JP2000002134A - スロットル制御システム - Google Patents

スロットル制御システム

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JP2000002134A
JP2000002134A JP16805498A JP16805498A JP2000002134A JP 2000002134 A JP2000002134 A JP 2000002134A JP 16805498 A JP16805498 A JP 16805498A JP 16805498 A JP16805498 A JP 16805498A JP 2000002134 A JP2000002134 A JP 2000002134A
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throttle
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Katsumi Ishida
克己 石田
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Aisan Industry Co Ltd
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  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 インダクタンスLや抵抗Rなどによる時定数
の大きなアクチュエータを用いても、立ち上がりや立ち
下がりを早くして、スロットル弁やシステム全体の応答
性を高くできるスロットル制御システムを提供する。 【解決手段】 スロットル弁13の要求開度を設定する
アクセルセンサ16と、スロットル弁の実開度を検出す
るスロットル開度センサ14と、要求開度と実開度とか
ら演算したデューティ比に基づいてモータ1を駆動する
エンジン制御ユニット15を備える。このエンジン制御
ユニットはPID演算手段により補償前デューティ比D
を演算しさらに、この補償前デューティ比と前回演算し
た補償前デューティ比DOとの変化量(DO−D)に応
じて算出した過補償量と、補償前デューティ比に漸近す
る漸近補償量とを加えた補償量Cによって補償前デュー
ティ比Dを補償して得た補償済デューティ比に基づいて
モータを駆動する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スロットル制御シ
ステムに関し、特に、スロットルアクチュエータでスロ
ットル弁を駆動するスロットル制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、内燃機関のスロットル弁を、
要求開度と実開度との偏差を基に、フィードバック制御
するスロットル制御システムが知られている。例えば、
特開平7−332136号公報には、スロットル弁の目
標開度(要求開度)と実開度との偏差を基に、PID制
御によって、直流サーボモータ等のスロットルアクチュ
エータ(以下、単にアクチュエータともいう)を作動さ
せて、スロットル開度を制御するものが示されている。
さらにこのものでは、偏差が小さくなった領域で、比例
(P)ゲインを増加させることで、スロットル弁の摩擦
抵抗による動作速度の低下を防止し、応答性良く、実開
度を目標開度に一致させることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、モータ等の
スロットルアクチュエータは、一般にコイル等のインダ
クタンスLや巻き線等の抵抗Rを有するため、その動作
の立ち上がり(または立ち下がり)時に遅れを生じる。
つまり、アクチュエータの駆動回路に入力する駆動制御
量を、ある値からある値に変化(例えば、ステップ状に
変化)させてアクチュエータを駆動しても、アクチュエ
ータに流れる電流は、例えば、τ=L/Rで与えられる
時定数で立ち上がって(立ち下がって)、徐々に変化し
て駆動制御量に対応する値になる。また、それに伴っ
て、同様の時定数でトルクも立ち上がる(立ち下が
る)。例えば、図11(a)に示すように、時間t=t
0で、アクチュエータの駆動制御量であるデューティ比
Dを、10%から30%にステップ状に増加させた場合
を考える。この場合、アクチュエータに遅れがなけれ
ば、図11(b)において破線で示すように、アクチュ
エータに流れるコイル電流Icも、例えばIc=1(単
位は任意)からIc=3にステップ状に上昇するはずで
ある。しかし、現実には、実線で示すように、アクチュ
エータのもつインダクタンスLや抵抗Rによって定まる
時定数τ=L/Rに従って、緩やかに上昇する。アクチ
ュエータの発生するトルクも、電流Icと同様なカーブ
を描く。
【0004】このため、時定数τの大きなアクチュエー
タを用いる場合には、スロットル弁およびシステム全体
の応答が鈍くなり、十分な応答性を得ることができな
い。本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであ
って、インダクタンスLや抵抗Rなどによる時定数τの
大きなアクチュエータを用いても、立ち上がりや立ち下
がりを早くして、スロットル弁やシステム全体の応答性
を高くできるスロットル制御システムを提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】しかし
て、その解決手段は、機関吸気系に介挿されるスロット
ル弁を備えるスロットル軸と、上記スロットル軸を所定
の揺動角度範囲内で揺動させて上記スロットル弁を開閉
させるスロットルアクチュエータと、上記スロットル弁
の要求開度を設定する要求開度設定手段と、上記スロッ
トル弁の実開度を検出するスロットル開度センサと、上
記要求開度と上記実開度とから駆動制御量を演算し、こ
の駆動制御量に基づいて上記スロットルアクチュエータ
を駆動する駆動制御手段と、を備えるスロットル制御シ
ステムにおいて、上記駆動制御手段は、上記要求開度と
上記実開度とから補償前駆動制御量を演算する補償前制
御量演算手段と、上記補償前駆動制御量から、この補償
前駆動制御量と前回演算した補償前駆動制御量との変化
量に応じて、過補償された上記駆動制御量を演算する制
御量補償手段と、を備えることを特徴とするスロットル
制御システムである。
【0006】上記構成を有する本発明のスロットル制御
システムでは、補償前駆動制御量を演算し、この補償前
駆動制御量から、前回演算した補償前駆動制御量との補
償前制御量変化量に応じて、過補償された駆動制御量を
演算する。このため、要求開度が変化するなどして、前
回演算した補償前駆動制御量に対し、今回演算した補償
前駆動制御量が変化した場合には、その変化量(以下、
補償前制御量変化量ともいう)に応じて、補償前駆動制
御量から、過補償された、つまり、変化量が大きくなる
方向に変化させられた駆動制御量を演算し、この過補償
された駆動制御量でスロットルアクチュエータを駆動す
る。従って、過補償された駆動制御量、つまり、補償前
制御量演算手段で算出される補償前駆動制御量を超え
て、過大な駆動制御量で駆動することにより、アクチュ
エータを流れる電流の立ち上がりや立ち下がりが早くな
るので、トルクの立ち上がりや立ち下がりも早くなり、
スロットル弁の、従ってシステム全体の応答性を高める
ことができる。
【0007】ここで、スロットルアクチュエータは、ス
ロットル軸を直接揺動させても良いが、ギヤ、ラックア
ンドピニオン、ベルトその他の伝達手段を介してスロッ
トル軸を揺動させるようにしても良い。スロットルアク
チュエータとしては、発生するトルクを制御でき、上記
のように、直接または間接にスロットル軸を揺動させ得
るものであればいずれのものでも良いが、例えば、直流
トルクモータや直流サーボモータ、直流ブラシレスモー
タ等が挙げられる。また、要求開度設定手段としては、
自動車等のアクセルペダルの踏み込み量で与えられる要
求開度を検出するアクセルセンサや、航空機等における
スロットルレバーの指示値を検出するセンサ等が挙げら
れる他、定速走行や自動速度制御走行などのために、速
度計や回転計(タコメータ)等の出力に応じてエンジン
制御ユニット等で演算によりスロットル開度を設定する
ものも挙げられる。アクセルセンサなどのセンサとして
は、アクセルペダルの踏み込み量やスロットルレバーの
指示値を検出できるものであれば良く、例えばポテンシ
ョメータやロータリーエンコーダを用いたものが挙げら
れる。
【0008】さらに、駆動制御量は、スロットルアクチ
ュエータの駆動条件を示すのに用いる物理量であれば良
く、例えば、電圧、電流、周波数、デューティー比等が
挙げられる。また、本明細書において過補償とは、補償
前制御量変化量が大きくなる方向に補償前駆動制御量を
変化させることを指し、例えば、補償前制御量変化量の
定数倍を、補償前駆動制御量に加える補償、あるいは、
補償前制御量変化量に応じた係数を補償前駆動制御量に
掛ける補償等が挙げられる。
【0009】さらに、上記スロットル制御システムにお
いて、前記制御量補償手段は、漸近補償量で漸近補償を
もされた前記駆動制御量を演算することを特徴とするス
ロットル制御システムとすると良い。
【0010】過補償による効果は、過補償の大きさ(過
補償量)及び過補償の継続時間に依存すると考えられ
る。例えば、前記の補償前制御量演算手段で演算された
補償前駆動制御量が、ある時間(t=t0)でステップ
状に変化しその前後で一定である場合を想定する。この
場合、過補償の大きさが大きいほど、また過補償の継続
時間、つまり演算サイクル1サイクル分の時間が長いほ
ど、過補償されてアクチュエータの電流及びトルクの立
ち上がり(立ち下がり)が急になる。しかし、例えば、
駆動制御量としてデューティ比を用いて制御する場合に
は、デューティ比は−1〜1(−100〜100%)の
範囲に限定される。また、駆動回路の最大電圧や最大電
流の上下限などもある。このように、駆動制御量や駆動
回路の特性の上下限値による制限がある場合に、このよ
うな演算サイクル1サイクル分という短時間の過補償で
は、十分に過補償できないことがある。従って、アクチ
ュエータの電流やトルクの立ち上がり(立ち下がり)改
善が十分できない場合がある。
【0011】これに対し、本発明では、制御量補償手段
は、過補償に加えて、漸近補償量で漸近補償をもされた
駆動制御量を演算するので、駆動制御量は比較的長いサ
イクル(期間)にわたって補償される。例えば、前記の
場合には、t=t0直後の1サイクル分では、大きな過
補償量で補償された駆動制御量となるが、その後は、一
定の補償されていない補償前駆動制御量に漸近するよう
に、漸近補償量で漸近補償された駆動制御量となる。従
って、過補償量を極端に大きくしなくても、アクチュエ
ータは、比較的長い期間にわたって過補償および漸近補
償された駆動制御量で駆動されるので、アクチュエータ
に流す電流およびトルクの立ち上がり(立ち下がり)が
早くなり、スロットル弁およびシステム全体の応答性が
より高くなる。
【0012】しかも、漸近補償量で漸近補償するので、
漸近補償量は時間と共に小さくなり、十分に時間が経過
した後には、漸近補償量は十分小さな値になる。つま
り、アクチュエータに流す電流及びトルクは、立ち上が
り(立ち下がり)初期には、大きな過補償量や漸近補償
量で補償された駆動制御量に基づいて駆動されて、急速
に立ち上がる(立ち下がる)ため、応答性が高くなる。
しかも、その後時間と共に漸減する漸近補償で補償され
た駆動制御量に基づいて駆動されるので、滑らかに一定
電流や一定トルクに収束する。
【0013】ここで、漸近補償とは、過補償量を時間の
経過、即ち、演算サイクルと共に漸減させた漸近補償量
によって、補償前駆動制御量を補償することを指す。従
って、各回の演算を見ると、前回の演算において、過補
償量および/または漸近補償量(以下、これらを合わせ
て補償量ともいう)がある場合は、これを漸減させた漸
近補償量で補償して、次第に補償前駆動制御量に近づけ
る(収束させる)動作になる。漸近補償としては、例え
ば、前回演算した駆動制御量と今回演算した補償前駆動
制御量との差の所定割合(0より大きく1未満)を漸近
補償量とし、これを補償前駆動制御量に加える補償や、
前回演算した補償量の所定割合(0より大きく1未満)
を補償前駆動制御量に加える補償などが挙げられる。こ
れらでは、所定割合(定率)で漸近補償量が漸減して0
に近づくので、当初の過補償量の大小に拘わらず、漸近
補償量を同程度の時間で十分小さな値にすることがで
き、駆動制御量を補償されていない補償前駆動制御量に
収束させることができる。このため、過補償量の大小に
よって、スロットル弁やシステム全体の応答性の変動が
抑制される。その他、前回演算した駆動制御量と今回演
算した補償前駆動制御量との差から所定の値を差し引い
た漸近補償量(但し、差>0の時は漸近補償量≦0にな
るまで、差<0の時は漸近補償量≧0になるまで)を、
補償前駆動制御量に加える補償(定量漸近補償)によっ
てもよい。
【0014】さらに、上記スロットル制御システムにお
いて、前記制御量補償手段は、前回の駆動制御量の演算
で補償前駆動制御量に加えた補償量のうち、0より大き
く1未満の所定割合を前記漸近補償量とし、この漸近補
償量を補償前駆動制御量に加えて前記漸近補償をするこ
とを特徴とするスロットル制御システムとすると良い。
【0015】本発明では、前回駆動制御量の演算で補償
前駆動制御量に加えた補償量のうちの所定割合(0より
大きく1未満、例えば、1/2)を漸近補償量とするの
で、漸近補償量の算出が容易である。しかも、所定割合
で漸近補償量を漸減させるので、当初の過補償量の大小
に拘わらず、同程度の時間で駆動制御量を速やかに補償
されていない補償前駆動制御量に収束させることができ
るので、過補償量の大小による応答性の変動が生じ難
い。
【0016】さらに、前記スロットル制御システムにお
いて、前記制御量補償手段は、前回演算した駆動制御量
と今回演算した前記補償前駆動制御量との差のうちの所
定割合を前記漸近補償量とし、この漸近補償量を補償前
駆動制御量に加えて前記漸近補償をすることを特徴とす
るスロットル制御システムとすると良い。
【0017】本発明では、前回演算した(補償量をも含
む)駆動制御量と今回演算した前記補償前駆動制御量と
の差の所定割合を漸近補償量として、補償前駆動制御量
に加える。このため、漸近補償量の算出に当たって、補
償前駆動制御量の変動を反映させながら精密に補償で
き、かつ、駆動制御量をより滑らかに補償前駆動制御量
に漸近させることができる。しかも、所定割合で漸近補
償量を漸減させるので、当初の過補償量の大小に拘わら
ず、同程度の時間で駆動制御量を速やかに補償されてい
ない補償前駆動制御量に収束させることができるので、
過補償量の大小による応答性の変動が生じ難い。
【0018】その他、前記スロットル制御システムにお
いて、前記制御量補償手段は、前記過補償の量を、次回
以降、所定の期間の演算において、補償前駆動制御量に
加える継続補償をもされた前記駆動制御量を演算するこ
とを特徴とするスロットル制御システムとすると良い。
このようにすれば、比較的長い期間にわたって補償する
ことができるので、スロットル弁およびスロットル制御
システム全体の応答性をより高くすることができるから
である。
【0019】
【発明の実施の形態】(実施形態1)ついで、本発明の
実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1
に示すスロットル制御システム10では、吸入管12を
径方向に貫くスロットル軸11に、バタフライバルブ形
式のスロットル弁13が形成されている。このスロット
ル軸11をスロットルアクチュエータである直流トルク
モータ(以下、単にモータともいう)1で、約90度の
角度にわたって揺動させることにより、スロットル弁1
3のスロットル開度(以下、単に開度ともいう)を全閉
から全開の範囲で変化させる。ここで、スロットル弁1
3のスロットル開度をψで表すことにする。また、スロ
ットル弁13の実際の開度(以下、実開度ともいう)ψ
sは、例えば、ポテンショメータからなるスロットル開
度センサ14によって検知できるようにされている。
【0020】スロットル開度センサ14の出力は、エン
ジン制御ユニット(以下、ECUともいう)15に入力
される。このECU15では、スロットル開度センサ1
4からの実開度ψsに対応するアナログ出力を(第1)
A/Dコンバータ21によりデジタル値の実開度信号S
ig1に変換する。一方、運転者が操作するアクセル
(図示しない)の踏み込み量(要求開度ψr)を検出す
るアクセルセンサ16からの要求開度ψrに対応するア
ナログ出力も、第2A/Dコンバータ22でデジタル値
の要求開度信号Sig2に変換する。アクセルセンサ1
6は、例えば、ポテンショメータからなる。
【0021】ついで、実開度信号Sig1の要求開度信
号Sig2に対する偏差などから、コンピュータ23
で、例えばPID制御などの制御手法に従って所定の演
算を行って駆動制御量(具体的には、デューティ比)を
算出する。この駆動制御量に基づいて、モータ駆動回路
24で、モータ1の図示しないコイルに流すコイル電流
Icの値を制御することで、モータ1がフィードバック
制御される。具体的には、駆動回路24は、コンピュー
タ23で演算したデューティ比に基づき印加電圧をスイ
ッチングし、モータ1に流すコイル電流Icを変化させ
るPWM方式の駆動回路である。このPWM駆動方式に
おいては、コイル電流Icは、印加するパルス波のデュ
ーティ比に比例する。即ち、デューティ比が増加する
と、それに比例してコイル電流Icも増加する関係を有
する。
【0022】なお、コイル電流Icの正負は、スロット
ル軸11およびスロットル弁13を弁開方向へ揺動させ
る場合に流す電流を、つまり弁開方向へのトルクを発生
させる電流を正、逆に、弁閉方向へ揺動させる場合に流
す電流を負とする。また、これに対応して、デューティ
比も−1〜+1の間の正および負の値を取りうる。即
ち、駆動回路24は、正のデューティ比に基づいて、モ
ータ1に正方向のコイル電流を流し、負のデューティ比
により、モータ1に負方向のコイル電流を流す。
【0023】ここで、図2に示すように、ECU15の
うち、コンピュータ23(図1参照)の機能を以下のよ
うにする。まず、補償前制御量演算手段であるPID演
算手段23Aにおいて、第1,第2A/Dコンバータ2
1,22によって得た、実開度信号Sig1(実開度ψ
s)と要求開度信号Sig2(要求開度ψr)とから、
公知のPID制御方式に基づきデューティー比Dを求め
る。通常は、このデューティ比Dに基づいて駆動回路2
4を駆動するのであるが、後述するように、さらに補償
をするので、以下、補償前デューティ比Dともいう。さ
らに、制御量補償手段23Bにおいて、PID演算手段
23Aで演算した補償前デューティ比Dを補償して、補
償された駆動制御量である補償済デューティ比DCを求
める。ついで、求めた補償済デューティ比DCに基づい
て駆動回路24でモータ1を駆動する。
【0024】上記した補償済デューティ比DCの演算に
ついて、図3に示すフローチャートに従って説明する
と、以下のようになる。まず、ステップS1において、
要求開度ψr(要求開度信号Sig2)と、実開度ψs
(実開度信号Sig1)との偏差△ψ(=ψr−ψs)
を計算する。ステップS2において、偏差△ψに基づ
き、補償前駆動制御量(補償前デューティ比D)を演算
する。本実施形態では、公知のPID制御方式により、
補償前デューティ比D(−1≦D≦1)を算出する。こ
れらのステップS1,S2が、PID演算手段23Aに
対応する。さらに、ステップS3において、補償量Cを
求める。ついで、ステップS4において、補償前デュー
ティ比Dに、補償量Cを加えて、補償済デューティ比D
Cを算出する。これらのステップS3,S4が、制御量
補償手段23Bに対応する。その後、ステップS5にお
いて、補償済デューティ比DCを出力する。すると、こ
の補償済デューティ比DCに基づいて駆動回路24が駆
動され、モータ1に所定のコイル電流Icが流される。
【0025】ここで、本実施形態では、上記図3のフロ
ーチャートにおける、ステップS3の内容を、図4のよ
うにする。まず、ステップS11で、ステップS2で得
た補償前デューティ比Dと、後述するステップS13に
おいて予め保存しておいた前回演算した補償前デューテ
ィ比DOとの変化量LDを求める。具体的には、LD=
D−DOによって求める。ついで、ステップS12で、
この変化量LDから補償量Cを算出する。具体的には、
C=K1×LDによって求める。ここで、K1は、予め
定めた正(K1>0)の過補償係数である。その後、ス
テップS13で、今回演算した補償前デューティ比D
を、次回の演算で用いるために保存する。即ち、DO=
Dとして、DをDOに代入する。
【0026】このような制御を行った場合のデューティ
比DCおよびコイル電流Icの変化について、図5を参
照しつつ説明する。ここでは、何らかの理由(例えば、
アクセルの踏み込みにより、要求開度ψrが急上昇し、
実開度ψsとの偏差△ψが発生した為など)により、ス
テップS2において算出される補償前デューティ比D
が、時間t=t0で、10%から30%にステップ状に
増加した場合を考える。t=t0以前は、補償前デュー
ティ比Dと前回算出した補償前デューティ比DOが、い
ずれも10%であるので、LD=0となるため、補償量
C=0となり、補償済デューティ比DC=10%一定と
なる。
【0027】しかし、t=t0においては、ステップS
1で算出される補償前デューティ比DはD=30%であ
る。なお、前回、即ちt=t0−tdの時点で算出した
補償前デューティ比DOは、DO=10%である。ここ
で、tdは演算サイクルである。従って、ステップS1
1において、変化量LDは、LD=D−DO=30−1
0=20%と算出される。ついで、ステップS12で、
例えば、過補償係数K1=2であったとすると、補償量
Cは、C=2×20%=40%となる。従って、ステッ
プS4で求める補償済デューティ比DCは、DC=D+
C=30+40=70%になる。その後、即ち、t=t
0+td以降においては、補償前デューティ比Dと前回
算出した補償前デューティ比DOが、いずれも30%で
あるので、LD=0となるため、補償量C=0となり、
補償済デューティ比DC=30%一定とされる。
【0028】つまり、図5(a)に示すように、補償済
デューティ比DCは、t=t0〜t0+tdの期間の
み、過補償されてDC=70%という高いデューティ比
にされる。このため、図5(b)に示すように、モータ
1に流されるコイル電流Icも、t=t0〜t0+td
の期間だけは、DC=70%のデューティ比に対応した
コイル電流(例えば、Ic=7、単位は任意)に向かっ
て収束するかのように、電流Icが急上昇する。その後
(t=t0+td以降)は、DC=30%のデューティ
比に対応したコイル電流(Ic=3)に向かって収束す
るが、t=t0〜t0+tdの期間だけ高いデューティ
比DCで過補償したために、コイル電流IcがIC=3
に収束するまでの時間が、従来に比較して短くなる(図
11参照)。図示しないが、モータ1に発生するトルク
は、コイル電流Icに比例するので、トルクも同様のカ
ーブに従って立ち上がる。なお、上記では、補償前デュ
ーティ比Dが、上昇した場合を示したが、下降した場合
にも、同様に立ち下がりが早くできる。
【0029】従って、本実施形態のスロットル制御シス
テム10によれば、PID制御手段23Aで算出する補
償前デューティ比Dが変化したときに、その変化量LD
を大きくする方向に補償量Cによって過補償するので、
モータ1に流すコイル電流Icおよびモータ1の発生す
るトルクが、早く立ち上がる(立ち下がる)。このた
め、スロットル弁13およびシステム10全体の応答性
を高くすることができる。
【0030】(実施形態2)ついで、第2の実施の形態
について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態で
は、スロットル制御システム10の構成(図1参照)
は、上記実施形態1と同様であるので、説明を省略す
る。また、コンピュータ23の機能も概略同様である
が、フローチャート(図3参照)のうち、ステップS3
の詳細が、図4に示したフローチャートと異なるので、
この部分について説明する。本実施形態では、図3に示
すフローチャートのうち、補償量Cを求めるステップS
3の詳細を、以下のようにする(図6参照)。即ち、ま
ず、ステップS21では、実施形態1における前記ステ
ップS11と同様に、補償前デューティ比Dと、後述す
るステップS26において保存しておいた前回演算した
補償前デューティ比DOと、の変化量LDを求める。具
体的には、LD=D−DOによって求める。ついで、ス
テップS21で、実施形態1における前記ステップS1
2と同様に、この変化量LDから過補償量CVを算出す
る。具体的には、CV=K1×LDによって求める。K
1は、予め定めた正(K1>0)の過補償係数である。
なお、次述するように、過補償量CVの他、漸近補償量
をも演算するので、実施形態1と異なり、K1×LDに
よって求めた量を、補償量Cとせずに、過補償量CVと
している。
【0031】さらに、前回演算で求め、予め後述するス
テップS25で保存しておいた前回の補償量COから、
漸近補償量CGを算出する。具体的には、CG=K2×
COによって求める。ここで、K2は、予め定めた1未
満の正(0<K2<1)の漸近補償係数である。つい
で、ステップS24において、ステップS22,S23
でそれぞれ求めた、過補償量CVおよび漸近補償量CG
から、補償量Cを求める。具体的には、C=CV+CG
によって求める。その後、ステップS25で、今回演算
した補償量Cを、次回の演算で用いるために保存する。
即ち、CO=Cとして、CをCOに代入する。さらに、
ステップS26で、今回演算した補償前デューティ比D
を、次回の演算で用いるために保存する。即ち、DO=
Dとして、DをDOに代入する。
【0032】このような制御を行った場合のデューティ
比DCおよびコイル電流Icの変化について、図7を参
照しつつ説明する。ここでも、上記実施形態1で説明し
た場合(図5参照)と同様に、ステップS2において算
出される補償前デューティ比Dが、時間t=t0で、1
0%から30%にステップ状に増加した場合を考える。
t=t0以前は、補償前デューティ比Dと前回算出した
補償前デューティ比DOが、いずれも10%であるの
で、LD=0となるため、過補償量CV=0となる。ま
た、漸近補償量CGも、十分長い期間にわたってD=1
0%にされていれば、CG=0となるので、補償量C
も、C=0となり、補償済デューティ比DC=10%一
定となる。
【0033】次に、t=t0における補償済デューティ
比DCを算出する。ステップS1で算出される補償前デ
ューティ比Dは、D=30%である。なお、前回、即ち
t=t0−tdの時点で算出した補償前デューティ比D
Oは、DO=10%である。従って、ステップS21に
おいて、変化量LDは、LD=D−DO=30−10=
20%と算出される。ついで、ステップS22におい
て、例えば、過補償係数K1=1であったとすると、過
補償量CVは、C=1×20%=20%となる。さら
に、ステップS23において、例えば、漸近補償係数K
2=1/2であったとすると、前回の補償量CO=0で
あったので、漸近補償量CGは、CG=1/2×0=0
となる。このため、ステップS24で、補償量Cは、C
=CV+CG=20+0=20%と算出される。従っ
て、ステップS4で算出される補償済デューティ比DC
は、DC=D+C=30+20=50%になる(図7
(a)参照)。
【0034】ついで、t=t0+tdにおける補償済デ
ューティ比DCを算出する。ステップS1で算出される
補償前デューティ比Dは、D=30%であり、前回、即
ちt=t0の時点で算出した補償前デューティ比DO
は、DO=30%である。従って、ステップS21にお
いて、変化量LDは、LD=D−DO=30−30=0
%と算出される。ついで、ステップS22において、過
補償量CVは、C=1×0=0%となる。さらに、ステ
ップS23において、前回の補償量CO=20%であっ
たので、漸近補償量CGは、CG=1/2×20=10
%となる。このため、ステップS24で、補償量Cは、
C=CV+CG=0+10=10%と算出される。従っ
て、ステップS4で算出される補償済デューティ比DC
は、DC=D+C=30+10=40%になる(図7
(a)参照)。その後、即ち、t=t0+td以降にお
いては、補償前デューティ比Dと前回算出した補償前デ
ューティ比DOが、いずれも30%であるので、LD=
0となるため、過補償量CV=0となる。一方、漸近補
償量CGは、前回の補償量Cのうちの一定割合(本実施
形態ではK2=1/2)となって時間と共に漸減するの
で、補償済デューティ比DCは、補償前デューティ比D
=30%に漸近する(図7(a)参照)。
【0035】従って、補償済デューティ比DCは、図7
(a)に示すように、t=t0以降、過補償および漸近
補償されて、t=t0でピークとなり、徐々に補償前デ
ューティ比に漸近する。このため、実施形態1の場合
(図5参照)よりも長い期間にわたって、補償、つま
り、PID制御手段23Aで算出した補償前デューティ
比Dよりも高いデューティ比にされる。このため、図7
(b)に示すように、モータ1に流されるコイル電流I
cも、t=t0〜t0+tdの期間は、DC=50%の
デューティ比に対応したコイル電流(Ic=5)に向か
って収束するかのように、電流Icが急上昇する。ま
た、次のt=t0+td〜t0+2tdの期間は、DC
=40%のデューティ比に対応したコイル電流(Ic=
4)に向かって収束するかのように、電流Icが上昇す
る。以降同様に、t=t0+2td〜t0+3tdの期
間は、DC=35%、t=t0+3td〜t0+4td
の期間は、DC=32.5%…に対応するコイル電流I
cに向かって収束するように上昇する。
【0036】このように、t=t0以降、高い補償済デ
ューティ比DCで過補償及び漸近補償したために、コイ
ル電流IcがIC=3に収束するまでの時間が、従来に
比較して短くなる(図11参照)。図示しないが、モー
タ1に発生するトルクは、コイル電流Icに比例するの
で、トルクも同様のカーブに従って立ち上がる。なお、
上記では、補償前デューティ比Dが、上昇した場合を示
したが、下降した場合にも、同様に立ち下がりが早くな
る。従って、本実施形態のスロットル制御システム10
によれば、PID制御手段23Aで算出する補償前デュ
ーティ比Dが変化した場合に、補償量Cによって過補償
及び漸近補償するので、モータ1に流すコイル電流Ic
およびモータ1の発生するトルクが、早く立ち上がる
(立ち下がる)。このため、スロットル弁13およびシ
ステム10全体の応答性を高くすることができる。しか
も、前回演算した補償量COのうちの所定割合(本実施
形態では、K2=1/2)を漸近補償量CGとするの
で、漸近補償量CGの算出が容易である。また、所定割
合(本実施形態では、K2=1/2)で漸近補償量CG
を漸減させるので、t=t0における過補償量CVが大
きい場合にも、CVが小さい場合と同程度の時間で、補
償済デューティ比DCを速やかに補償前デューティ比D
に収束させることができる。このため、過補償量CVの
大小によって、スロットル弁やシステム10全体の応答
性の変動が生じ難い。
【0037】さらに、本実施形態に示すように、過補償
のみならず漸近補償をも行うと、以下のような利点があ
る。上記実施形態1の説明においては、過補償係数K1
=2とし、補償前デューティ比Dが10%から30%に
変化したものを例示したが、例えば、過補償係数K1=
2としたままで、補償前デューティ比Dが10%から5
0%に変化した場合を想定すると、補償量C(本実施形
態における過補償量CV)が、80%(=2×(50−
10))になり、補償済デューティ比DCは、計算上1
10%(=30+80)となって、100%の上限を越
えてしまう。このため、過補償だけでは、デューティ比
などの駆動制御量の上下限や、駆動回路の最大電流など
の特性による上下限により、所望の過補償ができない場
合が生じる。また、演算サイクルtdに対して、モータ
1の時定数τが非常に大きい場合には、演算サイクル1
サイクル分の過補償だけでは効果が小さくなる。
【0038】これに対し、過補償のみならず漸近補償を
も行うと、比較的長い時間にわたって、漸近補償によっ
て補償することができるので、過補償係数K1をあまり
大きな値に設定しなくても良いため、駆動制御量や駆動
回路の特性による上下限を勘案して、適切なK1の値を
選択でき、十分に補償をすることができる。また、漸近
補償係数K2を選択すれば、漸近補償される期間を調整
できる(K2が大きいと期間が長く、K2が小さいと期
間が短くなる)ので、時定数τの値を勘案して、K2の
値を選択すれば、十分に補償をすることができる。つま
り、2つの係数K1とK2を適宜選択することにより、
十分に補償して、スロットル弁13およびシステム10
全体の応答性をより高くすることができる。
【0039】なお、図示しないが、上記考察から容易に
理解できるように、漸近補償ではないが、t=t0〜t
0+tdの間の過補償に引き続き、過補償量CVと同じ
値の継続補償量を適当な期間(例えば、t=t0+td
以降、4tdの期間)にわたって、補償前デューティ比
Dに加える補償をしても良い。このようにしても、十分
に補償して、スロットル弁13およびシステム10全体
の応答性をより高くすることができるからである。
【0040】(実施形態3)さらに、実施形態2におい
て説明した漸近補償は、以下のようにしても良い。即
ち、本実施形態は、上記実施形態2とほぼ同様である
が、ステップS23(図6参照)の部分のみ異なるだけ
であるので、この点を中心に説明する。本実施形態にか
かる補償量C算出のフローチャートを、図8に示す。上
記したように、実施形態2におけるステップS23に相
当する部分が、ステップS31となっている点で異な
る。つまり、本実施形態のステップS31では、前回演
算で求めた補償量COの他、前回演算で求めた補償前デ
ューティ比DO、および、今回演算した補償前デューテ
ィ比Dを用いて、漸近補償量CGを算出する。具体的に
は、CG=K2×(CO+DO−D)によって求める。
このようにしても、図示しないが、実施形態2と同様
(図7参照)に、補償量Cを時間と共に漸減させること
ができる。
【0041】なお、実施形態2においては、今回演算し
た補償前デューティ比Dに関係なく、CG=K2×CO
とし、前回の補償量COのK2倍(例えば、1/2倍)
を機械的に算出したが、本実施形態では、前回の駆動制
御量DCO(=DO+CO)と今回演算した補償前デュ
ーティ比Dとの差のK2倍を算出するので、補償前デュ
ーティ比Dの変動を反映させることができる。従って、
漸近補償量CGの算出に当たって、補償前デューティ比
Dの変動を反映させながら精密に補償でき、かつ、補償
済デューティ比DCをより滑らかに補償前デューティ比
Dに漸近させることができる。しかも、漸近補償係数K
2に従って、所定割合(例えば、K2=1/2)で漸近
補償量Gを漸減させるので、過補償量CVの大小に拘わ
らず、同程度の時間で補償済デューティ比DCを速やか
に補償前デューティ比Dに収束させることができるの
で、過補償量CVの大小によって、スロットル弁13や
システム10全体の応答性の変動が生じ難い。
【0042】(実施形態4)さらに、上記実施形態2,
3において説明したように、所定割合で補償量を漸減さ
せる漸近補償の他、以下に示すように、所定量ずつ漸減
させても良い。即ち、本実施形態は、上記実施形態2,
3とほぼ同様であるが、ステップS23(図6参照)お
よびステップS31(図8参照)に対応する部分のみ異
なるだけであるので、この点を中心に説明する。本実施
形態にかかる補償量C算出のフローチャートを、図9に
示す。上記したように、実施形態2におけるステップS
23に相当する部分が、ステップS41〜S47となっ
ている点で異なる。
【0043】本実施形態の各ステップS41〜S47に
ついて以下に説明する。まず、ステップS41では、前
回の補償量COがCO=0かどうかを判断する。前回の
補償量COがゼロの場合には、漸近補償をする必要がな
いからであり、したがって、CO=0の場合は、ステッ
プS24に移る。ついで、ステップS42では、前回の
補償量COの正負を判定する。補償量COが正と負の場
合で後述する漸近補償量CGの計算式が異なるからであ
る。CO<0の場合は、ステップS43に、CO>0の
場合は、ステップS44に移る。さらに、ステップS4
3では、前回の補償量CO(但し、CO<0)に漸近補
償量K3(但し、K3>0)を加えたCO+K3の正負
を判別する。元々負の値であったCOにK3を加えた場
合に、CO+K3の符号が反転して正の値となる場合に
は、補償しすぎであるので、補償を打ち切るためであ
る。従って、CO+K3≦0の場合はステップS45
に、CO+K3>0の場合はステップS46に進む。
【0044】一方、ステップS44では、前回の補償量
CO(但し、CO>0)から漸近補償量K3(但し、K
3>0)を差し引いたCO−K3の正負を判別する。元
々正の値であったCOからK3を減じた場合に、CO−
K3の符号が反転して負の値となる場合には、補償しす
ぎであるので、補償を打ち切るためである。従って、C
O−K3≧0の場合はステップS47に、CO−K3<
0の場合はステップS46に進む。ステップS45で
は、漸近補償量CGを算出する。具体的には、CG=C
O+K3による。また、ステップS47でも、漸近補償
量CGを算出する。具体的には、CG=CO−K3によ
る。さらに、ステップS46では、漸近補償量CGとし
て、CG=0、つまりCGにゼロを代入する。漸近補償
をすると符号が反転するほど補償量の絶対値が小さくな
ったためである。このようにして、漸近補償量CGが求
められたので、前記したように、ステップS24におい
て補償量Cを求め、以降の処理を進める。
【0045】このような制御を行った場合のデューティ
比DCおよびコイル電流Icの変化について、図10を
参照しつつ説明する。ここでも、上記実施形態1で説明
した場合(図5参照)と同様に、ステップS2において
算出される補償前デューティ比Dが、時間t=t0で、
10%から30%にステップ状に増加した場合を考え
る。t=t0以前は、補償前デューティ比Dと前回算出
した補償前デューティ比DOが、いずれも10%である
ので、LD=0となるため、過補償量CV=0となる。
また、漸近補償量CGも、十分長い期間D=10%にさ
れていれば、CG=0となるので、補償量Cも、C=0
となり、補償済デューティ比DC=10%一定となる。
【0046】次に、t=t0における補償済デューティ
比DCを算出する。ステップS1で算出される補償前デ
ューティ比Dは、D=30%であり、前回、即ちt=t
0−tdの時点で算出した補償前デューティ比DOは、
DO=10%である。従って、ステップS21におい
て、変化量LDは、LD=D−DO=30−10=20
%と算出される。ついで、ステップS22において、例
えば、過補償係数K1=0.75であったとすると、過
補償量CVは、C=0.75×20%=15%となる。
さらに、ステップS41において、前回の補償量CO=
0であるので、ステップS24に進む。従って、ステッ
プS24において、補償量Cは、C=CV+CG=15
+0=15%と算出される。従って、ステップS4で算
出される補償済デューティ比DCは、DC=D+C=3
0+15=45%になる(図10(a)参照)。
【0047】ついで、t=t0+tdにおける補償済デ
ューティ比DCを算出する。ステップS1で算出される
補償前デューティ比Dは、D=30%であり、前回、即
ちt=t0の時点で算出した補償前デューティ比DO
は、DO=30%である。従って、ステップS21にお
いて、変化量LDは、LD=D−DO=30−30=0
%と算出される。ついで、ステップS22において、過
補償量CVは、C=1.5×0=0%となる。さらに、
ステップS41では、前回の補償量CO=15%であっ
たので、ステップS42に進む。またステップS42で
は、前回の補償量CO=15>0であるので、ステップ
S44に進む。ステップS44では、例えば、漸近補償
係数K3=2の場合には、CO−K3=15−2=13
>0となるので、ステップS47に進む。ステップS4
7では、漸近補償量CGは、CG=CO−K3=15−
2=13%となる。このため、ステップS24で、補償
量Cは、C=CV+CG=0+13=13%と算出され
る。従って、ステップS4で算出される補償済デューテ
ィ比DCは、DC=D+C=30+13=43%になる
(図10(a)参照)。
【0048】その後、即ち、t=t0+td以降におい
ては、補償前デューティ比Dと前回算出した補償前デュ
ーティ比DOが、いずれも30%であるので、LD=0
となるため、過補償量CV=0となる。一方、漸近補償
量CGは、前回の補償量Cのから一定量(本実施形態で
はK3=2%)を順に差し引いくことで時間と共に漸減
するので、補償済デューティ比DCは、階段状に補償前
デューティ比D=30%に漸近する(図10(a)参
照)。なお、t=t0−8tdにおける補償済デューテ
ィ比DCを算出すると、ステップS44において、CO
−K3=1−2=−1<0となるので、ステップS46
に進み、ステップS46でCG=0とされる。補償量C
が小さくなって、つまり、補償済デューティ比DCが、
補償前デューティ比Dに近くなって、漸近補償係数K3
を差し引くと、補償前デューティ比D(=30%)を下
回ってしまうから、漸近補償を打ち切るのである。従っ
て、t=t0−8td以降は、CG=0とされ、漸近補
償は実質的に行われない。
【0049】従って、補償済デューティ比DCは、図1
0(a)に示すように、t=t0〜t0+7tdの間、
過補償および漸近補償されて、t=t0でピークとな
り、階段状に補償前デューティ比に漸近する。このた
め、実施形態1の場合よりも長い期間にわたって、補
償、つまり、PID制御手段23Aで算出した補償前デ
ューティ比Dよりも高いデューティ比にされる。このた
め、図10(b)に示すように、モータ1に流されるコ
イル電流Icも、t=t0〜t0+tdの期間は、DC
=45%のデューティ比に対応したコイル電流(Ic=
5)に向かって収束するかのように、電流Icが急上昇
する。また、次のt=t0+td〜t0+2tdの期間
は、DC=43%のデューティ比に対応したコイル電流
(Ic=4)に向かって収束するかのように、電流Ic
が上昇する。以降同様に、t=t0+2td〜t0+3
tdの期間は、DC=41%、t=t0+3td〜t0
+4tdの期間は、DC=39%…に対応するコイル電
流Icに向かって収束するように上昇する。
【0050】このようにしても、t=t0〜t0+7t
dの範囲で、高い補償済デューティ比DCで過補償及び
漸近補償したために、コイル電流IcがIC=3に収束
するまでの時間が、従来に比較して短くなる(図11参
照)。図示しないが、モータ1に発生するトルクは、コ
イル電流Icに比例するので、トルクも同様のカーブに
従って立ち上がる。なお、上記では、補償前デューティ
比Dが、上昇した場合を示したが、下降した場合にも、
同様に立ち下がりが早くなる。従って、本実施形態のス
ロットル制御システム10によれば、PID制御手段2
3Aで算出する補償前デューティ比Dが変化した場合
に、補償量Cによって過補償及び漸近補償するので、モ
ータ1に流すコイル電流Icおよびモータ1の発生する
トルクが、早く立ち上がる(立ち下がる)。このため、
スロットル弁13およびシステム10全体の応答性を高
くすることができる。
【0051】以上において、本発明を4つの実施形態に
即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定される
ものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更
して適用できることはいうまでもない。例えば、上記実
施形態では、フィードバック制御の手法として、PID
制御を用いたが、PI制御や、ロバスト制御、H∞制御
など他の制御方式で制御しても良いことは明らかであ
る。さらに、上記実施形態では、モータ1を駆動する駆
動回路24として、PWM方式の駆動回路を用い、コン
ピュータ23で演算する駆動制御量としてデューティ比
を用いた、しかし、その他の駆動回路、例えば、電流量
を制御可能な直流電流源によってモータを駆動しても良
く、また、駆動制御量としては、駆動回路の駆動条件を
変更できる物理量、例えば、電圧、電流、周波数など、
であればいずれのものであってもよい。
【0052】また、上記実施形態では、スロットルアク
チュエータとして、直流トルクモータを用いたが、他の
スロットルアクチュエータであっても良く、例えば、直
流サーボモータや、ブラシレス直流モータなどが挙げら
れる。また、上記実施形態では、ステップS5(図3参
照)において、補償済デューティ比DCを、DC=D+
Cによって算出したが、図3のステップS5において、
カッコ内に記載するように、デューティ比Dに補償量C
(但し、C≧1)を掛けて、補償済デューティ比DCを
算出するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】スロットル制御システムの構成を示す説明図で
ある。
【図2】コンピュータの機能を示す説明図である。
【図3】コンピュータにおける演算のフローチャートで
ある。
【図4】実施形態1にかかる補償量算出のフローチャー
トである。
【図5】実施形態1にかかり、(a)はデューティ比の
時間変化、(b)は電流の時間変化を示すグラフであ
る。
【図6】実施形態2にかかる補償量算出のフローチャー
トである。
【図7】実施形態2にかかり、(a)はデューティ比の
時間変化、(b)は電流の時間変化を示すグラフであ
る。
【図8】実施形態3にかかる補償量算出のフローチャー
トである。
【図9】実施形態4にかかる補償量算出のフローチャー
トである。
【図10】実施形態4にかかり、(a)はデューティ比
の時間変化、(b)は電流の時間変化を示すグラフであ
る。
【図11】従来の技術にかかり、(a)はデューティ比
の時間変化、(b)は電流の時間変化を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
10 スロットル制御システム 1 モータ 11 スロットル軸 12 吸気管 13 スロットル弁 14 スロットル開度センサ 15 エンジン制御ユニット(E
CU) 16 アクセルセンサ 21,22 A/Dコンバータ 23 コンピュータ 24 駆動回路 ψ 開度
フロントページの続き Fターム(参考) 3G065 CA00 DA05 FA02 FA11 GA41 GA46 KA34 KA36 3G084 BA05 DA05 EB00 EB11 EC03 EC06 FA10 3G301 JA03 LA03 LC03 NA03 NA04 NA05 ND01 ND41 NE03 NE08 PA11A PA11Z PF03Z

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】機関吸気系に介挿されるスロットル弁を備
    えるスロットル軸と、 上記スロットル軸を所定の揺動角度範囲内で揺動させて
    上記スロットル弁を開閉させるスロットルアクチュエー
    タと、 上記スロットル弁の要求開度を設定する要求開度設定手
    段と、 上記スロットル弁の実開度を検出するスロットル開度セ
    ンサと、 上記要求開度と上記実開度とから駆動制御量を演算し、
    この駆動制御量に基づいて上記スロットルアクチュエー
    タを駆動する駆動制御手段と、を備えるスロットル制御
    システムにおいて、 上記駆動制御手段は、 上記要求開度と上記実開度とから補償前駆動制御量を演
    算する補償前制御量演算手段と、 上記補償前駆動制御量から、この補償前駆動制御量と前
    回演算した補償前駆動制御量との変化量に応じて、過補
    償された上記駆動制御量を演算する制御量補償手段と、
    を備えることを特徴とするスロットル制御システム。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のスロットル制御システム
    において、 前記制御量補償手段は、漸近補償量で漸近補償をもされ
    た前記駆動制御量を演算することを特徴とするスロット
    ル制御システム。
  3. 【請求項3】請求項2に記載のスロットル制御システム
    において、 前記制御量補償手段は、前回の駆動制御量の演算で補償
    前駆動制御量に加えた補償量のうち、0より大きく1未
    満の所定割合を前記漸近補償量とし、この漸近補償量を
    補償前駆動制御量に加えて前記漸近補償をすることを特
    徴とするスロットル制御システム。
  4. 【請求項4】請求項2に記載のスロットル制御システム
    において、 前記制御量補償手段は、前回演算した駆動制御量と今回
    演算した前記補償前駆動制御量との差のうちの所定割合
    を前記漸近補償量とし、この漸近補償量を補償前駆動制
    御量に加えて前記漸近補償をすることを特徴とするスロ
    ットル制御システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017518518A (ja) * 2014-06-06 2017-07-06 アトランティック・イナーシャル・システムズ・リミテッドAtlantic Inertial Systems Limited 加速度計
CN115163316A (zh) * 2022-06-30 2022-10-11 东北大学 一种基于信号补偿控制器的电子节气门控制系统

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