JP2000006896A - 航空機搭載エンジンのランナップ消音装置 - Google Patents

航空機搭載エンジンのランナップ消音装置

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JP2000006896A
JP2000006896A JP17674498A JP17674498A JP2000006896A JP 2000006896 A JP2000006896 A JP 2000006896A JP 17674498 A JP17674498 A JP 17674498A JP 17674498 A JP17674498 A JP 17674498A JP 2000006896 A JP2000006896 A JP 2000006896A
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exhaust
airframe
aircraft
silencer
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Mamoru Shimada
守 島田
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INC Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 専用の排気ダクトを用いることなく排気ガス
のリサーキュレーションを確実に防止することができ、
これにより、低周波騒音を発生することなく、正確な確
認運転試験ができ、かつ、特に逆風が強い場合でも、遮
音室内に逆風が流れ込むことなく、安全かつ正確に確認
運転試験ができるランナップ消音装置を提供する。 【解決手段】 天井12aの高さが航空機1の垂直尾翼
1aより低く垂直尾翼が上方に突出する開口溝12bを
有する機体遮音室12と、開口溝12bを塞ぎ内部に垂
直尾翼1aを収納する山形の尾翼遮音室14と、航空機
の後方側に機体遮音室及び尾翼遮音室と連続して設けら
れ排気ガスを後方かつ上方に導く垂直排気消音室16
と、航空機の前方側に機体遮音室の前面全体を塞いで設
けられ機体遮音室内に空気を導入する吸気消音扉11と
からなる。吸気消音扉11、機体遮音室12及び垂直排
気消音室16の流路は、互いに平滑に連結され、かつ流
路面積がほぼ同一に形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、航空機に搭載した
エンジンの調整運転時の騒音を低減するランナップ消音
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ジェットエンジンの整備後の確認運転試
験のために、ランナップ消音装置が用いられる。このラ
ンナップ消音装置は、航空機に搭載した状態でエンジン
の調整・確認を行う際に発生する騒音を消音する設備で
ある。かかるランナップ消音装置の簡易なものは、航空
機のまわりを遮音フェンスで囲んだものであり、軽量機
の試験等に用いられる。しかし、かかる簡易型のランナ
ップ消音装置は、消音効果が低く、設備の置かれる環境
条件や騒音規制が厳しい場合には、適用できず、かつ風
向きにより運転制限を受けやすい問題点があった。
【0003】そこで、消音性能が高く、風向きにより運
転制限を受けにくいランナップ消音装置として、機体全
体を覆う全天候格納式が、特に大型の旅客機等に従来か
ら用いられている。
【0004】図10は、従来の全天候格納式ランナップ
消音装置の構成図である。この図において、(A)は排
気ダクトのあるランナップ消音装置、(B)は(A)の
A−A線における断面図である。この図に示すように、
従来のランナップ消音装置は、航空機1を内部に格納す
る遮音室2と消音器4とが連通ダクト3で連結された構
成となっている。遮音室2の天井部2aは、(B)に示
すように、航空機1の尾翼が干渉しないように、中央部
が高い蒲鉾形(蒲鉾天井)又は垂直尾翼と主翼端を結ん
だ山形(三角天井)に形成され、或いは十分高い平らな
天井に形成されている。また、遮音室2の正面扉2b
は、通常横移動可能に構成され、この正面扉2bを左右
に開いて、内部に航空機1をエンジンの排気ノズルを消
音器4に向けて格納する。吸気用の消音器5と排気用の
消音器4は、通常遮音室2の正面扉2bの一部と背面壁
2cの一部に通常設けられる。
【0005】エンジンの確認運転試験は、正面扉2bを
閉じた状態で行われ、消音器5を通して空気を遮音室2
内に導入し、エンジンを運転し、その排気をエンジンの
後方に設けた排気ダクト6を通して排気用消音器4を経
て上向きに排出する。かかる全天候格納式ランナップ消
音装置は、騒音対策が容易であり厳しい規制値の条件に
も対応できる特徴がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし上述した従来の
ランナップ消音装置では、以下の問題点があった。 図10(C)に模式的に示すように排気ダクト6を取
り外すと、遮音室2内で排気ガスがエンジン吸気口に回
り込みやすい。すなわち、従来の遮音室2の天井部2a
は、中央部が高い蒲鉾天井、三角天井、或いは十分高い
平天井に形成されているため、その断面積が非常に大き
い。これに対して、吸気用の消音器5と排気用の消音器
4は、正面扉2b及び背面壁2cの一部を占めるにすぎ
ず、その流路面積が相対的に小さく、吸気用の消音器5
を通して流入した空気が遮音室2内にスムースに拡がら
ずに内部に渦流を形成し、かつ遮音室2の空気が排気用
の消音器4にスムーズに流入せず同様に渦流を形成す
る。この結果、部分的に遮音室2内で排気ガスが循環し
てエンジン吸気口に再循環するリサーキュレーションが
生じ、エンジンの性能を低下させて正確な確認運転試験
が困難になることがあった。 排気ジェットを室外に確実に排気し、前述のリサーキ
ュレーションを防止するために、図10(A)に示した
排気ダクト6を用いていた。しかし、かかる排気ダクト
6を用いる場合には、エンジンの取付位置が異なる多種
の航空機に対応した排気ダクト6を準備する必要があ
り、かつ排気ダクトの位置決め・設置等の取扱い等が非
常に煩雑となる。また、試験中に高速の排気ジェットが
ダクトと衝突することが避けがたく、この衝突により低
周波騒音等が発生し、周辺環境に悪影響を及ぼす場合が
あった。
【0007】また、前述のように、従来のランナップ
消音装置は、遮音フェンスで囲んだ簡易型に比較すれ
ば、風向きにより運転制限を受けにくいが、特に下流側
からの逆風が強い場合には、遮音室2内に逆風が流れ込
むため、確認運転試験が困難となり、一般に使用できな
いケースがあった。
【0008】本発明は上述した種々の問題点を解決する
ために創案されたものである。すなわち、本発明の主目
的は、専用の排気ダクトを用いることなく排気ガスのリ
サーキュレーションを確実に防止することができ、これ
により、低周波騒音を発生することなく、正確な確認運
転試験ができるランナップ消音装置を提供することにあ
る。また、本発明の別の目的は、特に逆風が強い場合で
も、遮音室内に逆風が流れ込むことなく、安全かつ正確
に確認運転試験ができるランナップ消音装置を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、天井高
さが航空機の垂直尾翼より低く垂直尾翼が上方に突出す
る開口溝を有する機体遮音室と、前記開口溝を塞ぎ内部
に垂直尾翼を収納する山形の尾翼遮音室と、航空機の後
方側に機体遮音室及び尾翼遮音室と連続して設けられ排
気ガスを後方かつ上方に導く垂直排気消音室と、航空機
の前方側に機体遮音室の前面全体を塞いで設けられ機体
遮音室内に空気を導入する吸気消音扉とからなり、前記
吸気消音扉、機体遮音室及び垂直排気消音室の流路は、
互いに平滑に連結され、かつ流路面積がほぼ同一に形成
されている、ことを特徴とする航空機搭載エンジンのラ
ンナップ消音装置が提供される。
【0010】上記本発明の構成によれば、機体遮音室の
他に尾翼遮音室を設けたので、機体遮音室の天井高さを
航空機の垂直尾翼より十分低くすることができる。これ
により、機体遮音室の建物を、天井高さが低いダクト型
とし、主翼上方の空間は、運用上必要な高さを確保し、
垂直尾翼部は機体遮音室の開口溝から上方に突出して山
形の尾翼遮音室に収めることができる。また、吸気消音
扉、機体遮音室及び垂直排気消音室の流路が、互いに平
滑に連結され、かつ流路面積がほぼ同一に形成されてい
るので、吸気消音扉の吸気口から垂直排気消音室の排気
口まで気流が淀みなく流れるダクト形状となり、渦の発
生を防ぎ、流路抵抗を低減することができる。従って、
機体遮音室内にエンジンの排気口を下流(垂直排気消音
室側)に向けて航空機を設置すると、機体遮音室と航空
機及びエンジンの間の流路は、他の部分より若干絞られ
た形状となり、この部分でエンジンを運転するとその高
速ジェットによるエジェクタ効果により、吸気消音扉の
吸気口から垂直排気消音室の排気口まで淀みなく流れる
空気流が形成され、専用の排気ダクトを用いることなく
排気ガスのリサーキュレーションを確実に防止すること
ができる。
【0011】また、本発明の構成によれば、機体遮音室
の天井高さが航空機の垂直尾翼より低く、そのため、従
来の蒲鉾屋根や三角天井屋根に比べて、下流側からの逆
風が強い場合でも機体遮音室内への逆風が流れ込みがほ
とんどなく、垂直排気消音室におけるエジェクタ効果に
より常時吸気口から排気口に気流が流れることがシュミ
レーション結果からわかった。従って、強い逆風時に
も、吸気消音扉の吸気口から垂直排気消音室の排気口ま
で淀みなく流れる空気流を形成することができ、安全か
つ正確に確認運転試験ができる。
【0012】本発明の好ましい実施形態によれば、前記
吸気消音扉と垂直排気消音室の少なくとも一方が、水平
に横移動可能に形成されており、これにより航空機を前
方又は後方から垂直尾翼を前記開口溝に通して機体遮音
室内に格納するようになっている。この構成により、吸
気消音扉を横移動させることにより、装置の前方から航
空機を機体遮音室内に格納することができ、主翼より後
方の機体遮音室及び垂直排気消音室の横幅を狭く設定で
きる。また、逆に垂直排気消音室を横移動させることに
より、装置の後方から航空機を機体遮音室内に格納する
ことができ、特に、尾翼遮音室を後方のみに限定し小型
化することができる。
【0013】前記機体遮音室の横幅は、航空機の翼部よ
り前方が広く、後方が徐々に狭く構成されており、及び
/又は、その高さが航空機の翼部より前方が低く、後方
が徐々に高く構成されている。この構成により、流路面
積をほぼ同一に保持したままで、主翼より後方の機体遮
音室及び垂直排気消音室の横幅を狭く設定できる。
【0014】また、垂直排気消音室の吸気口が、機体遮
音室とほぼ同一の横幅と高さに形成され、その排気口が
機体遮音室より十分高くかつほぼ水平に形成されてい
る。この構成により、垂直排気消音室による煙突効果を
確保し、常時吸気口から排気口に気流を流す吸引力を発
生させることができる。
【0015】更に、前記垂直排気消音室は、航空機の末
端中央に搭載されるエンジンに対応して幅方向中央に位
置する中央消音室と、航空機の両翼に搭載されるエンジ
ンに対応して中央消音室の両側に位置する側部消音室と
からなる。この構成により、エンジンが垂直尾翼部にあ
る航空機の排気ジェットは、中央消音室により消音する
ことができ、かつエンジンが翼部にある通常の航空機の
排気ジェットは、中央消音室の両側に位置する側部消音
室により消音することができる。従って、機体遮音室に
格納できるほとんどすべての航空機に対応することがで
きる。
【0016】また、前記尾翼遮音室の上方に設けられた
排気ダクトと、該排気ダクトに設けられた排気ファンと
を更に備える。この構成により、補助エンジンのみを運
転中に発生する排気が機体遮音室及びその上部の尾翼遮
音室内に滞留する場合でも、排気ファンの作動により排
気することができ、機体遮音室及びその上部の尾翼遮音
室内の空気を常に清浄に保つことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通
する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略す
る。図1は、本発明のランナップ消音装置の全体斜視図
である。この図に示すように、本発明のランナップ消音
装置10は、吸気消音扉11、機体遮音室12、尾翼遮
音室14、及び垂直排気消音室16からなる。
【0018】図2は、図1のランナップ消音装置の平面
図(A)、側面図(B)、及びA−A線における縦断面
図(C)であり、図3は、別のランナップ消音装置の平
面図(A)、側面図(B)、及びA−A線における縦断
面図(C)である。また、図4は、図2のランナップ消
音装置の正面図(A)及びB−B線における横断面図
(B)である。
【0019】図1乃至図4から明らかなように、吸気消
音扉11、機体遮音室12及び垂直排気消音室16に至
る流路は、互いに平滑に連結されている。また、これら
の流路面積がほぼ同一に形成されている。
【0020】機体遮音室12は、垂直尾翼1aが上方に
突出する開口溝12bを有し、天井12aの高さが航空
機1の垂直尾翼1aより低く構成されている。また、こ
の例において、機体遮音室12の横幅は、航空機1の翼
部(主翼1b)より前方が広く、後方が徐々に狭く構成
されている。この構成により、流路面積をほぼ同一に保
持したままで、主翼1bより後方の機体遮音室12及び
垂直排気消音室16の横幅を狭く設定できる。なお、機
体遮音室12の高さを航空機1の翼部より前方が低く、
後方が徐々に高く構成してもよく、この両方の構成を同
時に採用してもよい。両方の構成を適用することによ
り、流路面積をほぼ完全に同一に保持することができ
る。
【0021】吸気消音扉11は、航空機1の前方側に機
体遮音室12の前面全体を塞いで設けられ、機体遮音室
12内に空気を導入するようになっている。また、尾翼
遮音室14は、山形に形成され、機体遮音室12の開口
溝12bを塞ぎ、その内部に垂直尾翼1aを収納するよ
うになっている。
【0022】また、図2(A)及び図3(A)に二点鎖
線で示すように、吸気消音扉11と垂直排気消音室16
の少なくとも一方が、水平に横移動可能に形成されてお
り、これにより航空機を前方又は後方から垂直尾翼1a
を開口溝に通して機体遮音室内に格納するようになって
いる。この構成により、吸気消音扉11を横移動させる
ことにより、装置の前方から航空機1を機体遮音室12
内に格納することができ、主翼1bより後方の機体遮音
室12及び垂直排気消音室16の横幅を狭く設定でき
る。また、逆に垂直排気消音室16を横移動させること
により、装置の後方から航空機を機体遮音室12内に格
納することができ、特に、尾翼遮音室14を後方部に限
定して小型化することができる。
【0023】垂直排気消音室16は、航空機1の後方側
に機体遮音室12及び尾翼遮音室14と連続して設けら
れ、航空機1の排気ガスを後方かつ上方に導くようにな
っている。また、図2(B)に示すように、垂直排気消
音室16の吸気口16aが、機体遮音室12とほぼ同一
の横幅と高さに形成され、かつその排気口16bが機体
遮音室12より十分高くかつほぼ水平に形成されてい
る。この構成により、垂直排気消音室16による煙突効
果を付加し、常時、吸気口16aから排気口16bに気
流を流す吸引力を発生させることができる。
【0024】図2,図3及び図4に示すように、垂直排
気消音室16は、航空機1の末端中央に搭載されるエン
ジンに対応して幅方向中央に位置する中央消音室17a
と、航空機1の両翼に搭載されるエンジンに対応して中
央消音室の両側に位置する側部消音室17bとからな
る。この構成により、後述するように、機体遮音室12
に格納できるほとんどすべての航空機に対応することが
できる。
【0025】また、図2(C)及び図3(B)に示すよ
うに、尾翼遮音室14の後方壁の上方に設けられた排気
ファン19bとを更に備える。この構成により、補助エ
ンジンのみを運転中に発生する排気が機体遮音室12及
びその上部の尾翼遮音室14内に滞留する場合でも、排
気ファン19bの作動により排気することができ、機体
遮音室12及びその上部の尾翼遮音室14内の空気を常
に清浄に保つことができる。
【0026】図5は、上述した本発明のランナップ消音
装置の模式図である。以下、この図に基づき本発明の作
動を説明する。なお、図5において、(A)は、航空機
1の両翼に搭載されたエンジンを運転する状態、(B)
はこのエンジンを停止している状態、(C)は、垂直尾
翼部のエンジンを運転する状態を示し、(D)は(A)
〜(C)の横断面図である。
【0027】上述した本発明の構成によれば、機体遮音
室12の他に尾翼遮音室14を設けたので、機体遮音室
12の天井高さを航空機の垂直尾翼1aより十分低くす
ることができる。これにより、機体遮音室12の建物
を、天井高さが低いダクト型とし、主翼上方の空間は、
運用上必要な高さを確保し、垂直尾翼部1aは機体遮音
室の開口溝12aから上方に突出して山形の尾翼遮音室
14に収めることができる。また、吸気消音扉11、機
体遮音室12及び垂直排気消音室16の流路が、互いに
平滑に連結され、かつ流路面積がほぼ同一に形成されて
いるので、吸気消音扉11の吸気口から垂直排気消音室
16の排気口まで気流が淀みなく流れるダクト形状とな
り、渦の発生を防ぎ、流路抵抗を低減することができ
る。従って、機体遮音室12内にエンジンの排気口を下
流(垂直排気消音室側)に向けて航空機1を設置する
と、機体遮音室12と航空機1及びエンジンの間の流路
は、他の部分より絞られた形状となり、この部分でエン
ジンを運転すると、図5(A)に模式的に示すように、
その高速ジェットによるエジェクタ効果により、吸気消
音扉11の吸気口から垂直排気消音室16の排気口まで
淀みなく流れる空気流が形成され、専用の排気ダクトを
用いることなく排気ガスのリサーキュレーションを確実
に防止することができる。
【0028】また、本発明の構成によれば、機体遮音室
12の天井高さが航空機の垂直尾翼1aより低く、その
ため、従来の蒲鉾屋根や三角天井屋根に比べて、下流側
からの逆風が強い場合でも機体遮音室内への逆風が流れ
込みがほとんどなく、図5(B)に模式的に示すよう
に、垂直排気消音室16におけるエジェクタ効果で常
時、吸気消音扉11の吸気口から垂直排気消音室16の
排気口に気流が流れる吸引力が発生する。従って、強い
逆風時にも、吸気消音扉11の吸気口から垂直排気消音
室16の排気口に向かう空気流を形成することができ、
安全かつ正確に確認運転試験ができる。
【0029】また、垂直排気消音室16を、図4(B)
のように、中央消音室17aと側部消音室17bで構成
することにより、図5(C)に模式的に示すように、エ
ンジンが垂直尾翼部にある航空機の排気ジェットを、中
央消音室17aにより消音することができ、かつエンジ
ンが翼部にある通常の航空機の排気ジェットは、図5
(A)に模式的に示すように、両側に位置する側部消音
室17bにより消音することができる。従って、機体遮
音室12に格納できるほとんどすべての航空機に対応す
ることができる。
【0030】図6は、消音器の構成図であり、(A)は
吸気消音扉11の消音器、(B)は垂直排気消音室16
の消音器を示している。図6(A)に示すように、吸気
消音扉11の消音器には、吸気入口にルーバー格子型の
消音器を用い、吸気流の整流と、吸気の消音を同時に行
うことができる。また、図6(B)に示すように、垂直
排気消音室16に消音エルボを用いることができる。な
お、これらの消音器は他の形式であってもよく、例えば
垂直排気消音室16に消音格子構造を適用してもよい。
【0031】図7は、本発明のランナップ消音装置のシ
ュミレーション図であり、図8は、従来のランナップ消
音装置のシュミレーション図である。図7において、
(A)は尾翼遮音室14のある中央部の縦断面、(B)
は、翼部にエンジンを2基搭載する航空機の内側のエン
ジン部の縦断面、(C)は、同じく外側のエンジン部の
縦断面、における気流のシュミレーション結果であり、
気流の向きと大きさを矢印でベクトル表示したものであ
る。また、同様に図8において、(A)は従来のランナ
ップ消音装置における航空機の内側のエンジン部の縦断
面、(B)は、外側のエンジン部の縦断面、における気
流のシュミレーション結果である。
【0032】図7と図8の比較から、従来のランナップ
消音装置では、図にAで示す部分でリサーキュレーショ
ンが生じており、かつエンジンまわりの気流の流れに乱
れが多く、エンジン性能に悪影響を及ぼすおそれがある
ことがわかる。これに対して、本発明のランナップ消音
装置では、(A)(B)(C)のいずれの断面において
も、吸気消音扉11の吸気口から垂直排気消音室16の
排気口まで淀みなく流れる空気流が形成されていること
がわかる。
【0033】図9は、本発明のランナップ消音装置の別
のシュミレーション図である。この図はエンジンを全て
停止中に強い逆風を受けた場合を示しており、(A)は
尾翼遮音室14のある中央部の縦断面、(B)は、翼部
にエンジンを2基搭載する航空機の外側のエンジン部の
縦断面、における気流の向きと大きさを矢印でベクトル
表示したものである。この結果から、本発明のランナッ
プ消音装置では、(A)(B)のいずれの断面において
も、下流側からの逆風が強い場合でも機体遮音室12内
への逆風が流れ込みがほとんどなく、垂直排気消音室1
6におけるエジェクタ効果で常時吸気口から排気口に気
流が流れることがわかる。従って、強い逆風時にも、吸
気消音扉11の吸気口から垂直排気消音室16の排気口
まで淀みなく流れる空気流を形成することができ、安全
かつ正確に確認運転試験ができる。
【0034】なお、本発明は上述した実施形態に限定さ
れず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できる
ことは勿論である。
【0035】
【発明の効果】上述したように、本発明の航空機搭載エ
ンジンのランナップ消音装置は、専用の排気ダクトを用
いることなく排気ガスのリサーキュレーションを確実に
防止することができ、これにより、低周波騒音を発生す
ることなく、正確な確認運転試験ができ、かつ、特に逆
風が強い場合でも、遮音室内に逆風が流れ込むことな
く、安全かつ正確に確認運転試験ができる、等の優れた
効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のランナップ消音装置の全体斜視図であ
る。
【図2】図1のランナップ消音装置の平面図、側面図、
及び縦断面図である。
【図3】別のランナップ消音装置の平面図、側面図、及
び縦断面図である。
【図4】図1のランナップ消音装置の正面図及び横断面
図である。
【図5】本発明のランナップ消音装置の模式図である。
【図6】消音器の構成図である。
【図7】本発明のランナップ消音装置のシュミレーショ
ン図である。
【図8】従来のランナップ消音装置のシュミレーション
図である。
【図9】本発明のランナップ消音装置の別のシュミレー
ション図である。
【図10】従来のランナップ消音装置の模式図である。
【符号の説明】
1 航空機 1a 尾翼 1b 主翼 2 遮音室 2a 天井部 2b 正面扉 2c 背面壁 3 排気ダクト 4 排気消音器 5 吸気消音器 6 排気ダクト 10 ランナップ消音装置 11 吸気消音扉 12 機体遮音室 12a 天井 12b 開口溝 14 尾翼遮音室 16 垂直排気消音室 16a 吸気口 16b 排気口 17a 中央消音室 17b 側部消音室 19a 排気ダクト 19b 排気ファン

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天井高さが航空機の垂直尾翼より低く垂
    直尾翼が上方に突出する開口溝を有する機体遮音室と、
    前記開口溝を塞ぎ内部に垂直尾翼を収納する山形の尾翼
    遮音室と、航空機の後方側に機体遮音室及び尾翼遮音室
    と連続して設けられ排気ガスを後方かつ上方に導く垂直
    排気消音室と、航空機の前方側に機体遮音室の前面全体
    を塞いで設けられ機体遮音室内に空気を導入する吸気消
    音扉とからなり、 前記吸気消音扉、機体遮音室及び垂直排気消音室の流路
    は、互いに平滑に連結され、かつ流路面積がほぼ同一に
    形成されている、ことを特徴とする航空機搭載エンジン
    のランナップ消音装置。
  2. 【請求項2】 前記吸気消音扉と垂直排気消音室の少な
    くとも一方が、水平に横移動可能に形成されており、こ
    れにより航空機を前方又は後方から垂直尾翼を前記開口
    溝に通して機体遮音室内に格納するようになっている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のランナップ消音装
    置。
  3. 【請求項3】 前記機体遮音室の横幅は、航空機の翼部
    より前方が広く、後方が徐々に狭く構成されており、及
    び/又は、その高さが航空機の翼部より前方が低く、後
    方が徐々に高く構成されている、ことを特徴とする請求
    項1に記載のランナップ消音装置。
  4. 【請求項4】 垂直排気消音室の吸気口が、機体遮音室
    とほぼ同一の横幅と高さに形成され、排気口が機体遮音
    室より十分高くかつほぼ水平に形成されている、ことを
    特徴とする請求項1に記載のランナップ消音装置。
  5. 【請求項5】 前記垂直排気消音室は、航空機の末端中
    央に搭載されるエンジンに対応して幅方向中央に位置す
    る中央消音室と、航空機の両翼に搭載されるエンジンに
    対応して中央消音室の両側に位置する側部消音室とから
    なる、ことを特徴とする請求項4に記載のランナップ消
    音装置。
  6. 【請求項6】 前記尾翼遮音室の上方に設けられた排気
    ダクトと、該排気ダクトに設けられた排気ファンとを更
    に備える、ことを特徴とする請求項5に記載のランナッ
    プ消音装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1249394A3 (en) * 2001-04-09 2003-10-22 Kawasaki Jukogyo Kabushiki Kaisha Aircraft engine run-up hangar
JP4874987B2 (ja) * 2004-11-03 2012-02-15 ゲゼルシャフト フュール ラルムシュツ エムベーハー 航空機用遮音装置

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