WO2023190696A1 - 反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスク - Google Patents

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Abstract

本開示は、位相シフト効果を最大限に活用し、高い転写性を有する反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクを提供することを目的とする。本開示の一態様に係る反射型フォトマスクブランク(10)は、基板(1)と、基板(1)上に形成された多層膜構造を有し、EUV光を反射する反射層(2)と、反射層(2)上に形成され、反射層(2)を保護する保護層(3)と、保護層(3)上に形成され、EUV光を吸収する吸収層(4)と、を備え、吸収層(4)は、互いに機能が異なる、吸収層(4a)及び吸収層(4b)を備え、吸収層(4)は、190度以上270度以下の範囲内の位相差を有する。

Description

反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスク
 本開示は、反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクに関する。
 半導体デバイスの製造プロセスにおいては、半導体デバイスの微細化に伴い、フォトリソグラフィ技術の微細化に対する要求が高まっている。フォトリソグラフィにおける転写パターンの最小現像寸法は、露光光源の波長に大きく依存し、波長が短いほど最小解像寸法を小さくできる。このため、先端の半導体デバイスの製造プロセスにおける露光光源は、従来の波長193nmのArFエキシマレーザー光から、波長13.5nmのEUV(Extreme Ultraviolet)に置き換わってきている。
 ほとんどの物質がEUVに対して高い光吸収性をもつため、従来の光の透過を利用する屈折光学系が使用できないことから、露光機の光学系部材はレンズではなく、ミラーとなる。フォトマスクも従来の透過型から反射型のEUVフォトマスクとなる。EUVフォトマスクへの入射光と反射光が同軸上に設計できないことから、通常、EUVリソグラフィでは光軸をEUVフォトマスクの垂直方向から6°傾けてEUV光を入射し、マイナス6°の角度で反射する反射光を半導体基板に照射する手法が採用されている。しかし、光軸を傾斜させることから、EUVフォトマスクに入射するEUV光がEUVフォトマスクのパターン(吸収パターン層)の影を作ることにより、転写性能が悪化する、いわゆる射影効果(シャドウイング効果)と呼ばれる問題が発生し得る。よって、シャドウイング効果を低減し、転写性能を向上することが課題となっている。
 現在のEUVフォトマスクでは、光吸収層として膜厚60~90nmのタンタル(Ta)を主成分とした膜が用いられている。このEUVフォトマスクでパターン転写の露光を行った場合、吸収パターンの線幅、向き、ピッチ等に依存してウェハ上で線幅誤差やパターンの位置ずれが生じてしまい、転写品質を悪化させることがある。そしてこの射影効果による影響は、パターン線幅が微細になるほど顕著になる。
 この課題に対し、吸収層に消衰係数kの高い材料を用い、膜厚の薄い吸収層パターン(吸収パターン層)を形成することで射影効果を低減させる反射型フォトマスクが提案されている[例えば、特許文献1を参照]。
 また、更なる微細化に伴い、最近では位相シフト効果を用いた反射型マスクブランクの採用も検討されている。位相シフト効果とは、開口部に隣接する位相シフト部を通過した透過光の位相が開口部を通過した透過光の位相と反転するように調整することによって、透過光が干渉し合う部分の光強度を弱め、その結果として、転写コントラストが向上し、転写パターンの解像性を向上させる効果のことをいう。そのため、反射型マスクブランクにも位相シフト効果を用いることで、更なる転写性の向上が期待できる。
 例えば、特許文献2に記載の位相シフト効果を用いた反射型マスクは、位相差の最適値を170~190度としている。これは従来の透過型の位相シフトマスクの位相差の最適値の180度を含んだ値である。
 しかし、反射型マスクの場合、EUV光が傾いて入射するため、反射光の一部は吸収層パターンのエッジ部分を通る。エッジ部分に当たった反射光はパターン中心部の反射光と位相がずれてしまうため、吸収層の最適な位相差は180度と異なる。
 また、特許文献3に記載の位相シフト効果を用いた反射型マスクブランクは、反射率と、コントラストを向上させる位相差とから、位相シフト層の膜厚や材料組成の組み合わせを限定している。これにより、特許文献3に記載の技術であれば、位相シフト層を膜厚60nm以下に薄膜化し、シャドウイング効果を低減しつつ位相シフト効果が得られる。
 しかし、特許文献3では、材料と、目的とする反射率・位相とから位相シフト層の膜厚を導出しており、その膜厚が従来よりも薄いことを主張しているが、実際の転写性については言及されていない。仮に、NiやCoなど、EUV光の吸収が大きい材料で位相シフト層を構成した場合、従来膜より膜厚が薄くても、斜入射されたEUV光の強い妨げとなり、転写性は向上しない場合がある。
 このように、従来技術に係る反射型の位相シフトマスクでは、位相シフト効果を十分に活用(利用)できておらず、その転写性(特に解像性)は十分でなかった。
国際公開第2018/159785号 特許第6287099号 国際公開第2019/225737号
 本開示は、EUV光を吸収する吸収制御膜と、位相を制御する位相制御膜とを組み合わせた吸収膜(吸収層)を形成することにより、位相シフト効果を最大限に活用し、高い転写性(特に解像性)を有する反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクを提供することを目的とする。
 より具体的には、本発明は、吸収層に消衰係数kの大きい吸収制御膜と、屈折率の小さな位相制御膜とを設けることで吸収膜(吸収層)の薄膜化を可能にし、且つ吸収制御膜及び位相制御膜の各層(各膜)の組み合わせやそれぞれの膜厚を変更することで所望の位相差を有し、転写性の向上を可能にする反射型フォトマスク及びそれを作製するための反射型フォトマスクブランクを提供することを目的とする。
 本発明は上記課題を解決するために成されたものであって、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクブランクは、基板と、前記基板上に形成された多層膜構造を有し、EUV光を反射する反射層と、前記反射層上に形成され、該反射層を保護する保護層と、前記保護層上に形成され、EUV光を吸収する吸収層と、を備え、前記吸収層は、機能が異なる2層以上の積層構造からなり、前記吸収層は、190度以上270度以下の範囲内の位相差を有することを特徴とする反射型フォトマスクブランクである。
 また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクブランクにおける前記吸収層は、吸収制御膜を有してもよい。
 また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクブランクにおける前記吸収層は、前記吸収制御膜、及び位相制御膜を有してもよい。
 また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクブランクにおける前記吸収制御膜は、消衰係数kが0.041以上である材料を含み、前記吸収層の膜厚が60nm以下であってもよい。
 また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクブランクにおける前記吸収制御膜は、錫(Sn)、インジウム(In)、タンタル(Ta)、銀(Ag)、テルル(Te)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、金(Au)、及び亜鉛(Zn)のうち少なくとも1種類以上の元素を含む材料から構成されてもよい。
 また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクブランクにおける前記吸収層は、前記吸収制御膜、及び位相制御膜を有し、前記位相制御膜は、EUV光に対する屈折率nが0.93より小さくてもよい。
 また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクブランクにおける前記吸収層は、前記吸収制御膜、及び位相制御膜を有し、前記位相制御膜は、EUV光に対する屈折率nが0.92より小さくてもよい。
 また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクブランクにおける前記吸収層は、前記吸収制御膜、及び位相制御膜を有し、前記位相制御膜は、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、及びレニウム(Re)のうち少なくとも1種類以上の元素を含む材料から構成されてもよい。
 また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクブランクにおける前記吸収層は、210度以上265度以下の範囲内の位相差を有してもよい。
 また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクブランクにおける前記吸収層は、230度以上260度以下の範囲内の位相差を有してもよい。
 また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクは、基板と、前記基板上に形成された多層膜構造を有し、EUV光を反射する反射層と、前記反射層上に形成され、該反射層を保護する保護層と、前記保護層上に形成され、EUV光を吸収する吸収パターン層と、を備え、前記吸収パターン層は、機能が異なる2層以上の積層構造からなり、前記吸収パターン層は、190度以上270度以下の範囲内の位相差を有することを特徴とする反射型フォトマスクである。
 また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクにおける前記吸収パターン層は、パターン形成された吸収制御膜を有してもよい。
 また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクにおける前記吸収パターン層は、前記吸収制御膜、及びパターン形成された位相制御膜を有してもよい。
 また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクにおける前記吸収制御膜は、消衰係数kが0.041以上である材料を含み、前記吸収パターン層の膜厚が60nm以下であってもよい。
 また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクにおける前記吸収制御膜は、錫(Sn)、インジウム(In)、タンタル(Ta)、銀(Ag)、テルル(Te)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、金(Au)、及び亜鉛(Zn)のうち少なくとも1種類以上の元素を含む材料から構成されてもよい。
 また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクにおける前記吸収パターン層は、前記吸収制御膜、及びパターン形成された位相制御膜を有し、前記位相制御膜は、EUV光に対する屈折率nが0.93より小さくてもよい。
 また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクにおける前記吸収パターン層は、前記吸収制御膜、及びパターン形成された位相制御膜を有し、前記位相制御膜は、EUV光に対する屈折率nが0.92より小さくてもよい。
 また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクにおける前記吸収パターン層は、前記吸収制御膜、及びパターン形成された位相制御膜を有し、前記位相制御膜は、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、及びレニウム(Re)のうち少なくとも1種類以上の元素を含む材料から構成されてもよい。
 また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクにおける前記吸収パターン層は、210度以上265度以下の範囲内の位相差を有してもよい。
 また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクにおける前記吸収パターン層は、230度以上260度以下の範囲内の位相差を有してもよい。
 本開示の一態様に係る反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクであれば、十分な位相シフト効果が得られ、ウェハ転写性能(特に解像性)を向上することが可能になる。
本実施形態に係る反射型フォトマスクブランクの構造を示す断面図である。 本実施形態に係る反射型フォトマスクの構造を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る反射型フォトマスクの位相差とNILSとの関係を示すグラフである。 EUV光の波長における各金属材料の光学定数を示すグラフである。 本発明の実施形態に係る反射型フォトマスクの位相差と膜厚との関係を示すグラフである。 本発明の実施形態に係る反射型フォトマスクの構造を示す概略断面図である。 本発明の実施例に係る反射型フォトマスクブランクの構造を示す概略断面図である。 本発明の実施例に係る反射型フォトマスクの製造工程を示す概略断面図である。 本発明の実施例に係る反射型フォトマスクの製造工程を示す概略断面図である。 本発明の実施例に係る反射型フォトマスクの製造工程を示す概略断面図である。 本発明の実施例に係る反射型フォトマスクの構造を示す概略断面図である。 本発明の比較例に係る反射型フォトマスクブランクの構造を示す概略断面図である。 本発明の比較例に係る反射型フォトマスクの構造を示す概略断面図である。
 本開示の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
 ここで、図面に示す構成は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率などは現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本開示の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本開示の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造などが下記のものに限定されるものでない。本開示の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクの構成)
 図1は、本発明の実施の形態に係る反射型フォトマスクブランク10を示す概略断面図である。図1に示すように、本発明の実施形態に係る反射型フォトマスクブランク10は、基板1と、基板1上に形成された反射層2と、反射層2の上に形成された保護層3と、保護層3の上に形成された吸収層4とを備え、吸収層4は、互いに機能が異なる少なくとも二層以上で構成されている。図1には、互いに機能が異なる二層で構成された吸収層4が例示されており、そのうちの一層を吸収層4aとし、吸収層4aの上に形成された他の層を吸収層4bとしている。
 なお、吸収層4a、4bは、吸収制御膜、位相制御膜のどちらかであり、どちらが上層、下層でもよい。つまり、本実施形態では、吸収層4aを吸収制御膜とし、吸収層4bを位相制御膜としてもよいし、吸収層4aを位相制御膜とし、吸収層4bを吸収制御膜としてもよい。
 また、吸収制御膜及び位相制御膜の少なくとも一方を構成する成分のうち、少なくとも一成分は、表層側から基板1側に向かって段階的に変化する傾斜構造でもよい、即ち濃度勾配を有していてもよい。
 また、図2は、本発明の実施の形態に係る反射型フォトマスク20を示す概略断面図である。ここで、図2に示す本発明の実施形態に係る反射型フォトマスク20は、図1に示す本発明の実施形態に係る反射型フォトマスクブランク10の吸収層4をパターニングして形成させている。以下、各層について詳細に説明する。
(基板)
 本発明の実施形態に係る基板1には、例えば、平坦なSi基板や合成石英基板等を用いることができる。また、基板1には、チタンを添加した低熱膨張ガラスを用いることができるが、熱膨張率の小さい材料であれば、本発明はこれらに限定されるものではない。
 また、図示しないが、基板1の反射層2を形成していない面に裏面導電膜を形成することができる。裏面導電膜は、反射型フォトマスク20を露光機に設置するときに静電チャックの原理を利用して固定するための膜である。
(反射層)
 本発明の実施形態に係る反射層2は、露光光であるEUV光(極端紫外光)を反射するものであればよく、EUV光に対する屈折率の大きく異なる材料の組み合わせによる多層反射膜(つまり、多層膜構造を有するEUV光反射膜)であってもよい。多層反射膜を含む反射層2は、例えば、Mo(モリブデン)とSi(シリコン)、またはMo(モリブデン)とBe(ベリリウム)といった組み合わせの層を40周期程度繰り返し積層することにより形成したものであってもよい。
(保護層)
 本発明の実施形態に係る保護層3は、吸収パターン4cをエッチングにより形成する際に、反射層2へのダメージを防ぐエッチングストッパとして機能する層である。なお、反射層2の材質やエッチング条件により、保護層3は形成されていなくてもかまわない。保護層3は、吸収層4のパターン形成の際に行われるドライエッチングに対して耐性を有する材質で形成されている。たとえば、保護層3の材料はルテニウム(Ru)であってもよい。
(吸収層)
 図1に示すように、吸収層4は、保護層3上に形成される層であり、露光光であるEUV光を吸収する層である。また、吸収層4は、転写するための微細パターンである吸収パターン4cを形成する層である。つまり、反射型フォトマスクブランク10の吸収層4の一部を除去することにより、即ち吸収層4をパターニングすることにより、図2に示す反射型フォトマスク20の吸収パターン(吸収パターン層)4cが形成される。
 吸収パターン4cでは、EUV光がパターン開口部を通り吸収層4を経由せずに入射、及び反射をする際は、その反射光は保護層3及び反射層2の影響を受けて、元の入射光と位相を変化させる。一方、EUV光が吸収層4を経由して入射、及び(あるいは)反射をする際は、その反射光は保護層3及び反射層2の影響に加え、吸収層4の影響を受けて元の入射光と位相を変化させる。即ち、EUV光が吸収層4を経由して生じた反射光は、パターン開口部のみを経由して生じた反射光との間で、吸収層4の膜特性に基づく所望の位相差を生じる。
 一般に、吸収層4の、パターニングした結果生じる開口部との位相差は、反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクの各層の光学定数(屈折率n、消衰係数k)と膜厚、使用する光の波長が決まれば、一意に定まり、光学理論により計算で求めることができる(詳細は、例えば、応用物理工学選書3、吉田貞史「薄膜」、培風館、1990を参照)。つまり、本実施形態における「位相差」とは、吸収層4の反射光の位相と、反射層2の(開口部での)反射光の位相と、の差を意味する。
 なお、本実施形態では、上記位相差の算出に用いた屈折率n及び消衰係数kの各値は、EUV光を用いた実測値を用いた。
 NILS(規格化空間像対数傾斜)は、
   NILS=w×dln(I)/dx ・・・式(1)
で求められるコントラストの値であり、反射型フォトマスク20を用いてウェハパターンを形成した際のウェハパターンの解像性の指標になる。ここで「w」は線幅を表し、「I」はエネルギー潜像の強度を表す。なお、NILSの値が大きい程、転写パターンの解像性が高いことを意味する。
 反射型フォトマスク20を用いてウェハ転写した際のウェハパターンのNILS(規格化空間像対数傾斜)と、反射型フォトマスク20の位相差と、反射型フォトマスク20を構成する吸収制御膜の膜厚との関係を図3に示す。
 図3は、消衰係数kが0.070である錫(Sn)と酸素(O)からなる吸収制御膜(以下、便宜的に「SnOからなる吸収制御膜」ともいう)を吸収層4aとして成膜し、吸収制御膜の上に屈折率nが0.89であるルテニウム(Ru)からなる位相制御膜を吸収層4bとして成膜した2層構造の吸収膜(吸収層)について、開口数NAが0.33の露光条件で、ウェハ上の19nmのホールパターンを露光した際の位相差とNILSの結果より、その関係を吸収膜(吸収層)の膜厚43nm、44nm、45nm、46nmの4水準で示した図である。なお、SnO、Ruは膜厚をそれぞれ0~26nm、0~47nmまで振る(変化させる)ことで意図的に位相差が異なる条件を作った。
 図3より、位相差が230度から260度近傍の範囲内でNILSの値は最大になることが分かる。
 また、図3より、膜厚43nmにおいて位相差が180度である場合、NILSの値は2.46であることが分かる。
 ここで、位相差が190度である場合、膜厚44nmにおいてNILSは2.50であり、膜厚43nmにおいて位相差が180度である場合に比べてNILSは1%以上大きい。
 また、位相差が270度である場合、膜厚46nmにおいてNILSは2.50であり、膜厚43nmにおいて位相差が180度である場合に比べてNILSは1%以上大きい。
 また、位相差が210度である場合、膜厚44nmにおいてNILSは2.64あり、膜厚43nmにおいて位相差が180度である場合に比べてNILSは7%以上大きい。
 また、位相差が265度である場合、膜厚43nmにおいてNILSは2.64であり、膜厚43nmにおいて位相差が180度である場合に比べてNILSは7%以上大きい。
 また、位相差が230度である場合、膜厚43nmにおいてNILSは2.74であり、膜厚43nmにおいて位相差が180度である場合に比べてNILSは11%以上大きい。
 また、位相差は260度である場合、膜厚46nmにおいてNILSは2.74であり、膜厚43nmにおいて位相差が180度である場合に比べてNILSは11%以上大きい。
 このように位相差が180度である場合よりも、位相差が190度以上270度以下の範囲内であれば1%以上、位相差が210度以上265度以下の範囲内であれば7%以上、位相差が230度以上260度以下の範囲内であれば11%以上、NILSが向上し得る。
 これらのことから、解像性を向上させるためには、吸収層4の位相差は、190度以上270度以下の範囲内が好ましく、210度以上265度以下の範囲内がさらに好ましく、230度以上260度以下の範囲内が最も好ましいことが分かる。
 このように、反射型フォトマスクにおける吸収層の最適な位相差は、従来の設計思想で用いられてきた「180度」とは異なる値であることを本発明者は見出した。
 EUVリソグラフィにおいて、EUV光は斜めに入射し、反射層2で反射されるが、吸収パターン4cが形成された吸収層4が光路の妨げとなる射影効果により、ウェハ(半導体基板)上への転写性能が悪化することがある。この転写性能の悪化は、EUV光を吸収する吸収層4の厚さを薄くすることで低減できる。
 吸収層4の膜厚は、60nm以下であることが好ましい。吸収層4の膜厚が60nm以下である場合、従来のTa系吸収膜(吸収層)よりも膜厚が薄くなるため、射影効果を低減し、転写性能を向上させることができる。
 ここで、図4は、一部の金属材料のEUV光の波長13.5nmに対する光学定数を示すグラフである。図4の横軸は屈折率nを表し、縦軸は消衰係数kを示している。従来の吸収層の主材料であるタンタル(Ta)の膜厚は60~90nmである。そのため、吸収層4の膜厚を60nm以下とすることができれば、従来の吸収層(反射型フォトマスク)に比べて、転写性能を向上させることができる。本実施形態の吸収層4の膜厚は、50nm以下であると好ましく、40nm以下であるとさらに好ましい。なお、本実施形態の吸収層4において、その下限値は特に制限されないが、20nm以上であると好ましく、25nm以上であるとさらに好ましい。
 吸収制御膜を薄膜化するには、吸収制御膜を構成する材料として、既存Ta膜が有する消衰係数k(0.041)よりも消衰係数kが大きい材料(高消衰係数材料)を用いることが必要である。また、吸収制御膜の更なる薄膜化を可能とするには、吸収制御膜を構成する材料の消衰係数kが0.05以上であれば好ましく、0.06以上であればさらに好ましい。
 吸収制御膜を構成する材料に、消衰係数kが0.041以上である材料を用いることで、吸収制御膜は十分に薄膜化し、射影効果の低減が可能となる。具体的には、消衰係数kが0.06以上の材料としては、錫(Sn)、インジウム(In)、銀(Ag)、テルル(Te)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銅(Cu)、白金(Pt)などが挙げられ、消衰係数kが0.05以上の材料としては、金(Au)、亜鉛(Zn)などが挙げられ、消衰係数kが0.041以上の材料としては、タンタル(Ta)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)などが挙げられる。吸収制御膜を構成する材料は、これらの材料(元素)のうち、少なくとも1種を含んだ材料とすることが望ましい。特に、吸収制御膜を構成する材料が、Sn、In、Taの酸化物、窒化物もしくは酸窒化物であれば、これらの材料は高融点のため、吸収制御膜の耐熱性の更なる改善と、既存エッチング装置での吸収制御膜の加工性向上が期待できる。
 なお、吸収制御膜の構成する材料全体のうち、上述した高消衰係数材料が50質量%以上含まれていれば好ましく、70質量%以上含まれていればより好ましく、90質量%以上含まれていればさらに好ましい。高消衰係数材料の含有量が上記数値範囲内であれば、吸収制御膜として確実に機能する。
 本実施形態では、吸収制御膜の膜厚は、1nm以上30nm以下の範囲内であれば好ましく、3nm以上20nm以下の範囲内であればより好ましく、3nm以上15nm以下の範囲内であればさらに好ましい。吸収制御膜の膜厚が上記数値範囲内であれば、EUV光の吸収率を容易に制御(調整)することができる。
 また、本実施形態では、吸収層4全体の膜厚に対する吸収制御膜の膜厚は、2.5%以上50%未満の範囲内であれば好ましく、10%以上40%以下の範囲内であればより好ましく、10%以上30%以下の範囲内であればさらに好ましい。吸収層4全体の膜厚に対する吸収制御膜の膜厚が上記数値範囲内であれば、EUV光の吸収率を容易に制御(調整)することができる。
 図5は、消衰係数kが0.07、屈折率nが0.93の吸収制御膜を1nm未満で成膜し、その上に消衰係数kが0.03、EUV光に対する屈折率nが0.90、0.91、0.92、0.93、0.94の位相制御膜を成膜した際の吸収層4の膜厚と、位相差との関係をシミュレーションで算出したグラフである。なお、上述した「吸収層4の膜厚」とは、吸収制御膜の膜厚が位相制御膜の厚さに比べて無視できる程度に薄いため、実質的に位相制御膜自体の厚さを意味する。
 図5に示すように、吸収層4を構成する位相制御膜の屈折率nが小さければ小さいほど、所望の位相差を得るための膜厚を薄くすることができる。
 このように、射影効果の低減には、吸収制御膜を構成する材料の消衰係数kを大きくすることによる吸収制御膜の薄膜化の他に、位相制御膜を構成する材料の屈折率nを小さくすることによる位相制御膜の薄膜化も有効である。
 図5に示すように、吸収層4を構成する位相制御膜の屈折率nが0.93の場合、230度以上260度以下の範囲内の位相差を得るための吸収層4(位相制御膜)の最低膜厚は60nmであり、従来のTa系吸収膜(吸収層)の膜厚と同程度である。そのため、吸収層4を構成する位相制御膜の屈折率nは0.93より小さければ、吸収層4(位相制御膜)の膜厚を60nmより薄くすることができるため好ましい。また、吸収層4を構成する位相制御膜の屈折率nが0.92より小さければ、230度以上260度以下の範囲内の位相差を得るための吸収層4(位相制御膜)の最低膜厚が50nm以下になるため、さらに好ましい。
 本実施形態では、位相制御膜の膜厚は、10nm以上50nm以下の範囲内であれば好ましく、15nm以上40nm以下の範囲内であればより好ましく、20nm以上30nm以下の範囲内であればさらに好ましい。位相制御膜の膜厚が上記数値範囲内であれば、位相差を容易に制御(調整)することができる。
 また、本実施形態では、吸収層4全体の膜厚に対する位相制御膜の膜厚は、50%以上95%未満の範囲内であれば好ましく、60%以上85%以下の範囲内であればより好ましく、70%以上80%以下の範囲内であればさらに好ましい。吸収層4全体の膜厚に対する位相制御膜の膜厚が上記数値範囲内であれば、位相差を容易に制御(調整)することができる。
 なお、位相制御膜と吸収制御膜とで構成された吸収層4全体の膜厚は、上述のように、60nm以下であれば好ましく、50nm以下であればより好ましく、40nm以下であればさらに好ましい。
 また、位相制御膜と吸収制御膜とで構成された吸収層4においては、位相制御膜の膜厚は、吸収制御膜の膜厚よりも厚ければ好ましい。例えば、位相制御膜の膜厚は、吸収制御膜の膜厚の3倍以上であれば好ましく、5倍以上であればより好ましく、8倍以上であればさらに好ましい。
 位相制御膜を構成する材料に、屈折率nが0.93より小さな材料(低屈折率材料)を用いることで、位相制御膜は十分に薄膜化し、射影効果の低減が可能となる。具体的には、屈折率nが0.93より小さい材料としては、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)などが挙げられる。位相制御膜を構成する材料は、これらの材料(元素)のうち、少なくとも1種を含んだ材料とすることが望ましい。
 なお、吸収層4を構成する材料は、上述した材料(即ち、消衰係数kが0.041よりも大きい高消衰係数材料や、屈折率nが0.93より小さい低屈折率材料)以外に、例えば、ベリリウム(Be)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、ストロンチウム(Sr)、テクネチウム(Tc)、ロジウム(Rh)、バリウム(Ba)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、金(Au)などを含有することで、ラフネス、面内寸法均一性、転写像の面内均一性が向上可能な、十分にアモルファスである材料(非結晶性を有する材料)とすることができる。
 また、吸収層4を構成する材料は、上述した高消衰係数材料や低屈折率材料以外に、例えば、クロム(Cr)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、ハフニウム(Hf)、ニオブ(Nb)、イットリウム(Y)、鉛(Pb)、ガリウム(Ga)などを含有することで、水素ラジカルとの反応が生じにくく、より水素ラジカル耐性のある材料とすることができる。
 また、吸収層4を構成する材料は、上述した高消衰係数材料や低屈折率材料以外に、例えば、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、バナジウム(V)、ハフニウム(Hf)などを含有することで、図6に示すように、水素ラジカル耐性を有する酸化皮膜5を、吸収層4の露出した表面を覆うように形成することができる。なお、酸化皮膜5の膜厚は、1nm以上5nm以下の範囲内が好ましく、2nm以上4nm以下の範囲内がより好ましく、2.5nm以上3.5nm以下の範囲内がさらに好ましい。酸化皮膜5の膜厚が上記数値範囲内であれば、優れた水素ラジカル耐性が付与される。
 酸化皮膜5は屈折率nが1に近く、消衰係数kが0に近い材料、例えばSiOを酸化皮膜5として使用し、NILSが従来のTa系吸収膜より高ければ、膜厚が10nm以上であってもよい。膜厚が10nm以上であれば、膜厚が薄い場合と比較して、マスク洗浄時の薬液による被覆膜の浸食に対してより耐えることができ、マスクを長時間使用することができる。
 また、酸化皮膜5の膜厚は、吸収層4の上面に形成された酸化皮膜5の膜厚の方が、吸収層4の側面に形成された酸化皮膜5の膜厚よりも厚くてもよい。水素ラジカルの衝突頻度は吸収層4の上面の方が吸収層4の側面よりも高いので、吸収層4の上面に形成された酸化皮膜5の膜厚の方が吸収層4の側面に形成された酸化皮膜5の膜厚よりも厚いと、吸収層4の耐久性が向上する。
 また、酸化皮膜5の膜厚は、吸収層4の上面に形成された酸化皮膜5の膜厚の方が、吸収層4の側面に形成された酸化皮膜5の膜厚よりも薄くてもよい。水素ラジカルによる吸収層4のダメージは吸収層4の側面の方が吸収層4の上面よりも転写性能(特に解像性)への影響を与え易いので、吸収層4の側面に形成された酸化皮膜5の膜厚の方が吸収層4の上面に形成された酸化皮膜5の膜厚よりも厚いと、吸収層4の転写性能(特に解像性)が向上する。
 また、吸収層4を構成する材料は、上述した高消衰係数材料や低屈折率材料以外に、例えば、ロジウム(Rh)、ニオブ(Nb)、白金(Pt)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)などを含有することで、マスク洗浄に一般に使用されるSPMやAPMのような薬液に対し反応性が低く、より洗浄耐性のある材料とすることができる。
 また、吸収層4を構成する材料は、上述した高消衰係数材料や低屈折率材料以外に、例えば、窒化ケイ素(SiN)、酸化タンタル(TaO)などを含有することで、波長190nm~260nmの光吸収が高く検査光のコントラスト向上性のある材料とすることができる。
 また、吸収層4を構成する材料は、上述した高消衰係数材料や低屈折率材料以外に、例えば、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、金(Au)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)などを含有することで、13.5nmの波長に対する屈折率nが0.95未満であり位相シフト性を向上する材料とすることができる。
 以上、吸収層4に含有可能な材料の効果の一例を記述したが、各材料の効果は上記の例に限定されず、複数に該当してもよい。
 なお、位相制御膜の構成する材料全体のうち、上述した低屈折率材料が50質量%以上含まれていれば好ましく、70質量%以上含まれていればより好ましく、90質量%以上含まれていればさらに好ましい。低屈折率材料の含有量が上記数値範囲内であれば、位相制御膜として確実に機能する。
[実施例]
 以下、本開示を実施例によりさらに詳しく説明するが、本開示は実施例により何ら限定されるものではない。
<実施例1>
 図7に示すように、基板11として低熱膨張性を有する合成石英基板を用いた。基板11の上に、多層反射膜12としてシリコン(Si)とモリブデン(Mo)とを一対とする積層膜を40枚積層して形成した。多層反射膜(反射層)12の膜厚は280nmとした。
 次に、多層反射膜12上に、ルテニウム(Ru)を用いて膜厚が3.5nmになるようにキャッピング層(保護層)13を成膜した。これにより、基板11上には多層反射膜12及びキャッピング層13を有する反射部が形成された。
 キャッピング層13の上に、消衰係数kが0.070である錫(Sn)と酸素(O)からなる吸収制御膜(下層14a)を膜厚が9nmになるように成膜し、吸収制御膜(下層14a)の上に屈折率nが0.89であるルテニウム(Ru)からなる位相制御膜(上層14b)を膜厚が26nmになるように成膜した。こうして成膜した、錫(Sn)と酸素(O)からなる膜とルテニウム(Ru)膜とを備える吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、アモルファスであることが分かった。なお、上述した錫(Sn)と酸素(O)からなる吸収制御膜については、表では便宜的に「SnO」と表記している。つまり、本実施例における、錫(Sn)と酸素(O)からなる吸収制御膜の組成は、Sn:O=1:1に限定されるものではない。以下の実施例及び比較例についても同様である。
 次に、基板11の多層反射膜12が形成されていない側に、窒化クロム(CrN)を用いて100nmの厚さとなるように裏面導電膜15を成膜した。反射型フォトマスクブランク100を作成した。
 基板11上へのそれぞれの膜の成膜は、多元スパッタリング装置を用いた。各々の膜の膜厚は、スパッタリング時間で制御した。
 次に、反射型フォトマスク200の作製方法について、図8から図11を用いて説明する。図8に示すように、反射型フォトマスクブランク100の吸収層14の上に、ポジ型化学増幅型レジスト(SEBP9012:信越化学社製)を120nmの膜厚にスピンコートで塗布し、110℃で10分ベークし、レジスト膜16を形成した。
 次に、電子線描画機(JBX3030:日本電子社製)によってレジスト膜16に所定のパターンを描画した。
 その後、110℃、10分のプリベーク処理を行い、次いでスプレー現像機(SFG3000:シグマメルテック社製)を用いて現像処理をした。これにより図9に示したように、レジストパターン16aを形成した。
 次に、レジストパターン16aをエッチングマスクとして、Ruで形成された位相制御膜(上層14b)はフッ素系ガス、SnOで形成された吸収制御膜(下層14a)は塩素系ガスを主体としたドライエッチングにより、吸収層14のパターニングを行った。これにより、図10に示すように、吸収層14に吸収パターン14cを形成した。
 次にレジストパターン16aの剥離を行い、図11に示す、本実施例に係る反射型フォトマスク200を作製した。
 なお、本実施例において、吸収層14に形成した吸収パターン14cは、転写評価用の反射型フォトマスク200上で、76nmのホールパターンとした。
 上記のように形成した実施例1の吸収層14の波長13.5nmにおける位相差は192度であった。
<実施例2>
 消衰係数kが0.070である錫(Sn)と酸素(O)からなる吸収制御膜(下層14a)を膜厚が13nmになるように成膜し、吸収制御膜(下層14a)の上に屈折率nが0.89であるルテニウム(Ru)からなる位相制御膜(上層14b)を膜厚が20nmになるように成膜した。こうして成膜した、錫(Sn)と酸素(O)からなる膜とルテニウム(Ru)膜とを備える吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、アモルファスであることが分かった。
 なお、吸収層14以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2の反射型フォトマスクブランク100及び反射型フォトマスク200を作製した。
 上記のように形成した実施例2の吸収層14の波長13.5nmにおける位相差は192度であった。
<実施例3>
 消衰係数kが0.070である錫(Sn)と酸素(O)からなる吸収制御膜(下層14a)を膜厚が8nmになるように成膜し、吸収制御膜(下層14a)の上に屈折率nが0.89であるルテニウム(Ru)からなる位相制御膜(上層14b)を膜厚が38nmになるように成膜した。こうして成膜した、錫(Sn)と酸素(O)からなる膜とルテニウム(Ru)膜とを備える吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、アモルファスであることが分かった。
 なお、吸収層14以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3の反射型フォトマスクブランク100及び反射型フォトマスク200を作製した。
 上記のように形成した実施例3の吸収層14の波長13.5nmにおける位相差は266度であった。
<実施例4>
 消衰係数kが0.070である錫(Sn)と酸素(O)からなる吸収制御膜(下層14a)を膜厚が1.2nmになるように成膜し、吸収制御膜(下層14a)の上に屈折率nが0.89であるルテニウム(Ru)からなる位相制御膜(上層14b)を膜厚が44nmになるように成膜した。こうして成膜した、錫(Sn)と酸素(O)からなる膜とルテニウム(Ru)膜とを備える吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、アモルファスであることが分かった。
 なお、吸収層14以外は、実施例1と同様の方法で、実施例4の反射型フォトマスクブランク100及び反射型フォトマスク200を作製した。
 上記のように形成した実施例4の吸収層14の波長13.5nmにおける位相差は266度であった。
<実施例5>
 消衰係数kが0.070である錫(Sn)と酸素(O)からなる吸収制御膜(下層14a)を膜厚が4nmになるように成膜し、吸収制御膜(下層14a)の上に屈折率nが0.89であるルテニウム(Ru)からなる位相制御膜(上層14b)を膜厚が39nmになるように成膜した。こうして成膜した、錫(Sn)と酸素(O)からなる膜とルテニウム(Ru)膜とを備える吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、アモルファスであることが分かった。
 なお、吸収層14以外は、実施例1と同様の方法で、実施例5の反射型フォトマスクブランク100及び反射型フォトマスク200を作製した。
 上記のように形成した実施例5の吸収層14の波長13.5nmにおける位相差は248度であった。
<実施例6>
 消衰係数kが0.070である錫(Sn)と酸素(O)からなる吸収制御膜(下層14a)を膜厚が5nmになるように成膜し、吸収制御膜(下層14a)の上に屈折率nが0.89であるルテニウム(Ru)からなる位相制御膜(上層14b)を膜厚が39nmになるように成膜した。こうして成膜した、錫(Sn)と酸素(O)からなる膜とルテニウム(Ru)膜とを備える吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、アモルファスであることが分かった。
 なお、吸収層14以外は、実施例1と同様の方法で、実施例6の反射型フォトマスクブランク100及び反射型フォトマスク200を作製した。
 上記のように形成した実施例6の吸収層14の波長13.5nmにおける位相差は248度であった。
<実施例7>
 消衰係数kが0.070である錫(Sn)と酸素(O)からなる吸収制御膜(下層14a)を膜厚が22nmになるように成膜し、吸収制御膜(下層14a)の上に屈折率nが0.89であるルテニウム(Ru)からなる位相制御膜(上層14b)を膜厚が22nmになるように成膜した。こうして成膜した、錫(Sn)と酸素(O)からなる膜とルテニウム(Ru)膜とを備える吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、アモルファスであることが分かった。
 なお、吸収層14以外は、実施例1と同様の方法で、実施例7の反射型フォトマスクブランク100及び反射型フォトマスク200を作製した。
 上記のように形成した実施例7の吸収層14の波長13.5nmにおける位相差は210度であった。
<実施例8>
 消衰係数kが0.070である錫(Sn)と酸素(O)からなる吸収制御膜(下層14a)を膜厚が20nmになるように成膜し、吸収制御膜(下層14a)の上に屈折率nが0.89であるルテニウム(Ru)からなる位相制御膜(上層14b)を膜厚が27nmになるように成膜した。こうして成膜した、錫(Sn)と酸素(O)からなる膜とルテニウム(Ru)膜とを備える吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、アモルファスであることが分かった。
 なお、吸収層14以外は、実施例1と同様の方法で、実施例8の反射型フォトマスクブランク100及び反射型フォトマスク200を作製した。
 上記のように形成した実施例8の吸収層14の波長13.5nmにおける位相差は263度であった。
<実施例9>
 消衰係数kが0.070である錫(Sn)と酸素(O)からなる吸収制御膜(下層14a)を膜厚が21nmになるように成膜し、吸収制御膜(下層14a)の上に屈折率nが0.89であるルテニウム(Ru)からなる位相制御膜(上層14b)を膜厚が19nmになるように成膜した。こうして成膜した、錫(Sn)と酸素(O)からなる膜とルテニウム(Ru)膜とを備える吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、アモルファスであることが分かった。
 なお、吸収層14以外は、実施例1と同様の方法で、実施例9の反射型フォトマスクブランク100及び反射型フォトマスク200を作製した。
 上記のように形成した実施例9の吸収層14の波長13.5nmにおける位相差は230度であった。
<実施例10>
 消衰係数kが0.070である錫(Sn)と酸素(O)からなる吸収制御膜(下層14a)を膜厚が19nmになるように成膜し、吸収制御膜(下層14a)の上に屈折率nが0.89であるルテニウム(Ru)からなる位相制御膜(上層14b)を膜厚が28nmになるように成膜した。こうして成膜した、錫(Sn)と酸素(O)からなる膜とルテニウム(Ru)膜とを備える吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、アモルファスであることが分かった。
 なお、吸収層14以外は、実施例1と同様の方法で、実施例10の反射型フォトマスクブランク100及び反射型フォトマスク200を作製した。
 上記のように形成した実施例10の吸収層14の波長13.5nmにおける位相差は260度であった。
<実施例11>
 消衰係数kが0.041であるタンタル(Ta)からなる吸収制御膜(下層14a)を膜厚が4nmになるように成膜し、吸収制御膜(下層14a)の上に屈折率nが0.89であるルテニウム(Ru)からなる位相制御膜(上層14b)を膜厚が39nmになるように成膜した。こうして成膜した、タンタル(Ta)膜とルテニウム(Ru)膜とを備える吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、アモルファスであることが分かった。
 なお、吸収層14以外は、実施例1と同様の方法で、実施例11の反射型フォトマスクブランク100及び反射型フォトマスク200を作製した。
 上記のように形成した実施例11の吸収層14の波長13.5nmにおける位相差は246度であった。
<実施例12>
 消衰係数kが0.005であるニオブ(Nb)からなる吸収制御膜(下層14a)を膜厚が4nmになるように成膜し、吸収制御膜(下層14a)の上に屈折率nが0.89であるルテニウム(Ru)からなる位相制御膜(上層14b)を膜厚が39nmになるように成膜した。こうして成膜した、ニオブ(Nb)膜とルテニウム(Ru)膜とを備える吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、アモルファスであることが分かった。
 なお、吸収層14以外は、実施例1と同様の方法で、実施例12の反射型フォトマスクブランク100及び反射型フォトマスク200を作製した。
 上記のように形成した実施例12の吸収層14の波長13.5nmにおける位相差は251度であった。
<実施例13>
 屈折率nが0.89であるルテニウム(Ru)からなる位相制御膜(下層14a)を膜厚が39nmになるように成膜し、位相制御膜(下層14a)の上に、消衰係数kが0.070である錫(Sn)と酸素(O)からなる吸収制御膜(上層14b)を膜厚が4nmになるように成膜した。こうして成膜した、ルテニウム(Ru)膜と錫(Sn)と酸素(O)とを備える吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、アモルファスであることが分かった。
 なお、吸収層14以外は、実施例1と同様の方法で、実施例13の反射型フォトマスクブランク100及び反射型フォトマスク200を作製した。
 上記のように形成した実施例13の吸収層14の波長13.5nmにおける位相差は248度であった。
<実施例14>
 消衰係数kが0.067であるインジウム(In)と酸素(O)からなる吸収制御膜(下層14a)を膜厚が8nmになるように成膜し、吸収制御膜(下層14a)の上に屈折率nが0.89であるルテニウム(Ru)からなる位相制御膜(上層14b)を膜厚が36nmになるように成膜した。こうして成膜した、インジウム(In)と酸素(O)からなる膜とルテニウム(Ru)膜とを備える吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、アモルファスであることが分かった。
 なお、吸収層14以外は、実施例1と同様の方法で、実施例14の反射型フォトマスクブランク100及び反射型フォトマスク200を作製した。
 また、上述したインジウム(In)と酸素(O)からなる吸収制御膜については、表では便宜的に「InO」と表記している。つまり、本実施例における、インジウム(In)と酸素(O)からなる吸収制御膜の組成は、In:O=1:1に限定されるものではない。
 上記のように形成した実施例14の吸収層14の波長13.5nmにおける位相差は245度であった。
<実施例15>
 消衰係数kが0.039であるクロム(Cr)からなる吸収制御膜(下層14a)を膜厚が7nmになるように成膜し、吸収制御膜(下層14a)の上に屈折率nが0.934であるニオブ(Nb)からなる位相制御膜(上層14b)を膜厚が62nmになるように成膜した。こうして成膜した、クロム(Cr)膜とニオブ(Nb)膜とを備える吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、アモルファスであることが分かった。
 なお、吸収層14以外は、実施例1と同様の方法で、実施例15の反射型フォトマスクブランク100及び反射型フォトマスク200を作製した。
 上記のように形成した実施例15の吸収層14の波長13.5nmにおける位相差は252度であった。
<実施例16>
 消衰係数kが0.041であるタンタル(Ta)からなる吸収制御膜(下層14a)を膜厚が14nmになるように成膜し、吸収制御膜(下層14a)の上に屈折率nが0.934であるニオブ(Nb)からなる位相制御膜(上層14b)を膜厚が53nmになるように成膜した。こうして成膜した、タンタル(Ta)膜とニオブ(Nb)膜とを備える吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、アモルファスであることが分かった。
 なお、吸収層14以外は、実施例1と同様の方法で、実施例16の反射型フォトマスクブランク100及び反射型フォトマスク200を作製した。
 上記のように形成した実施例16の吸収層14の波長13.5nmにおける位相差は239度であった。
<実施例17>
 消衰係数kが0.039であるクロム(Cr)からなる吸収制御膜(下層14a)を膜厚が30nmになるように成膜し、吸収制御膜(下層14a)の上に屈折率nが0.923であるモリブデン(Mo)からなる位相制御膜(上層14b)を膜厚が29nmになるように成膜した。こうして成膜した、クロム(Cr)膜とモリブデン(Mo)膜とを備える吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、アモルファスであることが分かった。
 なお、吸収層14以外は、実施例1と同様の方法で、実施例17の反射型フォトマスクブランク100及び反射型フォトマスク200を作製した。
 上記のように形成した実施例17の吸収層14の波長13.5nmにおける位相差は231度であった。
<比較例1>
 図12に示すように、吸収制御膜(下層24a)を消衰係数kが0.031である窒化タンタル(TaN)で形成し、その膜厚が58nmになるよう成膜した。また、位相制御膜(上層24b)は屈折率nが0.95である酸化タンタル(TaO)で形成し、その膜厚が2nmになるよう成膜した。こうして成膜した、窒化タンタル(TaN)膜と酸化タンタル(TaO)膜とを備える吸収層24の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、アモルファスであることが分かった。ここで、本比較例は、従来のタンタル(Ta)を主成分とした既存膜の反射型フォトマスクを想定したものである。
 なお、吸収層24の成膜以外は、実施例1と同様の方法で、図12及び図13に示す比較例1の反射型フォトマスクブランク101及び吸収パターン24cを備えた反射型フォトマスク201を作製した。
 上記のように形成した比較例1の吸収層24の波長13.5nmにおける位相差は160度であった。
<比較例2>
 消衰係数kが0.070である錫(Sn)と酸素(O)からなる吸収制御膜(下層24a)を膜厚が11nmになるように成膜し、吸収制御膜(下層24a)の上に屈折率nが0.89であるルテニウム(Ru)からなる位相制御膜(上層24b)を膜厚が24nmになるように成膜した。こうして成膜した、錫(Sn)と酸素(O)からなる膜とルテニウム(Ru)膜とを備える吸収層24の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、アモルファスであることが分かった。
 なお、吸収層24以外は、実施例1と同様の方法で、比較例2の反射型フォトマスクブランク101及び反射型フォトマスク201を作製した。
 上記のように形成した比較例2の吸収層24の波長13.5nmにおける位相差は180度であった。
<比較例3>
 消衰係数kが0.070である錫(Sn)と酸素(O)からなる吸収制御膜(下層24a)を膜厚が7nmになるように成膜し、吸収制御膜(下層24a)の上に屈折率nが0.89であるルテニウム(Ru)からなる位相制御膜(上層24b)を膜厚が40nmになるように成膜した。こうして成膜した、錫(Sn)と酸素(O)からなる膜とルテニウム(Ru)膜とを備える吸収層24の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、アモルファスであることが分かった。
 なお、吸収層24以外は、実施例1と同様の方法で、比較例3の反射型フォトマスクブランク101及び反射型フォトマスク201を作製した。
 上記のように形成した比較例3の吸収層24の波長13.5nmにおける位相差は284度であった。
<比較例4>
 消衰係数kが0.070である錫(Sn)と酸素(O)からなる吸収制御膜(下層24a)を膜厚が15nmになるように成膜し、吸収制御膜(下層24a)の上に屈折率nが0.89であるルテニウム(Ru)からなる位相制御膜(上層24b)を膜厚が22nmになるように成膜した。こうして成膜した、錫(Sn)と酸素(O)からなる膜とルテニウム(Ru)膜とを備える吸収層24の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、アモルファスであることが分かった。
 なお、吸収層24以外は、実施例1と同様の方法で、比較例4の反射型フォトマスクブランク101及び反射型フォトマスク201を作製した。
 上記のように形成した比較例4の吸収層24の波長13.5nmにおける位相差は188度であった。
<比較例5>
 消衰係数kが0.070である錫(Sn)と酸素(O)からなる吸収制御膜(下層24a)を膜厚が1nmになるように成膜し、吸収制御膜(下層24a)の上に屈折率nが0.89であるルテニウム(Ru)からなる位相制御膜(上層24b)を膜厚が30nmになるように成膜した。こうして成膜した、錫(Sn)と酸素(O)からなる膜とルテニウム(Ru)膜とを備える吸収層24の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、アモルファスであることが分かった。
 なお、吸収層24以外は、実施例1と同様の方法で、比較例5の反射型フォトマスクブランク101及び反射型フォトマスク201を作製した。
 上記のように形成した比較例5の吸収層24の波長13.5nmにおける位相差は188度であった。
<評価>
 上述した実施例1~17、比較例1~5で得られた反射型フォトマスクについて、以下の方法で転写性能の評価を行った。転写性能はウェハ露光評価により確認した。また、解像性は、NILS(Normalized Image Log‐Slope:規格化空間像対数傾斜)値により評価した。
 EUV露光装置(NXE3300B:ASML社製)を用いて、EUVポジ型化学増幅型レジストを塗布した半導体ウェハ上に、各実施例、比較例で作製した反射型フォトマスクの吸収パターンを転写露光した。このとき、露光量は、ホールパターンが設計通りの19nmに転写するように調節した。その後、電子線寸法測定機により転写されたレジストパターンの観察及び線幅測定を実施し、解像性を確認し、以下の「◎」、「○」、「△」、「×」の4段階で評価した。
<評価基準>
 ◎:NILS値が2.60以上である場合
 ○:NILS値が2.50以上であり、2.60未満である場合
 △:NILS値が2.47以上であり、2.50未満である場合
 ×:NILS値が2.47未満である場合
 以上の評価結果を表1に示す。
 なお、NILS値については、「△」以上の評価であれば、転写性能に問題はないため、合格とした。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 表1に、実施例1~17、比較例1~5の評価結果を示す。
 従来の膜厚60nmのタンタル(Ta)系吸収層を備えた比較例1の位相差は160度であり、NILSは2.37であった。実施例1~17のように吸収パターン層の位相差が190度以上270度以下である場合には、比較例1と比べてNILSが大きく、解像性が向上することが分かった。
 以下、表1及び、図3、図5に示すグラフを用いて、各実施例及び各比較例のNILSを比較した結果について、詳細に説明する。
 実施例1、実施例3及び実施例5を比較すると、位相差はそれぞれ192度、266度、248度のとき、NILSはそれぞれ2.61、2.60、2.81であり、いずれも「◎」と評価される。比較例2及び比較例3においては、位相差がそれぞれ180度、284度のとき、NILSはそれぞれ2.46、2.34であり、いずれも「×」と評価される。
 これらのことから、位相差は190度以上270度以下であると十分な解像性を有することが分かる。つまり、反射型フォトマスクにおける吸収層の好適な位相差の範囲は、従来の設計思想で用いられてきた「180度」付近とは異なり、「190度以上270度以下の範囲内」であるといえる。
 実施例1、実施例3及び実施例5を比較すると、位相差はそれぞれ192度、266度、248度のとき、NILSはそれぞれ2.61、2.60、2.81であり、いずれも「◎」と評価される。
 実施例7、実施例8、実施例9及び実施例10を比較すると、位相差がそれぞれ210度、263度、230度、260度である。ここでNILSは実施例7、実施例8、実施例9及び実施例10場合でそれぞれ2.65、2.70、2.75、2.72であり、いずれも「◎」と評価される。
 また、図3に示す通り、位相差が180度である場合よりも、位相差が190度以上270度以下の範囲内であれば1%以上、位相差が210度以上265度以下の範囲内であれば7%以上、位相差が230度以上260度以下の範囲内であれば11%以上、NILSが向上し得る。
 これらのことから、解像性を向上させるためには、吸収層の位相差は190度以上270度以下の範囲内が好ましく、210度以上265度以下の範囲内がさらに好ましく、230度以上260度以下の範囲内が最も好ましい。
 実施例5、実施例11及び実施例12を比較すると、吸収制御膜の膜厚と、位相制御膜であるRu膜の膜厚とは同一である。なお、実施例5、実施例11及び実施例12の吸収制御膜に用いられる材料はそれぞれ、SnO(消衰係数kが0.070)、Ta(消衰係数kが0.041)、Nb(消衰係数kが0.005)である。ここでNILSは実施例5、実施例11及び実施例12の場合でそれぞれ2.81、2.75、2.59である。
 実施例5及び実施例13を比較すると、吸収制御膜であるSnOの膜厚と、位相制御膜であるRu膜の膜厚とは同一であるが、それぞれの層の位置が入れ替わっている。ここで、位相差、NILSはすべて等しく、それぞれ、248度、2.81である。
 このことから、吸収層が2層構造である場合、上層と下層を入れ替えても位相差、NILSはすべて等しいことが分かる。
 実施例5及び実施例14を比較すると、実施例5及び実施例14の吸収制御膜に用いられる材料はそれぞれ、SnO(消衰係数kが0.070)、InO(消衰係数kが0.067)であり、いずれの材料も消衰係数が0.041以上である。ここでNILSは実施例5及び実施例14の場合でそれぞれ2.81、2.82である。
 このように、吸収制御膜に酸化錫(Sn)や酸化インジウム(In)などの消衰係数kの大きな材料を用いると、解像性が良好であることが分かる。
 比較例4及び比較例5を比較すると、位相差が188度と同一である。ここでNILSは比較例4、比較例5の場合でそれぞれ2.44、1.34である。このときのNILSはいずれも「×」と評価される。
 なお、本開示の反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクは、上記の実施形態及び実施例に限定されるものではなく、発明の特徴を損なわない範囲において種々の変更が可能である。
 本発明に係る反射型フォトマスクブランク及び反射型フォトマスクは、半導体集積回路などの製造工程において、EUV露光によって微細なパターンを形成するために好適に用いることができる。
1…基板
2…反射層
3…保護層
4…吸収層
4a…吸収層(下層)
4b…吸収層(上層)
4c…吸収パターン
5…酸化皮膜
5a…酸化皮膜パターン
10…反射型フォトマスクブランク
20…反射型フォトマスク
11…基板
12…反射層
13…保護層
14…吸収層
14a…吸収層(下層)
14b…吸収層(上層)
14c…吸収パターン
15…裏面導電膜
16…レジスト膜
16a…レジストパターン
100…反射型フォトマスクブランク
200…反射型フォトマスク
24…吸収層
24a…吸収層(下層)
24b…吸収層(上層)
24c…吸収パターン
101…反射型フォトマスクブランク
201…反射型フォトマスク

Claims (20)

  1.  基板と、
     前記基板上に形成された多層膜構造を有し、EUV光を反射する反射層と、
     前記反射層上に形成され、該反射層を保護する保護層と、
     前記保護層上に形成され、EUV光を吸収する吸収層と、を備え、
     前記吸収層は、機能が異なる2層以上の積層構造からなり、
     前記吸収層は、190度以上270度以下の範囲内の位相差を有することを特徴とする反射型フォトマスクブランク。
  2.  前記吸収層は、吸収制御膜を少なくとも有することを特徴とする請求項1に記載の反射型フォトマスクブランク。
  3.  前記吸収層は、前記吸収制御膜、及び位相制御膜を有することを特徴とする請求項2に記載の反射型フォトマスクブランク。
  4.  前記吸収制御膜は、消衰係数kが0.041以上である材料を含み、
     前記吸収層の膜厚が60nm以下であることを特徴する請求項2または請求項3に記載の反射型フォトマスクブランク。
  5.  前記吸収制御膜は、錫(Sn)、インジウム(In)、タンタル(Ta)、銀(Ag)、テルル(Te)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、金(Au)、及び亜鉛(Zn)のうち少なくとも1種類以上の元素を含む材料から構成されることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の反射型フォトマスクブランク。
  6.  前記吸収層は、前記吸収制御膜、及び位相制御膜を有し、
     前記位相制御膜は、EUV光に対する屈折率nが0.93より小さいことを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の反射型フォトマスクブランク。
  7.  前記吸収層は、前記吸収制御膜、及び位相制御膜を有し、
     前記位相制御膜は、EUV光に対する屈折率nが0.92より小さいことを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の反射型フォトマスクブランク。
  8.  前記吸収層は、前記吸収制御膜、及び位相制御膜を有し、
     前記位相制御膜は、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、及びレニウム(Re)のうち少なくとも1種類以上の元素を含む材料から構成されることを特徴とする請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の反射型フォトマスクブランク。
  9.  前記吸収層は、210度以上265度以下の範囲内の位相差を有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の反射型フォトマスクブランク。
  10.  前記吸収層は、230度以上260度以下の範囲内の位相差を有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の反射型フォトマスクブランク。
  11.  基板と、
     前記基板上に形成された多層膜構造を有し、EUV光を反射する反射層と、
     前記反射層上に形成され、該反射層を保護する保護層と、
     前記保護層上に形成され、EUV光を吸収する吸収パターン層と、を備え、
     前記吸収パターン層は、機能が異なる2層以上の積層構造からなり、
     前記吸収パターン層は、190度以上270度以下の範囲内の位相差を有することを特徴とする反射型フォトマスク。
  12.  前記吸収パターン層は、パターン形成された吸収制御膜を少なくとも有することを特徴とする請求項11に記載の反射型フォトマスク。
  13.  前記吸収パターン層は、前記吸収制御膜、及びパターン形成された位相制御膜を有することを特徴とする請求項12に記載の反射型フォトマスク。
  14.  前記吸収制御膜は、消衰係数kが0.041以上である材料を含み、
     前記吸収パターン層の膜厚が60nm以下であることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の反射型フォトマスク。
  15.  前記吸収制御膜は、錫(Sn)、インジウム(In)、タンタル(Ta)、銀(Ag)、テルル(Te)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、金(Au)、及び亜鉛(Zn)のうち少なくとも1種類以上の元素を含む材料から構成されることを特徴とする請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の反射型フォトマスク。
  16.  前記吸収パターン層は、前記吸収制御膜、及びパターン形成された位相制御膜を有し、
     前記位相制御膜は、EUV光に対する屈折率nが0.93より小さいことを特徴とする請求項12から請求項15のいずれか1項に記載の反射型フォトマスク。
  17.  前記吸収パターン層は、前記吸収制御膜、及びパターン形成された位相制御膜を有し、
     前記位相制御膜は、EUV光に対する屈折率nが0.92より小さいことを特徴とする請求項12から請求項15のいずれか1項に記載の反射型フォトマスク。
  18.  前記吸収パターン層は、前記吸収制御膜、及びパターン形成された位相制御膜を有し、
     前記位相制御膜は、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、及びレニウム(Re)のうち少なくとも1種類以上の元素を含む材料から構成されることを特徴とする請求項12から請求項17のいずれか1項に記載の反射型フォトマスク。
  19.  前記吸収パターン層は、210度以上265度以下の範囲内の位相差を有することを特徴とする請求項11から請求項18のいずれか1項に記載の反射型フォトマスク。
  20.  前記吸収パターン層は、230度以上260度以下の範囲内の位相差を有することを特徴とする請求項11から請求項18のいずれか1項に記載の反射型フォトマスク。
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