JP2000007401A

JP2000007401A - セメント組成物用防錆剤

Info

Publication number: JP2000007401A
Application number: JP10191012A
Authority: JP
Inventors: Kenkichi Hamabe; 謙吉浜辺; Takao Furusawa; 孝男古沢; Takeo Ozawa; 武男小沢; Hironori Hagiwara; 裕紀萩原
Original assignee: Minebea Co Ltd
Current assignee: Minebea Co Ltd
Priority date: 1998-06-23
Filing date: 1998-06-23
Publication date: 2000-01-11
Anticipated expiration: 2018-06-23
Also published as: WO1999067184A1; ES2205847T3; EP1094995B1; DE69910038T2; EP1094995A1; JP4216371B2; DK1094995T3; AU737703B2; DE69910038D1; ATE246156T1; US6355100B1; AU4774999A; PT1094995E

Abstract

(57)【要約】【課題】セメントの凝結や強度の発現性に悪影響を及
ぼすことがなく、しかも降雨に曝される箇所においても
経年とともに防錆効果が低下することのないセメント組
成物を提供する。【解決手段】一般式ＲＨＮ−（ＣＨ₂）ｎ−ＮＨ₂
（式中のＲは炭素数８〜２２のアルキル基、ｎは１〜５
の整数を示す。）で示されるアルキルジアミンおよび／
または一般式Ｒ−ＮＨ₂で（式中のＲは炭素数８〜２
２のアルキル基を示す。）示されるアルキルアミンの１
種または２種以上を含有することを特徴とするセメント
組成物用防錆剤。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、セメント組成物用
の防錆剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、鉄筋、
鉄骨及びＰＣ鋼線等の鋼材で補強されたコンクリート構
造物中の鋼材の腐食を抑制し、錆の発生を防止するセメ
ント組成物用防錆剤に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、鉄筋や鉄骨の腐食を抑制する
ために、モルタルまたはコンクリートに亜硝酸塩（特公
平２−２８５３２号公報参照）やアルカノールアミン等
（特開平７−１７３６５０号公報参照）の防錆剤を添加
することが知られており、一般的に亜硝酸カルシウムが
使用されている。これらの防錆剤は水を使用するモルタ
ルやコンクリート等のセメント組成物に使用されるの
で、当然のことながら水溶性の防錆剤が使用されてい
る。一方、油溶性の防錆剤は、従来から金属の切削油等
に添加され、金属の錆止めに使用されてはいるが、水に
難溶性であるためにセメント組成物用の防錆剤としては
使用されていない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来例にみられる
亜硝酸塩は水に可溶性であるため、これを添加したセメ
ント製品、コンクリート製品或いは鉄筋コンクリート構
造物が風雨に曝されると、コンクリート等の内部で水分
の移動が起こり、添加された亜硝酸塩が逐次表面層に滲
出することが確認されている（特公昭５８−２５０２５
号公報参照）。このため、鉄筋コンクリート構造物が建
設された初期には、該構造物中の鉄筋の腐食は抑制され
るものの、降雨に曝される箇所では経年とともにその効
果が低下することが考えられる。この現象は公知の防錆
剤が水溶性であることに起因しているため、アルカノー
ルアミン等の水溶性の防錆剤も同様といえる。

【０００４】さらに亜硝酸塩は、セメントの凝結を促進
する性質を有するために、亜硝酸塩を使用したコンクリ
ートを、気温の高い暑中或いは水和熱の大きいマスコン
クリートに使用する場合には、遅延剤を併用してセメン
トの凝結を調整する必要がある。従って、本発明の課題
は、上記の問題点を解決しセメントの凝結や強度の発現
性に悪影響を及ぼすことがなく、しかも降雨に曝される
箇所においても経年とともに防錆効果が低下することの
ないセメント組成物用防錆剤を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者は、これらの公
知の防錆剤が有する前記の課題を解決するために種々検
討した結果、アルキルジアミン及びアルキルアミンが水
に難溶性であるにも拘らず、全く意外にも水系のセメン
ト組成物中において、優れた防錆効果を発揮することを
見出し、本発明を完成するに至った。

【０００６】すなわち、本発明は、一般式ＲＨＮ−
（ＣＨ₂）ｎ−ＮＨ₂（式中のＲは炭素数８〜２２のアル
キル基、ｎは１〜５の整数を示す。）で示されるアルキ
ルジアミンおよび／または一般式Ｒ−ＮＨ₂で（式中
のＲは炭素数８〜２２のアルキル基を示す。）示される
アルキルアミンの１種または２種以上を含有することを
特徴とするセメント組成物用防錆剤並びに該防錆剤を含
有するセメント組成物に関する。本発明によるセメント
組成物用防錆剤は、優れた防錆効果を奏するばかりでな
く、毒性がなくまたセメントの凝結や強度の発現性に悪
影響を及ぼすことがないため取り扱いが簡便である。さ
らにアルキルジアミン及びアルキルアミンがセメント組
成物表面で疎水性を示すために、降雨に曝されても流出
することが無く経年により防錆効果が低下しないことが
期待される。本発明におけるアルキルジアミン、アルキ
ルアミンは、無機酸または有機酸との反応生成物であっ
てもよく、無機酸としては、亜硝酸、硝酸、硫酸、ほう
酸、リン酸、ピロリン酸、ホスホン酸が、また、有機酸
としては、蟻酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、アジピン
酸、乳酸、グルコン酸、ヘプトン酸、アスコルビン酸、
スルファニル酸、サリチル酸を例示することができる。

【０００７】本発明のセメント組成物用防錆剤は、さら
に公知の防錆剤である亜硝酸塩、クロム酸塩、リン酸
塩、ベンゾトリアゾール、アルカノールアミン類を含有
ことができる。アルカノールアミン類としては、Ｎ，Ｎ
−ジメチル−エタノールアミン，Ｎ−メチル−エタノー
ルアミン、モノ−、ジ−、トリエタノールアミンなどが
挙げられる。

【０００８】本発明におけるセメント組成物は、少なく
ともセメントを含有するセメントミルク、グラウト、モ
ルタルまたはコンクリート等が例示できるが、必ずしも
水を加えて練り混ぜられたものである必要はなく、セメ
ントミルク、グラウト、モルタルまたはコンクリートを
製造する目的でドライミックスされたものであってもよ
い。また、セメントとしては、普通セメント、早強セ
メント、中庸熱セメント、耐硫酸塩セメント、超速硬性
セメント、高炉セメントおよびフライアッシュセメント
等が挙げられる。

【０００９】本発明のセメント組成物用防錆剤は、セメ
ント組成物中のセメント質量に対して０．０５〜５．０
質量％の範囲でセメントミルク、グラウト、モルタルま
たはコンクリートを練り混ぜる時に他の材料と共に添加
して使用することができる。セメント組成物用防錆剤の
使用量は、十分な防錆効果を期待するためにはセメント
質量に対して０．０５質量％以上が好ましく、５．０質
量％を超えると防錆効果が頭打ちとなり経済的ではな
い。

【００１０】また、本発明のセメント組成物用防錆剤
は、コンクリート用減水剤、空気連行剤、凝結促進剤、
遅延剤、膨張材、合成樹脂エマルションその他公知のモ
ルタルまたはコンクリート用混和材料と併用することも
できる。

【発明の実施の形態】

【００１１】以下、実施例により本発明をさらに説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。

【実施例】

【００１２】１．モルタル試験１）モルタルの配合と練り混ぜ砂／セメント比＝２．０、水／セメント比＝０．４０、
ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物を主成分とする
高性能減水剤をセメント質量に対して０．５質量％添加
して練り混ぜ、試験用のモルタルを得た。さらに、比較
例１以外のモルタルは、鉄筋の発錆を促進するために塩
化ナトリウムをセメント質量に対して１．５％添加し
た。２．試験方法１）凝結時間：ＪＩＳＡ６２０４の付属書１によ
る。２）圧縮強度：ＪＩＳＲ５２０１による。３）腐食抑制試験直径５ｃｍ、高さ１０ｃｍのモルタルの中央部に直径１
３ｍｍ長さ１７８ｍｍの磨き鉄筋を垂直に９０ｍｍ埋設
した供試体を使用し、定電位陽分極法により電流密度と
電極電位の関係を測定した。腐食抑制効果の評価は、塩
化ナトリウムを添加し防錆剤を添加しない場合（比較例
２）の電極電位を基準とし、この電極電位より大きい場
合には腐食が抑制されたと判断した。

【００１３】３．試験に使用した防錆剤試験に使用した防錆剤を表１に示す。

【００１４】

【表１】表１

【００１５】４．試験結果試験結果は、表２に示す。表２の比較例１は塩化ナトリ
ウム及び防錆剤を添加しない場合、比較例２は塩化ナト
リウムを添加し防錆剤を添加しない場合、比較例３は塩
化ナトリウム及び亜硝酸カルシウムを添加した場合、実
施例１〜１２は、塩化ナトリウム及び本発明のセメント
組成物用防錆剤を添加した場合の結果を示す。

【００１６】１）凝結時間塩化ナトリウムを添加し防錆剤を添加しない比較例２の
凝結時間は、塩化ナトリウムの促進作用により、比較例
１より早くなる。塩化ナトリウム及び亜硝酸カルシウム
を添加した比較例３の凝結時間は、亜硝酸カルシウムの
促進作用により、比較例２より更に早くなる。塩化ナト
リウム及び本発明のセメント組成物用防錆剤を添加した
実施例１〜１２の凝結時間は、比較例２とほぼ同程度で
あり、本発明のセメント組成物用防錆剤は、凝結への影
響がない。

【００１７】２）圧縮強度塩化ナトリウムを添加し防錆剤を添加しない比較例２、
３及び実施例１〜１２の材齢３日の圧縮強度は、塩化ナ
トリウムの早強作用により、比較例１より大きくなる。
塩化ナトリウム及び本発明のセメント組成物用防錆剤を
添加した実施例１〜１２の材齢３、２８日の圧縮強度
は、比較例２とほぼ同程度であり、本発明のセメント組
成物用防錆剤は、圧縮強度への影響がない。

【００１８】

【表２】表２注）表中の塩化ナトリウムおよび防錆剤の添加量はセメ
ントに対する添加量を示す。

【００１９】３）腐食抑制試験結果は、図１に示す。塩化ナトリウムを添加し防錆
剤を添加しない場合（比較例２）の電極電位と比較し
て、塩化ナトリウム及び亜硝酸カルシウムを添加した場
合（比較例３）は、電極電位がより大きい値を示し腐食
が抑制される。実施例２、４、６、８、１０、１１、１
２は、いずれも比較例２の電極電位より大きい値を示し
腐食が抑制される。

【００２０】

【発明の効果】本発明のセメント組成物用防錆剤は、セ
メントの凝結や強度の発現性に悪影響を及ぼすことな
く、多量に塩化物を含む環境においても鉄筋に対して優
れた防錆効果を発揮することが認められる。

【図面の簡単な説明】

【図１】電流密度に対する電極電位の値により腐食の程
度を表わすグラフである。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】一般式ＲＨＮ−（ＣＨ₂）ｎ−ＮＨ
₂（式中のＲは炭素数８〜２２のアルキル基、ｎは１〜
５の整数を示す。）で示されるアルキルジアミンおよび
／または一般式Ｒ−ＮＨ₂で（式中のＲは炭素数８〜
２２のアルキル基を示す。）示されるアルキルアミンの
１種または２種以上を含有することを特徴とするセメン
ト組成物用防錆剤。
【請求項２】上記のアルキルジアミン、アルキルアミ
ンが無機酸または有機酸との反応生成物であることを特
徴とする、請求項１に記載のセメント組成物用防錆剤。
【請求項３】無機酸が亜硝酸、硝酸、硫酸、ほう酸、
リン酸、ピロリン酸、ホスホン酸であり、有機酸が蟻
酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、アジピン酸、乳酸、グ
ルコン酸、ヘプトン酸、アスコルビン酸、スルファニル
酸、サリチル酸の何れから選ばれた１種または２種以上
であることを特徴とする、請求項２に記載のセメント組
成物用防錆剤。
【請求項４】さらに亜硝酸塩、クロム酸塩、リン酸
塩、ベンゾトリアゾール、アルカノールアミン類から選
ばれた１種または２種以上を含有ことを特徴とする、請
求項１〜３に記載のセメント組成物用防錆剤。
【請求項５】一般式ＲＨＮ−（ＣＨ₂）ｎ−ＮＨ
₂（式中のＲは炭素数８〜２２のアルキル基、ｎは１〜
５の整数を示す。）で示されるアルキルジアミンおよび
／または一般式Ｒ−ＮＨ₂で（式中のＲは炭素数８〜
２２のアルキル基を示す。）示されるアルキルアミンの
１種または２種以上を含有することを特徴とするセメン
ト組成物。
【請求項６】上記のアルキルジアミン、アルキルアミ
ンが無機酸または有機酸との反応生成物であることを特
徴とする、請求項５に記載のセメント組成物。
【請求項７】無機酸が亜硝酸、硝酸、硫酸、ほう酸、
リン酸、ピロリン酸、ホスホン酸であり、有機酸が蟻
酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、アジピン酸、乳酸、グ
ルコン酸、ヘプトン酸、アスコルビン酸、スルファニル
酸、サリチル酸の何れから選ばれた１種または２種以上
であることを特徴とする、請求項６に記載のセメント組
成物。
【請求項８】さらに亜硝酸塩、クロム酸塩、リン酸
塩、ベンゾトリアゾール、アルカノールアミン類から選
ばれた１種または２種以上を含有ことを特徴とする、請
求項５〜７に記載のセメント組成物。