JP2965143B2 - 航空機のエンジン試運転用消音装置 - Google Patents

航空機のエンジン試運転用消音装置

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JP2965143B2
JP2965143B2 JP8355323A JP35532396A JP2965143B2 JP 2965143 B2 JP2965143 B2 JP 2965143B2 JP 8355323 A JP8355323 A JP 8355323A JP 35532396 A JP35532396 A JP 35532396A JP 2965143 B2 JP2965143 B2 JP 2965143B2
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正昭 林
勝久 山田
晋 鈴木
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Kawasaki Motors Ltd
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Kawasaki Jukogyo KK
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は航空機のエンジン試
運転用消音装置に関する。さらに詳しくは、複数のエン
ジンを搭載する航空機のエンジン試運転に用いられる消
音装置の排気ダクトの改善に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、航空機AのエンジンEを地上
において試運転をする場合、その際に発生する騒音を防
止するため、図11および図12に示すように、航空機
Aを防音室2内に格納して試運転がなされている。その
場合、航空機Aが複数のエンジンE,Eを搭載している
ときは、図11に示すように、各エンジンEに対応させ
て消音構造とされた排気ダクト(以下、単に排気ダクト
という)1,1が設けられている。なお、図11では作
図の簡略化の観点から排気ダクト1,1のみが示され他
は省略されているとともに、各ダクト1,1の対向する
側壁は接合されて一体化されている。
【0003】しかしながら、このように各エンジンE,
Eに対応させて排気ダクト1,1を設けると、各エンジ
ンE,Eが高出力で運転されている場合は問題を生じな
いが、例えば一つのエンジンEが停止されていたり、低
出力で運転されている場合、図11に矢符で示すよう
に、高出力で運転されているエンジンEの排気の一部
が、次のような理由により停止または低出力で運転され
ているエンジンEの排気ダクト1から防音室2内に逆流
することが生ずる。
【0004】すなわち、防音室2にはその入口部に明瞭
には図示されていないが、吸気サイレンサや防塵装置な
どが設けられている関係上、入口部において一定の抵抗
があり、かつエンジンE,Eの試運転がなされている防
音室2内の空気は、エンジンE,Eの排気に引き摺られ
て排気されてしまうので、防音室2内は負圧状態となる
(図12参照)。また、排気ダクト1からの排気速度が
速いと、いわゆるジェット騒音が発生するので、排気速
度は排気に支障のない範囲で可能な限り遅くされてい
る。そのため、横風が吹くと排気された排気の一部は大
気中を上昇して拡散せずに、停止または低出力で運転さ
れているエンジンEの排気ダクト1に吸い込まれ、その
後防音室2内に吹き出されるのである。つまり、排気が
逆流するのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる従来技
術の課題に鑑みなされたものであって、試運転されてい
るエンジンからの排気が他の排気ダクトを通って防音室
内やエンジンの吸気側に逆流することのない航空機のエ
ンジン試運転用消音装置を提供することを目的としてい
る。
【0006】
【0007】
【課題を解決するための手段】 本発明の航空機のエンジ
ン試運転用消音装置は、航空機を収納する吸気部を有す
る防音室と、該防音室に収納される複数のエンジンを有
する航空機の各エンジンからの排気を個別的に排気する
各エンジンに対応させて前記防音室に接続された複数の
排気ダクトとを備え、前記各エンジンに対応させて設け
られた複数の排気ダクトの排気吸い込み側のすべてを連
絡ダクトにより連通してなることを特徴とする
【0008】 あるいは、本発明の航空機のエンジン試
運転用消音装置は、翼に垂下されている複数のエンジン
を有する航空機のエンジン試運転用消音装置であって、
片方の翼に垂下されている複数のエンジンの吸気をなす
共通吸気ダクトと、該共通吸気ダクトの後端部に接続さ
れているエンジンを個別的に格納するエンジン数に対応
させたエンジン格納部と、該エンジン格納部の後端部に
接続されている各エンジンの排気を個別的になす個別排
気ダクトとを備え、前記共通吸気ダクトの後端部に接続
されている個別排気ダクトのすべてが排気吸い込み側で
連絡ダクトにより連通されてなることを特徴とする。
【0009】 本発明の航空機のエンジン試運転用消音
装置においては、2基のエンジンからの排気を排気する
複数の排気ダクトが、ダクトの側壁相互を接合して形成
され、または1本のダクトの内部を仕切壁により仕切る
ことにより形成され、前記接合されている側壁を排気吸
い込み側で一部切欠くことにより、または仕切壁を排気
吸い込み側で一部切欠くことにより各ダクトが連通され
ていてもよい。すなわち、本発明の航空機のエンジン試
運転用消音装置においては、2基のエンジンからの排気
を個別的に排気する個別排気ダクトが、ダクトの側壁相
互を接合して形成され、前記接合されている側壁を排気
吸い込み側で一部切欠くことにより各ダクトが連通され
ていてもよく、あるいは2基のエンジンからの排気を個
別的に排気する個別排気ダクトが、1本のダクトの内部
を仕切壁により仕切ることにより形成され、前記仕切壁
を排気吸い込み側で一部切欠くことにより、各ダクトが
連通されていてもよい。
【0010】
【作用】本発明の航空機のエンジン試運転用消音装置
は、排気ダクトが排気吸い込み側で連通されているの
で、排気ダクトから排気された排気は防音室内や吸気側
などに逆流することはなく、また低出力で運転されてい
るエンジンの排気およびその周囲の高温空気は、通風力
のある高出力で運転されているエンジンの排気ダクトな
どにより排気される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら本
発明を実施の形態に基づいて説明するが、本発明はかか
る実施の形態のみに限定されるものではない。
【0012】実施の形態1 本発明の実施の形態1に係る航空機のエンジン試運転用
消音装置(以下、単に消音装置という)を図1に斜視図
で示し、この実施の形態1に係る消音装置は、ジェット
エンジンEを2基搭載している航空機Aの地上試運転に
用いられるものであって、第1エンジンE1からの排気
は第1排気ダクト1Aにより排気され、第2エンジンE
2からの排気は第2排気ダクト1Bにより排気されるよ
うにされている。なお、図1においては作図の簡略化の
観点から、この実施の形態1において特徴的な部分であ
る排気ダクト1A,1BおよびエンジンE1,E2の排
気ノズルのみが示され、他の箇所は省略されている。
【0013】この実施の形態1においては、図1に示す
ように第1ダクト1Aの排気吸い込み側1aと第2ダク
ト1Bの排気吸い込み側1bとは、連絡ダクト3により
連通されている。そのため、第1エンジンE1が高出力
で運転される一方、第2エンジンE2が停止あるいは休
止している場合、図2に示すように第1ダクト1Aから
排気された後、第2ダクト1Bの排気端から吸い込まれ
た排気は連絡ダクト3を通って第1ダクト1Aに至り、
再度第1ダクト1Aから排気される。また、第1エンジ
ンE1が高出力で運転される一方、第2エンジンE2が
低出力で運転されている場合、図3に示すように第2エ
ンジンE2からの排気およびその周囲の空気は、第2ダ
クト1Bに吸い込まれた後、連絡ダクト3により第1ダ
クト1A内に導かれて第1ダクト1Aから排気される。
なお、図2および図3中の矢符は排気の流れを示す。
【0014】このように、この実施の形態1においては
第1ダクト1Aの排気吸い込み側1aと第2ダクト1B
の排気吸い込み側1bが連絡ダクト3により連通されて
いるので、排気ダクト1から排気された排気は防音室2
内やエンジンEの吸気側に逆流することはなく、また低
出力で運転されているエンジンEの排気およびその周囲
の高温空気は、通風力のある高出力で運転されているエ
ンジンEの排気ダクト1により排気される。
【0015】実施の形態2 本発明の実施の形態2に係る消音装置を図4に平面図で
示し、この実施の形態2に係る消音装置は、ジェットエ
ンジンEを3基搭載している航空機Aの地上試運転に用
いられるものであって、第1エンジンE1からの排気は
第1排気ダクト1Aにより排気され、第2エンジンE2
からの排気は第2排気ダクト1Bにより排気され、第3
エンジンE3からの排気は第3ダクト1Cにより排気さ
れるようにされている。なお、図4においては作図の簡
略化の観点から、この実施の形態2において特徴的な部
分である排気ダクト1A,1B,1CおよびエンジンE
1,E2,E3の排気ノズルのみが示され、他の箇所は
省略されている。
【0016】この実施の形態2においては、図4に示す
ように第1ダクト1Aの排気吸い込み側1aと第2ダク
ト1Bの排気吸い込み側1bと第3ダクト1Cの排気吸
い込み側1cは、相互に連絡ダクト3A,3B,3Cに
より連通されている。そのため、第1エンジンE1が高
出力で運転される一方、第2エンジンE2および第3エ
ンジンE3が停止あるいは休止している場合、第1ダク
ト1Aから排気されてから第2ダクト1Bあるいは第3
ダクト1Cの排気端から吸い込まれた排気は連絡ダクト
3A,3Cを通って第1ダクト1Aに至り、再度第1ダ
クト1Aから排気される。また、第1エンジンE1が高
出力で運転される一方、第2エンジンE2および第3エ
ンジンE3が低出力で運転されている場合、第2エンジ
ンE2からの排気およびその周囲の空気は、第2ダクト
1Bに吸い込まれた後、連絡ダクト3A,3Cにより第
1ダクト1A内に導かれて第1ダクト1Aから排気され
る。
【0017】このように、この実施の形態2においては
第1ダクト1Aの排気吸い込み側1aと第2ダクト1B
の排気吸い込み側1bと第3ダクト1Cの排気吸い込み
側1cが相互に連絡ダクト3A,3B,3Cにより連通
されているので、実施の形態1と同様に排気ダクト1か
ら排気された排気は防音室2内やエンジンEの吸気側に
逆流することはなく、また低出力で運転されているエン
ジンEの排気およびその周囲の高温空気は、通風力のあ
る高出力で運転されているエンジンEの排気ダクト1に
より排気される。
【0018】
【実施例】以下、より具体的な実施例に基づいて本発明
をより具体的に説明する。
【0019】実施例1 本発明の実施例1に係る消音装置を図5に示し、この実
施例1は実施の形態1をより具体化したもので、防音室
2内に小型ジェット機Aを格納し、その地上における試
運転時の消音をなすものである。この実施例1では2基
のエンジンE1,E2がそのジェット機Aの胴体に搭載
されているため、2基のエンジンE1,E2の間隔が狭
くなっている。そのため、円形状の第1ダクト1Aと円
形状の第2ダクト1Bとは近接させて並列状に配設され
ている。そして、連絡ダクト3がこの第1ダクト1Aの
排気吸い込み側1aと第2ダクト1Bの排気吸い込み側
1bとに接続されて、第1ダクト1Aと第2ダクト1B
がその排気吸い込み側1a,1bで連通されている。な
お、防音室2の構造および排気ダクト1そのものは公知
構造のものとされている。
【0020】このように、この実施例1では第1ダクト
1Aと第2ダクト1Bとがその排気吸い込み側1a,1
bで連通されているので、実施の形態1と同様の作用・
効果が得られる。
【0021】実施例2 本発明の実施例2に係る消音装置を図6および図7に示
し、この実施例2は実施例1を改変したものであって、
第1ダクト1Aと第2ダクト1Bとを角形ダクトとする
とともに、その対向する側面を接合して一体化させるこ
とにより、または1本のダクトの内部を仕切壁により仕
切ることにより形成されている。このように第1ダクト
1Aと第2ダクト1Bとが接合され、または1本のダク
トの内部を仕切壁により仕切ると、第1ダクト1Aと第
2ダクト1Bとを連通させるために取り立てて連絡ダク
ト3を設ける必要はなくなる。そこで、この実施例2で
は、図6および図7に示すように、第1ダクト1Aと第
2ダクト1Bとを仕切っている仕切壁11を吸い込み側
1a,1bで一部切欠くことで第1ダクト1Aと第2ダ
クト1Bとの連通がなし得る。そして、この実施例2に
おける作用・効果も実施例1と同様である。
【0022】実施例3 本発明の実施例3に係る消音装置を図8〜図10に示
し、この実施例3も実施例1を改変したものである。つ
まり、航空機Aの片方の翼下に垂下された2基のエンジ
ンE1,E2に対する消音装置が、2基のエンジンE
1,E2の吸気をなす共通吸気ダクト4と、この共通吸
気ダクト4の後端部に接続されたエンジンE1,E2を
個別的に格納する2個の格納ブロック5A,5Bと、こ
の格納ブロック5A,5Bの各排気口に接続された2個
の個別排気ダクト1A,1Bとにより構成され、その個
別排気ダクト1A,1Bの排気吸い込み側1a,1bが
連絡ダクト3により連通されているものである。この場
合、図8および図10に示すように、排気ダクト1A,
1Bはレール上を走行可能とされ、航空機Aの各エンジ
ンE1,E2が吸気ダクト4とセットされる際には退避
位置にあり、そして航空機Aの各エンジンE1,E2が
吸気ダクト4とセットされた後に退避位置が各エンジン
E1,E2の後方所定位置にセットされる。なお、この
消音装置そのものは、従来より公知構造のものと同様で
ある。
【0023】これにより、一方のエンジンEが運転さ
れ、他方のエンジンEが休止している場合、運転されて
いる側の排気ダクト1から排気されて、休止している排
気ダクト1により吸い込まれた排気が、停止あるいは休
止しているエンジンEを通って吸気ダクト1に逆流する
のが防止される。また、低出力で運転されているエンジ
ンEの排気およびその周囲の高温空気は、通風力のある
高出力で運転されているエンジンEの排気ダクト1によ
り排気される。
【0024】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の航空機の
エンジン試運転用消音装置は、排気ダクトが排気吸い込
み側で連通されているので、排気ダクトから排気された
排気は防音室内や吸気側などに逆流することはなく、ま
たアイドリングされているエンジンの排気およびその周
囲の高温空気は、通風力のある定格で運転されているエ
ンジンの排気ダクトにより排気されるという優れた効果
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の排気ダクトの概略斜視
図である。
【図2】実施の形態1において排気の逆流が防止される
様子を示す説明図である。
【図3】実施の形態1において他のエンジンの排気も合
わせて排気されている様子を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態2の排気ダクトの概略図で
ある。
【図5】本発明の実施例1の航空機のエンジン試運転用
消音装置の屋根を除いて示す平面図である。
【図6】本発明の実施例2の航空機のエンジン試運転用
消音装置の屋根を除いて示す平面図である。
【図7】同排気ダクトの概略斜視図である。
【図8】本発明の実施例3の航空機のエンジン試運転用
消音装置の平面図である。
【図9】同側面図である。
【図10】同背面図である。
【図11】従来の航空機のエンジン試運転用消音装置の
図7相当図である。
【図12】防音室内の圧力分布を示す説明図である。
【符号の説明】
1 排気ダクト 1A 第1ダクト 1B 第2ダクト 11 仕切壁 2 防音室 3 連絡ダクト 4 共通吸気ダクト 5 格納ブロック A 航空機、ジェット機 E エンジン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永留 世一 明石市川崎町1番1号 川崎重工業株式 会社 明石工場内 (56)参考文献 実開 昭58−130899(JP,U) 特公 平4−31919(JP,B2) 実公 昭53−4639(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B64F 1/26,5/00 F02C 7/24

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 航空機を収納する吸気部を有する防音室
    と、該防音室に収納される複数のエンジンを有する航空
    機の各エンジンからの排気を個別的に排気する各エンジ
    ンに対応させて前記防音室に接続された複数の排気ダク
    トとを備え、前記各エンジンに対応させて設けられた複
    数の排気ダクトの排気吸い込み側のすべてを連絡ダクト
    により連通してなることを特徴とする航空機のエンジン
    試運転用消音装置。
  2. 【請求項2】 翼に垂下されている複数のエンジンを有
    する航空機のエンジン試運転用消音装置であって、 片方の翼に垂下されている複数のエンジンの吸気をなす
    共通吸気ダクトと、該共通吸気ダクトの後端部に接続さ
    れているエンジンを個別的に格納するエンジン数に対応
    させたエンジン格納部と、該エンジン格納部の後端部に
    接続されている各エンジンの排気を個別的になす個別排
    気ダクトとを備え、 前記共通吸気ダクトの後端部に接続されている個別排気
    ダクトのすべてが排気吸い込み側で連絡ダクトにより連
    通されてなることを特徴とする航空機のエンジン試運転
    用消音装置。
  3. 【請求項3】 2基のエンジンからの排気を個別的に排
    気する個別排気ダクトが、ダクトの側壁相互を接合して
    形成され、 前記接合されている側壁を排気吸い込み側で一部切欠く
    ことにより各ダクトが連通されてなることを特徴とする
    請求項または記載の航空機のエンジン試運転用消音
    装置。
  4. 【請求項4】 2基のエンジンからの排気を個別的に排
    気する個別排気ダクトが、1本のダクトの内部を仕切壁
    により仕切ることにより形成され、 前記仕切壁を排気吸い込み側で一部切欠くことにより、
    各ダクトが連通されてなることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の航空機のエンジン試運転用消音装置。
JP8355323A 1996-12-19 1996-12-19 航空機のエンジン試運転用消音装置 Expired - Lifetime JP2965143B2 (ja)

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