JP2000012054A - 積層型燃料電池用シール材 - Google Patents
積層型燃料電池用シール材Info
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Abstract
積層型燃料電池構成部品に対する接着性にすぐれ、薄肉
化可能な積層型燃料電池用ガスケットを提供する。 【解決手段】 105ポアズ(室温)以下の粘度を有する液
状パーフルオロゴムの加硫物、好ましくはPTFE微粉末を
添加した液状パーフルオロゴムの加硫物よりなる積層型
燃料電池用シール材。
Description
シール材に関する。更に詳しくは、カーボン電極を形成
する多孔質カーボンに対する接着性にすぐれた積層型燃
料電池用シール材に関する。
に白金系触媒を超微粒子状でコーティングし、例えば燃
料の水素と酸素とを電極表面で電極反応させて発電する
装置であり、通常の燃焼反応とは異なる反応で発電する
装置である。
性にすぐれ、電気化学的に安定でかつリン酸等の電解質
で変質しない材料、例えば無定形炭素あるいはグラファ
イトの粉体あるいは繊維が好適に用いられている。カー
ボン電極は、電極反応で燃料水素のイオン化に伴って電
子を受け取り、これが電流および電圧となるので、要求
される高い電子伝導性を満足させるばかりではなく、こ
のイオン化を効率良く進める役割をも果している。
応であることから、表面積を可能な限り大きくしたいと
いう要求もある。このことは、材料の構造面からみると
多孔質化して、気体との接触面積を大きくすることを意
味するが、高導電性のカーボンは剛性が高く脆いので、
多孔質化(約40〜70%の多孔度)と共に材料強度は低下す
るようになり、この点はカーボンの種類を選択すること
により、それの適性化を図っている。
が液体の電解質や生成水等と接触すると、燃料ガスの液
体中の拡散律速反応となり、直接燃料気体と接触する場
合と比べて、その反応速度は著しく遅くなる。
ーボン材料は、グラファイト化度の高いカーボン繊維の
短繊維またはグラファイト微粒子をポリテトラフルオロ
エチレン(PTFE)等の撥水性にすぐれた樹脂で固めた材
料、あるいはカーボン繊維の織布にPTFE等の水性ディス
パージョンで撥水処理した材料などが主であり、いずれ
も液体に濡れないように処理されている。
置の寿命や安定性の面から、流体の漏れをシールするこ
とが求められている。特に、電極端部では、多孔質部を
通してのガスまたは電解液等の透過(漏れ)は、ポアゼイ
ユ流れやクヌーセン流れで示されるような通常の溶解・
拡散過程の濃度勾配に基く拡散流れと比べて著しく大き
いことも問題である。
みが約0.1〜数mmの電極やセパレータ等のシートを数100
枚重ねた構造をとっており、各シートは薄くてしわにな
ったりあるいはカーボンシートにうねりがあることなど
から、位置ずれやシール面圧の不均一化などによるシー
ル部からの漏れがしばしば問題となっている。また、こ
れらの積層作業性の悪さも、大きな問題となっている。
品のシールには、一般にPTFE製のシール材が使用されて
いる。PTFEは、200℃、濃リン酸電解質下というような
過酷な条件下で使用されるリン酸型燃料電池のシール材
として使用可能であるものの、樹脂材料であるので硬
く、加工性が悪いなどの欠点がみられる。
は、熱的、化学的には耐え得るものの、カーボン電極を
形成する多孔質カーボンの表面凹凸を完全にシールする
ことができず、若干の燃料ガスのリークを容認するか、
あるいは電極表面をPTFEの水性ディスパージョン等でコ
ーティングして平らにし、焼成してからPTFEシール材を
加圧してシールする方法などがとられている(特公昭58-
78372号公報、特開昭59-68171号公報など)。従って、積
層型燃料電池の組立工程には、手間がかかるばかりでは
なく、シールが不安定であり、また薄肉化できないなど
の問題を抱えている。
ール材を用いた場合には、耐熱性や耐薬品性の面で、特
にリン酸やアルカリ液が電解液の場合には、長期シール
の信頼性の点で使用できないという問題がある。
ボン電極を形成する多孔質カーボン等の積層型燃料電池
構成部品に対する接着性にすぐれ、薄肉化可能な積層型
燃料電池用ガスケットを提供することにある。
105ポアズ(室温)以下の粘度を有する液状パーフルオロ
ゴムの加硫物、好ましくはPTFE微粉末を添加した液状パ
ーフルオロゴムの加硫物よりなる積層型燃料電池用シー
ル材によって達成される。
105ポアズ以下、好ましくは104ポアズ以下の粘度(室温)
を有するものが用いられ、例えば2液混合タイプの熱硬
化性液状パーフルオロゴムが用いられる。実際には、市
販品である信越化学製品SIFEL3500等がそのまま用いら
れる。
の方が上記粘度を有するものが用いられ、これはシール
対象物への含浸性や成形性の観点からこのような粘度範
囲のものが用いられる。また、PTFE微粉末と共に用いら
れる場合には、PTFE微粉末は他の物質との混合時に強い
せん断力や圧縮力が加わると、粒子同志の融着が起きて
流動性が著しく悪化し、また不安定な流動挙動を示すた
め、このような事態を防止するため、前記の如き低粘度
の液状パーフルオロゴムが用いられる。
粉末を添加して用いることが好ましく、その混合割合は
液状パーフルオロゴムとの合計量に対して約95重量%以
下、好ましくは約10〜40重量%である。その混合方法と
しては、これら両者を混合機等で機械的に混合する方
法、PTFEの水性ディスパージョンと液状パーフルオロゴ
ムとを混合した後水性媒体を除去する方法、液状パーフ
ルオロゴムの[I]液(硬化剤)に予め所定量のPTFE微粉末
をニーダで混合しておき、これに[I]液と等重量の[II]
液(ゴム成分)を添加する方法等によって行われる。
粉末との混合物は、シール対象物と一体化され、それを
加硫してシール材を形成するような状態で用いられる。
ゴム(混合物)をナイフコータのようなコーティング治具
を用いて、所定のシール材厚みになるように調節しなが
らコーティングして加硫する方法、ゴムの型加硫成形で
シール対象物をインサートしておき、圧縮成形、トラン
スファー成形、射出成形等の方法で加硫する方法、液状
パーフルオロゴムの[I]液と[II]液とを混合しながら射
出・加硫する反応射出成形(リム成形)方法など、任意
の方法で行なうことができる。
るシール対象物を一体化させる場合には、シール部分の
空隙部の体積分をシール材体積分に加えた量を、また空
隙部のない場合には、シール材体積分の液状パーフルオ
ロゴム(混合物)をコーティングした後、シール材の膜厚
相当の厚さに調整して加硫する方法、射出成形法等でシ
ール対象物をインサートしておき、空隙部のあるシール
対象物の場合には、シール部分の空隙部の体積分をシー
ル材体積分に加えた量を、また空隙部のない場合には、
シール材体積分の液状パーフルオロゴム(混合物)を注入
し、シール材膜厚相当の厚さに調節して加硫する方法等
が用いられる。
トは、従来行われていた如く、組立時に液状ガスケット
を塗布したり、Oリングを装着したりすることなく、シ
ール対象物と一体化された状態で加硫され、そのためシ
ール対象物の確実なシールを可能とし、またシール部の
薄肉化をも可能とする。
燃料電池の構成部品である多孔質カーボン電極板、高分
子固体電解質膜、セパレータ、冷却板、モジュール、マ
ニホールド等が挙げられ、好ましくは多孔質カーボン電
極に適用される。そして、電極面方向では、材料の座屈
強度以下の接触面圧でシールすることが可能となる。
であるので、接触面方向に多少のうねりがあっても低圧
で面接触することができ、また多孔質カーボン電極の空
隙部に浸透して、多孔質部の流体の漏れをシールすると
共に、他部材、例えばPTFE等との接合も可能である。ま
た、シール材料が空隙部に入り込んだ状態で加硫が行わ
れているので、物理的に完全なる接着が行われており、
従来のシールが接触面圧でシールしなければならなかっ
たために生じた電極の座屈破壊やシール材の厚肉化の問
題もなく、燃料電池ユニットの製造が容易となる。
の端面や他のシール材との接合面乃至その周囲面などで
ある。
耐薬品性にすぐれているので、特にリン酸型燃料電池等
のガスおよび液(電解液または反応生成物の水)のシール
に適している。リン酸型燃料電池は、200℃付近で濃リ
ン酸を電解質として使用しているので、通常のシール材
料では劣化が激しくて使用できず、そのため耐熱性、耐
薬品性にすぐれたPTFEがシール材料として従来使用され
ている。しかるに、多孔質カーボン電極の強度が不足し
ているため低面圧(0.5MPa程度)でのシールを必要として
いるが、このような低面圧でシールするにはPTFEは硬す
ぎる材料であり、更に使用温度である200℃でのクリー
プも大きいことからシールの信頼性に欠けるものがあ
り、間隙部から燃料ガスが漏れて発電効率の低下や安全
性の面から装置の運転を停止させる原因ともなっていた
が、本発明のシール材を使用した場合には、もはやその
ようなこともない。
電極端部のシール以外にも、セパレータ、単電池を数個
単位で一体化したモジュール、発電を伴う発熱を除去す
る冷却板等も対象として使用することができる。
め所定量(組成物中0,10,20,30または50重量%)のPTFE微
粉末をニーダで混合しておき、次いで[I]液と等重量の
[II]液を加えて混合した。
測定を行った。 接触角:組成物を150℃で30分間プレス加硫し、厚さ1mm
のシート状としたものについて、燃料水素ガスの電気化
学的反応を阻害する水をはじく目安として、また電解質
等の溶解、拡散過程による透過漏れを少くすると共にシ
ール面圧の低い部分からの隙間漏れに対する抗力の目安
として、協和界面化学製接触角計を用いて測定(単位:
度) ガス透過係数:組成物を150℃、30分間の条件下でプレ
ス加硫し、得られた厚さ1mmの加硫シートについて、ガ
ス透過試験装置を用いて、25℃でN2ガスについて測定
(単位:cm3/cm2・秒・Pa) 硬さ(JIS A) : 組成物を150℃、30分間の条件下でプレ
ス加硫し、JIS K-6253に準拠して測定
微粉末の重量比と共に、次の表に示される。 表 No. PTFE微粉末(重量%) 接触角 ガス透過係数 硬さ 1 0 40 0.96×10-13 50 2 10 65 0.20×10-13 55 3 20 80 0.07×10-13 63 4 30 90 0.05×10-13 78 5 50 95 0.05×10-13 90
m、平均繊維径12.5μm)に、PTFE水性ディスパージョン
(三井・デュポンフロロケミカル製品テフロン30-J)を10
重量%含浸させ、50℃で乾燥した後400℃でプレス成形
し、厚さ0.5mmの多孔質カーボンシート(多孔度55%)を得
た。
型外枠の底面に装置し、その周囲に液状パーフルオロゴ
ム(SIFEL 3500)の[I]液と[II]液との等量混合物をリン
グ状にコーティングした後、金型外枠内周面に取付けた
リング状の金型可動盤を用いて、多孔質カーボンシート
と液状パーフルオロゴムの全体厚みを0.8mmに調節した
後、150℃の高温槽中で30分間加硫した。
測定すると0.75mmであり、また一体化したものの接合状
態を調べたところ、カーボンシートの破壊となり、十分
なる接合強度を有することが確められた。更に、ガスケ
ット状シール部をカットして、その断面部を顕微鏡観察
すると、液状パーフルオロゴムの加硫物が多孔質カーボ
ンシートの空隙部をほぼ完全に埋めていることが確認さ
れた。なお、設定膜厚0.3mmに対して、形成されたガス
ケット状シール部の厚さは0.25mmであった。
物が用いられた。加硫後の一体化されたカーボンシート
は、全体厚みが0.83mmで、また接合状態はカーボンシー
トの破壊となり、十分なる接合強度を示した。
物が用いられた。加硫後の一体化されたカーボンシート
は、全体厚みが0.85mmで、また接合状態はカーボンシー
トの破壊となり、十分なる接合強度を示した。
に、それに対して20重量%のソルベントナフサを20重量%
含浸させ、150℃でペースト押出しし、その後室温条件
下で200%延伸し、340℃で10分間焼成して、PTFEのシー
ト状延伸多孔質体(厚さ0.35mm、多孔度62%)を得た。得
られた延伸多孔質PTFEシートは、皮革状で柔軟性に富
み、加圧によって多孔質部は容易に潰れる性質があり、
液体シール性を発揮する。
ルオロゴム(SIFEL 3500)の[I]液と[II]液との等量混合
物をシート重量に対して20重量%含浸させ、これに実施
例1の厚さ0.5mmの多孔質カーボンシートを接合した
後、実施例1と同様の手法により0.7mmの厚さに設定し
て装着し、150℃で30分間加硫した。
様に接着破壊試験を実施したが、多孔質部の破壊がみら
れ、接合強度は十分であることが確められた。
Claims (8)
- 【請求項1】 105ポアズ(室温)以下の粘度を有する液
状パーフルオロゴムの加硫物よりなる積層型燃料電池用
シール材。 - 【請求項2】 PTFE微粉末を添加した、105ポアズ(室
温)以下の粘度を有する液状パーフルオロゴムの加硫物
よりなる積層型燃料電池用シール材。 - 【請求項3】 加硫物がシール対象物と一体化された請
求項1または2記載の積層型燃料電池用シール材。 - 【請求項4】 シール対象物が積層型燃料電池構成部品
である請求項3記載の積層型燃料電池用シール材。 - 【請求項5】 積層型燃料電池構成部品が多孔質カーボ
ン電極である請求項4記載の積層型燃料電池用シール
材。 - 【請求項6】 シール対象物に105ポアズ(室温)以下の
粘度を有する液状パーフルオロゴムまたはそれとPTFE微
粉末との混合物を一体化した後加硫することを特徴とす
るシール対象物と一体化された積層型燃料電池用シール
材の製造法。 - 【請求項7】 シール対象物が積層型燃料電池構成部品
である請求項6記載の積層型燃料電池用シール材の製造
法。 - 【請求項8】 積層型燃料電池構成部品が多孔質カーボ
ン電極である請求項7記載の積層型燃料電池用シール材
の製造法。
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