WO2023276671A1

WO2023276671A1 - 車両のステアリングホイール装置

Info

Publication number: WO2023276671A1
Application number: PCT/JP2022/023961
Authority: WO
Inventors: 眞根金; 洋輔加藤; 陵平吉原; 豊廣田; 孝典池田
Original assignee: オートリブディベロップメントエービー; 眞根金; 洋輔加藤; 陵平吉原; 豊廣田; 孝典池田
Priority date: 2021-07-01
Filing date: 2022-06-15
Publication date: 2023-01-05
Also published as: EP4365059A1; JPWO2023276671A1; CN117561193A; US20240317309A1

Abstract

【課題】ステアリングホイールとエアバッグモジュールを連結する取付用ピン部材に動きが生じても、ホーンを鳴動させる導通回路で導通不良が生じることを防止して、ホーンを確実に作動させることが可能な車両のステアリングホイール装置を提供する。【解決手段】ステアリングホイール１とダンパマスとなるエアバッグモジュール２との間に設けられるホーンスプリング１５と、エアバッグモジュールに設けられるダンパユニット１０と、ステアリングホイールに一端部１１ａが保持され、他端部１１ｂにダンパユニットがスライド自在に設けられるピン１１とを備え、ホーンの導通回路５が、導電材料で形成された当該ピンと、エアバッグモジュールに設けられ、ホーンスプリングの弾性変形でピンと接離されるホーン接点２２と、ステアリングホイールに設けられ、ピンをクリップして導通されるＵ字状スプリング２６とを含む。

Description

車両のステアリングホイール装置

　本発明は、ステアリングホイールとエアバッグモジュールを連結する取付用ピン部材に動きが生じても、ホーンを鳴動させる導通回路で導通不良が生じることを防止して、ホーンを確実に作動させることが可能な車両のステアリングホイール装置に関する。

　従来、ステアリングホイールとエアバッグモジュールとの間に、ホーンスイッチ機構を組み込むようにした技術に関して、特許文献１が知られている。

　特許文献１の「エアバッグ装置付きステアリングホイール」では、ホーンスイッチ機構は、ステアリングホイール本体の芯金に固定されるとともにバッグホルダを芯金に対して進退可能に支持する支持部材としての固定ピンと、該固定ピンとバッグホルダとの間に介在されてそれらの間を電気的に絶縁する絶縁部としての可動装着部材とを備える。また、ホーンスイッチ機構は、バッグホルダを芯金から離れる方向に付勢する付勢部材としての圧縮コイルスプリングと、バッグホルダとともに移動する可動側接点部としての接点端子とを備える。そして、圧縮コイルスプリングの付勢力に抗したバッグホルダの芯金側への移動により、接点端子が固定ピンに接触して導通することで車両のホーン装置が作動するように構成されている。

特開２０１０－６９９３４号公報

　背景技術では、固定ピンは、芯金とバッグホルダとを連結する部材である。固定ピンは、芯金の挿入孔に挿入され、固定ピンの片側がクリップで係止される。これにより、固定ピンは、芯金に導通状態で固定されている。このような構造であると、圧縮コイルスプリングを圧縮変形させてバッグホルダを芯金側へ移動させるホーン操作時、クリップが支点となって、挿入孔に対し固定ピンが傾くおそれがある。固定ピンが傾くと、接点端子から固定ピンを介して芯金にわたる導通経路に過剰な衝撃振動が伝わった際に、瞬間的に接触不良が起きる可能性がある。

　特に、ステアリングホイールの振動減衰を図る場合、例えば、バッグホルダ側にダンパユニットを設け、このダンパユニットに固定ピンをスライド自在に設け、固定ピンを通じてステアリングホイールの振動をダンパユニットへ伝達するように構成した場合、固定ピンはさらに傾いて動くことが想定される。このため、接点端子から芯金にわたる間の導通を確実にするための方策が望まれていた。

　本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、ステアリングホイールとエアバッグモジュールを連結する取付用ピン部材に動きが生じても、ホーンを鳴動させる導通回路で導通不良が生じることを防止して、ホーンを確実に作動させることが可能な車両のステアリングホイール装置を提供することを目的とする。

　本発明にかかる車両のステアリングホイール装置は、ステアリングホイールとエアバッグモジュールとの間に設けられ、該エアバッグモジュールを該ステアリングホイールから支持する弾性変形自在なホーンスプリングと、上記ステアリングホイールに一端部が保持され、他端部が上記エアバッグモジュールに保持され、該エアバッグモジュールを該ステアリングホイールに相対移動自在に連結する取付用ピン部材とを備え、ホーンを鳴動させるホーン装置と導通される導通回路が、導電材料で形成された上記取付用ピン部材と、上記エアバッグモジュールに設けられ、上記ホーンスプリングの弾性変形によって上記取付用ピン部材と接離されるホーン接点と、上記ステアリングホイールの側に設けられ、上記取付用ピン部材をクリップして当該取付用ピン部材と導通される電極部材と、を含んで構成されることを特徴とする。

　前記エアバッグモジュールは、ダンパマスであり、上記エアバッグモジュールには、前記ステアリングホイールの振動をダンピングするダンパユニットが設けられ、前記取付用ピン部材の他端部に、上記ダンパユニットがスライド自在に設けられ、上記取付用ピン部材は、上記ステアリングホイールの振動を上記ダンパユニットに伝達することが望ましい。

　前記電極部材は、前記取付用ピン部材を挟んで保持するＵ字状スプリングであることが好ましい。

　前記ステアリングホイールには、前記取付用ピン部材を保持するカラー部材が設けられ、該カラー部材には、前記ホーンスプリングの弾性で上記ステアリングホイールに向けて押圧されるスプリングシートが設けられ、前記電極部材は、上記スプリングシートと上記ステアリングホイールとの間に挟持されることが望ましい。

　前記カラー部材は、前記スプリングシートが前記電極部材を前記ステアリングホイールに向けて押圧するように、該ステアリングホイールに押圧嵌入状態で設けられることが好ましい。

　前記カラー部材には、前記電極部材を係合する係合部が設けられることが望ましい。前記電極部材は、前記ステアリングホイールに設けられる端子と導通されることが好ましい。前記導通回路は、給電側及びアース側がクロックスプリングで構成されることが望ましい。

　本発明にかかる車両のステアリングホイール装置にあっては、ステアリングホイールとエアバッグモジュールを連結する取付用ピン部材に動きが生じても、ホーンを鳴動させる導通回路で導通不良が生じることを防止でき、ホーンを確実に作動させることができる。

本発明に係る車両のステアリングホイール装置の好適な一実施形態の概要を例示した斜視図である。図１に示した車両のステアリングホイール装置に備えられるダンパユニットの一例を示す斜視図である。図１に示した車両のステアリングホイール装置の要部拡大断面図である。図３中、Ａ－Ａ線矢視断面図である。図１に示した車両のステアリングホイール装置に設けられるカラー部材にＵ字状スプリングを設けた様子を示す斜視図である。図３及び図４のＵ字状スプリングを示す斜視図である。本発明に係る車両のステアリングホイール装置に用いられる電極部材の変形例を示す斜視図である。本発明に係る車両のステアリングホイール装置の変形例を示す、図３に対応する要部拡大断面図である。

　以下に、本発明に係る車両のステアリングホイール装置の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。図１は、本実施形態に係る車両のステアリングホイール装置の概要を例示した斜視図であって、図１（ａ）は、ステアリングホイール１全体の様子を示し、図１（ｂ）は、ステアリングホイール１からエアバッグモジュール２を取り外した分解状態を示している。以下の説明では、運転者に面する側を表側とし、その反対側を裏側として記載する。

　ステアリングホイール１は、車両の運転席に設置される。ステアリングホイール１は、ステアリングコラムの内部を通っているステアリングシャフトと連結される。ステアリングホイール１は、運転者によるステアリングホイール１の操舵操作をステアリングギア等へ伝達する。

　ステアリングホイール１には、エアバッグクッションを内蔵したエアバッグモジュール２が取り付けられる。エアバッグモジュール２の運転者側は、意匠面となる樹脂製のホーンカバー３で覆われる。

　ホーンカバー３の裏側には、箱状のハウジング４が備えられる。ハウジング４の内部には、エアバッグクッションと、エアバッグクッションにインフレータガスを供給するためのインフレータが収容される。

　緊急時に、インフレータからエアバッグクッションにインフレータガスが供給されると、エアバッグクッションは、ホーンカバー３を開裂して車室空間に向かって展開膨張し、運転者を拘束して保護する。

　エアバッグモジュール２は通常時には、ホーンを鳴動するときに、運転者がステアリングホイール１に向けて図中Ｚ方向へ押圧するホーンボタンとして機能する。

　エアバッグモジュール２はさらに、ダンパマスとして機能する。そのため、エアバッグモジュール２には、ステアリングホイール１の振動をダンピングするダンパユニット１０が設けられる。

　まず、エアバッグモジュール２とステアリングホイール１の取り付け構造について説明する。

　ステアリングホイール１は、電気的な導電性を有する金属製の芯金部材で構成される。

　芯金部材はおおよそ、中央のボス部６、運転者が把持する円形のリム部７、ボス部６とリム部７をつなぐスポーク部８を含んで構成される。ボス部６には、ステアリングシャフトが連結されるシャフト穴９が形成される。

　図１及び図２に示すように、ダンパマスとなるエアバッグモジュール２のハウジング４には、複数のダンパユニット１０が配設される。

　ダンパユニット１０には、図２及び図３に示すように、棒状の取付用ピン部材（以下、単に「ピン」という）１１がステアリングホイール１のボス部６に向けてＺ方向へ突出して設けられる。

　ピン１１は、長さ方向の一端部１１ａがステアリングホイール１のボス部６に取り付けられ、長さ方向の他端部１１ｂがエアバッグモジュール２側のダンパユニット１０に取り付けられる。これにより、ピン１１は、エアバッグモジュール２とステアリングホイール１との間に設けられる。

　ピン１１は、ステアリングホイール１の振動をダンパユニット１０に伝達する。ピン１１は、ホーンを鳴動させるホーン装置と導通される後述の導通回路５を構成するために、導電材料で形成される。

　また、後述するように、圧縮コイルバネである弾性変形自在なホーンスプリング１５が、ステアリングホイール１とエアバッグモジュール２との間に、ピン１１を包囲して設けられる。

　ホーンスプリング１５は、ステアリングホイール１からエアバッグモジュール２を弾性的に支持する。

　ピン１１の他端部１１ｂが取り付けられるダンパユニット１０について略述する。図２及び図３に示すように、ダンパユニット１０は、インナースリーブ１６と、インナースリーブ１６から外向きに拡張形成される環状シート１６ａと、環状シート１６ａに向かい合う配置でインナースリーブ１６に外向きに形成された環状鍔部１６ｂと、環状鍔部１６ｂに係止される環状ピース１７と、環状ピース１７と環状シート１６ａとの間に、インナースリーブ１６を取り囲んで設けられ、振動をダンピングするための環体状の弾性体１８と、弾性体１８の外側を覆って設けられた環状のアウタースリーブ１９とから構成される。

　アウタースリーブ１９は、ハウジング４に形成された貫通穴２０に取り付けられる。これにより、ダンパユニット１０は、エアバッグモジュール２に固定される。

　インナースリーブ１６の内方には、当該インナースリーブ１６に対してスライド自在に上記ピン１１の他端部１１ｂが挿通される。

　ピン１１の他端部１１ｂの先端には、環状ピース１７を覆うようにして板状のヘッド部２１が形成される。

　ステアリングホイール１の振動は、ピン１１からインナースリーブ１６を介して弾性体１８に伝達されると共に、ヘッド部２１から環状ピース１７を介して弾性体１８に伝達される。これにより、ステアリングホイール１の振動は、エアバッグモジュール２をダンパマスとして、弾性体１８でダンピングされる。

　また、ヘッド部２１は、インナースリーブ１６を介してダンパユニット１０に抜け出し不能に係止される。従って、ピン１１は、ダンパユニット１０に対し、表側から裏側へ向かって挿入される。

　ピン１１の一端部１１ａが取り付けられるステアリングホイール１のボス部６について略述する。図３及び図４に示すように、ボス部６には、表側から裏側に向けてピン１１の一端部１１ａを挿通するための貫通穴１３が形成される。この貫通穴１３には、カラー部材１２が圧入等により押圧嵌入状態で嵌合固定される。

　カラー部材１２は、電気的絶縁性を有する合成樹脂製である。カラー部材１２は、ボス部６の貫通穴１３に挿入される本体部１２ｅと、環状のフランジ部１２ａとを備える。

　本体部１２ｅは、中空筒状に形成される。本体部１２ｅは、長さ方向一端に、その内部へピン１１の一端部１１ａを挿通するための円形の開口を有する。

　フランジ部１２ａは、本体部１２ｅの長さ方向一端に、本体部１２ｅ周りに沿って外向きに拡張形成される。

　フランジ部１２ａは、本体部１２ｅが貫通穴１３へ嵌入されたとき、貫通穴１３の外回りのボス部６に重ねられる。

　すなわち、カラー部材１２が貫通穴１３に固定されるときに、フランジ部１２ａの裏面は、ボス部６の表面に向かって押し付けられるように設けられる。

　このフランジ部１２ａは、ホーンスプリング１５のスプリングシートを兼ねる。

　カラー部材１２の本体部１２ｅは、長さ方向（Ｚ方向）に、フランジ部１２ａ側の一端から他端に向けて、順次外径寸法及び内径寸法が僅かながら狭まるように、円錐台形状で形成される。

　円錐台形状に形成することで、カラー部材１２は、ボス部６の表側から裏側へ向けて押し込まれると、貫通穴１３に強固に嵌合固定される。

　カラー部材１２には、フランジ部１２ａ側の端部とは反対側の端部に、ピン１１の一端部１１ａの先端に形成された錐体部１１ｃが着座するシート部２３が樹脂成形により一体成形される。

　カラー部材１２には、ボス部６の裏側となる位置に、位置決め用溝部１２ｄが形成される。

　位置決め用溝部１２ｄは、カラー部材１２の本体部１２ｅに、カラー部材１２の長さ方向と交差する横向きに形成される。

　位置決め用溝部１２ｄは図５に示すように、カラー部材１２の外周面のほぼ半周に亘って現れるように形成される。

　位置決め用溝部１２ｄには、軸体状のバネ材１４が挿通して設けられる。

　バネ材１４は、ボス部６の裏面に当接した状態で、カラー部材１２の長さ方向と交差する横方向から位置決め用溝部１２ｄ内を貫通して設けられる。

　これにより、バネ材１４は、ボス部６に弾性変形可能に支持された状態で、位置決め用溝部１２ｄに挿通設置される。

　バネ材１４は、カラー部材１２に挿入されるピン１１の錐体部１１ｃが位置決め用溝部１２ｄを通過する際に、外側へ押し出されるように弾性変形される。

　錐体部１１ｃがシート部２３に着座されると、バネ材１４は、弾性復元する。これにより、バネ部材１４は、ピン１１の係止溝部１１ｄに、シート部２３との間でピン１１を押さえつけるように、弾性的に係脱自在に係止される。その結果、バネ部材１４は、ピン１１をカラー部材１２に保持する（いわゆる「スナップイン」と呼ばれる組み立て方法である。）。

　これにより、ピン１１の一端部１１ａは、カラー部材１２の長さ方向で、シート部２３で保持され、かつバネ材１４により係止溝部１１ｂが係止されて、ボス部６に保持される。

　ボス部６に一端部１１ａが保持され、他端部１１ｂにダンパユニット１０がスライド自在に設けられるピン１１は、エアバッグモジュール２をステアリングホイール１に対してＺ方向に相対移動自在に連結する。

　また、ピン１１は、ステアリングホイール１の振動をダンパユニット１０に伝達する。

　以下、エアバッグモジュール２がＺ方向に相対移動することについて、前進とは、ステアリングホイール１に近づく相対移動をいい、後退とは、ステアリングホイール１から遠ざかる相対移動をいう。

　カラー部材１２のフランジ部１２ａの表面と、インナースリーブ１６の環状シート１６ａの裏面との間には、弾性圧縮変形自在なホーンスプリング１５が設けられる。

　このホーンスプリング１５は、エアバッグモジュール２をステアリングホイール１から弾性支持する。

　ホーンスプリング１５は常時、Ｚ方向で、エアバッグモジュール２をステアリングホイール１から離隔させる方向に弾性付勢し、その反作用で、カラー部材１２のフランジ部１２ａをボス部６に向けて強く押圧付勢する。

　ホーンスプリング１５の弾性付勢力は、インナースリーブ１６の係止鍔部１６ｂからピン１１の他端部１１ｂ側のヘッド部２１を介し、ピン１１の一端部１１ａ側の係止溝部１１ｄを係止するバネ材１４を通じて、ボス部６で受け止められる。

　エアバッグモジュール２は、ステアリングホイール１に向かってＺ方向に押圧操作されると、ホーンスプリング１５の弾性圧縮変形を伴って、ダンパユニット１０がピン１１に対してスライドし、前進される。

　エアバッグモジュール２は、押圧操作が解除されると、ホーンスプリング１５の弾性復元力により、ダンパユニット１０がピン１１に対して反対方向にスライドして、後退される。

　次に、ホーン装置と接続されてホーンを鳴動させる導通回路５について説明する。

　エアバッグモジュール２のハウジング４には、電気的な導通性を有するピン１１のヘッド部２１にＺ方向から相対向する配置で、電気的な導通性を有するホーン接点２２が設けられる。ホーン接点２２は、電気配線２５と接続される。以下、導通とは、電気的導通性をいう。

　ホーン接点２２は、ホーンスプリング１５が弾性変形されることにより、ピン１１のヘッド部２１と接離される。

　具体的には、ホーンスプリング１５を弾性圧縮変形すると、ボス部６に保持されているピン１１に対しダンパユニット１０がスライドする。ダンパユニット１０のスライドに伴って、エアバッグモジュール２が前進して、ハウジング４のホーン接点２２がピン１１のヘッド部２１に接触される。

　他方、ホーンスプリング１５の弾性圧縮変形を解除すると、当該ホーンスプリング１５は弾性復元し、ピン１１に対してダンパユニット１０が反対方向へスライドする。ダンパユニット１０の反対方向へのスライドに伴って、エアバッグモジュール２が後退して、ホーン接点２２がヘッド部２１から離れる。

　このようにエアバッグモジュール２の前進及び後退によって、ホーン接点２２とピン１１のヘッド部２１とは接離され、導通がオン・オフされる。

　ステアリングホイール１のボス部６には、当該ボス部６に対してピン１１からの導通を確立するために、ピン１１をクリップすることによりピン１１と導通される電極部材が設けられる。

　本実施形態にあっては、電極部材は、導電材料で形成されたＵ字状スプリング２４で構成される。

　Ｕ字状スプリング２４は、ステアリングホイール１の側で、ボス部６と、ボス部６に重ねて設けられるカラー部材１２のフランジ部１２ａとの間に挟み込んで設けられる。具体的には、ボス部６の表面とフランジ部１２ａの裏面との間に挟んで設けられる。

　Ｕ字状スプリング２４は、図６に示すように、湾曲部２４ａと、湾曲部２４ａの両端から並行に延びる一対の直線部２４ｂと、これら直線部２４ｂの先端に形成された抜け止め用の折り曲げ部２４ｃとから構成される。

　Ｕ字状スプリング２４は、ピン１１と交差するように設けられる。具体的には、Ｕ字状スプリング２４は、ピン１１に対し、その長さ方向に延びる側面を一対の直線部２４ｂで両側から挟んで設けられる。

　一対の直線部２４ｂ同士の間隔寸法は、ピン１１を挟んだときに直線部２４ｂが撓み変形して当該直線部２４ｂに張力が生じ、この張力によって挟み込みの作用（図４中、ｆ参照）が強まるように、ピン１１の外径寸法よりも狭い寸法に設定される。これにより、ピン１１とＵ字状スプリング２４との間の導通状態が常時確立される。

　カラー部材１２の本体部１２ｅには、当該本体部１２ｅにＵ字状スプリング２４を保持するために、直線部２４ｂを保持する係合部が設けられる。

　係合部は詳細には、図５に示すように直線部２４ｂが挿通される通し孔１２ｃで構成される。通し孔１２ｃは、Ｕ字状スプリング２４が配置されるフランジ部１２ａの裏面側に一体形成された一対の膨出部１２ｂを貫通して形成される。

　この通し孔１２ｃは、直線部２４ｂによるピン１１の挟み込みを確保するために、本体部１２ｅ内方に連通させて形成される。

　通し孔１２ｃに挿通されたＵ字状スプリング２４は、通し孔１２ｃに対する折り曲げ部２４ｃの抜脱が阻止されて、カラー部材１２からの脱落が規制される。

　Ｕ字状スプリング２４は、ホーンスプリング１５のスプリングシートを兼ねるカラー部材１２のフランジ部１２ａの裏側と、ボス部６の表側との間に挟持されて設けられる。

　このため、Ｕ字状スプリング２４は、スプリングシートを介して作用するホーンスプリング１５の弾性付勢力で、ボス部６に向けて押圧された状態で、ボス部６との間に挟持される。

　特に、ホーン操作時、Ｕ字状スプリング２４には、ホーンスプリング１５の圧縮変形によって強められた弾性付勢力が作用する。

　また、Ｕ字状スプリング２４は、ボス部６に押圧嵌入状態で設けられるカラー部材１２によっても、そのフランジ部１２ａを介してボス部６に強い押圧状態で設けられる。

　Ｕ字状スプリング２４と導通されるボス部６は、電気配線２５と接続される。ボス部６には、導通を確実化するために、導通回路５の端子を設けることが望ましい。

　端子としては、導電材料で形成され、ボス部６にねじ込まれ、電気配線２５との接続を行うタッピングネジ２６などを採用することができる。

　また、導通回路５は、電気配線２５の給電側及びアース側を、従来公知のクロックスプリングで構成することが好ましい。クロックスプリングには、ホーン装置が接続される。

　クロックスプリングから電気配線２５を介して、エアバッグモジュール２側のホーン接点２２もしくはステアリングホイール１側のＵ字状スプリング２４のいずれか一方に給電し、いずれか他方をアースすればよい。

　クロックスプリングに限らず、その他従来周知の通電経路で導通回路５を構成してもよいことはもちろんである。

　次に、本発明に係る車両のステアリングホイール装置の作用について説明する。

　まず、組み立てについて説明する。ステアリングホイール１側については、Ｕ字状スプリング２４を、一対の直線部２４ｂを一対の膨出部１２ｂの通し孔１２ｃに挿通することにより、カラー部材１２に取り付ける。

　Ｕ字状スプリング２４を設けたカラー部材１２を、貫通穴１３に押し入れて、押圧嵌入状態でボス部６に嵌合固定する。これにより、Ｕ字状スプリング２４をステアリングホイール１の側に配置する。

　Ｕ字状スプリング２４は、ボス部６とフランジ部１２ａとの間に強固に挟持されて設けられる。

　また、ボス部６に、タッピングネジ２６で電気配線２５を接続しておく。電気配線２５の接続は、組み立て完了までの間に行えばよい。

　エアバッグモジュール２側については、ホーン接点２２に予め電気配線２５を接続しておく。

　ダンパユニット１０に対しては、ピン１１の他端部１１ｂ側のヘッド部２１がホーン接点２２と向かい合うようにして、ピン１１にスライド自在にインナースリーブ１６を挿入する。

　ピン１１を取り付けたダンパユニット１０を、ハウジング４の貫通穴２０に装着する。これにより、ピン１１がエアバッグモジュール２に取り付けられる。

　さらに、ピン１１を取り囲むようにして、環状シート１６ａの裏側に、ホーンスプリング１５を設置する。

　次に、エアバッグモジュール２のステアリングホイール１への取り付けを行う。

　カラー部材１２のフランジ部１２ａの表側にホーンスプリング１５を当接しながら、ピン１１の一端部１１ａ側の錐体部１１ｃをカラー部材１２に挿し入れる。

　その後、ホーンスプリング１５を圧縮変形させながら、ピン１１をシート部２３に向かって挿入し、これにより、錐体部１１ｃをシート部２３に着座させる。

　このとき、ピン１１の係止溝部１１ｄに対し、バネ材１４が弾性変形を伴ってスナップインする。これにより、ピン１１がカラー部材１２を介してステアリングホイール１に保持される。

　以上により、ステアリングホイール１へのエアバッグモジュール２の連結が完了する。

　最後に、ホーン接点２２及びタッピングネジ２６に接続されている電気配線２５を、ホーン装置に接続されたクロックスプリングに接続する。

　このように組み立てられた本実施形態に係る車両のステアリングホイール装置は、（１）緊急時に、エアバッグクッションが展開膨張して運転者を保護する機能と、（２）ダンパユニット１０により、ステアリングホイール１の振動をダンピングする機能を発揮する。

　さらに、本実施形態に係る車両のステアリングホイール装置は、（３）ホーンを鳴動させる機能を発揮する。

　運転者がホーンを鳴動させる際には、エアバッグモジュール２をステアリングホイール１に向かって押圧操作する。

　押圧されたエアバッグモジュール２は前進し、ホーンスプリング１５が圧縮弾性変形され、ピン１１に対してダンパユニット１０がスライドされ、ホーン接点２２がピン１１のヘッド部２１と接触する。

　これにより、ホーン接点２２が、ピン１１を介して、Ｕ字状スプリング２４と導通され、さらに、Ｕ字状スプリング２４からボス部６を通じてタッピングネジ２６まで導通され、導通回路５に通電がなされる。

　導通回路５の導通により、クロックスプリングを介して、ホーン装置に通電がなされ、ホーンが鳴動される。

　運転者がエアバッグモジュール２の押圧操作を解除すると、ホーンスプリング１５の弾性復元によりエアバッグモジュール２が後退し、ピン１１に対してダンパユニット１０が反対方向にスライドし、ホーン接点２２がヘッド部２１から離れる。

　これにより、導通回路５の通電が遮断され、ホーンの鳴動が止む。

　本実施形態に係る車両のステアリングホイール装置にあっては、ステアリングホイール１の振動をダンピングする際に傾くなどして動くピン１１に、これをクリップして当該ピンと導通される電極部材、例えばＵ字状スプリング２４をステアリングホイール１に設けている。従って、このＵ字状スプリング２４により、ステアリングホイール１とピン１１との間の導通を安定して確実に確立することができ、通電不良によるホーンの作動不良を防止することができる。

　電極部材をＵ字状スプリング２４で構成し、このＵ字状スプリング２４でピン１１を挟んで保持するようにしている。このため、Ｕ字状スプリング２４自体が簡易な構成であり、かつ取り付けが容易であって、簡単な構造で通電不良を防ぐことができる。

　Ｕ字状スプリング２４を、カラー部材１２のフランジ部１２ａとステアリングホイール１のボス部６との間に挟持し、フランジ部１２ａを通じてホーンスプリング１５の弾性付勢力によりＵ字状スプリング２４をボス部６に向けて押圧するようにしている。このため、Ｕ字状スプリング２４をボス部６に強固に接触させることができ、通電不良をさらに確実に防ぐことができる。

　フランジ部１２ａでＵ字状スプリング２４をボス部６に押圧するカラー部材１２を、ボス部６に押圧嵌入状態で設けるようにしている。このため、カラー部材１２をボス部６に保持する保持力によってＵ字状スプリング２４をボス部６に強固に接触させることができ、通電不良をさらに確実に防ぐことができる。

　カラー部材１２に、Ｕ字状スプリング２４を係合する通し孔１２ｃを設けている。このため、組み立てに際し、Ｕ字状スプリング２４をカラー部材１２に組み込んだ状態で、当該カラー部材１２をボス部６に嵌合することができ、組み立て性を向上することができる。

　ボス部６に、電気配線２５と接続されるタッピングネジ２６などの端子を設け、ボス部６を介して端子とＵ字状スプリング２４とを導通させるようにしている。このため、導通回路５の導通を確実化することができる。

　導通回路５は、ホーン装置に接続されるクロックスプリングで構成され、クロックスプリングで給電側とアース側とを確立するようにしている。このため、既存の通電経路を利用して簡単に導通回路を構成することができる。

　図７には、電極部材の変形例が示されている。この電極部材２７は、拡縮自在な可撓性を有する縦壁部２７ａと、縦壁部２７ａに形成されたバネ性を有する当接片２７ｂとを備えている。電極部材２７は、カラー部材１２の本体部１２ｅ内方に挿入して設けられる。

　カラー部材１２内方に挿通されるピン１１の周側面に当接片２７ｂが弾接することにより、導通が確保されるようになっている。このような変形例であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することはもちろんである。

　図８には、上記実施形態に係る車両のステアリングホイール装置の変形例が示されている。この変形例は、ダンパユニット１０を備えた上記実施形態とは異なり、ダンパユニットが設けられない場合である。

　この変形例では、ダンパユニットの装着箇所に、ダンパユニットに代えて、合成樹脂製のホルダピース２８が設けられる。このホルダピース２８には、上記弾性体が組み込まれてはいない。

　このホルダピース２８は、上記実施形態で別部品とされるインナースリーブ１６、環状ピース１７、並びにアウタースリーブ１９を単一部品として樹脂成形したものに相当する。

　ホルダピース２８は、エアバッグモジュール２のハウジング４に取り付けられるアウタースリーブに相当する外形形態を有する中空筒体状に形成される。ホルダーピース２８の内方には、ピン１１がスライド自在に挿通される。さらに、ホルダーピース２８は、ピン１１のヘッド部２１に面する端面が当該ヘッド部２１で覆われる。

　ホルダピース２８の外面には、ホーンスプリング１５を設置するための環状シート部２８ａが形成される。

　上記実施形態では、ピン１１の他端部１１ｂは、ダンパユニットを介して、エアバッグモジュール２に設けられる。しかし、この変形例では、ピン１１の一端部１１ｂは、ホルダピース２８を介して、エアバッグモジュール２に保持される。

　ピン１１自体は、上記実施形態と同様である。ピン１１は、ホルダピース２８の内方に、当該ホルダピース２８に対してスライド自在に挿通される。これにより、エアバッグモジュール２は、ピン１１によって、ステアリングホイール１に相対移動自在に連結される。

　運転者がホーンを鳴動させる際には、ホーンボタンであるエアバッグモジュール２を、ステアリングホイール１に向かって押圧操作する。

　押圧されたエアバッグモジュール２は、ホーンスプリング１５の圧縮弾性変形によって前進し、これにより、ピン１１に対し、エアバッグモジュール２のホルダピース２８がスライドされる。

　ホルダピース２８がスライドすることによって、ホーン接点２２がピン１１のヘッド部２１と接触する。ホーン接点２２とピン１１とが接触すると、Ｕ字状スプリング２４を通じて、導通回路５に通電され、ホーンが鳴動される。

　運転者がエアバッグモジュール２の押圧操作を解除すると、ホーンスプリング１５の弾性復元により、ピン１１に対し、ホルダピース２８が反対方向にスライドし、ホーン接点２２がヘッド部２１から離れ、ホーンの鳴動が止む。

　このような変形例であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することはもちろんである。

　以上に述べた車両のステアリングホイール装置は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施形態例も、各種の方法で実施または遂行できる。特に、本願明細書中に限定される主旨の記載がない限り、この発明は、添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさおよび構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書中に用いられた表現および用語は、説明を目的としたもので、特に限定される主旨の記載がない限り、それに限定されるものではない。

　１　ステアリングホイール
　２　エアバッグモジュール
　５　導通回路
　１０　ダンパユニット
　１１　ピン
　１１ａ　ピンの一端部
　１１ｂ　ピンの他端部
　１２　カラー部材
　１２ａ　フランジ部
　１２ｂ　膨出部
　１２ｃ　通し孔
　１５　ホーンスプリング
　２２　ホーン接点
　２４　Ｕ字状スプリング
　２６　タッピングネジ

Claims

　ステアリングホイールとエアバッグモジュールとの間に設けられ、該エアバッグモジュールを該ステアリングホイールから支持する弾性変形自在なホーンスプリングと、上記ステアリングホイールに一端部が保持され、他端部が上記エアバッグモジュールに保持され、該エアバッグモジュールを該ステアリングホイールに相対移動自在に連結する取付用ピン部材とを備え、
　ホーンを鳴動させるホーン装置と導通される導通回路が、
　導電材料で形成された上記取付用ピン部材と、
　上記エアバッグモジュールに設けられ、上記ホーンスプリングの弾性変形によって上記取付用ピン部材と接離されるホーン接点と、
　上記ステアリングホイールの側に設けられ、上記取付用ピン部材をクリップして当該取付用ピン部材と導通される電極部材と、
　を含んで構成されることを特徴とする車両のステアリングホイール装置。
　前記エアバッグモジュールは、ダンパマスであり、
　上記エアバッグモジュールには、前記ステアリングホイールの振動をダンピングするダンパユニットが設けられ、
　前記取付用ピン部材の他端部に、上記ダンパユニットがスライド自在に設けられ、
　上記取付用ピン部材は、上記ステアリングホイールの振動を上記ダンパユニットに伝達することを特徴とする請求項１に記載の車両のステアリングホイール装置。
　前記電極部材は、前記取付用ピン部材を挟んで保持するＵ字状スプリングであることを特徴とする請求項１または２に記載の車両のステアリングホイール装置。
　前記ステアリングホイールには、前記取付用ピン部材を保持するカラー部材が設けられ、
　該カラー部材には、前記ホーンスプリングの弾性で上記ステアリングホイールに向けて押圧されるスプリングシートが設けられ、
　前記電極部材は、上記スプリングシートと上記ステアリングホイールとの間に挟持されることを特徴とする請求項１または２に記載の車両のステアリングホイール装置。
　前記カラー部材は、前記スプリングシートが前記電極部材を前記ステアリングホイールに向けて押圧するように、該ステアリングホイールに押圧嵌入状態で設けられることを特徴とする請求項４に記載の車両のステアリングホイール装置。
　前記カラー部材には、前記電極部材を係合する係合部が設けられることを特徴とする請求項４に記載の車両のステアリングホイール装置。
　前記電極部材は、前記ステアリングホイールに設けられる端子と導通されることを特徴とする請求項１または２に記載の車両のステアリングホイール装置。
　前記導通回路は、給電側及びアース側がクロックスプリングで構成されることを特徴とする請求項１または２に記載の車両のステアリングホイール装置。