JP2000006574A - 直液式筆記具 - Google Patents
直液式筆記具Info
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Abstract
通孔8を備えた直液式筆記具に関し、製造上の困難性を
解消し、間隙寸法の小さい連通孔8を高い精度で得る。 【解決手段】ペン先2後方且つインキタンク3前方の軸
筒4内に、インキ保持部51を備える中間部材5を装着
する。インキ保持部51とインキタンク3との間に隔壁
7を設け、該隔壁7を連通孔8が貫通する。軸筒4内面
部に隔壁7外面部を圧入固着する。軸方向且つ周方向に
延びるスリット状の連通孔8を、軸筒4内面部と隔壁7
外面部とによって形成する。
Description
る。さらに詳細には、ペン先とインキタンクとの間に、
インキタンク内の圧力上昇時の溢出インキを一時的に保
持する中間部材を配置した直液式筆記具に関する。
ンキタンクと中間部材のインキ保持部との間の空気及び
インキのやりとりをする連通孔の横断面形状は、径方向
外方に開口するスリット状のもの(例えば、実開昭61
−45191号公報)や、径方向内方に開口(すなわち
軸心のインキ誘導部材に連通)するスリット状のもの
(例えば、実開平2−78383号公報)が知られてい
る。即ち、前記従来の直液式筆記具における連通孔は、
いずれも軸方向且つ径方向に延びるスリットよりなり、
その周方向の溝幅(すなわち周方向に測定する間隙寸
法)の大きさによって毛細管力が設定されている。
キタンクと中間部材のインキ保持部との間のインキ及び
空気の流通を、その間隙寸法(すなわち毛細管力)によ
り調節するものであり、空気とインキのやりとりをする
上で、高い寸法精度が要求される箇所である。
い場合、その毛細管力が弱くなり、インキタンク減圧
時、インキ保持部からインキタンクへの連続的かつ円滑
なインキの戻りが阻害され、インキ保持部にインキを残
留させたまま、外部空気をインキタンク内に取り込み、
インキタンク内の減圧状態を解消させてしまう。したが
って、その後、インキタンクの内圧が上昇すると、イン
キ保持部では溢出インキを十分保持できず、ペン先側よ
りインキを漏出させるおそれがある。
い場合、その毛細管力が強くなり、減圧状態のインキタ
ンク内への空気侵入が抑止されて円滑な空気取り込み性
(すなわち空気交替性)が阻害され、その結果、インキ
タンク内の減圧状態が解消されず、ペン先からのインキ
吐出量が不足し、筆跡がかすれるおそれがある。
張力等に応じてその間隙寸法を設定することが望まし
く、例えば、前記間隙寸法は、表面張力の比較的低い油
性インキ(すなわち有機溶剤を含有するインキ)の場合
では、水性インキの場合に比べて小さく設定することが
望ましい。
より構成し、そこに径方向に延びるスリットを一体成形
する場合、連通孔の間隙寸法をより小さく(特に、0.
2mmより小さく)設定すると、スリットを形成する部
分の金型が肉薄の板状体となるため、金型の強度が低下
し、金型の十分な耐久性が得られない。すなわち、前記
連通孔の間隙寸法を小さく設定するには製造上の限界が
あり、所望する間隙寸法を容易には得られなかった。ま
た、隔壁に径方向に延びるスリットを切削加工により形
成する場合、精密な加工及び管理が要求され、また大量
生産が困難であるため、安価に製造できなかった。
は、インキ誘導部材(具体的には繊維収束芯又は連続気
泡プラスチック芯よりなるペン体)の外面と、軸方向の
溝を備えた隔壁の中心孔(具体的には空気上昇溝を備え
たペン体嵌入固着孔)の内面との間に、連通孔を形成し
た構成が開示されている。ところが、前記構成(すなわ
ち、インキ誘導部材外面と隔壁中心孔内面との間に連通
孔を設ける構成)の場合、インキ誘導部材を隔壁の中心
孔に嵌入固着した際、インキ誘導部材が、繊維又は合成
樹脂連続気泡体等の多孔質材料よりなるため、インキ誘
導部材の外面が、隔壁の中心孔内面の溝の内部へ膨らん
で連通孔を塞いでしまったり、連通孔を小さくするおそ
れがあり、連通孔の適正な間隙寸法が確実に得られなか
った。
は、前記従来の課題を解決するものであって、適正な間
隙寸法を有する連通孔を高い精度で形成して、十分なイ
ンキ残留抑止性と円滑な空気取り込み性とを同時に満足
でき、製造が容易な直液式筆記具を提供しようとするも
のである。尚、本発明で「前」とはペン先側を指し、
「後」とはインクタンク側を指す。
ペン先2後方且つインキタンク3前方の軸筒4内に中間
部材5を装着し、前記中間部材5が、前記インキタンク
3内の圧力変化に伴う溢出インキを一時的に保持するイ
ンキ保持部51,52を備え、前記インキ保持部51,
52後端に、前記インキ保持部51,52と前記インキ
タンク3とを仕切る隔壁7を設け、前記インキ保持部5
1,52と前記インキタンク3との間の空気及びインキ
のやりとりをする連通孔8が前記隔壁7を貫通してなる
直液式筆記具であって、前記軸筒4内面部に前記隔壁7
外面部を圧入固着し、前記軸筒4内面部と前記隔壁7外
面部とにより連通孔8を形成したこと(請求項1)を要
件とする。
ち、軸筒4内面部及び隔壁7外面部)の結合により連通
孔8を形成するものであるため、従来のように連通孔8
を設けるために径方向に延びるスリットを一部材の隔壁
7に形成する必要がなく、従来の製造上の困難性(すな
わち合成樹脂成形の際または切削加工の際の困難性)を
解消し、高精度の連通孔8を、間隙寸法Sの小さいもの
から大きいものまで自由に形成することができ、連通孔
8の毛細管力を所望する適正な強さに容易に設定でき
る。特に、間隙寸法Sの小さい連通孔8を高い精度で容
易に形成することが可能となる。また、従来のように連
通孔8を設けるために形状不安定なインキ誘導部材等を
用いることがなく、所望する間隙寸法Sを有する連通孔
8が確実かつ容易に得られる。
て連通孔8を形成するには、軸筒4内面部又は隔壁7外
面部の圧入固着箇所において、軸筒4内面部と隔壁7外
面部の両者が全周状に接触せず、両者間に隙間が形成さ
れるよう、両者が異なる形状であればよい。
向に延びるスリット状であり、径方向の間隙寸法Sを周
方向の間隙寸法より小さくし、径方向の毛細管力を周方
向の毛細管力より強くした形状である。
筆記具1において、合成樹脂成形体よりなる軸筒4内面
部又は合成樹脂成形体よりなる隔壁7外面部に軸方向に
延びる凹部41を形成し、前記軸筒4内面部に前記隔壁
7外面部を圧入固着し、前記凹部41と前記隔壁7外面
部との間又は前記凹部41と前記軸筒4内面部との間
に、軸方向且つ周方向に延びるスリット状の連通孔8を
形成したこと(請求項2)が好ましい。
正な間隙寸法Sを有する連通孔8を得るために、軸筒4
内面部または隔壁7外面部の凹部41の径方向の深さ寸
法を設定すればよく、従来の一部材に形成された切り欠
き状スリットのように周方向の間隙寸法を設定するもの
ではないため、合成樹脂成形の際の金型が、その強度を
低下させがちな肉薄部分を備えず、その耐久性を向上さ
せ、その結果、合成樹脂成形の際に生じる金型上の制限
が無くなり、適正な間隙寸法Sを有する高精度の連通孔
8が容易に得られる。特に、間隙寸法Sの比較的小さい
連通孔8を得る場合、凹部41の深さ寸法を浅く設定す
ればよいため、製造が極めて容易となる。また、合成樹
脂成形により得るため、大量生産が可能となり、安価に
製造することができる。
41は、少なくとも軸筒4内面部又は隔壁7外面部のい
ずれかに設ければよいが、軸筒4内面部及び隔壁7外面
部の両方でもよい。しかし、前記凹部41は、軸筒4内
面部及び隔壁7外面部の両方ではなく、軸筒4内面部又
は隔壁7外面部のいずれか一方に設けた構成の方が、簡
易な構造となって製造・組立が容易となり、製造コスト
を低く抑えることができる点で好ましい。
又は軸筒4内面部のいずれか一方に設ける場合におい
て、軸筒4内面部に凹部41を形成する構成の場合で
は、軸筒4内面部を成形するための金型はコアピン外面
部に凸部を設けた構造となり、その反対に、隔壁7外面
部に凹部41を形成する構成の場合では、隔壁7外面部
を成形する金型はキャビティ内面部に凸部を設けた構造
となる。したがって、金型の製作において、コアピン外
面部に凸部を設ける構造(すなわち軸筒4内面部に凹部
41を形成する構成)の方が、キャビティ内面に凸部を
設ける構造に比べて容易であるため、高精度且つ安価な
金型となり、製造コスト面で有利である。
面部とは、例えば、合成樹脂成形体よりなる軸筒4の内
面に一体に形成した構成、あるいは軸筒4の内面に、合
成樹脂成形体よりなる別部材を取り付けた構成等が挙げ
られる。同様に、前記合成樹脂成形体よりなる隔壁7外
面部とは、例えば、合成樹脂成形体よりなる隔壁7の外
面部に一体に形成した構成、あるいは隔壁7の外面部
に、合成樹脂成形体よりなる別部材を取り付けた構成等
が挙げられる。前記合成樹脂としては、例えば、ポリプ
ロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフ
タレート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂等が挙
げられる。また、前記軸筒4内面部及び前記隔壁7外面
部を構成する合成樹脂成形体は、非多孔質体であること
が有効である。
筆記具1において、前記連通孔8の径方向の間隙寸法S
を、0.02mm〜0.25mmとしたこと(請求項
3)が好ましい。特に、油性インキの場合、その低い表
面張力のため、連通孔8は、高い毛細管力が要求され、
間隙寸法Sは、0.02mm〜0.15mmの範囲が好
ましい。
(ミリメートル)より小さい場合、連通孔8の毛細管力
が過度に強くなるため、減圧状態のインキタンク3内に
外部より空気がスムーズに取り込まれず、その結果、イ
ンキタンク3内の減圧状態が解消されず、ペン先2から
のインキ吐出量が不足し、筆跡がかすれるおそれがあ
る。
m(ミリメートル)より大きい場合、連通孔8の毛細管
力が過度に弱くなるため、中間部材5内の大部分のイン
キがインキタンク3内に戻る以前に、外部空気が減圧状
態のインキタンク3内に抵抗なく容易に入ってしまい、
中間部材5内にインキを残留させがちである。そのた
め、中間部材5のインキ保持機能を次第に低下させ、最
後にはインキを外部に漏出させるおそれがある。
とにより、ペン先2からの十分なインキ吐出性とインキ
漏出防止性とが同時に得られる。また、連通孔8の間隙
寸法Sが比較的小さい場合、従来は製造が困難であった
が、請求項1または2の構成(すなわち、隔壁7外面部
と軸筒4内面部との間に連通孔8を形成した構成)によ
って容易に製造することが可能となる。
較的低いインキ(例えば油性インキ)の場合、0.02
mm〜0.15の範囲が好ましく、表面張力の比較的高
いインキ(例えば水性インキ)の場合は、0.03mm
〜0.2mmの範囲が好ましい。
ば、表面張力が、20mN/m〜25mN/m(ミリニ
ュートン/メートル)の範囲のホワイトボード用イン
キ)の場合、0.03mm〜0.1mmの範囲が好まし
く、それにより、より一層、外部より空気をインキタン
ク3内へスムーズに取り込むことが可能となり、且つ、
中間部材5内でのインキ残留の抑止が可能となる。さら
に好ましくは、前記間隙寸法Sは、前記作用効果を確実
にする点で、0.03mm〜0.08mmの範囲が有効
である。
筆記具1において、インキタンク3からペン先2へイン
キを供給するインキ誘導部材9を隔壁7の中心孔71に
固着し、前記インキ誘導部材9外面と前記中心孔71内
面とを全周状に密接させてなること(請求項4)が好ま
しい。
ク3からペン先2へのインキ供給が、インキ誘導部材9
を介して行われることは勿論、インキタンク3とインキ
保持部51,52とのインキ及び空気のやりとりが、隔
壁7外面部と軸筒4内面部の間の連通孔8を介して行わ
れる。そのため、従来のような、多孔質材料よりなるイ
ンキ誘導部材9外面部と隔壁7の中心孔71内面部との
間に連通孔8を設ける必要がなく、ばらつきのない正確
な間隙寸法Sを有する連通孔8が得られる。すなわち、
前記構成(請求項4)により、インキ誘導部材9による
適正なインキ供給性能と、連通孔8による適正なインキ
・空気交替性能(すなわち十分なインキ残留抑止性及び
円滑な空気取り込み性)とが同時に満足され、インキ漏
出事故が防止されると共に筆跡のかすれがなく十分なイ
ンキ吐出が可能な直液式筆記具1を提供することができ
る。
材9は、少なくとも、その外周面より径方向外方に開口
する軸方向のインキ導出路を備えるものならばよく、例
えば、繊維束の樹脂加工体、繊維束の熱融着加工体、軸
方向のインキ導出溝を有する合成樹脂の押出成形体又は
射出成形体等を挙げることができる。
の直液式筆記具1において、中間部材5が多孔質材料か
らなるインキ保持部51を備える構成(請求項5)が好
ましい。
5が簡易な構造となり、直液式筆記具1を安価に提供す
ることができる。
具体的には、繊維束の加工体(例えば、繊維束の樹脂加
工体又は繊維束の熱融着加工体等)、フエルトの加工体
(例えば、フェルトの樹脂加工体又はフェルトのニード
ルパンチ加工体等)、又はスポンジ等の連続気泡体等を
挙げることができる。
の直液式筆記具1において、中間部材5が複数の櫛歯5
3間に形成した櫛溝からなるインキ保持部51を備える
構成(請求項6)が好ましい。
歯53間に形成した櫛溝からなることによって、合成樹
脂の成形等によりインキ保持部51の溝幅をばらつきな
く高精度に設定でき、インキ保持部51の毛細管力を所
望する強さに確実かつ容易に設定できる。
インキ保持部51に連通孔8を介してインキ流通可能に
接続されていればよく、具体的には、中間部材5を保持
する筒状体(例えば軸筒、収容筒、縮径部材等)と一体
に形成する構成、あるいは前記筒状体に取り付ける別部
材(例えば、着脱自在且つ交換可能なインキカートリッ
ジ)の取り付けによる構成等を挙げることができる。
材9とインキ流通可能に接続され、インキ誘導部材9か
ら供給されたインキを紙面等の被筆記面に吐出可能なも
のであればいずれであってもよく、例えば、繊維束の樹
脂加工体、繊維束の熱融着加工体、フェルト加工体、合
成樹脂の連続気泡体、合成樹脂の押出形成体、ボールペ
ンチップ、万年筆型板状ペン体、細管状ペン体等、挙げ
られる。また、ペン先2とインキ誘導部材9とを一部材
で構成し、インキ誘導部材9がペン先2を兼ねる構成で
あってもよい。
て説明する。
に本発明の第1実施例を示す。本実施例の直液式筆記具
1は、主に、多孔質材料よりなる中間部材5と、該中間
部材5を前部に設け、該中間部材5の後端に隔壁7を設
け、該隔壁7の後方にインキ(具体的にはホワイトボー
ド用油性インキ)を収容するインキタンク3を形成した
軸筒4と、前記中間部材5内に軸方向に貫装され、その
後端をインキタンク3内に露出させ、その前端をペン先
2として外部に突出させたインキ誘導部材9とからな
る。
る多孔質材料のインキ吸蔵体51からなり、収容筒6内
に圧入保持される。前記収容筒6は、軸筒4前部内面に
装着されており、その先細状前部でペン先2が空気流通
可能に保持され、その円筒状後部の内面に、縮径部材6
1及び隔壁7が圧入されている。また、前記収容筒6の
内面には、軸方向に延びる複数本のリブ62が設けら
れ、該リブ62によってインキ吸蔵体51の前端を当接
支持し、インキ吸蔵体51の脱落を防止している。
ポリプロピレン樹脂等)の射出成形よりなる円筒体であ
り、筒状の前部が、収容筒6の後部内面に圧入固着さ
れ、インキ吸蔵体51(インキ保持部)の後端部を縮径
するのに利用され、筒状の後部が、インキタンク3内に
突出し、インキ誘導部材9の後端の尖頭部材91を保持
している。前記筒状の後部には、インキタンク3とイン
キ誘導部材9を連通させ、且つ、インキタンク3内と隔
壁7後面とを連通させる横孔61aが設けられている。
また、前記筒状の前部と前記筒状の後部との間には、フ
ランジ部61bが連設され、それが収容筒6の後端と軸
筒4内面の段部とにより、軸方向に挟持されている。
ロピレン樹脂等)の射出成形体より得られる円板状非多
孔質体であり、前記縮径部材61内に圧入固着されてい
る。図3に示すように、前記縮径部材61の内面には複
数本(ここでは8本)の軸方向に延びる凹部41が等間
隔で設けられ、前記縮径部材61内面の凹部41を有す
る箇所に、前記隔壁7を圧入固着させると、隔壁7外面
と縮径部材61内面(すなわち凹部41)との間にスリ
ット状の隙間(すなわち連通孔8)が形成される。前記
連通孔8は、横断面形状が、径方向(すなわち求心方
向)の均一な間隙寸法Sを有する円弧状又は長方形状の
長孔(すなわちスリット)であり、その間隙寸法S(す
なわち径方向の溝幅)は、0.03mm〜0.08mm
に設定されている。また、前記隔壁7の軸心には、中心
孔71が貫設され、そこにインキ誘導部材9が圧入され
る。前記インキ誘導部材9の外面と前記中心孔71内面
とは、全周状に密接(すなわち連続周状に密接)し 前
記中心孔71が前記インキ誘導部材9によって塞がれて
いる。
(例えばポリエステル樹脂製の長手方向に引き揃えられ
た繊維束)の熱融着加工体からなるインキ吸蔵体51
(インキ保持部)が、その後端開口部より圧入される。
前記インキ吸蔵体51は、特に、その後端部が、前記縮
径部材61によって、径方向内方に圧縮され、そこに縮
径部51aが形成される。前記インキ吸蔵体51は、収
容筒6に圧入する以前は、直円筒状であり、全体に均一
な毛細間隙(即ち均一な毛細管力)を備えている。その
ため、インキ吸蔵体51後端の縮径部51aは、圧縮変
形によってインキ吸蔵体51の他の部分より強い毛細管
力を有する。前記縮径部51aにより、インキ吸蔵体5
1の後端部の毛細管力が増強され、それにより、ペン先
2下向きにしたとしても、インキ吸蔵体51の後端部
(すなわち縮径部51a)に常にインキを集中保持さ
せ、そこにインキタンク3減圧時の空気侵入を抑止する
インキバリアを形成することができる。
脂製繊維(例えばポリエステル繊維、アクリル繊維等)
の樹脂加工体からなる棒状のインキ誘導部材9が、イン
キ吸蔵体51の前方から後方へ突き刺し貫通させること
によって取り付けられ、インキ誘導部材9の外周面がイ
ンキ吸蔵体51の内周面と直接接触されている。特に、
インキ誘導部材9の外面は、インキ吸蔵体51後端部の
径方向外方から内方への圧縮変形よりなる縮径部51a
によって、インキ吸蔵体51の後端部内面と径方向に強
く密接している。それにより、インキ吸蔵体51とイン
キ誘導部材9のインキ接続を安定させるばかりか、イン
キ誘導部材9の軸筒4前方からの脱落を防止できる。
先2へインキを潤沢且つ円滑に供給するには、少なくと
も、インキ吸蔵体51の縮径部51a及び連通孔8の毛
細管力より強く設定される。また、前記インキ誘導部材
9の後端は、硬質な尖頭部材91が固着され、それによ
り、インキ吸蔵体51への突き刺し挿入性を向上させて
いる。また、前記インキ誘導部材9の前端は、適宜形状
に形成され、ペン先2として前方外部へ突出している。
明の第2実施例を示す。本実施例の直液式筆記具1は、
主に、複数の櫛歯53と鍔状の隔壁7とを一体に設けた
中間部材5と、該中間部材5が前部に装着され、その後
方にインキ(具体的には水性インキ)を収容するインキ
タンク3を形成した軸筒4と、前記中間部材5の中心孔
71に貫装され、後端をインキタンク3内に露出させ且
つ前端をペン先2として外部に突出させた第1実施例同
様のインキ誘導部材9とからなる。
BS樹脂等)の射出成形体であり、複数の円板状の櫛歯
53と、該櫛歯53群の後端の円板状の隔壁7とが一体
に形成されている。前記櫛歯53間には、複数の櫛溝
(インキ保持部51)が設けられる。また、前記櫛歯5
3には、従来公知の軸方向に延びるスリット状インキ誘
導溝54及び空気溝55が形成されている。
レン樹脂等)の射出成形により得られる円筒体であり、
その内周面には、軸方向の適宜長さの4本の凹部41が
等間隔に一体に形成される。そして、前記軸筒4内面の
凹部41を有する箇所に、前記中間部材5の円板状の隔
壁7を圧入固着し、それにより、軸筒4内面(すなわち
凹部41)と隔壁7外面との間に隙間(すなわち連通孔
8)が形成される(図6参照)。前記連通孔8の間隙寸
法Sは、0.1mm〜0.2mmに設定されている。
発明の第3実施例の直液式筆記具1を示す。本実施例
は、前記第2実施例の変形例であり、主に、複数の櫛歯
53と鍔状の隔壁7とを一体に設けた中間部材5と、該
中間部材5が前部に装着され、その後方にインキ(具体
的には水性インキ)を収容するインキタンク3を形成し
た軸筒4と、前記中間部材5の中心孔71に貫装され、
後端をインキタンク3内に露出させ且つ前端をペン先2
として外部に突出させた第1実施例同様のインキ誘導部
材9とからなる。
方向に長く延びる4本の凹部41が等間隔に一体に形成
されている。前記中間部材5を軸筒4の前部内面に圧入
させることにより、前記凹部41が、中間部材5の櫛歯
53外面及び鍔状隔壁7外面に接続されている。それに
より、前記凹部41と櫛歯53外面との間に、軸方向か
つ周方向に延びるスリット状のインキ誘導溝54(間隙
寸法S:0.1mm〜0.2mm)が形成され、前記凹
部41と鍔状隔壁7外面との間に、軸方向かつ周方向に
延びるスリット状の連通孔8(間隙寸法S:0.1mm
〜0.2mm)が形成される。
5)の中間部材5の径方向に延びるスリット状インキ誘
導溝54の代わりに、軸筒4内面に連通孔8を形成する
目的も兼ねた凹部41を一体に設け、櫛歯53外面と凹
部41との間に周方向に延びるインキ誘導溝54を形成
した。それにより、より一層、金型に肉薄部分を備え
ず、簡易な金型構造とすることができ、金型の耐久性の
向上と、金型の容易な製造とを可能にする。他の構成
は、第2実施例同様である。
成によって、従来の製造上の困難性を解消し、十分なイ
ンキ残留抑止性と円滑な空気取り込み性とを同時に満た
す適正な連通孔を、ばらつきのない高い精度で形成で
き、特に、小さい間隙寸法の連通孔が容易に得られる。
によって、肉薄部分を備えない簡易な金型構造となって
金型の耐久性が向上すると共に、十分なインキ残留抑止
性と円滑な空気取り込み性とを同時に満たす適正な連通
孔(特に、間隙寸法の極めて小さい連通孔)を、ばらつ
きのない高い精度で形成でき、また大量生産により安価
に製造することが可能となる。
によって、より一層、外部より空気をインキタンク内へ
スムーズに取り込むことが可能となると同時に、中間部
材内でのインキ残留の抑止が可能となる。
によって、インキ誘導部材による十分なインキ供給性能
と、連通孔による十分なインキ・空気交替性能とが同時
に満足され、円滑なインキ吐出が可能であり且つインキ
漏出事故がない直液式筆記具となる。
によって、中間部材が簡易な構造となり、安価に提供す
ることができる。
によって、合成樹脂の成形等によりインキ保持部の溝幅
を高精度にばらつきなく設定でき、インキ保持部の毛細
管力を適正な強さに確実かつ容易に設定可能である。
線拡大断面図である。
Claims (6)
- 【請求項1】ペン先(2)後方且つインキタンク(3)
前方の軸筒(4)内に中間部材(5)を装着し、前記中
間部材(5)が、前記インキタンク(3)内の圧力変化
に伴う溢出インキを一時的に保持するインキ保持部(5
1,52)を備え、前記インキ保持部(51,52)後
端に、前記インキ保持部(51,52)と前記インキタ
ンク(3)とを仕切る隔壁(7)を設け、前記インキ保
持部(51,52)と前記インキタンク(3)との間の
空気及びインキのやりとりをする連通孔(8)が前記隔
壁(7)を貫通してなる直液式筆記具であって、前記軸
筒(4)内面部に前記隔壁(7)外面部を圧入固着し、
前記軸筒(4)内面部と前記隔壁(7)外面部とにより
連通孔(8)を形成したことを特徴とする直液式筆記
具。 - 【請求項2】合成樹脂成形体よりなる軸筒(4)内面部
又は合成樹脂成形体よりなる隔壁(7)外面部に軸方向
に延びる凹部(41)を形成し、前記軸筒(4)内面部
に前記隔壁(7)外面部を圧入固着し、前記凹部(4
1)と前記隔壁(7)外面部との間又は前記凹部(4
1)と前記軸筒(4)内面部との間に、軸方向且つ周方
向に延びるスリット状の連通孔(8)を形成した請求項
1記載の直液式筆記具。 - 【請求項3】前記連通孔(8)の径方向の間隙寸法
(S)を、0.02mm〜0.25mmとした請求項1
又は2記載の直液式筆記具。 - 【請求項4】インキタンク(3)からペン先(2)へイ
ンキを供給するインキ誘導部材(9)を前記隔壁(7)
の中心孔(71)に固着し、前記インキ誘導部材(9)
外面と前記中心孔(71)内面とを全周状に密接させて
なる請求項1、2又は3記載の直液式筆記具。 - 【請求項5】前記中間部材(5)が多孔質材料からなる
インキ保持部(51)を備える請求項1、2、3又は4
記載の直液式筆記具。 - 【請求項6】前記中間部材(5)が複数の櫛歯(53)
間に形成した櫛溝からなるインキ保持部(52)を備え
る請求項1、2、3又は4記載の直液式筆記具。
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