WO2024111447A1 - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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大輔 野田
秀夫 中川
真治 入船
美由紀 原田
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信越化学工業株式会社
学校法人 関西大学
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Abstract

本発明は、エポキシ樹脂組成物であって、(A)エポキシ基を1分子内に2つ以上含むエポキシ樹脂、(B)下記式(1)で表されるウレタン結合含有ポリオルガノシロキサン、(C)下記式(2)で表されるメソゲン基含有ポリオルガノシロキサン、(D)エポキシ樹脂硬化剤を含むものであることを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。これにより、ポリオルガノシロキサンを含むエポキシ樹脂組成物が提供される。

Description

エポキシ樹脂組成物
 本発明は、エポキシ樹脂組成物に関する。
 エポキシ樹脂は、その優れた機械的強度、電気絶縁性、耐熱性、耐薬品性、耐水性、低収縮性、接着性により、様々な分野で利用されている。近年、エポキシ樹脂における性能要求が高まっており、エポキシ樹脂の課題である靭性の低さについて開発が進められている(特許文献1~4)。
 エポキシ変性シリコーンは、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンであり、エポキシ基の反応性を利用した樹脂改質剤、繊維処理剤、塗料添加剤等の用途に使用されている。また、エポキシ樹脂に柔軟性を付与する効果も期待されるが、硬化剤などの他の極性化合物との相溶性が悪く、分離してしまうという課題があった。
 特許文献5には、両末端にエポキシ基を導入したウレタン結合を有するシリコーンについて記載されている。その実施例ではビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂と混合した際に透明な溶液が得られ、硬化剤との反応により硬化物が得られることが報告されている。しかし、このシリコーンを添加することで、エポキシ樹脂自体のガラス転移点(Tg)が下がってしまうため、耐熱性が悪化する問題がある。
 特許文献6では、メソゲン基を有するエポキシ樹脂が開示されており、作業性に優れ、機械的特性、熱的特性、化学的特性が優れていることが報告されている。しかしながら、前記エポキシ樹脂とビスフェノール型エポキシ樹脂などの一般的なエポキシ樹脂と混合した際、各物性がどのように変化するかは明らかではなかった。
特開2008-239890号公報 特表2014-505761号公報 特表2017-536440号公報 国際公開第2018/008741号 特開1986-228015号公報 特開2008-214599号公報
 本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ポリオルガノシロキサンを含むエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
 上記課題を解決するために、本発明では、エポキシ樹脂組成物であって、
(A)エポキシ基を1分子内に2つ以上含むエポキシ樹脂、
(B)下記式(1)で表されるウレタン結合含有ポリオルガノシロキサン、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
(前記式(1)において、Rは、互いに独立して炭素数1~12のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、及び炭素数7~12のアラルキル基から選ばれる基又は水酸基を示し、Xは、互いに独立して、炭素数1~10の2価のアルキレン基であり、Yは、互いに独立して、炭素数5~30のエーテル結合を有してもよいアルキレン基、炭素数6~30のアリーレン基、及び炭素数7~30のアラルキレン基から選ばれる基であり、Zは、互いに独立して炭素数1~20のエーテル結合を有してもよいアルキレン基であり、nは0~100の整数、mは1~10である。)
(C)下記式(2)で表されるメソゲン基含有ポリオルガノシロキサン、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
(前記式(2)において、Rは、互いに独立して炭素数1~12のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、及び炭素数7~12のアラルキル基から選ばれる基又は水酸基を示し、pは、シロキサン構造の繰り返し単位を示し、0~100の整数であり、Rは、互いに独立して下記式(3)または式(4)を示す。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
(前記式(3)及び前記式(4)において、RおよびRは、互いに独立して、水素原子、又は炭素数1~10の1価の炭化水素基を示し、Lは、前記式(2)との連結基であって、炭素数1~12の2価の炭化水素基であり、a及びbは、前記式(3)及び前記式(4)におけるフェニル基の置換基の数を表し、0~4の整数であり、Gは、グリシジルエーテル基である。)
(D)エポキシ樹脂硬化剤
を含むものであるエポキシ樹脂組成物を提供する。
 このようなエポキシ樹脂組成物であれば、諸特性に優れるポリオルガノシロキサンを含むエポキシ樹脂組成物となる。
 また、本発明では、前記(A)成分100質量部に対して、前記(B)成分を1~20質量部、前記(C)成分を1~20質量部含むものであることが好ましい。
 このようなエポキシ樹脂組成物であれば、エポキシ樹脂の硬化物としての強度や接着力が十分に得られる。また、Tgが低下するのを抑えられるため、高い耐熱性が維持できる。
 また、本発明では、前記(B)成分のポリスチレン標準物質換算における数平均分子量が、500~100,000であることが好ましい。
 このようなエポキシ樹脂組成物であれば、海島構造の島構造を構成する構造体の大きさが大きくなりすぎず、ミクロ相分離を形成することができる。また、この範囲内で数平均分子量を選ぶことで、島構造体の大きさを制御できる。
 また、本発明では、前記(B)成分のエポキシ当量(g/モル)が、300~5,000g/モルであることが好ましい。
 このようなエポキシ樹脂組成物であれば、海島構造の島構造を構成する構造体の大きさが大きくなりすぎず、ミクロ相分離を形成することができる。また、この範囲内でエポキシ当量を選ぶことで、島構造体の大きさを制御できる。
 また、本発明では、前記(B)成分が、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)を総量で3,000ppm以下含むものであることが好ましい。
 これら環状低分子シロキサンを低減することで、低分子成分が硬化物表面にブリードアウトすることによる接着性の低下や、低分子成分の揮発による周辺環境の汚染などを回避することができる。
 また、本発明では、前記(C)成分のポリスチレン標準物質換算における数平均分子量が、500~100,000であることが好ましい。
 このような分子量であれば、両末端のエポキシ基が硬化剤と反応し、硬化物を得るのに十分な分子量となる。
 また、本発明では、前記(C)成分のエポキシ当量(g/モル)が、300~5,000g/モルであることが好ましい。
 このようなエポキシ当量であれば、両末端のエポキシ基が(C)エポキシ樹脂硬化剤と反応し、良好な物性の硬化物を得るのに十分な量となる。
 また、本発明では、前記(C)成分が、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)を総量で3,000ppm以下含むものであることが好ましい。
 これら環状低分子シロキサンを低減することで、低分子成分が硬化物表面にブリードアウトすることによる接着性の低下や、低分子成分の揮発による周辺環境の汚染などを回避することができる。
 また、本発明では、前記(A)エポキシ樹脂が、ビスフェノール型エポキシ樹脂であることが好ましい。
 このようなエポキシ樹脂組成物であれば、各種選択されて使用されているビスフェノール型エポキシ樹脂の特性を強化でき、ビスフェノール型エポキシ樹脂単体で用いる場合よりも、伸び特性と引張剪断強度の両方を増大させることができるエポキシ樹脂組成物となる。
 また、本発明では、前記(D)エポキシ樹脂硬化剤が、アミン系硬化剤であることが好ましい。
 このようなエポキシ樹脂組成物であれば、良好な硬化特性が得られる。
 また、本発明では、さらに(E)充填剤を含むものであることが好ましい。
 このようなエポキシ樹脂組成物であれば、機械強度を補強することができる。
 本発明は、ポリオルガノシロキサンを含むエポキシ樹脂組成物に関するものである。さらに詳しくは、両末端にエポキシ基を有し、主鎖にウレタン結合を有するポリオルガノシロキサン、及び両末端にエポキシ基を有し、主鎖にメソゲン基を有するポリオルガノシロキサンを含むエポキシ樹脂組成物に関するものである。
 本発明のエポキシ樹脂組成物は、所定の構造と配合により、硬化物を作製した際に相分離することなく分散し、硬化物の耐熱性を低下させずに、靭性を向上させ、また基材間で硬化物を作製した場合には良好な接着力を示すため、有用性が高い。また、低分子環状シロキサン類について、これらを低減することで硬化物作製の際に、これらが揮発拡散することによる装置への堆積や機器の不具合などを未然に防ぐことができる。
 上述のように、良好な特性を有するポリオルガノシロキサンを含むエポキシ樹脂組成物の開発が求められていた。
 本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、(A)エポキシ樹脂、(B)ウレタン結合含有ポリオルガノシロキサン、(C)メソゲン基含有ポリオルガノシロキサン、(D)エポキシ樹脂硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
 即ち、本発明は、エポキシ樹脂組成物であって、
(A)エポキシ基を1分子内に2つ以上含むエポキシ樹脂、
(B)下記式(1)で表されるウレタン結合含有ポリオルガノシロキサン、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
(前記式(1)において、Rは、互いに独立して炭素数1~12のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、及び炭素数7~12のアラルキル基から選ばれる基又は水酸基を示し、Xは、互いに独立して、炭素数1~10の2価のアルキレン基であり、Yは、互いに独立して、炭素数5~30のエーテル結合を有してもよいアルキレン基、炭素数6~30のアリーレン基、及び炭素数7~30のアラルキレン基から選ばれる基であり、Zは、互いに独立して炭素数1~20のエーテル結合を有してもよいアルキレン基であり、nは0~100の整数、mは1~10である。)
(C)下記式(2)で表されるメソゲン基含有ポリオルガノシロキサン、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
(前記式(2)において、Rは、互いに独立して炭素数1~12のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、及び炭素数7~12のアラルキル基から選ばれる基又は水酸基を示し、pは、シロキサン構造の繰り返し単位を示し、0~100の整数であり、Rは、互いに独立して下記式(3)または式(4)を示す。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000011
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000012
(前記式(3)及び前記式(4)において、RおよびRは、互いに独立して、水素原子、又は炭素数1~10の1価の炭化水素基を示し、Lは、前記式(2)との連結基であって、炭素数1~12の2価の炭化水素基であり、a及びbは、前記式(3)及び前記式(4)におけるフェニル基の置換基の数を表し、0~4の整数であり、Gは、グリシジルエーテル基である。)
(D)エポキシ樹脂硬化剤
を含むものであるエポキシ樹脂組成物である。
[エポキシ樹脂組成物]
 本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)ウレタン結合含有ポリオルガノシロキサン、(C)メソゲン基含有ポリオルガノシロキサン、及び(D)エポキシ樹脂硬化剤を含む、エポキシ樹脂組成物である。
 以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[(A)エポキシ樹脂]
 本発明における(A)エポキシ樹脂は、エポキシ基を1分子内に2つ以上含むものである。このエポキシ樹脂は、公知のエポキシ樹脂を用いることができ、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、3,4-エポキシシクロヘキセニルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキセンカルボキシレートなどの脂環式エポキシ樹脂;レゾルシノール型エポキシ樹脂などの多官能フェノール型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂、トリフェノールアルカン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂及びアントラセン等の多環芳香族類のジグリシジルエーテル化合物、等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。好ましくは、ビスフェノール型エポキシ樹脂である。なお、本発明において、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分はそれぞれ異なるものである。
 (A)のエポキシ樹脂のエポキシ当量については、特に限定されるものではないが、混合後における可使時間や硬化物の強度などの観点から、固形分当りの換算で、50~5,000g/eqが好ましく、75~2,500g/eqがより好ましい。
 (A)のエポキシ樹脂の粘度については、特に限定されるものではないが、25℃で液状であることが好ましく、粘度10~100,000mPa・s、好ましくは20~50,000mPa・sである。前記粘度はB型粘度計を用いて測定される。
[(B)ウレタン結合含有ポリオルガノシロキサン]
 本発明における(B)ウレタン結合含有ポリオルガノシロキサンは、下記式(1)で表されるものである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000013
(前記式(1)において、Rは、互いに独立して炭素数1~12のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、及び炭素数7~12のアラルキル基から選ばれる基又は水酸基を示し、Xは、互いに独立して、炭素数1~10の2価のアルキレン基であり、Yは、互いに独立して、炭素数5~30のエーテル結合を有してもよいアルキレン基、炭素数6~30のアリーレン基、及び炭素数7~30のアラルキレン基から選ばれる基であり、Zは、互いに独立して炭素数1~20のエーテル結合を有してもよいアルキレン基であり、nは0~100の整数、mは1~10である。)
 式(1)において、Rは、互いに独立して炭素数1~12、好ましくは炭素数1~8のアルキル基、炭素数6~12、好ましくは6~9のアリール基、及び炭素数7~12、好ましくは7~10のアラルキル基から選ばれる基、又は水酸基が挙げられる。その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。中でも、メチル基又はフェニル基が好ましい。
 式(1)において、Xは、互いに独立して炭素数1~10、好ましくは1~8のアルキレン基である。
 炭素数1~10のアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、n-ヘキシレン基、n-オクチレン基等が挙げられる。好ましくはメチレン基である。
 式(1)において、Yは、互いに独立して、炭素数5~30のアルキレン基、炭素数6~30のアリーレン基、炭素数7~30のアラルキレン基から選ばれる基である。
 炭素数5~30のアルキレン基としては、直鎖、分岐鎖、環状のいずれでもよく、その具体例としては、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基、n-オクチレン基、2-エチルヘキシレン基、n-デシレン基、n-ウンデシレン基、n-ドデシレン基、n-トリデシレン基、n-テトラデシレン基、n-ペンタデシレン基、n-ヘキサデシレン基、n-ヘプタデシレン基、n-オクタデシレン基、n-ノナデシレン基、n-エイコサニレン基等の直鎖又は分岐鎖アルキレン基が挙げられる。
 また、前記アルキレン基は、分子鎖の途中に1個以上のエーテル結合を有してもよい。具体的には、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基等のエーテル結合を含む基であり、エーテル結合が複数あってもよい。
 炭素数6~30のアリーレン基としては、o-フェニレン基、m-フェニレン基、p-フェニレン基、3,5-トリレン基、2,4-トリレン基、2,6-トリレン基、1,2-ナフチレン基、1,8-ナフチレン基、2,3-ナフチレン基、4,4’-ビフェニレン基、4,4’-メチレンビスフェニル基等が挙げられる。
 炭素数7~30のアラルキレン基としては、o-キシリレン基、m-キシリレン基、p-キシリレン基、1,3-フェニレンビス(2-プロピル)基等が挙げられる。
 前記Yとして、好ましくは以下の基が挙げられる。点線は式(1)におけるウレタン結合の窒素原子との結合箇所を示し、慣例により水素原子は省略する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000014
 式(1)において、Zは、互いに独立して炭素数1~20、好ましくは3~10のアルキレン基である。なお、炭素数1~20のアルキレン鎖中に1個以上のエーテル結合が介在していてもよい。好ましくはプロピレン基(-CHCHCH-)、エチレンオキシプロピレン基(*-CHCHOCHCHCH-)である。ただし、*は前記式(1)におけるウレタン結合の酸素原子との結合を示す。
 式(1)において、nは、0~100の整数を示す。好ましくは、nは0~60の整数である。
 式(1)において、mは、平均重合度を示しており、mは1~10であり、好ましくは1又は2である。
 本発明における(B)ウレタン結合含有ポリオルガノシロキサンは、数平均分子量が500~100,000であることが好ましく、より好ましくは500~50,000であり、500~20,000がさらに好ましい。この範囲であれば、両末端のエポキシ基が硬化剤と反応し、硬化物を得るのに十分な分子量となる。なお、前記数平均分子量とは、以下の測定条件によるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定においてポリスチレン標準物質換算における数平均分子量を指すものとする。
[測定条件]
 展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
 流量:0.6mL/min
 検出器:示差屈折率検出器(RI)
 カラム:TSK Guardcolumn SuperH-H
 TSKgel SuperHM-N(6.0mmI.D.×15cm×1)
 TSKgel SuperH2500(6.0mmI.D.×15cm×1)
 (いずれも東ソー社製)
 カラム温度:40℃
 試料注入量:50μL(濃度0.3質量%のTHF溶液)
 本発明における(B)ウレタン結合含有ポリオルガノシロキサンは、エポキシ当量(g/モル)が、300~5,000g/モルが好ましく、400~2,500g/モルがより好ましい。この範囲であれば、両末端のエポキシ基が硬化剤と反応し、良好な物性の硬化物を得るのに十分な量となる。エポキシ当量(g/モル)は、1,4-ジオキサンに溶解させた所定質量の試料に塩酸を加え、水酸化ナトリウム水溶液を用いて逆滴定することで算出できる。
 低分子環状シロキサン類については、国際公開第2016/111104号等に記載されているように、様々な不具合が生じる可能性があり、低減することが好ましい。式(1)で表される(B)ウレタン結合含有ポリオルガノシロキサンにおいて、好ましくは、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)を総量で3,000ppm以下含むもの、より好ましくは2,000ppm以下、さらに好ましくは1,000ppm以下含むものが使用できる。
 上記低分子環状シロキサン類(D3~D6)の量は、式(1)で表される(B)ウレタン結合含有ポリオルガノシロキサンを有機溶媒によって抽出及び希釈した試料を用いて、ガスクロマトグラフィー(GC)によって定量することができる。
[(C)メソゲン基含有ポリオルガノシロキサン]
 本発明におけるメソゲン基含有ポリオルガノシロキサンは、下記式(2)で表されるものである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000015
(前記式(2)において、Rは、互いに独立して炭素数1~12のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、及び炭素数7~12のアラルキル基から選ばれる基又は水酸基を示し、pは、シロキサン構造の繰り返し単位を示し、0~100の整数であり、Rは、互いに独立して下記式(3)または式(4)を示す。)
 式(2)において、Rは、互いに独立して、前記式(1)で挙げたものと同様のものが挙げられる。
 pは、シロキサン構造の繰り返し単位の数を示し、0~100の整数、好ましくは0~40、より好ましくは0~10であり、p=1がさらに好ましい。
 式(2)において、Rは、互いに独立して下記式(3)または(4)である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000016
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000017
(前記式(3)及び前記式(4)において、RおよびRは、互いに独立して、水素原子、又は炭素数1~10の1価の炭化水素基を示し、Lは、前記式(2)との連結基であって、炭素数1~12の2価の炭化水素基であり、a及びbは、前記式(3)及び前記式(4)におけるフェニル基の置換基の数を表し、0~4の整数であり、Gは、グリシジルエーテル基である。)
 式(3)及び(4)において、RおよびRは、互いに独立して、水素原子、または炭素数1~10の1価の炭化水素基を示す。
 炭素数1~10の1価の炭化水素基としては、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、または炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基であることが好ましく、その具体例は前記式(1)で例示したものと同様のものが挙げられる。
 a及びbは、式(3)及び(4)におけるフェニル基の置換基の数を表し、0~4の整数である。
 式(3)及び(4)におけるGは、グリシジル基である。
 式(3)及び(4)におけるLは、式(2)との連結基であり、炭素数1~12の2価の炭化水素基である。
 2価の炭化水素基としては、炭素数1~12のアルキレン基、炭素数6~12のアリーレン基、炭素数7~12のアラルキレン基が挙げられる。
 炭素数1~12のアルキレン基としては、直鎖、分岐鎖、環状のいずれでもよく、その具体例としては、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基、n-オクチレン基、2-エチルヘキシレン基、n-デシレン基、n-ウンデシレン基、n-ドデシレン基等の直鎖又は分岐鎖アルキレン基が挙げられる。
 また、前記アルキレン基は、分子鎖の途中に1個以上のエーテル結合を有してもよい。具体的には、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基等のエーテル結合を含む基であり、エーテル結合が複数あってもよい。
 炭素数6~12のアリーレン基としては、o-フェニレン基、m-フェニレン基、p-フェニレン基、3,5-トリレン基、2,4-トリレン基、2,6-トリレン基、1,2-ナフチレン基、1,8-ナフチレン基、2,3-ナフチレン基、4,4’-ビフェニレン基等が挙げられる。
 炭素数7~12のアラルキレン基としては、o-キシリレン基、m-キシリレン基、p-キシリレン基等が挙げられる。
 式(2)におけるRは、さらに好ましくは式(5)である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000018
 cは、式(5)におけるシロキサン骨格との連結基の炭素数を示し、0~6の整数であり、好ましくはc=1である。
 点線は、式(2)との連結箇所を示す。
 本発明における(C)メソゲン基含有ポリオルガノシロキサンは、数平均分子量が500~100,000であることが好ましく、より好ましくは500~50,000であり、500~20,000がさらに好ましい。この範囲であれば、両末端のエポキシ基が硬化剤と反応し、硬化物を得るのに十分な分子量となる。なお、前記数平均分子量とは上記と同じである。
 本発明における(C)メソゲン基含有ポリオルガノシロキサンは、エポキシ当量(g/モル)が、300~5,000g/モルが好ましく、400~2,500g/モルがより好ましい。この範囲であれば、両末端のエポキシ基が後述する(D)エポキシ樹脂硬化剤と反応し、良好な物性の硬化物を得るのに十分な量となる。エポキシ当量(g/モル)は、1,4-ジオキサンに溶解させた所定質量の試料に塩酸を加え、水酸化ナトリウム水溶液を用いて逆滴定することで算出できる。
 低分子環状シロキサン類については、国際公開第2016/111104号等に記載されているように、様々な不具合が生じる可能性があり、低減することが好ましい。(C)成分において、好ましくは、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)を総量で0ppmを超え、3,000ppm以下含むもの、より好ましくは0.1~2,000ppm、さらに好ましくは0.1~1,000ppm含むものが使用できる。
 上記低分子環状シロキサン類(D3~D6)の量は、(C)成分を有機溶媒によって抽出及び希釈した試料を用いて、ガスクロマトグラフィー(GC)によって定量した値である。また、前記「0ppmを超え」とは、前記方法で定量した際に、わずかでもピークとして検出された場合「0ppmを超え」とみなす。
 本発明において、(A)成分を100質量部とした場合、(B)成分は1~20質量部が好ましく、より好ましくは10~20質量部である。同様に、(C)成分は1~20質量部が好ましく、より好ましくは1~10質量部である。(B)成分及び(C)成分の質量部がこの範囲内であれば、エポキシ樹脂の硬化物としての強度や接着力が十分に得られる。また、Tgが低下するのを抑えられるため、高い耐熱性が維持できる。
[(D)エポキシ樹脂硬化剤]
 本発明における(D)エポキシ樹脂硬化剤は、エポキシ樹脂と反応し硬化させることが可能な公知の硬化剤を用いることができる。この硬化剤は、硬化剤の分子中の反応性官能基(アミノ基、フェノール性水酸基、酸無水物基、メルカプト基など)と、(A)成分、(B)成分及び(C)成分中のエポキシ基とを反応させ、三次元架橋構造の硬化物とするために添加される。
 (D)成分としては、例えば、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、チオール系硬化剤等が挙げられる。
 これらの中でも、アミン系硬化剤が好ましく、アミン系硬化剤としては、例えば、芳香族ポリアミン、脂肪族ポリアミン、ポリアミドアミン、ポリエーテルポリアミンなどが挙げられる。さらに好ましくは、芳香族ポリアミンである。
 芳香族ポリアミンとしては、下記式(I)~(IV)の化合物が挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000019
(式(I)~(IV)中、Rは、互いに独立に、水素原子、又は炭素数1~6の1価のアルキル基であり、R’は、互いに独立に、水素原子、炭素数1~12の1価のアルキル基、フェニル基、又はアミノフェニル基であり、2つのR’が結合してそれらが結合する炭素原子と共に環構造を形成してもよい。)
 芳香族ポリアミンの具体例としては、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ジアミノジフェニルメタン化合物、2,4-ジアミノトルエン、1,4-ジアミノベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン等が挙げられる。これらを1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
 本発明において、(A)成分を100質量部とした場合、(D)成分は1~20質量部が好ましく、より好ましくは1~10質量部である。(D)成分の質量部が20質量部以下であれば、エポキシ樹脂の硬化物としての強度や接着力が十分に得られる。また、Tgが低下するのを抑えられるため、高い耐熱性が維持できる。(D)成分の質量部が1質量部以上であれば、所望の(D)成分添加効果が十分となる。
[その他の成分]
 本発明のエポキシ樹脂組成物は、さらに(E)充填剤を含めてもよい。充填剤としては、例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ、クリストバライト等のシリカ類、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物類などが挙げられ、1種単独でも2種以上を併用してもよい。中でも、入手容易性や品質の安定性の観点から、好ましくはシリカ類である。平均粒径は、好ましくは0.1~50μmであり、用途に応じて選択することができる。平均粒径は、例えばレーザー回折法で測定される体積平均粒径であればよい。
 上記充填剤は、シランカップリング剤等のカップリング剤で予め表面処理されることが好ましい。なお、表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については特に制限されるものではない。
 本発明のエポキシ樹脂組成物は、必要に応じて本発明の目的に従い、その他の添加剤を添加することができる。添加剤としては、反応性希釈剤、硬化促進剤、難燃剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、接着助剤、着色剤、及びカップリング剤等が挙げられる。
 本発明におけるエポキシ樹脂組成物の製造方法は、例えば、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を、加熱処理を行いながら、同時に混合、攪拌、溶解及び分散させることにより組成物を得ることができる。また、(A)成分、(B)成分、(C)成分または(D)成分を、別々に加熱処理を行いながら、混合、攪拌、溶解及び分散させることにより、組成物を得ることができる。好ましくは、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を加熱処理しながら、混合、攪拌、溶解及び分散させ、その後(A)成分を加えることにより(B)成分がよく分散した組成物を得ることができる。
 また、必要に応じて、(E)成分及び/またはその他添加剤を加えてもよい。(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分に追加して、同時にまたは別々に加熱処理を行いながら、混合、攪拌、溶解及び分散してもよい。または、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を加熱処理しながら、混合、攪拌、溶解及び分散させ、その後(A)成分と同時に(E)成分及び/またはその他添加剤を加えてもよい。
 本発明におけるエポキシ樹脂組成物の硬化条件は特に制限されないが、例えば60~200℃、好ましくは80~180℃の温度で、30分~10時間、好ましくは1~5時間加熱すればよい。また、反応を効率的に行うために、例えば、1~5段階に分けて低い温度から高い温度で上記の時間加熱してもよい。
 以下、実施例、比較例、及び合成例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:三菱ケミカル社製 jER828EL
(エポキシ当量:186g/mol、粘度:13,000mPa・s)
(以下、DGEBAとする。)
アミン系硬化剤:東京化成工業社製 4、4’-ジアミノジフェニルメタン
               (N-H当量:49.6g/mol)
(以下、DDMとする。)
[合成例1]SUエポキシ樹脂の合成方法
 500mLのセパラブルフラスコに、イソホロンジイソシアネート91.95g(0.827モル NCO)を仕込み、メカニカルスターラー、攪拌翼、ジムロート還流管、窒素ガス導入口及び温度計を取り付けて、窒素ガスを流した。次に、触媒となるK-KAT XK-640(楠本化成社製 カルボン酸ビスマス、18%ビスマス含有)0.32g(0.1質量%)を加え、内温が60℃になるまで昇温した。そこに、300mL滴下漏斗を用いて、D3が64ppm、D4が59ppm、D5が23ppm、D6が226ppmの3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロピルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン(n=8、OH価 116mgKOH/g)200.00g(0.413モル OH、NCO/OH=2.0)を30分掛けて加えたのちに、70℃で3時間熟成した。その後、グリシドール30.80g(0.415モル)を加えて、70℃で2時間熟成することで、無色微濁の粘性液体を319.17g得た。NCO/OH=2.0より、mは1である。
 低分子環状シロキサンは、サンプル1gに対してテトラデカンを内部標準としたヘキサン10mLにて抽出して、GCによる測定を行った。その結果、D3~D6の総量は305ppmであった。(D3:54ppm、D4:52ppm、D5:16ppm、D6:183ppm)
[合成例2]SMエポキシ樹脂の合成方法
 ガラス製反応機にエタノール360mL、p-アミノフェノール17.9g(0.164mol)、4-アリルオキシベンズアルデヒド20g(0.164mol)と少量の塩化亜鉛を加え、60℃のオイルバスで4時間反応後、冷蔵庫で2時間静置して析出した結晶をろ別し、4-((4-アリルオキシ)ベンジリデンアミノ)フェノール27gを得た。
 次に、500mlセパラブルフラスコに、得られた4-((4-アリルオキシ)ベンジリデンアミノ)フェノール7g(0.033mol)、ジメチルスルホキシド5mL、37gのエピクロルヒドリン(0.394mol)、少量のテトラ-n-ブチル塩化アンモニウムを加え、60℃で2時間反応させた後、50%水酸化ナトリウム水溶液3.16g(0.04mol)を1時間かけて滴下し、更に3時間反応させた。得られた溶液を冷却して析出した結晶をろ別し、蒸留水で充分に洗浄した後、乾燥させ、4-((4-アリルオキシ)ベンジリデンアミノ)フェノールグリシジルエーテル3.9gを得た。
 4-((4-アリルオキシ)ベンジリデンアミノ)フェノールグリシジルエーテル2g(6.5mmol)をセパラブルフラスコに取り、40mLの1,4-ジオキサンに溶解させた。さらに、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン0.667g(3.24mmol)と1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン白金錯体0.02g(0.06mmol)を加え、オイルバスの温度を90℃に上昇させて6時間加熱攪拌した。
 反応溶液を冷却し、析出した結晶をろ別してメタノールで充分洗浄して、白色の結晶を得た。得られたSMエポキシ樹脂の低分子環状シロキサン類(D3~D6)の量を測定したところ、いずれも検出限界以下であった。
[実施例1]
 脱泡処理したDGEBA、合成例1、及び合成例2をアルミカップに入れ、粘度の低下を目的として130℃のホットプレート上で加熱した。続いて、化学当量のDDMをもう一方のアルミカップに入れ、同温度のホットプレート上で完全融解するまで攪拌した。その後、融解させたDDMを、先に調製していたアルミカップに加え、5分間攪拌して組成物を作製した。
 その後、上記組成物の入ったアルミカップを120℃で2時間、150℃で2時間、さらに180℃で2時間の3段階で加熱硬化させた。なお、昇温速度は5℃/minとした。配合量及び硬化物の物性を表1に記載した。
[実施例2]
 合成例1、合成例2、及び融解させた全エポキシに対して化学当量のDDMをアルミカップに加え、140℃のホットプレート上で15分間攪拌した。続いて、脱泡処理したDGEBAをもう一方のアルミカップに入れ、粘度の低下を目的として、同温度のホットプレート上で加熱した。その後、粘度低下したDGEBAを、先に調製していたアルミカップに加え、2分間加熱攪拌し、組成物を作製した。
 その後、上記組成物の入ったアルミカップを恒温槽にて、120℃で2時間、150℃で2時間、さらに180℃で2時間の3段階で加熱硬化させた。なお、昇温速度は5℃/minとした。配合量及び硬化物の物性を表1に記載した。
[比較例1]
 脱泡処理したDGEBAをアルミカップに入れ、粘度の低下を目的として130℃のホットプレート上で加熱した。続いて、化学当量のDDMをもう一方のアルミカップに入れ、同温度のホットプレート上で完全融解するまで攪拌した。その後、融解させたDDMを、DGEBAの入ったアルミカップに加え、5分間攪拌し、組成物を作製した。
 その後、上記組成物の入ったアルミカップを恒温槽にて、120℃で2時間、150℃で2時間、さらに180℃で2時間の3段階で加熱硬化させた。なお、昇温速度は5℃/minとした。配合量及び硬化物の物性を表1に記載した。
[比較例2]
 脱泡処理したDGEBA及び合成例1をアルミカップに入れ、粘度の低下を目的として130℃のホットプレート上で加熱した。続いて、化学当量のDDMをもう一方のアルミカップに入れ、同温度のホットプレート上で完全融解するまで攪拌した。その後、融解させたDDMを、先に調製していたアルミカップに加え、5分間攪拌して組成物を作製した。
 その後、上記組成物の入ったアルミカップを120℃で2時間、150℃で2時間、さらに180℃で2時間の3段階で加熱硬化させた。なお、昇温速度は5℃/minとした。配合量及び硬化物の物性を表1に記載した。
[比較例3]
 脱泡処理したDGEBA及び合成例2をアルミカップに入れ、粘度の低下を目的として130℃のホットプレート上で加熱した。続いて、化学当量のDDMをもう一方のアルミカップに入れ、同温度のホットプレート上で完全融解するまで攪拌した。その後、融解させたDDMを、先に調製していたアルミカップに加え、5分間攪拌して組成物を作製した。
 その後、上記組成物の入ったアルミカップを120℃で2時間、150℃で2時間、さらに180℃で2時間の3段階で加熱硬化させた。なお、昇温速度は5℃/minとした。配合量及び硬化物の物性を表1に記載した。
[動的粘弾性測定]
 実施例1~2及び比較例1~3の硬化物を、長さ30mm×幅4.0mm×厚み0.40mmの試験片サイズにカットし、UBM社製Rheogel-E40000にて、温度範囲-150~250℃、正弦波、昇温速度2.5℃/min、引張モード、周波数10Hzの条件で測定した。得られた結果に対して、損失弾性率(G”)/貯蔵弾性率(G’)である損失正接tanδのピークトップをTgとした。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000020
[実施例3~4、比較例4~6]
[引張せん断接着試験]
 軟鋼板をアセトンに浸して、30分間超音波洗浄した。次に、軟鋼板を#240の研磨紙を取り付けた電動サンダで研磨して表面の酸化膜を取り除き、アセトンに浸して30分間の超音波洗浄を2回行った。その後、軟鋼板の端から62.5mmの部分にあて板(長さ25mm×幅25mm×厚さ1.6mm)を張り付けた。そして、各実施例にて調製した組成物を軟鋼板の端から12.5mmまで塗布し、もう1枚の軟鋼板を重ね合わせて、ホットプレスを用いて5MPaで120℃で2時間加熱した。その後、恒温槽にて試験片に重り(重さ:1,700g、圧力:960Pa)を乗せ、150℃で2時間加熱した後、5℃/minの昇温速度で180℃まで昇温し、180℃で2時間加熱硬化して試験片を作製した。徐冷後、試験片を取り出し、接合部からはみ出た樹脂をカッターナイフで取り除いた。
 得られた試験片は、島津製作所社製AGS-Xにて、ヘッドスピード50mm/minの条件で引張せん断接着試験を行った。破断強度及び破断伸びは、N=5の平均値とした。破壊形態は目視によって確認した。評価に用いた組成物及び引張せん断接着試験の結果を表2に記載した。
[T型剥離試験]
 アルミニウム箔(長さ200mm×幅500mm×厚さ0.05mm)を用いて、各実施例にて調製した組成物をアルミニウム箔の端から長さ170mmまで塗布し、もう1枚のアルミニウム箔を重ね合わせて、ホットプレスを用いて5MPaで120℃、2時間加熱した。その後、恒温槽にて試験片に重り(重さ:1,700g、圧力:960Pa)を乗せ、150℃で2時間加熱した後、5℃/minの昇温速度で180℃まで昇温し、180℃で2時間加熱硬化して試験片を作製した。徐冷後、アルミニウム箔を取り出し、幅が25mmとなるようにカットして、試験片とした。
 得られた試験片は、島津製作所社製AGS-Xにて、ヘッドスピード100mm/minの条件でT型剥離試験を行い、試験片の試験始め及び終わりから25mmを除く、150mm間の平均試験力を剥離強度とし、N=5の平均値とした。破壊形態は目視によって確認した。評価に用いた組成物及びT型剥離試験の結果を表2に記載した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000021
 実施例は比較例に対して、引張せん断接着試験、T型剥離試験において、破断強度、剥離強度の上昇が見られた。これは、本発明のエポキシ樹脂が基材との接着力向上に効果があることが示されており、このことから、本発明のエポキシ樹脂組成物の有用性が示された。
 本明細書は以下の態様を包含する。
 [1]:エポキシ樹脂組成物であって、
(A)エポキシ基を1分子内に2つ以上含むエポキシ樹脂、
(B)下記式(1)で表されるウレタン結合含有ポリオルガノシロキサン、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000022
(前記式(1)において、Rは、互いに独立して炭素数1~12のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、及び炭素数7~12のアラルキル基から選ばれる基又は水酸基を示し、Xは、互いに独立して、炭素数1~10の2価のアルキレン基であり、Yは、互いに独立して、炭素数5~30のエーテル結合を有してもよいアルキレン基、炭素数6~30のアリーレン基、及び炭素数7~30のアラルキレン基から選ばれる基であり、Zは、互いに独立して炭素数1~20のエーテル結合を有してもよいアルキレン基であり、nは0~100の整数、mは1~10である。)
(C)下記式(2)で表されるメソゲン基含有ポリオルガノシロキサン、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000023
(前記式(2)において、Rは、互いに独立して炭素数1~12のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、及び炭素数7~12のアラルキル基から選ばれる基又は水酸基を示し、pは、シロキサン構造の繰り返し単位を示し、0~100の整数であり、Rは、互いに独立して下記式(3)または式(4)を示す。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000024
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000025
(前記式(3)及び前記式(4)において、RおよびRは、互いに独立して、水素原子、又は炭素数1~10の1価の炭化水素基を示し、Lは、前記式(2)との連結基であって、炭素数1~12の2価の炭化水素基であり、a及びbは、前記式(3)及び前記式(4)におけるフェニル基の置換基の数を表し、0~4の整数であり、Gは、グリシジルエーテル基である。)
(D)エポキシ樹脂硬化剤
を含むものであることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
 [2]:前記(A)成分100質量部に対して、前記(B)成分を1~20質量部、前記(C)成分を1~20質量部含むものであることを特徴とする上記[1]に記載のエポキシ樹脂組成物。
 [3]:前記(B)成分のポリスチレン標準物質換算における数平均分子量が、500~100,000であることを特徴とする上記[1]又は上記[2]に記載のエポキシ樹脂組成物。
 [4]:前記(B)成分のエポキシ当量(g/モル)が、300~5,000g/モルであることを特徴とする上記[1]から上記[3]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
 [5]:前記(B)成分が、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)を総量で3,000ppm以下含むものであることを特徴とする上記[1]から上記[4]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
 [6]:前記(C)成分のポリスチレン標準物質換算における数平均分子量が、500~100,000であることを特徴とする上記[1]から上記[5]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
 [7]:前記(C)成分のエポキシ当量(g/モル)が、300~5,000g/モルであることを特徴とする上記[1]から上記[6]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
 [8]:前記(C)成分が、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)を総量で3,000ppm以下含むものであることを特徴とする上記[1]から上記[7]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
 [9]:前記(A)エポキシ樹脂が、ビスフェノール型エポキシ樹脂であることを特徴とする上記[1]から上記[8]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
 [10]:前記(D)エポキシ樹脂硬化剤が、アミン系硬化剤であることを特徴とする上記[1]から上記[9]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
 [11]:さらに(E)充填剤を含むものであることを特徴とする上記[1]から上記[10]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
 なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (11)

  1.  エポキシ樹脂組成物であって、
    (A)エポキシ基を1分子内に2つ以上含むエポキシ樹脂、
    (B)下記式(1)で表されるウレタン結合含有ポリオルガノシロキサン、
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
    (前記式(1)において、Rは、互いに独立して炭素数1~12のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、及び炭素数7~12のアラルキル基から選ばれる基又は水酸基を示し、Xは、互いに独立して、炭素数1~10の2価のアルキレン基であり、Yは、互いに独立して、炭素数5~30のエーテル結合を有してもよいアルキレン基、炭素数6~30のアリーレン基、及び炭素数7~30のアラルキレン基から選ばれる基であり、Zは、互いに独立して炭素数1~20のエーテル結合を有してもよいアルキレン基であり、nは0~100の整数、mは1~10である。)
    (C)下記式(2)で表されるメソゲン基含有ポリオルガノシロキサン、
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
    (前記式(2)において、Rは、互いに独立して炭素数1~12のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、及び炭素数7~12のアラルキル基から選ばれる基又は水酸基を示し、pは、シロキサン構造の繰り返し単位を示し、0~100の整数であり、Rは、互いに独立して下記式(3)または式(4)を示す。)
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
    (前記式(3)及び前記式(4)において、RおよびRは、互いに独立して、水素原子、又は炭素数1~10の1価の炭化水素基を示し、Lは、前記式(2)との連結基であって、炭素数1~12の2価の炭化水素基であり、a及びbは、前記式(3)及び前記式(4)におけるフェニル基の置換基の数を表し、0~4の整数であり、Gは、グリシジルエーテル基である。)
    (D)エポキシ樹脂硬化剤
    を含むものであることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2.  前記(A)成分100質量部に対して、前記(B)成分を1~20質量部、前記(C)成分を1~20質量部含むものであることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3.  前記(B)成分のポリスチレン標準物質換算における数平均分子量が、500~100,000であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4.  前記(B)成分のエポキシ当量(g/モル)が、300~5,000g/モルであることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5.  前記(B)成分が、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)を総量で3,000ppm以下含むものであることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6.  前記(C)成分のポリスチレン標準物質換算における数平均分子量が、500~100,000であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  7.  前記(C)成分のエポキシ当量(g/モル)が、300~5,000g/モルであることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  8.  前記(C)成分が、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)を総量で3,000ppm以下含むものであることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  9.  前記(A)エポキシ樹脂が、ビスフェノール型エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  10.  前記(D)エポキシ樹脂硬化剤が、アミン系硬化剤であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  11.  さらに(E)充填剤を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
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