JP2003039325A - 金属体の表面粗さ調整方法及び金属体の製造方法 - Google Patents

金属体の表面粗さ調整方法及び金属体の製造方法

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JP2003039325A
JP2003039325A JP2001225451A JP2001225451A JP2003039325A JP 2003039325 A JP2003039325 A JP 2003039325A JP 2001225451 A JP2001225451 A JP 2001225451A JP 2001225451 A JP2001225451 A JP 2001225451A JP 2003039325 A JP2003039325 A JP 2003039325A
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solid particles
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JP2001225451A
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Masayasu Ueno
雅康 植野
Yukio Kimura
幸雄 木村
Yasuhiro Sotani
保博 曽谷
Shogo Tomita
省吾 冨田
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JFE Engineering Corp
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属体の表面に目的とする表面粗さを効率的
に付与することができる表面粗さ調整方法を提供する。 【解決手段】 ブロア1からは圧力2kg/cm以下の空
気が空気供給管2を通じて供給される。ブロア1と投射
を行うスリットノズル3の間に、固体粒子4を空気供給
管2に混合する供給口5がある。固体粒子4は粒子が入
れられているストレージタンク6から定量供給装置7に
よって一定量に制御されて供給され、供給口5から空気
供給管2に混合される。空気と混合された固体粒子は加
速され、60m/sec以上の速度でスリットノズル3から
投射される。供給口5からスリットノズル先端までの配
管の長さを0.5m以上とし、固体粒子4の平均粒径30〜3
00μmとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属体の表面に適度
な表面粗さを付与するための方法及び金属体の製造方法
に関するものであり、さらに詳しくは、プレス成形性や
塗装後の鮮映性などに優れた金属体を得るために、固体
粒子を表面に投射することで、短ピッチの凹凸を均一に
付与するのに適した表面粗さの調整方法、及びこの方法
を用いた金属体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車部品や建築材料の分野などで使用
される鋼帯(亜鉛めっき鋼板などの表面処理鋼板も含
む)において、鋼帯の表面粗さを調整することが、プレ
ス成形性や塗装後の鮮映性、化成処理性などに大きな影
響を与えることが知られている。
【0003】例えば、プレス成形性の向上には金型と鋼
板の界面における保油性を確保し、型かじりを防止する
ため、鋼板表面の中心線平均粗さRa(JISB0601)を大
きくするとともに、1インチあたりの凹凸のピーク数で
あるピークカウントPPI(SAE911)を大きくすること
が効果的である。また塗装後の鮮映性については、下塗
り工程等において短周期の凹凸は埋められるが、長周期
の凹凸は塗装後も残留するため、中心線うねりW
ca(JISB0601)を小さくすることが有効である。
【0004】通常このような鋼帯の表面粗さの調整は、
調質圧延時にロール表面粗さを鋼帯表面に転写すること
によって行われる。このためには、圧延ロールとして、
表面はショットブラスト加工、放電加工、レーザー加
工、電子ビーム加工等を施すことで、所定の凹凸が形成
されたダルロールが使用される。
【0005】一方、調質圧延とは異なる手段で鋼帯の表
面粗さを調整する方法として、固体粒子を直接鋼帯表面
に投射することによって、表面粗さを調整する方法があ
る。例えば特開平3−294418号には、冷延鋼板を
対象とし、良好なプレス成形性と塗装後鮮映性を得るた
めに、平均粒径20〜100μmの固体粒子を圧力1〜4kg
/cmの圧縮空気と混合してノズルから噴射すること
で、鋼板に投射する方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決すべき課題】鋼帯の表面粗さを調整する方
法である前記の従来技術には以下のような問題点があ
る。調質圧延による方法では、金属帯の機械的特性を調
整する目的から伸張率の上限が規定されているため、圧
延ロールの凹凸すべてが鋼帯に転写することにはならな
い。したがって、圧延ロールの表面粗さの転写率も一定
割合に制限され、鋼板側に緻密な凹凸が形成されにく
い。
【0007】逆に言うと、金属鋼帯の表面に短ピッチの
凹凸を形成しようとする場合には、圧延ロールの表面
に、それ以上に緻密な凹凸を形成しなければならない。
また調質圧延では圧延の進行に伴い、摩耗やめっき皮膜
成分のピックアップによってロールの粗度が経時的に変
化し、鋼帯に転写される表面粗さを一定に保つことが困
難となる。そのため圧延ロールを一定期間使用した後に
組替えを行わざるを得ず、生産能率の低下が生じること
となる。
【0008】特開平3−294418号で開示されてい
る方法は、圧力1〜4kg/cmの圧縮空気をノズルから
噴射させることで、空気流れを加速させ、その粘性的性
質を利用して固体粒子を加速させる方法である。圧力1
〜4kg/cmの圧縮空気を得るためには、通常は高圧コ
ンプレッサーが用いられる。
【0009】この場合、固体粒子を加速させるためのエ
ネルギーは、そのほとんどが空気の圧縮仕事に費やさ
れ、エネルギーロスが大きくなる。そのため高圧コンプ
レッサーを用いた場合におけるエネルギー効率は低く、
動力などのランニングコストが増大するという問題点が
ある。また高圧空気を扱うため配管系は耐圧構造が必要
となる上に、高圧コンプレッサー自体が高価であるた
め、初期設備投資は大きくなる。さらに単独のノズルで
投射できる面積が小さいため、広幅の鋼帯に対して高速
で処理を行うためには、多数のノズルを配置しなければ
ならず、幅方向の表面粗さの均一性、および設備保守の
観点からも問題がある。
【0010】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、金属体の表面に目的とする表面粗さを効率的に
付与することができる表面粗さ調整方法、及びこの方法
を利用した金属体の製造方法を提供することを課題とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の第1の手段は、固体粒子をガス流体と混合して、ノズ
ルから、表面にスケールやバリが形成されていない金属
体の表面に投射することによって金属体の表面粗さを調
整する方法であって、前記固体と前記ガス流体の混合箇
所から前記ノズル先端までの配管の長さを0.5m以上と
し、前記固体の平均粒径30〜300μmとすることを特徴
とする金属体の表面粗さ調整方法(請求項1)である。
【0012】本手段による表面粗さ調整方法は、固体粒
子を、表面にスケールやバリが形成されていない金属体
に投射することにより、金属体表面に粒子の衝突による
圧痕を形成することを原理とする。多数の固体粒子を金
属体に衝突させることで、その表面に多数の凹凸が形成
され、表面粗さが付与されることになる。この凹凸の深
さや大きさなどの形態は、固体粒子のもつ運動エネルギ
ーや粒子径、単位面積あたりの投射量、金属体の表面硬
度に応じて決定される。
【0013】投射する固体粒子として平均粒子径が30〜
300μmの範囲のものを使用するのは、金属体の表面粗
さとしてプレス成形性、塗装後の鮮映性に好適なものを
得るためである。平均粒子径が300μmを超えると、金
属体の表面に形成される凹部が大きくなり、緻密な凹凸
を形成することができない。
【0014】特にプレス成形性を向上させるためには、
凹凸のピッチを短くすることが有効であり、粒子が大き
いと凹凸のピッチが大きくなって、プレス成形性の面か
ら好ましくない。また凹部が大きい場合には長周期の凹
凸、すなわち鋼板表面のうねりが大きくなり、塗装後の
鮮映性が悪化することになる。
【0015】一方、固体粒子の平均粒子径が30μmを下
回ると、投射された固体粒子の速度が空気抵抗による減
衰によって著しく低下するため、必要な表面粗さを得る
ことができなくなる。
【0016】固体とガス流体の混合箇所からノズル先端
までの配管の長さを0.5m以上とするのは、金属体の表
面に粗さを付与するのに十分な粒子速度を安定的に得る
ためである。図1に冷延鋼板(焼鈍材、表面ブライト仕
上げ、R=0.2μm)の表面に、粒径30〜300μmの高
速度鋼(ハイス)の粒子をノズル先端から鋼板までの距
離を100mmとして投射した場合の投射粒子初速度V(ノ
ズル出側での固体粒子の速度:m/sec)に対する、冷
延鋼板の中心線平均粗さRの変化を示す。粒径が大き
く、粒子初速度が大きくなるほどRの値は大きくな
る。通常ダル仕上げと呼ばれ、表面粗さが付与されて製
品となる金属帯の平均粗さRは0.5μmから4.0μm程
度の範囲であり、粒径と粒子速度を変更することによっ
て、表面粗さを制御できることがわかる。このとき凹凸
のピッチが最も小さくなる粒径30μmの粒子でR=0.5
μm以上を得るためには、粒子初速度として90m/sec以
上が必要となる。
【0017】また図2にガス流れ中を運動する固体粒子
に働く力を模式的に示す。粒子はガスから受ける圧力に
より押し出される。粒子速度をV(m/sec)、粒子質
量m(kg)、ガス流速をV(m/sec)、ガス密度をρ
(kg/m)、粒子の投影面積をS(m)、抗力係数
をCとすれば粒子の運動は以下の(1)式で記述さ
れ、(1)式を積分することによって(2)式が得られ
る。ここで(2)式のVは粒子の初速度(m/sec)で
あり、tは時間(sec)である。
【0018】
【数1】
【0019】
【数2】
【0020】(2)式から、固体粒子の速度は時間ととも
に加速され、最終的にはガス流速に収束されていくこと
がわかる。また粒子が初速度V=0m/secで混合され
てから、ガス流速に近くなるまでにはある一定値以上の
加速時間(加速距離)が必要であることがわかる。すな
わち粒子初速度は管内のガス流速と加速時間と等価であ
る加速距離によって決定される。ここでガス流速を大き
くすることによって、短い加速距離でも大きな粒子速度
を得ることが可能となるが、ガス流速Vと音速Vの比
であるマッハ数M=V/Vが0.3以上となるガス流速
領域では、圧縮性の影響により固体粒子を加速するため
のエネルギーがガスの圧縮仕事に費やされるため、逆に
効率が悪化する。したがって、ガス流速はV=0.3V
程度が上限となる。常温での空気の場合、音速は約340
m/secであり、風速の上限は100m/sec程度となる。
【0021】図3にガス流速V=100m/secにおい
て、粒径30〜300μmの鉄系固体粒子で加速距離を変化
させた場合の粒子初速度を示す。粒径が小さいほど粒子
は加速されやすい。30μmの粒子が90m/sec以上の粒子
初速度を持つためには加速距離として0.5m以上が必要で
あることがわかる。
【0022】なお、本手段で固体粒子と混合するガスと
しては、空気が一般的に用いられるが、溶融亜鉛めっき
鋼板のような表面への異物付着を嫌う鋼板に対しては、
窒素やアルゴンといった不活性ガスを用いて、固体粒子
や発生する粉塵と溶融亜鉛めっき鋼板の反応を防ぐこと
が好ましい。
【0023】前記課題を解決するための第2の手段は、
前記第1の手段であって、前記ガス流体の供給圧力を2
kg/cm以下とすることを特徴とするもの(請求項2)
である。
【0024】本手段においては、ガス流体の供給圧力を
2kg/cm以下とすることにより、気体を高圧まで圧縮
する必要が無くなるので、前述のような空気の圧縮によ
るエネルギーロスや配管の耐圧構造が不要となり、高圧
による弊害を避けることができる。その結果、ランニン
グコスト及び初期設備投資を大幅に低減することができ
る。本手段に置いては、粒子の加速をブロア、またはフ
ァン等の気体供給装置から供給されるガス流体を用いて
行うことができる。
【0025】前記課題を解決するための第3の手段は、
前記第2の手段であって、前記ノズルとしてスリットノ
ズルを用いることを用いることを特徴とするもの(請求
項3)である。
【0026】また広幅の鋼帯を高速で効率的に処理を行
うためには、1本のノズルで広範囲な面積を投射するこ
とが必要である。しかし、高圧コンプレッサーを用いる
場合、ガス流速を上げるためには、ノズルの入側と出側
の断面積変化を大きくしなければならないので、断面積
の大きなノズルを使用した場合、所定の圧力を得るため
にはコンプレッサーの動力および寸法をかなり大きくし
なければならない。そのため、一般に高圧コンプレッサ
ーで使用されるノズルの断面積は、鋼板の板幅800〜180
0mmと比べて小さいものとなり、鋼帯全幅に対して投
射を行うためには非常に多数のノズルが必要となる。
【0027】図4にノズル径φ20mmの円径ノズルを使用
し、平均粒径55μmのステンレス鋼ショット粒子を、圧
力4kg/cmで、ノズルから鋼板までの距離を100mmと
して溶融亜鉛めっき鋼板に投射した場合の表面粗さ測定
結果を示す。ここではノズル中心を原点としている。1
本のノズルで表面粗さが付与できる領域は40mm程度であ
る。またこのとき、ノズルから噴出されるガス流れは断
面内で不均一な流速分布を有するため、付与された表面
粗さは不均一な分布を持っていることがわかる。
【0028】一方、低圧空気供給装置を用いた場合に
は、高圧と比較して大面積のノズルであっても投射可能
となる。したがって、高圧式のように断面積の小さい円
形ノズルだけでなく、断面積の大きいスリットノズルを
使用することができる。ここでいうスリットノズルと
は、ノズル断面の長辺と短辺の比が5倍以上である、矩
形断面ノズルや楕円形断面ノズルのことをいう。
【0029】図5にスリットノズルとして8mm×400mm
の矩形断面スリットノズルを用い、平均粒径55μmのス
テンレス鋼ショット粒子を圧力0.5kg/cmで、ノズル
から鋼板までの距離を100mmとして溶融亜鉛めっき鋼板
に投射を行った場合の表面粗さ測定結果を示す。断面積
の大きなノズルを使用することができるため、ノズル壁
によるガス流れの影響が相対的に小さくなるので、高圧
コンプレッサーで円形ノズルを使用した場合と比較し
て、広い範囲に均一に表面粗さを付与できる。
【0030】前記課題を解決するための第4の手段は、
前記第1の手段から第3の手段のいずれかであって、前
記固体粒子が球形であることを特徴とするもの(請求項
4)である。
【0031】一般的にブラスト装置などで用いられる固
体粒子として、粒子が球形であるショットブラストと角
張った形状であるグリッドブラストが知られている。前
者は被加工材表面を硬化させるショットピーニング効果
を得るために使用され、後者は表面を研削または表面の
異物を除去する、いわゆるブラスト処理のために使用さ
れる。本発明が対象とする表面粗さの付与においては、
球形粒子を使用することが望ましい。グリッドを使用す
る場合には、表面を除去する作用があるため歩留りが悪
化すること、めっき鋼板などに使用した場合には、皮膜
を除去してしまうことになり、適切でない。
【0032】また、球形の粒子を使用した場合には圧痕
として鋼板の表面に微細なデインプルが多数形成され、
プレス成形を行う場合に、微細なデインプルがプレス油
の保油性を高め、プレス加工時の摩擦係数を低下させる
という効果が得られる。
【0033】さらに投射する固体粒子の密度が小さいと
鋼板表面に衝突するエネルギーが小さくなり、圧痕を形
成しにくい。そのため本発明では密度2kg/cm以上の
金属系材料、またはセラミックス材料を用いることが好
ましい。具体的には金属系では炭素鋼、ステンレス鋼、
高速度鋼、セラミックス系ではアルミナ、ジルコニアな
どを用いることができる。またタングステンカーバイド
などの超硬合金でもよい。この中で密度が大きく、高硬
度で表面に圧痕が形成しやすく、しかも低価格という点
から鉄系材料が好ましい。
【0034】前記課題を解決するための第5の手段は、
前記第1の手段から第4の手段のいずれかであって、前
記金属体が、表面粗さをPPI≦100、Wca≦0.7μmに
調整した調質圧延後の金属体であることを特徴とするも
の(請求項5)である。
【0035】本発明の目的は金属鋼帯の表面粗さを調整
することであり、この面からは、調質圧延により鋼板の
機械的性質を調整した後に、固体粒子を投射するのが望
ましい。このとき、調質圧延では、できるだけ表面に凹
凸を予めフラットにし、長周期の凹凸も平坦化すること
が好ましい。すなわち、ブライトロール等の表面粗さが
小さい圧延ロールを使用して、調質圧延を行うことが好
ましい。ブライトロールとはRが0.3μm以下の平滑
な表面に研削仕上げしたものである。
【0036】具体的には調質圧延などによって、予め長
周期の凹凸を平坦化して、ろ波中心線うねりWcaを0.
7μm以下に調整しておけば、固体粒子を投射して投射
して短周期の凹凸を付与しても、亜鉛めっき鋼板表面の
中心線うねりWcaを0.8μm以下に抑えることが容易
に可能である。製品のWcaが0.8μm以下であれば、
自動車外板用途等に対する塗装後鮮映性としては十分な
ものとなる。
【0037】また、調質圧延後のピークカウントPPI
を、PPI≦100とした鋼板に固体粒子を投射すれば所
定の表面粗さを有する鋼板が得られる。なお、調質圧延
後の表面粗さをR≦0.3μmとすることが、所定の表
面粗さを得るためには好ましい。
【0038】前記課題を解決するための第6の手段は、
製造工程中に前記第1の手段から第5の手段のいずれか
の金属体の表面粗さ調整方法を有することを特徴とする
金属体の製造方法(請求項6)である。
【0039】本手段においては、目的とする表面粗さを
金属体の表面に効率的に付与することができるので、目
的とする表面粗さを有する金属体を安価に製造すること
ができる。
【0040】
【発明の実施の形態】図6に本発明実施の形態の1例で
ある金属体の表面粗さ調整方法を実現するために使用さ
れる、低圧空気供給装置を用いた固体粒子の投射装置を
示す。低圧空気供給装置としてブロア1を用いている。
ブロア1からは圧力2kg/cm以下の空気が空気供給管
2を通じて供給される。ブロア1と投射を行うスリット
ノズル3の間に、固体粒子4を空気供給管2に混合する
供給口5がある。固体粒子4は粒子が入れられているス
トレージタンク6から定量供給装置7によって一定量に
制御されて供給され、供給口5から空気供給管2に混合
される。空気と混合された固体粒子は加速され、60m/
sec以上の速度でスリットノズル3から投射される。供
給口5からスリットノズル先端までの配管の長さを0.5
m以上とし、固体粒子4の平均粒径30〜300μmとす
る。
【0041】投射は周囲への粒子の飛散を防止するた
め、チャンバー8内で行われる。チャンバー8の下部に
堆積した粒子は、粉体の輸送を行うスクリューコンベア
9によって回収され、分級機10に送られる。分級機1
0によって異物や粉塵が取り除かれた粒子はストレージ
タンク6へと戻され循環使用される構造となっている。
ここでは粉体の輸送手段として機械的輸送を例示した
が、空気輸送の手段でも構わない。
【0042】図7に本発明の実施の形態の他の例である
金属体の表面粗さ調整方法を実現するために使用される
装置として、図6に示す投射装置を連続溶融亜鉛めっき
ラインに対して適用した例を示す。冷間圧延後の鋼板1
1をペイオフリール12に装入し、焼鈍炉13において
再結晶焼鈍が行われる。その後、めっき浴14において
めっき皮膜を形成した後、エアーワイパー15で膜厚調
整が行われる。その後、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製
造する場合には、合金化炉16を作動させ、合金化処理
を行う。ただし、これを使用せずに製造する皮膜が主と
してη相からなる亜鉛めっき鋼板も同一のラインで製造
される。
【0043】通常の溶融亜鉛めっきラインでは、調質圧
延機17による調質圧延が行われた後に、化成処理装置
18により化成皮膜が付与される場合と、防錆油が塗布
されて、そのまま巻き取られる場合がある。図7の実施
の形態では、調質圧延機の入側および出側に水あるいは
調質圧延液を噴射するノズル19を配置し、さらにその
下流側に強制乾燥装置20を配置する。これは、鋼板上
に付着した水分を予め乾燥させた後に、固体粒子を投射
するためである。
【0044】表面が乾燥された鋼板に対して、チャンバ
ー8内において固体粒子が投射される。このときの投射
装置の構成は図6の場合と同様である。表面粗さが付与
された鋼板は、洗浄設備21を通され、表面に付着した
粒子や異物が除去される。洗浄設備としてはエアーパー
ジ方式や、固体粒子が鉄系粒子ある場合には磁力によっ
て回収する方式などが用いられる。表面の洗浄が行われ
た鋼板に対しては、検査台22において表面粗さを測定
し、平均粗さRa、ピークカウントPPIなどの表面粗
さを規定するパラメータが所定の値となるかどうかを判
定して、必要があればブロアの圧力や供給する粒子量を
変更することで調整を行う。
【0045】表面粗さの計測装置としては、平均粗さR
や、ピークカウントPPIの測定器、さらにはCCDカ
メラ等によって、鋼板の表面形態を撮影し、固体粒子の
圧痕の大きさを画像処理によって判定する装置を用いて
もよい。以上のような設備列に配置することで、調質圧
延機では、材料の機械的特性を調整するためにブライト
ロールを用いて調質圧延を行い、その下流側に配置した
投射装置を用いて、亜鉛めっき鋼板の表面粗さを調整す
ることができる。
【0046】また、本発明は連続溶融亜鉛めっきライン
のみならず、連続焼鈍ラインやバッチ処理を行う調質圧
延ラインに対しても、適用できることはいうまでもな
い。
【0047】
【実施例】板厚0.8mm、板幅800mmの冷延鋼板を下地とし
て、めっき皮膜が主としてη相からなる溶融亜鉛めっき
鋼板に対して、低圧の空気供給装置を用いて固体粒子を
加速し、表面粗さを付与した結果について説明する。な
お従来技術と比較を行うため、放電ダル加工を施した圧
延ロールを用いた調質圧延による転写(従来例1とす
る)、および高圧コンプレッサーを用いて固体粒子を加
速し、鋼帯表面に投射する方法(従来例2とする)によ
っても表面粗さを付与した。
【0048】従来例1ではロール径500mmの圧延ロール
に対して、放電ダル加工によって中心線平均粗さR
3.4μm、ピークカウントPPI=200、Wca=1.0μmの
表面粗さを付与した。このロールを用いて鋼板の伸張率
ε=0.8%となる条件にて調質圧延を行い、ロール表面
粗さを鋼板に転写させた。
【0049】従来例2ではブライトロールを用いた調質
圧延によって、鋼板の表面粗さをR =0.2μm、PPI=
90、Wca=0.7μmに調整した後、4kg/cmの高圧
コンプレッサーを用いて、ノズル径20mmのノズルを鋼板
の幅方向に対して20本配置し、ノズル先端から鋼板まで
の距離を100mmとして固体粒子の投射を行った。このと
き固体粒子として、平均粒子径60μmのほぼ球形の高速
度鋼(ハイス)粒子を用いた。
【0050】本発明例では、ブライトロールを用いた調
質圧延によって、鋼板の表面粗さをR=0.2μm、PPI
=90、Wca=0.7μmに調整した後に、空気供給装置
として圧力0.5kg/cmのターボブロアを用いて、固体
粒子の投射を行った。その先端には5mm×400mmの矩形
断断面を持つスリットノズルが付いている。ノズルと鋼
板間の距離は100mmであり、鋼板の板幅すべてを投射で
きるよう2つのノズルが配置されている。ノズルから固
体粒子を空気供給管に混合する位置までの距離(加速距
離)は1mとなっている。また使用する固体粒子とし
て、平均粒子径60μmのほぼ球径の高速度鋼(ハイス)
粒子を用いた。
【0051】図8に各方法によって表面粗さを付与した
場合の鋼板の表面粗さ測定結果を示す。表面粗さは中心
線平均粗さR、及びピークカウントPPIを測定するこ
とで評価した。
【0052】従来例1ではロールの表面粗さの転写によ
って、鋼板の幅方向に均一な表面粗さが付与されてい
る。しかし、初期ロール表面のピークカウントが200で
あるため、これ以上、大きなピークカウントを得ること
はできない。従来例2では、固体粒子の投射によって、
高いピークカウントが得られているが円形ノズルを用い
ているため、鋼板の幅方向において表面粗さが不均一と
なっている。一方、本発明例では高いピークカウントが
鋼板幅方向に対して、均一に付与されていることが分か
る。
【0053】図9に溶融亜鉛めっき鋼板に対して、プレ
ス成形性の評価指標の一つである、平板摺動摩擦試験に
よって得られる摩擦係数に対する、ピークカウントの影
響を調査した結果を示す。摩擦係数が小さいほど、プレ
ス成形性は良好であり、ピークカウントが大きいほど、
すなわち凹凸のピッチが短いほど、プレス成形性が向上
する。すなわち従来例1では現状のロール加工法で得ら
れるロール表面のピークカウントは最大でも300程度
であり、微小な固体粒子を投射する本発明例で得られて
いるようなピークカウントが400を超えるような摺動
特性に優れた鋼板を得ることができない。また従来例2
では、ピークカウントの値にばらつきがあり、鋼板の全
幅において優れた成形性を得ることができない。
【0054】また鋼板の塗装後の鮮映性を調べるため
に、日本パーカライジング(株)製の「PB−L308
0」を使用して、鋼板に化成処理を施し、次いで関西ペ
イント(株)製の「EI−2000」、「TP−37グ
レー」、「TM−13(RC)」を使用して、それぞれ
ED塗装、中塗り塗装、上塗り塗装からなる3コート塗
装を施した。このようにして塗装された鋼板のNSIC
値を、スガ試験機(株)製の「写像鮮明度測定装置NS
IC型」を使用して塗装後の鮮映性を評価した。なお、
NSIC値は黒板研磨ガラスを100とし、その値が100に
近いほど良好な鮮映性となる。
【0055】表1に各方法における塗装前の鋼板のうね
りWcaの測定結果、および塗装後に測定したNSIC
値を示す。従来例1では鋼板のWcaが0.9μm、NS
IC値は50であり塗装後の鮮映性が悪い。また従来例2
では鋼板幅方向で表面にムラが観察され、Wcaが0.4
μm〜0.9μm、NSIC値が50〜75の範囲でばらつい
ており、外観上問題となる。一方、本発明例ではWca
=0.4μm、NSIC値は77であり、優れたと塗装後の
外観を有している。
【0056】すなわち、本発明例では鋼板幅方向におい
て、均一な短ピッチの凹凸が付与されており、プレス成
形性や塗装後の鮮映性に優れた鋼板を安価に安定的に製
造することが可能となった。(表1)
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
目的とする表面粗さを低コストで効率的に金属体表面に
付与することができ、その結果、特にブレス成形性や塗
装後の鮮映性に優れた金属体を安価で効率的に得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】固体粒子の速度、および粒径に対する、鋼板の
表面粗さの関係を示した図である。
【図2】空気流れ中を運動する粒子を示した図である。
【図3】加速距離、および粒子径に対する、粒子速度の
関係を示した図である。
【図4】高圧方式(従来技術)によって付与された、表
面粗さの測定結果を示す図である。
【図5】低圧方式(本発明)によって付与された、表面
粗さの測定結果を示す図である。
【図6】本発明実施の形態の1例である金属体の表面粗
さ調整方法を実現するために使用される、低圧空気供給
装置を用いた固体粒子の投射装置を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態の他の例である金属体の表
面粗さ調整方法を実現するために使用される装置とし
て、図6に示す投射装置を連続溶融亜鉛めっきラインに
対して適用した例を示す図である。
【図8】本発明および従来技術によって得られた、鋼板
の表面粗さ測定結果を示す図である。
【図9】ピークカウントPPIに対する、摩擦係数の変化
を示す図である。
【符号の説明】
1…ブロア、2…空気供給管、3…スリットノズル、4
…固体粒子、5…供給口、6…ストレージタンク、7…
定量供給装置、8…チャンバー、9…スクリューコンベ
ア、10…分級機、11…鋼板、12…ペイオフリー
ル、13…焼鈍炉、14…めっき浴、15…エアーワイ
パー、16…合金化炉、17…調質圧延機、18…化成
処理装置、19…調質圧延液噴射ノズル、20…強制乾
燥装置、21…洗浄装置、22…検査台
フロントページの続き (72)発明者 曽谷 保博 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 冨田 省吾 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固体粒子をガス流体と混合して、ノズルか
    ら、表面にスケールやバリが形成されていない金属体の
    表面に投射することによって金属体の表面粗さを調整す
    る方法であって、前記固体と前記ガス流体の混合箇所か
    ら前記ノズル先端までの配管の長さを0.5m以上とし、
    前記固体の平均粒径30〜300μmとすることを特徴とす
    る金属体の表面粗さ調整方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の金属体の表面粗さ調整
    方法であって、前記ガス流体の供給圧力を2kg/cm
    下とすることを特徴とする金属体の表面粗さ調整方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の金属体の表面粗さ調整
    方法であって、前記ノズルとしてスリットノズルを用い
    ることを用いることを特徴とする金属体の表面粗さ調整
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3のうちいずれか1
    項に記載の金属体の表面粗さ調整方法であって、前記固
    体粒子が球形であることを特徴とする金属鋼体の表面粗
    さ調整方法。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4のうちいずれか1
    項に記載の金属体の表面粗さ調整方法であって、前記金
    属体が、表面粗さをPPI≦100、Wca≦0.7μmに調整
    した調質圧延後の金属体であることを特徴とする金属体
    の表面粗さ調整方法。
  6. 【請求項6】 製造工程中に、請求項1から請求項5の
    うちいずれか1項に記載の金属体の表面粗さ調整方法を
    有することを特徴とする金属体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104002202A (zh) * 2014-05-30 2014-08-27 宝山钢铁股份有限公司 一种薄带连铸结晶辊高清洁度无缺陷毛化表面制备方法
CN104002203A (zh) * 2014-05-30 2014-08-27 宝山钢铁股份有限公司 一种薄带连铸结晶辊可调可控高粗糙度毛化表面制备方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104002202A (zh) * 2014-05-30 2014-08-27 宝山钢铁股份有限公司 一种薄带连铸结晶辊高清洁度无缺陷毛化表面制备方法
CN104002203A (zh) * 2014-05-30 2014-08-27 宝山钢铁股份有限公司 一种薄带连铸结晶辊可调可控高粗糙度毛化表面制备方法

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