JP2000008014A - 接着剤用樹脂組成物及びフィルム接着物の製造法 - Google Patents

接着剤用樹脂組成物及びフィルム接着物の製造法

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JP2000008014A
JP2000008014A JP10171221A JP17122198A JP2000008014A JP 2000008014 A JP2000008014 A JP 2000008014A JP 10171221 A JP10171221 A JP 10171221A JP 17122198 A JP17122198 A JP 17122198A JP 2000008014 A JP2000008014 A JP 2000008014A
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acid
polyester resin
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Kenichi Kawaguchi
健一 川口
Yasushi Kojima
靖 小島
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Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクリル樹脂及びポリエステルの特性を併せ
持ち、PETなどのポリエステル基材のみならず、ポリ
オレフィン基材等への接着性が良好で、耐ブロッキング
性、耐水性等の各物性にも優れた接着剤用樹脂組成物及
び接着性が良好で、耐水性等の各物性にも優れ、接着剤
の耐ブロッキング性にも優れた、フィルム接着物の製造
法を提供する。 【解決手段】 直鎖状又は微分岐状であり、かつエチレ
ン性二重結合を含むポリエステル樹脂(A)に、エチレ
ン性二重結合を有する単量体(B)をグラフト重合させ
て得られる変性ポリエステル樹脂を含有してなる接着剤
用樹脂組成物及びプラスチックフィルム上及び/又は接
着の相手材上に前記接着用樹脂組成物を塗布し、双方を
接着することを特徴とするフィルム接着物の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエチレンテレ
フタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)等のプ
ラスチック、特にPPへの接着性に優れた接着剤用樹脂
組成物及びこの接着剤を用いた、フィルム接着物の製造
法に関する。さらに詳しくは、PPフィルムの接着に最
適な接着剤用樹脂組成物及びフィルム接着物の製造法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、塩素がダイオキシン発生元になる
などの理由で、従来塩化ビニルが使用されていたフィル
ム、成形材料用途に、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)や、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンなど
のポリオレフィンが用いられることが多くなっている。
これらのプラスチックのコーティング用又は接着材用に
使用される樹脂材料としては、各々のプラスチック基材
材料と組成が近い合成樹脂材料が用いられることが多
い。例えばPETへのコーティング、接着材料として
は、高分子量飽和ポリエステル樹脂が用いられることが
多い。これは樹脂構造がPETに近いため、他の樹脂系
に比較して接着性に優れていることによる。
【0003】一方、ポリプロピレン(PP)などポリオ
レフィンへのコーティング、接着に関しては、塩素化ポ
リプロピレン(塩素化PP)などの塩素化ポリオレフィ
ンをプライマーとして使用する方法をとる場合が多い。
また塩素化PPをアクリル樹脂で変性することにより樹
脂の溶解性パラメータをPP基材のそれに近づけた変性
アクリル樹脂等のように塩素化ポリオレフィンによる変
性樹脂を使用ことも多い。しかし、このような塩素化ポ
リオレフィンの使用は、塩化ビニルと同様に脱塩素化が
求められている現在の社会状況から許容され難くなりつ
つある。そこで、ポリオレフィン用の材料としても高分
子量飽和ポリエステル樹脂が検討されている。
【0004】高分子量飽和ポリエステル樹脂において、
分岐型の高分子量飽和ポリエステル樹脂は、加工性と塗
膜硬度および耐汚染性のバランスがとれず、特に加工性
の低下が著しい。このため十分な接着性が得られていな
い。しかし直鎖型の高分子量ポリエステル樹脂や低分岐
性の高分子量ポリエステル樹脂は、通常のポリエステル
樹脂に比較して加工性と塗膜硬度および耐汚染性とのバ
ランスに優れ、冷蔵庫、洗濯機等の家電製品の塗装にも
実用化され、接着性に優れるものの高分子量化している
ため樹脂が軟質化し、耐ブロッキングに劣り、またポリ
エステル樹脂を使用していることから屋外用途に使用さ
れる場合、耐光性又は接着後の耐水性などが劣る傾向に
ある。
【0005】一方、アクリル樹脂は、耐光性、耐水性が
比較的良好であり、またアクリル系モノマーは多種多様
であるため樹脂のガラス転移温度(Tg)、水酸基価等
の様々な調整が可能であると考えられる。実際、アクリ
ル樹脂をベースにした塗料は、塗膜硬度、耐候性、耐汚
染性、耐薬品性等に優れているため、家電製品、缶用等
に幅広く使用されている(特開平1−104665号公
報等)。
【0006】そこで、ポリエステルとアクリル樹脂の、
両樹脂の特性を併せ持たせる試みとして様々な工夫がな
されている。例えば、ポリエステルとアクリル樹脂をブ
レンドする方法(特公平7−39555号公報、特公昭
63−230779号公報、特開平7−11188号公
報等)が提案されている。しかしながら、単に、ブレン
ドしてした場合、相分離がおこり均一な溶液が得られ
ず、充分な特性を有するものが得られない。また、不飽
和ポリエステルオリゴマーと粘着性アクリルポリマーを
使用し強固な接着強度が得られる接着剤が提案されてい
るが、一液型するには難しく二液型接着剤となる。さら
に、親水性アクリル樹脂と疎水性ポリエステル樹脂をエ
ステル交換反応により相互に反応させた樹脂の提案もな
されている(特開平1−129072号公報)が反応中
ゲル化を生じる等の問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】請求項1〜3記載の発
明は、アクリル樹脂及びポリエステルの特性を併せ持
ち、PETなどのポリエステル基材のみならず、ポリオ
レフィン基材等への接着性が良好で、耐ブロッキング
性、耐水性等の各物性にも優れた接着剤用樹脂組成物を
提供するものである。請求項4記載の発明は、請求項1
記載の発明の課題に加えて、さらに硬化性に優れる接着
剤用樹脂組成物を提供するものである。請求項5記載の
発明は、接着性が良好で、耐水性等の各物性にも優れ、
接着剤の耐ブロッキング性にも優れた、フィルム接着物
の製造法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、直鎖状又は微
分岐状であり、かつエチレン性二重結合を含むポリエス
テル樹脂(A)に、エチレン性二重結合を有する単量体
(B)をグラフト重合させて得られる変性ポリエステル
樹脂を含有してなる接着剤用樹脂組成物に関する。また
本発明は、前記のエチレン性二重結合を含むポリエステ
ル樹脂(A)が、原料として使用する全酸成分及び全ア
ルコール成分の総量に対して、3価以上の多価アルコー
ル、3価以上の多塩基酸及び3価以上のヒドロキシ酸を
合計量で0〜10重量%用いて得られるものである接着
剤用樹脂組成物に関する。
【0009】また本発明は、前記のエチレン性二重結合
を含むポリエステル樹脂(A)が、数平均分子量500
0以上、水酸基価100以下のものである接着剤用樹脂
組成物に関する。また本発明は、さらに、ポリイソシア
ネートを含有してなる前記の接着剤用樹脂組成物に関す
る。また本発明は、プラスチックフィルム上及び/又は
接着の相手材上に前記の接着用樹脂組成物を塗布し、双
方を接着することを特徴とするフィルム接着物の製造法
に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の接着剤用樹脂組成物の主
要成分である変性ポリエステル樹脂は、直鎖状又は微分
岐状でかつエチレン性二重結合を含むポリエステル樹脂
(A)に、エチレン性二重結合を有する単量体(B)を
グラフト重合させて得られるものである。
【0011】ポリエステル樹脂(A)は、接着性の点か
ら、直鎖状又は微分岐状であるものが用いられる。ここ
で微分岐状とは、その材料となる酸成分及びアルコール
成分として三価以上のものを少量用いることにより得ら
れるポリエステル樹脂である。微分岐状のポリエステル
樹脂(A)としては、その原料として使用する全酸成分
及び全アルコール成分の総量に対して、3価以上の多価
アルコール、3価以上の多塩基酸及び3価以上のヒドロ
キシ酸の合計量が0〜10重量%用いて得られるもので
あることが好ましく、0〜5重量%であることがより好
ましく、0〜2.5重量%であることが特に好ましい。
ここで、これらの合計量が10重量%を超えると接着性
が低下する傾向にある。
【0012】前記ポリエステル樹脂(A)に用いられる
酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル
酸、ナフタリンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン
酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、コハク
酸、ハイミック酸、1,6−シクロヘキサンジカルボン
酸などの脂肪族カルボン酸、トリメリット酸、ピロメリ
ット酸などの3価以上の多塩基酸、これらの低級アルキ
ルエステル(例えば、炭素原子数1〜4のアルキル基を
有するアルキルエステル)、これらの酸無水物などが挙
げられる。芳香族ジカルボン酸及び飽和脂肪族ジカルボ
ン酸等の二塩基酸又はその誘導体は、1種単独で使用し
てもよいし、2種以上を併用してもよい。また、3価以
上の多塩基酸又はその誘導体も、1種単独で用いてもよ
いし、2種以上を併用してもよい。
【0013】ポリエステル樹脂(A)のアルコール成分
としては、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオ
ール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジ
オール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオー
ル、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−
ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2
−エチル−1,3−プロパンジオール、水素添加ビスフ
ェノールA又はビスフェノールAのエチレンオキサイド
又はプロピレンオキサイド付加物等の二価アルコール、
トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリ
セリン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アル
コールがあげられる。二価アルコールは1種単独で用い
てもよいし、2種以上を併用してもよい。また、3価以
上の多価アルコールも各々1種単独で用いてもよいし、
2種以上を併用してもよい。また、ジメチロールプロピ
オン酸のようなヒドロキシ酸を、上記のカルボン酸、ア
ルコールと同時に用いることも可能である。
【0014】ポリエステル樹脂(A)にエチレン性二重
結合を導入するために、エチレン性不飽和二重結合を有
する不飽和塩基酸又はその誘導体が用いられる。本発明
においては、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シト
ラコン酸、これらの低級アルキルエステル(例えば、炭
素原子数1〜4のアルキル基を有するアルキルエステ
ル)、これらの酸無水物などがあげられる。
【0015】ポリエステル樹脂(A)の製造に用いられ
る、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和塩基酸又
はその誘導体の使用量は、全酸成分及びアルコール成分
の総量100重量部に対して、0.1〜10重量部が好
ましく、0.4〜7重量部が好ましく、0.7〜5重量
部がより好ましい。この量が0.1重量部未満の場合、
重合性ビニル単量体(B)に未反応部分ができ、耐水
性、硬度向上の効果が少ない傾向にあり、10重量部を
超えると樹脂に過剰に重合性ビニル単量体(B)がグラ
フト化するため、接着性などの膜性能が低下する傾向に
ある。
【0016】本発明のポリエステル樹脂(A)の製造
は、一般に知られた方法により行うことが可能である。
例えば、まず上記の酸成分とアルコール成分を配合し、
溶融法、溶剤法等によりエステル化反応またはエステル
交換反応を行い、飽和ポリエステル樹脂を調製する。そ
の際、直鎖型ポリエステル樹脂を調製する場合は、必要
に応じて、三酸価アンチモン、酸化ゲルマニウム、N−
ブチルチタネートのような触媒の存在下に、一般に10
mmHg以下、好ましくは1mmHg以下の減圧下で、一般に2
00〜300℃、好ましくは230〜280℃で重縮合
反応を行うことにより、高分子量ポリエステル樹脂を得
ることも可能である。
【0017】エチレン性不飽和二重結合を有する材料
は、反応の最初から仕込んでもかまわないが、最初から
仕込むと、エチレン性二重結合を有する単量体(B)
(重合性ビニル単量体)をグラフトする際に分岐してし
まうため接着性が低下する傾向にあるので、先ず、エチ
レン性二重結合を有する材料を含まない材料でポリエス
テル樹脂を合成後、エチレン性二重結合を有する材料を
添加し、好ましくは100〜160℃で、付加反応によ
り導入するのが好ましい。
【0018】本発明で用いるポリエステル樹脂(A)の
重量平均分子量は2000以上とすることが好ましく、
5000以上とすることがより好ましい。重量平均分子
量が2000未満では、接着性、耐水性などの膜特性に
劣る傾向にある。特に直鎖型ポリエステル樹脂の場合、
接着性に優れ、耐水性を同時に発揮するためには、重量
平均分子量は5000以上とすることが好ましい。な
お、本発明でいう重量平均分子量は、ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチ
レン換算により求めることができる。
【0019】また、ポリエステル樹脂(A)の水酸基価
は、100以下とすることが好ましく、80以下とする
ことがより好ましく、60以下とすることがさらに好ま
しい。水酸基価が100を超える場合、膜の接着性、耐
水性などが低下する傾向にある。さらに、ポリエステル
樹脂(A)の酸価は、15以下であることが好ましく、
12以下であることがより好ましい。酸価が15を超え
る場合、イソシアネート基と反応させる場合、硬化性が
劣る傾向にある。
【0020】本発明において、エチレン性二重結合を有
する単量体(B)としては、例えば、カルボキシル基含
有ビニル系単量体、アクリル酸アルキルエステル、メタ
クリル酸アルキルエステル、アクリル酸ヒドロキシアル
キルエステル、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステ
ル、スチレン系単量体、酢酸ビニル、アクリル酸グリシ
ジル、メタクリル酸グリシジル、アクリルアミド、メタ
クリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,
N−ジエチルメタクリルアミド、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリル等が挙げられる。
【0021】前記カルボキシル基含有ビニル系単量体と
しては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水
マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等が挙
げられ、前記アクリル酸アルキルエステルとしては、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プ
ロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチ
ル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸イソブチル、
アクリル酸2−エチルヘキシル等の、炭素原子数1〜6
のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルが挙
げられ、メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸
メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピ
ル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチ
ル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸イソブチ
ル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等の、炭素原子数
1〜6のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエス
テルが挙げられ、アクリル酸ヒドロキシアルキルエステ
ル及びメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとして
は、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するものが挙げ
られ、スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、
ビニルトルエン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
【0022】これらの中で、好ましい単量体としては、
アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエ
ステル、アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、メタ
クリル酸ヒドロキシアルキルエステル、スチレン系単量
体が挙げられる。前記のエチレン性二重結合を有する単
量体(B)は、単独で又は2種類以上組み合わせて使用
される。カルボキシル基含有ビニル系単量体を使用する
場合、得られる変性ポリエステル樹脂の樹脂固形分酸価
が5以下になるように使用することが好ましい。
【0023】前記ポリエステル樹脂(A)に、エチレン
性二重結合を有する単量体(B)をグラフト重合させる
には、前記(A)及び有機溶剤の存在下に、前記エチレ
ン性二重結合を有する単量体(B)を配合し、通常のラ
ジカル重合法により重合させることができる。その具体
的な方法としては、例えば、前記ポリエステル樹脂
(A)を有機溶媒に溶解させ、前記エチレン性二重結合
を有する単量体(B)及びラジカル重合開始剤を添加
し、80〜140℃で、2〜5時間加熱する方法を利用
することができる。
【0024】ポリエステル樹脂(A)に、エチレン性二
重結合を有する単量体(B)をグラフトする際に用いら
れる有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等
の芳香族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、酢酸
エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチル等のケトン類等が挙げられる。こ
れらの有機溶媒は、単独で又は2種類以上組み合わせて
使用される。
【0025】前記ラジカル重合開始剤としては、例え
ば、アゾビスニトリル型触媒、過酸化物等が挙げられ、
アゾビスニトリル型触媒としては、例えば、アゾビスイ
ソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等が挙げら
れ、過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキシ
ド、ブチルパーベンゾエート等が挙げられる。これらの
ラジカル重合開始剤は、単独で又は2種類以上組み合わ
せて使用される。これらのラジカル重合開始剤の配合割
合は特に制限されるものではないが、通常、エチレン性
二重結合を有する単量体(B)の総量に対して、0.3
〜10重量%とされる。
【0026】前記ポリエステル樹脂(A)とエチレン性
二重結合を有するビニル単量体(B)の配合割合は、得
られる接着剤用樹脂組成物の接着性、耐水性等の点か
ら、前記ポリエステル樹脂(A)が、(A)と(B)の
総量に対してに対して30〜90重量%であることが好
ましく、40〜80重量%であることがより好ましく、
50〜70重量%であることがさらに好ましい。この配
合割合が30重量%未満であると、得られる接着剤用樹
脂組成物の接着性に劣る傾向にあり、90重量%を超え
ると、得られる接着剤用樹脂組成物が耐ブロッキング
性、耐水性に劣る傾向にある。
【0027】前記重合反応により得られる変性ポリエス
テル樹脂の重量平均分子量は、得られる接着剤用樹脂組
成物の加工性、粘度、分散安定性等の点から、8,00
0〜100,000であることが好ましく、9,000
〜60,000であることがより好ましく、10,00
0〜30,000であることがさらに好ましい。この重
量平均分子量が8,000未満では、接着性に劣る傾向
にあり、100,000を超えると、樹脂が軟質化し塗
装作業時、ブロッキング、糸引き等の現象が生じる傾向
にある。
【0028】変性ポリエステル樹脂の水酸基価は、10
〜100が好ましく、20〜80がより好ましい。また
変性ポリエステル樹脂の酸価は、特に制限されるもので
はないが、0〜10が好ましく、0〜5がより好まし
い。
【0029】得られる変性ポリエステル樹脂は、単独
で、又は、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン等のアミ
ノ化合物とホルムアルデヒドとを反応させて得られるア
ミノ樹脂、該アミノ樹脂をメタノール、エタノール、プ
ロパノール、ブタノール等の低級アルコールでエーテル
化して得られるエーテル化アミノ樹脂等のアミノ系樹
脂、イソシアナートなどの硬化剤と組み合わせて、接着
剤用樹脂組成物として使用することができる。硬化剤と
しては、良好な硬化性と膜特性を有するイソシアネート
を使用することが好ましい。
【0030】イソシアネートとしては、ヘキサメチレン
ジイソシアネート(HDI)、2,4−/2,6−トリ
レンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニ
ルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイ
ソシアネート(IPDI)等のジイソシアネートが好ま
しいものとして挙げられる。本発明の接着剤用樹脂組成
物において、硬化剤を使用する場合は、変性ポリエステ
ル樹脂100重量部に対して、1/2当量から2倍当量
使用することが良好な硬化性を示すことができるので好
ましい。
【0031】また、必要に応じて、可塑剤、着色剤、p
−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、
ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジ
スルホン酸等の酸触媒又はそのブロック体を添加するこ
ともできる。また本発明の接着剤用樹脂組成物におい
て、有機溶媒の量は特に制限されないが、一般に固形分
(即ち有機溶媒以外の成分)が40〜100重量%とな
るように使用することが好ましい。
【0032】得られる接着剤用樹脂組成物は、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリプロピレン等のプラスチック
類の接着、中でもポリプロピレンの接着に好適である。
また接着対象物の形態としては、プラスチックフィルム
同士、プラスチックフィルムと相手材、例えば、プラス
チック成型品、化粧板などとの接着に好適である。接着
方法に特に制限はなく、前記接着剤用樹脂組成物を、接
着対象物の一方又は双方にアプリケータ、刷毛、スプレ
ー等を用いて塗布し、双方を張り合わせればよい。塗布
量に制限はないが、乾燥膜厚が1〜100μm程度にす
ることが好ましい。また、接着時は、必要に応じて、ヒ
ートロール等を用いて50〜150℃、より好ましくは
70〜120℃に加熱することが好ましい。ヒートロー
ルの圧力は、1〜6kg/cm2とすることが好ましい。
【0033】
【実施例】次に、実施例により本発明を説明する。な
お、「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重
量%」を示す。
【0034】実施例1 接着剤用樹脂組成物の製造 (1)イソフタル酸511.8部、アジピン酸102.
4部、ネオペンチルグリコール317.3部及び2−ブ
チル−2−エチル−1,3−プロパンジオール194.
5部を不活性ガス存在下、250℃でエステル化反応に
付し、生成する水を除去し、酸価1.0まで反応を進め
た。130℃まで冷却し、無水マレイン酸10部を加
え、1時間保温し、付加反応を行った。冷却後ブチルセ
ロソルブで希釈し、重量平均分子量6,000のポリエ
ステル樹脂(A)を得た。このポリエステル樹脂は、加
熱残分74.4%、酸価6、粘度X+であった。
【0035】(2)前記(1)で使用したフラスコと同
様の2リットルのフラスコ中に、前記(1)で得られた
ポリエステル樹脂800部及びトルエン340部を仕込
み、115℃まで昇温し、これに、スチレン280部、
メタクリル酸メチル100部、メタクリル酸2−ヒドロ
キシエチル20部、t−ブチルパーオキシベンゾエート
10部、ジt−ブチルパーオキサイド0.5部の混合液
を2時間かけて滴下し、更に2時間保温した。冷却後、
トルエン10部、メチルエチルケトン20部で希釈し、
アクリル変性ポリエステル樹脂溶液を得た。得られた樹
脂溶液の加熱残分は50.0%、粘度A、酸価2.0で
あり、樹脂の重量平均分子量は12,000であった。
【0036】実施例2〜9及び比較例1〜2 実施例1において樹脂溶液の製造に用いた原料の使用量
を表1及び表2に示す量に変更した以外は実施例1と同
様にして実施例2〜9及び比較例1〜2の樹脂溶液を製
造した。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】各実施例および比較例に得られた樹脂をそ
れぞれトルエン/メチルエチルケトン=50/50(重
量比)により、加熱残分40%の樹脂液に調製した。こ
うして得た樹脂液を下記の配合によりクリアエナメルと
し試験を行った。 (クリアエナメル配合)実施例または比較例のポリエス
テル樹脂(加熱残分40%)100重量部、スミジュー
ルN3500(住友バイエルウレタン(株)製、ヘキサ
メチレンジイソシアネート)5重量部を配合し、トルエ
ン/メチルエチルケトン=50/50(重量比)により
希釈し、加熱残分15%(接着性試験用)及び加熱残分
30%(フィルム強度、耐水性試験用)のクリアエナメ
ルを得た。
【0040】[接着性試験] 基材:ポリプロピレン(PP)フィルム(12μm) 塗布:固形分6g/m2、アプリケータ塗布、乾燥膜厚2〜
3μm 乾燥:80℃、20秒 接着:上記、アクリル変性ポリエステルクリアエナメル
を塗布したフィルムに未塗布フィルムをヒートロールで
100℃、5kg/cm2の条件で1分間転圧し接着した。
【0041】(接着性試験方法)引張り試験機((株)島
津製作所製オートグラフ)を用いて、20℃でT剥離試
験(引っ張り速度50mm/分)を行った。結果は、接着
力(kgf/インチ)で示した。
【0042】[ブロッキング試験] 基材:ポリプロピレン(PP)フィルム(12μm) 塗布:固形分6g/m2、アプリケータ塗布、乾燥膜厚2〜
3μm 乾燥:100℃で5時間。ついで150℃で12時間。 試験:上記、ポリエステルクリアエナメルを塗布、乾燥
したフィルムの塗布面同士を合わせ、1kg/cm2×40℃
の条件で8時間荷重をかけた後、フィルムを引き剥がし
易さで評価した。 <評価> ◎;抵抗なく引き剥がせる。 ○;軽い抵抗あるが、容易に引き剥がせる △;抵抗が強く、接着剤の一部が片方のフィルムに残
る。 ×;抵抗が強く、接着剤の大部分が片方のフィルムに残
る。 上記による試験結果を表3に示す
【0043】[フィルム引張り試験、耐水性試験] 基材:ブリキ板 塗布:アプリケータ塗布(乾燥膜厚25μm) 乾燥:100℃で5時間。ついで150℃で12時間。 (耐水性試験)上記のクリアエナメルを塗布乾燥したブ
リキ板を、沸水中に2時間浸漬後、ブリスターの発生、
密着性(JISK5400に示された碁盤目テープ法
で、すきま間隔1mmで試験)を評価した。 <評価> 5点…艶引けなし 4点…極わずかにツヤビケ有り 3点…わずかに艶引けあり。 2点…一部ツヤビケ有り 1点…艶引け大。
【0044】
【表3】
【0045】
【発明の効果】請求項1〜3記載の接着剤用樹脂組成物
は、アクリル系樹脂及びポリエステルの特性を併せ持
ち、PETなどのポリエステル基材のみならず、ポリオ
レフィン基材等への接着性が良好で、耐光性、耐ブロッ
キング性、耐水性等の各物性にも優れる。請求項4記載
の接着剤用樹脂組成物は、前記効果に加えて特に硬化性
が良好である。請求項5記載のフィルム接着物の製造法
によれば、接着性が良好で、耐水性等の各物性にも優
れ、接着剤の耐ブロッキング性にも優れた接着物が得ら
れる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J027 AB02 AB06 AB07 AB08 AB15 AB16 AB18 AB19 AB23 AB24 AB25 AB26 AJ01 AJ05 BA02 BA03 BA04 BA05 BA06 BA07 BA08 BA09 BA10 BA13 BA14 CA10 CA25 CB03 CB09 CC02 CD09 4J034 DF16 DF17 DF20 DF21 DF22 DF24 DF29 DQ28 GA55 GA72 HA01 HA07 HC03 HC12 HC17 HC22 HC46 HC52 HC61 HC64 HC67 HC71 HC73 QA02 QA05 RA08 4J040 DL151 EF111 EF191 EF291 EF301 GA05 LA01 LA07 LA11 MA10 MA11 MB03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直鎖状又は微分岐状であり、かつエチレ
    ン性二重結合を含むポリエステル樹脂(A)に、エチレ
    ン性二重結合を有する単量体(B)をグラフト重合させ
    て得られる変性ポリエステル樹脂を含有してなる接着剤
    用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 エチレン性二重結合を含むポリエステル
    樹脂(A)が、原料として使用する全酸成分及び全アル
    コール成分の総量に対して、3価以上の多価アルコー
    ル、3価以上の多塩基酸及び3価以上のヒドロキシ酸を
    合計量で0〜10重量%用いて得られるものである請求
    項1記載の接着剤用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 エチレン性二重結合を含むポリエステル
    樹脂(A)が、数平均分子量5000以上、水酸基価1
    00以下のものである請求項1又は2記載の接着剤用樹
    脂組成物。
  4. 【請求項4】 さらに、イソシアネートを含有してなる
    請求項1、2又は3記載の接着剤用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 プラスチックフィルム上及び/又は接着
    の相手材上に請求項1、2、3又は4記載の接着用樹脂
    組成物を塗布し、双方を接着することを特徴とするフィ
    ルム接着物の製造法。
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