JP7298572B2 - 電気亜鉛めっき鋼板および電気亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

電気亜鉛めっき鋼板および電気亜鉛めっき鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、コンダクターロール圧下による金属光沢を大きく低減させた美麗な外観を有する電気亜鉛めっき鋼板および電気亜鉛めっき鋼板の製造方法に関するものである。
電気亜鉛めっき鋼板は、家電製品、自動車、建材などの広範な用途で使用されている。中でも、無塗装で使用される家電用途向け各種化成処理電気亜鉛めっき鋼板においては、表面外観に優れることが要求される。各種化成処理後の外観は化成処理前の亜鉛めっき外観に大きく左右されるため、化成処理前の外観が重要である。電気亜鉛めっき鋼板においては亜鉛結晶の微細な凹凸による拡散反射により、金属光沢の少ない白色美麗な外観を有することが知られている。
電気亜鉛めっき鋼板は、冷延鋼板を亜鉛イオンを含有する電解液中で陰極電解処理することによって得られる。電気めっき装置としては、電解槽の形式によって、縦型、水平型、ラジアル型の3種類が知られている。いずれの装置においてもめっき槽内に鋼板と相対して対極を配し、コンダクターロールを通して鋼板に通電している。
ここで、電気めっき後にコンダクターロールと接する側において、亜鉛めっき結晶がコンダクターロールに押し潰されることで亜鉛結晶の平滑な箇所ができ、金属光沢を発する部分が散在する外観を呈し、表面外観を損なう及びめっき後の外観に表裏差が生じるという問題があった。図1に水平型セルを示すが、電気めっき後に5bのコンダクターロールに接触することで、平滑部が形成される。
このようなめっき面の表裏差の解消および外観を改善する方法として、コンダクターロールやバックアップロールの配置、圧下力、硬度を調整する技術が検討され、特許文献1には、複数配置されたコンダクターロールとバックアップロールの上下配置を交互に替える技術が、特許文献2には、コンダクターロールの圧下力を低減し、バックアップロールの硬度を制御する技術が開示されている。
特許文献3には、溶融亜鉛めっき鋼板の表面に個体微粒子を投射し、表面に微細な凹凸を付与してめっき表面光沢を調整して電気亜鉛めっき鋼板と同様な外観を得る技術が開示されている。
特開平4-26794号公報 特開平7-216583号公報 特開2003-306758号公報
特許文献1の技術では、めっき面外観の表裏差を軽減することはできても、両面に押しつぶされた跡は残るために、金属光沢を誘発する外観は変わらない。そのため、無塗装で使用される場合、良好な外観を得られないという問題があった。
特許文献2の技術では、金属光沢部の軽減はできるが、金属光沢を有する部分が散在する外観を解消するには至らないという課題があった。
特許文献3の技術では、金属光沢部の軽減はできるが、めっき面表裏の光沢度の差を十分に少なくすることは出来なかった。
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであって、コンダクターロール圧下で形成される金属光沢度を大きく低減して、表裏の光沢度差を低減し、表裏共に美麗な表面外観を有する電気亜鉛めっき鋼板および電気亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく、電気亜鉛めっき鋼板特有の美麗な外観を維持しながらコンダクターロール圧下による金属光沢部を光沢のない状態に変化させる方法について鋭意研究を重ねた。その結果、電気亜鉛めっき鋼板表面に平均粒径6~150μmの特定形状の微粒子を混合した液体を噴射することにより、金属光沢部のない外観が得られ、表裏の光沢度差が最小となる電気亜鉛めっき鋼板を製造できることが明らかになった。ここで、表裏の光沢度差が最小となる電気亜鉛めっき鋼板とは、表裏の光沢度差が5以下であることを意味する。表裏の光沢度差が5以下であれば、肉眼での光沢度差は認識困難である。更に、電気亜鉛めっき面の光沢度Gs(60°)が15以下であれば、光沢が無いと認識できる。
また、電気亜鉛めっき鋼板には表面の白色度が高いことが要求される場合がある。亜鉛めっき鋼板表面の白色度は明度で評価される場合が多いが、明度指数Lが65以上であれば白色度が高いと評価される。
上記より、表裏面の光沢度Gs(60°)が15以下であり、表裏面の光沢度差が5以下であり、表裏面の明度Lが65以上である電気亜鉛めっき鋼板は、表裏共に美麗な表面外観を有する電気亜鉛めっき鋼板と評価される。
また、表裏面の三次元粗さパラメータのスキューネス(Ssk)を0.30以下とすることにより、細かな谷状の形状が多く付与され、電気亜鉛めっき鋼板の金属光沢部を十分に除去できる。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下の通りである。
[1]電気亜鉛めっき鋼板の、少なくとも電気亜鉛めっき時に通電ロールと接しためっき鋼板の表面に、平均粒径が6~150μmであり、平均円形度0.90以下である微粒子を混合した液体を噴射することを特徴とする電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[2]前記微粒子の平均粒径が40μm以上であることを特徴とする[1]に記載の電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[3]電気亜鉛めっき鋼板の、少なくとも電気亜鉛めっき時に通電ロールと接しためっき鋼板の表面に前記微粒子を混合した液体を噴射して、電気亜鉛めっき時に通電ロールと接した面の光沢度Gs(60°)を15以下にすることを特徴とする[1]~[2]のいずれかに記載の電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[4]前記微粒子を混合した液体を噴射した後の電気亜鉛めっき鋼板の表裏面の光沢度差が5以下であることを特徴とする[3]に記載の電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[5]前記微粒子を混合した液体を電気亜鉛めっき鋼板の表裏面に噴射することを特徴とする[1]~[4]のいずれかに記載の電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[6]表裏面の光沢度Gs(60°)が15以下であり、表裏面の光沢度差が5以下であり、表裏面の明度Lが65以上であることを特徴とする電気亜鉛めっき鋼板。
[7]表裏面の三次元粗さパラメータのスキューネス(Ssk)が0.30以下であることを特徴とする[6]に記載の電気亜鉛めっき鋼板。
本発明により、コンダクターロール圧下による金属光沢部を低減し、外観の良好な電気亜鉛めっき鋼板を得ることができる。
本発明の一実施形態に係る水平型電気めっきセル断面図を示す。
本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
先ず、電気亜鉛めっき工程について説明する。電気亜鉛めっきの処理条件は特に限定されず、適宜好ましい条件を採用すればよい。めっき浴中に亜鉛イオンが存在する状態で、鋼板を陰極として電解し、その後水洗を行う。なお、必要に応じて、その後、乾燥を行ってもよい。なお、水洗、乾燥の方法は特に限定されず、一般的な方法を採用可能である。めっき浴種は特に限定されるものではなく、硫酸浴、塩化物浴、ジンケート浴などを用いることができる。
ここで、亜鉛めっきが施される鋼板の鋼種は特に限定されるものではなく、低炭素鋼、極低炭素鋼、IF鋼、各種合金元素を添加した高張力鋼板等の種々の鋼板を用いることができる。また、前記鋼板は、熱延鋼板、冷延鋼板のいずれも用いることができる。鋼板の厚さは特に限定されないが、家電、自動車車体、建材等の用途に用いる観点から、0.4~5.0mmが好ましい。
次に、微粒子を混合した液体を噴射する工程について説明する。前記噴射に用いる粒子サイズは平均粒径6~150μmである必要がある。ここで、平均粒径とは、メディアン径D50のことである。「メディアン径D50」とは、累積質量50%径、すなわち、粒子群をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側の粒子群の積算粒子量と、小さい側の粒子群の積算粒子量が等量となる径のことで、JISR6001における「累積高さ50%点の粒子径」を示す。尚、メディアン径D50の測定では、粒子径として体積球相当径を採用する。平均粒径が6μm未満であると表面に十分な凹凸形状を付与することができないため、平滑な金属光沢部の解消に至らない。一方、平均粒径が150μmを越えると、表面全体に均一に微粒子があたらず、局所的に金属光沢部の残存する箇所が見られる。また、新たに付与される凹凸形状が大きくなり、電気亜鉛めっき鋼板と大きく異なる、ザラザラ感のある表面外観に変化してしまう。
更に、前記平均粒径は40μm以上であることがより好ましい。40μm未満では得られる電気亜鉛めっき鋼板表面のL値がブラスト処理を行わない場合と比べて大きく低下するためである。
噴射する粒子は平均円形度が0.90以下である微粒子(以下、本件発明微粒子と称する。)を用いることが必要である。ここで、円形度とは、粒子表面の凹凸度合いを表すもので、Wadellの円形度のことを示しており、下記式で求められる。
円形度=投影面積の等しい円の周長/粒子の周長
ここで、「投影面積の等しい円の周長」とは、ある粒子を真上から観察したとき、下の平面に映った粒子の影の面積を求め、この面積に等しい円の輪郭の長さである。「粒子の周長」とは、粒子を真上から観察したとき、下の平面に映った粒子の影の輪郭の長さである。粒子表面の凹凸度合いが小さいほど、円形度は1に近くなる。
平均円形度が0.90を超えると、得られる電気亜鉛めっき鋼板の光沢度が高くなり、電気亜鉛めっき鋼板特有の外観が失われるため不適である。外観の観点からの平均円形度の下限は無いが、製造コストの点で平均円形度が0.70以上0.90以下の粒子が好ましい。
本件発明微粒子を用いた場合、電気亜鉛めっきの金属光沢部以外の場所に近い、光沢感の低い外観を全面にわたって得ることができる。一方、本件発明微粒子以外の形状の粒子を用いた場合、本件発明微粒子を用いた場合に比べて全体的に光沢度は高くなる。このメカニズムは明らかでは無いが、本件発明微粒子は、一般にブラスト処理等で使用される球形ではなく、表面が凹凸を有するため、本件発明微粒子を用いた場合、表層に細かい鋭角な凹凸形状が付与され、光が正反射しにくいのに対し、本件発明微粒子以外の形状の粒子を用いた場合、表層に細かい鋭角な凹凸形状が付与されないため、その底面部では光が正反射され易いためと考えられる。
本件発明は、少なくとも電気亜鉛めっき時に通電ロールと接しためっき鋼板の表面に平均粒径が6~150μmであり、平均円形度が0.90以下である微粒子を混合した液体を噴射することが必要である。電気亜鉛めっき時に通電ロールと接しためっき鋼板の表面のみに上記微粒子を混合した液体を噴射することによって、噴射しない亜鉛めっき面の光沢度や白色度との間に明確な差が発生して好ましくないと判断される場合は、めっき鋼板の両面に微粒子を混合した液体を噴射しても構わない。その場合は、めっき鋼板の両面に同時に噴射してもよいし、別々に噴射しても構わない。表裏で噴射条件を違えても構わない。
本件発明微粒子の材質としては、ステンレス、アルミナ、ジルコニア、樹脂、ガラスのうち1種類または2種類以上であることが望ましい。
ブラスト処理方法には、遠心力ブラスターで、粒子を照射するショットブラスト、圧縮エアを用いて粒子を照射するサンドブラストなどが広く知られている。ショットブラストは、比較的粒径が大きく、質量が重い粒子でブラストすることが可能ではあるが、質量の小さい粒子は、空気抵抗によって粒子の速度が低下してしまい、ブラストすることができない。一方、サンドブラスト処理は、圧縮エアによって照射するため、質量の小さい粒子を照射することが可能である。しかし、放射状に粒子が放射状に噴射するため、板幅方向の均一性を保持するためには、ノズルを左右にスキャンさせ、オーバーラップする箇所を作る等が必要で、処理速度が極端に遅くなる。また、粒子が衝突する際の、めっき層へのダーメージも大きくなる。
本件発明では、本件発明微粒子を混合した液体を電気亜鉛めっき鋼板表面に噴射する方法を用いる(以下、この方法をウェットブラストと称する。)。前記噴射は噴射ノズルを用いて行うことが望ましい。ウェットブラストはノズル形状を比較的自由に設計できるため、幅広ノズルを用いることができる。この方法を用いることで、板幅方向の均一性を保持することができ、更には、電気亜鉛めっき層の損傷を最小限に抑制することも可能である。
電気亜鉛めっき鋼板のめっき皮膜の厚さは一般的に約1~10μm(めっき付着量として約5~60g/m)程度の薄膜厚であり、微粒子を液体と混合しないでめっき鋼板に噴射すると、めっき層が微粒子の衝突エネルギーで加熱されて軟化し、めっき層が損傷する場合がある。ウェットブラストでは、めっき層が加熱されても液体で冷却され、めっき層が損傷しにくいため、本件発明ではウェットブラストを適用する。
ウェットブラスト処理は、例えばマコー(株)製ウェットブラスト装置を用いて処理することができる。ウェットブラスト処理に用いる粒子は、ステンレス、アルミナ、ジルコニア、樹脂、ガラスのうち1種類または2種類以上であることが望ましい。比較的硬い粒子のほうが、表面形状を制御するのに有効であり、耐摩耗性に優れる粒子のほうが循環して使用する際の粒子寿命の観点で有効である。
ウェットブラスト処理時の圧縮エア圧は0.05~1.0MPaが望ましい。0.05MPa未満では、粒子が有するエネルギーが不十分で、十分に圧縮応力を導入できないことがある。1.0MPaを超えると、装置が摩耗し易くなる。処理時の投射距離は3~500mmが望ましい。3mm未満であると、鋼板とノズルが接触してしまう可能性がある。また、500mmより長いと、十分に表面形状を制御できないことがある。処理角度は、表面に対して30~90°の範囲であることが望ましい。90°が最も効率的に表面形状を制御できるが、何らかの理由で傾きを持っても構わない。30°を下回ると、表面形状の制御性が低下する。処理速度、処理回数は、所望される表面形状によって適宜決定すれば良い。
ウェットブラスト処理液中の微粒子濃度は5質量%以上が好ましい。
ウェットブラスト処理後の鋼板は、ブラストした粒子が残存しないように、水洗し、乾燥する。水洗方法や乾燥方法は限定されず、適宜必要な方法を用いればよい。ブラストした粒子が残存すると腐食の拠点になる可能性があるため、十分に洗浄して除去することが好ましい。
また、本発明による電気亜鉛めっき鋼板は、三次元粗さパラメータのスキューネス(Ssk)が0.30以下であることが好ましい。
ここで、亜鉛めっき表面のスキューネス(Ssk)とは、三次元粗さパラメータのことであり、JIS B0601(2001)に規定されたRskを三次元に拡張したものである。Ssk=0のときは、表面高さ分布が表面高さの平均線に対して対称であり、Ssk<0のときは、表面高さ分布が平均面に対して上(表面側)に偏っていることを示す。
三次元粗さパラメータのスキューネス(Ssk)が0.30を超えると、ウェットブラスト処理後の鋼鈑において、ブラスト粒子が衝突しなかった箇所には急峻な山状の形状が残り、他の箇所は平坦な形状となる。このような場合、電気亜鉛めっき鋼板の金属光沢部を十分に除去できないおそれがある。三次元粗さパラメータのスキューネス(Ssk)が0.30以下の場合は、細かな谷状の形状が多く付与され、電気亜鉛めっき鋼板の金属光沢部を十分に除去できる。
ここで、三次元粗さパラメータのスキューネス(Ssk)を0.30以下とするためには、電気亜鉛めっき鋼板の表面に、平均粒径が150μm以下であり、平均円形度が0.90以下である粒子をブラストすることが肝要である。ブラスト粒子の平均粒径を150μm以下に制限することで、ブラスト粒子が衝突しなかった隙間箇所が急峻な山状の形状となり、他の箇所が平坦な形状となることを抑制できる。また、平均円形度が小さいと、ブラスト粒子が衝突した箇所においても細かな谷状の形状を付与できる。
前記Sskを測定する方法は、特に限定はされないが、電子線三次元走査電子顕微鏡(3D-SEM)を用いて亜鉛めっき表面の三次元表面形状を測定し、測定した三次元表面形状のデータのゆがみを除去することによって算出されることが好ましい。ここで、前記測定した三次元表面形状データのゆがみとは、前記3D-SEMの測定原理上、本来の三次元形状に重畳する二次式で表される放物線状の歪みのことである。そのため、本発明では、測定した三次元表面形状測定データに対し、最小二乗法で当てはめた二次曲面を測定データから差し引く二次元曲面回帰処理を施すことが好ましい。
なお、前記のようにして二次元曲面回帰処理を施して求めた粗さ曲面データは、めっき原板のマクロな凹凸の上に微細なめっき結晶の形状が重畳したものであるが、めっき原板のマクロな凹凸はめっき後の色調への寄与は小さい。そのため、本発明では、前記のようにして二次元曲面回帰処理を施して求めた粗さ曲面データに対し、さらにハイパスフィルター処理を施すことで得られる、微細なめっき結晶形状のみを抽出したデータから、前記Sskを算出する。前記ハイパスフィルター処理のカットオフ波長λcは、10μmである。
ブラスト処理後の鋼板は、必要に応じて、めっき表面に無機系皮膜、有機系皮膜、又はこれらの複合皮膜を有してもよい。
本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
素材鋼板として、板厚0.6mmの冷延鋼板を下地とする、めっき付着量が片面あたり20g/mの電気亜鉛めっき鋼板を用いた。本実施例においては、コンダクターロールが接触し、金属光沢部の見られる面をCDR面、コンダクターロールが接触していない側の面を非CDR面とする。供試材を230mm×350mmサイズにせん断し、ウェットブラスト処理を施した。両面の光沢度差を観察するため、両面ウェットブラスト処理を施した。粒子の材質はアルミナ、ステンレスの本件発明微粒子及び本件発明外微粒子とし、幅広ガンを用いて処理した。使用した微粒子の形状は、下記手法により測定した。
微粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影し、粒子100個を無作為に選択した。
選択した粒子それぞれについて面積と周長とを画像解析ソフト(Image Pro Plus)を用いて求め、下記式に従って円形度を算出し、その平均値を各微粒子の平均円形度とした。
円形度=投影面積の等しい円の周長(μm)/粒子の周長(μm)
詳細条件を表1に示す。処理後の供試材を水洗・乾燥した。
Figure 0007298572000001
以上のようにして得られた試験片について、以下の評価を行った。得られた結果を、表2に示す。
(1)金属光沢部の有無
試験片を目視で観察し、金属光沢部の有無を調査した。
○:金属光沢部なし
×:局所的に金属光沢部あり
(2)光沢度の測定
各試験片について、日本電色製のPG-1Mを用いて測定した。測定角度は60°とした。
光沢度は表裏ともに測定し、表裏差を算出した。
(3)L値の測定
各試験片について、コニカミノルタ製分光色彩計CM-2600dを用い、SCE(正反射光除去)モードで測定した。
(4)三次元表面形状測定
各試験片について、エリオニクス社製の電子線三次元粗さ解析装置(ERA-8800FE)を用いて、加速電圧5kV、測定領域60μm×45μm、測定間隔0.1μmの条件で測定を行い、スプラインハイパスフィルター処理のカットオフ波長を10μmとしてスキューネス(Ssk)を算出した。
Figure 0007298572000002
表2に示したように、本発明によれば、ウェットブラスト後の通電ロールと接しためっき面(CDR面)の光沢度は15以下であり、表裏面の光沢度差は5以下であり、かつ、金属光沢部も認められなかった。更に、本発明によれば、ウェットブラスト後のL値は表裏共に白色度が高いと判定される65以上であった。また、表裏面のスキューネス(Ssk)はいずれも0.30以下であった。
一方、ブラストに使用した粒子の平均円形度が0.90を超える比較例では光沢度が低下せず、いずれも15を超えている。また、表裏面のスキューネス(Ssk)はいずれも0.30超であった。
なお、ウェットブラスト処理を行う条件(平均円形度、平均粒径)の変化により、L値を低い領域から高い領域まで制御できていることも確認した。
本発明によれば、コンダクターロール圧下で形成される金属光沢度を大きく低減して、表裏の光沢度差を最小とし、表裏共に美麗な表面外観を有する電気亜鉛めっき鋼板および電気亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することが出来る。
1 めっきセル
2 対極
3 めっき液
4 鋼帯
5a、5b コンダクターロール
6 バックアップロール
7 ダムロール

Claims (6)

  1. 電気亜鉛めっき鋼板の、少なくとも電気亜鉛めっき時に通電ロールと接しためっき鋼板
    の表面に、平均粒径が6~150μmであり、平均円形度が0.90以下である微粒子を
    混合した液体を噴射することを特徴とする電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 前記微粒子の平均粒径が40μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の電気亜
    鉛めっき鋼板の製造方法。
  3. 電気亜鉛めっき鋼板の、少なくとも電気亜鉛めっき時に通電ロールと接しためっき鋼板
    の表面に前記微粒子を混合した液体を噴射した後の、電気亜鉛めっき時に通電ロールと接
    した面の光沢度Gs(60°)が15以下であることを特徴とする請求項1または2に記
    載の電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  4. 前記微粒子を混合した液体を噴射した後の電気亜鉛めっき鋼板の表裏面の光沢度差が5
    以下であることを特徴とする請求項3に記載の電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  5. 前記微粒子を混合した液体を電気亜鉛めっき鋼板の表裏面に噴射することを特徴とする
    請求項1~4のいずれかに記載の電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  6. 表裏面の光沢度Gs(60°)が15以下であり、表裏面の光沢度差が5以下であり、
    表裏面の明度Lが65以上であり、表裏面の三次元粗さパラメータのスキューネス(Ssk)が0.30以下であることを特徴とする電気亜鉛めっき鋼板。
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