の20%(触媒の充填状態での体積%を言
う、以下同じ)以上、できれば40%以上使用すること
が好ましい。逆に再生触媒を5%以上、好ましくは10
%以上使用していないと触媒の配置による水素化処理の
効果の向上は顕著ではない。
油、減圧残油などの蒸留残渣分を含むものを言い、灯
油、軽油、減圧軽油などの留出油のみからなるものは含
まない。通常、重質油中には硫黄分1重量%以上、窒素
分200重量ppm以上、残炭分5重量%以上、バナジ
ウム5ppm以上、アスファルテン分0.5%以上がふ
くまれている。たとえば、前記常圧残油等の他原油、ア
スファルト油、熱分解油、タールサンド油あるいはこれ
らを含む混合油などがあげられる。なお、本発明におけ
る水素化処理プロセスとは固定床反応器を用いるもので
あり、移動床や沸騰床などの反応形式のプロセスは想定
していない。ただし、反応物の流れとしては上昇流でも
下降流でもよい。
につき説明する。まず、新触媒とは鉱油、好ましくは重
質油の脱硫、脱メタル、脱窒素、分解などの水素化処理
触媒として製造されたものや、脱硫、脱メタル、脱窒
素、分解などの水素化処理活性を同時に持つものでもよ
い。一般に市販されている水素化脱硫触媒、水素化脱メ
タル触媒などでもよいし、水素化処理機能を持った触媒
を特別に製造したものでもよい。
用されていないものはもちろん、一旦水素化処理に使用
されたが装置上のトラブル等のため短期間で使用を中断
し、再度そのまま使用するものも含む。すなわち、一時
的に使用されても特別の賦活処理をしなくとも、当初か
ら想定されている水素化処理活性がまだ十分にある触媒
も含まれる。
の水素化処理に使用し、そのままでは十分な水素化処理
活性が得られなくなった触媒(使用済み触媒と言う。)
を再生処理により賦活したものである。水素化処理は脱
硫処理が一般的であるが、脱金属、脱窒素、脱芳香族、
分解などの水素化処理でもよい。また、重質油の処理が
一般的だが、重質軽油等の留出油の水素化処理に使用さ
れた使用済み触媒を再生処理したものでもよい。再生触
媒が重質油の水素化処理に利用できればよい。
去、炭素質や硫黄分、窒素分等の燃焼による除去、塊状
化したり細粒化した触媒の除去による正常な形状の触媒
の選別などがあるが、本発明における再生処理とは、酸
化による炭素質の除去、好ましくは反応器外での酸化に
よる炭素質の除去処理、を含む処理を言う。なお、再生
処理では完全に炭素質を除去する必要はない。
触媒をまず溶剤洗浄する。溶剤としてはトルエン、アセ
トン、アルコールや、ナフサ、灯油、軽油などの石油類
が好ましい。その他でも、使用済み触媒上に付着した有
機物を溶かし易い溶剤であれば良い。この洗浄処理は触
媒が水素化処理反応器中にあるうちに軽油を循環させて
洗浄し、その後50〜200℃程度の窒素ガス等を流通
させて乾燥させることでも達成できる。あるいは、軽油
を循環させて洗浄した後そのまま抜き出し、発熱や自然
発火を防ぐため軽油で濡れた状態にしておき必要な時に
乾燥してもよい。また、反応器から抜き出した使用済み
触媒から塊状物を粉砕したり、粉化触媒、スケール等を
除去し、これを軽油で洗浄しさらにナフサで洗浄して乾
燥し易くする方法もある。少量の場合は、トルエンで洗
浄する方法が油分を完全に除去するのに適している。
媒に十分な活性を発揮させるには、さらに酸化処理によ
り炭素質を除去することが必要である。酸化処理は一般
には雰囲気温度および酸素濃度を制御した燃焼処理によ
り行う。雰囲気温度が高すぎたり、酸素濃度が高すぎる
と触媒表面が高温になり、担持金属の結晶形や担持状態
が変化したり、担体の細孔が減少し触媒活性が低下して
しまう。また、雰囲気温度が低すぎたり、酸素濃度が低
すぎると燃焼による炭素質の除去が不十分となり十分な
活性回復が望めない。望ましい雰囲気温度としては20
0〜800℃、特に望ましくは300〜600℃であ
る。
とが望ましいが、燃焼方法、特に燃焼ガスと触媒との接
触状態に対応して制御することが好ましい。雰囲気温
度、酸素濃度、雰囲気ガスの流速などを調整して触媒の
表面温度を制御することにより、触媒上の炭素質を酸化
除去する一方、再生後の触媒の比表面積や細孔容量の低
下を防ぎ、水素化活性金属であるニッケルやモリブデン
などの結晶構造や結晶粒子の担持状態の変化を抑えるこ
とが重要である。
し正常な形状のもののみを再生触媒として使用すること
が望ましい。この操作をしないと初期活性は十分望める
場合もあるが、触媒層で詰まりや偏流を起こしたり反応
器中での流体の圧力損失を大きくし正常な運転が継続で
きなくなることがある。つぎに、再生触媒の組成、物性
について説明する。
指標として、バナジウムと炭素質がある。バナジウムは
通常、触媒成分としては含まれていないが水素化処理さ
れる原料油中に含まれる微量不純物に起因するものであ
り、使用による劣化の指標とすることができる。バナジ
ウム含有量は再生触媒基準で35%以下、好ましくは2
0%以下、さらに好ましくは3〜15%以下であること
が望ましい(触媒中の金属分含有量は対象触媒を測定前
に400℃以上で酸化処理して減量しなくなったものを
基準として、その金属の酸化物としての重量%で表わす
ものとする、以下金属含有量については同じ。)。バナ
ジウム含有量が35%を超えると再生触媒の活性が低す
ぎて全体としての水素化処理反応が十分進まない。な
お、バナジウム含有量が2%より少ない場合は再生触媒
自身に活性が十分に残っており、触媒の配置による水素
化処理効果の差は小さくなることが多い。よって、バナ
ジウム含有量2〜35%がよく、望ましくは3〜15%
以下のときに触媒配置による再生触媒の活性の引出し効
果はより良くなる。
650℃、1時間焼成後、Mo,P,Vは灰分を酸で溶
解し誘導結合プラズマ発光吸光分析により、Co,N
i,Alは灰分と四ほう酸リチウムの混合物を高周波加
熱でガラスビードとし、蛍光X線分析法で測定した。炭
素含有量についても、15%(触媒中の炭素分含有量は
対象触媒を測定前に400℃以上で酸化処理して減量し
なくなったものを基準として、対象触媒中に含まれてい
る炭素の重量%で表わすものとする、以下同じ)以下好
ましくは10%以下とすることが望ましい。炭素含有量
は使用済み段階では10〜70%程度であることが多い
が、再生処理により炭素分を触媒上から除去しその含有
量を低減できる。炭素分が多すぎるとこれが触媒表面を
覆い触媒活性を低下させるが、再生処理により炭素含有
量を減少させれば活性を回復させることができる。な
お、炭素および硫黄はC−S同時分析計で分析した。
しては燃焼処理を伴うので、そのときに触媒表面が過熱
して触媒の細孔構造や担持金属の担持状態が変化し、触
媒活性が低下してしまうことがある。これらを評価する
指標として触媒の比表面積と細孔容積がある。触媒の比
表面積や細孔容積は水素化処理反応での使用中にも不純
物の付着や反応中の熱による劣化等により徐々に減少す
るが、再生触媒として使用可能であるためには、再生後
の触媒に使用前の新触媒であった時のおよそ70%以上
の比表面積および細孔容積が残っていることが好まし
い。これを、再生触媒の物性としてみればそれぞれ比表
面積60〜200m2/g、好ましくは100〜200m2/
g、細孔容積0.3〜1.0cc/gであることが望まし
い。これらの測定は窒素吸着法で行った。
する触媒であるので、もともと水素化処理能力のある触
媒である必要がある。そのための基本的な触媒構成とし
て酸化物担体、たとえばアルミナやアルミナ・りん、ア
ルミナ・ほう素担体、アルミナ・けい素担体などに、モ
リブデン、タングステン、コバルトまたはニッケルの酸
化物を担持したものが好適に使用される(担体中のり
ん、ほう素、けい素はその酸化物の意味である。以下同
じ)。この中でも、ニッケル・モリブデン担持/アルミ
ナ担体触媒、ニッケル・モリブデン担持/アルミナ・り
ん担体触媒、コバルト・モリブデン担持/アルミナ・ほ
う素担体触媒やニッケル・モリブデン担持/アルミナ・
けい素担体触媒がとくに好ましい。さらに、重質油処理
であるので担持金属であるコバルトまたはニッケルを
0.1〜10%、モリブデンを0.2〜25%含有する
ことが好ましい。りんの含有量については0.1〜15
%(金属含有量と同じ方法で測定)が好ましい。
油の水素化処理を重質油の水素化脱硫処理を例に具体的
に説明する。本発明の触媒配置または充填方法をとれ
ば、反応条件はとくに制限されるものではないが一般的
な条件で説明する。触媒の配置としては、前記説明した
方法であればどのような配置でもよいが、図4のケース
6の態様をもとに説明すると、全体の触媒層の10%を
占める脱金属ゾーンには水素化脱金属用の新触媒層を、
脱硫反応ゾーンの前部40%には水素化脱硫用の新触媒
層を、つぎの20%に水素化脱硫用の再生触媒層を、最
後の30%には水素化脱硫用の新触媒層を配置すると好
適である。
よいが、常圧残油が好適に使用される。この場合の反応
温度は300〜450℃好ましくは350〜420℃、
水素分圧7.0〜25.0Pa好ましくは10.0〜1
5.0Pa、液空間速度0.01〜10h-1好ましくは
0.1〜5h-1、水素/原料油比500〜2500Nm 3/
kl好ましくは500〜2000Nm3/klの範囲の条件が好
適である。なお、上記の触媒配置の場合は再生触媒層で
の液空間速度は1.0h-1以上が望ましい。
含有量(ニッケル、バナジウム)の調整は上記の反応条
件のうちから必要な条件たとえば反応温度を適宜選択し
て調整すればよい。以上のようにして本発明の重質油の
水素化処理方法を用いれば、従来使用できないと考えら
れていた使用済み触媒を有効に活用し、残油等の水素化
処理が可能となる。
るが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限される
ものではない。 〔実施例1〕市販のニッケル・モリブデンを担持したア
ルミナ担体触媒(新触媒1と言う)を用いた残油水素化
脱硫装置に8000時間中東系の常圧残油を通油した。
生成油中の主成分(343℃以上の沸点留分)の硫黄分
を一定になるよう反応温度を調整しながら水素化脱硫処
理を続け、使用済み触媒を得た。通油した代表的な常圧
残油の性状を表1に、脱硫装置での反応条件を表2に示
す。
トルエンで十分洗浄した後乾燥させた。(洗浄触媒1と
言う)この洗浄触媒を500℃で3時間空気気流中で酸
化処理した。(再生触媒1と言う)それぞれの触媒の組
成、物性を表3に示す。小型高圧固定床反応器(容量2
00cc)の上流側から新触媒1を25cc、再生触媒
1を25cc、新触媒1を25cc、最後部に再生触媒
1を25cc、充填した。これを、硫化剤であるDMD
Sを添加し硫黄濃度を2.5%に調整した軽質軽油を、
135kg/cm3水素気流中、250℃で、24時間通油し
予備硫化処理をした。その後、前記常圧残油を用いて水
素化反応を行った。反応条件を表6に、生成油の性状を
表7に示す。
200cc)の上流側から新触媒1を45cc、再生触
媒1を25cc、最後部に新触媒1を30cc充填した
以外は〔実施例1〕と同様の操作を行った。得られた生
成油の性状を表7に示す。
を担持したアルミナ・りん担体触媒(新触媒2と言う)
を用いて、〔実施例1〕と同様の操作により洗浄触媒
2、再生触媒2を得た。それぞれの触媒の組成、物性を
表4に示す。小型高圧固定床反応器(容量200cc)
の上流側から新触媒2を10cc、再生触媒2を25c
c、新触媒2を30cc、再生触媒2を25cc、最後
部に新触媒2を10cc充填した以外は〔実施例1〕と
同様の操作を行った。得られた生成油の性状を表7に示
す。
媒1を減圧軽油水素化脱硫装置にて8000時間中東系
の減圧軽油を通油した。生成油中の主成分(360℃以
上の沸点留分)の硫黄分を一定になるよう反応温度を調
整しながら水素化脱硫処理を続け、使用済み触媒を得
た。減圧軽油の性状を表1に、脱硫装置での反応条件を
表2に示す。この使用済み触媒より、〔実施例1〕と同
様の操作により洗浄触媒3、再生触媒3を得た。それぞ
れの触媒の組成、物性を表5に示す。小型高圧固定床反
応器(容量200cc)の上流側から新触媒1を30c
c、再生触媒3を50cc、最後部に新触媒1を20c
c充填した以外は〔実施例1〕と同様の操作を行った。
得られた生成油の性状を表7に示す。
200cc)に新触媒1を50cc、再生触媒1を50
ccを均一に混合して混合触媒として充填した以外は
〔実施例1〕と同様の操作を行った。得られた生成油の
性状を表7に示す。
200cc)の前段側に新触媒1を50cc、後段側に
再生触媒1を50cc充填した以外は〔実施例1〕と同
様の操作を行った。得られた生成油の性状を表7に示
す。
200cc)の前段側に再生触媒1を50cc、後段側
に新触媒1を50cc充填した以外は〔実施例1〕と同
様の操作を行った。得られた生成油の性状を表7に示
す。
200cc)の前段側に新触媒1を75cc、後段側に
再生触媒1を25cc充填した以外は〔実施例2〕と同
様の操作を行った。得られた生成油の性状を表7に示
す。
200cc)の前段側に再生触媒1を25cc、後段側
に新触媒1を75cc充填した以外は〔実施例2〕と同
様の操作を行った。得られた生成油の性状を表7に示
す。
200cc)の前段側に新触媒2を50cc、後段側に
再生触媒2を50cc充填した以外は〔実施例3〕と同
様の操作を行った。得られた生成油の性状を表7に示
す。
200cc)の前段側に再生触媒2を50cc、後段側
に新触媒2を50cc充填した以外は〔実施例3〕と同
様の操作を行った。得られた生成油の性状を表7に示
す。
200cc)の前段側に新触媒1を50cc、後段側に
再生触媒3を50cc充填した以外は〔実施例4〕と同
様の操作を行った。得られた生成油の性状を表7に示
す。
200cc)の前段側に再生触媒3を50cc、後段側
に新触媒1を50cc充填した以外は〔実施例4〕と同
様の操作を行った。得られた生成油の性状を表7に示
す。
1は実施例1と同じくらいの脱硫、脱金属性能はあるが
脱窒素性能が劣っている。実施例1と比較例2を較べる
と、比較例2は実施例1と同じくらいの脱窒素性能はあ
るが脱硫、脱金属性能が劣っている。同様の効果は、実
施例2と比較例3、4の反応結果、実施例3と比較例
5、6の反応結果、実施例4と比較例7、8の反応結果
からも分かる。さらに、実施例8は請求項3に対応する
発明の態様であるが実施例1と同等の結果がえられてい
る。
素化処理方法においては、重質油を通常の新触媒を使用
した水素化処理方法と同じような条件で良好な水素化処
理反応を行うことができ、使用済み触媒の有効利用方法
として優れた効果を表している。
ース1の概念図である。外形の長方形は反応器(反応
層)を表し、その上下の矢印を伴った線は原料および生
成物の流入、留出を表わす。反応器の中の(a),
(b)で特定してある矩形は一つひとつの触媒層を表わ
す(以下の図においても同じ)。
ース2の概念図である。
ース3の概念図である。触媒層は6層表示しているが、
(a),(b)の触媒層が交互に4層以上複数続いてい
ることを概念的に表している。
ース4の概念図である。(図3に同じ)
ース5の概念図である。それぞれの矩形が反応器を表
す。矢印を伴った線は、それぞれの反応器への原料およ
び生成物の流入、留出を表わす。3つの反応器全体を反
応層とする。(以下同じ。)
ース6の概念図である。
ース7の概念図である。
ース8の概念図である。
ース9の概念図である。
ケース10の概念図である。
ケース11の概念図である。
ケース12の概念図である。
Claims (12)
- 【請求項1】 再生触媒層と新触媒層が交互に配置さ
れ、少なくとも3層からなる反応層を用いて重質油を水
素化処理する方法。 - 【請求項2】 再生触媒層における、水素化処理のため
の原料油の液空間速度(LHSV)が1H-1より大きく
なるようにした請求項1記載の重質油を水素化処理する
方法。 - 【請求項3】 再生触媒と新触媒とからなり、少なくと
も両者の混合層を有する反応層を用いて重質油を水素化
処理する方法。 - 【請求項4】 再生触媒の充填量が5〜80%、新触媒
の充填量が20〜95体積%である請求項1〜3のいず
れかに記載の重質油を水素化処理する方法。 - 【請求項5】 再生触媒のバナジウム含有量が35重量
%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の重質油を
水素化処理する方法。 - 【請求項6】 再生触媒の炭素含有量が15重量%以下
である請求項1〜5のいずれかに記載の重質油を水素化
処理する方法。 - 【請求項7】 再生触媒の比表面積が60〜200m2/g
である請求項1〜6のいずれかに記載の重質油を水素化
処理する方法。 - 【請求項8】 再生触媒の細孔容積が0.3〜1.0cc
/gである請求項1〜7のいずれかに記載の重質油を水素
化処理する方法。 - 【請求項9】 再生触媒が、酸化物担体にモリブデン、
タングステン、コバルトおよびニッケルのうち少なくと
も一種類の金属種を担持した触媒を鉱油の水素化処理に
使用した後、再生処理したものである請求項1〜8のい
ずれかに記載の重質油を水素化処理する方法。 - 【請求項10】 酸化物担体がアルミナで担持金属種が
ニッケルおよびモリブデンである請求項9記載の重質油
を水素化処理する方法。 - 【請求項11】 酸化物担体が、リン、ほう素、けい素
の酸化物のうちの少なくとも一種類を含むアルミナで、
担持金属種がニッケルまたはコバルト、およびモリブデ
ンである請求項9記載の重質油を水素化処理する方法。 - 【請求項12】 担持金属種であるニッケルまたはコバ
ルトの含有量が0.1〜10重量%、およびモリブデン
の含有量が0.1〜25重量%の範囲にある、請求項9
〜11のいずれかに記載の重質油を水素化処理する方
法。
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KR1020007000823A KR100600189B1 (ko) | 1998-05-26 | 1999-05-25 | 중질유의 수소화 처리 방법 |
EP99921262A EP1010744A1 (en) | 1998-05-26 | 1999-05-25 | Hydrotreating process for residual oil |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011043936A3 (en) * | 2009-10-05 | 2011-08-18 | Exxonmobil Research And Engineering Company | Stacking of low activity or regenerated catalyst above higher activity catalyst |
WO2015147223A1 (ja) * | 2014-03-27 | 2015-10-01 | 出光興産株式会社 | 重油脱硫触媒の再生利用方法 |
JP2016198691A (ja) * | 2015-04-07 | 2016-12-01 | 出光興産株式会社 | 重質油処理用再生触媒及びその製造方法、並びに重質油処理用再生触媒の使用方法 |
-
1998
- 1998-07-01 JP JP18550098A patent/JP3516383B2/ja not_active Expired - Lifetime
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US9303218B2 (en) | 2009-10-05 | 2016-04-05 | Exxonmobil Research And Engineering Company | Stacking of low activity or regenerated catalyst above higher activity catalyst |
WO2015147223A1 (ja) * | 2014-03-27 | 2015-10-01 | 出光興産株式会社 | 重油脱硫触媒の再生利用方法 |
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