JPH09235683A - 金属ロールの表面加工方法 - Google Patents

金属ロールの表面加工方法

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JPH09235683A
JPH09235683A JP4277496A JP4277496A JPH09235683A JP H09235683 A JPH09235683 A JP H09235683A JP 4277496 A JP4277496 A JP 4277496A JP 4277496 A JP4277496 A JP 4277496A JP H09235683 A JPH09235683 A JP H09235683A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鋼板表面に優れたつや消し性を付与することの
できるロール表面の加工方法を提供することを目的とす
る。 【解決手段】二流体ノズルから耐酸性樹脂液と気体とを
噴射して、平均粒径で20μm以下の液滴とした霧状の
耐酸性樹脂液を金属ロールの表面に吹き付けて斑状に塗
布し、次いで耐酸性樹脂が付着していないロール表面を
エッチング加工するか、または耐酸性樹脂が付着してい
ないロール表面を金属めっきすることを特徴とする金属
ロールの表面加工方法、およびこれらの方法で加工した
ロールの表面から耐酸性樹脂を除去した後、ロール表面
を金属めっきすることを特徴とする金属ロールの表面加
工方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建材等に使用され
るつや消し仕上げされた鋼板の製造に用いる金属ロール
の表面加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ステンレス鋼板が建材や鉄道車両
等の外装材として用いられるようになり、従来のブライ
ト仕上げ鋼板以外の表面仕上げ鋼板が要求されるように
なってきた。
【0003】鋼板表面のつやを消す一般的な方法には、
表面を一様に粗くした冷間圧延用ダルロールで鋼板を圧
延し、ロール表面を鋼板に転写する、いわゆるダル仕上
げ方法がある。
【0004】従来のダル仕上げ用圧延ロールの表面加工
には、ロール表面に尖鋭な稜角を持った鋼球、いわゆる
グリッドを高速で投射する方法、あるいは、放電加工に
より梨地状の模様をロール面に成形する方法等が採られ
てきた。
【0005】特開平1−118301号公報には、通常
のダル仕上げをした後、鋼板表面を酸洗液でエッチング
を施すダル仕上げオーステナイトステンレス鋼板の製造
方法が開示されている。
【0006】また、ロールの表面加工方法として、特開
平4−46612号公報には、ショット粒として硬質の
アルミナを用いてロール表面に微視的な粗さを成形する
方法が、特開平2−175882号公報に、レーザー加
工とエッチングによるロール表面加工方法が開示されて
いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】鋼板表面のつや消しを
行うには、光の正反射を押さえるため、鋼板表面に凹凸
を付与して入射光を乱反射させる必要がある。
【0008】図1は、入射光と反射光との関係を説明す
るための図である。同図(a)は入射光と反射光分布と
の関係を示す模式図で、鋼板表面が平坦で表面凹凸が小
さければ入射角と反射角は同じになる。(b)に示すよ
うに、光が一定の方角から凹凸のある鋼板表面に入射さ
れると反射角は多種となり乱反射するが、表面凹凸の分
布度合いによりその反射光分布が決まり、この分布状態
が人間の目に与えるつや消し感を左右する。図1
(c)、(d)に鋼板表面の凹凸の稜角の大きさにより
反射光分布が変化する様子を示す。稜角とは、同図中θ
で示すように凸状体の先端部の角度である。(d)に示
すように入射光が全ての方向に反射させ、つや消し感を
与えるためには、鋼板表面の凹凸の稜角が小さい程よ
い。
【0009】ところが、従来のダル加工法であるグリッ
ドを投射する方法や放電加工による方法では、この稜角
を小さくすることが困難で(c)に示すように正反射方
向のベクトルが他の方向のベクトルに比べ大きくなり、
つや消し度は低下する。
【0010】グリッドを投射する方法の場合、一般にグ
リッドやショットと呼ばれる鋼片、鋼球をロール表面に
衝突させ、その衝突エネルギーによりロール表面に凹凸
を付与する。このときにグリッドはロール表面で反発
し、ロール内にめり込むことはない。従って、形成され
る窪みはその外径に比し、深みの小さなクレーターとな
る。この方法では、基本的にこの工程を複数回繰り返す
のみで稜角を小さくすることはできない。
【0011】図2は、実際のダル加工された表面プロフ
ィールを示す図で、(a)はグリッド投射したロールの
表面プロフィールを、(b)は一発の放電加工後の表面
プロフィールを示す。これらは縦横を実際の倍率で表示
したもので、グリッド投射法では(a)に示すような稜
角の大きな凹凸にしか形成できない。
【0012】仮に稜角を小さくするために、グリッドの
投射速度を上げてロール面への食い込みを許せば、これ
を除去する方法はなく、グリッドの投射速度を上げるこ
とはできない。同様に放電加工による場合、(b)に示
すように一発の放電によるクレーターは、やはり外径に
比し、深みの小さなクレーターとなる。これは、放電に
より溶融した金属が凝固する前に流動するためであり、
このような形状のクレータしか得られないのは不可避の
問題である。
【0013】前記特開平1−118301号公報に開示
されている方法は、ダル加工法を改善するものではな
く、またダル圧延を行った後、鋼板を酸洗によりエッチ
ングする方法であるため酸洗ラインが必要となり、設
備、製造コストが嵩む上、公害上問題の多い廃酸液処理
を伴う難点がある。
【0014】特開平4−46612号公報に示されてい
る方法では、投射材としてアルミナを用いるというだけ
であり、基本的に上記したような投射ダルの問題点は避
けることができない。
【0015】また、特開平2−175882号公報に開
示されている方法は、急峻な凹凸の成形は可能である。
しかし、ロールを回転させながら軸方向に移動し、一つ
ずつクレーターを成形するという加工法の特性上、ロー
ル面及び圧延された鋼板面が規則的な凹凸模様となり外
装材としては適さない。その理由は、通常外装材は広い
面積の外装に使用され、何枚かの鋼板を継ぎ合わせて使
用するため、凹凸が規則的であると継ぎ目部分が強調さ
れてしまうからである。
【0016】本発明は、上記問題に鑑みなされたもの
で、鋼板表面に優れたつや消し性を付与することのでき
るロール表面の加工方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋼板表面
に優れたつや消し性を付与することのできるロール表面
の加工方法について、種々実験検討を重ねた結果、下記
の知見を得た。
【0018】1)従来のグリッド投射や放電加工による
表面加工方法では、これらの加工方法の特性上、鋭い稜
角を持った凹凸の成形は困難である。
【0019】2)レーザのような高密度エネルギーによ
る表面加工法は、急峻な凹凸の加工は可能であるが、一
つのクレータの大きさは、直径が150μm程度が下限
であり、それより小さい凹凸の加工は困難である。
【0020】3)外装用鋼板のつや消し用ダルロールの
表面は、稜角が鋭く、ピッチが細かく、しかもランダム
になっている凹凸状態に加工するのがよい。
【0021】4)上記3)のような表面状態の加工は、
耐酸性樹脂液を二流体ノズルにより噴射して平均粒径で
20μm以下の液滴にして、ロール表面に斑状に塗布
し、樹脂のない金属面をエッチング加工するか、または
めっきすることにより達成することができる。
【0022】この発明は、このような知見に基づきなさ
れたもので、その要旨は、「二流体ノズルから耐酸性樹
脂液と気体とを噴射して、平均粒径で20μm以下の液
滴とした霧状の耐酸性樹脂液を金属ロールの表面に吹き
付けて斑状に塗布し、次いで耐酸性樹脂が付着していな
いロール表面をエッチング加工するか、または耐酸性樹
脂が付着していないロール表面を金属めっきすることを
特徴とする金属ロールの表面加工方法、およびこれらの
方法で加工したロールの表面から耐酸性樹脂を除去した
後、ロール表面を金属めっきすることを特徴とする金属
ロールの表面加工方法」にある。
【0023】
【発明の実施の形態】ロールのエッチング加工は、ロー
ル表面を化学的に腐食させるもので、ロール面上に耐酸
性の樹脂を細かい斑状に塗布しておけば、樹脂が塗布さ
れていない部分が選択的にエッチングされ、急峻な凹凸
が得られる。
【0024】しかし、このような加工をおこなうために
は、耐酸性の樹脂をほぼ均一に、かつ極めて微細なピッ
チでロール表面に塗布する必要がある。
【0025】図3は、一般のリソグラフィ法に用いられ
るウェットエッチング法を説明するための図である。エ
ッチングは、同図のA〜Dの工程からなる。先ず、被加
工金属1上に光硬化性の耐酸性樹脂2を均一に塗布し
(A工程)、所定のパターンを持つマスク3で覆った
後、紫外線等耐酸性樹脂の分光感度に応じた光源を用い
て露光する(B工程)。これによりマスクで被覆されて
ない部分4が硬化し(B)、現像することでマスクパタ
ーンが転写される(C工程)。この表面上にエッチング
液を噴射し、樹脂で被覆されてない部分のみをエッチン
グし(D工程)、所定パターンの金属製品を得る。この
際、ウェットエッチングの特徴としてエッチングが等方
的になるため、サイドエッチと呼ばれる回り込みが生じ
被覆部の下側5も浸食され、これが解像度の低下につな
がる。
【0026】ロールの加工に上記技術を適用するには以
下の問題がある。先ず、加工対象が円筒形であるため、
マスクの作成が困難である。仮に、平面のマスクを作成
すれば、ロール上にマスクの継ぎ目ができてしまい連続
的に圧延するロールには不向きである。また、現状のエ
ッチング技術では、微細な凹凸ができない点がある。
【0027】解像度を上げるためにはマスクの製作技
術、露光時の光源の直進性等を改善する必要があるが、
ロールの加工コストの上昇につながる。仮に上記の問題
が回避できても、マスクを使用する以上何らかのパター
ン、すなわち規則性ができるため外装材として適さない
という問題もある。
【0028】したがって、本発明では、上記マスクを使
用せずに耐酸性樹脂を微細、かつ間欠的にロール面上に
塗布する手段として二流体ノズルを用いる。
【0029】図4は、本発明の方法に用いる二流体ノズ
ルの例を示す図である。図に示すように、このノズル
は、耐酸性樹脂液8を噴射する内側ノズル6と、その外
部に気体を噴射する小径の噴射口を持った外側ノズル7
からなる二重構造のノズルである。液体、気体は各々流
量及び圧力調整が可能なポンプにより供給される。この
ような2重構造を持ったノズルで、液体と気体を同時に
噴射すると、液体は気圧、液圧に応じた微細な球形の液
滴となり、大気中に霧状に噴射される。このとき、液滴
の大きさは液圧と気圧、噴射口径を調節することで自由
に制御することができ、極端に液流量を絞ればサブミク
ロンの大きさまで調節可能である。霧状に噴射された液
滴は、一定の付着効率のもとで金属表面上に点々と付着
し各々一定面積に広がる。この二流体ノズルに液体とし
て耐酸性樹脂を、気体として空気を用い、金属ロール上
に噴霧すると、液圧、気圧の調整により20μm 以下の
微小液滴とすることがでる。そして付着した液滴の粒
径、粒間の距離はランダムなものとなる。また、付着し
た液滴の平均粒径、粒間の平均間隔は、噴射時のロール
回転速度、噴射距離を調整することで制御できる。耐酸
性樹脂液は水等に比べ粘度が高いため、ロール面上に付
着してもその形態をある程度保持し、半球形の液滴とな
る。
【0030】耐酸性樹脂としては、アクリル系ポリマ
ー、アクリル系モノマー、オリゴマー等が使用できる。
【0031】耐酸性樹脂液を平均粒径で20μm以下の
液滴として吹き付ける理由は、次のとおりである。
【0032】平均粒径が20μmを超えると、ロール表
面に付着した後、大きく広がり間欠的な樹脂の付着を妨
げ斑状に塗布することができなくなる。また、粒径が大
きいとサイドエッチングに時間がかかり、通常のエッチ
ング時間ではサイドエッチングが不十分となりロール表
面に平滑な部分が残ってしまう。この部分は圧延時に鋼
板に平滑部として転写されるので結果として、鋼板の鏡
面反射が大きくなり、つや消し性に劣ることになる。
【0033】したがって、液滴の平均粒径は20μm以
下にする必要があり、望ましくは5〜15μmである。
【0034】なお、耐酸性樹脂液滴の平均粒径を求める
方法は、耐酸性樹脂液を空気中に噴射し、空気中を飛行
している状態を超高速度(約25万分の1秒)で写真撮
影し、写真上の粒子径を測定するか、画像処理装置等を
使用し、自動的に測定して粒径分布を得る等の方法があ
る。空気の圧力と流量及び耐酸性樹脂液の圧力と流量と
を一定にしたときに生成できる粒の平均粒径は一定とな
るので、ノズル毎に噴射条件と平均粒径をあらかじめ求
めておくのがよい。
【0035】耐酸性樹脂をロール表面上に塗布したあ
と、エッチング液により樹脂の付着しないロール表面を
エッチング加工する。エッチング液としては、ロール表
面をエッチングすることができる酸であればよく、塩化
第2鉄液、塩化第2銅液等が好ましい。
【0036】なお、上記樹脂の付着していないロール表
面をエッチング加工するとは、当然のことながら、ロー
ル表面からエッチングすれば、その進行にともない発生
するサイドエッチングも含むものとする。
【0037】図5は、エッチング状態の模式図である。
同図(a)は、耐酸性樹脂液をノズルから噴射してロー
ル表面に塗布した状態を示す断面図、(b)はエッチン
グ液によるエッチングの初期状態を示す図、および
(c)はエッチング終了時の状態を示す図である。
【0038】ロール表面に向けて耐酸性樹脂液を噴射し
て耐酸性樹脂液を斑状に塗布すると(a)のようにな
り、さらにその上にエッチング液を噴射すると耐酸性樹
脂の液滴で覆われた部分2は、エッチングされないが、
樹脂のない部分4がエッチングされる。エッチングの初
期状態は(b)のようになり、エッチングは等方的に進
むため、樹脂膜の下部もサイドエッチングによりエッチ
ングが進み(c)に示すように急峻な凹凸になる。
【0039】このように、本発明はリソグラフィ法では
好ましくないとされているサイドエッチングを有効に利
用したものである。
【0040】所定の粗度にエッチングした後、トルエン
のような溶剤により耐酸性樹脂を除去するとダルロール
に仕上がる。なお、エッチングは、樹脂を塗布した後、
ロール全体をエッチング液に侵漬しておこなってもよ
い。
【0041】次に、めっきにより凹凸加工する方法につ
いて説明する。耐酸性樹脂を二流体ノズルにより噴射し
てロール表面に塗布するのは、上記方法と同じである。
塗布した後、ロール全面をめっきすると耐酸性樹脂の付
着していない部分のみめっきが成長し、樹脂で被覆され
ている部分は絶縁性となっているため、めっきは成長し
ない。所定のめっき厚みに成長させた後、耐酸性樹脂を
除去すると、急峻な凹凸を有したダルロールが得られ
る。
【0042】めっきには、耐摩耗性に優れたクロムの電
気めっきが好適であるが、その他ニッケル(下層)−ク
ロム(上層)の二層電気めっき等がある。
【0043】めっきする場合の条件として、電流密度は
20〜40A/dm2 程度でよく、めっきの厚みとして
は7〜15μm程度にすればよい。
【0044】図6は、本発明の方法によりロールの表面
を加工した後の凹凸の状態を示す断面図である。(a)
はエッチングにより加工した凹凸状態を、(b)はめっ
きによる凹凸状態を示す。
【0045】エッチング加工では同図(a)のように、
樹脂液滴間4が凹部となるため樹脂塗布部2は凸状とな
り島状になる。このような表面のロールで圧延された鋼
板は、逆に凹部が点々として存在する鋼板となる。
【0046】これに対して、めっきによる方法では
(b)に示すように、樹脂液滴間4はめっき金属により
凸部になり、樹脂塗布部2はめっきされないのでロール
表面上に凹部として点々と残るダル形態となる。したが
って、この状態の表面を有するロールで圧延された鋼板
では、凸状部が島状に残ることになる。
【0047】外装材として両者のつや消し性には大きな
差はないが、例えば、汚れの付着性という観点からは鋼
板上に凸部が点々と残る方がより汚れが付着しにくく、
かつ付着した汚れも落ち易い。従って、鋼板の使用目的
により両者を使い分ける。
【0048】このようにして従来法では不可能であった
ダルロールを製作することができるが、長期間の圧延や
圧延条件が苛酷な場合、凸部の磨耗が問題となる場合が
ある。このような場合には、上記、エッチング加工又は
めっき加工により凹凸に加工した後で、硬質のめっきを
施すのが好ましい。このめっきも前記した硬質のクロム
めっきが好ましい。
【0049】以下、本発明の効果を実施例に基づいて説
明する。
【0050】
【実施例】
(実施例1)耐酸性樹脂液として、増感剤を添加した光
硬化型アクリル系ポリマーを用い、また気体として空気
を用いた。樹脂の粘度は40cps/25℃であった。
【0051】ノズルは、図5に示す構造の口径は0.5
mmのものを用いた。また、ロールは直径350mm、
バレル長600mmの鋳鉄製ロールを用いた。
【0052】ロールを軸受けで支持して回転させなが
ら、二流体ノズルからアクリル系ポリマーを表1に示す
条件でロール表面に向けて噴射した。液圧と気圧とを変
化させ、液滴の平均粒径を6〜35μmの範囲で変化さ
せた。
【0053】
【表1】
【0054】表中の噴射時間は、ロールとノズルとの間
にシャッターを設け、その開閉時間で調整した。
【0055】光硬化性樹脂であるため、樹脂液滴がロー
ル面に付着するまでは暗室で作業をおこなった。耐酸性
樹脂を塗布した後、樹脂を光硬化させ、ロールを回転さ
せながら塩化第2鉄水溶液をスプレー塗布してエッチン
グした。この塩化第二鉄溶液としては比重1.45と
し、温度を48℃に管理した。このときのエッチング速
度は、約4〜6μm/minであった。エッチング加工
後、ロールを洗浄し、さらに耐酸性樹脂をトルエンで除
去した。この状態で、ロールの表面プロフィールとして
ロールの中心線平均粗さRa(JISB0601)とピ
ークカウントPc(個/mm)を測定した。すなわち、
平均的な凹凸の波長と凸状体のピッチである。なお、P
cは、JISB0601で規定する凹凸の平均間隔Sm
の逆数である。
【0056】また、従来例として、グリッド投射と放電
加工によりロールの表面を加工し、加工後上記と同じよ
うにRaとPcとを測定した。グリッド投射の加工条件
を表2に、放電加工の条件を表3にそれぞれ示す。
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】図7は、測定結果を示す図である。図から
明らかなように、本発明の方法により加工したロール表
面は、従来のグリッド加工、放電加工したロール表面に
比べ、同一粗度でありながらピッチがかなり小さくなっ
た凹凸状態になっている。また、エッチング加工でも、
樹脂液の平均粒径が20μmを超えた状態で塗布した場
合(6、7、8)、凸状体のピッチが大きい。
【0060】(実施例2)表1のロールNo.1、3お
よび5の条件で、新たにロール表面を耐酸性樹脂で斑状
に塗布し、さらに電流密度30A/dm2 にてクロムめ
っきを施し、樹脂が塗布されていないロール表面に厚さ
10μmのめっき被膜を設けた。その後、トルエンで樹
脂を除去した。
【0061】また、表1のロールNo.1(エッチング
加工ロール)に相当するロールとNo.1の条件でロー
ル表面に耐酸性樹脂を塗布後上記条件でクロムめっきし
たロールとを用意し、耐酸性樹脂を除去した後、さら
に、ロール表面全体をクロムめっきし、厚さ15μmの
めっき被膜を設けたロールを製作した。
【0062】このようにして得たロールと、実施例1で
作製した本発明ロール、従来ロール、比較例のロールを
用いて、板厚0.5mm、板幅400mmのフェライト
系ステンレス鋼SUS430−2B(18Cr)冷延鋼
板を圧延し、圧延後の鋼板の表面粗度、光沢度を測定し
た。表4に結果を示す。
【0063】
【表4】
【0064】同表から明らかなように、本発明の条件を
満たしたロールにより圧延した場合、つや消し性に優れ
たステンレス鋼板が得られたが、従来例、比較例では光
沢度が高く、つや消し性に劣った鋼板となっている。
【0065】
【発明の効果】本発明の方法により、ロール表面に急峻
な凹凸の粗度を形成することができ、このロールを用い
て圧延しすることにより、ステンレス鋼板に優れたつや
消し性を付与することができる。その工業的価値は極め
て大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】つや消し性の概念を説明する模式図である。
【図2】従来のダル加工法によるロール表面の表面プロ
フィールを示す図である。
【図3】従来のリソグラフィ法の工程を説明する図であ
る。
【図4】二流体ノズルの構造を示す図である。
【図5】本発明方法によるエッチングの工程を示す図で
ある。
【図6】本発明の方法で加工したロール表面のプロフィ
ールを示す図である。
【図7】ダル加工したロール表面におけるRaとPcの
関係を示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】二流体ノズルから耐酸性樹脂液と気体とを
    噴射して、平均粒径で20μm以下の液滴とした霧状の
    耐酸性樹脂液を金属ロールの表面に吹き付けて斑状に塗
    布し、次いで耐酸性樹脂が付着していないロール表面を
    エッチング加工することを特徴とする金属ロールの表面
    加工方法。
  2. 【請求項2】二流体ノズルから耐酸性樹脂液と気体とを
    噴射して、平均粒径で20μm以下の液滴とした霧状の
    耐酸性樹脂液を金属ロールの表面に吹き付けて斑状に塗
    布し、次いで耐酸性樹脂が付着していないロール表面を
    金属めっきすることを特徴とする金属ロールの表面加工
    方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2の方法で加工したロールの
    表面から耐酸性樹脂を除去した後、ロール表面を金属め
    っきすることを特徴とする金属ロールの表面加工方法。
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