JP2000000994A - 画像形成方法 - Google Patents

画像形成方法

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JP2000000994A
JP2000000994A JP18164298A JP18164298A JP2000000994A JP 2000000994 A JP2000000994 A JP 2000000994A JP 18164298 A JP18164298 A JP 18164298A JP 18164298 A JP18164298 A JP 18164298A JP 2000000994 A JP2000000994 A JP 2000000994A
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voltage
image forming
toner
flying
counter electrode
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JP18164298A
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Toshio Sakai
捷夫 酒井
Masafumi Kadonaga
雅史 門永
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 飛翔記録方式の画像形成方法において、低い
飛翔制御電圧で画像形成粒子を飛翔させることができ、
且つ、画像形成粒子の飛散を軽減することができる画像
形成装置を提供する。 【解決手段】 粒子担持体1に担持させた導電性トナー
25をクラウド化させないピーク・ツウ・ピーク値と周
波数との組み合わせで、交流電圧を交流電源24から粒
子担持体1に印加させる構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、ファクシ
ミリ、プリンター等の画像形成装置に用いられる画像形
成方法に係り、詳しくは、画像形成粒子を飛翔させて記
録部材等に付着させる飛翔記録方式の画像形成方法の改
良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、画像形成方法として、飛翔記録方
式のものが古くから知られている。この飛翔記録方式
は、次のようなプロセスで画像を形成するものである。
即ち、粒子担持体としてのトナー担持体に担持させた帯
電済みの画像形成粒子の集合体、例えばトナー層などに
対して、微小開口部としての孔やスリットの周りに付設
した飛翔制御電極に飛翔電圧を印加して電界を作用さ
せ、該孔や該スリットに対応する特定の位置のトナー集
合体を選択的に飛翔させる。次いで、このトナー集合体
を上記孔や上記スリットを通して紙等の記録部材に付着
させて画像を形成する。
【0003】しかしながら、上記飛翔記録方式において
は、トナー担持体からトナーを飛翔させるための飛翔電
圧を非常に高くする必要があり、該飛翔電圧のON/O
FFを制御させるために用いるICドライバを高価にす
るという不具合があった。
【0004】そこで、特開昭58−44457号におい
て、飛翔に先だってトナーをトナー担持体等から空中に
浮遊させてクラウド化することにより、トナーを上記孔
に向けて飛翔させるための飛翔電圧を低減する画像形成
方法が提案されている。
【0005】図1及び図2は、上記特開昭58−444
57号の画像形成方法を用いる画像形成装置の概略構成
図である。それぞれの図に示すように、この画像形成装
置は、絶縁性トナーを粒子担持体であるトナー搬送部材
1とブレード2との間で摩擦帯電させる。次いで、この
絶縁性トナーに対して、ベース電極3とトナー搬送部材
1とへの交流電圧又は直流偏奇させた交流電圧の印加に
より形成させた交流電界を作用させることにより、該絶
縁性トナーを該間で揺動させてクラウド化させる。クラ
ウド化した絶縁性トナーは、飛翔制御電極である信号電
極4への飛翔電圧の印加によって対向電極としての背面
電極5に向けて飛翔を開始し、開口部保持部材である絶
縁部材の孔6を通過した後に記録部材7に付着して画像
を形成する。
【0006】なお、トナーをクラウド化させる方法は種
々あるが、交流電界を作用させてトナー担持体と飛翔制
御電極等の電極との間で非磁性トナーに飛翔と逆飛翔と
を繰り返し行わせる方法が一般的である。この種の方法
は、特開昭58−44457号の他、上記特開昭58−
96570号、特開昭58−104771号、特開昭5
8−172664号、特開昭59−188450号、特
開昭60−263964号及び特開昭63−24625
9号等で提案されている。
【0007】例えば、上記特開昭58−172664号
の画像形成方法は、図3に示されるように、磁性トナー
と非磁性トナーとを混合して互いに異極性に帯電させな
がら粒子担持体1に担持させ、ブレード2で薄層化した
後に、粒子担持体1への交流電圧の印加により形成した
交流電界を作用させて非磁性トナーのみをクラウド化さ
せるものである。
【0008】また例えば、上記特開昭63−24625
9号の画像形成方法は、図4に示されるように、粒子担
持体としてのドナーローラ1と磁気ブラシ8との間で摩
擦帯電させたトナーをドナーローラ1上に担持させ、ド
ナーローラ1への交流電圧の印加により形成させた交流
電界の作用により孔6の近傍でクラウド化させるもので
ある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、トナーをク
ラウド化させると画像形成装置の内部を飛散トナーで汚
染してしまうという問題がある。即ち、個々のトナー粒
子の帯電量を均一に調整することは不可能であり、帯電
量の少ないトナー粒子の浮遊状態を交流電界で制御する
ことができずに該トナー粒子を画像形成装置内の気流で
拡散させてしまうという問題がある。
【0010】本発明は、以上の背景に鑑みなされたもの
であり、その目的とするところは、飛翔記録方式の画像
形成方法において、低い飛翔制御電圧で画像形成粒子を
飛翔させることができ、且つ、画像形成粒子の飛散を軽
減することができる画像形成装置を提供することであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、複数の微小開口部を互いに独立
あるいは一連に設けた開口部保持部材と、該開口部保持
部材に対して一体又は別体に設けた複数の飛翔制御電極
とを、画像形成粒子を担持させる粒子担持体と、該粒子
担持体に対向させて設けた対向電極との間に配設してお
き、画像情報に基づいて、該対向電極に対向電圧を、任
意の該飛翔制御電極に飛翔電圧を、それぞれ印加するこ
とで、該粒子担持体上の画像形成粒子を選択的に飛翔さ
せ、飛翔させた画像形成粒子の一部を任意の微小開口部
を通して該対向電極側に移行させ、更に、該対向電極の
表面、該対向電極上の絶縁体の表面、又は、該対向電極
上の記録部材の表面に付着させて画像を形成する画像形
成方法において、該粒子担持体に担持させた画像形成粒
子をクラウド化させないピーク・ツウ・ピーク値と周波
数との組み合わせで、交流電圧を該粒子担持体に印加す
ることを特徴とするものである。
【0012】請求項2の発明は、複数の微小開口部を互
いに独立あるいは一連に設けた開口部保持部材と、該開
口部保持部材に対して一体又は別体に設けた複数の飛翔
制御電極とを、画像形成粒子を担持させる粒子担持体
と、該粒子担持体に対向させて設けた対向電極との間に
配設しておき、画像情報に基づいて、該対向電極に対向
電圧を、任意の該飛翔制御電極に飛翔電圧を、それぞれ
印加することで、該粒子担持体上の画像形成粒子を選択
的に飛翔させ、飛翔させた画像形成粒子の一部を任意の
微小開口部を通して該対向電極側に移行させ、更に、該
対向電極の表面、該対向電極上の絶縁体の表面、又は、
該対向電極上の記録部材の表面に付着させて画像を形成
する画像形成方法において、該粒子担持体に担持させた
画像形成粒子をクラウド化させないピーク・ツウ・ピー
ク値と周波数との組み合わせで、交流電圧を該飛翔電圧
に重畳するか、又は、交流電圧を該飛翔制御電極と別体
に設けた電極部材に印加することを特徴とするものであ
る。
【0013】請求項1又は2の発明においては、上記交
流電圧の印加又は重畳により上記粒子担持体上の画像形
成粒子がクラウド化することなく微細に揺動し、該粒子
担持体への付着と該粒子担持体からの離間とを短時間で
繰り返す。この繰り返しにより、画像形成粒子を上記粒
子担持体から上記微小開口部に向けて飛翔させるために
要求される上記飛翔電圧の最低値が、画像形成粒子を該
粒子担持体に付着させたままの状態で該微小開口部に向
けて飛翔させるために要求される該飛翔電圧の最低値よ
りも、遙かに小さくなる。即ち、画像形成粒子をクラウ
ド化させることなく上記飛翔電圧の値を小さくすること
ができる。なお、本発明の電圧に係る値において「小さ
くする」とは、プラス及びマイナスの極性にかかわら
ず、該値の数字を小さくすることである。従って、例え
ば電圧値を−100[V]から−50[V]に変更する
ことは、電圧値を小さくすることである。
【0014】請求項3の発明は、請求項1又は2の画像
形成方法であって、上記交流電圧を印加又は重畳されな
い場合に画像形成粒子が上記粒子担持体から飛翔するた
めに必要とする上記飛翔電圧の最低値よりも、上記交流
電圧と上記飛翔電圧との加算値が該交流電圧の一周期毎
の所定期間において大きくなり、且つ、該最低値に係る
最低印加期間又は最低重畳期間よりも該所定期間が長い
ことを特徴とするものである。
【0015】本発明において「最低値」とは、プラス及
びマイナスの極性にかかわらず最もゼロに近づく数字を
有する値である。また、「大きくなり」とは、「最低
値」と同極性の値の数字が「最低値」の数字よりも大き
くなることを示すものである。また、「最低印加期間」
又は「最低重畳期間」とは、画像形成粒子を飛翔させる
ために最小限必要とする上記飛翔電圧の印加又は重畳期
間である。即ち、画像形成粒子は、上記飛翔電圧を印加
又は重畳されても直ちに飛翔せず、印加又は重畳された
瞬間から飛翔するまでにタイムラグを有する。このタイ
ムラグは、上記印加又は上記重畳によって生ずる画像形
成粒子を飛翔させようとする応力が、該画像形成粒子と
上記粒子担持体との液架橋力等を上回って該画像形成粒
子を飛翔させるまでに、ある程度の時間を要するために
生ずるものであると推測される。
【0016】請求項3の発明においては、画像形成粒子
に対して上記粒子担持体上から飛翔させ得る応力を上記
所定期間に確実に付与する。
【0017】請求項4の発明は、請求項1又は2の画像
形成方法であって、上記交流電圧を印加又は重畳されな
い場合に形成画像の濃度が飽和するために必要とする上
記飛翔電圧の最低値、及び、該場合に上記粒子担持体と
上記飛翔制御電極との間にコロナ放電が発生し得る上記
飛翔電圧の最低値、よりも上記交流電圧と上記飛翔電圧
との加算値の最大値が小さくなることを特徴とするもの
である。
【0018】本発明において「最大値」とは、プラス及
びマイナスの極性にかかわらず最もゼロから遠ざかる数
字を有する値である。
【0019】請求項4の発明においては、形成画像の濃
度を飽和させるとともに上記粒子担持体と上記飛翔制御
電極との間におけるコロナ放電の発生を回避する。
【0020】請求項5の発明は、請求項1又は2の画像
形成方法であって、上記交流電圧の値が0[V]のとき
に、上記飛翔電圧と上記対向電圧との印加により上記粒
子担持体と上記飛翔制御電極との間に形成される電界の
向きが、該間に存在する画像形成粒子を上記対向電極に
向けて加速させる向きであり、且つ、非飛翔電圧と該対
向電圧との印加により該間に形成される電界の向きが、
該間に存在する画像形成粒子を該粒子担持体に向けて加
速させる向きであることを特徴とするものである。
【0021】本発明において「非飛翔電圧」とは、上記
粒子担持体又は該粒子担持体の近傍から画像形成粒子を
飛翔させないときに、上記飛翔制御電極に印加する電圧
を示すものであり、0[V]をも包含するものである。
【0022】請求項5の発明においては、上記非飛翔電
圧の印加時に上記粒子担持体と上記飛翔制御電極との間
に形成される電界の平均的な向きは、該間に存在する画
像形成粒子を粒子担持体に向けて加速する向きとなる。
即ち、上記非飛翔電圧の印加時に上記電界が上記粒子担
持体と上記飛翔制御電極との間に存在する画像形成粒子
に付与する平均応力は、該画像形成粒子を粒子担持体に
向けて加速させる。
【0023】請求項6の発明は、請求項1、2、3、4
又は5の画像形成方法であって、上記飛翔電圧と上記非
飛翔電圧との電位差が24[V]以下であることを特徴
とするものである。
【0024】請求項6の発明においては、上記飛翔電圧
のON/OFFを制御させるためのICドライバに、汎
用性に優れた24[V]のICドライバを用いることが
できる。
【0025】
【発明の実施の形態】まず、飛翔記録方式の画像形成方
法を用いる従来の画像形成装置として、本発明者らが試
作した飛翔記録方式のカラープリンタの一例について説
明する。図5は上記カラープリンタの要部の概略構成図
である。本カラープリンタでは、記録部材としての記録
紙7は給紙カセット9から呼び出しローラ10により給
紙され、記録紙搬送機能を備え、支持ローラ11、12
に支持されたベルト状の対向電極13の矢印方向の回動
により、飛翔制御電極4と開口部保持部材とが一体に形
成された基板14上に送られる。このベルト状対向電極
13としては、例えば、ニッケルベルトを用いることが
できる。このベルト状対向電極13に記録紙搬送機能を
持たせるには、例えば対向電極13に多数の孔を形成
し、図示しないバキューム装置により、紙を対向電極表
面に吸着する。そして、この基板14の上を水平に送ら
れる間に基板14の下方に配置された、上部に開口を有
する4つのトナー容器15から、制御電極による制御で
飛翔した導電性カラートナー(以下、導電性トナー又は
トナーという。)が付着して、記録紙7への記録が行わ
れる。
【0026】上記対向電極13には、導電性の支持ロー
ラ11を介して図示しない電圧印加手段により電圧が印
加されている。上記4つのトナー容器15はY、M、
C、BKの各色のトナーを収容している。
【0027】記録紙7に付着した導電性トナーは、定着
器としての熱ローラ16及び加圧ローラ17の間に送ら
れて画像を定着される
【0028】図6は、同カラープリンタの1色の、対向
電極13と上記基板14とトナー容器15内に設けられ
ている粒子担持体としてのトナー担持体1とを備えた記
録部の記録原理説明図である。上記基板14は、トナー
担持体1上のトナーに電界を与えることにより、該トナ
ーの飛翔を制御するためのものである。上記基板14
は、絶縁体である厚さ75[μm]の開口部保持部材と
してのポリイミドフィルム5(コダック製、商品名:カ
プトン)の両面に厚さ25[μm]の銅箔を接着し、そ
れぞれの銅箔表面に電極パターンを露光後にエッチング
し、最後に所定の位置にヤグレーザ等を用いて直径12
0[μm]の孔6を設けて形成することができる。そし
て、対向電極13側の上記銅箔を画像信号に応じて電圧
が印加される飛翔制御電極4とし、トナー担持体1側の
上記銅箔を、孔6の真下以外の部分で導電性トナーが飛
翔しないようにするためのシールド電極18とする。こ
のシールド電極18は、対向電極13と飛翔制御電極4
とに画像記録時の電圧を与えても孔54の直下以外の部
分のトナーに加わる電界が飛翔開始電界を下回って飛翔
が起こらないように、例えばトナー担持体1と同様に接
地しておく。また、図2の例では、対向電極13と飛翔
制御電極4との間隔は400[μm]、シールド電極1
8と導電性トナー層表面との間隔は50[μm]であ
る。
【0029】図6において、トナー担持体1とシールド
電極18は接地され、対向電極13には一定電圧、例え
ば−1200[V]が印加されている。また、飛翔制御
電極4にも一定の電圧、例えば−0[V]が印加されて
いる。このとき、導電性トナー層には飛翔が可能となる
程度の電界は与えられない。そして、記録紙7に記録を
行う場合には、図示しないICドライバより飛翔制御電
極4に例えば−350[V]のパルス電圧が加算され、
前記0[V]と重畳されて飛翔制御電極4に−350
[V]の飛翔電圧が印加されることとなる。この飛翔電
圧の印加により導電性トナー層表面に形成される電界が
導電性トナーの有する電荷に作用して静電力が生じ、こ
の静電力が導電性トナーに作用している導電性トナー間
あるいはトナー担持体1との付着力(鏡像力、ファンデ
ルワールス力、液架橋力及び重力等の和)を上回ると、
導電性トナーは導電性トナー層を離脱して点線で示す電
気力線に沿って飛翔し、記録紙7に付着して画像を形成
する。
【0030】この−350[V]という飛翔電圧の値は
本発明者らの鋭意研究により決定されたものである。本
発明者らの試験において、トナー担持体1上のトナーの
一部は飛翔制御電極4に−100[V]の電圧が印加さ
れた時点でトナー担持体1から飛翔を開始して記録紙7
上に付着するものの、十分量のトナーが飛翔して十分な
濃度の画像を形成するためには−350[V]の飛翔電
圧の印加が必要であった(以下、トナーが飛翔を開始す
る時点の飛翔電圧の値を飛翔開始電圧値と称する)。な
お、このように、飛翔開始電圧値が0[V]ではなく−
100[V]に達したときにトナーの飛翔が開始するの
は、上述のようにトナー担持体1上のトナーがトナー担
持体1に鏡像力、ファンデルワールス力、液架橋力及び
重力等で強く付着しているからである。また、飛翔開始
電圧値が−100[V]を超えた途端に全てのトナーが
一斉に飛翔を開始せず、飛翔電圧の増加とともに加速度
的に増加するのは、個々のトナー粒子の帯電量、粒径及
び形状等の差に起因して付着力に差があるからである。
【0031】次に、上記カラープリンタに用いられるト
ナー容器15について説明する。図7はトナー容器15
の内部の説明図である。このトナー容器15は上部に幅
4[mm]、長さ210[mm]の長方形の開口部を有す
る、幅10[mm]、高さ50[mm]、長さ220[mm]
のプラスチックの容器である。このトナー容器15にお
いては、対向電極13に向けた上記開口部から一部が露
出するように、前述のトナー担持体としてのトナー搬送
ローラ1が設けてある。該トナー搬送ローラ1は少なく
とも表面が絶縁性の材料で構成されている。例えば、直
径5[mm]のアルミ丸棒の表面にポリエステル樹脂が8
0[μm]コートされているものを用いる。上記トナー
搬送ローラ1には例えばゴム製のブレード2が当接して
おり、画像形成に用いられなかった未使用導電性トナー
が掻き落とされる。また、トナー容器15下部には導電
性トナー層を持ち上げるためのプラスチック平板などで
構成された移動台19と、該移動台19を移動させるた
めのスクリューシャフト20とが設けられている。この
スクリューシャフト20と上記トナー搬送ローラ1とは
図示しないギヤで図示しない本体のモータと連結されて
いる。そして、トナー搬送ローラ1は記録紙7の搬送速
度、例えば50[mm/sec]と同じ周速で回転さ
れ、スクリューシャフト20は、導電性トナーの消費量
に応じて不定期に間欠的に回転され、上記移動台19を
持ち上げる。また、トナー容器15の内壁21には導電
性塗料が塗布されている。 (以下、余白)
【0032】以上のように構成したトナー容器15にお
いて、導電性トナーとしては、例えば導電率が常温常湿
時で約10-4[S/cm]のリコー製、導電性トナーRI
FAX9000(商品名)を用いることができる。ここ
で、トナー搬送ローラ1に導電性トナーを供給する場合
には、トナー搬送ローラ1を接地し、上記導電性塗料が
塗布されたトナー容器の内壁21に直流電圧を印加し、
静電誘導により導電性トナー1に電荷を注入させる。そ
して、該電荷と上記直流電界により生じる静電力によ
り、上記導電性トナーを上記トナー搬送ローラ1に向け
て飛翔させる。
【0033】ところで、上述のように、本発明者らが試
作した上記カラープリンタを用いて十分な濃度の画像を
得るためには−350[V]の飛翔電圧の印加が必要と
なるので、この飛翔電圧のON/OFFを制御するため
のICも350[V]用の高価な高電圧IC(以下、H
VICと称する)が必要となる。さらに、このHVIC
は飛翔制御電極の数と同数必要となり、本発明に係る画
像形成方法を用いる画像形成装置のコスト増加をもたら
すことになる。
【0034】一方、飛翔電圧値を低減させながら十分な
濃度の画像を得るべくトナーをクラウド化させてしまう
と、飛散トナーの発生により上記カラープリンタ内部や
記録紙7を汚染してしまうという問題がある。
【0035】そこで、本発明者らは、トナーとクラウド
化させることなく飛翔電圧値の低減と十分な画像濃度の
確保とを実現すべく種々の試験を行った。以下、本発明
者らが行った試験について説明する。
【0036】まず、本発明者らはトナーとトナー担持体
1との付着力に着目した。上述のようにトナーとトナー
担持体1との付着力は、鏡像力、ファンデルワールス
力、液架橋力及び重力等の和である。そして、トナーを
トナー担持体1から飛翔させるためには最低でもこの付
着力を上回る応力を付与しなければならないことにな
る。上記和のうち、鏡像力は簡単に計算で求められる
が、ファンデルワールス力や液架橋力は計算が困難であ
る。但し、鏡像力を除いた付着力の値が実験的に求めら
れており、測定方法、測定条件、トナーの粒径、形状、
湿度及びトナー担持体1の材質等で変化するものの、概
ね1×10-10〜1×10-6[N]であることが報告さ
れている("Measurements of Adhesion Forces of Tone
r Particles byCentrifugal Method" By Manabu Takeuc
hi IS&T's Seventh International Congress on Advanc
es in Non-Impact Printing Technologies p200 199
1)。
【0037】本発明者らは上記付着力の値に基づいて非
帯電性トナーの最小付着力を5×10-9[N]と想定
し、トナー粒子飛翔シミュレーションプラグラムを用い
るコンピュータによりトナー飛翔のシミュレーションを
行った。以下、本発明者らが実施したトナー飛翔のシミ
ュレーションについて説明する。
【0038】図8は本シミュレーションで想定したトナ
ー担持体1、基板5及び対向電極13の構成(以下、記
録部構成と称する)を示す構成図である。図において、
L1は50[μm]、L2は20[μm]、L3は30
[μm]、L4は60[μm]、L5は400[μ
m]、L6は100[μm]である。なお、図8の構成
は上記カラープリンタの構成(図5及び図6参照)と若
干異なる。即ち、上記カラープリンタがトナーをトナー
担持体1から上方に飛翔させるのに対し、本シミュレー
ションでは基板14の下で記録紙7を搬送すべく、トナ
ーをトナー担持体1から下方に飛翔させる場合を想定し
ている。また、上記カラープリンタでは、トナー担持体
1における孔6の直下以外からのトナー飛翔を防止すべ
くシールド電極18を設けていたが、本シミュレーショ
ンでは構成をより単純にすべくシールド電極18を取り
除いた。
【0039】[シミュレーション1]上記記録部構成の
他に、次に示す式1〜式7までの条件の具備を想定して
シミュレーション1を実施した。なお、上記トナー飛翔
シミュレーションプログラムは、鏡像力と重力を考慮す
るように設計されている。
【式1】トナーの付着力=5.0×10-9[N]
【式2】 空気抵抗=1.8×10-5[kg/mxsec]
【式3】 トナーの帯電量=トナーの帯電量を−10[μC/g]
【式4】トナーの粒径=10[μm]
【式5】トナー粒子数=1個
【式6】対向電圧値=+1200[V]
【式7】飛翔電圧値=+10〜+90[V]
【0040】本シミュレーション1において、上記式7
に示されるように飛翔電圧の値を+10[V]から+9
0[V]まで、+10[V]ずつ順次増加させてトナー
の模擬飛翔状態を観察したが、トナーの模擬飛翔は認め
られなかった。+90[V]の飛翔電圧の印加を想定し
たときのトナーの模擬飛翔状態を模式図である図9に示
す。なお、図9において(a)は飛翔電圧印加直後のト
ナーの模擬飛翔状態を示し、以降、(b)から(f)ま
で50[μsec]経過毎の該模擬飛翔状態を順次示す
ものである(後述の図10から図16までについても同
様)。
【0041】[シミュレーション2]+100[V]の
飛翔電圧の印加を想定して、即ち、上記式7の条件を+
100[V]に変更してトナーの模擬飛翔をシミュレー
ション(以下、シミュレーション2と称する)したとこ
ろ、トナーの模擬飛翔を確認した。これは、実機におけ
るトナーの飛翔状態を高速度カメラで観察した結果と同
様であり、本シミュレーションで確認されるトナーの模
擬飛翔状態が実際のトナー飛翔状態に酷似していること
を示唆するものである。なお、本シミュレーション2に
おいて観察されたトナーの模擬飛翔状態を模式図である
図10に示す。
【0042】[シミュレーション3]上記式1から式6
まで、及び、次に示される式8から10まで、の条件具
備を想定してトナーの模擬飛翔をシミュレーションし
た。なお、本シミュレーション3では式9及び式10に
示されるように、トナー担持体1に200[V]の交流
電圧の印加を想定している。
【式8】飛翔電圧値=+90〜0[V]
【式9】トナー担持体6aへの交流電圧Vp−p値=2
00[V](+100V〜−100V)
【式10】上記交流電圧の周波数=100[kHz]
【0043】上記式8に示されるように、飛翔電圧の値
を+90[V]から0[V]まで+10[V]ずつ順次
減少させてトナーの模擬飛翔状態を観察したところ、全
ての値においてトナーの模擬飛翔を確認した。即ち、飛
翔開始電圧値の低減が認められた。0[V]の飛翔電圧
の印加を想定したときに観察されたトナーの模擬飛翔状
態を模式図である図11に、+50[V]の飛翔電圧の
印加を想定したときに観察されたトナーの模擬飛翔状態
を模式図である図12に、それぞれ示す。図11(a)
及び図12(a)に示されるように、本シミュレーショ
ンにおいて、トナーはクラウド化していない。即ち、ト
ナーをクラウド化させずに飛翔開始電圧値を低減するこ
とができた。従って、上記交流電圧は、飛翔電圧との相
乗作用によりトナー担持体1上のトナーを対向電極13
に向けて加速させたか、あるいはトナーとトナー担持体
1との付着力を低減したかのどちらかであると考えられ
る。
【0044】[シミュレーション4]上記交流電圧がト
ナーに与えた影響を確認すべく、上記式2から式6ま
で、並びに、次に示される式11及び式12の条件具備
を想定してトナーの模擬飛翔をシミュレーションした。
【式11】トナーの付着力=0[N]
【式12】飛翔電圧値=+50[V]
【0045】上記式11に示されるように、本シミュレ
ーション4においてはトナーとトナー担持体1との付着
力を考慮していない。また、式9の条件具備、即ち、上
記交流電圧の印加、を想定していない。本シミュレーシ
ョン4で観察されたトナーの模擬飛翔状態を模式図であ
る図13に示す。図13とシミュレーション3の図12
とを比較すると、トナーの模擬飛翔の状態が酷似してい
る。図13と図12との条件の相違点は、トナー付着力
の考慮の有無、及び、上記交流電圧の印加の有無、であ
る。即ち、トナーの付着力を考慮せず且つ上記交流電圧
の印加を想定しない場合(図13)と、トナーの付着力
を考慮し且つ該交流電圧の印加を想定した場合(図1
2)とでほぼ同一の結果を得ており、該交流電圧はトナ
ーとトナー担持体1との付着力を低減したものと考えら
れる。換言すれば、トナー担持体1に印加される上記交
流電圧はトナーとトナー担持体1との間の付着力を低減
するが、トナーを対向電極13に向けて飛翔させるため
には殆ど寄与していないと考えられる。従って、上記シ
ミュレーション3の図11(上記交流電圧及び0[V]
の飛翔電圧の印加を想定した場合)において、トナーは
+1200[V]の対向電圧の影響でトナー担持体1と
飛翔制御電極4との間に図面の下に向かって模擬形成さ
れた強度=2.5×105[V/m]の微弱な電界で模
擬飛翔したことになる。そして、図11におけるトナー
とトナー担持体との間の電界強度は、図10における該
間の電界強度の約1/6であるので、当然ながら図11
のトナーの模擬飛翔速度は図10の模擬飛翔速度よりも
遅い。また、トナー担持体1に交流電圧を印加しない場
合にトナー飛翔のために要求される電界強度は1.5×
106[V/m]であり、飛翔電圧値が0[V]である
ときの上記シミュレーション3の結果よりも約一桁大き
い値である。なお、対向電圧の影響を相殺してトナー担
持体1と飛翔制御電極4との間の電界強度を0[V/
m]にするためには、飛翔電圧値を−20[V]にする
必要がある。
【0046】[シミュレーション5]上記式1から式6
まで、上記式9から式10まで、及び、次に示される式
13、の条件具備を想定してトナーの模擬飛翔をシミュ
レーションした。なお、本シミュレーション5と上記シ
ミュレーション3との条件の相違点は飛翔電圧の値のみ
である。
【式13】飛翔電圧値=−10[V]
【0047】本シミュレーション5におけるトナーの模
擬飛翔状態を模式図である図14に示す。図に示される
ように、本シミュレーション5においてトナーの模擬飛
翔は認められなかった。本シミュレーション5において
も、トナー担持体1と飛翔制御電極4との間の電界は、
対向電圧の影響によってトナーを対向電極13に向けて
加速する方向に微弱に(電界強度=2.5×105[V
/m])形成される。しかし、飛翔電圧値=−10
[V]と上記交流電圧のピーク値(±100V)との電
位差の最大値は、トナーを対向電極13に向けて飛翔さ
せるように作用するプラス側で+90[V]であるの
で、トナーとトナー担持体1との付着力を上回る静電力
を発生させることができずにトナーの模擬飛翔をもたら
さなかった。即ち、上記記録部構成で対向電圧値=+1
200[V]、上記交流電圧のVp−p値=200
[V]の条件の場合には、飛翔電圧値=0[V]、及び
トナーを飛翔させないときに飛翔制御電極4に印加する
非飛翔電圧=−10[V]の条件で作像プロセスを実現
できることになる。そして、飛翔電圧の電位差が10
[V]であるので、飛翔制御電極4の電圧制御用ICド
ライバに汎用性に優れた安価な24[V]ICが使用で
きることになる。
【0048】上記シミュレーション3から5で想定した
トナーとトナー担持体1との付着力の値は、5×10-9
[N]であった。しかし、実際にはより強い付着力でト
ナー担持体1と付着しているトナーは多数存在し得る。
このため、トナーの模擬飛翔が確認された上記シミュレ
ーション3及び4における画像濃度は薄い。そこで、よ
り強い付着力を考慮すべく、次に示されるシミュレーシ
ョン6及び7を実施した。
【0049】[シミュレーション6]上記式2から式6
まで、及び、次に示される式14から17まで、の条件
具備を想定してトナーの模擬飛翔をシミュレーションし
た。
【式14】 トナーの付着力=5.0×10-9×2倍[N]
【式15】飛翔電圧値=0[V]
【式16】トナー担持体6aへの交流電圧Vp−p値=
200又は400[V]
【式17】上記交流電圧の周波数=100[kHz]
【0050】本シミュレーション6において、上記Vp
−p値=200[V]の場合にはトナーの模擬飛翔が認
められず、上記Vp−p値=400[V]の場合にトナ
ーの模擬飛翔が認められた。
【0051】[シミュレーション7]上記式2から式6
まで、上記式15、上記式17、並びに、次に示される
式18及び式19、の条件具備を想定してトナーの模擬
飛翔をシミュレーションした。
【式18】 トナーの付着力=5.0×10-9×3倍[N]
【式19】トナー担持体6aへの交流電圧Vp−p値=
400又は600[V]
【0052】本シミュレーション7において、上記Vp
−p値=400[V]の場合にはトナーの模擬飛翔が認
められず、上記Vp−p値=600[V]の場合にトナ
ーの模擬飛翔が認められた。なお、上記Vp−p値=6
00[V]の場合におけるトナーの模擬飛翔状態を模式
図である図15に示す。
【0053】また、本シミュレーション7において、非
飛翔電圧値を上記シミュレーション5と同様に−10
[V]に設定すると、トナー担持体1と飛翔制御電極4
との間に平均して(上記交流電源が0[V]のとき)対
向電極13に向かう電界を形成させ、低付着力のトナー
を飛翔させて汚れを発生させることが判明した。そこ
で、平均してトナー担持体1に向かう電界を形成させ、
トナー担持体1から瞬間的に離間させたトナーをトナー
担持体1に再度戻すべく、飛翔電圧値を−24[V]に
設定した。なお、このときの平均電界はトナー担持体1
の方向に1.02×105[V/m]である。このとき
のトナーの模擬飛翔状態を模式図である図16に示す。
図に示されるように、非飛翔電圧印加時のトナーの飛翔
を回避することができた。
【0054】本シミュレーション7の結果より、画像信
号に基づいて記録部材7上に画像を形成する場合にはト
ナーを飛翔制御電極4の方向に加速するような電界を形
成し得る飛翔電圧を印加し、高い値の上記交流電圧をト
ナー担持体1に印加することで、付着力の小さなトナー
のみならず大きなトナーをも飛翔させて高濃度の画像形
成を実現できることが判明した。しかも、飛翔電圧制御
用のICドライバに24[V]のICを使用できること
は明らかである。なお、上記交流電圧を印加しない従来
の方式では、記録部材7上に非画像部を形成させるとき
にはトナー飛翔を起こさない値の範囲で飛翔電圧を印加
すればよく、トナー担持体7と飛翔制御電極4との間に
飛翔制御電極4に向かう電界を形成させても問題はなか
った。
【0055】トナー担持体1上の全てのトナーを飛翔さ
せるためには、上記交流電圧のVp−p値をより高く設
定することが望ましいが、最大の付着力を有するトナー
を飛翔させる以上に静電力を発生させる必要はない。ま
た、トナー担持体1と飛翔制御電極4との間でコロナ放
電を発生させ得るVp−p値の交流電圧は危険であるの
で印加されるべきでない。従って、トナー担持体1に上
記交流電圧を印加せず(トナー担持体1を接地し)、直
流電圧である飛翔電圧を徐々に上昇させたときにコロナ
放電を発生させずにトナー担持体1上のトナーを全て飛
翔させて対向電極13に転移させるようなVp−p値が
理想的なVp−p値の最大値である。しかし、個々のト
ナー粒子の付着力は上述したように1×10-10〜1×
10-6[N]と非常に幅広い範囲で分布しているので、
全てのトナーをトナー担持体1から飛翔させることは不
可能であり、実際には300〜500[V]の飛翔電圧
の印加で約半分量のトナーを飛翔させることができる。
【0056】図17に上記Vp−p値=600[V]、
上記交流電圧の周波数=100[kHz]、飛翔電圧値
=0及び−24[V]、及び、対向電圧+1200
[V]の条件でシミュレーションを実施したときにおけ
る、トナー担持体1と飛翔制御電極4との間の電界E、
及び、トナーのトナー担持体1からの離間距離Y、の経
時的変化を示すグラフを示す。図において、正方形は飛
翔電圧値=0[V]のときにおける離間距離Yを、×印
は非飛翔電圧値=−24[V]のときにおける離間距離
Yを、菱形は飛翔電圧値=0[V]のときにおける電界
Eを、三角形は非飛翔電圧値=−24[V]のときにお
ける電界Eを、それぞれ示す。即ち、飛翔電圧の印加を
想定したときにおける離間距離Yと電界Eとを正方形と
菱形で示し、非飛翔電圧の印加を想定したときの離間距
離Yと電界Eとを×印と三角形とで示している。図に示
されるように、飛翔電圧の印加時には、上記交流電圧1
周期あたりにおけるトナーのトナー担持体1方向への移
動距離が対向電極13方向への移動距離よりも小さく、
トナーはトナー担持体1から徐々に離れて行く。即ち、
電界がトナー担持体1に向かう方向に反転したときにお
けるトナーのトナー担持体1方向への戻り量が少ない。
一方、非飛翔電圧の印加時には、上記交流電圧1周期あ
たりにおけるトナーのトナー担持体1方向への移動距離
と、対向電極13方向への移動距離とがほぼ同等で、ト
ナーは微細な揺動幅でトナー担持体1との接触と離間と
を繰り返している。トナー担持体1上におけるトナーの
微小な揺動幅は0.5[μm]以下である。即ち、トナ
ーはクラウド化しておらず、上記交流電圧により移動量
を制御されているので、交流電圧の印加によりトナーを
クラウド化させる従来の技術のように飛散トナーの発生
により画像形成装置内部や記録部材を汚染するようなこ
とはない。
【0057】以上、トナー担持体1に交流電圧を印加し
たシミュレーションについて説明したが、飛翔電圧に交
流電圧を重畳して交流電圧を印加するような態様にも本
発明の適用が可能であることは言うまでもない。
【0058】次に、以上の各シミュレーション結果の正
当性を確認すべく、即ち、飛翔電圧を低減し、トナー担
持体1上のトナーをクラウド化させて機内に拡散させ
ず、且つ、十分な画像濃度を維持することができること
を実証すべく、次に示すような種々の実験を行った。
【0059】図18(a)及び(b)は、各実験に用い
られた実験装置の概略構成図である。図に示されるよう
に、本実験装置は粒子担持体1と、直径が10[mm]
で深さ1[mm]の窪みを有する基板電極22と、対向
電極13と、直流電源23と、交流電源24とから構成
されている。本実験においては、電荷注入で帯電させた
直径50[μm]の球形導電性粒子をトナーのかわりに
用いた。
【0060】まず、各実験に係る実験前準備のプロセス
について説明する。実験前準備は次のようなプロセスは
に従って行われる。即ち、まず、該球形導電性粒子を上
記窪みに充填させた基板電極22を1[mm]の間隙L
で粒子担持体1に対向配置し、この基板電極22を接地
した。そして、適当量の上記球形導電性粒子を粒子担持
体1に担持させるべく、粒子担持体1に+500[V]
の直流電圧を印加した。この印加により、基板電極22
から上記窪み中の球形導電性粒子に負電荷が注入され、
球形導電性粒子は負に帯電して粒子担持体1に飛翔・付
着する(図18(a))。次いで、基板電極22を取り
除き、代わりに薄い絶縁性テープを被服した対向電極1
3を粒子担持体1に同様の間隙で対向配置する。そして
最後に、粒子担持体1に交流電源24を接続し、対向電
極13に直流電源23を接続する(図18(b))。な
お、上記直流電圧印加時における球形導電性粒子の帯電
量Q/mは−1.5[μC/g]であり、粒子担持体1
への付着量は約2.5[mg]である。また、粒子担持
体1に付着させた球形導電性粒子に粒子担持体1からの
逆電荷を注入させて球形導電性粒子を逆飛翔させないよ
うに、粒子担持体1には薄い絶縁性テープ1aを被服し
ている。また、直流電圧の印加時間は0.1[mse
c]以上であればよい。
【0061】次に、各実験について説明する。 [実験1]粒子担持体1に交流電源24による交流電圧
を印加せずに、対向電極13に直流電源23による直流
電圧(対向電圧)を0[V]から50[V]刻みで徐々
に上昇させながら印加した。すると、対向電圧を+35
0[V]に上昇させた時点で粒子担持体1からの球形導
電性粒子の飛翔が認められた。本実験1において、上記
カラープリンタのように+100[V]で飛翔を開始し
ないのは、本実験装置の構成が該カラープリンタの構成
に比べて、粒子担持体1と対向電極13とのギャップが
大きく(1[mm])、球形導電性粒子の粒径が大きく
(50[μm])、且つ、電極構造が異なるためであ
る。
【0062】[実験2]粒子担持体1への交流電圧を、
Vp−p値=+1000[V]、周波数=1[kHz]
に設定し、対向電圧の値を上記実験1と同様に徐々に上
昇させたところ、飛翔開始電圧は200[V]に減少し
た。なお、本実験2における導電性粒子の飛翔量及び残
量(非飛翔量)と対向電圧の値との関係を模式図である
図19に示す。
【0063】[実験3]粒子担持体1への交流電圧を、
Vp−p値=+1500[V]、周波数=1[kHz]
に設定し、対向電圧の値を上記実験1と同様に徐々に上
昇させたところ、飛翔開始電圧は更に150[V]に減
少した。
【0064】[実験4]粒子担持体1への交流電圧を、
Vp−p値=+2000[V]、周波数=1[kHz]
に設定したところ、この交流電圧を印加しただけで、即
ち、直流電圧を印加する前に、粒子担持体1上の全ての
球形導電性粒子を対向電極13に付着させることなく消
失させてしまった。実験装置の側方からの観察により、
交流電圧を印加した途端に球形導電性粒子のクラウド化
を確認したので、球形導電性粒子を室内に拡散飛翔させ
たものと考えられる。
【0065】[実験5]粒子担持体1への交流電圧を、
Vp−p値=+2000[V]、周波数=3[kHz]
に設定したところ、直流電圧=0[V]で消失するトナ
ー量を半減させた。但し、半分量を消失させた。
【0066】[実験6]粒子担持体1への交流電圧を、
Vp−p値=+2000[V]、周波数=5[kHz]
に設定したところ、直流電圧=0[V]で消失するは認
められなかった。そこで、実験1と同様に対向電圧を徐
々に上昇させた結果、飛翔開始電圧は+150[V]で
あった。 (以下、余白)
【0067】[実験7]粒子担持体1への交流電圧を、
Vp−p値=+2000[V]、周波数=10[kH
z]に設定したところ、上記実験5と同様に直流電圧=
0[V]で消失するは認められなかった。そこで、実験
5と同様に対向電圧を徐々に上昇させた結果、安定した
飛翔開始電圧を確認することができなかった。即ち、球
形導電性粒子を、対向電圧値=+50[V]で半分量の
球形導電性粒子を飛翔させたり、対向電圧値=+100
[V]で全く飛翔させなかったり、対向電圧値=+15
0[V]及び+200[V]で飛翔を認めたときもあれ
ば認めないときもあったり、と結果が安定しなかった。
但し、対向電圧値=+250[V]の場合には球形導電
性粒子を確実に飛翔させた。
【0068】[実験8]粒子担持体1への交流電圧を、
Vp−p値=+1500[V]、周波数=5[kHz]
に設定し、対向電圧の値を上記実験1と同様に徐々に上
昇させたところ、飛翔開始電圧は200[V]であっ
た。 (以下、余白)
【0069】実験1から8までの結果を次の表1にまと
めて示す。
【表1】
【0070】これら実験1から8までの結果より、トナ
ー担持体1上のトナーをクラウド化させずに飛翔開始電
圧を+350[V]から+150[V]に低減できる交
流電圧の印加条件を確認することができた。即ち、上記
各シミュレーションの正当性が実証された。
【0071】以上、トナー担持体1(粒子担持体1)上
の電荷注入トナーを用いた場合について説明してたが、
電荷注入のみならず摩擦帯電トナーを用いた場合でも本
発明の適用が可能であることは言うまでもない。
【0072】
【発明の効果】請求項1又は2の発明によれば、画像形
成粒子をクラウド化させることなく上記飛翔電圧の値を
小さくすることができるので、低い飛翔制御電圧で画像
形成粒子を飛翔させることができ、且つ、画像形成粒子
の飛散を軽減することができるという優れた効果があ
る。
【0073】請求項3の発明によれば、画像形成粒子に
対して上記粒子担持体上から飛翔させ得る応力を上記所
定期間に確実に付与するので、画像形成粒子を該粒子担
持体から確実に飛翔させて画像を形成することができる
という優れた効果がある。
【0074】請求項4の発明によれば、形成画像の濃度
を飽和させるとともに上記粒子担持体と上記飛翔制御電
極との間におけるコロナ放電の発生を回避するので、飽
和濃度の画像を維持しつつコロナ放電による人体や各機
器の損傷を回避することができるという優れた効果があ
る。
【0075】請求項5の発明によれば、上記非飛翔電圧
の印加時に上記電界が上記粒子担持体と上記飛翔制御電
極との間に存在する画像形成粒子に付与する平均応力
は、該画像形成粒子を粒子担持体に向けて加速させるの
で、記録部材の非画像部に画像形成粒子を付着させる地
汚れを回避することができるという優れた効果がある。
【0076】請求項6の発明によれば、汎用性に優れた
24[V]のICドライバを用いることができるので、
本発明を用いる画像形成装置の製造コストを確実に低減
することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】特開昭58−44457号の画像形成方法を説
明する説明図。
【図2】特開昭58−44457号の画像形成方法を説
明する説明図。
【図3】特開昭58−172664号の画像形成方法を
説明する説明図。
【図4】特開昭63−246259号の画像形成方法を
説明する説明図。
【図5】本発明者らが試作した従来のカラープリンタに
おける要部の概略構成図。
【図6】同カラープリンタの記録部の記録原理説明図。
【図7】同カラープリンタのトナー容器6内部の説明
図。
【図8】トナー模擬飛翔のシミュレーションで想定した
記録部構成を示す構成図。
【図9】シミュレーション1におけるトナーの模擬飛翔
状態を示す模式図。
【図10】シミュレーション2におけるトナーの模擬飛
翔状態を示す模式図。
【図11】シミュレーション3におけるトナーの模擬飛
翔状態を示す模式図。
【図12】シミュレーション3におけるトナーの模擬飛
翔状態を示す模式図。
【図13】シミュレーション4におけるトナーの模擬飛
翔状態を示す模式図。
【図14】シミュレーション5におけるトナーの模擬飛
翔状態を示す模式図。
【図15】シミュレーション7におけるトナーの模擬飛
翔状態を示す模式図。
【図16】シミュレーション7におけるトナーの模擬飛
翔状態を示す模式図。
【図17】飛翔電圧印加時及び非飛翔電圧印加時におけ
る電界Eとトナーの移動距離Yとの関係を示すグラフ。
【図18】(a)及び(b)はそれぞれ本実験に用いら
れた実験装置の構成を示す概略構成図。
【図19】実験2における導電性粒子の飛翔量及び残量
(非飛翔量)と対向電圧の値との関係を示す模式図。
【符号の説明】
1 粒子担持体 2 ブレード 3 ベース電極 4 飛翔制御電極 5 開口部保持部材 6 孔 7 搬送装置 8 磁気ブラシ 9 給紙カセット 10 呼び出しローラ 11 支持ローラ 12 支持ローラ 13 対向電極 14 基板 15 トナー容器 16 熱ローラ 17 加圧ローラ 18 シールド電極 19 移動台 20 スクリューシャフト 21 内壁 22 基板電極 23 直流電源 24 交流電源 25 導電性トナー 26 絶縁部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C162 AE25 AE31 AE74 AE84 AF13 AF16 AF69 AF70 CA02 CA12 CA24 2H029 AB16 AC06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の微小開口部を互いに独立あるいは一
    連に設けた開口部保持部材と、該開口部保持部材に対し
    て一体又は別体に設けた複数の飛翔制御電極とを、画像
    形成粒子を担持させる粒子担持体と、該粒子担持体に対
    向させて設けた対向電極との間に配設しておき、画像情
    報に基づいて、該対向電極に対向電圧を、任意の該飛翔
    制御電極に飛翔電圧を、それぞれ印加することで、該粒
    子担持体上の画像形成粒子を選択的に飛翔させ、飛翔さ
    せた画像形成粒子の一部を任意の微小開口部を通して該
    対向電極側に移行させ、更に、該対向電極の表面、該対
    向電極上の絶縁体の表面、又は、該対向電極上の記録部
    材の表面に付着させて画像を形成する画像形成方法にお
    いて、該粒子担持体に担持させた画像形成粒子をクラウ
    ド化させないピーク・ツウ・ピーク値と周波数との組み
    合わせで、交流電圧を該粒子担持体に印加することを特
    徴とする画像形成方法。
  2. 【請求項2】複数の微小開口部を互いに独立あるいは一
    連に設けた開口部保持部材と、該開口部保持部材に対し
    て一体又は別体に設けた複数の飛翔制御電極とを、画像
    形成粒子を担持させる粒子担持体と、該粒子担持体に対
    向させて設けた対向電極との間に配設しておき、画像情
    報に基づいて、該対向電極に対向電圧を、任意の該飛翔
    制御電極に飛翔電圧を、それぞれ印加することで、該粒
    子担持体上の画像形成粒子を選択的に飛翔させ、飛翔さ
    せた画像形成粒子の一部を任意の微小開口部を通して該
    対向電極側に移行させ、更に、該対向電極の表面、該対
    向電極上の絶縁体の表面、又は、該対向電極上の記録部
    材の表面に付着させて画像を形成する画像形成方法にお
    いて、該粒子担持体に担持させた画像形成粒子をクラウ
    ド化させないピーク・ツウ・ピーク値と周波数との組み
    合わせで、交流電圧を該飛翔電圧に重畳するか、又は、
    交流電圧を該飛翔制御電極と別体に設けた電極部材に印
    加することを特徴とする画像形成方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2の画像形成方法であって、
    上記交流電圧を印加又は重畳されない場合に画像形成粒
    子が上記粒子担持体から飛翔するために必要とする上記
    飛翔電圧の最低値よりも、上記交流電圧と上記飛翔電圧
    との加算値が該交流電圧の一周期毎の所定期間において
    大きくなり、且つ、該最低値に係る最低印加期間又は最
    低重畳期間よりも該所定期間が長いことを特徴とする画
    像形成方法。
  4. 【請求項4】請求項1又は2の画像形成方法であって、
    上記交流電圧を印加又は重畳されない場合に形成画像の
    濃度が飽和するために必要とする上記飛翔電圧の最低
    値、及び、該場合に上記粒子担持体と上記飛翔制御電極
    との間にコロナ放電が発生し得る上記飛翔電圧の最低
    値、よりも上記交流電圧と上記飛翔電圧との加算値の最
    大値が小さくなることを特徴とする画像形成方法。
  5. 【請求項5】請求項1又は2の画像形成方法であって、
    上記交流電圧の値が0[V]のときに、上記飛翔電圧と
    上記対向電圧との印加により上記粒子担持体と上記飛翔
    制御電極との間に形成される電界の向きが、該間に存在
    する画像形成粒子を上記対向電極に向けて加速させる向
    きであり、且つ、非飛翔電圧と該対向電圧との印加によ
    り該間に形成される電界の向きが、該間に存在する画像
    形成粒子を該粒子担持体に向けて加速させる向きである
    ことを特徴とする画像形成方法。
  6. 【請求項6】請求項1、2、3、4又は5の画像形成方
    法であって、上記飛翔電圧と上記非飛翔電圧との電位差
    が24[V]以下であることを特徴とする画像形成方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009039976A (ja) * 2007-08-09 2009-02-26 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JP2009039977A (ja) * 2007-08-09 2009-02-26 Ricoh Co Ltd 画像形成装置

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