JP2000006301A - 透明ガスバリア性フィルムおよびその製造方法および包装体 - Google Patents
透明ガスバリア性フィルムおよびその製造方法および包装体Info
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- JP2000006301A JP2000006301A JP10180842A JP18084298A JP2000006301A JP 2000006301 A JP2000006301 A JP 2000006301A JP 10180842 A JP10180842 A JP 10180842A JP 18084298 A JP18084298 A JP 18084298A JP 2000006301 A JP2000006301 A JP 2000006301A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】引張り等の応力に対してもバリア層の割れを抑
制し、初期の高いバリア性を維持することが出来る透明
ガスバリア性フィルムを提供する。 【解決手段】透明な高分子樹脂組成物からなる基材フィ
ルムの少なくとも片面に、珪素酸化物を主成分とするバ
リア層を形成してなる透明ガスバリア性フィルムにおい
て、該バリア層の厚さ方向に炭素が均一に分布している
ことを特徴とする透明ガスバリア性フィルムを提供す
る。
制し、初期の高いバリア性を維持することが出来る透明
ガスバリア性フィルムを提供する。 【解決手段】透明な高分子樹脂組成物からなる基材フィ
ルムの少なくとも片面に、珪素酸化物を主成分とするバ
リア層を形成してなる透明ガスバリア性フィルムにおい
て、該バリア層の厚さ方向に炭素が均一に分布している
ことを特徴とする透明ガスバリア性フィルムを提供す
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明な高分子樹脂
組成物からなる基材フィルム上に、PVD法やCVD法
によってバリア層を設けた透明ガスバリア性フィルムお
よびその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、
食品や医薬品等の実包装に適するように、高度のバリア
性と柔軟性とを併せ持った透明ガスバリア性フィルムお
よびその製造方法および包装体に関するものである。
組成物からなる基材フィルム上に、PVD法やCVD法
によってバリア層を設けた透明ガスバリア性フィルムお
よびその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、
食品や医薬品等の実包装に適するように、高度のバリア
性と柔軟性とを併せ持った透明ガスバリア性フィルムお
よびその製造方法および包装体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、PVD法やCVDによって珪素酸
化物からなるバリア層を透明な高分子樹脂組成物からな
る基材フィルム上に設けた珪素酸化物積層フィルムは、
その優れたバリア性と透明性から、食品や医薬品等の包
装材料として好適に用いられてきた。さらに最近では、
PVDCなどの塩素系バリア材が環境上の問題から忌避
されていることとも相まって、珪素酸化物積層フィルム
に対する期待度は増大しつつある。
化物からなるバリア層を透明な高分子樹脂組成物からな
る基材フィルム上に設けた珪素酸化物積層フィルムは、
その優れたバリア性と透明性から、食品や医薬品等の包
装材料として好適に用いられてきた。さらに最近では、
PVDCなどの塩素系バリア材が環境上の問題から忌避
されていることとも相まって、珪素酸化物積層フィルム
に対する期待度は増大しつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような珪
素酸化物積層フィルムにも問題点があった。それは珪素
酸化物層が緻密になりすぎると積層フィルム自身のガス
バリア性は優れたものになるものの、珪素酸化物層の柔
軟性が低いため、印刷やラミネート等を行って実用的な
包装体に加工する過程や内容物の充填、あるいは包装後
の取り扱いにおいて、珪素酸化物層に割れが発生し、初
期の優れたバリア性を維持出来ないという問題であり、
そのため珪素酸化物層上に別途保護コ−ト層を設けた
り、折り曲げ等の過度の応力がかかる用途には使用出来
ないといった制限があった。
素酸化物積層フィルムにも問題点があった。それは珪素
酸化物層が緻密になりすぎると積層フィルム自身のガス
バリア性は優れたものになるものの、珪素酸化物層の柔
軟性が低いため、印刷やラミネート等を行って実用的な
包装体に加工する過程や内容物の充填、あるいは包装後
の取り扱いにおいて、珪素酸化物層に割れが発生し、初
期の優れたバリア性を維持出来ないという問題であり、
そのため珪素酸化物層上に別途保護コ−ト層を設けた
り、折り曲げ等の過度の応力がかかる用途には使用出来
ないといった制限があった。
【0004】本発明は上記のような問題点を克服するた
めになされたもので、引張り等の応力に対してもバリア
層の割れを抑制し、初期の高いバリア性を維持すること
が出来る透明ガスバリア性フィルムを提供するものであ
る。
めになされたもので、引張り等の応力に対してもバリア
層の割れを抑制し、初期の高いバリア性を維持すること
が出来る透明ガスバリア性フィルムを提供するものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記のような目的を達成
するため、本発明請求項1に記載の透明ガスバリア性フ
ィルムは、高分子樹脂組成物からなる透明な基材フィル
ム上に設けた珪素酸化物を主成分とするバリア層の厚さ
方向に均一に炭素を分布せしめることを特徴としたもの
である。緻密で高いバリア性を有する反面、柔軟性に欠
ける珪素酸化物からなる膜中に、柔軟性に富む有機成分
を均一に分布せしめることで、高度のバリア性と柔軟性
とを併せ持たせた。
するため、本発明請求項1に記載の透明ガスバリア性フ
ィルムは、高分子樹脂組成物からなる透明な基材フィル
ム上に設けた珪素酸化物を主成分とするバリア層の厚さ
方向に均一に炭素を分布せしめることを特徴としたもの
である。緻密で高いバリア性を有する反面、柔軟性に欠
ける珪素酸化物からなる膜中に、柔軟性に富む有機成分
を均一に分布せしめることで、高度のバリア性と柔軟性
とを併せ持たせた。
【0006】また請求項2に記載の透明ガスバリア性フ
ィルムの製造方法は、まず珪素酸化物の真空蒸着層を形
成し、次いで少なくとも有機珪素化合物の蒸気と酸素ガ
スとを用いたCVD法によって、炭素を含有する酸化珪
素化合物を該珪素酸化物の真空蒸着層の厚さ方向に均一
に分布せしめる、といった逐次的にバリア層を形成する
ことを特徴としたものである。
ィルムの製造方法は、まず珪素酸化物の真空蒸着層を形
成し、次いで少なくとも有機珪素化合物の蒸気と酸素ガ
スとを用いたCVD法によって、炭素を含有する酸化珪
素化合物を該珪素酸化物の真空蒸着層の厚さ方向に均一
に分布せしめる、といった逐次的にバリア層を形成する
ことを特徴としたものである。
【0007】請求項3に記載の透明ガスバリア性フィル
ムの製造方法は、高分子樹脂組成物からなる透明な基材
フィルム上への珪素酸化物の真空蒸着層の形成を非酸化
性ガス雰囲気中で行うことを特徴としたものである。珪
素酸化物の真空蒸着を非酸化性ガスの存在下で行うこと
で、該珪素酸化物層中に極めて微細な隙間(ポア)を均
一に形成することが出来た。またこの微細なポア中に有
機成分を含有する酸化珪素化合物を埋め込む際に、少な
くとも有機珪素化合物の蒸気と酸素ガスとを用いたCV
D法を用いることによって、均一に埋め込む事が出来、
バリア層の厚さ方向に均一に炭素を分布せしめることが
出来た。
ムの製造方法は、高分子樹脂組成物からなる透明な基材
フィルム上への珪素酸化物の真空蒸着層の形成を非酸化
性ガス雰囲気中で行うことを特徴としたものである。珪
素酸化物の真空蒸着を非酸化性ガスの存在下で行うこと
で、該珪素酸化物層中に極めて微細な隙間(ポア)を均
一に形成することが出来た。またこの微細なポア中に有
機成分を含有する酸化珪素化合物を埋め込む際に、少な
くとも有機珪素化合物の蒸気と酸素ガスとを用いたCV
D法を用いることによって、均一に埋め込む事が出来、
バリア層の厚さ方向に均一に炭素を分布せしめることが
出来た。
【0008】更に請求項4に記載の透明ガスバリア性フ
ィルムの製造方法は、該非酸化性ガスをヘリウムガスと
したもので、ガス分子径が小さく、不活性のヘリウムガ
スを用いることで、該珪素酸化物層中に設ける極めて微
細な隙間(ポア)の大きさや数(量)の制御を容易にし
たものである。
ィルムの製造方法は、該非酸化性ガスをヘリウムガスと
したもので、ガス分子径が小さく、不活性のヘリウムガ
スを用いることで、該珪素酸化物層中に設ける極めて微
細な隙間(ポア)の大きさや数(量)の制御を容易にし
たものである。
【0009】請求項5に記載の透明ガスバリア性フィル
ムは、請求項1の透明ガスバリア性フィルムのバリア層
の上に更にヒートシール層が設けられている事を特徴と
する透明ガスバリア性フィルムである。請求項1の透明
ガスバリア性フィルムを用いることによりラミネート時
の欠陥発生を最小限に抑える事ができる。
ムは、請求項1の透明ガスバリア性フィルムのバリア層
の上に更にヒートシール層が設けられている事を特徴と
する透明ガスバリア性フィルムである。請求項1の透明
ガスバリア性フィルムを用いることによりラミネート時
の欠陥発生を最小限に抑える事ができる。
【0010】請求項6に記載の透明ガスバリア性フィル
ムは、請求項1または請求項5の透明ガスバリア性フィ
ルムのバリア層の反対側の基材フィルムに接着層を介
し、もしくは介さず支持基材層が設けられている事を特
徴とする透明ガスバリア性フィルムである。請求項1の
透明ガスバリア性フィルムを用いることによりラミネー
ト時の欠陥発生を最小限に抑える事ができる。
ムは、請求項1または請求項5の透明ガスバリア性フィ
ルムのバリア層の反対側の基材フィルムに接着層を介
し、もしくは介さず支持基材層が設けられている事を特
徴とする透明ガスバリア性フィルムである。請求項1の
透明ガスバリア性フィルムを用いることによりラミネー
ト時の欠陥発生を最小限に抑える事ができる。
【0011】請求項7に記載の透明ガスバリア性フィル
ムは、請求項1または請求項5または請求項6の透明ガ
スバリア性フィルムを用いて製袋されて、必要に応じて
印刷が施されている事を特徴とする包装体である。請求
項1の透明ガスバリア性フィルムを用いることにより欠
陥が発生しにくい包装体となるとともに、内容物のガス
バリアによる製品の劣化を最小限に抑える事ができる。
ムは、請求項1または請求項5または請求項6の透明ガ
スバリア性フィルムを用いて製袋されて、必要に応じて
印刷が施されている事を特徴とする包装体である。請求
項1の透明ガスバリア性フィルムを用いることにより欠
陥が発生しにくい包装体となるとともに、内容物のガス
バリアによる製品の劣化を最小限に抑える事ができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態について説明する。
態について説明する。
【0013】本発明において用いられる高分子樹脂から
なる透明な基材フィルムとしては、通常包装用フィルム
として良く用いられる透明な高分子フィルム、例えば、
ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリ
プロピレン(OPP)、二軸延伸ナイロン(ONy)等
機械的強度、寸法安定性を有するものであり、平滑性が
優れ、且つ添加剤の量が少ないフィルムが好ましい。ま
た、この透明な高分子フィルムの表面に、バリア層との
密着性を良くするための前処理として、コロナ処理、低
温プラズマ処理、イオンボンバード処理等が施されてい
ても良く、さらに薬品処理、溶剤処理等が施されていて
も良い。また、その厚さは特に制限されるものではない
が、包装用フィルムとしての適性、バリア層を形成する
場合の加工性を考慮すると、5〜100μmの範囲が好
ましいと言える。また、量産性を考慮すれば、珪素酸化
物層の真空蒸着による形成および少なくとも有機珪素化
合物と酸素ガスとを用いたCVDが連続的に出来るよう
に、長尺状フィルムを用いることが望ましい。
なる透明な基材フィルムとしては、通常包装用フィルム
として良く用いられる透明な高分子フィルム、例えば、
ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリ
プロピレン(OPP)、二軸延伸ナイロン(ONy)等
機械的強度、寸法安定性を有するものであり、平滑性が
優れ、且つ添加剤の量が少ないフィルムが好ましい。ま
た、この透明な高分子フィルムの表面に、バリア層との
密着性を良くするための前処理として、コロナ処理、低
温プラズマ処理、イオンボンバード処理等が施されてい
ても良く、さらに薬品処理、溶剤処理等が施されていて
も良い。また、その厚さは特に制限されるものではない
が、包装用フィルムとしての適性、バリア層を形成する
場合の加工性を考慮すると、5〜100μmの範囲が好
ましいと言える。また、量産性を考慮すれば、珪素酸化
物層の真空蒸着による形成および少なくとも有機珪素化
合物と酸素ガスとを用いたCVDが連続的に出来るよう
に、長尺状フィルムを用いることが望ましい。
【0014】上記のような高分子樹脂からなる透明な基
材フィルム上に、まず珪素酸化物層を真空蒸着法によっ
て形成する。この真空蒸着法によって形成される珪素酸
化物層はその構造中に均一で微細な隙間(ポア)を有す
るもので、その製造条件は広範囲に選択が可能である。
しかし、次工程のCVDの反応生成物によってこのポア
を埋めることを考慮すると、このポア表面の化学的反応
性が良い方が好都合である。そのため、珪素酸化物の真
空蒸着層の形成を非酸化性ガス雰囲気中、中でも分子径
が小さいヘリウムガス中で行うことが特に好ましい。
材フィルム上に、まず珪素酸化物層を真空蒸着法によっ
て形成する。この真空蒸着法によって形成される珪素酸
化物層はその構造中に均一で微細な隙間(ポア)を有す
るもので、その製造条件は広範囲に選択が可能である。
しかし、次工程のCVDの反応生成物によってこのポア
を埋めることを考慮すると、このポア表面の化学的反応
性が良い方が好都合である。そのため、珪素酸化物の真
空蒸着層の形成を非酸化性ガス雰囲気中、中でも分子径
が小さいヘリウムガス中で行うことが特に好ましい。
【0015】図2は本発明における珪素酸化物層の形成
に係わる真空蒸着装置の一例を示したものである。真空
蒸着装置はチャンバー1、チャンバー内に配設された供
給ロール2、巻取りロール3、冷却ロール4、補助ロー
ル5、坩堝6、電子銃7、偏向コイル8、非酸化性ガス
供給パイプ9等からなっており、不活性ガス供給パイプ
9上の供給口(図示せず)は坩堝6と冷却ロール4との
間に配置されている。まず供給ロール2に長尺状にした
基材フィルムのロールを装着し、補助ロ−ル5、冷却ロ
ール4、補助ロール5を経由して巻取りロール3に至る
原反搬送パスを形成する。また坩堝6中には蒸着原料1
3を入れ、チャンバーの蓋(図示せず)を閉じた後、内
部を真空ポンプ10により10-3Torr以下、好まし
くは10 -4Torr以下の圧力まで減圧することが好ま
しい。
に係わる真空蒸着装置の一例を示したものである。真空
蒸着装置はチャンバー1、チャンバー内に配設された供
給ロール2、巻取りロール3、冷却ロール4、補助ロー
ル5、坩堝6、電子銃7、偏向コイル8、非酸化性ガス
供給パイプ9等からなっており、不活性ガス供給パイプ
9上の供給口(図示せず)は坩堝6と冷却ロール4との
間に配置されている。まず供給ロール2に長尺状にした
基材フィルムのロールを装着し、補助ロ−ル5、冷却ロ
ール4、補助ロール5を経由して巻取りロール3に至る
原反搬送パスを形成する。また坩堝6中には蒸着原料1
3を入れ、チャンバーの蓋(図示せず)を閉じた後、内
部を真空ポンプ10により10-3Torr以下、好まし
くは10 -4Torr以下の圧力まで減圧することが好ま
しい。
【0016】この圧力が10-3Torrより高いとチャ
ンバー内の残留ガス(主としてH2O)が多く、非酸化
性ガスによるポアの形成とその制御に支障をきたすこと
があるためである。次に電子銃7から電子線を坩堝6内
の蒸着原料に照射して原料表面を蒸気化させるととも
に、ヘリウム等の悲酸化性ガスをボンベ11から流量調
整器12、不活性ガス供給パイプ9を通じてチャンバー
内に供給する。また同時に基材フィルムを供給ロール2
から巻取りロール3に向かって走行させ、その上に冷却
ロール4の下部において珪素酸化物層を連続的に形成さ
せた後、巻取りロール3によって巻き上げる。
ンバー内の残留ガス(主としてH2O)が多く、非酸化
性ガスによるポアの形成とその制御に支障をきたすこと
があるためである。次に電子銃7から電子線を坩堝6内
の蒸着原料に照射して原料表面を蒸気化させるととも
に、ヘリウム等の悲酸化性ガスをボンベ11から流量調
整器12、不活性ガス供給パイプ9を通じてチャンバー
内に供給する。また同時に基材フィルムを供給ロール2
から巻取りロール3に向かって走行させ、その上に冷却
ロール4の下部において珪素酸化物層を連続的に形成さ
せた後、巻取りロール3によって巻き上げる。
【0017】チャンバー内に供給する非酸化性ガスの種
類と量は、目的とするポアの数(量)、大きさ、巻取り
速度および用いる真空蒸着装置等によって異なってくる
が、蒸発原料の蒸発速度に対し、非酸化性ガスの供給速
度がモル換算比で0.15〜1.0であることが望まし
い。
類と量は、目的とするポアの数(量)、大きさ、巻取り
速度および用いる真空蒸着装置等によって異なってくる
が、蒸発原料の蒸発速度に対し、非酸化性ガスの供給速
度がモル換算比で0.15〜1.0であることが望まし
い。
【0018】この比が0.15より小さいと珪素酸化物
の蒸気量に対して非酸化性ガスの量が少ないために、珪
素酸化物中に有効なポアを形成出来ない場合が生じる。
の蒸気量に対して非酸化性ガスの量が少ないために、珪
素酸化物中に有効なポアを形成出来ない場合が生じる。
【0019】反対に1.0以上であると珪素酸化物の蒸
気量に対して非酸化性ガス量が多すぎるため、珪素酸化
物の真空蒸着層の形成に続いてCVDを行った後でさ
え、得られたフィルムのガスバリア性が低くなるためで
ある。
気量に対して非酸化性ガス量が多すぎるため、珪素酸化
物の真空蒸着層の形成に続いてCVDを行った後でさ
え、得られたフィルムのガスバリア性が低くなるためで
ある。
【0020】次に少なくとも有機珪素化合物の蒸気と酸
素ガスとを用いたCVD法によって、炭素を含有する酸
化珪素化合物を前記珪素酸化物の真空蒸着層の厚さ方向
に均一に分布させる方法について説明する。
素ガスとを用いたCVD法によって、炭素を含有する酸
化珪素化合物を前記珪素酸化物の真空蒸着層の厚さ方向
に均一に分布させる方法について説明する。
【0021】図3は本発明を実施する為に用いられるC
VD装置の一例を示したものである。CVD装置はチャ
ンバー21、真空ポンプ30、および原料ガス供給部4
0とからなっており、チャンバー内には供給ロール2
2、巻取りロール23、冷却ロール24、補助ロール2
5、電極26が配設され、原料ガス供給部は、酸素ガス
ボンベ41、酸素ガス用流量調整器42、有機珪素化合
物原料43を入れた原料加熱装置44、有機珪素化合物
蒸気用流量調整器45、ガス混合器46、およびこれら
を結ぶガスパイプ29からなっている。電極26には原
料ガスを電極と接地された冷却ロール24との間の空間
に供給出来るようにガス吹き出し口(図示せず)があ
り、またこの空間内でプラズマを発生、維持するための
磁石(図示せず)が具備されている。
VD装置の一例を示したものである。CVD装置はチャ
ンバー21、真空ポンプ30、および原料ガス供給部4
0とからなっており、チャンバー内には供給ロール2
2、巻取りロール23、冷却ロール24、補助ロール2
5、電極26が配設され、原料ガス供給部は、酸素ガス
ボンベ41、酸素ガス用流量調整器42、有機珪素化合
物原料43を入れた原料加熱装置44、有機珪素化合物
蒸気用流量調整器45、ガス混合器46、およびこれら
を結ぶガスパイプ29からなっている。電極26には原
料ガスを電極と接地された冷却ロール24との間の空間
に供給出来るようにガス吹き出し口(図示せず)があ
り、またこの空間内でプラズマを発生、維持するための
磁石(図示せず)が具備されている。
【0022】上記に例示したような真空蒸着において、
微細なポアを均一に有する珪素酸化物層を設けた長尺状
のフィルムロールを、前記真空蒸着装置の巻取りロール
3からCVD装置の供給ロール22に移し、真空蒸着の
場合と同様に、補助ロール25、冷却ロール24、補助
ロール25を経由して巻取りロール23に至る原反搬送
パスを形成した後、チャンバーの蓋(図示せず)を閉
じ、内部を真空ポンプ30により10-3Torr以下、
好ましくは10-4Torr以下の圧力まで減圧する。
微細なポアを均一に有する珪素酸化物層を設けた長尺状
のフィルムロールを、前記真空蒸着装置の巻取りロール
3からCVD装置の供給ロール22に移し、真空蒸着の
場合と同様に、補助ロール25、冷却ロール24、補助
ロール25を経由して巻取りロール23に至る原反搬送
パスを形成した後、チャンバーの蓋(図示せず)を閉
じ、内部を真空ポンプ30により10-3Torr以下、
好ましくは10-4Torr以下の圧力まで減圧する。
【0023】次に原料加熱装置44によって加熱、蒸気
化した有機珪素化合物原料43を、所定の比率で酸素ガ
スと混合し、冷却ロール24と電極26との間の空間に
供給するのと同時に、電極に高周波電圧を加えてプラズ
マを発生させ、原反フィルムを搬送させて連続的に有機
珪素化合物蒸気と酸素ガスとの反応生成物を付着させ
て、巻取りロール23によって巻き上げる。
化した有機珪素化合物原料43を、所定の比率で酸素ガ
スと混合し、冷却ロール24と電極26との間の空間に
供給するのと同時に、電極に高周波電圧を加えてプラズ
マを発生させ、原反フィルムを搬送させて連続的に有機
珪素化合物蒸気と酸素ガスとの反応生成物を付着させ
て、巻取りロール23によって巻き上げる。
【0024】図3には有機珪素化合物蒸気と酸素ガスの
供給系のみを示したが、この他プラズマの発生、維持を
より容易にするためのヘリウムガスやアルゴンガスを供
給したり、2種類以上の有機珪素化合物蒸気を供給する
こともあり、その場合にはそれぞれのガスや蒸気の供給
系を併設することもある。
供給系のみを示したが、この他プラズマの発生、維持を
より容易にするためのヘリウムガスやアルゴンガスを供
給したり、2種類以上の有機珪素化合物蒸気を供給する
こともあり、その場合にはそれぞれのガスや蒸気の供給
系を併設することもある。
【0025】本発明で用いられる有機珪素化合物として
は、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシ
ラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシ
シラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキ
シシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシ
ラン、ノルマルプロピルトリメトキシシラン、ノルマル
ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシ
ラン、ノルマルヘキシルトリメトキシシラン、ビニルト
リメトキシシラン、テトラメチルジシロキサン、ヘキサ
メチルジシロキサン等である。
は、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシ
ラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシ
シラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキ
シシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシ
ラン、ノルマルプロピルトリメトキシシラン、ノルマル
ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシ
ラン、ノルマルヘキシルトリメトキシシラン、ビニルト
リメトキシシラン、テトラメチルジシロキサン、ヘキサ
メチルジシロキサン等である。
【0026】少なくとも上記のような有機珪素化合物の
蒸気と酸素ガスとを用いてCVDを行う場合、そのCV
D条件によって反応生成物の組成や緻密性等の性質が異
なってくる。
蒸気と酸素ガスとを用いてCVDを行う場合、そのCV
D条件によって反応生成物の組成や緻密性等の性質が異
なってくる。
【0027】本発明においては、CVDによる反応生成
物自身が重合、固化する必要は無く、また単独で膜化す
るほどの量である必要もない。
物自身が重合、固化する必要は無く、また単独で膜化す
るほどの量である必要もない。
【0028】本発明において重要なことは、反応生成物
中に炭素が残存していることと真空蒸着によって形成さ
れた酸化珪素層中のポアに反応生成物が均一に入って行
けることであり、酸化珪素の真空蒸着層等に合わせて適
切なCVD条件を選択することである。
中に炭素が残存していることと真空蒸着によって形成さ
れた酸化珪素層中のポアに反応生成物が均一に入って行
けることであり、酸化珪素の真空蒸着層等に合わせて適
切なCVD条件を選択することである。
【0029】ここではCVDとしていわゆる低温プラズ
マCVDを例示し、その方法と装置について説明した
が、本発明におけるCVDは、特に低温プラズマCVD
に限定されるものではない。
マCVDを例示し、その方法と装置について説明した
が、本発明におけるCVDは、特に低温プラズマCVD
に限定されるものではない。
【0030】出来上がった透明ガスバリア性フィルム
は、図1に示した様に、基材フィルムの上にバリア層が
積層されている構造となっている。
は、図1に示した様に、基材フィルムの上にバリア層が
積層されている構造となっている。
【0031】上記のようにして得られた透明ガスバリア
性フィルムの評価には以下の方法を用いた。
性フィルムの評価には以下の方法を用いた。
【0032】〔組成分析〕島津製作所製のESCA32
00を用い、Arイオンによるエッチングと測定とを繰
り返すことによって、得られた透明ガスバリア性フィル
ムの表面から基材フィルムとの界面の間でのO1S,C
1S,Si2Pの比を求めた。
00を用い、Arイオンによるエッチングと測定とを繰
り返すことによって、得られた透明ガスバリア性フィル
ムの表面から基材フィルムとの界面の間でのO1S,C
1S,Si2Pの比を求めた。
【0033】〔ガスバリア性〕 ・酸素ガスバリア性 MOCON社製のOXTRAN 10/50Aを用い、
30℃,70%RHの条件の下で測定した。 ・水蒸気バリア性 MOCON社製のPERMATRAN W6を用い、4
0℃,90%RHの条件の下で測定した。
30℃,70%RHの条件の下で測定した。 ・水蒸気バリア性 MOCON社製のPERMATRAN W6を用い、4
0℃,90%RHの条件の下で測定した。
【0034】〔引張り耐性〕得られた透明ガスバリア性
フィルムを長さ30cm、幅14cmに切り出し、長さ
方向に低速で所定の歪み(3%,6%)まで引張った
後、元に戻して酸素ガスバリア性と水蒸気バリア性を測
定した。
フィルムを長さ30cm、幅14cmに切り出し、長さ
方向に低速で所定の歪み(3%,6%)まで引張った
後、元に戻して酸素ガスバリア性と水蒸気バリア性を測
定した。
【0035】本発明のバリア層側、基材フィルム側の少
なくとも一方に以下に示すヒートシール可能な熱可塑性
材料であるシーラント材料を必要に応じてバリアー性接
着剤を介してラミネートしてヒートシール性樹脂として
用いることができる。
なくとも一方に以下に示すヒートシール可能な熱可塑性
材料であるシーラント材料を必要に応じてバリアー性接
着剤を介してラミネートしてヒートシール性樹脂として
用いることができる。
【0036】具体的には、ポリエチレン、無伸延のポリ
プロピレン等が例示できる。
プロピレン等が例示できる。
【0037】ヒートシール性樹脂の厚みとしては、用度
により最適厚みは異なるが、10〜100μmの範囲で
あり、好ましくは15〜60μmである。
により最適厚みは異なるが、10〜100μmの範囲で
あり、好ましくは15〜60μmである。
【0038】ヒートシール性樹脂のヒートシール温度と
しては、用いる材料により適宜選択することができる
が、150℃〜230℃の温度範囲でヒートシールでき
る。このヒートシール性樹脂をバリア層上に形成する方
法としては、特に限定するものではなく、コーターによ
るコーティングや押し出しコーティング溶融フィルムを
接着剤を介して積層する方法等が例示できる。
しては、用いる材料により適宜選択することができる
が、150℃〜230℃の温度範囲でヒートシールでき
る。このヒートシール性樹脂をバリア層上に形成する方
法としては、特に限定するものではなく、コーターによ
るコーティングや押し出しコーティング溶融フィルムを
接着剤を介して積層する方法等が例示できる。
【0039】支持基材層は、紙、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート
等の基材を用いる事ができる。その厚みについては10
〜200μmの範囲であって特に限定するものではな
い。
ロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート
等の基材を用いる事ができる。その厚みについては10
〜200μmの範囲であって特に限定するものではな
い。
【0040】そして、印刷は直接透明ガスバリアー性フ
ィルム自体に行なってもよいが、上記支持基材層に設け
るものであってもよく、印刷は全面に行なうものでも、
一部に行なうものでも、全く行なわないものでも良い。
ィルム自体に行なってもよいが、上記支持基材層に設け
るものであってもよく、印刷は全面に行なうものでも、
一部に行なうものでも、全く行なわないものでも良い。
【0041】
【実施例】次に具体的な実施例を示し、本発明を更に詳
細に説明する。 〔実施例1〕まず基材フィルムとして厚さ12μmのポ
リエチレンテレフタレ−ト(PET)の長尺状フィルム
のロールを真空蒸着装置の供給ロールに装着した後、真
空蒸着装置のチャンバー内部を1×10-5Torrまで
減圧した。
細に説明する。 〔実施例1〕まず基材フィルムとして厚さ12μmのポ
リエチレンテレフタレ−ト(PET)の長尺状フィルム
のロールを真空蒸着装置の供給ロールに装着した後、真
空蒸着装置のチャンバー内部を1×10-5Torrまで
減圧した。
【0042】次に、電子銃に15kwの電力を供給して
発生させた電子線を、偏向コイルによって坩堝内の蒸着
原料(30〜50mmの塊状の一酸化珪素)に照射さ
せ、蒸着原料を加熱、蒸発させるとともに、ガス導入パ
イプを通じてヘリウムガスを酸化珪素の蒸発速度に対し
て0.15の割合で導入した。
発生させた電子線を、偏向コイルによって坩堝内の蒸着
原料(30〜50mmの塊状の一酸化珪素)に照射さ
せ、蒸着原料を加熱、蒸発させるとともに、ガス導入パ
イプを通じてヘリウムガスを酸化珪素の蒸発速度に対し
て0.15の割合で導入した。
【0043】この時の酸化珪素の蒸発速度は、ある一定
時間における蒸着前後の蒸着原料の重量変化から予め求
めていた値を用いた。次に基材のPETフィルムを2m
/minの速度で搬送し、上記蒸着雰囲気中の曝すこと
によって、ポアを含む珪素酸化物層を形成した。
時間における蒸着前後の蒸着原料の重量変化から予め求
めていた値を用いた。次に基材のPETフィルムを2m
/minの速度で搬送し、上記蒸着雰囲気中の曝すこと
によって、ポアを含む珪素酸化物層を形成した。
【0044】続いて、このポアを含有する珪素酸化物層
を設けたPETフィルムロールをCVD装置の供給ロ−
ルに再装着し、CVD装置のチャンバー内を3×10-5
Torrまで減圧した。
を設けたPETフィルムロールをCVD装置の供給ロ−
ルに再装着し、CVD装置のチャンバー内を3×10-5
Torrまで減圧した。
【0045】一方有機珪素化合物としてヘキサメチルジ
シロキサンを原料加熱装置によって加熱、気化させ50
cc/minの流量に調整し、1000cc/minの
酸素ガスとガス混合器内で混合した後、電極表面の供給
口からチャンバー内へ導入した。同時に電極に5kwの
高周波電圧を印加し、電極と冷却ロールとの間の空間に
プラズマを発生させた。
シロキサンを原料加熱装置によって加熱、気化させ50
cc/minの流量に調整し、1000cc/minの
酸素ガスとガス混合器内で混合した後、電極表面の供給
口からチャンバー内へ導入した。同時に電極に5kwの
高周波電圧を印加し、電極と冷却ロールとの間の空間に
プラズマを発生させた。
【0046】その後原反を供給ロールから10m/mi
nの速度で搬送させ、冷却ロール上で、ヘキサメチルジ
シロキサンと酸素との反応生成物を珪素酸化物の真空蒸
着層中に設け、巻取りロールによって巻取り、透明ガス
バリア性フィルムを得た。
nの速度で搬送させ、冷却ロール上で、ヘキサメチルジ
シロキサンと酸素との反応生成物を珪素酸化物の真空蒸
着層中に設け、巻取りロールによって巻取り、透明ガス
バリア性フィルムを得た。
【0047】この透明ガスバリア性フィルムの組成(炭
素含有率(原子数%))を前記の方法で測定したとこ
ろ、図4に示したように、厚さ方向に約15%の炭素が
ほぼ均一に分布していることが分かった。
素含有率(原子数%))を前記の方法で測定したとこ
ろ、図4に示したように、厚さ方向に約15%の炭素が
ほぼ均一に分布していることが分かった。
【0048】図4において、エッチング時間0minで
炭素量が多いのは、最表面に付着している汚染炭素(炭
化水素)によるものであり、エッチング時間9min以
降で再び炭素量が多くなっているのは基材のPETフィ
ルム中に含まれている炭素の影響である。従ってこれら
の間、すなわちエッチング時間で0.5minから8.
5minまでがバリア層中の炭素量を表していることに
なる。またガスバリア性および引張り耐性の測定結果の
測定結果を表1に示した。これより、6%まで引張った
後でさえ、初期のガス遮断性が良く維持されていること
が分かる。
炭素量が多いのは、最表面に付着している汚染炭素(炭
化水素)によるものであり、エッチング時間9min以
降で再び炭素量が多くなっているのは基材のPETフィ
ルム中に含まれている炭素の影響である。従ってこれら
の間、すなわちエッチング時間で0.5minから8.
5minまでがバリア層中の炭素量を表していることに
なる。またガスバリア性および引張り耐性の測定結果の
測定結果を表1に示した。これより、6%まで引張った
後でさえ、初期のガス遮断性が良く維持されていること
が分かる。
【0049】〔比較例1〕実施例1の真空蒸着による珪
素酸化物層の形成において、ヘリウムガスを導入せずに
行い、その後のCVDは実施例1と同様に行ったものを
比較例1とする。
素酸化物層の形成において、ヘリウムガスを導入せずに
行い、その後のCVDは実施例1と同様に行ったものを
比較例1とする。
【0050】このフィルムについての炭素含有量分布も
図4に示した。実施例1と異なって、炭素は表面近く
(エッチング時間2min以内)に多く存在したが、そ
れより内部には殆ど存在していないことが分かった。
図4に示した。実施例1と異なって、炭素は表面近く
(エッチング時間2min以内)に多く存在したが、そ
れより内部には殆ど存在していないことが分かった。
【0051】これは、真空蒸着層の形成においてヘリウ
ムガスを導入しなかったため、珪素酸化物層中にポアが
殆ど存在せず、CVDによる反応生成物がその内部に入
っていけなかったためと考えられる。
ムガスを導入しなかったため、珪素酸化物層中にポアが
殆ど存在せず、CVDによる反応生成物がその内部に入
っていけなかったためと考えられる。
【0052】また、このフィルムのガスバリア性と引張
り耐性の測定結果についても表1中に示した。表1よ
り、初期のガスバリア性に関しては実施例1と同様に優
れているものの、引張りによって急激にガスバリア性が
低下していることが分かる。
り耐性の測定結果についても表1中に示した。表1よ
り、初期のガスバリア性に関しては実施例1と同様に優
れているものの、引張りによって急激にガスバリア性が
低下していることが分かる。
【0053】
【表1】
【0054】表1の註釈は以下の通り。 ※この表において蒸着の欄のHe/SiOxは珪素酸化
物の真空蒸着におけるHeガスの導入量と珪素酸化物の
蒸発量とのモル比を表している。 ※またCVDの欄のHMDSOとO2 はそれぞれCVD
におけるヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)と酸
素ガスの導入量(cc/min)を表している。 ※OTR、WVTRはそれぞれ酸素ガス透過率(cc/
m2 ・day・atm)、水蒸気透過率(g/m2 ・d
ay)を表している。
物の真空蒸着におけるHeガスの導入量と珪素酸化物の
蒸発量とのモル比を表している。 ※またCVDの欄のHMDSOとO2 はそれぞれCVD
におけるヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)と酸
素ガスの導入量(cc/min)を表している。 ※OTR、WVTRはそれぞれ酸素ガス透過率(cc/
m2 ・day・atm)、水蒸気透過率(g/m2 ・d
ay)を表している。
【0055】〔実施例2〜4〕実施例1において、真空
蒸着中に導入するヘリウムガス量を珪素酸化物の蒸発量
に対して0.50としたものを実施例2、1.0とした
ものを実施例3、またCVDにおいて導入するヘキサメ
チルジシロキサン量を100cc/minとしたものを
実施例3とした。
蒸着中に導入するヘリウムガス量を珪素酸化物の蒸発量
に対して0.50としたものを実施例2、1.0とした
ものを実施例3、またCVDにおいて導入するヘキサメ
チルジシロキサン量を100cc/minとしたものを
実施例3とした。
【0056】これらについての炭素含有量分布はここで
は図示していないが、実施例1の場合と同じ傾向(バリ
ア層中の炭素量が厚さ方向でほぼ均一)であった。また
これらについてのガスバリア性と引張り耐性も表1中に
示したが、初期のガスバリア性に比べて引張り後も劣化
が小さく抑えられていた。
は図示していないが、実施例1の場合と同じ傾向(バリ
ア層中の炭素量が厚さ方向でほぼ均一)であった。また
これらについてのガスバリア性と引張り耐性も表1中に
示したが、初期のガスバリア性に比べて引張り後も劣化
が小さく抑えられていた。
【0057】〔比較例2〜7〕
【0058】実施例1において、真空蒸着中に導入する
ヘリウムガス量を珪素酸化物の蒸発量に対して2.0と
したものを比較例2、真空蒸着を行わなずに基材のPE
T上に直接CVDを行ったものを比較例3、また実施例
1 、2 、および比較例1 、2においてCVDを行わなか
ったものをそれぞれ比較例4 、5 、6 、7 とし、それぞ
れのガスバリア性および引張り耐性も表1中に示した。
ヘリウムガス量を珪素酸化物の蒸発量に対して2.0と
したものを比較例2、真空蒸着を行わなずに基材のPE
T上に直接CVDを行ったものを比較例3、また実施例
1 、2 、および比較例1 、2においてCVDを行わなか
ったものをそれぞれ比較例4 、5 、6 、7 とし、それぞ
れのガスバリア性および引張り耐性も表1中に示した。
【0059】比較例2の炭素含有量分布は実施例に示し
たものの分布と同様であったが、初期のガスバリア性が
低かった。また比較例3のガスバリア性は、OTR約1
50cc/m2 ・day・atm、WVTR約55(g
/m2 ・day)で基材のPETフィルム単独でのガス
バリア性とほぼ同じであり、CVDだけではガスバリア
性が殆どないことが分かった。
たものの分布と同様であったが、初期のガスバリア性が
低かった。また比較例3のガスバリア性は、OTR約1
50cc/m2 ・day・atm、WVTR約55(g
/m2 ・day)で基材のPETフィルム単独でのガス
バリア性とほぼ同じであり、CVDだけではガスバリア
性が殆どないことが分かった。
【0060】比較例4〜7においてはいずれも引張りに
おいて急激にガスバリア性が低下した。
おいて急激にガスバリア性が低下した。
【0061】上記した実施例および比較例から明白なよ
うに、初期のガスバリア性および引張り耐性をともに優
れたものにするためには、珪素酸化物の真空蒸着中に珪
素酸化物の蒸気量に対して0.15〜1.0(モル比)
の不活性ガスを導入してその真空蒸着層中にポアを形成
し、続いて少なくとも有機珪素化合物蒸気と酸素ガスと
を用い、適切な条件下においてCVDを行うことで、珪
素酸化物層の厚さ方向に均一に炭素が分布した透明ガス
バリア性フィルムを得ることが重要である。
うに、初期のガスバリア性および引張り耐性をともに優
れたものにするためには、珪素酸化物の真空蒸着中に珪
素酸化物の蒸気量に対して0.15〜1.0(モル比)
の不活性ガスを導入してその真空蒸着層中にポアを形成
し、続いて少なくとも有機珪素化合物蒸気と酸素ガスと
を用い、適切な条件下においてCVDを行うことで、珪
素酸化物層の厚さ方向に均一に炭素が分布した透明ガス
バリア性フィルムを得ることが重要である。
【0062】
【発明の効果】以上詳述したように、非酸化性ガスの存
在下、中でも分子径が小さいヘリウムガスの存在下にお
いて珪素酸化物の真空蒸着を行い、続いて少なくとも有
機珪素化合物蒸気と酸素ガスとを用いたCVDを行うこ
とによって、珪素酸化物の真空蒸着層の厚さ方向に均一
に炭素を分布させることができた。またこのようにして
得られた透明ガスバリア性フィルムは初期のガスバリア
性に優れるとともに、引張り等の変形によるガスバリア
性の劣化が少ないものであった。
在下、中でも分子径が小さいヘリウムガスの存在下にお
いて珪素酸化物の真空蒸着を行い、続いて少なくとも有
機珪素化合物蒸気と酸素ガスとを用いたCVDを行うこ
とによって、珪素酸化物の真空蒸着層の厚さ方向に均一
に炭素を分布させることができた。またこのようにして
得られた透明ガスバリア性フィルムは初期のガスバリア
性に優れるとともに、引張り等の変形によるガスバリア
性の劣化が少ないものであった。
【図1】本発明の透明ガスバリア性フィルムの一例を示
す断面模式図である。
す断面模式図である。
【図2】本発明の珪素酸化物層の形成に係わる真空蒸着
装置の一例を示す断面模式図である。
装置の一例を示す断面模式図である。
【図3】本発明のCVD法の実施に係わるCVD装置の
一例を示す断面模式図である。
一例を示す断面模式図である。
【図4】実施例1および比較例1の透明ガスバリア性フ
ィルムのバリア層中の炭素含有率を示した組成分布図で
ある。
ィルムのバリア層中の炭素含有率を示した組成分布図で
ある。
1 真空蒸着チャンバー 2 供給ロール 3 巻取りロール 4 冷却ロール 5 補助ロール 6 坩堝 7 電子銃 8 偏向コイル 9 非酸化性ガス供給パイプ 10 真空ポンプ 11 不活性ガスボンベ 12 流量調整器 13 蒸着原料 21 CVDチャンバー 22 供給ロール 23 巻取りロール 24 冷却ロール 25 補助ロール 26 電極 30 真空ポンプ 40 原料ガス供給部 41 酸素ガスボンベ 42 酸素ガス用流量調整器 43 有機珪素化合物原料 44 原料加熱装置 45 有機珪素化合物蒸気用流量調整器 46 ガス混合器 51 基材フィルム 52 バリア層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 16/42 C23C 16/42 Fターム(参考) 3E086 AA23 AC07 AD01 BA15 BA40 BB01 BB22 BB62 BB90 CA01 CA28 4F006 AA35 AB76 BA05 DA01 4F100 AA20B AA20C AA36B AA36C AK01A AK42 AL05A AR00B AR00C AR00D AR00E AT00E BA02 BA03 BA04 BA05 BA06 BA07 BA10B BA10C BA10D BA10E BA13 CB00 EH661 EH662 GB15 JD01 JD01B JD01C JL12D JL12E JN01 JN01A 4K029 AA11 AA25 BA46 BC00 BC08 CA01 DB05 EA05 FA07 GA03 4K030 AA06 AA09 AA14 BA27 CA07 FA03 GA14 HA04 LA01 LA24
Claims (7)
- 【請求項1】透明な高分子樹脂組成物からなる基材フィ
ルムの少なくとも片面に、珪素酸化物を主成分とするバ
リア層を形成してなる透明ガスバリア性フィルムにおい
て、該バリア層の厚さ方向に炭素が均一に分布している
ことを特徴とする透明ガスバリア性フィルム。 - 【請求項2】珪素酸化物を主成分とし、厚さ方向に炭素
が均一に分布してなるバリア層を有する透明ガスバリア
性フィルムの製造方法において、まず珪素酸化物の真空
蒸着層を形成し、次いで少なくとも有機珪素化合物の蒸
気と酸素ガスとを用いたCVD法によって、炭素を含有
する酸化珪素化合物を該珪素酸化物の真空蒸着層の厚さ
方向に均一に分布せしめる、といった逐次的にバリア層
を形成することを特徴とする透明ガスバリア性フィルム
の製造方法。 - 【請求項3】請求項2に記載の透明ガスバリア性フィル
ムの製造方法において、珪素酸化物の真空蒸着層の形成
を非酸化性ガス雰囲気中で行うことを特徴とした透明ガ
スバリア性フィルムの製造方法。 - 【請求項4】請求項2および3に記載の透明ガスバリア
性フィルムの製造方法において、珪素酸化物の真空蒸着
層の形成を行う際の非酸化性雰囲気ガスがヘリウムガス
であることを特徴とした透明ガスバリア性フィルムの製
造方法。 - 【請求項5】請求項1の透明ガスバリア性フィルムのバ
リア層の上に更にヒートシール層が設けられている事を
特徴とする透明ガスバリア性フィルム。 - 【請求項6】請求項1または請求項5の透明ガスバリア
性フィルムのバリア層の反対側の基材フィルムに接着層
を介し、もしくは介さず支持基材層が設けられている事
を特徴とする透明ガスバリア性フィルム。 - 【請求項7】請求項1または請求項5または請求項6の
透明ガスバリア性フィルムを用いて製袋されて、必要に
応じて印刷が施されている事を特徴とする包装体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10180842A JP2000006301A (ja) | 1998-06-26 | 1998-06-26 | 透明ガスバリア性フィルムおよびその製造方法および包装体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10180842A JP2000006301A (ja) | 1998-06-26 | 1998-06-26 | 透明ガスバリア性フィルムおよびその製造方法および包装体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000006301A true JP2000006301A (ja) | 2000-01-11 |
Family
ID=16090319
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10180842A Pending JP2000006301A (ja) | 1998-06-26 | 1998-06-26 | 透明ガスバリア性フィルムおよびその製造方法および包装体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000006301A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1134073A1 (en) | 2000-03-14 | 2001-09-19 | Dai Nippon Printing Co., Ltd. | Gas barrier film |
US6905769B2 (en) | 2001-06-08 | 2005-06-14 | Dai Nippon Priting Co., Ltd. | Gas barrier film |
JP2005306482A (ja) * | 2004-03-26 | 2005-11-04 | Yoshino Kogyosho Co Ltd | 高いガスバリア性を有する合成樹脂製容器 |
-
1998
- 1998-06-26 JP JP10180842A patent/JP2000006301A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1134073A1 (en) | 2000-03-14 | 2001-09-19 | Dai Nippon Printing Co., Ltd. | Gas barrier film |
US6905769B2 (en) | 2001-06-08 | 2005-06-14 | Dai Nippon Priting Co., Ltd. | Gas barrier film |
US7306852B2 (en) | 2001-06-08 | 2007-12-11 | Dai Nippon Printing Co.,Ltd. | Gas barrier film |
JP2005306482A (ja) * | 2004-03-26 | 2005-11-04 | Yoshino Kogyosho Co Ltd | 高いガスバリア性を有する合成樹脂製容器 |
EP1728723A1 (en) * | 2004-03-26 | 2006-12-06 | Yoshino Kogyosho Co., Ltd. | Synthetic resin container with high gas barrier performance |
EP1728723A4 (en) * | 2004-03-26 | 2008-09-17 | Yoshino Kogyosho Co Ltd | ART RESIN CONTAINER WITH HIGH GAS PERFORMANCE |
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