JP2000015304A - 防眩性に優れたチタン板とその製造方法および製造に用いるワークロール - Google Patents
防眩性に優れたチタン板とその製造方法および製造に用いるワークロールInfo
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Abstract
l60゜で100以下の防眩性に優れたチタン板と、そ
の製造方法ならびに製造に用いるダルロールを提供す
る。 【解決手段】表面粗さが、算術平均粗さ、Raで2.5
μm以下であり、かつRaと凹凸の平均間隔(Sm)と
の比、Ra(mm)/Sm(mm)が0.01以上であ
ることを特徴とする防眩性に優れたチタン板およびその
製造方法と製造に使用するワークロール。
Description
ン板とその製造方法およびその製造に用いるワークロー
ルに関する。
等の外装材として用いられるようになったが、さらに高
強度、高耐食性の材料として防眩性を付与したチタン板
が注目されるようになった。ステンレス鋼板に比べ軽量
であることから一般外装材として用途が広がりつつあ
る。
正反射を押さえるため、金属板表面に凹凸を付与して入
射光を乱反射させる必要がある。
るための図である。図1(a)は、入射光と反射光分布
との関係を示す模式図、図1(b)は乱反射の状態を説
明するための図、図1(c)および(d)は、表面の凹
凸の稜角の大きさにより反射光分布が変化する状態を示
す図である。
坦で表面凹凸が小さければ入射角α1と反射角α2は同
等になる。
から凹凸のある金属板表面に入射されると反射角は多種
となり乱反射するが、表面凹凸の分布度合いによりその
反射光分布が決まる。この分布状態が人間の目に与える
防眩感を左右する。
面の凹凸の稜角の大きさにより反射光分布が変化する。
稜角とは、同図中のθで示すように凸状の先端部の角度
である。図1(d)に示すように入射角を全ての方向に
反射させ、防眩感を与えるためには、金属板表面の凹凸
の稜角が小さい程よい。
は、表面を一様に粗くした梨地状の表面を有する冷間圧
延用ダルロールでチタン板を圧延し、ロール表面の梨地
模様をチタン板に転写する、いわゆるダル仕上げ方法が
ある。
には、ロール表面に尖鋭な稜角を持ったスチールショッ
トやスチールグリッドを高速で投射する方法、あるい
は、放電加工により梨地状の模様をロール面に形成する
方法等が採られてきた。
ッドを投射する方法および放電加工による方法では、こ
の稜角をより小さくすることが困難で、図1(c)に示
すように正反射方向のベクトルが他の方向のベクトルに
比べ大きくなり、防眩度は低下する。
せ、その衝突エネルギーによりロール表面に凹凸を付与
するとき、グリッドやショットはロール表面で反発し、
ロール内にめり込むことは無い。従って、形成される窪
みはその外径に比し、深みの小さなクレーターとなる。
従来のグリッド、ショット等は鉄系のものが主体でその
硬度はHv600〜Hv800程度であるので、特に表
面硬度の高いステンレス鋼やチタン板の圧延用ロールに
も梨地を付与することは可能である。しかし、このロー
ルにより圧延して得られた金属板の防眩性は十分とは言
えない。このグリッドやショットの投射工程を単に複数
回繰り返すのみでは稜角を小さくすることはできないか
らである。
ィールを示す図で、図2(a)はグリッド投射したロー
ルの表面プロフィールを、図2(b)は一回の放電加工
後の表面プロフィールをそれぞれ示す。これらは縦横を
同じ倍率で表示したもので、グリッド投射法では図2
(a)に示すような稜角の大きな凹凸にしか加工できな
い。
うに一回の放電によるクレーターは、やはり外径に比
し、深みの小さなクレーターとなる。これは、放電によ
り溶融した金属が凝固する前に流動するためであり、放
電加工特有の問題である。
に優れたチタン板およびその製造方法が開示されてい
る。このチタン板は、チタン板の表面において、表面粗
度Raが0.1μm以下であり、深さが0.1μm以上
の表面の窪みが面積率で5.0%以下と規定され、防眩
性に優れている。また、その製造方法は、最終冷間圧延
工程において、粗圧延、中間圧延から仕上げ圧延に向か
って徐々にロールの粗度を低下させることで、チタン板
表面にオイルピットを生成させ、防眩性を高める方法で
ある。しかし、このようなチタン板の光沢度はGs45
°で160〜300程度の中光沢材であり、一般の屋根
等の外装用には適さない。
度がJIS B 0601で規定されたGs60゜で1
00以下である防眩性に優れたチタン板と、その製造方
法ならびに製造に用いるダルロールを提供することにあ
る。
りである。
2.5μm以下であり、かつRaと凹凸の平均間隔(S
m)との比、Ra(mm)/Sm(mm)が0.01以
上であることを特徴とする防眩性に優れたチタン板。
さ、Raで0.5μm以上であり、その表面に厚さ10
〜80μmのCrめっき層を備えており、そのCrめっ
き層の表面の算術平均粗さ(Ra)と凹凸の平均間隔
(Sm)との比、Ra(mm)/Sm(mm)が0.0
13以上であることを特徴とするチタン板のダル仕上げ
用ワークロール。
rめき層の下に、さらにNiめっき層を有することを特
徴とするチタン板のダル仕上げ用ワークロール。
ル仕上げ用ワークロールを用いて、圧下率が1パス当た
り1%以上15%未満で、1パス以上の冷間圧延をチタ
ン板に施すことを特徴とする防眩性に優れたチタン板の
製造方法。
均間隔(Sm)は、JIS B 0601−1994で
規定するものである。
S H4600 1〜3種等)、およびTi、Al、V、
Snなどを添加したチタン合金の板を示すものとする。
付与する方法として、大量生産に適しているダルロール
を用いてチタン板を冷間圧延することによりチタン板に
ロール表面の凹凸を転写する方法を採用することにし
た。
びその表面粗さを圧延によりチタン板表面に転写できる
ロール、さらには冷間圧延方法について種々実験、検討
を重ねた結果下記のような知見を得た。
めのダルロールの表面は、稜角が鋭く、ピッチが細か
く、しかもランダムになっている凹凸状態に加工するの
がよく、そのような加工用投射材としては、硬度がHv
2000以上もある高硬度なアルミナ粒が最適である。
が鋭い凹凸状に加工して、そのまま圧延に用いても、摩
擦抵抗が大きくなり圧延荷重が極めて大きくなるため、
凹凸部の耐久性に欠け、さらに仕上がりの外観も方向性
を有したものとなる。
凹凸加工した後、Crめっきを施すことにより上記b)
の問題を解消することができる。
ン板表面の算術平均粗さ(Ra)と凹凸の平均間隔(S
m)との比Ra/Smであり、0.01以上とするのが
よい。
を、0.01以上とするには、使用するロールの表面に
設けたCrめっき層の表面の算術平均粗さ(Ra)と凹
凸の平均間隔(Sm)との比、Ra(mm)/Sm(m
m)を0.013以上とする必要がある。
表面にCrめっきを施したロールを用いてチタン板を圧
延して、ダル仕上げするには、少なくとも1パス以上で
圧下率1%以上のダル圧延が必要である。
ついて以下に説明する。
ると、外装材として粗すぎ、汚れが付着しやすくなった
り耐食性の点で不利となる。また、算術平均粗さの下限
は特に限定しないが、粗度が小さくなれば、それに対応
して防眩性も劣化することになる。望ましくは0.5μ
m以上である。
平均間隔との比、Ra/Sm チタン板の防眩性で重要なのは、算術平均粗さ(Ra)
と凹凸の平均間隔(Sm)との比Ra/Smである。
1−1994の規定に従い、基準長さ:0.8mm、評
価長さ:4mm、カットオフ値:0.8mm、フィル
タ:ガウシアンである。
で、図7(a)はRaを、図7(b)はSmを説明する
ための図、図7(c)は1つの凹凸を示す図である。
を示す。Xは表面粗さ測定方向をYは凸部の高さ方向を
示す。凹凸の勾配は、凸部ピッチと高さの比で表され
る。したがって、全測定区間での高さの平均値である算
術平均粗さ(Ra)と凹凸の平均間隔(Sm)の比、R
a/Smは測定区間全長での平均的な凹凸の傾斜度合い
を表すことになる。この比がチタン板の防眩性を決定
し、反射光の拡散度を左右する。
m単位での比で0.01以上にする必要があり、望まし
くは0.012以上である。
Ra ワークロールの素地の表面粗さは、Crめっき後のめっ
き層の表面粗さに影響する。素地の表面粗さが、算術平
均粗さRaで0.5μm未満では、優れた防眩性を得る
のに必要なCrめっき層の表面粗さが得られない。ま
た、算術平均粗さの上限は特に限定しないが、望ましく
は5μm以下である。粗度が大きくなれば、それに対応
してめっき層の厚さを厚くすることによりロール素地の
粗さの影響をある程度軽減することができる。
た急峻な凹凸をそのまま残すのではなく、急峻な凹凸の
凸部にCrめっきを瘤状に析出させてロール表面を被覆
するためにおこなう。このようなめっきを施すことによ
り、次のような効果が得られる。
ールで圧延すれば、従来のグリッドダルロール使用時に
比べ、圧延荷重が2倍以上と高くなるが、Crめっきを
施すことにより圧延荷重を、従来のグリッドダルロール
並に下げることができる。
与する特性が長期間維持できる。
タン板には、光反射特性に強い方向性(圧延方向または
板幅方向)が残らず、防眩効果が顕著になる。
きを施すと、設定された定電流を流しても、突起部では
先端が鋭利なために電流密度がこの設定電流より高くな
り瘤状にCr粒子が析出する。突起部が離散的に並んで
いれば、突起部のみにCrめっきが施されることにな
り、かえってめっきの耐久性は劣化する。しかし、アル
ミナ投射による均一で突起間隔の極めて短い凹凸の場合
には、瘤状粒子同士が連結し全面を半球状の無数の凹凸
で覆うようになる。十分なめっき厚みを設定すれば、凹
凸の凹部も全てめっきが施され、さらに先端の突起部に
半球状の凹凸が形成されることになる。
投射粒を投射したままの鋭い突起をもったダルロールに
比べ、摩擦抵抗が小さくて圧延荷重も従来のグリッドダ
ルの場合と変わらない。
さを示す図で、図3(a)は従来のグリッドで投射した
場合、図3(b)はアルミナ粒を投射したままのロー
ル、図3(c)はアルミナ粒投射後Crめっきした本発
明のロールの場合を示す。
の場合凹凸は、従来のグリッドダルロールに比べ、凹凸
の算術平均粗さ(Ra)に比して凹凸の平均間隔(S
m)が短く、光を乱反射させるのに十分な凹凸となって
いる。
ールで圧延したチタン板の表面粗さを3次元(Y:圧延
方向、X:圧延方向と直交する方向、Z:垂直方向)的
に表した図である。
ールで圧延したチタン板の表面粗さを同じく3次元的に
表した図である。
したままの従来のロールで圧延したチタン板表面では、
凸部の頂や谷が圧延方向に長く伸びており、これが光の
反射に大きな方向性をもたせることになる。この方向性
は、微細、急峻な凹凸が圧延時のロールと材料の相対す
べりにより、圧延方向に微細突起のすべり痕を残すため
である。
発明のロールで圧延すると、図5から分かるように圧延
材の凹凸形状は圧延方向と幅方向の差が小さく、方向性
の小さな表面となる。これは、同一すべり量(同一圧下
率)であれば、相対的に凸部の径が大きい方が、その形
状のくずれが小さくなることから容易に説明できる。な
お、Crめっきは通常の工業用硬質Crめっきを施せば
よく、めっき厚みとしては10〜80μmが望ましい。
より好ましくは、20〜80μm、さらには20〜50
μmである。
起こらず、アルミナ投射による急峻な凹凸形状がそのま
ま残る場合がある。
荷重が高くなり過ぎたり、製品の反射特性に強い方向性
が残ったりする不具合が生じる。逆に、めっき厚みが厚
くなりすぎると下地のアルミナ投射による密度の高い突
起の効果が小さくなり、めっき表面が平滑化され過ぎる
問題がある。従って、Crめっき厚みとしては80μm
を上限とするのが好ましい。
めっきを施し、凸部の先端部をCrめっきにより瘤状に
してもよい。特にNiめっきは施さなくても、Crめっ
きのみでも上記効果は得られる。しかし、凹凸が大きい
場合にNiめっきを施すと凹部に優先的にNiめっきが
なされ、後のCrめっきが容易となる。Niめっきの厚
さは、あまり厚くなると剥離しやすいので10μm以下
にするのが好ましい。
面のRa/Sm ロール表面の仕上げで特に重要なのは、Ra/Smで表
される凹凸の勾配である。
13以上、望ましくは0.015以上が好ましい。チタ
ン板表面の凹凸の勾配(Ra/Sm)で0.01以上を
確保するためには、ロール粗度の転写効率を考慮しても
0.013以上でなければならない。凹凸の平均間隔S
mはそのまま転写されると考えられるが、算術平均粗さ
(すなわち、突起の高さ)は完全には転写されない。し
たがって、Ra/Smの分子の低下分を考慮すれば0.
013以上を確保する必要がある。Ra/Smには特に
上限を設けないが、投射加工という加工法の特性上、極
端に大きくはできない。
圧下率 上記のように凹凸加工と表面処理したワークロールを用
いてチタン板を冷間圧延して防眩性チタン板を製造する
ためには、圧下率が不十分であると十分なロール表面の
転写が起こらない。従って、圧下率としては1パス当た
り1%以上にする必要がある。しかし、圧下率が高すぎ
ると、ダルロールであるため圧延荷重が高くなりすぎ、
ロール撓みによる形状不良が発生する。また、チタン板
はロールと凝着しやすく、この点からも圧下率は15%
以下とすることが望ましい。
最終仕上げパスで実施するが、要求される仕様によって
は、最終パスの前パスもダル圧延とすることも可能であ
る。また、チタン板の粗度を小さくする場合には、最終
パスはブライト圧延とし、その前のパスでダル圧延を実
施してもよい。
た冷間圧延用ワークロール4本の表面を焼き入れしてH
v830〜Hv860に表面硬化させた。これらのロー
ルを用いて、アルミナ粒を投射した後、Crめっきした
本発明のロール、アルミナ粒を投射したままの比較例用
のロール、ショットおよび放電によりダル加工した従来
のロールを下記の条件で製作した。
(Al2O3:97%、SiO2:0.5%、TiO2:
2.5%)研磨材を投射し、次いでCrめっきを施し
た。投射条件、Crめっき条件を表1に示す。
(Al2O3:97%、SiO2:0.5%、TiO2:
2.5%)研磨材を投射した。
mm) 投射条件:上記と同じ b)放電ダル加工 ピーク電流:40A、パルス幅:7.2μsec、狙い
粗度(Ra):1.5〜2.0μmこれらのロールを用
いて、純チタンJIS H4600 1種を圧延した。
0.55mm、圧延後の厚さが0.52mm(圧下率
5%)で、圧延長さにして20kmの圧延を行った。圧
延後、各チタン板の表面光沢度をJIS Z8741
(Gs60°)の規定に従い測定した。
沢度の測定結果を示す図である。
ロールを使用すれば、従来のグリッドダルロール、ショ
ットダルロールによる場合および放電ダルロールによる
場合より鏡面光沢度は著しく低下し、防眩性に優れたチ
タン板が得られることが分かる。また、同時にアルミナ
粒を投射したのみのロールでは、圧延初期には本発明の
ロールと同等以上であるが、圧延したチタン板の長さに
して3kmに満たない内にその光沢度は大幅に上昇して
しまうことが分かる。また、アルミナ投射ロールでは圧
延荷重が高くなりすぎるため、所定の圧下率を確保する
ことはできなかった。
た冷間圧延用ワークロールの表面を焼き入れしてHv8
30〜860に表面硬化させたロールに、投射速度と粒
径を変えてアルミナ粒を投射して種々の表面粗さのワー
クロールを作製した。これらのワークロールに表1に示
す条件でめっき浴浸 漬時間を調整してCrめっき厚を
表2に示すように種々変えた。
地処理として下記の条件でNiめっきを施したものであ
る。
ッド、ショット、高密度ビームおよび放電加工により表
2に示すようなダル加工を施した。
と同じ材質の純チタンJIS H4600 1種を圧延
し、圧延性、防眩性(度?)およびめっきの耐久性等を
評価し、その結果を表2に示す。
る条件を全て満たす場合には、これらの何れもが満足す
べき結果となった。しかし、本発明の規定条件からはず
れた場合には圧延性、防眩性およびめっきの耐久性のい
ずれかが劣る結果となった。表中の圧延性とは、グリッ
ドダルロールを使用した場合の圧延荷重を1とした時の
相対比較を行ったもので、1を超えたからといって直ち
に圧延性に劣るということではない。ただし、1.5を
超えるような場合には、圧延機の能力不足、荷重増加に
よる形状の悪化が顕著となる。
持った本発明のチタン板を従来の圧延設備で容易に製造
が可能である。本発明のロールは長時間使用しても十分
な耐摩耗性、耐久性を示すため、ダルチタン板の製造コ
ストも安価となる。
ールを示す図である。
さ状態を示す図である。
表面に残るすべり痕である。
べり痕を示す図である。
示した図である。
Claims (4)
- 【請求項1】チタン板の表面粗さが、算術平均粗さRa
で2.5μm以下であり、かつそのRaと凹凸の平均間
隔(Sm)との比、Ra(mm)/Sm(mm)が0.
01以上であることを特徴とする防眩性に優れたチタン
板。 - 【請求項2】ロール素地の表面粗さが、算術平均粗さR
aで0.5μm以上であり、その表面に厚さ10〜80
μmのCrめっき層を備えており、そのCrめっき層の
表面の算術平均粗さ(Ra)と凹凸の平均間隔(Sm)
との比、Ra(mm)/Sm(mm)が0.013以上
であることを特徴とするチタン板のダル仕上げ用ワーク
ロール。 - 【請求項3】請求項2記載のワークロールのCrめっき
層の下に、さらにNiめっき層を有することを特徴とす
るチタン板のダル仕上げ用ワークロール。 - 【請求項4】請求項2または3に記載のダル仕上げ用ワ
ークロールを用いて、圧下率が1パス当たり1%以上1
5%未満で、1パス以上の冷間圧延をチタン板に施すこ
とを特徴とする防眩性に優れたチタン板の製造方法。
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